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The Most Famous Yōkai (妖怪), 鬼 ババ ・やま ん ば | 山姥 の 顔 を した かんぴょう

鬼 ババ ・やま ん ば | 山姥 の 顔 を した かんぴょう

むかし むかし 、ほら 穴 の たくさん ある 谷 が ありました。

その ほら 穴 の ひと つ に 、いつ の ころ から か 山姥 (やま ん ば →詳細 )が 住みつく よう に なりました。

ある 日 、その 山姥 が 人間 の おばあ さん に 姿 を 変えて 、機織り (はたおり →布 を 作る 仕事 )の 家 へ やってきました。

「わし は 、若い ころ から 糸 を つむいで きた ので 、ここ で 仕事 を さ せて くれ。 金 も いら ん し 、ご飯 も 食べ ない から」

おかしな こと を いう おばあ さん だ と 思いました が 、ただ で 働く と 聞いて 、主人 は 喜んで お ばあさん を 働かせる こと に しました。

おばあ さん は 、毎朝 きめられた 時間 に やってきて 、夕方 まで 糸車 を まわして 糸 を つむぎます。

ところが 、一 日 じゅう 仕事 を して いる のに 、何 日 たって も 糸 まき の 太さ が 変わりません。

ふしぎ に 思った 主人 が 、そっと ようす を 見て みる と 、糸 車 を まわし ながら 、あくび ばかり して います。

その とき の 口 の 大き さ と いったら 、ふつうの 人間 の 十 倍 も ある のです。

(さては あの ばあさん 、人間 じゃ ない な。 よし 、わし が 正体 を あばいて やる)

そこ で 次の 日 、火鉢 (ひばち )の 中 に 小石 を 入れ 、お ばあさん が あくび を する の を 待って いました。

仕事場 に 主人 が いる ので 、おばあ さん は めずらしく あくび を しません。

(さては 、気づかれた かな? )

主人 は わざと 横 を むき 、な に くわ ぬ 顔 で ようす を うかがって いたら 、ついに おばあ さん が 、大きな 口 を あけて あくび を しました。

(いまだ! )

主人 は 、焼けた 小石 を あつい 布 で つかむ なり 、その 口 の 中 へ 投げ入れました。

「ウギャャャァァ!

おばあ さん は 悲鳴 を あげて 飛びあがる と 、外 へ 逃げだしました。

主人 は 、若い 男 たち と おばあ さん を 追いかけました が 、その 足 は とても 早く 、あっというま に 姿 を 消して しまいました。

それ から 何 日 か すぎた ころ 、村 の者 が 谷川 の そば で 魚 を とって いたら 、目の前 の ほら穴 から 、人 の うめく ような 声 が します。

こわごわ 中 を のぞいて みたら 、なんと 山姥 が いて 、苦し そうに もがいて いる では ありません か。

(もしかしたら 、この 山姥 が 、ばあさん に 化けて 機織り に 来て いた の かも しれ ない)

村 の者 は おおいそぎ で 谷川 を くだり 、機織り の 家 の 主人 に 知らせました。

主人 が 男 たち を つれて ほら 穴 へ 行く と 、山姥 の 姿 は なく 、口 の 中 を やけど した 一 匹 の 山 犬 が 死んで いました。

「この 山 犬 が 山姥 に 化け 、さらに 、ばあさん に 化けて 家 へ 来て いた の か」

主人 は ビックリ する やら ホッ と する やら 、山 犬 の 死体 を ほら 穴 から 引きずりだし 、近く の 山 に 穴 を ほって うめました。

さて 、その 年 の 夏 、この 家 で 育てて いる かんぴょう の つる に 、大きな 実 が なりました。

ふしぎな こと に 、実 が 大きく なる に つれて 、人 の 顔 に 似て きます。

主人 も 家 の者 も 気味 悪く 思って いたら 、なんと 、あの 山姥 の 顔 そっくり の 実に なった のです。

「早く あの 実 を とって 、川 へ 捨てて こい」

主人 の 命令 で 、若い 男 が その実 を とり 、川 へ 捨て に 行きました。

「このまま 捨てて は 、川下 の 人 たち も ビックリ する だろう」

と 、いう ので 、若い 男 が オノ で まっ 二つ に 割ったら 、中 から まっ赤 な 血 が ほとばしり でました。

「うえっ・・・」

おどろいた 若い 男 は 、それ を 川 へ 投げすてる なり 、あと も 見 ず に 逃げ かえりました。

まっ二 つ に 割られた 山姥 の 顔 そっくり の かんぴょう は 、川 の 水 を 赤く 染め ながら 、ゆっくり と 川下 の 方 へ 流れて いきました。

そんな こと が あって から 、機織り の 家 に つぎつぎ と 不幸 が おこり 、何 年 も し ない うち に 家 が ほろんで しまった と いいます。

それ から この 地方 で は 、いま も かんぴょう だけ は 作ら ない そうです。

おしまい

鬼 ババ ・やま ん ば | 山姥 の 顔 を した かんぴょう おに|||||やまうば||かお||| KANPYO with the face of YAMANBA KANPYO avec le visage de Yamamba KANPYO com o rosto de Yamamba КАНПЬЁ с лицом Ямамбы Oni Baba/Yamanba | 有著山女面孔的 Kanpyo

むかし むかし 、ほら 穴 の たくさん ある 谷 が ありました。 |||あな||||たに|| Once upon a time there was a valley with many caves.

その ほら 穴 の ひと つ に 、いつ の ころ から か 山姥 (やま ん ば →詳細 )が 住みつく よう に なりました。 ||あな||||||||||やまうば||||しょうさい||すみつく||| At some point, a mountain witch (Yamanba →detail) began to live in one of these caves.

ある 日 、その 山姥 が 人間 の おばあ さん に 姿 を 変えて 、機織り (はたおり →布 を 作る 仕事 )の 家 へ やってきました。 |ひ||やまうば||にんげん|||||すがた||かえて|はたおり||ぬの||つくる|しごと||いえ|| One day, the mountain witch changed into a human old woman and came to a weaver's house.

「わし は 、若い ころ から 糸 を つむいで きた ので 、ここ で 仕事 を さ せて くれ。 ||わかい|||いと|||||||しごと|||| "I've been spinning threads since I was young, so let me work here. 金 も いら ん し 、ご飯 も 食べ ない から」 きむ|||||ごはん||たべ|| I don't need money, and I don't eat rice."

おかしな こと を いう おばあ さん だ と 思いました が 、ただ で 働く と 聞いて 、主人 は 喜んで お ばあさん を 働かせる こと に しました。 ||||||||おもいました||||はたらく||きいて|あるじ||よろこんで||||はたらかせる||| I thought she was crazy, but when my husband heard that she would work for free, he gladly agreed to put her to work.

おばあ さん は 、毎朝 きめられた 時間 に やってきて 、夕方 まで 糸車 を まわして 糸 を つむぎます。 |||まいあさ||じかん|||ゆうがた||いと くるま|||いと|| Every morning, grandmother arrives at the appointed time and spins the yarn wheel until evening.

ところが 、一 日 じゅう 仕事 を して いる のに 、何 日 たって も 糸 まき の 太さ が 変わりません。 |ひと|ひ||しごと|||||なん|ひ|||いと|||ふと さ||かわりません However, even though I worked all day, the thickness of the thread did not change even after several days.

ふしぎ に 思った 主人 が 、そっと ようす を 見て みる と 、糸 車 を まわし ながら 、あくび ばかり して います。 ||おもった|あるじ|||||みて|||いと|くるま||||||| Thinking it strange, the master quietly looked at her and found him yawning as the spinning wheel turned.

その とき の 口 の 大き さ と いったら 、ふつうの 人間 の 十 倍 も ある のです。 |||くち||おおき|||||にんげん||じゅう|ばい||| The size of the mouth at that time was ten times that of a normal human.

(さては あの ばあさん 、人間 じゃ ない な。 |||にんげん||| (Well, that old lady isn't human. よし 、わし が 正体 を あばいて やる) |||しょうたい||| Alright, I'll reveal your true identity.)

そこ で 次の 日 、火鉢 (ひばち )の 中 に 小石 を 入れ 、お ばあさん が あくび を する の を 待って いました。 ||つぎの|ひ|ひばち|||なか||こいし||いれ|||||||||まって| So the next day, I put a pebble in the brazier and waited for my grandmother to yawn.

仕事場 に 主人 が いる ので 、おばあ さん は めずらしく あくび を しません。 しごとば||あるじ|||||||||| Since her husband is at work, she rarely yawns.

(さては 、気づかれた かな? |きづかれた| )

主人 は わざと 横 を むき 、な に くわ ぬ 顔 で ようす を うかがって いたら 、ついに おばあ さん が 、大きな 口 を あけて あくび を しました。 あるじ|||よこ|||||||かお||||||||||おおきな|くち||||| The husband deliberately turned his head to the side and watched with a blank face when the old woman finally opened her mouth wide and yawned.

(いまだ! )

主人 は 、焼けた 小石 を あつい 布 で つかむ なり 、その 口 の 中 へ 投げ入れました。 あるじ||やけた|こいし|||ぬの|||||くち||なか||なげいれました The master grabbed the burned pebble with a hot cloth and threw it into his mouth.

「ウギャャャァァ!

おばあ さん は 悲鳴 を あげて 飛びあがる と 、外 へ 逃げだしました。 |||ひめい|||とびあがる||がい||にげだしました Grandma screamed, jumped up, and ran outside.

主人 は 、若い 男 たち と おばあ さん を 追いかけました が 、その 足 は とても 早く 、あっというま に 姿 を 消して しまいました。 あるじ||わかい|おとこ||||||おいかけました|||あし|||はやく|||すがた||けして| He chased after the young men and their grandmother, but they were so fast on their feet that they were gone before he could see them.

それ から 何 日 か すぎた ころ 、村 の者 が 谷川 の そば で 魚 を とって いたら 、目の前 の ほら穴 から 、人 の うめく ような 声 が します。 ||なん|ひ||||むら|の しゃ||たにかわ||||ぎょ||||めのまえ||ほら あな||じん||||こえ|| A few days later, while the villagers were fishing near the valley, they heard a groaning voice coming from the cave in front of them.

こわごわ 中 を のぞいて みたら 、なんと 山姥 が いて 、苦し そうに もがいて いる では ありません か。 |なか|||||やまうば|||にがし|そう に||||| When I looked inside, I found a mountain witch struggling in pain.

(もしかしたら 、この 山姥 が 、ばあさん に 化けて 機織り に 来て いた の かも しれ ない) ||やまうば||||ばけて|はたおり||きて||||| (Perhaps this mountain witch disguised herself as an old woman and came to weave.)

村 の者 は おおいそぎ で 谷川 を くだり 、機織り の 家 の 主人 に 知らせました。 むら|の しゃ||||たにかわ|||はたおり||いえ||あるじ||しらせました The villagers hurried down the valley river to inform the weaver's master.

主人 が 男 たち を つれて ほら 穴 へ 行く と 、山姥 の 姿 は なく 、口 の 中 を やけど した 一 匹 の 山 犬 が 死んで いました。 あるじ||おとこ|||||あな||いく||やまうば||すがた|||くち||なか||||ひと|ひき||やま|いぬ||しんで| When the master took the men to the cave, the mountain witch was nowhere to be seen, and a wild dog was dead with a burn on the inside of its mouth.

「この 山 犬 が 山姥 に 化け 、さらに 、ばあさん に 化けて 家 へ 来て いた の か」 |やま|いぬ||やまうば||ばけ||||ばけて|いえ||きて||| "Did this mountain dog turn into Yamamba, and then into a grandmother, and come to my house?"

主人 は ビックリ する やら ホッ と する やら 、山 犬 の 死体 を ほら 穴 から 引きずりだし 、近く の 山 に 穴 を ほって うめました。 あるじ||びっくり|||ほっ||||やま|いぬ||したい|||あな||ひきずりだし|ちかく||やま||あな||| To his surprise and relief, the owner pulled the dead mountain dog out of the hole and buried it in a nearby mountain.

さて 、その 年 の 夏 、この 家 で 育てて いる かんぴょう の つる に 、大きな 実 が なりました。 ||とし||なつ||いえ||そだてて||||||おおきな|み|| By the way, in the summer of that year, the vine of the Kanpyo that I was growing in this house bore a large amount of fruit.

ふしぎな こと に 、実 が 大きく なる に つれて 、人 の 顔 に 似て きます。 |||み||おおきく||||じん||かお||にて| The funny thing is, as the fruit grows larger, it begins to resemble a human face.

主人 も 家 の者 も 気味 悪く 思って いたら 、なんと 、あの 山姥 の 顔 そっくり の 実に なった のです。 あるじ||いえ|の しゃ||きみ|わるく|おもって||||やまうば||かお|||じつに|| My husband and the rest of the family thought it was creepy, but to my surprise, it turned out to be a fruit that looked just like that mountain witch.

「早く あの 実 を とって 、川 へ 捨てて こい」 はやく||み|||かわ||すてて|

主人 の 命令 で 、若い 男 が その実 を とり 、川 へ 捨て に 行きました。 あるじ||めいれい||わかい|おとこ||そのじつ|||かわ||すて||いきました On his master's orders, a young man took the fruit and went to the river to throw it away.

「このまま 捨てて は 、川下 の 人 たち も ビックリ する だろう」 |すてて||かわしも||じん|||びっくり|| If we just throw it away, the people downstream will be surprised."

と 、いう ので 、若い 男 が オノ で まっ 二つ に 割ったら 、中 から まっ赤 な 血 が ほとばしり でました。 |||わかい|おとこ||おの|||ふた つ||わったら|なか||まっあか||ち||| So when the young man split it in half with an ax, bright red blood spurted out.

「うえっ・・・」 う えっ

おどろいた 若い 男 は 、それ を 川 へ 投げすてる なり 、あと も 見 ず に 逃げ かえりました。 |わかい|おとこ||||かわ||なげすてる||||み|||にげ| The frightened young man threw it into the river and ran away without looking.

まっ二 つ に 割られた 山姥 の 顔 そっくり の かんぴょう は 、川 の 水 を 赤く 染め ながら 、ゆっくり と 川下 の 方 へ 流れて いきました。 まっふた|||わられた|やまうば||かお|||||かわ||すい||あかく|しめ||||かわしも||かた||ながれて| The kanpyo, which looked just like Yamamba's face, was split in half and slowly floated downstream, turning the river water red.

そんな こと が あって から 、機織り の 家 に つぎつぎ と 不幸 が おこり 、何 年 も し ない うち に 家 が ほろんで しまった と いいます。 |||||はたおり||いえ||||ふこう|||なん|とし||||||いえ||||| It is said that after this incident, misfortunes occurred one after another in the weaver's house, and within a few years the house was destroyed.

それ から この 地方 で は 、いま も かんぴょう だけ は 作ら ない そうです。 |||ちほう||||||||つくら||そう です Also, it seems that people in this region still don't make kanpyo.

おしまい