三 姉妹 探偵 団 01 chapter 05 (1)
みっ|しまい|たんてい|だん|
Three Sisters Detective Agency 01 chapter 05 (1)
5 三 姉妹 の 受難
みっ|しまい||じゅなん
5 Sisters' Passion
珠美 は 、 教室 に 一 人 で 残って いた 。
たまみ||きょうしつ||ひと|じん||のこって|
Shumi was left alone in the classroom.
別に 残さ れた わけで は ない 。
べつに|のこさ||||
It was not left separately.
自主 的に 残って いた のである 。
じしゅ|てきに|のこって||
It remained voluntarily.
その 点 は 強調 して おく 必要 が ある だろう 。
|てん||きょうちょう|||ひつよう|||
That point needs to be emphasized.
珠美 は その 要領 の 良 さ で 、 大して 勉強 は し ない が 、 そう 成績 は 悪く なかった から である 。
たまみ|||ようりょう||よ|||たいして|べんきょう||||||せいせき||わるく|||
Shumi was good at the point, and although he did not study much, his grades were not so bad.
「── おい 、 佐々 本 、 まだ やって る の か 」
|ささ|ほん|||||
"Hey, Sasamoto, are you still doing it?"
と 、 教室 の 戸 が 開いた 。
|きょうしつ||と||あいた
And, the door of the classroom was opened.
「 あ 、 先生 」
|せんせい
安東 が 覗き に 来た のだった 。
あんどう||のぞき||きた|
Andong came to the plow.
「 帰ら ん か 、 一緒に ?
かえら|||いっしょに
"Will you go home, together?
「 もう 少し 計算 して 行き ます 」
|すこし|けいさん||いき|
"I will calculate a little more"
「 何 を やって いる んだ ?
なん||||
"What are you doing?
「 いい んです 、 別に 」
||べつに
"Good, separate"
と 、 珠美 は 笑って ごまかした 。
|たまみ||わらって|
And, Tamami laughed and cheated.
「 分 った 。
ぶん|
あんまり 遅く なる な よ 」
|おそく|||
Don't be so late.
安東 は 、 それ 以上 何も 言わ ず に 出て 行った 。
あんどう|||いじょう|なにも|いわ|||でて|おこなった
Andong went out without saying anything more.
珠美 は 、 ノート を 眺めて 、
たまみ||のーと||ながめて
Tamami looks at the notebook,
「 しめて …… 二万四千八十 円 か ……」
|にまんしせんはちじゅう|えん|
"Tell me ... twenty-four thousand eighty yen ... ..."
と 呟いた 。
|つぶやいた
家計 簿 を つけて いる のである 。
かけい|ぼ||||
It keeps a household account book.
いつまでも 安東 の 家 に 厄介に はなれ ない 。
|あんどう||いえ||やっかいに||
You won't be bothered with Andong's house forever.
それ は 珠美 に も 分 って いた 。
||たまみ|||ぶん||
It was also known to Tamami.
だから 、 安東 の 家 が 、 綾子 と 珠美 の 二 人 に いくら ぐらい 使って いる の か 、 大体 の ところ を つけて いる のである 。
|あんどう||いえ||あやこ||たまみ||ふた|じん||||つかって||||だいたい||||||
So, Ando's house is putting in place a lot about how much they use for both Reiko and Tamami.
食費 の 他 に 、 風呂 の ガス 代 、 水道 代 、 下着 の 替え を 買って くれた 分 など を 計算 する と 、 二万四千 円 余りに なる 。
しょくひ||た||ふろ||がす|だい|すいどう|だい|したぎ||かえ||かって||ぶん|||けいさん|||にまんしせん|えん|あまりに|
If you calculate the gas cost of the bath, the water supply cost, and the amount you bought for changing underwear, besides the cost of food, it will cost more than ¥ 24,000.
これ じゃ 、 いくら 夫婦 共 稼ぎ った って 、 楽じゃ ない 。
|||ふうふ|とも|かせぎ|||らくじゃ|
With this, it is not easy how much the couple earns a share.
やはり 居候 は それなり の 貢献 を し なくて は なら ない 。
|いそうろう||||こうけん||||||
Again the occupation must make moderate contributions.
綾子 は 働き 始めて いる が 、 バイト で は 大した 金 に なら ない し 、 いつまで 続く かも 心もとない 。
あやこ||はたらき|はじめて|||ばいと|||たいした|きむ||||||つづく||こころもとない
Reiko has begun to work, but with a byte it doesn't make much money, and I'm not sure how long it will last.
あまり あて に し ない 方 が いい だろう 。
|||||かた|||
It would be better not to rely too much.
と いって 、 夕 里子 は 高校 、 自分 は 中学 。
||ゆう|さとご||こうこう|じぶん||ちゅうがく
Yuuriko is a high school and I am a junior high school.
アルバイト った って 、 たかが 知れて いる 。
あるばいと||||しれて|
I know that I have a part-time job.
「 売春 で も やる か なあ ……」
ばいしゅん|||||
"Can I do prostitution ..."
と 、 珠美 は 机 の 上 を 片付け ながら 呟いた 。
|たまみ||つくえ||うえ||かたづけ||つぶやいた
And, Tamami went up while cleaning up on the desk.
教室 の 明り を 消して 、 珠美 は 廊下 へ 出た 。
きょうしつ||あかり||けして|たまみ||ろうか||でた
After turning off the light of the classroom, Tamami went out to the corridor.
ロッカールーム へ 入る と 、 靴 を はき かえる 。
||はいる||くつ|||
When I enter the locker room, I change my shoes.
── どこ か で タバコ の 匂い が して いる 。
|||たばこ||におい|||
-Somewhere there is a smell of tobacco.
隠れて 誰 か が 喫 った の か な 。
かくれて|だれ|||きっ||||
I wondered if someone hid and caught him.
もったいない 。
I'm sorry.
今 は タバコ も 高い のに 。
いま||たばこ||たかい|
Even though the cigarettes are expensive now.
鞄 を 手 に ロッカールーム を 出よう と する と 、 いきなり ドア が 開いて 、 珠美 は 中 へ 押し戻さ れた 。
かばん||て||||でよう|||||どあ||あいて|たまみ||なか||おしもどさ|
When I tried to leave the locker room with my bag in hand, suddenly the door opened and Palm pushed back inside.
「 な 、 何 よ ……」
|なん|
"What's that ..."
二 年生 だ 。
ふた|ねんせい|
I am a second grader.
それ も 年中 問題 を 起こして いる 三 人 組 だった 。
||ねんじゅう|もんだい||おこして||みっ|じん|くみ|
It was a trio who is causing trouble all the year round.
一 人 は くわえ タバコ で 、 髪 も 染めて いる 。
ひと|じん|||たばこ||かみ||そめて|
One is a cigarette and the hair is dyed.
珠美 は 、 まずい 、 と 思った 。
たまみ||||おもった
Tamami thought that it was bad.
「 ねえ 、 あんた 」
"Hey, you"
一 人 が ドア を 閉めて 、 より かかる 。
ひと|じん||どあ||しめて||
One person closes the door and takes more.
二 人 が ジリジリ と 近付いて 来た 。
ふた|じん||じりじり||ちかづいて|きた
「 何 です か ?
なん||
「 ちょっと 小遣い が いる の 。
|こづかい|||
"I have a little money.
貸して よ 」
かして|
Lend me "
「 お 金 なんて ……」
|きむ|
"What money is ..."
「 持って ん の 、 知って んだ よ 。
もって|||しって||
"I know you have it.
いつも 金 勘定 して る って いう じゃ ない 」
|きむ|かんじょう||||||
I do not mean that I always count money. "
「 私 、 別に ……」
わたくし|べつに
"I, separately ..."
「 なめ ん じゃ ない よ !
な め||||
"I'm not licking!
つき飛ばさ れて 、 珠美 は ひっくり返った 。
つきとばさ||たまみ||ひっくりかえった
Tsukumi turned over and Tamami turned over.
小柄だ から 、 体力 で は とても 敵 わ ない 。
こがらだ||たいりょく||||てき||
Because he is small, he is not very good at physical strength.
「 おとなしく 金 出し な よ 」
|きむ|だし||
"Don't give me some money"
珠美 も 決して 勇敢で は ない 。
たまみ||けっして|ゆうかんで||
Tamami isn't brave either.
人並みに 、 殴ら れる の は 好きで ない し 、 こういう 手 合 を 相手 に 喧嘩 する 度胸 も ない 。
ひとなみに|なぐら||||すきで||||て|ごう||あいて||けんか||どきょう||
People do not like being scolded, and they do not have the courage to scold them for doing something like this.
しかし 、 珠美 は 無類の ケチ である 。
|たまみ||むるいの||
However, Tamami is an incomparable match.
鞄 の 中 に は 、 確かに 一万五千 円 ほど の 現金 が ある 。
かばん||なか|||たしかに|いちまんごせん|えん|||げんきん||
Certainly, there is about 15,000 yen of cash in the coffin.
しかし 、 これ は 夕 里子 から 預かった 〈 資金 〉 な のだ 。
|||ゆう|さとご||あずかった|しきん||
However, this is the <fund> that I got from Yuuriko.
「 どう な の さ ?
"What is it?
「 渡す もん です か !
わたす|||
"Do you pass it!
お 金 欲しきゃ 、 働き なさい よ !
|きむ|ほしきゃ|はたらき||
If you want the money, work!
珠美 は 、 両手 に しっかり と 鞄 を かかえ込んだ 。
たまみ||りょうて||||かばん||かかえこんだ
Tamami firmly put a bag in his hands.
── 相手 は ちょっと 呆 気 に 取ら れた 。
あいて|||ぼけ|き||とら|
-The other party was taken a little bit disgusting.
脅して やれば すぐ 渡す だろう と 思って いた のだ 。
おどして|||わたす|||おもって||
I thought that I would deliver immediately if I threatened.
「 この 野郎 ……」
|やろう
"This guy ......"
珠美 は 、 お腹 を けら れて 、 体 を 縮めた 。
たまみ||おなか||||からだ||ちぢめた
Suzumi was hungry and shrunk.
頭 を 踏ま れる 。
あたま||ふま|
I will step on my head.
髪 の 毛 を 引 張ら れる 。
かみ||け||ひ|はら|
Her hair is stretched.
顔 を 殴ら れる 。
かお||なぐら|
I was scolded by my face.
痛 さ で 気 が 遠く なった 。
つう|||き||とおく|
The pain made me feel far.
「 よこせ !
"Yokose!
と 鞄 を もぎ取ら れ そうに なる と 、 ハッと して 、
|かばん||もぎとら||そう に|||はっと|
When I was about to get rid of my spear,
「 や だ !
" no !
と 鞄 を 必死で 抱きしめた 。
|かばん||ひっしで|だきしめた
I hugged and hugged my niece.
「 こいつ ……」
不良 グループ が 、 刃物 や チェーン を 持って い なかった の は 幸いであった 。
ふりょう|ぐるーぷ||はもの||ちぇーん||もって|||||さいわいであった
It was fortunate that the bad group did not have a knife or chain.
珠美 に こう も 手 こ ずる と は 思って い なかった のだろう 。
たまみ||||て|||||おもって|||
I probably didn't think that it was a trick to Shumi.
殴る 、 ける 、 が 続いて 、 珠美 は 目 の 前 が 真っ暗に なった 。
なぐる|||つづいて|たまみ||め||ぜん||まっくらに|
Singing, falling, followed by, Tamami turned dark in front of her eyes.
口 の 端 が 切れて 血 が 流れる の が 分 った 。
くち||はし||きれて|ち||ながれる|||ぶん|
I found that the end of my mouth was cut and blood was flowing.
死んじゃ う かも しれ ない 、 と 思った 。
しんじゃ||||||おもった
I thought it might be dead.
しかし 、 絶対 に 鞄 は やら ない 、 と 決心 して いた 。
|ぜったい||かばん|||||けっしん||
However, I was determined to never do bribes.
お 金 の ため に 死ぬ なら 、 本望 であった 。
|きむ||||しぬ||ほんもう|
It was a longing for you to die for your money.
「 おい 、 何 して る !
|なん||
"Hey, what are you doing!
男 の 声 が した 。
おとこ||こえ||
There was a man's voice.
ありがたい !
「 逃げろ !
にげろ
ドタドタッ と 足音 が 入り乱れて 、 それ から 静かに なった 。
||あしおと||いりみだれて|||しずかに|
My footsteps were mixed up and then I became quiet.
「── 大丈夫 かい ?
だいじょうぶ|
"か い Are you okay?
事務 室 に いる 男性 の 声 らしかった 。
じむ|しつ|||だんせい||こえ|
There was a voice of a man in the office.
らしかった 、 と いう の は 、 珠美 は 目 が かすんで 、 よく 見え なかった のである 。
|||||たまみ||め||||みえ||
It was easy to see, but the beauty of the ball was faint and did not look well.
しかし 、 鞄 だけ は しっかり と 抱きかかえて いた 。
|かばん|||||だきかかえて|
However, only Shiori was holding it firmly.
死んじゃ おう 。
しんじゃ|
I will die.
綾子 は 、 電車 の 中 で 、 ホーム で 、 帰り道 で 、 そう 考え つづけて いた 。
あやこ||でんしゃ||なか||ほーむ||かえりみち|||かんがえ||
Reiko had been thinking so on the way home, on the way home on the train.
昨日 の 好調 と は 打って変って 、 今日 は 最低の 一 日 であった 。
きのう||こうちょう|||うってかわって|きょう||さいていの|ひと|ひ|
Yesterday's good news was different and today was the lowest day.
五 時 の チャイム まで が 、 まるで 一 年間 も ある ようだった 。
いつ|じ||ちゃいむ||||ひと|ねんかん|||
It seemed that there were up to 5 o'clock chime for a year.
コピー の 機械 に やっと 慣れて 、 自信 満々 で 出社 した のに 、 今日 は 書類 の 整理 と 荷造り を やらさ れた 。
こぴー||きかい|||なれて|じしん|まんまん||しゅっしゃ|||きょう||しょるい||せいり||にづくり|||
I finally got used to the copy machine and came to work with confidence, but today I was able to organize and pack the documents.
書類 と いって も 、 勤めた こと も なく 、 商業 高校 に も 行って い ない 綾子 に は 、 伝票 と メモ の 違い だって 見分け が つか ない のである 。
しょるい||||つとめた||||しょうぎょう|こうこう|||おこなって|||あやこ|||でんぴょう||めも||ちがい||みわけ||||
Even if it's a document, I've never been to work, and I'm not going to a commercial high school, but the difference between a slip and a memo is indistinguishable.
おまけに 、
As a bonus ,
「 歳入 、 歳出 別 に ね 」
さいにゅう|さいしゅつ|べつ||
"I'm looking forward to your income and expenditure."
なんて 言わ れた って 、 そもそも 「 サイニュウ 」「 サイシュツ 」 が 、 どういう 字 を 当てる の か 、 定かで ない 。
|いわ||||||||あざ||あてる|||さだかで|
I wasn't sure what kind of character "Sinew" and "Saisutsu" would say in the first place.
「 入 」 と 「 出 」 か な 、 と 見当 は ついた のだ が 、 そこ を 、
はい||だ||||けんとう||||||
I thought that it was "entering" and "outing", but there,
「 どう やって 見分ける んです か 」
||みわける||
"How do you distinguish?"
と 一言 訊 け ば いい の を 、 そう でき ない の が 気 の 弱 さ である 。
|いちげん|じん|||||||||||き||じゃく||
In short, the weak point of mind is that you can not do that.
「 じゃ 、 やっと いて ね 、 僕 は 忙しい から 」
||||ぼく||いそがしい|
"Well then, I'm busy, I'm busy."
と 、 その 男性 、 さっさと 綾子 を 置いて 行って しまう 。
||だんせい||あやこ||おいて|おこなって|
And, that man, I will put Ayako quickly.
困って しまった もの の 、 遊んで いる わけに も いか ず 、 ともかく 、「 出 」「 入 」 の 字 を 頼り に 、 書類 、 伝票 を 全部 分けて しまった 。
こまって||||あそんで|||||||だ|はい||あざ||たより||しょるい|でんぴょう||ぜんぶ|わけて|
Although I was in trouble, I was not playing, and I divided all the documents and slips, relying on the letters “out” and “on”.
怒鳴ら れた 。
どなら|
I yelled.
「 めちゃくちゃじゃ ない か !
"Aren't you crazy!
もう いい !
enough !
却って 何も やら ないで いて くれた 方 が ありがたい よ 、 全く !
かえって|なにも|||||かた||||まったく
On the contrary it would be appreciated if you did not do anything, totally!
教えて くれ ない んだ もの 、 と 口 の 中 で 呟いて 、 すみません 、 と 頭 を 下げる 。
おしえて||||||くち||なか||つぶやいて|||あたま||さげる
Peep in my mouth with something I can't tell, Excuse me, I lower my head.
もう これ で 十二分に 落ち込んだ のだ が 、 午後 から は 、 発送 業務 で 、 小包 に 紐 を かけ させ られた 。
|||じゅうにぶんに|おちこんだ|||ごご|||はっそう|ぎょうむ||こづつみ||ひも|||さ せ|
It has fallen far enough now, but in the afternoon, I was forced to put a string on the package in the shipping business.
これ が また 苦手である 。
|||にがてである
I am not good at this again.
大体 、 綾子 は 不器用な のだ 。
だいたい|あやこ||ぶきような|
Generally, Reiko is clumsy.
靴 の 紐 を 結ぶ の だって 、 いい加減 何度 も くり返さ ない と でき ない 。
くつ||ひも||むすぶ|||いいかげん|なんど||くりかえさ||||
Even tying shoelaces can only be done repeatedly over and over again.
だから 、 靴 も 絶対 に 紐 の ない もの を 選んで いた 。
|くつ||ぜったい||ひも|||||えらんで|
So I chose shoes that had absolutely no strings.
その 綾子 に 、 荷造り しろ と いう のだ から 無理だ 。
|あやこ||にづくり||||||むりだ
It is impossible for the dumplings to do packing.
担当 の 女性 が 、
たんとう||じょせい|
The woman in charge is
「 ここ を こう 通して ね 、 ここ で キュッ と しめて 、 これ で いい の よ 」
|||とおして|||||||||||
"Pass through here, close it here, and it 's fine."
と やって 見せて くれた とき は 、 あ 、 割と やさしい 、 と 思った のだ が 、 とんでもない 。
||みせて|||||わりと|||おもった|||
When I showed it, I thought it was kind, kind, but not terribly.
やって みる と 、 紐 は もつれる 、 結び目 は 妙な 所 に できる 、 指 を 一緒に 縛っちゃ う 、 と いう 有様 。
|||ひも|||むすびめ||みょうな|しょ|||ゆび||いっしょに|しばっちゃ||||ありさま
When you try it, the strings are tangled, the knots can be in strange places, the fingers should be tied together, and so on.
それ でも 二 時間 近く かかって 、 やっと 結び 方 を 憶 え 、 後 は 順調に 行った 。
||ふた|じかん|ちかく|||むすび|かた||おく||あと||じゅんちょうに|おこなった
But it took me almost two hours, and I finally remembered how to tie it, and then it went well.
四 時 半 に なって 席 へ 戻る と 、 さすが に ぐったり した が 、 まあ 午前 中 より は ましな 気分 であった 。
よっ|じ|はん|||せき||もどる||||||||ごぜん|なか||||きぶん|
When I returned to my seat at 4:30 pm, I was really surprised, but I felt better than in the morning.
「 ご苦労さま 」
ごくろうさま
"Your hardship"
と 、 お茶 も くれた し 、「 後 は 五 時 まで のんびり して なさい よ 」
|おちゃ||||あと||いつ|じ|||||
And he gave me some tea, "Please relax until 5 o'clock"
と 言わ れて 、 やっと 笑顔 も 出た のだ が ……。
|いわ|||えがお||でた||
It was said that a smile finally came out ...
「 誰 だ おい !
だれ||
"Who are you!
こんな 小包 を 造った 奴 は !
|こづつみ||つくった|やつ|
Who made such a package!
と 、 怒鳴り 声 が 、 事務 所 中 に 響き渡った 。
|どなり|こえ||じむ|しょ|なか||ひびきわたった
And yelling resounded throughout the office.
口やかましい 、 と 聞いて いた 課長 さん である 。
くちやかましい||きいて||かちょう||
It was a section manager who heard that it was sensible.
「 ゆるゆる じゃ ない か 。
"Isn't it loose?
見ろ !
みろ
紐 を 持って 下げる と 、 確かに ゆる すぎて 外れ そうな のだ 。
ひも||もって|さげる||たしかに|||はずれ|そう な|
If you pull it with a string, it's certainly too loose and it's likely to come off.
「 こんなんで 、 向 う へ 着く と 思って る の か !
|むかい|||つく||おもって|||
"Do you think that it will arrive at this?
誰 だ 、 やった 奴 は !
だれ|||やつ|
Who are you guys!
綾子 は 、 顔 から 血の気 が ひく の が 分 った 。
あやこ||かお||ちのけ|||||ぶん|
Reiko found that her face was bloody.
そろそろ と 立ち上る と 、
||たちのぼる|
「 私 です 」
わたくし|
と 、 消え 入り そうな 声 で 言った 。
|きえ|はいり|そう な|こえ||いった
Said in a voice that seemed to disappear.
「 何 だ 、 バイト か ?
なん||ばいと|
"What, a byte?
「 はい 」
「 今 の 学生 は 何 を 習って る んだ ?
いま||がくせい||なん||ならって||
"What do current students learn?
紐 一 つ 満足 に 結べ ん の か 」
ひも|ひと||まんぞく||むすべ|||
Can I get one string satisfied?
「 すみません ……」
「 男 の 引っかけ 方 ばっかり 勉強 し とる んだろう 」
おとこ||ひっかけ|かた||べんきょう|||
"How will a man get hooked on studying?"
事務 所 中 が 一斉に 笑った 。
じむ|しょ|なか||いっせいに|わらった
The entire office smiled at once.
── 綾子 は 、 自分 が 世界 一 惨めな 人間 に 思えた 。
あやこ||じぶん||せかい|ひと|みじめな|にんげん||おもえた
綾 Reiko seemed to be the miserable person in the world.
帰り道 、 ずっと 綾子 は そう 考えて いた 。
かえりみち||あやこ|||かんがえて|
On the way back, Yuko had always been thinking so.
世の中 は 、 自分 に 合う ように できて い ない 。
よのなか||じぶん||あう||||
The world is not made to suit me.
── そうだ 。
そう だ
みんな が 私 を からかって 、 馬鹿に して 面白がって る んだ 。
||わたくし|||ばかに||おもしろがって||
Everybody is fun and funny for making fun of me.
もう 、 会社 に 顔 を 出せ や し ない 。
|かいしゃ||かお||だせ|||
I will no longer show off at the company.
あんな 恥ずかしい 思い を して 。
|はずかしい|おもい||
I feel so embarrassing.
── もう 何もかも 終り なんだ 。
|なにもかも|おわり|
も う Everything is over.
安東 の 家 へ 帰りつく と 、 張りつめて いた もの が 一挙に 崩れて 、 綾子 は 奥 の 六 畳 間 に 駆け込む と 、 ワーッ と 泣き出して しまった 。
あんどう||いえ||かえりつく||はりつめて||||いっきょに|くずれて|あやこ||おく||むっ|たたみ|あいだ||かけこむ||||なきだして|
When I returned to the Andong's house, the things that were tense collapsed at once, and when I ran into the back of the six tatami mats, I burst into tears.
綾子 に 得意な こと が ある と する と 、 それ は 泣く こと である 。
あやこ||とくいな|||||||||なく||
If you have something good at Keiko, it is to cry.
何しろ 泣き虫 な のだ 。
なにしろ|なきむし||
What a crybaby?
一旦 泣き出したら 、 一 時間 は 止まら ない 。
いったん|なきだしたら|ひと|じかん||とまら|
Once we start crying, we can not stop for an hour.
夕 里子 など 、 からかって 、
ゆう|さとご||
Yu Riko and others, Teasing,
「 お 姉さん 、 砂漠 で さまよって も 、 助かる よ 、 水分 の 貯 え が 多い から 」
|ねえさん|さばく||||たすかる||すいぶん||ちょ|||おおい|
"My sister, wandering in the desert will save me a lot of water storage"
など と 言って いる 。
||いって|
It is said that.
薄暗く なった 部屋 で 、 一 人 泣き 続けて いる と 、 襖 が 開いた 。
うすぐらく||へや||ひと|じん|なき|つづけて|||ふすま||あいた
In the dimmed room, as I kept crying alone, the rose opened.
「── おい 、 どうした ?
"-Hey, what happened?
安東 だった 。
あんどう|
It was Andong.
「 先生 ……」
せんせい
綾子 は 泣く の を やめよう と 思った が 、 水道 の 蛇口 と 違って 、 止め られ ない のである 。
あやこ||なく|||||おもった||すいどう||じゃぐち||ちがって|とどめ|||
Reiko wanted to stop crying, but unlike the tap of the water supply, he could not stop it.
「 どうした ?
何 か あった の か ?
なん||||
Did something happen ?
安東 は わき に 座る と 、 綾子 の 肩 を 抱いて やった 。
あんどう||||すわる||あやこ||かた||いだいて|
When Ando sat aside, he held the palm of his hand.
その 優し さ が 、 また 涙腺 を 刺激 した 。
|やさし||||るいせん||しげき|
The kindness also stimulated the lacrimal gland.
「 私 …… 私 ……」
わたくし|わたくし
もう 言葉 に なら ない 。
|ことば|||
It is not a word anymore.
綾子 は 安東 の 胸 に 身 を 投げかけて 、 また ひとしきり 泣き出した 。
あやこ||あんどう||むね||み||なげかけて|||なきだした
Reiko threw herself against Ando's chest and she burst into tears again.
「 元気 出せ 。
げんき|だせ
"Get well.
── おい 、 しっかり しろ よ 」
お い Hey, stay strong. "
安東 が 綾子 の 頭 を 撫で ながら 言った 。
あんどう||あやこ||あたま||なで||いった
Andong said, bashing Yuko's head.
「 すみません ……」
たっぷり 十 分 以上 、 泣いて から 、 綾子 は 顔 を 上げた 。
|じゅう|ぶん|いじょう|ないて||あやこ||かお||あげた
After crying for more than enough, Reiko raised his face.
「 悲しく って …… 私 …… だめな んです 。
かなしく||わたくし||
"It's sad ...... I ...... I'm sorry.
何 やって も …… 笑われる んです 」
なん|||えみわれる|
No matter what you do ... you can laugh.
「 そんな こと が ある もん か 。
"There is such a thing.
気 に する んじゃ ない 」
き||||
I don't care.
「 本当な んです ……。
ほんとうな|
私 の こと 、 みんな が 馬鹿に して 、 笑いもの に する んです ……」
わたくし|||||ばかに||わらいもの|||
Everyone makes me a fool and makes me laugh ...... "
「 俺 は し ない ぞ 」
おれ||||
"I will not do it"
と 安東 は 言った 。
|あんどう||いった
綾子 は 顔 を 上げた 。
あやこ||かお||あげた
Reiko raised her face.
次の 瞬間 、 安東 の 力強い 腕 が 綾子 を 抱き 寄せて 、 綾子 は 唇 に 安東 の 唇 を 受け止めて いた 。
つぎの|しゅんかん|あんどう||ちからづよい|うで||あやこ||いだき|よせて|あやこ||くちびる||あんどう||くちびる||うけとめて|
The next moment, Ando's powerful arm held her in, and Reiko received Ando's lip on her lip.
全身 が 燃える ように 熱く なった 。
ぜんしん||もえる||あつく|
My whole body got hot to burn.
── 綾子 は 夢中で 安東 の 背 に 腕 を 回して いた 。
あやこ||むちゅうで|あんどう||せ||うで||まわして|
綾 Yuko was crazy and turned his arms to Ando's back.
「 ただいま 」
" I'm home "
夕 里子 は 、 片瀬 家 の 玄関 を 上った 。
ゆう|さとご||かたせ|いえ||げんかん||のぼった
Yuuriko climbed the front door of the Katase family.
家 の 中 は 、 いやに 静かである 。
いえ||なか|||しずかである
The inside of the house is so quiet.
── 誰 も い ない の か な 。
だれ||||||
誰 Is there no one?
それ に して は 玄関 の 鍵 が 開いて いた が 。
||||げんかん||かぎ||あいて||
For that, the front door key was open.
「 ただいま 」
" I'm home "
居間 の ドア を 開けて 、 夕 里子 は 立ちすくんだ 。
いま||どあ||あけて|ゆう|さとご||たちすくんだ
Yuuriko stood up, opening the door of her living room.
まるで 、 静止 した 画像 の ように 、 敦子 と 、 父親 、 母親 が 離れ離れに 座って 、 黙り 込んで いた 。
|せいし||がぞう|||あつこ||ちちおや|ははおや||はなればなれに|すわって|だまり|こんで|
As if it were a still image, Reiko, her father, and her mother sat away and shut up.
和やかな ムード で は ない 。
なごやかな|むーど|||
It is not a peaceful mood.
重苦しくて 、 その 場 へ 入った とたん に 息苦しく なる 感じ だった 。
おもくるしくて||じょう||はいった|||いきぐるしく||かんじ|
It was heavy and I felt as if I was in my place, I felt as if I was stuffy.
── いて は いけない 、 と 思って 、 夕 里子 は 居間 を 出た 。
||||おもって|ゆう|さとご||いま||でた
夕 Yuko Riko left the living room, thinking it should not be.
すぐに 、 敦子 が 追いかけて 出て 来た 。
|あつこ||おいかけて|でて|きた
Soon, Reiko came out and chased.
「 夕 里子 、 外 に 行こう 」
ゆう|さとご|がい||いこう
"Yuuriko, let 's go outside"
敦子 が 、 涙ぐんで いる 。
あつこ||なみだぐんで|
Reiko has tears.
「 うん 」
二 人 は 玄関 から 表 へ 出て 、 暗く なり かけた 道 を しばらく 歩いた 。
ふた|じん||げんかん||ひょう||でて|くらく|||どう|||あるいた
The two went out from the front door and walked for a while on the darkened road.
「 靴 、 どうした の ?
くつ||
"What about your shoes?
と 、 敦子 が 訊 いた 。
|あつこ||じん|
「 え ?
ああ 、 あの 編 上 靴 、 かかと が こわれちゃ った の 。
||へん|うえ|くつ|||||
Oh, that knitted shoes, heel broke down.
ごめん ね 」
「 いい の よ 。
それ 、 買った の ?
|かった|
Did you buy it?
「 うん 、 知って る 人 に 買って もらった 」
|しって||じん||かって|
"Yeah, I got it from someone I knew."
また 、 二 人 は 黙り 込んだ 。
|ふた|じん||だまり|こんだ
Also, they shut up.
国友 と 二 人 で 水口 淳子 の 家 へ 行って みた のだ が 、 留守 で 、 会う こと は でき なかった 。
くにとも||ふた|じん||みずぐち|あつこ||いえ||おこなって||||るす||あう||||
I tried to go to Mizuguchi Reiko's house with my friend, but when I was away I couldn't meet.
また 明日 、 出直そう と いう こと に なった のだ が ……。
|あした|でなおそう|||||||
I was told that I would go out again tomorrow ...
「 ママ が ね 、 浮気 して た んだ 」
まま|||うわき|||
"My mom was cheating on me,"
と 、 敦子 が 言った 。
|あつこ||いった
「 それ が ばれた の 」
"It has been broken"
夕 里子 は 息 を 呑 んだ 。
ゆう|さとご||いき||どん|
Yuuriko breathed her breath.
── 忘れて いた !
わすれて|
忘 れ I forgot!
あの 電話 だ !
|でんわ|
二 時 に 。
ふた|じ|
この前 の ホテル 。
この まえ||ほてる
来 なければ 旦那 に ばらす ……。
らい||だんな||
If it does not come, I will give it to my husband ....
「 相手 が 誰 な の か 、 って パパ が 訊 いて も ね 、 ママ 、 言わ ない の 。
あいて||だれ|||||ぱぱ||じん||||まま|いわ||
"Even if Dad asks" who 's the other party, Mom, don't say that.
で 、 あんな 風 な の よ 。
||かぜ|||
Well, that's the wind.
もう 一 時間 も 」
|ひと|じかん|
One more hour
「 どうして …… 分 った の ?
|ぶん||
"Why ... did you understand?
「 パパ の 会社 に 電話 が かかった らしい わ 。
ぱぱ||かいしゃ||でんわ||||
"I heard that the dad's company was called.
そして 、 あんた の 奥さん と 浮気 して いた 、 って ……。
|||おくさん||うわき|||
And I was flinging with your wife ... ....
ママ の 体 の こと 、 あれこれ 細かく しゃべった んだ って 。
まま||からだ||||こまかく|||
I talked about my mother's body in detail.
だから ママ も 言い逃れ でき なくて 」
|まま||いいのがれ||
So I can't even let my mom say that
夕 里子 は 、 言葉 が なかった 。
ゆう|さとご||ことば||
Yuuriko had no words.
── 自分 の せい だ 。
じぶん|||
-It is your fault.
あの とき 、 ちゃんと 敦子 の 母 に 伝えて おけば ……。
|||あつこ||はは||つたえて|
At that time, if you tell the mother of Junko properly ....
「 ママ だって 、 うまく やりゃ 良かった の よ 。
まま||||よかった||
"Even my mom would have been good.
ねえ ?
敦子 は 捨て鉢 な 調子 で 言った 。
あつこ||すてばち||ちょうし||いった
Reiko said at a pitching pace.
「 そんな 言い 方 、 気の毒 よ 」
|いい|かた|きのどく|
"Such a way, sorry!"
「 もう いやだ わ 、 家 へ 帰り たく ない !
|||いえ||かえり||
"I don't want to go home anymore!
敦子 は 、 唇 を かみしめた 。
あつこ||くちびる||
Reiko bites her lips.
涙 が 頰 に 伝い 落ちた 。
なみだ||||つたい|おちた
The tears fell to my eyelid.
夕 里子 は 、 自分 を 呪って やり たかった 。
ゆう|さとご||じぶん||のろって||
Yuriko wanted to curse herself.
「 でも ── どうして お 母さん 、 男 の 名前 を 言わ ない の ?
|||かあさん|おとこ||なまえ||いわ||
"But ど う why are you not saying my mother 's name?
「 分 ら ない って 言う の 。
ぶん||||いう|
"I don't know.
何だか 、 怪しい 電話 の 誘い に 乗って ホテル へ 行ったら 、 部屋 は 真っ暗で 、 いきなり 抱きしめ られて ……。
なんだか|あやしい|でんわ||さそい||のって|ほてる||おこなったら|へや||まっくらで||だきしめ|
Anyway, when I went to the hotel with a suspicious telephone invitation, the room was dark and I was suddenly embraced ....
気 が 付いたら 、 男 の 方 は もう い なく なって たって 」
き||ついたら|おとこ||かた||||||
If you notice it, the man is gone already. "
「 そんな こと って ある の かしら ?
"Do you think there is such a thing?
「 分 んな いわ よ !
ぶん|||
"I know it!
敦子 は 叫ぶ ように 言って 、 それ から 、 息 を 吐き出した 。
あつこ||さけぶ||いって|||いき||はきだした
Reiko told him to shout and then exhaled.
「── ごめん ね 、 夕 里子 の せい じゃ ない のに 」
||ゆう|さとご|||||
"-I'm sorry, it's not because of Yuuriko."
私 の せい よ 、 と 夕 里子 は 心 の 中 で 言った 。
わたくし|||||ゆう|さとご||こころ||なか||いった
My fault, Yuuriko said in her mind.
しかし 、 口 に 出して は 、 とても 言え ない 。
|くち||だして|||いえ|
However, it can not be said very much in the mouth.
「 戻ろう よ 」
もどろう|
"Let's go back"
と 、 夕 里子 は 言った 。
|ゆう|さとご||いった
Said Yuuriko.
「 うん 」
敦子 は 夕 里子 の 腕 に 腕 を からめた 。
あつこ||ゆう|さとご||うで||うで||
Reiko entangled his arms in Yuuriko's arms.