×

Χρησιμοποιούμε cookies για να βελτιώσουμε τη λειτουργία του LingQ. Επισκέπτοντας τον ιστότοπο, συμφωνείς στην πολιτική για τα cookies.

image

太宰治『人間失格』(No Longer Human by Osamu Dazai), 第二の手記 (3)

第 二 の 手記 (3)

自分 は 、 やがて 画 塾 で 、 或る 画 学生 から 、 酒 と 煙草 と 淫売 婦 い ん ばい ふと 質屋 と 左翼 思想 と を 知ら さ れました 。 妙な 取合せ でした が 、しかし 、それ は 事実 でした 。

その 画 学生 は 、堀木 正雄 と いって 、東京 の 下町 に 生れ 、自分 より 六 つ 年 長者 で 、私立 の 美術 学校 を 卒業 して 、家 に アトリエ が 無い ので 、この 画塾 に 通い 、洋画 の 勉強 を つづけて いる のだ そうです 。

「五 円 、貸して くれ ない か 」

お互い ただ 顔 を 見 知っている だけ で 、それ まで 一言 も 話 合った 事 が 無かった のです 。 自分 は 、へ ど もどして 五 円 差し出しました 。

「よし 、飲もう 。 おれ が 、お前 に おごる んだ 。 よか チゴ じゃ のう 」

自分 は 拒否 し 切れ ず 、 その 画 塾 の 近く の 、 蓬莱 ほうらい 町 の カフエ に 引っぱって 行かれた の が 、 彼 と の 交友 の はじまり でした 。

「前 から 、お前 に 眼 を つけて いた んだ 。 それ それ 、 その はにかむ ような 微笑 、 それ が 見込み の ある 芸術 家 特有の 表情 な ん だ 。 お 近づき の しるし に 、乾杯 ! キヌ さん 、こいつ は 美男 子 だろう ? 惚れちゃ いけない ぜ 。 こいつ が 塾 へ 来た おかげ で 、残念 ながら おれ は 、第 二 番 の 美男子 と いう 事 に なった 」

堀木 は 、 色 が 浅黒く 端正な 顔 を して いて 、 画 学生 に は 珍 らしく 、 ちゃんと した 脊広 せびろ を 着て 、 ネクタイ の 好み も 地味で 、 そうして 頭髪 も ポマード を つけて まん 中 から ぺったり と わけて いました 。

自分 は 馴 れ ぬ 場所 でも あり 、 ただ もう おそろしく 、 腕 を 組んだり ほどいたり して 、 それ こそ 、 はにかむ ような 微笑 ばかり して いました が 、 ビイル を 二 、 三 杯 飲んで いる うち に 、 妙に 解放 せられた ような 軽 さ を 感じて 来た の です 。

「僕 は 、美術 学校 に はいろう と 思って いた んです けど 、……」

「いや 、つまらん 。 あんな ところ は 、つまらん 。 学校 は 、つまらん 。 われら の 教師 は 、自然 の 中 に あり ! 自然 に 対する パアトス !

しかし 、自分 は 、彼 の 言う 事 に 一向に 敬意 を 感じません でした 。 馬鹿な ひと だ 、絵 も 下手 に ちがいない 、しかし 、遊ぶ のに は 、いい 相手 かも 知れない と 考えました 。 つまり 、自分 は その 時 、生れて はじめて 、ほんもの の 都会 の 与太者 を 見た のでした 。 それ は 、自分 と 形 は 違って いて も 、やはり 、この世 の 人間 の 営み から 完全に 遊離 して しまって 、戸 迷い している 点 に 於いて だけ は 、たしかに 同類 な のでした 。 そうして 、彼 は その お 道化 を 意識 せ ず に 行い 、しかも 、その お 道化 の 悲惨 に 全く 気 が ついて いない の が 、自分 と 本質的に 異色 の ところ でした 。

ただ 遊ぶ だけ だ 、 遊び の 相手 と して 附 合って いる だけ だ 、 と つねに 彼 を 軽蔑 けいべつ し 、 時に は 彼 と の 交友 を 恥ずかしく さえ 思い ながら 、 彼 と 連れ立って 歩いて いる うち に 、 結局 、 自分 は 、 この 男 に さえ 打ち破ら れました 。

しかし 、はじめ は 、この 男 を 好 人物 、まれに 見る 好 人物 と ばかり 思い込み 、さすが 人間 恐怖 の 自分 も 全く 油断 を して 、東京 の よい 案内者 が 出来た 、くらい に 思って いました 。 自分 は 、 実は 、 ひと り で は 、 電車 に 乗る と 車掌 が おそろしく 、 歌舞伎 座 へ はいり たくて も 、 あの 正面 玄関 の 緋 ひ の 絨緞 じゅうたん が 敷かれて ある 階段 の 両側 に 並んで 立って いる 案内 嬢 たち が おそろしく 、 レストラン へ は いる と 、 自分 の 背後 に ひっそり 立って 、 皿 の あく の を 待って いる 給仕 の ボーイ が おそろしく 、 殊に も 勘定 を 払う 時 、 ああ 、 ぎ ご ちない 自分 の 手つき 、 自分 は 買い物 を して お 金 を 手渡す 時 に は 、 吝嗇 りん しょく ゆえ で なく 、 あまり の 緊張 、 あまり の 恥ずかし さ 、 あまり の 不安 、 恐怖 に 、 くらく ら 目 まい して 、 世界 が 真 暗 に なり 、 ほとんど 半 狂乱 の 気持 に なって しまって 、 値切る どころ か 、 お釣 を 受け取る の を 忘れる ばかりで なく 、 買った 品物 を 持ち帰る の を 忘れた 事 さえ 、 しばしば あった ほど な ので 、 とても 、 ひと り で 東京 の まち を 歩け ず 、 それ で 仕方なく 、 一 日 一 ぱい 家 の 中 で 、 ごろごろ して いた と いう 内情 も あった のでした 。

それ が 、 堀木 に 財布 を 渡して 一緒に 歩く と 、 堀木 は 大いに 値切って 、 しかも 遊び 上手 と いう の か 、 わずかな お 金 で 最大 の 効果 の ある ような 支払い 振り を 発揮 し 、 また 、 高い 円 タク は 敬遠 して 、 電車 、 バス 、 ポンポン 蒸気 など 、 それぞれ 利用 し分けて 、 最短 時間 で 目的 地 へ 着く と いう 手腕 を も 示し 、 淫売 婦 の ところ から 朝 帰る 途中 に は 、 何 々 と いう 料亭 に 立ち寄って 朝 風呂 へ はいり 、 湯豆腐 で 軽く お 酒 を 飲む の が 、 安い 割に 、 ぜいたくな 気分 に なれる もの だ と 実地 教育 を して くれたり 、 その他 、 屋台 の 牛 め し 焼 とり の 安価に して 滋養 に 富む もの たる 事 を 説き 、 酔い の 早く 発する の は 、 電気 ブラン の 右 に 出る もの は ない と 保証 し 、 とにかく その 勘定 に 就いて は 自分 に 、 一 つ も 不安 、 恐怖 を 覚え させた 事 が ありません でした 。

さらに また 、 堀木 と 附合って 救わ れる の は 、 堀木 が 聞き手 の 思惑 など を てんで 無視 して 、 その 所 謂 情熱 パトス の 噴出 する が まま に 、( 或いは 、 情熱 と は 、 相手 の 立場 を 無視 する 事 かも 知れません が ) 四六時中 、 くだらない おしゃべり を 続け 、 あの 、 二人 で 歩いて 疲れ 、 気まずい 沈黙 に おちいる 危懼 きく が 、 全く 無い と いう 事 でした 。 人 に 接し 、 あの おそろしい 沈黙 が その 場 に あらわれる 事 を 警戒 して 、 もともと 口 の 重い 自分 が 、 ここ を 先 途 せんど と 必死の お 道化 を 言って 来た もの です が 、 いま この 堀木 の 馬鹿 が 、 意識 せず に 、 その お 道化 役 を みずから すすんで やって くれて いる ので 、 自分 は 、 返事 も ろくに せず に 、 ただ 聞き流し 、 時折 、 まさか 、 など と 言って 笑って おれば 、 いい のでした 。

酒 、煙草 、淫売 婦 、それ は 皆 、人間 恐怖 を 、たとい 一時 でも 、まぎらす 事 の 出来る ずいぶん よい 手段 である 事 が 、やがて 自分 に も わかって 来ました 。 それ ら の 手段 を 求める ため に は 、 自分 の 持ち物 全部 を 売却 して も 悔いない 気持 さえ 、 抱く よう に なりました 。

自分 に は 、淫売婦 という もの が 、人間 でも 、女性 でも ない 、白痴 か 狂人 の ように 見え 、その ふところ の 中 で 、自分 は かえって 全く 安心 して 、ぐっすり 眠る 事 が 出来ました 。 みんな 、哀しい くらい 、実に みじんも 慾 と いう もの が 無い のでした 。 そうして 、自分 に 、同類 の 親和感 と でも いった ような もの を 覚える の か 、自分 は 、いつも 、その 淫売婦 たち から 、窮屈でない 程度 の 自然の 好意 を 示されました 。 何の 打算 も 無い 好意 、押し売り で は 無い 好意 、二度と 来 ない かも 知れぬ ひと へ の 好意 、自分 に は 、その 白痴 か 狂人 の 淫売婦 たち に 、マリヤ の 円光 を 現実 に 見た 夜 も あった のです 。

しかし 、 自分 は 、 人間 へ の 恐怖 から のがれ 、 幽 かな 一夜 の 休養 を 求める ため に 、 そこ へ 行き 、 それ こそ 自分 と 「 同類 」 の 淫売 婦 たち と 遊んで いる うち に 、 いつのまに やら 無意識 の 、 或る いまわしい 雰囲気 を 身辺 に いつも ただよわせる よう に なった 様子 で 、 これ は 自分 に も 全く 思い 設け なかった 所 謂 「 おまけ の 附録 」 でした が 、 次第に その 「 附録 」 が 、 鮮明に 表面 に 浮き上って 来て 、 堀木 に それ を 指摘 せられ 、 愕然 がくぜんと して 、 そうして 、 いやな 気 が 致しました 。 はた から 見て 、 俗な 言い 方 を すれば 、 自分 は 、 淫売 婦 に 依って 女 の 修行 を して 、 しかも 、 最近 めっきり 腕 を あげ 、 女 の 修行 は 、 淫売 婦 に 依る の が 一ばん 厳しく 、 また それだけに 効果 の あがる もの だ そうで 、 既に 自分 に は 、 あの 、「 女 達者 」 と いう 匂い が つきまとい 、 女性 は 、( 淫売 婦 に 限ら ず ) 本能 に 依って それ を 嗅ぎ 当て 寄り添って 来る 、 そのような 、 卑猥 ひわ い で 不名誉な 雰囲気 を 、「 おまけ の 附録 」 と して もらって 、 そうして その ほう が 、 自分 の 休養 など より も 、 ひどく 目立って しまって いる らしい のでした 。

堀木 は それ を 半分 は お世辞 で 言った のでしょう が 、 しかし 、 自分 に も 、 重苦しく 思い当る 事 が あり 、 たとえば 、 喫茶 店 の 女 から 稚拙な 手紙 を もらった 覚え も ある し 、 桜木 町 の 家 の 隣り の 将軍 の はたち くらい の 娘 が 、 毎朝 、 自分 の 登校 の 時刻 に は 、 用 も 無 さ そうな のに 、 ご 自分 の 家 の 門 を 薄化粧 して 出たり は いったり して いた し 、 牛肉 を 食い に 行く と 、 自分 が 黙って いて も 、 そこ の 女 中 が 、…… また 、 いつも 買いつけ の 煙草 屋 の 娘 から 手渡された 煙草 の 箱 の 中 に 、…… また 、 歌舞伎 を 見 に 行って 隣り の 席 の ひと に 、…… また 、 深夜 の 市電 で 自分 が 酔って 眠って いて 、…… また 、 思いがけなく 故郷 の 親戚 の 娘 から 、 思いつめた ような 手紙 が 来て 、…… また 、 誰 か わから ぬ 娘 が 、 自分 の 留守 中 に お 手製 らしい人形 を 、…… 自分 が 極度に 消極的 な ので 、 いずれ も 、 それっきり の 話 で 、 ただ 断片 、 それ 以上 の 進展 は 一 つ も ありません でした が 、 何 か 女 に 夢 を 見 させる 雰囲気 が 、 自分 の どこ か に つきまとって いる 事 は 、 それ は 、 のろ け だ の 何 だの と いう いい加減な 冗談 で なく 、 否定 できない ので ありました 。 自分 は 、 それ を 堀木 ごとき者 に 指摘 せられ 、 屈辱 に 似た 苦 にが さ を 感ずる と 共に 、 淫売 婦 と 遊ぶ 事 に も 、 にわかに 興 が 覚めました 。

堀木 は 、 また 、 その 見栄坊 みえぼう の モダニティ から 、( 堀木 の 場合 、 それ 以外 の 理由 は 、 自分 に は 今もって 考えられません の です が ) 或る 日 、 自分 を 共産 主義 の 読書 会 と か いう ( R ・ S と か いって いた か 、 記憶 が はっきり 致しません ) そんな 、 秘密の 研究 会 に 連れて 行きました 。 堀木 など と いう 人物 に とって は 、共産主義 の 秘密 会合 も 、れいの 「東京 案内 」の 一つ くらい の もの だった の かも 知れません 。 自分 は 所謂 「同志 」に 紹介 せられ 、パンフレット を 一部 買わさ れ 、そうして 上座 の ひどい 醜い 顔 の 青年 から 、マルクス 経済学 の 講義 を 受けました 。 しかし 、自分 に は 、それ は わかり切っている 事 の ように 思われました 。 それ は 、そう に 違いない だろう けれども 、人間 の 心 に は 、もっと わけ の わからない 、おそろしい もの が ある 。 慾 、 と 言って も 、 言い たりない 、 ヴァニティ 、 と 言って も 、 言い たりない 、 色 と 慾 、 と こう 二 つ 並べて も 、 言い たりない 、 何だか 自分 に も わから ぬ が 、 人間 の 世 の 底 に 、 経済 だけ でない 、 へんに 怪談 じみ たも の が ある ような 気 が して 、 その 怪談 に おびえ 切って いる 自分 に は 、 所 謂唯 物 論 を 、 水 の 低き に 流れる よう に 自然に 肯定 し ながら も 、 しかし 、 それ に 依って 、 人間 に 対する 恐怖 から 解放 せられ 、 青葉 に 向って 眼 を ひらき 、 希望 の よろこび を 感ずる など と いう 事 は 出来ない のでした 。 けれども 、 自分 は 、 いち ども 欠席 せず に 、 その R ・ S ( と 言った か と 思います が 、 間違って いる かも 知れません ) なる もの に 出席 し 、「 同志 」 たち が 、 いやに 一大事 の 如く 、 こわばった 顔 を して 、 一 プラス 一 は 二 、 と いう ような 、 ほとんど 初等 の 算 術 めいた 理論 の 研究 に ふけって いる の が 滑稽に 見えて たまら ず 、 れいの 自分 の お 道化 で 、 会合 を くつろが せる 事 に 努め 、 その ため か 、 次第に 研究 会 の 窮屈な 気配 も ほぐれ 、 自分 は その 会合 に 無くて かなわ ぬ人気者 と いう 形 に さえ なって 来た ようでした 。 この 、単純 そうな 人 たち は 、自分 の 事 を 、やはり この 人 たち と 同じ 様に 単純で 、そうして 、楽天的な おどけ者の 「同志 」くらい に 考えていた かも 知れません が 、もし 、そう だったら 、自分 は 、この 人 たち を 一 から 十 まで 、あざむいていた わけです 。 自分 は 、同志 で は 無かった んです 。 けれども 、その 会合 に 、いつも 欠かさず 出席 して 、皆 に お道化 の サーヴィス を して 来ました 。

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE

第 二 の 手記 (3) だい|に|の|しゅき ordinal|two|attributive particle|memoir Konten aus zweiter Hand (3) Cuentas de segunda mano (3) Comptes d'occasion (3) 두 번째 수기 (3) Contas em segunda mão (3) Счета из вторых рук (3) 第二注 (3) 第二注 (3) Second Memoir (3)

自分 は 、 やがて 画 塾 で 、 或る 画 学生 から 、 酒 と 煙草 と 淫売 婦 い ん ばい ふと 質屋 と 左翼 思想 と を 知ら さ れました 。 じぶん|||が|じゅく||ある|が|がくせい||さけ||たばこ||いんばい|ふ|||||しちや||さよく|しそう|||しら|| 最终,在一所艺术学校,一名艺术学生向我介绍了酒精、香烟、妓女、当铺和左翼意识形态。 自己 後來 在 畫室 跟 一位 畫畫學生 學到 酒 、菸草 、性工作者 、當鋪 、左派 思想。 I was eventually introduced to alcohol, cigarettes, prostitutes, pawnshops, and leftist ideology by a certain art student at the painting school. 妙な 取合せ でした が 、しかし 、それ は 事実 でした 。 みょうな|とりあわせ|でした|が|しかし|それ|は|じじつ|でした |搭配|||||||事實 strange|combination|was|but|however|that|topic marker|fact|was estranha|conversa estranha||||||| 这是一个奇怪的组合,但这是事实。 雖然 是 奇怪 的 組合, 但 事實 上 確實 如此。 It was a strange combination, but it was indeed a fact.

その 画 学生 は 、堀木 正雄 と いって 、東京 の 下町 に 生れ 、自分 より 六 つ 年 長者 で 、私立 の 美術 学校 を 卒業 して 、家 に アトリエ が 無い ので 、この 画塾 に 通い 、洋画 の 勉強 を つづけて いる のだ そうです 。 その|が|がくせい|は|ほりき|まさお|と|いって|とうきょう|の|したまち|に|うまれ|じぶん|より|ろく|つ|ねん|ちょうじゃ|で|しりつ|の|びじゅつ|がっこう|を|そつぎょう|して|いえ|に|アトリエ|が|ない|ので|この|がじゅく|に|かよい|ようが|の|べんきょう|を|つづけて|いる|のだ|そうです ||||||||||||出生||||||年長者|||||美術學校||||||工作室||||||||上課||||||| that|painting|student|topic marker|Horiki|Masao|and|called|Tokyo|attributive particle|downtown|locative particle|was born|himself|than|six|counter for small items|years|older|and|private|attributive particle|art|school|object marker|graduated|and|house|locative particle|studio|subject marker|does not have|because|this|painting school|locative particle|attending|Western painting|attributive particle|study|object marker|continuing|is|it is|I hear 這位 畫畫學生 叫 堀木 正雄, 出生 在 東京 的 下町,比我 大 六歲,是 私立 美術 學校 畢業,因家中 沒有 工作室, 所以 來 上 這個 畫室,繼續 學習 西洋畫。 The art student was named Masao Horiki, born in the downtown area of Tokyo, six years older than me, graduated from a private art school, and since he had no studio at home, he continued his studies in Western painting at this painting school.

「五 円 、貸して くれ ない か 」 ご|えん|かして|くれ|ない|か five|yen|lend|give|not|question marker "Can you lend me five yen?"

お互い ただ 顔 を 見 知っている だけ で 、それ まで 一言 も 話 合った 事 が 無かった のです 。 おたがい|ただ|かお|を|み|しっている|だけ|で|それ|まで|ひとこと|も|はなし|あった|こと|が|なかった|のです ||||||||||一句||||||| each other|just|face|object marker|see|know|only|and|that|until|a word|also|talk|had|thing|subject marker|did not have|you see 我们只是看着对方就认识了,在此之前我们从未说过一句话。 We only knew each other by sight, and until then, we had never spoken a word to each other. 自分 は 、へ ど もどして 五 円 差し出しました 。 じぶん|は|へ|ど|もどして|ご|えん|さしだしました ||||還回去|||遞上了 myself|topic marker|direction marker|emphasis|returning|five|yen|offered ||へ||||| ||||devolvi|||ofereci 我把五圓錢遞給了他。 I hesitated and then offered five yen.

「よし 、飲もう 。 よし|のもう okay|let's drink 好,喝吧。 "Alright, let's drink." おれ が 、お前 に おごる んだ 。 おれ|が|おまえ|に|おごる|んだ ||||請客| I|subject marker|you|to|will treat|you see 我請你喝。 I'll treat you. よか チゴ じゃ のう 」 よか|チゴ|じゃ|のう good|Chigo|is|right é bom|pequeno||não é 好得讓人驚訝啊。 That's great, isn't it?

自分 は 拒否 し 切れ ず 、 その 画 塾 の 近く の 、 蓬莱 ほうらい 町 の カフエ に 引っぱって 行かれた の が 、 彼 と の 交友 の はじまり でした 。 じぶん||きょひ||きれ|||が|じゅく||ちかく||ほうらい||まち||||ひっぱって|いかれた|||かれ|||こうゆう||| 我無法拒絕,被帶到了那個畫塾附近的蓬萊町咖啡館,這是我和他的友誼開始的地方。 Unable to refuse, I was taken to a café in Horai Town near the art school, which marked the beginning of my friendship with him.

「前 から 、お前 に 眼 を つけて いた んだ 。 まえ|から|おまえ|に|め|を|つけて|いた|んだ before|from|you|at|eye|object marker|have been watching|was|you see 「我早就注意到你了。」 "I've had my eye on you for a while now." それ それ 、 その はにかむ ような 微笑 、 それ が 見込み の ある 芸術 家 特有の 表情 な ん だ 。 |||||びしょう|||みこみ|||げいじゅつ|いえ|とくゆうの|ひょうじょう||| That, that shy smile, that's the expression unique to a promising artist. お 近づき の しるし に 、乾杯 ! お|ちかづき|の|しるし|に|かんぱい |接近|||| honorific prefix|getting closer|attributive particle|sign|locative particle|cheers 為了親近的象徵,乾杯! As a sign of our acquaintance, cheers! キヌ さん 、こいつ は 美男 子 だろう ? キヌ|さん|こいつ|は|びなん|こ|だろう Kinu|Mr/Ms|this guy|topic marker|handsome|boy|right 絹小姐,這個可是帥哥吧? Kinu, this guy is a handsome one, right? 惚れちゃ いけない ぜ 。 ほれちゃ|いけない|ぜ you shouldn't fall in love|shouldn't|emphasis marker 可不能戀愛喔。 Don't fall in love now. こいつ が 塾 へ 来た おかげ で 、残念 ながら おれ は 、第 二 番 の 美男子 と いう 事 に なった 」 こいつ|が|じゅく|へ|きた|おかげ|で|ざんねん|ながら|おれ|は|だい|に|ばん|の|びなんし|と|いう|こと|に|なった this guy|subject marker|cram school|direction marker|came|thanks to|at|unfortunately|although|I|topic marker|ordinal|second|place|attributive particle|handsome guy|quotation particle|called|thing|locative particle|became 這傢伙來到補習學校,讓我不幸的是,被稱為第二位美男子。 Thanks to this guy coming to the cram school, unfortunately, I became known as the second handsome guy.

堀木 は 、 色 が 浅黒く 端正な 顔 を して いて 、 画 学生 に は 珍 らしく 、 ちゃんと した 脊広 せびろ を 着て 、 ネクタイ の 好み も 地味で 、 そうして 頭髪 も ポマード を つけて まん 中 から ぺったり と わけて いました 。 ほりき||いろ||あさぐろく|たんせいな|かお||||が|がくせい|||ちん||||せきこう|||きて|ねくたい||よしみ||じみで||とうはつ||||||なか||||| 堀木的膚色偏深黑,臉蛋端正,作為美術學生來說罕見地穿著整齊的西裝,領帶的選擇也相當樸素,頭髮則是使用髮膠從中間梳理得緊緊的。 Horiki had a slightly dark complexion and a handsome face, and unlike most art students, he wore a proper suit and had a taste for plain ties, and his hair was slicked back with pomade, parted neatly down the middle.

自分 は 馴 れ ぬ 場所 でも あり 、 ただ もう おそろしく 、 腕 を 組んだり ほどいたり して 、 それ こそ 、 はにかむ ような 微笑 ばかり して いました が 、 ビイル を 二 、 三 杯 飲んで いる うち に 、 妙に 解放 せられた ような 軽 さ を 感じて 来た の です 。 じぶん||じゅん|||ばしょ||||||うで||くんだり|||||||びしょう|||||||ふた|みっ|さかずき|のんで||||みょうに|かいほう|||けい|||かんじて|きた|| 我身處一個不熟悉的地方,實在是非常緊張,時而交錯雙臂,時而放開,只是露出有些羞澀的微笑,但在喝了兩三杯啤酒後,奇妙地感覺有些放鬆了。 I was in an unfamiliar place, feeling extremely nervous, just awkwardly crossing and uncrossing my arms, and smiling shyly, but after drinking a couple of beers, I started to feel strangely liberated.

「僕 は 、美術 学校 に はいろう と 思って いた んです けど 、……」 ぼく|は|びじゅつ|がっこう|に|はいろう|と|おもって|いた|んです|けど I|topic marker|art|school|locative particle|want to enter|quotation particle|thinking|was|you see|but "I was thinking of going to art school, but..."

「いや 、つまらん 。 いや|つまらん no|boring "No, it's boring." あんな ところ は 、つまらん 。 あんな|ところ|は|つまらん that kind of|place|topic marker|boring "That place is boring." 学校 は 、つまらん 。 がっこう|は|つまらん school|topic marker|boring "School is boring." われら の 教師 は 、自然 の 中 に あり ! われら|の|きょうし|は|しぜん|の|なか|に|あり we|possessive particle|teacher|topic marker|nature|attributive particle|inside|locative particle|is "Our teacher is in nature!" 自然 に 対する パアトス ! しぜん|に|たいする|パアトス nature|locative particle|to face|pathos |||paato Pathos towards nature! "

しかし 、自分 は 、彼 の 言う 事 に 一向に 敬意 を 感じません でした 。 しかし|じぶん|は|かれ|の|いう|こと|に|いっこうに|けいい|を|かんじません|でした |||||||||敬意||| however|myself|topic marker|he|possessive particle|to say|thing|locative particle|not at all|respect|object marker|do not feel|was ||||||||de forma alguma|respeito||| 然而,我對他所說的話完全沒有感到敬意。 However, I felt no respect at all for what he was saying. 馬鹿な ひと だ 、絵 も 下手 に ちがいない 、しかし 、遊ぶ のに は 、いい 相手 かも 知れない と 考えました 。 ばかな|ひと|だ|え|も|へた|に|ちがいない|しかし|あそぶ|のに|は|いい|あいて|かも|しれない|と|かんがえました silly|person|is|drawing|also|bad at|at|must be|however|to play|even though|topic marker|good|partner|maybe|don't know|quotation particle|thought 真是個笨蛋,畫得一定很差,但是,或許是個不錯的玩伴。 He's a foolish person, surely bad at drawing, but I thought he might be a good partner for playing. つまり 、自分 は その 時 、生れて はじめて 、ほんもの の 都会 の 与太者 を 見た のでした 。 つまり|じぶん|は|その|とき|うまれて|はじめて|ほんもの|の|とかい|の|よたもの|を|みた|のでした |||||||||城市||||| in other words|myself|topic marker|that|time|was born|for the first time|real|attributive particle|city|attributive particle|jokers|object marker|saw|it was ||||||||||||jovem|| 換句話說,那時我第一次見到了真正的城市的空想家。 In other words, at that time, I saw a real city fool for the first time in my life. それ は 、自分 と 形 は 違って いて も 、やはり 、この世 の 人間 の 営み から 完全に 遊離 して しまって 、戸 迷い している 点 に 於いて だけ は 、たしかに 同類 な のでした 。 それ|は|じぶん|と|かたち|は|ちがって|いて|も|やはり|このよ|の|にんげん|の|いとなみ|から|かんぜんに|ゆうり|して|しまって|と|まよい|している|てん|に|おいて|だけ|は|たしかに|どうるい|な|のでした ||||||||||||||活動|||脫離|||||||||於是||||| that|topic marker|oneself|and|shape|topic marker|different|and is|also|as expected|this world|attributive particle|human|possessive particle|activities|from|completely|detached|doing|ended up|door|confusion|is confused|point|locative particle|at|only|topic marker|certainly|the same kind|adjectival particle|was ||||||||||||||atividade|||separado||||||||||||||mesma espécie 即使自己的形狀與他不同,但仍然完全脫離這個世界的人類活動,困惑不已的那一點上,確實是同類的。 Even though he was different in form from me, he was indeed similar to me in that he was completely detached from the activities of human beings in this world and was lost. そうして 、彼 は その お 道化 を 意識 せ ず に 行い 、しかも 、その お 道化 の 悲惨 に 全く 気 が ついて いない の が 、自分 と 本質的に 異色 の ところ でした 。 そうして|かれ|は|その|お|どうけ|を|いしき|せ|ず|に|おこない|しかも|その|お|どうけ|の|ひさん|に|まったく|き|が|ついて|いない|の|が|じぶん|と|ほんしつてきに|いしょく|の|ところ|でした |||||||意識||||||||||悲慘地||||||||||本質||異樣||| and|he|topic marker|that|honorific prefix|clowning|object marker|consciousness|causative form of to do|without|locative particle|doing|moreover|that|honorific prefix|clowning|attributive particle|tragic|locative particle|completely|feeling|subject marker|notice|not|explanatory particle|subject marker|oneself|and|essentially|distinctive|attributive particle|point|was |||||||||||||||||tristeza||||||||||||diferente||| 而且,他在不自覺中進行著那種滑稽的行為,並且完全沒有意識到那種滑稽的悲慘之處,這正是他與我本質上不同的地方。 Moreover, he performed his foolishness without being aware of it, and the fact that he was completely oblivious to the tragedy of his foolishness was fundamentally different from me.

ただ 遊ぶ だけ だ 、 遊び の 相手 と して 附 合って いる だけ だ 、 と つねに 彼 を 軽蔑 けいべつ し 、 時に は 彼 と の 交友 を 恥ずかしく さえ 思い ながら 、 彼 と 連れ立って 歩いて いる うち に 、 結局 、 自分 は 、 この 男 に さえ 打ち破ら れました 。 |あそぶ|||あそび||あいて|||ふ|あって||||||かれ||けいべつ|||ときに||かれ|||こうゆう||はずかしく||おもい||かれ||つれだって|あるいて||||けっきょく|じぶん|||おとこ|||うちやぶら| 只不過是在玩樂而已,僅是作為玩伴而附和著他,總是輕蔑地看待他,有時甚至感到與他的交往很羞恥,但在和他一起走的過程中,最終,我卻被這個男人打敗了。 I always looked down on him, thinking he was just playing and merely accompanying me as a playmate, and sometimes even felt embarrassed about my friendship with him, but in the end, I was defeated by this man.

しかし 、はじめ は 、この 男 を 好 人物 、まれに 見る 好 人物 と ばかり 思い込み 、さすが 人間 恐怖 の 自分 も 全く 油断 を して 、東京 の よい 案内者 が 出来た 、くらい に 思って いました 。 しかし|はじめ|は|この|おとこ|を|すき|じんぶつ|まれに|みる|すき|じんぶつ|と|ばかり|おもいこみ|さすが|にんげん|きょうふ|の|じぶん|も|まったく|ゆだん|を|して|とうきょう|の|よい|あんないしゃ|が|できた|くらい|に|おもって|いました ||||||||偶爾|||||||果然||||||||||||||||||| however|at first|topic marker|this|man|object marker|like|person|rarely|see|like|person|quotation particle|just|assuming|as expected|human|fear|attributive particle|myself|also|completely|carelessness|object marker|doing|Tokyo|attributive particle|good|guide|subject marker|became|about|locative particle|thinking|was ||||||||||||||supus||||||||descuido|||||||||||| 然而,一開始我只是把這個男人當作好人,偶爾認為他是一個難得的好人,果然對於人類的恐懼也完全不放在心上,以為在東京會有一位很好的導遊。 However, at first, I thought of this man as a good person, a rare good person, and I was completely at ease, even with my fear of humans, thinking that I had found a good guide in Tokyo. 自分 は 、 実は 、 ひと り で は 、 電車 に 乗る と 車掌 が おそろしく 、 歌舞伎 座 へ はいり たくて も 、 あの 正面 玄関 の 緋 ひ の 絨緞 じゅうたん が 敷かれて ある 階段 の 両側 に 並んで 立って いる 案内 嬢 たち が おそろしく 、 レストラン へ は いる と 、 自分 の 背後 に ひっそり 立って 、 皿 の あく の を 待って いる 給仕 の ボーイ が おそろしく 、 殊に も 勘定 を 払う 時 、 ああ 、 ぎ ご ちない 自分 の 手つき 、 自分 は 買い物 を して お 金 を 手渡す 時 に は 、 吝嗇 りん しょく ゆえ で なく 、 あまり の 緊張 、 あまり の 恥ずかし さ 、 あまり の 不安 、 恐怖 に 、 くらく ら 目 まい して 、 世界 が 真 暗 に なり 、 ほとんど 半 狂乱 の 気持 に なって しまって 、 値切る どころ か 、 お釣 を 受け取る の を 忘れる ばかりで なく 、 買った 品物 を 持ち帰る の を 忘れた 事 さえ 、 しばしば あった ほど な ので 、 とても 、 ひと り で 東京 の まち を 歩け ず 、 それ で 仕方なく 、 一 日 一 ぱい 家 の 中 で 、 ごろごろ して いた と いう 内情 も あった のでした 。 じぶん||じつは|||||でんしゃ||のる||しゃしょう|||かぶき|ざ||||||しょうめん|げんかん||ひ|||じゅうたん|||しかれて||かいだん||りょうがわ||ならんで|たって||あんない|じょう||||れすとらん|||||じぶん||はいご|||たって|さら|||||まって||きゅうじ||ぼーい|||ことに||かんじょう||はらう|じ||||ち ない|じぶん||てつき|じぶん||かいもの||||きむ||てわたす|じ|||りんしょく||||||||きんちょう|||はずかし||||ふあん|きょうふ||||め|||せかい||まこと|あん||||はん|きょうらん||きもち||||ねぎる|||おつり||うけとる|||わすれる|||かった|しなもの||もちかえる|||わすれた|こと|||||||||||とうきょう||||あるけ||||しかたなく|ひと|ひ|ひと||いえ||なか|||||||ないじょう||| 其實我一個人搭乘電車的時候會感到可怕,因為即使想進歌舞伎座,但在正面入口紅色地毯鋪成的樓梯兩側站著的導遊們也是讓我感到恐懼,進入餐廳後,背後靜靜站著等待餐盤的服務生也讓我感到恐怖,尤其在結帳的時候,啊,我那拙劣的手法,當我在購物時要遞出現金的時候,不是因為吝嗇,而是因為過度的緊張、過度的尷尬、過度的不安和恐懼,讓我頭暈目眩,世界變得漆黑,我幾乎感到精神崩潰,不但忘了殺價,還忘了收回找零,甚至經常會忘了帶回買的貨物,因此根本無法單獨走在東京的街道上,這樣也只能無可奈何地一天待在家裡閒晃。 In reality, I was terrified of riding the train alone, the conductor was frightening, and even though I wanted to enter the Kabukiza, I was scared of the guides standing on both sides of the staircase with the red carpet at the main entrance. When I entered a restaurant, I was terrified of the waiters quietly standing behind me, waiting for the plates to be cleared. Especially when it came time to pay the bill, oh, my clumsy handling of money! When I went shopping and had to hand over money, it wasn't due to stinginess, but rather because of overwhelming tension, embarrassment, anxiety, and fear, which made me dizzy, the world turned pitch dark, and I felt almost half-mad. Not only did I forget to haggle, but I often even forgot to take home the items I had bought. Because of this, I couldn't walk around Tokyo alone, and as a result, I spent my days idly lounging at home.

それ が 、 堀木 に 財布 を 渡して 一緒に 歩く と 、 堀木 は 大いに 値切って 、 しかも 遊び 上手 と いう の か 、 わずかな お 金 で 最大 の 効果 の ある ような 支払い 振り を 発揮 し 、 また 、 高い 円 タク は 敬遠 して 、 電車 、 バス 、 ポンポン 蒸気 など 、 それぞれ 利用 し分けて 、 最短 時間 で 目的 地 へ 着く と いう 手腕 を も 示し 、 淫売 婦 の ところ から 朝 帰る 途中 に は 、 何 々 と いう 料亭 に 立ち寄って 朝 風呂 へ はいり 、 湯豆腐 で 軽く お 酒 を 飲む の が 、 安い 割に 、 ぜいたくな 気分 に なれる もの だ と 実地 教育 を して くれたり 、 その他 、 屋台 の 牛 め し 焼 とり の 安価に して 滋養 に 富む もの たる 事 を 説き 、 酔い の 早く 発する の は 、 電気 ブラン の 右 に 出る もの は ない と 保証 し 、 とにかく その 勘定 に 就いて は 自分 に 、 一 つ も 不安 、 恐怖 を 覚え させた 事 が ありません でした 。 ||ほりき||さいふ||わたして|いっしょに|あるく||ほりき||おおいに|ねぎって||あそび|じょうず|||||||きむ||さいだい||こうか||||しはらい|ふり||はっき|||たかい|えん|||けいえん||でんしゃ|ばす|ぽんぽん|じょうき|||りよう|し わけて|さいたん|じかん||もくてき|ち||つく|||しゅわん|||しめし|いんばい|ふ||||あさ|かえる|とちゅう|||なん||||りょうてい||たちよって|あさ|ふろ|||ゆどうふ||かるく||さけ||のむ|||やすい|わりに||きぶん||||||じっち|きょういく||||そのほか|やたい||うし|||や|||あんかに||じよう||とむ|||こと||とき|よい||はやく|はっする|||でんき|||みぎ||でる|||||ほしょう||||かんじょう||ついて||じぶん||ひと|||ふあん|きょうふ||おぼえ|さ せた|こと||| 這時,當我把錢包交給堀木一起走時,堀木會大力地殺價,而他似乎很會玩,能以微薄的金額發揮出最大的效果,還會避開高價的計程車,用電車、公車、蒸氣船等,有效地利用各種交通工具,展現了以最短時間抵達目的地的本事。在從淫婦那裡早上回來的路上,堀木還會停下來去某某料理店泡早湯,輕鬆地喝酒吃湯豆腐,讓我體會到即便便宜卻也能享受奢侈的感覺,還教我街邊的牛肉飯和烤雞串怎樣便宜而又營養豐富,並且保證喝電氣白蘭地的醉意來得特別快,無論如何關於這些的帳單,從來沒有讓我感到不安或恐懼。 However, when I handed my wallet to Horiki and walked with him, he haggled greatly and, being quite skilled at enjoying himself, demonstrated how to maximize the effect of spending a small amount of money. He also avoided expensive taxis, skillfully using trains, buses, and steamers to reach our destination in the shortest time possible. On the way back from a brothel in the morning, he would stop by a certain restaurant to take a morning bath and enjoy a light drink with yudofu, which felt luxurious for the price. He educated me on the affordable and nutritious street food like gyumeshi and yakitori, guaranteed that nothing could beat the quick intoxication of electric brandy, and in any case, he never made me feel any anxiety or fear regarding the bills.

さらに また 、 堀木 と 附合って 救わ れる の は 、 堀木 が 聞き手 の 思惑 など を てんで 無視 して 、 その 所 謂 情熱 パトス の 噴出 する が まま に 、( 或いは 、 情熱 と は 、 相手 の 立場 を 無視 する 事 かも 知れません が ) 四六時中 、 くだらない おしゃべり を 続け 、 あの 、 二人 で 歩いて 疲れ 、 気まずい 沈黙 に おちいる 危懼 きく が 、 全く 無い と いう 事 でした 。 ||ほりき||ふごうって|すくわ||||ほりき||ききて||おもわく||||むし|||しょ|い|じょうねつ|||ふんしゅつ|||||あるいは|じょうねつ|||あいて||たちば||むし||こと||しれません||しろくじちゅう||||つづけ||ふた り||あるいて|つかれ|きまずい|ちんもく|||きく|||まったく|ない|||こと| Furthermore, being with Horiki saved me because he completely ignored the listener's expectations and freely expressed his so-called passionate pathos, (or perhaps passion means ignoring the other person's position), and he continued to engage in trivial chatter all the time. There was absolutely no fear of falling into an awkward silence while walking together. 人 に 接し 、 あの おそろしい 沈黙 が その 場 に あらわれる 事 を 警戒 して 、 もともと 口 の 重い 自分 が 、 ここ を 先 途 せんど と 必死の お 道化 を 言って 来た もの です が 、 いま この 堀木 の 馬鹿 が 、 意識 せず に 、 その お 道化 役 を みずから すすんで やって くれて いる ので 、 自分 は 、 返事 も ろくに せず に 、 ただ 聞き流し 、 時折 、 まさか 、 など と 言って 笑って おれば 、 いい のでした 。 じん||せっし|||ちんもく|||じょう|||こと||けいかい|||くち||おもい|じぶん||||さき|と|||ひっしの||どうけ||いって|きた||||||ほりき||ばか||いしき|せ ず||||どうけ|やく||||||||じぶん||へんじ|||せ ず|||ききながし|ときおり||||いって|わらって||| 為了避免在與人相處時出現可怕的沉默,我本來就話少的自己,拼命地講著一些滑稽的話來打破局面,但現在這個堀木的傻瓜卻不自覺地自願地擔任了這個滑稽的角色,於是我也不用多說什麼,只需隨便聽聽,偶爾用“雖然不會吧”等話語來笑笑就好了。 When interacting with people, I was wary of that terrible silence appearing in the room, and being someone who is originally not very talkative, I had desperately tried to make jokes to break the ice. However, now this fool Horiki is unconsciously taking on that role of the joker himself, so I can just listen without really responding, occasionally laughing and saying things like 'no way'.

酒 、煙草 、淫売 婦 、それ は 皆 、人間 恐怖 を 、たとい 一時 でも 、まぎらす 事 の 出来る ずいぶん よい 手段 である 事 が 、やがて 自分 に も わかって 来ました 。 さけ|たばこ|いんばい|ふ|それ|は|みんな|にんげん|きょうふ|を|たとい|いちじ|でも|まぎらす|こと|の|できる|ずいぶん|よい|しゅだん|である|こと|が|やがて|じぶん|に|も|わかって|きました |煙草|賣淫婦||||||恐懼|||||||麻痺|||||||是|||終究||| sake|tobacco|prostitution|woman|that|topic marker|everyone|human|fear|object marker|even if|a moment|even|to distract|thing|attributive particle|can do|quite|good|means|is|thing|subject marker|soon|myself|locative particle|also|understand|came |||||||||||||||distrair-se||||||||||||| 酒、香煙、賣淫婦女,這些無不都是能夠在某種程度上暫時麻痺人類恐懼的相當好的手段,漸漸地我也開始明白這一點。 I gradually came to understand that alcohol, cigarettes, and prostitutes are all quite effective means to temporarily alleviate the fear of humanity. それ ら の 手段 を 求める ため に は 、 自分 の 持ち物 全部 を 売却 して も 悔いない 気持 さえ 、 抱く よう に なりました 。 |||しゅだん||もとめる||||じぶん||もちもの|ぜんぶ||ばいきゃく|||くい ない|きもち||いだく||| 為了尋求這些手段,我甚至會抱著願意出售自己所有的財物也不會後悔的心情。 I even started to feel that I wouldn't regret selling all my possessions just to seek those means.

自分 に は 、淫売婦 という もの が 、人間 でも 、女性 でも ない 、白痴 か 狂人 の ように 見え 、その ふところ の 中 で 、自分 は かえって 全く 安心 して 、ぐっすり 眠る 事 が 出来ました 。 じぶん|に|は|いんばいふ|という|もの|が|にんげん|でも|じょせい|でも|ない|はくち|か|きょうじん|の|ように|みえ|その|ふところ|の|なか|で|じぶん|は|かえって|まったく|あんしん|して|ぐっすり|ねむる|こと|が|できました ||||||||||||||||||||||||懷抱||||||||| myself|locative particle|topic marker|prostitute|called|thing|subject marker|human|even|women|even|not|idiot|or|madman|attributive particle|like|looks|that|bosom|possessive particle|inside|at|myself|topic marker|rather|completely|peace of mind|doing|soundly|sleep|thing|subject marker|was able to 對我來說,淫賣婦似乎既不是人類,也不是女性,像白痴或瘋子一樣,反而讓我在她們的懷抱中感到完全安心,能夠安穩地睡著。 To me, prostitutes seemed neither human nor women, but rather like idiots or madmen, and within their embrace, I found myself completely at ease and able to sleep soundly. みんな 、哀しい くらい 、実に みじんも 慾 と いう もの が 無い のでした 。 みんな|かなしい|くらい|じつに|みじんも|よく|と|いう|もの|が|ない|のでした everyone|sad|to the extent|indeed|not at all|desire|and|called|thing|subject marker|there is not|it was 大家的慾望少得可憐,實在是一點都沒有。 Everyone, to a sad extent, truly had not a shred of desire. そうして 、自分 に 、同類 の 親和感 と でも いった ような もの を 覚える の か 、自分 は 、いつも 、その 淫売婦 たち から 、窮屈でない 程度 の 自然の 好意 を 示されました 。 そうして|じぶん|に|どうるい|の|しんわかん|と|でも|いった|ような|もの|を|おぼえる|の|か|じぶん|は|いつも|その|いんばいふ|たち|から|きゅうくつでない|ていど|の|しぜんの|こうい|を|しめされました ||||||||||||||||||||||||窘迫的|||| and|myself|locative particle|same kind|attributive particle|affinity|and|even|said|like|thing|object marker|remember|nominalizer|question marker|I|topic marker|always|that|prostitutes|plural marker|from|not cramped|degree|attributive particle|natural|affection|object marker|was shown |||||afinidade|||||||||||||||||||apertado|||| 所以,我不知道自己是否有一種與同類的親密感,我總是從那些淫賣婦身上感受到適度不覺得壓迫的自然好意。 And so, perhaps feeling a kind of affinity with their kind, I was always shown a degree of natural goodwill by those prostitutes that was not constricting. 何の 打算 も 無い 好意 、押し売り で は 無い 好意 、二度と 来 ない かも 知れぬ ひと へ の 好意 、自分 に は 、その 白痴 か 狂人 の 淫売婦 たち に 、マリヤ の 円光 を 現実 に 見た 夜 も あった のです 。 なんの|ださん|も|ない|こうい|おしうり|で|は|ない|こうい|にどと|き|ない|かも|しれぬ|ひと|へ|の|こうい|じぶん|に|は|その|はくち|か|きょうじん|の|いんばいふ|たち|に|マリヤ|の|えんこう|を|げんじつ|に|みた|よる|も|あった|のです |計算||||強迫推銷|||||||||||||||||||||||||||||瑪莉亞|||||| no|calculation|also|not|goodwill|aggressive selling|is|topic marker|not|goodwill|never again|come|not|maybe|do not know|person|to|possessive particle|goodwill|myself|locative particle|topic marker|that|idiot|or|madman|possessive particle|prostitutes|plural marker|locative particle|Maria|possessive particle|compensated dating|object marker|reality|locative particle|saw|night|also|was|you see |intenção||||venda forçada|||||||||||||||||||branco|idiota||||||||||||||| 沒有任何打算的好意,並不是強迫推銷的好意,對於可能再也不會來的人的好意,自己也曾經在那個看過瑪莉亞的圓光的夜晚,看到那些白痴或瘋子一樣的淫婦。 A goodwill without any calculation, a goodwill that was not pushy, a goodwill towards someone who may never come again; I had nights when I actually saw the light of Mary in those foolish or mad prostitutes.

しかし 、 自分 は 、 人間 へ の 恐怖 から のがれ 、 幽 かな 一夜 の 休養 を 求める ため に 、 そこ へ 行き 、 それ こそ 自分 と 「 同類 」 の 淫売 婦 たち と 遊んで いる うち に 、 いつのまに やら 無意識 の 、 或る いまわしい 雰囲気 を 身辺 に いつも ただよわせる よう に なった 様子 で 、 これ は 自分 に も 全く 思い 設け なかった 所 謂 「 おまけ の 附録 」 でした が 、 次第に その 「 附録 」 が 、 鮮明に 表面 に 浮き上って 来て 、 堀木 に それ を 指摘 せられ 、 愕然 がくぜんと して 、 そうして 、 いやな 気 が 致しました 。 |じぶん||にんげん|||きょうふ|||ゆう||いちや||きゅうよう||もとめる|||||いき|||じぶん||どうるい||いんばい|ふ|||あそんで||||||むいしき||ある||ふんいき||しんぺん|||||||ようす||||じぶん|||まったく|おもい|もうけ||しょ|い|||ふろく|||しだいに||ふろく||せんめいに|ひょうめん||うきあがって|きて|ほりき||||してき|せら れ|がくぜん|||||き||いたしました 然而,自己為了逃避對人類的恐懼,尋求那短暫的一夜休養,前往那裡,與那些和自己同類的淫婦們玩耍的過程中,不知不覺中,身邊總是彌漫著某種可怕的氛圍。這對我來說本來是完全沒有預設的所謂「附錄」,但隨著時間的推移,那個「附錄」漸漸鮮明地浮現在表面,被堀木指出,令我驚愕不已,心中也不自覺地感到不快。 However, I went there to escape the fear of humanity and to seek a faint night of rest, and while I was playing with those prostitutes who were 'of my kind', I somehow began to unconsciously exude a certain dreadful atmosphere around me, which was something I had never intended, so to speak, an 'extra appendix'. But gradually that 'appendix' began to surface clearly, and when Horiki pointed it out to me, I was astonished and felt an unpleasant sensation. はた から 見て 、 俗な 言い 方 を すれば 、 自分 は 、 淫売 婦 に 依って 女 の 修行 を して 、 しかも 、 最近 めっきり 腕 を あげ 、 女 の 修行 は 、 淫売 婦 に 依る の が 一ばん 厳しく 、 また それだけに 効果 の あがる もの だ そうで 、 既に 自分 に は 、 あの 、「 女 達者 」 と いう 匂い が つきまとい 、 女性 は 、( 淫売 婦 に 限ら ず ) 本能 に 依って それ を 嗅ぎ 当て 寄り添って 来る 、 そのような 、 卑猥 ひわ い で 不名誉な 雰囲気 を 、「 おまけ の 附録 」 と して もらって 、 そうして その ほう が 、 自分 の 休養 など より も 、 ひどく 目立って しまって いる らしい のでした 。 ||みて|ぞくな|いい|かた|||じぶん||いんばい|ふ||よって|おんな||しゅぎょう||||さいきん||うで|||おんな||しゅぎょう||いんばい|ふ||よる|||ひとばん|きびしく|||こうか|||||そう で|すでに|じぶん||||おんな|たっしゃ|||におい|||じょせい||いんばい|ふ||かぎら||ほんのう||よって|||かぎ|あて|よりそって|くる||ひわい||||ふめいよな|ふんいき||||ふろく||||||||じぶん||きゅうよう|||||めだって|||| 從旁人看來,俗話說的,自我似乎是因為淫婦而開始了對女性的修行,而且最近技藝大增。據說女性的修行由淫婦來進行是最嚴格的,而且也因此效果最佳。如今我身上已經籠罩著那種被稱為「女性優雅」的氣息,女性(不僅限於淫婦)本能地就能嗅到這種氣息,主動向我靠近。這樣的猥褻和不光彩的氛圍,即便當作「附錄」也好,似乎比我的休養更為顯眼。 From an outsider's perspective, to put it in a vulgar way, I have been training as a woman under the guidance of a prostitute, and recently I have significantly improved my skills. It is said that training as a woman under a prostitute is the most rigorous and, therefore, the most effective. Already, I have that scent of being a 'woman of skill' lingering around me, and women (not just prostitutes) instinctively catch a whiff of it and come closer. This kind of lewd and dishonorable atmosphere seems to be more prominent than my own rest.

堀木 は それ を 半分 は お世辞 で 言った のでしょう が 、 しかし 、 自分 に も 、 重苦しく 思い当る 事 が あり 、 たとえば 、 喫茶 店 の 女 から 稚拙な 手紙 を もらった 覚え も ある し 、 桜木 町 の 家 の 隣り の 将軍 の はたち くらい の 娘 が 、 毎朝 、 自分 の 登校 の 時刻 に は 、 用 も 無 さ そうな のに 、 ご 自分 の 家 の 門 を 薄化粧 して 出たり は いったり して いた し 、 牛肉 を 食い に 行く と 、 自分 が 黙って いて も 、 そこ の 女 中 が 、…… また 、 いつも 買いつけ の 煙草 屋 の 娘 から 手渡された 煙草 の 箱 の 中 に 、…… また 、 歌舞伎 を 見 に 行って 隣り の 席 の ひと に 、…… また 、 深夜 の 市電 で 自分 が 酔って 眠って いて 、…… また 、 思いがけなく 故郷 の 親戚 の 娘 から 、 思いつめた ような 手紙 が 来て 、…… また 、 誰 か わから ぬ 娘 が 、 自分 の 留守 中 に お 手製 らしい人形 を 、…… 自分 が 極度に 消極的 な ので 、 いずれ も 、 それっきり の 話 で 、 ただ 断片 、 それ 以上 の 進展 は 一 つ も ありません でした が 、 何 か 女 に 夢 を 見 させる 雰囲気 が 、 自分 の どこ か に つきまとって いる 事 は 、 それ は 、 のろ け だ の 何 だの と いう いい加減な 冗談 で なく 、 否定 できない ので ありました 。 ほりき||||はんぶん||おせじ||いった||||じぶん|||おもくるしく|おもいあたる|こと||||きっさ|てん||おんな||ちせつな|てがみ|||おぼえ||||さくらぎ|まち||いえ||となり||しょうぐん|||||むすめ||まいあさ|じぶん||とうこう||じこく|||よう||む||そう な|||じぶん||いえ||もん||うすげしょう||でたり||||||ぎゅうにく||くい||いく||じぶん||だまって|||||おんな|なか||||かいつけ||たばこ|や||むすめ||てわたされた|たばこ||はこ||なか|||かぶき||み||おこなって|となり||せき|||||しんや||しでん||じぶん||よって|ねむって|||おもいがけなく|こきょう||しんせき||むすめ||おもいつめた||てがみ||きて||だれ||||むすめ||じぶん||るす|なか|||てせい|らしい にんぎょう||じぶん||きょくどに|しょうきょく てき|||||||はなし|||だんぺん||いじょう||しんてん||ひと||||||なん||おんな||ゆめ||み||ふんいき||じぶん|||||||こと||||||||なん||||いいかげんな|じょうだん|||ひてい|でき ない|| Horiaki probably said that partly as flattery, but I also felt a heavy sense of realization. For example, I remember receiving a clumsy letter from a woman at a café, and the daughter of the general next door, who was about twenty, would come out of her house every morning at the time I was going to school, seemingly without any reason, lightly made up. When I went out to eat beef, even if I stayed silent, the waitress there... Also, the box of cigarettes handed to me by the daughter of the tobacco shop I always bought from... Again, when I went to see Kabuki, the person next to me... And when I was drunk and sleeping on the late-night streetcar... Also, unexpectedly, I received a letter from a relative's daughter back home that seemed to be filled with distress... And there was a girl I didn't recognize who left a handmade doll during my absence... Since I am extremely passive, none of these led to anything further, just fragments, and I couldn't deny that there was some atmosphere around me that made women dream. 自分 は 、 それ を 堀木 ごとき者 に 指摘 せられ 、 屈辱 に 似た 苦 にが さ を 感ずる と 共に 、 淫売 婦 と 遊ぶ 事 に も 、 にわかに 興 が 覚めました 。 じぶん||||ほりき|ごとき もの||してき|せら れ|くつじょく||にた|く||||かんずる||ともに|いんばい|ふ||あそぶ|こと||||きょう||さめました 我感到受到像堀木這樣的人指摘,並感受到類似屈辱的痛苦,同時對於與色情女性玩樂,也突然產生了興趣。 When I was pointed out by someone like Horiaki, I felt a humiliation akin to suffering, and at the same time, I suddenly became interested in associating with prostitutes.

堀木 は 、 また 、 その 見栄坊 みえぼう の モダニティ から 、( 堀木 の 場合 、 それ 以外 の 理由 は 、 自分 に は 今もって 考えられません の です が ) 或る 日 、 自分 を 共産 主義 の 読書 会 と か いう ( R ・ S と か いって いた か 、 記憶 が はっきり 致しません ) そんな 、 秘密の 研究 会 に 連れて 行きました 。 ほりき||||みえぼう|||||ほりき||ばあい||いがい||りゆう||じぶん|||いまもって|かんがえられません||||ある|ひ|じぶん||きょうさん|しゅぎ||どくしょ|かい|||||||||||きおく|||いたしません||ひみつの|けんきゅう|かい||つれて|いきました 堀木又因為那種虛榮的現代感,(在堀木的情況下,除了這個理由之外,我至今無法想出其他原因)有一天,他帶我去了一個所謂的共產主義讀書會(好像叫做R・S,記憶不太清楚)的秘密研究會。 Horiaki, from his pretentious modernity (in his case, I still can't think of any other reason), one day took me to a secret study group that he called a communist reading group (I can't clearly remember if it was called R.S. or something else). 堀木 など と いう 人物 に とって は 、共産主義 の 秘密 会合 も 、れいの 「東京 案内 」の 一つ くらい の もの だった の かも 知れません 。 ほりき|など|と|いう|じんぶつ|に|とって|は|きょうさんしゅぎ|の|ひみつ|かいごう|も|れいの|とうきょう|あんない|の|ひとつ|くらい|の|もの|だった|の|かも|しれません ||||人物||||||||會議|||||||||||| Horiki|etc|quotation particle|called|person|locative particle|for|topic marker|communism|attributive particle|secret|meeting|also|that|Tokyo|guide|possessive particle|one|about|attributive particle|thing|was|explanatory particle|maybe|don't know 對於像堀木這樣的人來說,共產主義的秘密會議或許也只不過是「東京指南」中的其中一個項目而已。 For a person like Horiki, the secret meetings of communism might have been just one of those "Tokyo tours." 自分 は 所謂 「同志 」に 紹介 せられ 、パンフレット を 一部 買わさ れ 、そうして 上座 の ひどい 醜い 顔 の 青年 から 、マルクス 経済学 の 講義 を 受けました 。 じぶん|は|いわゆる|どうし|に|しょうかい|せられ|パンフレット|を|いちぶ|かわさ|れ|そうして|うわざ|の|ひどい|みにくい|かお|の|せいねん|から|マルクス|けいざいがく|の|こうぎ|を|うけました ||||志同道合者||||小冊子||||||上座|||||||||||| myself|topic marker|so-called|comrades|locative particle|introduction|was introduced|pamphlet|object marker|one copy|made to buy|passive marker|and then|the seat of honor|attributive particle|terrible|ugly|face|attributive particle|young man|from|Marx|economics|attributive particle|lecture|object marker|received ||||||||||||||lugar de honra|||||||||economia marxista||| 我被所謂的「同志」介紹,購買了一部分小冊子,然後從座位上那個醜陋的青年那裡聽取了馬克思經濟學的講義。 I was introduced to what is called a "comrade," bought a pamphlet, and then received a lecture on Marxian economics from a terribly ugly young man in the front seat. しかし 、自分 に は 、それ は わかり切っている 事 の ように 思われました 。 しかし|じぶん|に|は|それ|は|わかりきっている|こと|の|ように|おもわれました ||||||完全明白|||| however|myself|locative particle|topic marker|that|topic marker|completely understand|thing|attributive particle|as if|was thought 然而,我覺得這對我來說,本來就應該是顯而易見的事。 However, it seemed to me that this was something I already understood. それ は 、そう に 違いない だろう けれども 、人間 の 心 に は 、もっと わけ の わからない 、おそろしい もの が ある 。 それ|は|そう|に|ちがいない|だろう|けれども|にんげん|の|こころ|に|は|もっと|わけ|の|わからない|おそろしい|もの|が|ある |||||||||||||理由|||||| that|topic marker|so|locative particle|must be|probably|but|human|possessive particle|heart|locative particle|topic marker|more|reason|attributive particle|incomprehensible|terrifying|thing|subject marker|there is 這樣或許是沒錯,但人心中還存在著更難以理解的可怕東西。 That may be true, but there are more incomprehensible and terrifying things in the human heart. 慾 、 と 言って も 、 言い たりない 、 ヴァニティ 、 と 言って も 、 言い たりない 、 色 と 慾 、 と こう 二 つ 並べて も 、 言い たりない 、 何だか 自分 に も わから ぬ が 、 人間 の 世 の 底 に 、 経済 だけ でない 、 へんに 怪談 じみ たも の が ある ような 気 が して 、 その 怪談 に おびえ 切って いる 自分 に は 、 所 謂唯 物 論 を 、 水 の 低き に 流れる よう に 自然に 肯定 し ながら も 、 しかし 、 それ に 依って 、 人間 に 対する 恐怖 から 解放 せられ 、 青葉 に 向って 眼 を ひらき 、 希望 の よろこび を 感ずる など と いう 事 は 出来ない のでした 。 よく||いって||いい||||いって||いい||いろ||よく|||ふた||ならべて||いい||なんだか|じぶん||||||にんげん||よ||そこ||けいざい||で ない||かいだん|||||||き||||かいだん|||きって||じぶん|||しょ|いただ|ぶつ|ろん||すい||ひくき||ながれる|||しぜんに|こうてい|||||||よって|にんげん||たいする|きょうふ||かいほう|せら れ|あおば||むかいって|がん|||きぼう||||かんずる||||こと||でき ない| 慾,雖然這樣說,但仍然無法完全表達,虛榮,雖然這樣說,但仍然無法完全表達,色與慾,這兩者並列,卻仍然無法完全表達,不知道為何,似乎在這人類的世界底部,除了經濟外,還有一些奇妙的、類似怪談的東西,這樣想著,對於那個怪談感到恐懼的自己,所謂的唯物論,雖然像水流入低處一樣自然地肯定著,但因此並不能使我擺脫對人類的恐懼,向著青葉張開眼睛,感受到希望的喜悅。 Desire, even if I say it, is not enough; vanity, even if I say it, is not enough; even if I line up these two, desire and vanity, it is still not enough. I somehow feel that there is something strangely ghostly at the bottom of human society, not just economics, and while I naturally affirm what is called materialism, flowing like water to a low place, I am terrified of that ghost story, and I cannot open my eyes to the green leaves and feel the joy of hope. けれども 、 自分 は 、 いち ども 欠席 せず に 、 その R ・ S ( と 言った か と 思います が 、 間違って いる かも 知れません ) なる もの に 出席 し 、「 同志 」 たち が 、 いやに 一大事 の 如く 、 こわばった 顔 を して 、 一 プラス 一 は 二 、 と いう ような 、 ほとんど 初等 の 算 術 めいた 理論 の 研究 に ふけって いる の が 滑稽に 見えて たまら ず 、 れいの 自分 の お 道化 で 、 会合 を くつろが せる 事 に 努め 、 その ため か 、 次第に 研究 会 の 窮屈な 気配 も ほぐれ 、 自分 は その 会合 に 無くて かなわ ぬ人気者 と いう 形 に さえ なって 来た ようでした 。 |じぶん||||けっせき|せ ず||||||いった|||おもいます||まちがって|||しれません||||しゅっせき||どうし||||いちだいじ||ごとく||かお|||ひと|ぷらす|ひと||ふた|||||しょとう||さん|じゅつ||りろん||けんきゅう||||||こっけいに|みえて||||じぶん|||どうけ||かいごう||||こと||つとめ||||しだいに|けんきゅう|かい||きゅうくつな|けはい|||じぶん|||かいごう||なくて||ぬ にんきもの|||かた||||きた| 然而,我卻從未缺席地參加過那個R・S(我覺得這是這樣說的,但可能是錯的)之類的會議,'同志'們一副如同重大事件般僵硬的面孔,專注於一加一等於二的近乎初等的數學理論的研究,這讓我覺得非常滑稽,於是便用我一貫的道化,努力使會議變得輕鬆,或許因此,研究會的緊張氣氛逐漸緩和,我似乎也成為了在這個會議上必不可少的受歡迎角色。 However, I attended that R.S. (I think I said, but I might be mistaken) without ever being absent, and it was amusing to see my 'comrades' with stiff faces as if it were a major event, engrossed in the study of theories that were almost elementary arithmetic, like one plus one equals two. I made an effort to lighten the mood of the meeting with my usual antics, and perhaps because of that, the tense atmosphere of the study group gradually relaxed, and I seemed to have become a popular figure who was indispensable to that gathering. この 、単純 そうな 人 たち は 、自分 の 事 を 、やはり この 人 たち と 同じ 様に 単純で 、そうして 、楽天的な おどけ者の 「同志 」くらい に 考えていた かも 知れません が 、もし 、そう だったら 、自分 は 、この 人 たち を 一 から 十 まで 、あざむいていた わけです 。 この|単純|そうな|人|たち|は|自分|の|事|を|やはり|この|人|たち|と|同じ|様に|単純で|そうして|楽天的な|おどけ者の|同志|くらい|に|考えていた|かも|知れません|が|もし|そう|だったら|自分|は|この|人|たち|を|一|から|十|まで|あざむいていた|わけです ||||||||||||||||||||||滑稽者|||||||||||||||||||| this|simple|looks like|people|plural marker|topic marker|myself|possessive particle|things|object marker|indeed|this|people|plural marker|and|same|like|simple and|and|optimistic|jokester's|comrades|about|locative particle|was thinking|maybe|don't know|but|if|so|if it was|I|topic marker|this|people|plural marker|object marker|one|from|ten|to|deceiving|it means ||||||||||||||||||||||おどけ者|||||||||||||||||||| |simples||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| 這些看似單純的人們,或許也將我視為跟他們一樣單純的,並且看作是一位樂天派的小丑'同志',但如果是這樣的話,那麼我就從一開始到十全都在欺騙這些人。 These seemingly simple people might have thought of me as simple as they were, and perhaps as a cheerful jester of a 'comrade.' But if that were the case, I would have been deceiving them from one to ten. 自分 は 、同志 で は 無かった んです 。 じぶん|は|どうし|で|は|なかった|んです myself|topic marker|comrade|and|topic marker|was not|you see I was not a comrade. けれども 、その 会合 に 、いつも 欠かさず 出席 して 、皆 に お道化 の サーヴィス を して 来ました 。 けれども|その|かいごう|に|いつも|かかさず|しゅっせき|して|みんな|に|おどけ|の|サーヴィス|を|して|きました but|that|meeting|at|always|without fail|attendance|doing|everyone|to|clowning|attributive particle|service|object marker|doing|have come 然而,我一直參加那個會議,經常提供服務來逗樂大家。 However, I have always attended that meeting without fail and provided everyone with comic relief.

SENT_CWT:AfvEj5sm=12.59 PAR_TRANS:gpt-4o-mini=5.61 en:AfvEj5sm openai.2025-02-07 ai_request(all=72 err=0.00%) translation(all=57 err=0.00%) cwt(all=2053 err=69.75%)