岩 に なった 鬼 いわ|||おに Ogre turned to rock

岩 に なった 鬼 いわ|||おに

むかし むかし 、 鬼 の 親子 が 深い 山奥 に 住んで い ました 。 ||おに||おやこ||ふかい|やまおく||すんで|| ある 日 の 事 、 鬼 は 子ども の 鬼 を 肩 に 乗せて 、 山 の ふもと 近く まで 散歩 して い ました 。 |ひ||こと|おに||こども||おに||かた||のせて|やま|||ちかく||さんぽ||| すると 一 人 の お じいさん が 小さな 女の子 の 手 を 引いて 、 トボトボ と やって 来 ます 。 |ひと|じん|||||ちいさな|おんなのこ||て||ひいて|とぼとぼ|||らい| お じいさん は 悲し そうに ため 息 を つく と 、 空 に 手 を 合わせて おがみ だし ました 。 |||かなし|そう に||いき||||から||て||あわせて||| 気 に なった 鬼 は 、 思わず 声 を かけ ました 。 き|||おに||おもわず|こえ||| 「 じいさん 、 何 を し とる ？ |なん||| 」 　 いきなり 雷 の 様 な 声 で 尋ね られた お じいさん が びっくり して 顔 を 上げる と 、 頭上 から 恐ろしい 顔 の 鬼 が 見下ろして い ます 。 |かみなり||さま||こえ||たずね|||||||かお||あげる||ずじょう||おそろしい|かお||おに||みおろして|| 「 ヒェーーッ ！ ヒェー-ッ 」 　 思わず 腰 を 抜かした お じいさん に 、 鬼 は 少し 声 を 小さく して 優しく 言い ました 。 おもわず|こし||ぬかした||||おに||すこし|こえ||ちいさく||やさしく|いい| 「 怖 がる 事 は ない 。 こわ||こと|| 何 を し とる か 、 言って みな 」 「 はい 。 なん|||||いって|| わし ら は この 下 の 浜辺 の 者 で 、 みんな 海 で 働いて おり ます 。 ||||した||はまべ||もの|||うみ||はたらいて|| だが 、 毎年 夏 に なる と 海 が 荒れて 、 浜 の みんな が 犠牲 に なり ます 。 |まいとし|なつ||||うみ||あれて|はま||||ぎせい||| この 孫 の 両親 も 夏 の 大波 に さらわ れ 、 わし と 孫 は 二 人 ぼっち に なって しまい ました 。 |まご||りょうしん||なつ||おおなみ||||||まご||ふた|じん|ぼ っち|||| そこ で 神さま に 、 もう 海 が 荒れ ん 様 に と 、 お 祈り して いた ところ です 」 「 そう か 、 それ は 気の毒に のう 」 ||かみさま|||うみ||あれ||さま||||いのり|||||||||きのどくに|

それ から しばらく たった 、 ある 日 の 朝 。 |||||ひ||あさ 鬼 が 目 を 覚ます と 、 外 は 大変な 嵐 でした 。 おに||め||さます||がい||たいへんな|あらし| 鬼 は 、 あの お じいさん の 事 を 思い出す と 、 うなり 声 を あげて 立ちあ がり ました 。 おに||||||こと||おもいだす|||こえ|||たちあ|| そして 鬼 は 、 小山 ほど も ある 岩 に 抱きつく と 、 「 うりゃ あっ ！ |おに||こやま||||いわ||だきつく||| 」 と 、 岩 を 持ち あげて 、 ズデーン と 放り 出し ました 。 |いわ||もち||||はな り|だし| 続けて もう 一 つ の 大岩 も 持ち あげ 、 ズデーン と 放り 出し ました 。 つづけて||ひと|||おおいわ||もち||||はな り|だし| そして 鬼 は 長い 鉄棒 で 二 つ の 岩 に 穴 を 開ける と 団子 の 様 に 突き刺し 、 岩 を 通した 鉄棒 を かつぎ あげて 子 鬼 に やさしく 言い ました 。 |おに||ながい|てつぼう||ふた|||いわ||あな||あける||だんご||さま||つきさし|いわ||とおした|てつぼう||||こ|おに|||いい| 「 お とうは 浜 へ 行く 。 |とう は|はま||いく お前 は ここ で 待っ とれ 」 「 いやだ 、 いやだ 、 おれ も 行く 」 「・・・ そん なら 、 この 岩 の 上 に 乗れ 」 　 鬼 は 腰 が 砕け そうに なる の を こらえて 、 一歩一歩 と 山 を 下って 行き ました 。 おまえ||||ま っ||||||いく||||いわ||うえ||のれ|おに||こし||くだけ|そう に|||||いっぽいっぽ||やま||くだって|いき| 浜 で は 大波 が 白い キバ の 様 に 、 ドドーッ と 押し寄せて 来 ます 。 はま|||おおなみ||しろい|||さま||||おしよせて|らい| 村人 が 波 に 流さ れ まい と 、 家 や 岩 に 必死で しがみついて い ます 。 むらびと||なみ||ながさ||||いえ||いわ||ひっしで||| 鬼 は 子 鬼 に 言い ました 。 おに||こ|おに||いい| 「 さあ 降りろ 、 お前 は ここ で 待っ とれ 」 「 いやだ 。 |おりろ|おまえ||||ま っ|| おとうと 離れ ん 」 　 子 鬼 は 首 を 振って 、 降りよう と は し ませ ん 。 |はなれ||こ|おに||くび||ふって|おりよう||||| 「・・・ ようし 、 そんな ら 泣く な よ ！ |||なく|| 」 　 鬼 は そう 言う と 、 海 へ 足 を 進め ました 。 おに|||いう||うみ||あし||すすめ| 大波 が 狂った 様 に 押し寄せ 、 鬼 に ぶつかって き ます 。 おおなみ||くるった|さま||おしよせ|おに|||| すさまじい 波 に 足 を 取ら れ ながら も 、 鬼 は 必死で 前 に 進み ました 。 |なみ||あし||とら||||おに||ひっしで|ぜん||すすみ| そして 頭 まで 波 に つかった 鬼 は 、 岩 の 上 の 子 鬼 を おぼれ さ せまい と 岩 を 高く さし上げ 、 そのまま 海 に 入り ついに 姿 が 見え なく なって しまい ました 。 |あたま||なみ|||おに||いわ||うえ||こ|おに||||||いわ||たかく|さしあげ||うみ||はいり||すがた||みえ|||| 波 は 鬼 の 体 と さし上げた 岩 に さえぎら れて 、 やがて 静かに なって いき ました 。 なみ||おに||からだ||さしあげた|いわ|||||しずかに||| そして いつの間にか 、 鬼 の 体 は 岩 に なり ました 。 |いつのまにか|おに||からだ||いわ||| 「 お とう ！ 」 　 岩 の 上 の 子 鬼 は 、 ワンワン と 泣き ました 。 いわ||うえ||こ|おに||わんわん||なき| 泣いて 泣いて 泣き 疲れて 、 その 子 鬼 も とうとう 小さな 岩 に なり ました 。 ないて|ないて|なき|つかれて||こ|おに|||ちいさな|いわ|||

今 でも この 浜 に は 二 つ の 大 岩 と 、 その 上 に ちょこんと 乗って いる 小岩 が ある そうです 。 いま|||はま|||ふた|||だい|いわ|||うえ|||のって||こいわ|||そう です

おしまい