( 雨音 )
( ドア を ノック する 音 ) ( 五 河 士 道 ( いつか しどう ) ) お ー い 十 香 ( とうか )
頼む よ 話 を 聞い て くれ
( ドア を たたく 音 )
( 夜 刀 神 ( や と が み ) 十 香 ) ふん っ かまう な
とっとと あっ ち に 行って しまえ バーカ バーカッ
ハア …
( 雨音 )
♪ ~
( ナレーション ) 雨 は 少女 に 似 て いる
時 に 優しく 時 に はかなく 時 に 苛烈 に 降り注ぐ
たかが H 2 O されど H 2 O
今夜 の 雨 は 少し 冷たい
~ ♪
( 村雨 令 音 ( むらさめ れい ね ) ) 単 刀 直入 で 悪い が 十 香
君 が イラ だって る 理由 と ―
原因 を 教え て くれ ない か ?
やはり シン が 別 の 女の子 と 会って い た の が 許 せ ない の か な ?
な っ なぜ そこ で シドー が 出 て くる の だ
おや … 関係 が なかった かな ?
う っ あ … う う う っ
分から ない の だ
自分 でも なぜ こんな 気分 に なって いる の か
お っ
よ … よし の ん ?
( 四 糸 乃 ( よしの ) ) ハッ あっ …
お … 落ち着け 何 も し ない
あっ パペット は どう し た ? ( 四 糸 乃 ) ハッ
( 士 道 ) も しか して あれ を 捜し てる の か ?
( 十 香 ) 別 に シドー が 誰 と 会 お う が キス を しよ う が
私 に それ を 咎 ( と が ) め られる はず も ない
だが それ を 見 た 瞬間 …
何と いう か … とても イヤ な 感じ が し た の だ
それ から シドー は ―
私 より あの 娘 が 大事 な の だ と ウサギ が 言う の を 聞い て
もう どう しよう も ない くらい 悲しく て 怖く て …
私 は どこ か おかしい の だ ろ う か ?
( 士 道 ) なるほど
昨日 AST に 攻撃 さ れ た 時 なく し た の か
… だ そう だ 分かる か ?
( 五 河 琴 里 ( ことり ) ) 今 映像 を 解析 さ せ てる わ
彼女 の 関心 を 士 道 だけ に 集中 さ せ たい から
直接 応援 は 出 せ ない けど 捜索 の サポート は 最大 限 に する わ
( 士 道 ) よし 捜し に 行 こ う よし の ん
わ … 私 は “ よし の ん ” じゃ なく て ―
“ 四 糸 乃 ”
“ よし の ん ” は 私 の 友達
四 糸 乃 … そ っか
ああ ちょっと 待て
これ
もう ぬれ てっ かも しれ ない けど ない より マシ だ ろ ?
ああ 俺 は 大丈夫 だ いい から 使え って
あ … り が とう
おう
君 は おかしく など ない さ
ただ 誤解 は 解 い て おい た ほう が よ さ そう だ ね
( 十 香 ) 誤解 ?
ああ あの キス は 完全 に 事故 だ それ に …
シン が 君 より も あの 子 の こと を 大事 に 思って いる と いう 事実 も ない
だが シドー は …
君 の こと を 大切 に 思って い なけ れ ば ―
自ら の 命 を 危険 に さらし て まで 君 を 助け は し ない と 思う が ね
あっ
( 士 道 ) 十 香 !
ああ …
( 腹 の 鳴る 音 )
ん っ 四 糸 乃 腹 減った の か ?
う うん …
( 腹 の 鳴る 音 )
う う …
( 琴 里 ) 一 度 休憩 し て 食事 でも し たら ?
何 か 情報 を 聞き出す きっかけ に も なる わ
そう だ な けど この 辺 の 店 は どこ も 臨時 休業 だ ろ う し …
ウチ に 来る か 四 糸 乃 ?
うん ?
( 士 道 ) ずいぶん 大事 に し てる みたい だ けど
あの パペット “ よし の ん ” って ―
お前 に とって どう いう 存在 な ん だ ?
あっ よし の ん は 友達 です
そして …
ヒーロー です
ヒーロー ?
よし の ん は 私 の 理想 憧れ の 自分 で す
私 み たい に 弱く なく て 私 み たい に ウジ ウジ し ない
強く て かっこいい
理想 の 自分 ね …
俺 は 今 の 四 糸 乃 の ほう が 好き だ けど なあ
ワッ !
ん っ ど し た ?
( 四 糸 乃 ) そんな こと 言わ れ た 初め … だ から
今 の 計算 だったら すごい わ ね
( 椎崎 ( し いざ き ) ) 司令 パペット の 映像 解析 出 まし た
( 士 道 ) なあ 四 糸 乃 お前 どう し て ―
AST が 攻撃 し て き て も 反撃 し ない ん だ ?
何 か 理由 が ある の か ?
私 は …
痛い の が 嫌い です 怖い の も 嫌い です
きっと あの 人 たち も 痛い の や 怖い の は イヤ だ と 思い ます
だから …
四 糸 乃 お前 …
( 四 糸 乃 ) で も 私 は 弱く て …
怖がり だ から 1 人 だ と ダメ です
痛く て 怖く て どう しよう も なく なる と
頭 の 中 が グチャグチャ に なって …
きっと みんな に ひどい こと を し ちゃ い ます
だ から よし の ん は 私 の ヒーロー な ん です
よし の ん は 私 が 怖く なって も “ 大丈夫 ” って 言って くれ ます
そ したら 本当 に 大丈夫 に なる ん です だ から …
だ か ら …
ハッ あっ あの …
( 士 道 ) 俺 が お前 を 救って やる
えっ ?
絶対 に よし の ん は 見つけ出す
でも もう よし の ん に 守って もらわ なく て も いい
俺 が お前 の ヒーロー に なる
ああ …
( 士 道 ) そう だ 精霊 だ ろ う が 何 だ ろ う が 関係ない
こんな 優しい 子 に 救い が ない なんて 許さ れ ない
あ り が とう ござい ます
おう
あっ そ … それ と この 前 は 悪かった な
いきなり キス し ち まって
きす ?
あ … ああ こう やって ―
近づ い て 唇 を 触れ させる こと で
シドー すま なかった 私 …
あっ
あ あっ あ … う っ
あっ ああ …
( 琴 里 ) 士 道 お 取り込み の ところ 悪い けど ―
よし の ん の 在りか が 分かった わ よ
ほっ 本当 か どこ だ ?
( 琴 里 ) 何 と いう か やっかい な 所 よ
( 士 道 ) ぬ っ …
( 十 香 ) ぐ っ う っ ぐ っ ふん ぐ っ !
また あの 感じ だ イヤ な イヤ な あの 感じ だ
( すすり泣く 声 )
( インターフォン の 音 )
( 鳶 一 折紙 ( と び いち おりがみ ) ) 誰 ?
( 士 道 ) 俺 だ 五 河 士 ど …
ハア …
しかし まさか 鳶 一 の 所 に ある なんて
( 琴 里 ) 解析 結果 から 間違い ない わ
よし の ん は 現場 から 鳶 一 折紙 が 持ち去った こと が 確認 さ れ た の
( 士 道 ) 泥棒 み たい な マネ す ん の 気 が 進ま ない けど な …
( 琴 里 ) 今さら 何 言って る の ?
こっち から も できる 限り サポート する から …
( ノイズ 音 )
琴 里 ? ( 琴 里 ) 通 ない 士 …
ハア …
( インターフォン の 音 )
う あ あっ
あの 鳶 一 さん ?
何 ?
( 士 道 ) わ … 悪かった な
急に 遊び に 来 たい と か 言っちゃ っ て
問題 ない
どうぞ
あ … ありがとう
う ぎ っ
と っ 鳶 一 これ は …
どうぞ
“ どうぞ ” じゃ なく
どうぞ
ええ … いただき ます
ぶ へ えっ 胸 が …
と っ 鳶 一 お前 …
ダメ ?
えっ ダ … ダメ だ と 思う
( 折紙 ) 交換 条件 ここ から どく かわり に ―
私 の 要求 を 1 つ 無 条件 で の ん で ほしい
( 士 道 ) な … 何 だ ?
あなた は 夜 刀 神 十 香 の こと を “ 十 香 ” と 呼ぶ
けれど あなた は 私 の こと を “ 鳶 一 ” と 呼ぶ
これ は 非常に 不平等
( 士 道 ) へ ?
私 の こと も “ 折紙 ” と 呼 ん で ほしい
ダメ ?
それ は ダメ じゃ ない … と 思う
お … 折紙
( 折紙 ) 士 道
お … おう
ど … どこ 行く ん だ よ ?
シャワー
なんで また いきなり … ( ドア の 開閉 音 )
そう だ パペット
( シャワー の 音 )
う う … ぬ う っ
ダメ だ 見つから ねえ
クソッ さっき から やけ に 顔 も 熱い し
お っ
( ドア が 開く 音 )
よっ よ お 早 か っ … えっ !
何 ?
な っ 何 って …
( 士 道 ) う わ あっ ( 折紙 ) どう し た の ?
う う っ どう し た って …
う っ あっ
( 琴 里 ) 士 道 と の 通信 まだ 回復 し ない の ?
( 神無月 恭平 ( かんなづき きょうへい ) ) 相当 強力 な 妨害 が さ れ て いる よう です
AST の 本部 でも ここ まで は …
何 な の よ 彼女 は …
( 折紙 ) 私 も あなた に 聞き たい こと が ある
私 は 作戦 遂行 中 確か に あなた を …
あなた は 一体 何者 ?
あっ 鳶 一 お前 精霊 と 話し た こ と ある か ?
必要 の ない こと
( 士 道 ) 俺 は ある 十 香 だけ じゃ ない
四 糸 乃 … “ ハーミット ” って 呼ば れる 精霊 と も だ
非常に 危険 やめる べき
( 士 道 ) ひと言 で いい あいつ が 現れ たら 話し て み て くれ
もちろん お前 の 言う よう に 悪い 精霊 も いる の かも しれ ない
でも 十 香 や 四 糸 乃 は …
何て 言え ば いい の か 分か ん ねえ けど
す っ げ え いい 奴 な ん だ よ めちゃくちゃ 優しい 奴 ら な ん だ
俺 は 四 糸 乃 を 助け たい し
十 香 の こと を 認め て やって ほしい と も 思って る
それ と 同じ ぐらい 折紙
お前 に あんな いい 奴 ら を 殺し て ほしく ない ん だ
お前 だって いい 奴 だ 誰 も 悪い 奴 なんて い ない
なのに なんで こんな こと に な っち まっ てる ん だ よ
それ は しかた の ない こと ( 士 道 ) えっ …
仮に あなた の 言う とおり
ハーミット が 戦い を 望 ん で い ない と し て も
空間 震 ( くう かんしん ) 発生 の 問題 は 残る
( 携帯 電話 の バイブ 音 )
出動 !
あなた は 早く シェルター へ
( 士 道 ) 折紙 最後 に 1 つ 聞か せ て くれ
もし 十 香 み たい に 精霊 の 力 が 確認 でき なく なったら
もう 攻撃 は し ない ん だ よ な ?
私 と し て は 本意 で は ない
しかし 上層 部 の 方針 に 背 い て 独断 で 行動 する こと は でき ない
ありがとう 今 は それ で 十 分 だ
ハッ …
ハッ
( 日下部 燎子 ( くさ かべ りょう こ ) ) よし このまま 一気に いく わ よ
う っ …
( おびえる 声 )
う う っ …
氷結 傀儡 ( ザドキエル ) !
( 衝撃 音 )
しとめ た ?
ハッ
( うなり 声 )
( 燎子 ) な っ これ は …
“ 天使 ”
( うなり 声 )
( 吹雪 の 音 )
テリトリー ごと ?
ぐ っ …
追う わ よ
( 士 道 ) 四 糸 乃 !
四 糸 乃
士 道 さん
四 糸 乃 お前 に 渡し たい 物 が …
( レーザー 音 ) ( 士 道 ) あっ …
あっ !
( 燎子 ) そこ の 少年 危険 です 避難 を !
( 士 道 ) ハッ
あ あっ あ あっ …
( 息 を 吸い込む 音 ) ( 士 道 ) あっ
( 十 香 ) ハッ
シドー !
ダメ だ あれ を くら って は …
鏖殺 公 ( サンダルフォン ) !
鏖殺 公 ( サンダルフォン ) 鏖殺 公 ( サンダルフォン ) !
くっ 頼む 出 て くれ 鏖殺 公 ( サンダルフォン ) !
くう … う ああ ああ あっ !
( 士 道 ) くっ …
( 衝撃 音 )
ん あ …
これ は 鏖殺 公 ( サンダルフォン ) ?
( 十 香 ) シドー 無事 か ?
( 士 道 ) 十 香 助け て くれ た の か ?
その … 悪かった いろいろ と
よく 分から ない こと で イラ つい て しまったり
だから ずっと 謝り たかった の だ
いや … あれ は 俺 が 悪かった ん だ し
それ より 力 を 貸し て くれ
四 糸 乃 を 助け たい ん だ
( 十 香 ) 四 糸 乃 と いう の は あの 娘 の こと か ?
そう か … やはり あの 娘 が 大事 な の だ な ?
私 より …
違う そう いう こと じゃ ねえ
あいつ は 十 香 お前 と 同じ 精霊 な ん だ !
( うなり 声 )
( 士 道 ) 俺 は あいつ を 救って やる って 約束 し た
でも 俺 1 人 の 力 じゃ …
頼む 十 香
力 を … 貸し て くれ !
( 十 香 ) そう か そう だった
なぜ 忘れ て い た ん だ ろ う
私 を 救って くれ た の は こう いう 男 だった
( 士 道 ) 十 香 ?
( 十 香 ) 乗れ 時間 が ない
( 士 道 ) う っ
( 燎子 ) やっかい な こと に なった わ ね
あの 吹雪 こちら が 顕 現 装置 ( リア ライザ ) で 出力 し た 魔力 を 感知 し て ―
防御 力 を 高め て くるわ
( AST 隊員 ) しか し …
テリトリー を 解除 し て 突っ込め ば 氷 の 弾丸 を 全身 に くらい ます
ワイヤリング スーツ の 防弾 性 で は 持ち ませ ん
( 燎子 ) か と いって 単なる 物理 攻撃 じゃ 精霊 を しとめる こと も …
あっ 折紙 ?
あっ あんた 何 やって ん の ?
( 折紙 ) 物量 で 押しつぶす 結 界 が 解除 さ れ た 隙 を 狙って !
( 斬 撃 音 )
( 折紙 ) ハッ
( 十 香 ) フンッ 防 い だ か
( 折紙 ) 夜 刀 神 十 香 …
( 十 香 ) シドー の 邪魔 は さ せ ん ぞ !
( 燎子 ) 総員 目標 を “ プリンセス ” に 変更
( 十 香 ) フッ
( 琴 里 ) 士 道 待ち なさい
生身 で 結 界 に 入る つもり ? 回復 力 頼り で …
無謀 すぎる わ やめ なさい
お前 俺 が 撃た れ た 時 は 全然 動揺 し なかった って 聞い た ぞ
( 琴 里 ) あの 時 と は 状況 が 違う わ
一 発 切り の 弾丸 じゃ ない
散弾銃 撃た れ ながら 進む よう な も の よ
しかも 霊 力 を 感知 さ れ たら 凍ら さ れる わ
あっ
( 琴 里 ) 途中 で 傷 を 治す こと も でき ない の よ
( 士 道 ) 霊 力 か …
俺 の 回復 能力 って の は 精霊 の 力 な の か …
ぐ っ …
士 道 止まり なさい 士 道 !
止まって ! お 兄ちゃん !
( 四 糸 乃 ) う う っ よし の ん ひ くっ よし の ん
( 士 道 ) は あー い …
( 四 糸 乃 ) えっ ?
アッ ひ っ …
うん ?
し … 士 道 さん
( 士 道 ) 間に合った
あの お茶 パワー 出る わ
約束 どおり よし の ん は 見つけ た ぞ
う ええ えっ …
( 士 道 ) お っ おい 泣く な って
何 か 俺 … いけ ない ところ あった か ?
( 四 糸 乃 ) 違い ます うれしく って …
あり が … とう ござい ます よし の ん を 助け て くれ て
( 士 道 ) 次 は 四 糸 乃 お前 を 助ける 番 だ
( 四 糸 乃 ) え ?
ええ と … だ な
その ため に 1 つ やら なきゃ いけ ない こと が あって
キ … キス って 覚え てる か ?
っと そう か
ええ と その … 変 な 意味 じゃ なく
お前 を 助ける ため に それ を … ん っ
( 四 糸 乃 ) 違い まし た か ?
( 士 道 ) いや 違わ ない けど …
士 道 さん の … 言う こと なら 信じ ます
あっ …
しっ 士 道 さん これ …
あっ
きれい
♪ ~
な … 何 だ ? こりゃ
( 琴 里 ) 造る って 言って た でしょ 精霊 専用 の 特殊 住宅
今日 から 十 香 は ウチ を 出 て ここ に 住 ん で もらう わ
それ と もう 1 人
よ … 四 糸 乃 ?
よ … よろしく お 願い し ます
ああ こちら こそ
あっ
~ ♪
( よし の ん ) こ っ れ で 終わり だ と 思わ ない で ね
TO ( トゥ ) BE ( ビー ) CONTINUDE ( コンティニュード ) !
フッフ フフ …