こぶ取り こぶ とり

こぶ 取り |とり

むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||きち|しろく|||いう|||じん||| その 吉 四六 さん の 住む 村 に は 、 両方 の ほっぺた に 大きな こぶ の ある お じいさん が 住んで い ました 。 |きち|しろく|||すむ|むら|||りょうほう||||おおきな|||||||すんで|| その こぶ は 、 ほうっておいて も 何の 害 も ない のです が 、 こぶ が 気 に なって 仕方 の ない お じいさん は 、 その こぶ を 治そう と あちこち の 医者 に 診て もらい ました 。 |||||なんの|がい|||||||き|||しかた|||||||||なおそう||||いしゃ||みて|| しかし 、 こぶ は いっこうに 治ら ず 、 高い 薬代 の おかげ で 家 は だんだん 貧しく なって いき ました 。 ||||なおら||たかい|やくだい||||いえ|||まずしく||| それ でも お じいさん は あきらめ ず 、 江戸 ( え ど → 東京 都 ) の 名医 に 診て もらう 費用 を 得る 為 に 、 自分 の 家 を 売って しまおう と 考えた のです 。 |||||||えど|||とうきょう|と||めいい||みて||ひよう||える|ため||じぶん||いえ||うって|||かんがえた| これ を 知った 息子 の 太郎 兵 衛 は 、 あわてて 吉 四六 さん に 相談 し ました 。 ||しった|むすこ||たろう|つわもの|まもる|||きち|しろく|||そうだん|| 「 何とか して 、 家 の じいさま に 、 こぶ の 療治 を あきらめ させる 法 は ない もの だろう か ？ なんとか||いえ||じい さま||||りょうじ|||さ せる|ほう||||| 」 　 すると 吉 四六 さん は 、 にっこり 笑って 言い ました 。 |きち|しろく||||わらって|いい| 「 よし 、 おれ に 任せろ 。 |||まかせろ 明日 、 おれ が 行って こぶ を 取って やる から な 」 あした|||おこなって|||とって|||

次の 朝 、 吉 四六 さん は 腰 に 手 オノ を さして 、 手 に は ざる を 持ち 、 お じいさん の 家 の 前 に 立って 大声 を あげ ました 。 つぎの|あさ|きち|しろく|||こし||て|おの|||て|||||もち||||いえ||ぜん||たって|おおごえ||| 「 えー 、 こちら は 、 こぶ 屋 です 。 ||||や| こぶ は あり ませ ん か 。 こぶ が あったら 高く 買い ます よ ー 」 　 する と 思った 通り 、 お じいさん が 飛び出して き ました 。 |||たかく|かい|||-|||おもった|とおり||||とびだして|| 「 こぶ を 買い取る と は 、 本当 か ！ ||かいとる|||ほんとう| 」  　 すると 吉 四六 さん 、 とても 真面目な 顔 で 言い ました 。 |きち|しろく|||まじめな|かお||いい| 「 はい 、 わし は 昨日 山 に 行って 天狗 から こぶ の 注文 を 受け 、 こぶ 取り の 術 を 教わって き ました 。 |||きのう|やま||おこなって|てんぐ||||ちゅうもん||うけ||とり||じゅつ||おそわって|| お じいさん 、 あんた の こぶ が 不用 なら 、 わし に 売って くれ ませ ん か 。 ||||||ふよう||||うって|||| 値段 は 一 つ 八 文 だ から 、 両方 で 十六 文 だ 」 「 何と 、 それ は ありがたい ！ ねだん||ひと||やっ|ぶん|||りょうほう||じゅうろく|ぶん||なんと||| こぶ を 取る 為 に は 、 家 を 売って も かまわ ない と 思って いた ところ だ 。 ||とる|ため|||いえ||うって|||||おもって||| それ が 十六 文 で 売れる なんて 。 ||じゅうろく|ぶん||うれる| さあ 、 早く 取って くれ 」 　 お じいさん は 大喜びで 、 こぶ を 売る 事 に し ました 。 |はやく|とって|||||おおよろこびで|||うる|こと||| 吉 四六 さん は こぶ 代 の 十六 文 を 払う と お じいさん を 土間 に 座ら せて 、 「 ちん ん ぷい ぷい 、 うん たら か ん たら ・・・」 と 、 適当な 呪文 を 唱え ながら こぶ を なでて い ました が 、 突然 、 右手 に 隠して いた 手 オノ を 振り 上げた のです 。 きち|しろく||||だい||じゅうろく|ぶん||はらう|||||どま||すわら||||||||||||てきとうな|じゅもん||となえ||||||||とつぜん|みぎて||かくして||て|おの||ふり|あげた| それ を 見た お じいさん は 、 びっくり して 叫び ました 。 ||みた||||||さけび| 「 吉 四六 さん ！ きち|しろく| 何 を する つもりだ ！ なん||| 」 「 何 って 、 この 手 オノ で 、 こぶ を 切り落とす んだ ！ なん|||て|おの||||きりおとす| 」 「 め 、 め っ そうな ！ |||そう な そんな 事 を したら 、 命 が なくなって しまう 」 「 かも しれ ねえ が 、 別に あんた の 命 が どう なろう と 関係 ない 。 |こと|||いのち||||||||べつに|||いのち|||||かんけい| ただ わし は 、 こぶ だけ を 買った のだ から 」 「 吉 四六 さん 、 許して くれ ！ ||||||かった|||きち|しろく||ゆるして| もう こぶ は 売ら ない 」 「 では 、 こぶ が おしく なった の か ？ |||うら|||||||| 」 「 うん 、 おしく なった ！ 」 　 すると 吉 四六 さん は 、 やっと 手 オノ を 下 に 置いて 、 「 じゃ 、 今日 は 止めて おこう 。 |きち|しろく||||て|おの||した||おいて||きょう||とどめて| だが 、 こぶ の 代金 は 払って ある のだ から 、 大事に しまって おいて 下さい よ 」 　 そして 吉 四六 さん は 、 隣 に いた 息子 の 太郎 兵 衛 に 言い ました 。 |||だいきん||はらって||||だいじに|||ください|||きち|しろく|||となり|||むすこ||たろう|つわもの|まもる||いい| 「 太郎 兵 衛 、 お前 が 証人 だ 。 たろう|つわもの|まもる|おまえ||しょうにん| お じいさん が こぶ を 邪魔だ と 言ったら 知らせて くれ 。 |||||じゃまだ||いったら|しらせて| すぐ に 取り に 来る から 」 「 うん 、 わかった 。 ||とり||くる||| じいさま が ちょっと でも こぶ を 邪魔だ と 言ったら 、 すぐ に 知らせる よ 」 　 それ から お じいさん は 、 こぶ を 取る 事 を あきらめた と いう 事 です 。 じい さま||||||じゃまだ||いったら|||しらせる|||||||||とる|こと|||||こと|

おしまい