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江戸小話, 三人かご

三 人 か ご

今 は タクシー と いう 便利な 物 が あり ます が 、 むかし に そんな 物 は あり ませ ん 。 でも まあ 、「 かご 」 と いう 物 が 、 いま の タクシー の 様 な 物 でしょう か 。 これ は 、 そんな むかし の 話 です 。

ある 男 が 急用 を 思い出して 、 かご に 乗り ました 。 「 これ 、 かご屋 。 急用 で 急いで いる んだ 。 金 は たくさん 出す から 、 急いで くれ 」 「 へい 。 では 、 しっかり つかまって いて ください よ 」 それ から かご屋 は 調子 よく 、 ♪ えい っほ う っ ♪ え いっ ほう っ と 、 かけ声 を かけ ながら 急いで 行き ます が 、 どういう わけ か 、 後ろ から 来た かご に 追い抜か れて しまい ました 。 それ を 見た 客 の 男 は 、 腹 を 立てて 言い ました 。 「 おい ! 急いで くれ と 言った のに 、 なぜ 急いで くれ ない ! 見て みろ ! たった今 、 後ろ から 来た かご が 先 に 行った ぞ 」 する と かご屋 が 、 客 に 言い ました 。 「 でも 旦那 、 そい つ は 無理です ぜ 。 なにしろ 向こう は 、 三 まい です から ね 」 「 うん ? 三 まい と は 、 何 だ ? 」 「 へい 、 三 まい と は 、 三 人 で かご を かつぐ 事 です 」 「 三 人 で かつげば 、 そんなに 早い の か 」 「 そりゃ あ 、 もう 。 まあ 、 お 代金 も それなり です が ね 」 する と 、 客 の 男 が 言い ました 。 「 よし ! それ ならば 、 かご を 止めろ ! 金 は 三 人 分 払って やる から 、 おれ も 出て 三 人 で かつごう 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


三 人 か ご

今 は タクシー と いう 便利な 物 が あり ます が 、 むかし に そんな 物 は あり ませ ん 。 でも まあ 、「 かご 」 と いう 物 が 、 いま の タクシー の 様 な 物 でしょう か 。 これ は 、 そんな むかし の 話 です 。

ある 男 が 急用 を 思い出して 、 かご に 乗り ました 。 「 これ 、 かご屋 。 急用 で 急いで いる んだ 。 金 は たくさん 出す から 、 急いで くれ 」 「 へい 。 では 、 しっかり つかまって いて ください よ 」   それ から かご屋 は 調子 よく 、 ♪ えい っほ う っ ♪ え いっ ほう っ と 、 かけ声 を かけ ながら 急いで 行き ます が 、 どういう わけ か 、 後ろ から 来た かご に 追い抜か れて しまい ました 。 それ を 見た 客 の 男 は 、 腹 を 立てて 言い ました 。 「 おい ! 急いで くれ と 言った のに 、 なぜ 急いで くれ ない ! 見て みろ ! たった今 、 後ろ から 来た かご が 先 に 行った ぞ 」   する と かご屋 が 、 客 に 言い ました 。 「 でも 旦那 、 そい つ は 無理です ぜ 。 なにしろ 向こう は 、 三 まい です から ね 」 「 うん ? 三 まい と は 、 何 だ ? 」 「 へい 、 三 まい と は 、 三 人 で かご を かつぐ 事 です 」 「 三 人 で かつげば 、 そんなに 早い の か 」 「 そりゃ あ 、 もう 。 まあ 、 お 代金 も それなり です が ね 」   する と 、 客 の 男 が 言い ました 。 「 よし ! それ ならば 、 かご を 止めろ ! 金 は 三 人 分 払って やる から 、 おれ も 出て 三 人 で かつごう 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )