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江戸小話, 低い

低い

暖かい 、 春 の 日 の 午後 です 。 お 寺 の 一 部屋 を 借りて 勉強 を して いる 書生 ( しょせい → 学問 を こころざして いる 人 ) が 、 お 寺 の 小 坊主 に 頼み ました 。 「 何でも いい から 、 本 を 一 冊 持って 来て くれ 」 そこ で 小 坊主 が 、 和尚 さん の 本だな の 中 から 『 書 経 ( しょ きょう )』 と いう 、 中国 の 政治 の 事 が 書か れた 本 を 持って行き ました 。 する と 書生 が 、 それ を 一目 見て 、 「 この 本 は 、 低い 」 と 、 言い ました 。 「 は あ 、 で は 別の 本 を 持ってき ます 」 小 坊主 は そう 言う と 、 今度 は 『 詩 経 ( しきょう )』 と いう 、 中国 最古 の 詩集 本 を 持って行き ました 。 ところが 、 書生 は また 一目 見て 、 「 何 だ 、 これ も 低い で は ない か ! 」 と 、 言い ました 。 困った 小 坊主 は 、 和尚 さん に 相談 に 行き ました 。 する と 和尚 さん は 感心 して 、 「 なるほど 。 『 書 経 』 と 『 詩 経 』 を 低い と 言った の か 。 あの 難しい 本 を 二 冊 と も 低い と は 、 あの 書生 ど の 、 よっぽど 学問 を 深めた 偉い 書生 どの に 違いない ぞ ! 」 と 、 言う と 、 何 冊 か お 経 の 本 を 持って 書生 の 様子 を 見 に 行き ました 。 「 書生 どの 。 入り ます ぞ 」 ところが 部屋 に 入る と 、 書生 は 、 ぶ厚い 本 を まくら に 、 グーグー と 、 いびき を かいて 寝て いた のです 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


低い

暖かい 、 春 の 日 の 午後 です 。 お 寺 の 一 部屋 を 借りて 勉強 を して いる 書生 ( しょせい → 学問 を こころざして いる 人 ) が 、 お 寺 の 小 坊主 に 頼み ました 。 「 何でも いい から 、 本 を 一 冊 持って 来て くれ 」   そこ で 小 坊主 が 、 和尚 さん の 本だな の 中 から 『 書 経 ( しょ きょう )』 と いう 、 中国 の 政治 の 事 が 書か れた 本 を 持って行き ました 。 する と 書生 が 、 それ を 一目 見て 、 「 この 本 は 、 低い 」 と 、 言い ました 。 「 は あ 、 で は 別の 本 を 持ってき ます 」   小 坊主 は そう 言う と 、 今度 は 『 詩 経 ( しきょう )』 と いう 、 中国 最古 の 詩集 本 を 持って行き ました 。 ところが 、 書生 は また 一目 見て 、 「 何 だ 、 これ も 低い で は ない か ! 」 と 、 言い ました 。 困った 小 坊主 は 、 和尚 さん に 相談 に 行き ました 。 する と 和尚 さん は 感心 して 、 「 なるほど 。 『 書 経 』 と 『 詩 経 』 を 低い と 言った の か 。 あの 難しい 本 を 二 冊 と も 低い と は 、 あの 書生 ど の 、 よっぽど 学問 を 深めた 偉い 書生 どの に 違いない ぞ ! 」 と 、 言う と 、 何 冊 か お 経 の 本 を 持って 書生 の 様子 を 見 に 行き ました 。 「 書生 どの 。 入り ます ぞ 」   ところが 部屋 に 入る と 、 書生 は 、 ぶ厚い 本 を まくら に 、 グーグー と 、 いびき を かいて 寝て いた のです 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )