episode 01「憧れ の 一 人 暮らし 、はじめます!?」
( 菜緒 ( なお )) よし !
( まり な ) う ー ドン !
( 菜緒 ) おお !
( 菜緒 ) お はよ ー ( 光 石 ) お は よ
( 菜緒 ) あっ ねえ 明日 な んだ けど さ
( 光 石 ) 明日 ?
あっ 来た 来た 来た ! ちょっと … すいません …
早く 早く 早く ! ちょ っ ちょ っ …
( 女子 生徒 たち ) キャー !
( まり な )2 年 A 組 上原 ( うえ はら ) 久志 ( ひさし ) 君 かっこいい
( 菜緒 ) ふ ー ん
まり な は イケメン なら 誰 で も いい んだ な
( まり な ) だって さ イケメン って すばらしい よ ね
見て る だけ で 力 を 与えて くれる もん ね
( 亜美 ) 上原 先輩 !
( 上原 ) 何 ?
あの … 1 年生 の クリスマス パーティー に
スペシャルゲスト と して 先輩 に 参加 して もらい たくて
これ 招待 状 です
いら ない
( 詩 織 ) 御 三 家 の 掟 を 破る と は 命知らずな 子 ね
( エリカ ) 御 三 家 の 男子 は みんな の もの な の
ぬけがけ や 告白 は 許さ れ ない から まして や 1 年 の 分 際 で
( 美 南 ) ゆっくり 話し ま しょ
掟 は ちゃんと 教え ない と ね
( スマホ の バイブ 音 )
( 菜緒 ) ちょ っ … えー あっ 待って
もしもし ちょっと 待って
ちょっと 待って
( 菜緒 ) なあ に お 母さん ?
引っ越し 屋 に 電話 ? した よ 大丈夫
( 美紀子 ) とにかく ちゃん と する の よ
何 か あったら すぐに 迎え に 行き ます から ね
( 菜緒 ) 分かった じゃあ 切る よ じゃ あね
( 上原 ) あの さ
わ っ ! びっくり した
何 ? 話 って
え ?
( 上原 ) 俺 誰 と も 付き合う 気 ない から
あと 誰 から 俺 の アドレス 聞いた か 知ら ない けど
こういう 脅し みたいな の 卑怯 でしょ
“ 上原 久志 君 ”
“ 昼 休み に 屋上 で 待って い ます ”
“ 来て くれ なければ …”
うわ … 怖 っ !
自分 で 書いて 何 言って んだ よ
は ? 人違い だ よ
私 その メール 書いて ないし
あっ そ
ちょっと ! 間違 っと いて その 態度 は ない んじゃ ない の
あと …
もう ちょっと 女子 に は 優しく 言って あげた ほう が いい と 思う よ
断る に して も さ
ショック で 本当に 飛び降りたり したら どう す ん の ?
おせっかい
おせっかい って 私 は 親切で …
あの さ
( 菜緒 の 鼓動 )
ファスナー 開いて る
親切で 言った だけ だ から
最低 !
( 光 石 ) そういう の は 友達 に 渡す の が 一 番 だ と 思う
( まり な ) 分かった
菜緒
( 菜緒 ) ん ? ( まり な ) はい これ
え ? 何 ?
一 足先 に 俺 とまり なから の 引っ越し 祝い
( 菜緒 ) えっ いい の ?
ありがとう 開けて も いい ?
もちろん
( 菜緒 ) 何 だろう
ん ?
ん ?
女子 の 一 人 暮らし 必須 アイテム と 言えば これ でしょ
( 光 石 ) 防犯 用 に ベランダ に つるす も よし
パジャマ 代わり も よし
ジャーン !
あれ ? ウケ なかった ?
アハハハハ !
何 これ ー わざわざ ラッピング して もらった の ?
( まり な ) みっ ちゃん の お 古 だ よ ( 菜緒 ) え …
( 光 石 ) え … 何 … 冗談 だ よ
( 菜緒 ) 何 だ ( 光 石 ) 失礼だ な
( 大地 ) 菜緒
あっ 大 ちゃん
あっ ちょっと 待って
( 菜緒 ) ヘヘッ ( まり な ) こんにちは 大地 先輩
( 大地 ) お は よ ( 光 石 ) ども ー
何 だ よ それ
防犯 用 に って 2 人 から
ああ そ っか 引っ越し 明日 か
忘れて た ?
明日 大地 先輩 も 一緒に 引っ越し の 手伝い 行き ませ ん ?
ごめん 部 の 試合 に 顔 出す って 言っちゃ った
引退 した の に 大変だ ね
悪い な 手伝え なくて
う うん いい よい いよ いつでも 遊び に 来て ね
不 用心 に 男 誘う な よ 一 人 暮らし だ ろ
( 菜緒 ) うん … ( 大地 ) 返事 は ?
は ー い
じゃあ な ( 菜緒 ) うん
( 菜緒 ) バイバーイ ( まり な ) お 疲れ さ まで ー す
( まり な ) かっこいい ( 菜緒 ) え ?
菜緒 は ずっと 一緒に いる から 分か ん ない の よ
大地 先輩 は 我が 目黒 ヶ 丘 高校 御 三 家 の 長男 な んだ から
御 三 家 ?
( 光 石 ) 菜緒 は 疎い よ な そういう の
( まり な ) 秋 の 学 祭 で 選ば れた
各 学年 一 番 人気 の 男子 の こと
3 年 は 大地 先輩 2 年 は 上原 久志
うわ あ
上原 …
( 光 石 ) 俺 は 選ば れた こと ない けど
しょうがない
( 光 石 ) しょうがない って 何 だ
しょうがない
( 菜緒 ) どこ でしょう ? ( 光 石 ) 全然 分か ん ない
( 菜緒 ) ここ !
( まり な ) え ! マジ !
( 菜緒 ) うん ( 光 石 ) すげ え
ここ ? ヤバ くない ? ちょっと 待って
( 菜緒 ) 行こう 行こう 行こう ( まり な ) お邪魔 し ます
( 菜緒 ) ジャーン !
( まり な ) お ー !
( 菜緒 ) どう ? ( まり な ) 超 ヤバ い !
しかも 家具 つき じゃ ん
え … ちょっと
何 この キッチン ヤバ いん です けど
ちょっと ちょっと …!
何 この ソファ !
( 菜緒 ) 興奮 し すぎ ( まり な ) う ー !
( まり な ・ 菜緒 ) う ー !
( 光 石 ) おい こっち こっち こっち
( まり な ) 何 みっ ちゃん ? ( 菜緒 ) よい しょ
( 光 石 ) あー あっ つい ( 菜緒 ) え ?
あっ つ
( まり な ) ハァー なかなか 片付か ない ね
( 菜緒 ) うん あと は ゆっくり やる よ
とりあえず ベッド さえ あれば 何とか なる し
あり が と ね 2 人 と も
( 光 石 ) 大変だ な 一 人 暮らし も ( 菜緒 ) うん
でも 菜緒 が こっち に 残って くれて うれしい
まり な ! ( まり な ) 菜緒 !
に して も 広い よ な これ で 家賃 8万 って 安 すぎる だ ろ
( 菜緒 ) うん 不動産 屋 さん に も すごい ツイ てる って 言わ れた
ワケ あり 物件 だったり して
( 菜緒 ) へ ?
え ?
ちょっと やめ な よ みっ ちゃん
( 光 石 ) だって さ こんな 都 内 で
新しくて 広い 部屋 が さ 8万 なんて 変 だって
( まり な ) 前 に 住んで た 人 何で 出て った んだ ろ
それ は いろいろ 事情 が ある から じゃ ない ?
転勤 と か 結婚 と か
死んじゃ ったり と か
( 光 石 ) この 部屋 …
出たり して
本当に 帰っちゃ う の ?
みっ ちゃん の 言った こと 気 に しちゃ ダメだ よ
大丈夫だ よ ちゃん と おはらい し といた から
うん …
味 ついた やつで 効果 あん の かな
寒 …
や っぱ 先 こたつ 出 そ
( 物音 )
大丈夫 大丈夫
( メール の 着信 音 )
( 菜緒 ) うわ …
もう 何 だ
迷惑 メール だ し
びっくり さ せ ないで よね
( 鍵 を 差し込む ような 音 )
あっ !
( 足音 )
( ドア が 開く 音 )
( 菜緒 ) ドロボー !
イッテー な … おい !
え ?
え ?
( 菜緒 ) え ?
お前 …
何で ?
( 上原 ) そっち こそ 何で ここ に いる んだ よ
( 菜緒 ) 何で って … 私 今日 から ここ に 住む し
( 上原 ) は ? 何 言って んだ よ ここ は 今日 から 俺 が 住む んだ よ
( 菜緒 ) え ? ( 上原 ) お前
部屋 間違えて んじゃ ね ー の ?
( 菜緒 ) え … ( 上原 ) ほら さっさと 出て った
( 菜緒 ) ちょ っ … ちょっと ! 痛い よ ちょ っ …
そっち が 間違って んじゃ ない の
間違って ねえ よ 確かに 305 号 室
私 も 305 号 室 !
( 上原 ・ 菜緒 ) えっ !?
あっ あ … 分かった マンション 間違えた んだ
ここ の マンション だ よ
( 菜緒 ) じゃあ きっと 階 間違えた んだ ね
間違い なく 3 階
( 業者 ) あの … お 取り込み 中 すみません
荷物 入れちゃ い ます ね
え ?
( 菜緒 ) これ って …
( 上原 ) 全く 同じ 内容 だ な
( アナウンス ) お かけ に なった 電話 番号 は
現在 使わ れて …
( 菜緒 ) え ?
( 上原 ) 行く ぞ ( 菜緒 ) え ? え ?
ちょ っ … ちょっと 待って よ 行く って どこ に ?
次 行く ぞ
え ? え …
( ルミ子 ) ふう ~
これ は 二 重 契約 の 賃借 詐欺 だ ね
( 上原 ・ 菜緒 ) 詐欺 !?
本来 なら 大家 である うち に
振り込ま れる はずの 礼金 敷金 も ない し
それ に 加えて
あなた たち から 二 重 に 仲介 手数 料 を 取って 逃げた んだ ね
そんな …
俺 たち の お 金 は 返って こ ない って こと です か ?
( ルミ子 ) うーん 難しい だろう ね
じゃあ どっち が あそこ に 住めば いい んです か ?
上原 さん の ほう が 先 に 契約 して 頂いた ようだ けど
15万 の 家賃 さえ 払って もらえれば
どちら でも
( 上原 ・ 菜緒 )15万!?
契約 に は 8万 って
今どき あれ だけ の 物件 が
8万 円 な わけ ない じゃ ないで す か
アハハハ …
ハハハ …!
( 上原 ) ん っ
( 菜緒 ) ん ?
あっ 大 ちゃん 来て くれた んだ
( 上原 ) 他 に 移る に して も ここ に 15万 で 住む に して も
かなり の 金 が 必要だ けど
引っ越し で 貯金 は 使い果たした し
両親 に 頼んで 何とか して もらえ ない の ?
でき ない
どうして 一 人 暮らし な の ?
( 上原 ) 関係 ないだ ろ ( 菜緒 ) ある よ !
そっち は ?
私 は 両親 が 田舎 の 農家 継ぐ こと に なって
私 だけ 卒業 まで こっち に 残る って ことに
でも こんな 時期 じゃ 寮 の 空き も ない し
仕方なく 一 人 暮らし …
( 上原 ) ふ ー ん 大した 事情 じゃ ない な
ちょっと 聞い と いて その 言い 方 は ない でしょ
要は 田舎 が イヤで 親 の すね かじって 一 人 暮らし だ ろ
そっち だって 親 の すねかじり は 一緒でしょ
ど っか 行く あて ない の かよ 親戚 と か
ああ ー !
( 美紀子 ) 何 か あったら すぐに 迎え に 行き ます から ね
無理
親 に バレ たら 田舎 連れて かれる
あっ そ っか 一緒に 住めば いい んだ
は ?
だって 幸い 部屋 は 2 つ ある し 家賃 の 15万 も
半分 に すれば 予定 の 8万 より 安く 上がる わけだ し
冗談 じゃ ね ー よ
自分 が 何 言って る か 分かって ん の か ?
( 菜緒 ) うん ずっと って わけじゃ ない よ
他 に 住む 所 が 見つかる まで とりあえず って こと で
無理
あり 得 ない
上原 君 は 払える の ? 月 15万
私 は 無理
だから 出て く しか ない よ ね
でも … 前 の 家 もう 売っちゃ って
私 もう 行く と こ ない んだ
( 泣き声 )
( 菜緒 ) どうしても ダメ ?
分かった よ
本当に ?
( 上原 ) けど とりあえず だ から な
( 菜緒 ) うん とりあえず
あて が できたら すぐ 引っ越す って こと で
お互い ( 上原 ) ああ あて が できたら
金 が できる か いい 物件 が 見つかったら すぐに
女子 寮 が 空いたら すぐに
まあ 安心 しろ よ な
( 菜緒 ) ん ?
俺 あんた に 興味 ない から
( ドア の 開閉 音 )
私 だって あんた に なんか 全然
これ っぽ っち も 興味 あり ませ ん !
上原 君 も 女 の 涙 に は 弱い んだ
( お腹 が 鳴る 音 )
足りない
そして 片付か ない !
( チャイム )
あ …
( 匂い を 嗅ぐ 音 )
あっ
あっ
おお ー !
ピザ だ ー
私 ピザ 大好き
は ? あんた の 分 ない よ
へ ?
だって こんな いっぱい
俺 が 全部 食う んだ よ
あっ これ やる よ
何 が お 子 様 セット よ !
あんな 細い 体 の どこ に そんな 入る の
ケチ !
( 目覚まし時計 の 音 )
キャー !
( カラス の 鳴き声 )
何 怒って んだ よ 見 られた の は こっち だ し
( 菜緒 ) 何 これ ? ( 上原 ) ルール 決めた から
( 菜緒 )1 冷蔵 庫 の もの は 勝手に 食べ ない こと
2 お 風呂 の 時間 は 9 時 まで 私 で 9 時 以降 が 上原 君
朝 風呂 は 断って から 入る
3 トイレ 掃除 は 毎日 交代 で する こと
4 お互い の 部屋 に は 入ら ない こと
( 上原 ) 他 は おいおい 決める って こと で
あと 共有 スペース は 散らかす な
( 菜緒 ) 結構 細かい んだ ( 上原 ) それ と
男 連れ込む の は 禁止 な
( 菜緒 ) そ … そんな 人
いる わけな いか 友達 も 禁止 だ から
え えっ ! 女の子 も ?
( 上原 ) お前 の 家 だけ じゃ ないし
同居 して る こと も 絶対 バラ すな よ
あと 学校 で は 絶対 俺 に 話しかける な
お互い 名前 も 知ら ない 赤 の 他人 って こと で
は ー い
あ …
まだ 道 覚えて なくて
離れて 最低 3 メートル
( ため息 )
何 ? 引っ越し 疲れ ?
え ? いや … そんな こと ない よ
だ よ ね
あ ~ んな 広い 家 に 1 人 で 住める なんて
楽しく って しょうがない って 感じ だ よ ね
ハハハ …
( 敦子 ) できたら さ ( 桜 ) 上原 君 でしょ ?
( 敦子 ) うん 持って っちゃ う ?
( 桜 ) でも 上原 君 小 食そう 体 細い し
( 敦子 ) 確かに
いやいや 大 食い 選手 権 で 優勝 狙え ます よ
上原 君 モテモテ …
私 好きな んだ よ ね ああいう 体温 低い 系 男子
どこ が ?
( まり な ) え ? ( 菜緒 ) え ? あ …
まり な
昨日 は 大 ちゃん みたいな 優しい 人 が いい って 言って たから
結婚 する なら 大地 先輩
付き合う なら 上原 君 って 感じ かな
は いはい
( 桜 ) 上原 君
( 敦子 ) ロール キャベツ 嫌いです か ?
私 たち 上原 君 に 食べて ほしくて 一生懸命 作った の
( 上原 ) そういう の 受け取れ ない
( 敦子 ) 迷惑 … です か ?
( 上原 ) まあ 正直
( 桜 の 泣き声 )
( 上原 ) 俺 急ぐ から
でも かっこいい
え ?
( 敦子 ) かっこいい ね ( 桜 ) 冷たい 上原 君 も いい よ ね
( 明 ) 本当に 引っ越す と は ねえ
( 上原 ) 店長 それ で お 願い な んです けど
( 明 ) お ー 何 ?
シフト もう 少し 増やして もらえ ませ ん か ?
引っ越し で 使っちゃ って
( 明 ) そりゃ まあ うち と して は ありがたい けど
そこ まで 無理 して 一 人 暮らし する 必要 ある か ?
お 願い し ます
( なな こ ) お 父さん
( 明 ) お ー なな こ お かえり
意地悪 言わ ないで
シフト 増やして あげれば いい じゃ ない
( 明 ) え ?
( なな こ ) だって お 父さん だって 言って た でしょ
久志 君 が 出る 日 は 女性 の お 客 さん が 増える って
( 明 ) そりゃ まあ な ( なな こ ) うん
( 上原 ) あ … 無理 なら いい んです
どちら に して も もう 1 つ バイト 増やそう と 思って た んで
( なな こ ) それ は ダメ !
( 上原 ) え ? ( なな こ ) だって 久志 君
朝 の ガソリン スタンド の アルバイト も して る んでしょ ?
それ 以上 増やしたら 体 壊しちゃ うよ
お前 が 口出し する こと じゃ ないだ ろ
受験 生 は ほら さっさと 戻って
勉強 すれ 勉強 行け
まったく …
まあ シフト の ほう は 調整 する よ
ただ 家 の ほう に は ちゃんと 伝えた の か ?
引っ越し 先 と かさ
毎晩 夜 遊び が 盛んです こと
( ドア が 開く 音 )
何 だ よ それ
入れて あげて も いい けど
お前 共有 スペース に 勝手 …
や っぱ 冬 は こたつ でしょ
本物 初めて 見た 想像 以上 に 地味だ な
分かった よ 片付ければ いい んでしょ
( 上原 ) え ? ( 菜緒 ) え ?
いや
こんな 時間 に ドタバタ したら 下 に 迷惑だ
ふ ー ん
冷た っ
しょうが ねえ だ ろ
バイト で 芯 から 冷え切って んだ から
ほら 冷えた 体 を あっ ためる に は いい でしょう こたつ
別に
電気 代 折半 だ し 使わ ない と 損する って だけ
バイト して る んだ
俺 は すねかじり じゃ ない から な
あー 腹 減った ー
もら っと け ば よかった のに ー
え ?
女子 が 作った ロール キャベツ
お前 … 俺 の ストーカー ?
違う ! たまたま 聞こえた だけ だし
ど ~ だ か
嫌いな の ? ロールキャベツ
いや 大 好物 だ けど
素直じゃ ない んだ
いちいち 受け取って たら キリ が ない んだ よ
は いはい モテ る 男 は つらい の ね
( スマホ の バイブ 音 )
( 上原 ) 鳴って る ぞ ( 菜緒 ) いい の いい の
親 うるさくて 1 日 に 3 回 は かけて くんだ もん
出れば ?
うん
もしもし お 母さん 何 ? うん 分かって る
( 目覚まし時計 の 音 )
( 菜緒 ) うーん
もう ! う っ さ い なあ
上原 君 目覚まし 鳴って る よ
ねえ ちょっと 起きて よ うるさい んだ けど
開ける よ
( 目覚まし時計 の 音 )
( 菜緒 ) 何 これ
多 すぎ
もう !
う っさ いな
もう !
もう バイト 行く なら 止めて から 行って よ ね
意外 と かわいい とこ ある んだ
“ H ” だって
( 割れる 音 )
( 菜緒 ) うえ は …
あ … あの さ
( ドア が 開く 音 )
お かえり 上原 君
( 上原 ) あー 疲れた 風呂 明日 の 朝 入る から
( 菜緒 ) うん あの さ 上原 君 …
( 上原 ) じゃ
( 菜緒 ) どうし よ
あんた
俺 の 部屋 入ったり して ない よ な ?
( 菜緒 ) ごめんなさい !
目覚まし時計 が 鳴って て それ で 止めよう と したら
写真 立て 落として 割っちゃ った の
本当に ごめんなさい
お互い の 部屋 に は 入ら ない って 決めた よ な
ルール 守ら ない うえ に 人 の もの 壊す って
無神経 すぎ だ ろ
わざと じゃ ないし それ に 目覚まし時計 が …
写真 立て は 買って 返し ます 中 の 写真 は 無事な わけだ し
そういう 問題 じゃ ない
え ?
もう いい あんた に 何 言って も 無駄
そこ まで 言わ なく たって いい じゃ ん !
( 上原 ) ああ !
( まり な ) お 待た せ ( 菜緒 ) おう
( 菜緒 ) あれ まり な お 弁当 は ?
( まり な ) うん たまに は 購買 も いい かな ー と 思って さ
( 光 石 ) 下心 丸見え な んです けど
( まり な ) あっ バレ た ? ( 菜緒 ) ん ? どういう こと ?
( 光 石 ) 御 三 家 の 上原 が 購買 で パン 買って る んだ よ
( せき込み )
( まり な ) 菜緒 大丈夫 ?
( 菜緒 ) 大丈夫 ( 光 石 ) 購買 で
偶然 装って お 近づき に なろう って 魂胆 だ ろ
さすが みっ ちゃん 勘 が いい
上原 君 って ご 両親 を 幼い 時 に 交通 事故 で 亡くして る じゃ ん ?
だから お 昼 は お 弁当 じゃ なくて いつも 購買 な んだ よ ね
知ら なかった ? 結構 有名な 話 だ よ
( 菜緒 ) 両親 に 頼んで 何とか して もらえ ない の ?
でき ない
( まり な ) あー ますます かっこいい よ ね
天 涯孤 独 なんて さ
天 涯孤 独 …
菜緒 ?
ごめん 私 先 行く ね …
( まり な ) 上原 君 って
ご 両親 を 幼い 時 に 交通 事故 で 亡くして る じゃ ん ?
そっち だって 親 の すねかじり は 一緒でしょ
親 うるさくて 1 日 に 3 回 は かけて くんだ もん
出れば ?
( 上原 ) もう いい あんた に 何 言って も 無駄
違う
もう いい
よし
あの すいません 探し物 して る んです けど
写真 立て で ここ に “ H ” が 書いて て
( 大地 ) 菜緒 !
( 菜緒 ) あっ 大 ちゃん
( 大地 ) 帰り 遅い じゃ ん ( 菜緒 ) うん ちょっと 探し物
( 菜緒 ) 大 ちゃん は 部活 ? ( 大地 ) うん
俺 は 部活 の おかげ で 大学 決まった けど
周り は 受験 追い込み だ しな 俺 は 部活 で 暇潰し
大 ちゃん は 卒業 したら 一 人 暮らし とかし ない の ?
いや ちょっと 実家 から 距離 ある けど し ない か な
一 人 暮らし って 憧れる けど 大変だ ろ
うん 今 は まだ 楽しい けど
食事 と か 洗濯 自分 で やる って 結構 負担 大きい と 思う んだ よ な
いや 俺 面倒 だ から さ 自炊 と か
毎日 宅配 ピザ と か 食っちゃ い そう
え ! 体 に 悪 そう
だ ろ ?
あと 俺 部活 に 集中 し たい し
そ っ か そう だ よ ね 大変だ よね 一 人 暮らし って
何 だ よ もう イヤに なった の か ?
え ? う うん
なら いい けど
何 か あったら すぐ 連絡 して こ いよ
うち の おふくろ も 心配 して た
うん あり が と
うん よし
( テレビ ) 本日 最初 の ニュース です
昨夜 目黒 区 内 で 連続 通り 魔 事件 が 発生 し ました
襲わ れた の は 20 代 女性 現場 は 閑静な 住宅 街 で
同 時刻 に 目黒 区 内 で 同様の 事件 が 発生 して いる こと から
警察 で は 連続 通り 魔 事件 と みて 捜査 を 開始 して い ます
( 菜緒 ) まだ か なあ
( お腹 が 鳴る 音 )
お っ !
これ って 1 つ 私 の ?
( ドア が 開く 音 )
お かえり
あの さ 上原 君
( 上原 ) お前 俺 の 牛乳 プリン 食った ろ
え ?
ああ これ ?
2 つ あった から 1 つ 私 の かなって 思 っ …
ふざけ ん な よ !
え ?
人 の 部屋 勝手 に 入って も の 壊して
揚げ句 に 人 の もん 勝手に 食べて
だから … それ は 悪かった と 思って る
無神経に も ほど が ある だ ろ
どうして そこ まで 言わ れ なくちゃ いけない の !
( 上原 ) ああ ? ( 菜緒 ) 分かった
分かり ました よ 買って くる よ
買って 返せば いい んでしょ ?
当たり前だ ろ
こんな 夜 に 私 が 1 人 で 出かけて
誰 か に 襲わ れたり したら 一生 後悔 する から ね !
お前 みたいな ガサツ な 女 を 襲う 物好き が いたら
顔 を 見て み たい ね
何 よ バカ !
何 よ プリン ぐらい で あんな 食い意地 張って る 男
どこ が いい の 何 が 御 三 家 よ !
( 菜緒 ) あの すいません
牛乳 プリン って あり ます か ?
( 店員 ) あー ああ 今日 売り切れ っす ね
そう です か …
( 店員 ) 駅 の 反対 側 なら
( ゲーム の 音 )
( ゲーム 終了 の 音 )
( 物音 )
寒い …
( テレビ ) 昨夜 目黒 区 内 で 連続 通り 魔 事件 が 発生 し ました
あっ あ …
携帯 忘れた
ごめんなさい すいません
あ … キャー !
あの 牛乳 プリン 買って った 女 い なかった ?
ああ ー
ある か って 聞か れて 駅 の 反対 側 なら って 言った けど
人気 だ な 牛乳 プリン
( おびえる 声 )
上原 君 …
何 やって んだ よ
私 … 私 …
( 上原 ) 泣いて たら 分か ん ね ー よ
だって 誰 か に 追いかけ られて
怖くて 隠れて た
った く ハァ …
上原 君 は ?
どうして ここ に ?
え ?
ああ …
牛乳 買い に …
( 上原 ) ブッ … フフフ …
( 菜緒 ) え ?
ハハハ …!
ひ っで ー 顔
ほら 帰る ぞ
あの … 非常に 言いにくい んです けど
( 上原 ) お前 重 すぎ ( 菜緒 ) う …
( 上原 ) あと 腰 抜かす と か 迷惑 すぎ
( 菜緒 ) ごめん ね 写真 立て
上原 君 の 言う とおり 私 無神経だった
写真 ご 両親 でしょ ?
私 上原 君 が ご 両親 亡く して る の 知ら なくて
何も 知ら なくて
よく 見つけた な あんな 昔 の 写真 立て
でも 全く 同じ の は 見つか ん なかった
本当 ごめんなさい
ロールキャベツ
( 菜緒 ) え ?
あれ で チャラ に して やる
( 菜緒 ) うん
牛乳 ある じゃ ん
( 目覚まし時計 の 音 )
ん …
上原 君 目覚まし 鳴って る よ
上原 君
もう うるさい
近所 迷惑だ よ
上原 君 鳴って る
バイト 遅刻 しちゃ うんじゃ ない ?
( 上原 ) うーん …
( 菜緒 ) ほら 起きて よ
ちょっと
百合 ?
え ?
♪~