Suzumiya Haruhi no Yuuutsu - 02
( キョン ) 入学 して 1 か月 ちょい が 経過 し 俺 は まるで 山頂 へ 向けて
何度 も 岩 を 転がし 続ける シーシュポス の ように
この 強制 早朝 ハイキング コース を 心ゆくまで 満喫 して いた のだ が
そこ に 追い打ち を かける が ごとく
俺 の 平常 心 を マグニチュード 8,0 で 揺さぶる 事件 が 起こって しまった
イ … イヤ ~ ン
う う っ … 始まった と 言った ほう が いい な
( ハルヒ ) ない んだったら 自分 で 作れば いい の よ !
部活 よ ! 協力 し なさい !
名前 なら たった今 考えた から
SOS 団 !
( キョン ) 希 代 の 変人 涼 宮 ( すずみ や ) ハルヒ に よる
無 間 地獄 の 始まり だ
( 朝倉 ( あさく ら )) おはよう
( キョン ) ああ おはよう
今日 日直 な の 忘れて て さ
早く 職員 室 行って 日誌 もらって こ なきゃ
ごめん 先 行く ね !
( キョン ) あんな 女子 が 同じ クラス に いる って のに …
お っ
ねえ キョン あと 必要な の は なんだ と 思う ?
何 が ?
やっぱり 謎 の 転校 生 は 押さえて おき たい と 思う わ よ ね
頼む から 文脈 を ハッキリ さ せて 会話 を 開始 して くれ
SOS 団 に 必要な もの よ !
謎 の 転校 生 くらい は 欲しい じゃ ない
その 前 に 謎 の 定義 を 教えて ほしい もん だ
新 年度 が 始まって 2 か月 も たた ない のに
そんな 時期 に 転校 して くる ヤツ は
十分 謎 の 資格 が ある と 思う でしょ ?
あんた も
オヤジ の 急な 転勤 と か ある だ ろ
いいえ ! 不自然だ わ そんな の
お前 に とって 自然 と は な んな の か 俺 は 知り たい
う ~ ん 来 ない もん かしら ね 謎 の 転校 生
は あ ~ 要するに
俺 の 意見 なんか どう で も いい んだ な お前 は …
♪~
~♪
( キョン ) どうも ハルヒ と 俺 が
何 か を 企てて いる と いう ウワサ が 流れて いる らしい
( 谷口 ( たに ぐち )) お前 さ 涼 宮 と 何 やって ん の ?
まさか つきあい だした んじゃ ねえ よ な ?
断じて 違う !
俺 が 一体全体 何 を やって いる の か この 俺 自身 が 一 番 知り たい
ほどほどに し とけ 中学 じゃ ない んだ し
グラウンド を 使用 不能に したら 停学 ぐらい に は なる ぜ
( キョン ) せめて 長門 ( な が と ) 有希 ( ゆき ) や
朝比奈 ( あさひ な ) み くる さん に 害 が 及ば ない ように し ない と な
SOS 団 設立 以来
殺風景 だった ここ 文芸 室 に やたら と 物 が 増え 始めた
て いう か ここ で 暮らす つもりな のだろう か
コンピューター も 欲しい ところ ね !
この 情報 化 社会 に パソコン の 一 つ も ない なんて
許し がたい こと だ わ
( キョン ) 誰 を 許さ ない つもりな んだ
( キョン ) えっ ! ( ハルヒ ) じゃ 調達 に 行く わ よ
おいおい 当て が ある の か ? 電器 屋 でも 襲う つもり か ?
まさか もっと 手近な ところ よ
こんにちは ~!
パソコン 一式 頂き に 来 ました ~!
部長 は 誰 ?
( 部長 ) 何 か 用 ?
コンピューター 研究 会 に
わざわざ 出向く 用事 なんて 1 つ でしょ
1 台 で いい から パソコン ちょうだい
は あ ? いきなり な んだ よ !
いい じゃ ない 1 個 くらい こ ~ ん な に ある んだ し
あの ね … て か きみ たち 誰 ?
SOS 団 団長 涼 宮 ハルヒ
この 2 人 は あたし の 部下 その 1 と その 2 よ
う っ う ~ ん
と いう わけだ から 四 の 五 の 言わ ず に 1 台 よこせ
どう いう わけだ よ ダメに 決まって る じゃ ない か !
( ハルヒ ) ふ ~ ん ( 部長 ) うん ?
あっ そう じゃ こっち に も 考え が ある わ
えっ あっ …
フ ~ ン
( キョン ) なんと !
( み くる ) キャ ~!
( カメラ の シャッター 音 )
( 部長 ) な っ … なん の つもりだ よ !
( ハルヒ ) はい もう 一 枚 !
( み くる ) ひ ゃ ~!
( 部長 ) 何 を する んだ !
チッチッチッ
あんた の セクハラ 写真 は バッチリ 撮ら せて もらった わ
この 写真 を 校 内 に ばらまか れ たく なかったら
とっとと 耳 そろえて パソコン よこし なさい
んな バカな ! きみ が 無理やり やら せた んじゃ ない か
僕 は 無実 だ !
一体 何 人 が あんた の 言葉 に 耳 を 貸す かしら ね
ああ …
うわ っ ! ここ に いる 部員 たち が 証人 だ !
( 部員 A ) そうだ ( 部員 B ) 部長 は 悪く ない ぞ
部員 全員 が この 子 を 集団 で 〇〇〇 した って 言いふらして やる !
( どよめき )
いくら なんでも それ は …
どう な の ? よこす の ! よこさ ない の !
す … 涼 宮 さん
そ っ … う う …
いっ い いい …
う っ
くっ ! 好きな の を 持っていって くれ
( ハルヒ ) フンッ ( 部員 A ) 部長 !
( 部員 B ) しっかり して ください ( 部員 C ) お 気 を 確かに
なんの 喜劇 だ これ は
最新 機種 は どれ ?
なんで そんな こと 教え なくちゃ いけない んだ よ
いっ !
は あ ~ クソ ! それ だ よ
昨日 パソコン ショップ で
最近 出た 機種 を 一覧 に して もらった の よね ~
これ に は 載って ない みたいだ けど
あっ ! ( どよめき )
これ ちょうだい !
だ あ ~ ま … 待って くれ !
それ は 先月 購入 した ばっかりの やつで …
が あ …
くっ … 持って け 泥棒 !
( キョン ) おっしゃる とおり まさしく 泥棒 だ
( ハルヒ ) さっ キョン 運んで !
( キョン ) … と まあ こんな 感じ で
まんまと 最新 機種 の パソコン 一式 を せ しめた ハルヒ は
文芸 部室 が インターネット できる 環境 で ない と 分かる や
コンピ 研 部長 と その他 を 呼んで
LAN ケーブル を 2 つ の 部屋 の 間 に 引か せ
ついでに 学校 の ドメイン から ネット 接続 できる ように させた
盗人 ( ぬすっと ) たけだけしい と は この こと だ
とりあえず 帰り ましょう
( み くる ) ああ …
朝比奈 ( あさひ な ) さん こんな けったい な 団 に 関わら ない ほう が いい です よ
今後 も あいつ に 何 さ れる か 分から ない
いえ … いい んです
あなた も いる んでしょう ?
えっ ?
恐らく これ が この 時間 平面 上 の 必然 な のでしょう ね
は あ ?
それ に 長門 さん が いる の も 気 に なる し
( キョン ) 何 が ? ( み くる ) えっ ?
あっ いや … なんでもない です
ふつつか 者 です が これ から も よろしく お 願い し ます
それ から 私 の こと でしたら
どうぞ “ み くる ちゃん ” と お呼び ください
( キョン ) さて 次に 待って た の は …
で … 誰 が 作る んだ ? その サイト と やら を
あんた どうせ 暇でしょ やり なさい よ
あたし は 残り の 部員 を 探さ なきゃ いけない し
一両日 中 に よろしく ね
まず サイト が でき ない こと に は 活動 し よう が ない し
は あ ~
サイト 作り ね …
( キョン ) と か 言い ながら も 面白がって 作って しまった
あらかた の アプリケーション は ―
コンピ 研 が インストール して くれて たし
簡単だった から な
昼 休み の 暇つぶし に は 持ってこいだ
ところで どんな こと を 書けば いい んだ ?
何しろ 俺 は SOS 団 が 何 を する 団 な の か
まだ 知ら ない のだ
長門 何 か 書き たい こと は ある か ?
( 長門 ) 何も
( キョン ) どう で も いい が ―
こいつ は ちゃんと 授業 に 出て る んだろう な
( チャイム )
う っ ああ …
いけ ね 授業 だ !
あっ
これ 貸す から
あっ …
( ドア が 閉まる 音 )
ああ …
( キョン ) いろいろ 疑念 は 尽き ない のだ が
こうして 足しげく 部室 へ 通って しまう の は なぜ だろう
なぜ だろう
これ が 習性 と いう もの な の か はたまた …
( キョン ) ち わ !
( キョン ) つうか この 2 人 は よほど 暇な の か ?
俺 も 人 の こと は 言え ない が …
涼 宮 さん は ?
さあ ? 6 限 に は すでに いま せ ん でした けど ね
また どこ か で 機材 を 強奪 して る んじゃ ない です か
( み くる ) あっ 私 また 昨日 みたいな こと …
大丈夫です ! 今度 は 俺 が 全力 で 阻止 し ます よ
本当です か ? ありがとう ! それ じゃ お 願い し ます
お 願い さ れ ましょう
( ハルヒ ) ヤッホー !
( キョン ) ヤッホー って …
( キョン ) うわ っ ! ( ハルヒ ) フフッ
まずは これ
“ SOS 団 決断 に 伴う 所信 表明 ”
あ …
それ から これ ジャジャジャジャ ~ ン !
これ 着て ビラ 配り に 行く の よ
( キョン ) どこ へ だ よ ?
校門 今 なら 下校 中 の 生徒 いる し
( キョン ) で … 何 を 着る って ?
あんた じゃ ない わ よ 着る の は み くる ちゃん
バニーガール
あの あの それ を 一体 …
( ハルヒ ) さあ さあ 着替えて 着替えて !
( み くる ) イヤです ( ハルヒ ) うるさい 脱いだ 脱いだ
( み くる ) あっ イヤ ~!
おい 涼 宮 ! 何 す んだ !
ダメ ~! 見 ないで ~!
( キョン ) ああ … ( ハルヒ ) おとなしく し なさい !
ハッ
( ハルヒ ) ちゃっちゃと 全部 脱げ ~!
は あ ~
( み くる ) ダメ ~! せめて 自分 で 外す から
あっ あっ イヤ … イヤ ~!
( ドア が 開く 音 ) ( ハルヒ ) 入って いい わ よ
( キョン ) まるで 悪代官 だ
どう ? これ で 注目 度 バッチリ でしょ !
( キョン ) そりゃ イヤで も 目立つ だろう が 長門 は いい の か ?
( ハルヒ ) 2 着 しか 買え なかった の よ フル セット だ から 高かった んだ から
( キョン ) そんな もん どこ で 売って る んだ ?
( ハルヒ ) ネット 通販 ( キョン ) なるほど
( ハルヒ ) じゃ 行って くる 行 くわ よ み くるちゃ ん
イヤ … あっ イヤ ~!
( ハルヒ ) 行く ぞ ~! オ ~!
ああ っ …
( キョン ) ごめん 正直 たまり ませ ん それ
情熱 を もてあます
( キョン ) うん ?
な っ !
ああ …
は あ ~
( キョン ) やれやれ
まだ 体温 が 残って る 生々しい
ふう ~ ああ … お っ …
“ SOS 団結 団 に 伴う 所信 表明 ”
( ハルヒ ) 我が SOS 団 は この世 の 不思議 を 広く 募集 して い ます
過去 に 不思議な 体験 を した こと の ある 人
今 現在 とても 不思議な 現象 や 謎 に 直面 して いる 人
遠からず 不思議な 体験 を する 予定 の ある 人
そういう 人 が いたら 我々 に 相談 する と よい です
たちどころに 解決 に 導き ます
ただし 普通の 不思議 さ で は ダメです
我々 が 驚く まで に 不思議な こと じゃ ない と いけ ませ ん
注意 して ください
( キョン ) この 団 の 存在 意義 が だんだん 分かって きた 気 が する
腹立つ ! な んな の よ あの バカ 教師 ども !
邪魔な の よ 邪魔 !
何 か 問題 で も あった の か ?
問題 外 よ ! まだ 半分 しか ビラ まいて ない のに
教師 が “ やめろ ” と か 言う の よ 何 様 よ !
( キョン ) バニーガール が 2 人 して 学校 の 門 で チラシ 配って たら
教師 じゃ なくて も 飛んで くるって え の
( ハルヒ ) み くる ちゃん は わん わん 泣きだす し
あたし は 生徒 指導 室 に 連行 さ れる し
ハンドボールバカ の 岡部 ( お かべ ) も 来る し
( キョン ) みんな さぞかし 目 が 泳いで いた こと だろう
( ハルヒ ) も ~ う 今日 は これ で 終わり ! 解散 !
ゲッ !
( ハルヒ ) いつまで 泣いて ん の ほら ちゃっちゃと 着替える !
キョン 君 私 が お 嫁 に 行け なく なったら
もらって くれ ます か ?
( キョン ) なん と 言う べき か 朝比奈 さん
その 後ろ姿 は まるで 受験 に 失敗 した 浪人 生 か
はたまた 一戸建て を 無理 して 買った 直後 に
リストラ さ れた サラリーマン の ようです よ
あっ … てい うか あなた も 俺 を その 名 で 呼ぶ んです か
( キョン ) 次の 日 涼 宮 ハルヒ の 名 は 有名 を 超越 して
全校 生徒 の 常識 に まで なって いた
は あ ~ キョン よ お前 いよいよ もって
涼 宮 と 愉快な 仲間 たち の 一員 に なっち まったん だ な ~
うるさい
( キョン ) 更に 問題 な の は オプション と して
俺 と 朝比奈 さん の 名前 まで ささやか れ 始めた と いう こと だ
( 国 木田 ( くに き だ )) ホント 昨日 は ビックリ した よ
バニーガール が 校門 に 立って る んだ から
あれ もう 一 人 は 2 年 の 朝比奈 さん だ よ ね ?
今や 全校 生徒 の 注目 の 的だ ぜ お前 ら
( 朝倉 ) この SOS 団 って な んな の ?
涼 宮 に 聞いて くれ 俺 は 知ら ん 知り たく も ない
面白い ことし てる みたい ね あなた たち
でも あれ は ちょっと やり すぎ だ と 思う な
( キョン ) この 日 朝比奈 さん は 学校 を 休んだ
なんで 一 通 も メール 来 ない の よ あん だけ 宣伝 した のに
( キョン ) あんな 宣伝 で
この 団 に 関わろう と する 物好き は い ない だろう
注目 度 抜群 って ところ は 否定 し ない が な
あれ ? み くるちゃ ん 今日 は 休み ?
( キョン ) もう 二度と 来 ない かも な トラウマ に なら なきゃ いい のだ が
せっかく 新しい 衣装 を 用意 した のに
自分 で 着ろ
( ハルヒ ) もちろん あたし も 着る わ よ
でも み くる ちゃん が い ない と つまんない !
( キョン ) 長門 に 着せれば いい のに あいつ なら 淡々と 着る だろう し
ついでに それ は それ で 見て み たい 気 も する
ああ ~!
SOS 団 を 結成 して いきなり 座礁 じゃ ない
みんな 出し 惜しみ して る んじゃ ない かしら
独り占め する つもり ?
( キョン ) なあ ハルヒ “ あり ませ ん か ” と 聞いて
“ はい あり ます ” って 答え が 返って くる ほど
こんな 県立 高校 の 一角 に
不思議な 謎 が ごろごろ 転がって る なんて わけない だ ろ
分かる よ な ?
お前 も 本当 は 理解 して る んだ ろ
ただ モヤモヤ した やり場 の ない 若 さ 故 の いらだち が
お前 を 突き抜けた 行動 に 導いて る だけ だ よ な
いいかげんに 目 を 覚まして
誰 か 格好の いい 男 でも つかまえて 一緒に 下校 したり
日曜日 に 映画 行ったり して ろ よ
それ か 運動 部 に 入って 思いっ切り 暴れて ろ よ
お前 なら 即 レギュラー で 活躍 できる さ
( ハルヒ ) 帰る !
( ドア の 開閉 音 )
( キョン ) は あ ~ じゃ 俺 も 帰る わ
( 長門 ) 読んだ ? ( キョン ) 何 を ?
本 あっ いや まだ だ けど … 返した ほう が いい か ? 返さ なくて いい
( キョン ) しかし いつも セリフ が 原稿 用紙 1 行 分 を 越え ない ヤツ だ な
今日 読んで
帰ったら すぐ
ああ …
分かった よ
( キョン の 妹 ) あっ キョン 君 どこ 行く の ?
( キョン ) 駅前 物 を 食べ ながら しゃべる んじゃ あり ませ ん
( 近づく 自転車 の 走行 音 )
( キョン ) ハァ ハァ ハァ …
は あ ~
今日 で よかった の か ?
ひょっとして 昨日 も 待って いた と か ?
なぜ わざわざ ここ に ?
こっち
あっ …
ああ … 家 の 人 は ?
いない
あっ … い ない の は 見れば 分かる が
お出かけ 中 か ?
最初 から 私 しか い ない
1 人 暮らし か ?
そう
それ で なんの 用 ?
飲んで
おいしい ?
ああ
ん …
う ~ ん
( キョン ) う う っ ! 生まれる
あの …
そろそろ 俺 を ここ へ 連れて きた 理由 を
教えて くれ ない か ?
学校 で は でき ない ような 話 って なんだ ?
( 長門 ) 涼 宮 ハルヒ の こと
そして … 私 の こと
あなた に 教えて おく
涼 宮 と お前 が なん だって ?
( 長門 ) うまく 言語 化 でき ない
情報 の 伝達 に 齟齬 ( そご ) が 発生 する かも しれ ない
でも … 聞いて
涼 宮 ハルヒ と 私 は 普通の 人間 じゃ ない
なんとなく 普通 じゃない の は 分かる けど さ
そう じゃ ない
性格 に 普遍 的な 性質 を 持って い ない と いう 意味 で は なく
文字どおり の 意味 で 彼女 と 私 は
あなた の ような 大 多数 の 人間 と 同じ と は 言え ない
この 銀河 を 統括 する ―
情報 統合 思念 体 に よって 作ら れた ―
対 有機 生命 体 コンタクト 用 ヒューマノイド ・ インターフェース
それ が 私
はい ?
通俗 的な 用語 を 使用 する と 宇宙 人 に 該当 する 存在
ああ …
宇宙 人 ? う ~ ん ?
♪~
~♪