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三姉妹探偵団 1, 三姉妹探偵団01 Prologue

三姉妹探偵団01 Prologue

プロローグ ── 火事

最初に 煙 の 匂い に 気付いた の は 、 次女 の 夕 里子 だった 。

三 人 姉妹 の 中 で は 、 実際 、 何事 に も 一 番 めざとい の が 夕 里子 である 。

鼻 を つく 、 こげ くさい 匂い 。 ただ 、 魚 が こげて いる と か 、 そんな もの で は ない 。 鼻 の 粘膜 が ヒリ つく ような 、 刺激 の 強い 匂い だった 。

ベッド に ハッと 起き上った の は いい が 、 その 拍子 に 、 妹 が 寝て いる 上 の 段 の 底 板 に 頭 を いやというほど ぶつけて 、

「 あ 、 畜生 ! と 、 十七 歳 の 乙女 らしから ぬ 言葉 を 吐いた 。

姉妹 の 寝て いる 八 畳 間 は 、 真っ暗だった 。 頭 の てっぺん を さすり ながら 、 夕 里子 は ベッド から 出る と 、 蛍光 灯 の 紐 を 手探り した 。

こういう とき に は 、 勘 が 狂う もの だ 。

「 エイッ ! かけ声 を かけて 手 を 振り回す と 、 紐 が 触れた の は いい が 、 今度 は 紐 を はね飛ばして しまって 、 また 分 ら なく なって しまう 。 やっと の 思い で 紐 を 捕まえ 、 引 張る と 、 グローランプ が 二 、 三 度 瞬いて 、 明るく なった 。

ドア の 下 から は 、 もう 白い 煙 が じわじわ と 広がり つつ あって 、 部屋 の 空気 も 少し かすんで いる 。 さすが に 度胸 の いい 夕 里子 も 、 一瞬 青ざめた 。

しかし 、 呆然と 突っ立って いる とき で は ない のだ 。 まず 二 段 ベッド の 梯子 に 飛びついて 妹 の 珠美 の 毛布 を はぎ取って 、

「 珠美 ! 起きて ! 胸ぐら つかんで 揺さぶった 。

「 えっ ? なに ? どうした の ! 十四 歳 の 珠美 は 、 寝坊 でも した と 思った の か 、 ガバ と 起き上り 、

「 何 時 ? と 訊 いた 。

「 火事 よ ! と 夕 里子 が 怒鳴る 。

「 えっ ? もう 九 時 ? 遅刻 だ わ ! 「 馬鹿 、 火事 だって 言って ん の 。 早く 降りろ 、 こら ! 珠美 も 下 を 覗いて 、 煙 に 気付いた 。

「 や だ ! お 姉ちゃん 、 どう しよう ? 「 早く 降りて ! 夕 里子 は 飛び降りる と 、 一 人 だけ 普通の ベッド で 寝て いる 長女 の 綾子 へ と 駆け寄った 。 これ が 大変な のだ 。

「 姉さん ! 起きて ! 火事 よ ! 思い切り 揺さぶる が 、 綾子 は 、 低く 唸った きり で 起き ない 。 何しろ 低 血圧 で 寝起き が 悪い の は 姉妹 でも 群 を 抜いて いる 。 一 度 寝て しまう と 、 ちょっと や そっと の こと で は 起き ない のである 。

夕 里子 と 珠美 が 悲鳴 を 上げた 地震 の とき も 、 全く 知ら ず に 眠って いた こと が ある くらい だ 。

「 姉さん ! 「 何 よ ……」

綾子 が やっと 瞼 を 重そう に 開けた 。

「 火事 よ ! 「 火事 ? ── どこ が ? 「 うち が 、 よ ! 早く 起きて ! 逃げる の よ ! 綾子 も 、 やっと 煙 に 気付いて 事態 を 理解 した らしい 。 ベッド から 這い 出す と 、 煙 を 吸って むせた 。

「 立た なきゃ ! ほら 、 煙 を 吸っちゃ うわ よ 」

「 うん ……」

綾子 と して は 、 これ で 精一杯 な のである 。

「 パパ は ? と よろけ ながら 立ち上る 。

「 出張 中 」

「 あ 、 そう か ……。 よかった 」

「 何 を 呑気 な こ と 言って ん の 。 早く 外 へ ──」

「 待って ! 待って よ 」

と 綾子 は 夕 里子 の 腕 を つかんだ 。 「 私 、 ネグリジェ よ 。 服 着る から ──」

「 焼け 死んだら 、 もっと カッコ悪い わ よ ! 夕 里子 は 頭 へ 来て 怒鳴った 。

「 分 った わ よ 」

綾子 は まだ 寝ぼけ 顔 で 、 不服 そうに 、「 あんた 、 怒る と ママ そっくり 」

「 余計な こと 言って る ヒマ が ──」

と 言い ながら ドア を 開けて 、 夕 里子 は 立ちすくんだ 。 赤い 炎 が 目の前 の 壁 を なめ 始めて いる 。 天井 は もう 火 に 包ま れて いた 。

「 だめだ わ 。 窓 から ! ドア を 叩きつける ように 閉める と 、 夕 里子 は 、 奥 の 窓 へ 駆け寄った 。 幸いな こと に 平屋 造り である 。

「 でも 金網 が 張って ある よ 」

と 、 珠美 が 言った 。

夏 の 虫 よけ に 、 細かい 金網 を 打ちつけて ある のだ 。 窓 を 開ける と 、 夕 里子 は 叫んだ 。

「 破る の よ 。 椅子 ! ほら 、 それ かして 」

妹 の 勉強 机 の 椅子 を かつぎ 上げる と 、 金網 めがけて 叩きつける 。 足 の 先 が 網 を 破って 外 へ 突き出る 。

「 もう 一 度 ! 珠美 ! 見て ないで 手伝って よ ! 珠美 が あわてて 椅子 を 一緒に かつぐ 。

「 そら ! 力一杯 椅子 を 金網 へ と 突き出す と 、 そのまま 椅子 は スッポ 抜けて 、 窓 の 外 へ 消えた 。

「 珠美 、 早く 出て ! 「 私 が 先 ? 「 いい から 早く して ! お 姉さん 、 出て よ 」

綾子 は 、 ぼんやり と 腕組み して 立って いる 。

「 あんた 先 に 出て 。 妹 な んだ から 」

「 そんな こと 言って る とき じゃ ない よ ! 急いで 、 ほら ──」

スローモー な 姉 を 一 人 で 置いて ったら 、 また 一 つ 欠 伸 を して ベッド へ 戻り かね ない 。 強引に 窓 の 方 へ と 引 張って 、 背中 を ぐいぐい 押す 。

「 分 った から ── 押さ ないで 。 危 い じゃ ない の ! 火事 と どっち が 危 いんだ か ! やっとこ 綾子 を 押し出した とき 、 ドア が 突然 倒れた 。 火 の 塊 が 天井 へ と 突き抜けて 、 ドーンと 凄い 音 が した 。

「 お 姉ちゃん ! 外 で 珠美 の 呼ぶ 声 が する 。 夕 里子 は あわてて 窓 へ と 頭から 突っ込んで 行った 。

窓 の 真 下 に 、 先 に 出た 綾子 が 、 まだ 座り込んで いた 。 夕 里子 は その 真 上 に 落ちた わけである 。

「 痛い ! 「 キャーッ ! 二 人 は もつれる ように して その 場 から 這って 逃げ出した 。

「 お 姉ちゃん ……」

珠美 が 妙に 上ずった 声 を 出した 。

夕 里子 は 起き上って 振り向き 、 目 を 見張った 。 ほんの 数 秒 前 に 出て 来た 窓 から 、 黄色い 炎 が 、 まるで 巨大な ガス バーナー みたいな 勢い で 吹き出して いた 。

そして 、 姉妹 たち の 家 は 、 もう 八 割方 、 炎 に 包ま れて いた 。

「 家 が …… なく なっちゃ う ……」

珠美 が 気 の 抜けた ような 声 を 出した 。

「 うん ……」

夕 里子 も 、 ぼんやり と して 、 ただ 肯 いた 。

三 人 の 家 は 、 この 新興 住宅 地 の 一 画 でも 、 少し 離れて 、 ポツンと 高台 に 建って いて 、 隣 近所 と いって も 、 軒 を 接して いる わけで は なかった から 、 延焼 の 心配 は なかった 。 もっとも 、 三 人 と も 、 そんな こと に まで 、 とても 頭 が 回ら なかった が 。

「 夕 里子 ……」

と 、 綾子 が 呟く ように 言った 。

「 なあ に ? 「 一一九 番 し なかった わ ね 」

「 うん ……」

今さら 電話 した って 、 どう なる の 、 と 叫び たい の を 抑えて 、 夕 里子 は 肯 いた 。 お 姉さん は そういう 人 なんだ から 。

人間 、 悲劇 的な 立場 に 立た さ れる と 、 却って 寛大に なれる もの な のである 。

そこ へ 、 坂 を 駆け上って 来る 足音 が した 。

「 おい ! 大丈夫 か ! 「 あ 、 先生 ──」

と 珠美 が 言った 。

この 少し 先 に 住んで いる 、 安東 と いう 教師 だった 。 珠美 の 通って いる 中学校 で 、 国語 を 教えて いる 。

パジャマ 姿 に サンダル を 引っかけて 、 駆けて 来る 。

「 どうした ん だ ! 「 分 り ませ ん 。 寝て たら 急に ──」

「 みんな 無事 か ? ── お 父さん は どうした ? 「 パパ 、 出張 です 」

「 そう か 、 じゃ 、 君 ら だけ な んだ な ? 良かった ! 家 が バリバリ と 裂ける ような 音 を 立てた 。

「 危 い ぞ 。 退 がって いた 方 が いい 」

屋根 が 崩れ落ちた 。 火 の 粉 が 無数に 夜空 へ 舞い 上って 、 夕 里子 は こんな 場合 な のに 、 きれいだ な 、 と 思った 。

「── 何も 持ち出せ なかった わ 」

と 、 やっと 目 が 覚め 切った らしい 綾子 が 言った 。 「 保険 の 証書 も 焼けちゃ った の かしら 」

「 命 が ある んだ ! と 安東 が 太い 声 で 言った 。 「 みんな 火傷 も せ ず に 、 生きて る んだ ! それ が 何より じゃ ない か 」

理屈 は そう だ けど ね 。 ── 夕 里子 は 心 の 中 で 、 焼けて 行く 一つ一つ の 品物 を 思い出して いた 。 小学校 から 使った 机 、 買った ばかりの 鞄 、 お気に入り の ワンピース 、 まだ 一 回 は いただけ の 靴 ……。

そうだ 。 死んだ ママ の 写真 も 、 焼けて しまった 。

── サイレン が 遠く から 近付いて 来る 。

「 やっと 来た か 」

と 安東 が 言った 。

「 先生 が 電話 して 下さった んです か ? と 綾子 が 訊 いた 。

「 うん 。 もっと すぐ 来る と 思った が ……」

全部 焼け落ちて しまう わ 、 この 様子 じゃ 、 と 夕 里子 は 思った 。 サイレン と 鐘 の 音 が 、 少しずつ 近付いて 来て 、 他 に も 何 人 か 、 近所 の 人 たち が 、 寝 衣 姿 で 走って 来る の が 、 炎 に 照らし出さ れて 目 に 入った 。

炎 は 少し 勢い を 弱め つつ あった 。 もう 、 燃える 物 が なくなって 来た のだ 。

夕 里子 は 、 初めて 夜 気 の 冷た さ を 感じて 、 身震い した 。


三姉妹探偵団01 Prologue みっ しまい たんてい だん|prologue Three Sisters Detective Agency 01 Prologue

プロローグ ── 火事 ぷろろーぐ|かじ Prologue - fire Prólogo ── Fogo

最初に 煙 の 匂い に 気付いた の は 、 次女 の 夕 里子 だった 。 さいしょに|けむり||におい||きづいた|||じじょ||ゆう|さとご| The first thing I noticed the smell of smoke was Riko Isumi, my second daughter. A primeira pessoa a notar o cheiro de fumaça foi sua segunda filha, Yuriko.

三 人 姉妹 の 中 で は 、 実際 、 何事 に も 一 番 めざとい の が 夕 里子 である 。 みっ|じん|しまい||なか|||じっさい|なにごと|||ひと|ばん||||ゆう|さとご| Among the three sisters, in fact, the most important thing is Yukari child. Das três irmãs, na verdade, o filho adotivo é o mais importante em tudo.

鼻 を つく 、 こげ くさい 匂い 。 はな|||||におい I get a nose, a smelly smell. Tem nariz e cheiro escuro. 鼻子闻起来像一个燃烧的鼻子。 ただ 、 魚 が こげて いる と か 、 そんな もの で は ない 。 |ぎょ|||||||||| However, it is not such a thing whether fish is rubbing. No entanto, não é o caso de os peixes serem queimados. 鼻 の 粘膜 が ヒリ つく ような 、 刺激 の 強い 匂い だった 。 はな||ねんまく|||||しげき||つよい|におい| It was a strong irritating smell like a mucous membrane of the nose. Ele tinha um odor forte e pungente, como uma sensação de formigamento na membrana mucosa do nariz.

ベッド に ハッと 起き上った の は いい が 、 その 拍子 に 、 妹 が 寝て いる 上 の 段 の 底 板 に 頭 を いやというほど ぶつけて 、 べっど||はっと|おきあがった||||||ひょうし||いもうと||ねて||うえ||だん||そこ|いた||あたま||| It is nice to get up and get up on the bed, but at that time the boy hurt his head to the bottom plate of the sister on which the younger sister is sleeping, É bom levantar da cama, mas no ritmo disso, bati minha cabeça contra a placa de baixo da camada superior onde minha irmã estava dormindo.

「 あ 、 畜生 ! |ちくしょう "Oh, damn it! "Oh droga! と 、 十七 歳 の 乙女 らしから ぬ 言葉 を 吐いた 。 |じゅうしち|さい||おとめ|||ことば||はいた I spewed a word unfamiliar with the maiden of 17 years old. E ele cuspiu palavras que não eram como uma donzela de dezessete anos.

姉妹 の 寝て いる 八 畳 間 は 、 真っ暗だった 。 しまい||ねて||やっ|たたみ|あいだ||まっくらだった The interval between the eight tatami mats where the sisters were sleeping was dark. Estava escuro como breu nos oito tatames onde as irmãs dormiam. 頭 の てっぺん を さすり ながら 、 夕 里子 は ベッド から 出る と 、 蛍光 灯 の 紐 を 手探り した 。 あたま||||||ゆう|さとご||べっど||でる||けいこう|とう||ひも||てさぐり| While rubbing the top of the head, Riko Yuri felt a string of fluorescent lights as he got out of bed. Enquanto esfregava o topo de sua cabeça, Yuriko saiu da cama e tateou em busca do fio fluorescente.

こういう とき に は 、 勘 が 狂う もの だ 。 ||||かん||くるう|| In such a case, my intuition goes crazy. Em momentos como este, minha intuição enlouquece.

「 エイッ ! "Ah! かけ声 を かけて 手 を 振り回す と 、 紐 が 触れた の は いい が 、 今度 は 紐 を はね飛ばして しまって 、 また 分 ら なく なって しまう 。 かけごえ|||て||ふりまわす||ひも||ふれた|||||こんど||ひも||はねとばして|||ぶん|||| When you sprinkle your hand and waving your hands, it is nice to touch the string, but this time I will skip the string and it will not be known anymore. Quando gritei e apertei minha mão, foi bom que o barbante tocasse, mas dessa vez o barbante quicou e eu não consegui entender de novo. やっと の 思い で 紐 を 捕まえ 、 引 張る と 、 グローランプ が 二 、 三 度 瞬いて 、 明るく なった 。 ||おもい||ひも||つかまえ|ひ|はる||||ふた|みっ|たび|またたいて|あかるく| With a barely thought caught a string, pulling it, the glow lamp blinked a couple of times, it got brighter. Quando finalmente peguei o barbante e puxei-o, a lâmpada de brilho piscou algumas vezes e ficou brilhante.

ドア の 下 から は 、 もう 白い 煙 が じわじわ と 広がり つつ あって 、 部屋 の 空気 も 少し かすんで いる 。 どあ||した||||しろい|けむり||||ひろがり|||へや||くうき||すこし|| From the bottom of the door, white smoke is gradually spreading smoothly, and the air in the room is a bit hazy. Debaixo da porta, a fumaça branca estava se espalhando lentamente e o ar na sala estava um pouco nebuloso. さすが に 度胸 の いい 夕 里子 も 、 一瞬 青ざめた 。 ||どきょう|||ゆう|さとご||いっしゅん|あおざめた Indeed a good-natured evening satoy turned pale for a moment. Como esperado, a corajosa criança adotiva empalideceu por um momento.

しかし 、 呆然と 突っ立って いる とき で は ない のだ 。 |ぼうぜんと|つったって|||||| But it is not a stabbing stance. Mas não é o momento em que você fica atordoado. まず 二 段 ベッド の 梯子 に 飛びついて 妹 の 珠美 の 毛布 を はぎ取って 、 |ふた|だん|べっど||はしご||とびついて|いもうと||たまみ||もうふ||はぎとって First I jumped to the bunk bed ladder and took off my younger sister's pearl blanket, Primeiro, pulei na escada do beliche e tirei o cobertor da minha irmã Tamami.

「 珠美 ! たまみ "Beautiful! 起きて ! おきて 胸ぐら つかんで 揺さぶった 。 むなぐら||ゆさぶった I trembled with grasping my chest. Eu agarrei meu peito e o sacudi.

「 えっ ? "eh? なに ? que ? どうした の ! What's wrong ! O que está errado ! 十四 歳 の 珠美 は 、 寝坊 でも した と 思った の か 、 ガバ と 起き上り 、 じゅうよん|さい||たまみ||ねぼう||||おもった|||||おきあがり Tomomi at the age of 14 thought that he did it overslept, got up with Gaba, Tamami, de 14 anos, achou que estava dormindo demais e levantou-se com uma tagarelice,

「 何 時 ? なん|じ " What time ? " Que horas ? と 訊 いた 。 |じん| I asked. Eu perguntei.

「 火事 よ ! かじ| "Fire!" "Incêndio! と 夕 里子 が 怒鳴る 。 |ゆう|さとご||どなる Yuriko shouts. Yuriko grita.

「 えっ ? "eh? もう 九 時 ? |ここの|じ It is already nine o'clock? 9 horas já? 遅刻 だ わ ! ちこく|| I'm late! Estou atrasado! 「 馬鹿 、 火事 だって 言って ん の 。 ばか|かじ||いって|| "I am an idiot, saying it is a fire. "Idiota, você disse que foi um incêndio. 早く 降りろ 、 こら ! はやく|おりろ| Get out soon! Saia cedo, aqui! 珠美 も 下 を 覗いて 、 煙 に 気付いた 。 たまみ||した||のぞいて|けむり||きづいた Zumi also looked down and noticed the smoke. Tamami também olhou para baixo e percebeu a fumaça.

「 や だ ! " no ! お 姉ちゃん 、 どう しよう ? |ねえちゃん|| My sister, what should I do? O que devo fazer, irmã? 「 早く 降りて ! はやく|おりて "Get off early! 夕 里子 は 飛び降りる と 、 一 人 だけ 普通の ベッド で 寝て いる 長女 の 綾子 へ と 駆け寄った 。 ゆう|さとご||とびおりる||ひと|じん||ふつうの|べっど||ねて||ちょうじょ||あやこ|||かけよった When Riko sat down, she rushed to Ayako, the elder daughter who is sleeping on an ordinary bed. Quando Yuriko saltou, ela correu para sua filha mais velha, Ayako, que estava dormindo sozinha em uma cama normal. これ が 大変な のだ 。 ||たいへんな| This is hard work. Isto é difícil.

「 姉さん ! ねえさん "Unnie! 起きて ! おきて wake up ! 火事 よ ! かじ| It's a fire! 思い切り 揺さぶる が 、 綾子 は 、 低く 唸った きり で 起き ない 。 おもいきり|ゆさぶる||あやこ||ひくく|うなった|||おき| I shake hard, but Ayako does not get up with a low groan. Ele treme com todas as forças, mas Ayako não acorda com um gemido baixo. 何しろ 低 血圧 で 寝起き が 悪い の は 姉妹 でも 群 を 抜いて いる 。 なにしろ|てい|けつあつ||ねおき||わるい|||しまい||ぐん||ぬいて| My sister is overcoming the worse thing that I wake up with low blood pressure anyway. Afinal, mesmo as irmãs são de longe as piores em acordar devido à pressão arterial baixa. 一 度 寝て しまう と 、 ちょっと や そっと の こと で は 起き ない のである 。 ひと|たび|ねて||||||||||おき|| Once sleeping, it will not happen with a bit of gentleness. Depois que você adormece, isso não acontece por um momento.

夕 里子 と 珠美 が 悲鳴 を 上げた 地震 の とき も 、 全く 知ら ず に 眠って いた こと が ある くらい だ 。 ゆう|さとご||たまみ||ひめい||あげた|じしん||||まったく|しら|||ねむって|||||| Even when Yuriko and Tsumi screamed for the earthquake, I was asleep at all without knowing. Mesmo durante o terremoto de crianças adotivas e Tamami, eu até dormi completamente sem saber.

「 姉さん ! ねえさん "Unnie! "Unnie! 「 何 よ ……」 なん| " What ……" " O que ……"

綾子 が やっと 瞼 を 重そう に 開けた 。 あやこ|||まぶた||じゅうそう||あけた Ayako finally opened the eyelids heavily. Ayako finalmente abriu as pálpebras pesadas.

「 火事 よ ! かじ| "Incêndio! 「 火事 ? かじ " incêndio ? ── どこ が ? ── Where? ── Onde está? 「 うち が 、 よ ! "We are out!" "Estamos! 早く 起きて ! はやく|おきて Get up early! Levante cedo! 逃げる の よ ! にげる|| Run away! Fugir! 綾子 も 、 やっと 煙 に 気付いて 事態 を 理解 した らしい 。 あやこ|||けむり||きづいて|じたい||りかい|| Ayako seems to have noticed the smoke finally and understood the situation. Parece que Ayako finalmente percebeu a fumaça e entendeu a situação. ベッド から 這い 出す と 、 煙 を 吸って むせた 。 べっど||はい|だす||けむり||すって| When I crawled out of my bed, I smoked and smoked. Quando me arrastei para fora da cama, fumei e fumei.

「 立た なきゃ ! たた| "I have to stand up! "Eu tenho que ficar! ほら 、 煙 を 吸っちゃ うわ よ 」 |けむり||すっちゃ|| Here, I'm going to smoke the smoke. " Você vê, eu vou fumar. "

「 うん ……」 " Yup ……" " Sim ……"

綾子 と して は 、 これ で 精一杯 な のである 。 あやこ||||||せいいっぱい|| For Ayako, this is the best. Para Ayako, isso é tudo que ela pode fazer.

「 パパ は ? ぱぱ| "What about you, Dad? "E quanto ao seu pai? と よろけ ながら 立ち上る 。 |||たちのぼる While standing up, I climb up. Levante-se enquanto cambaleia.

「 出張 中 」 しゅっちょう|なか " Out of town on business " "Fora da cidade a negócios"

「 あ 、 そう か ……。 "Oh, I see ... .... よかった 」 Was good "

「 何 を 呑気 な こ と 言って ん の 。 なん||のんき||||いって|| "What are you saying drunk? "Do que você está falando? 早く 外 へ ──」 はやく|がい| Go out early ── "

「 待って ! まって " wait ! " esperar ! 待って よ 」 まって| wait " esperar "

と 綾子 は 夕 里子 の 腕 を つかんだ 。 |あやこ||ゆう|さとご||うで|| And Reiko grabbed Yuriko's arm. Ayako agarrou o braço de Yuriko. 「 私 、 ネグリジェ よ 。 わたくし|| "I, Negridie. "Eu sou uma camisola. 服 着る から ──」 ふく|きる| Because I dress it ─ ─ " Vou usar roupas ── "

「 焼け 死んだら 、 もっと カッコ悪い わ よ ! やけ|しんだら||かっこわるい|| "If you die, you're more cool! "Se você queimar e morrer, é ainda pior! 夕 里子 は 頭 へ 来て 怒鳴った 。 ゆう|さとご||あたま||きて|どなった Yuriko came to her head and yelled. Yuriko veio à sua cabeça e gritou.

「 分 った わ よ 」 ぶん||| "I got it." "Eu entendo."

綾子 は まだ 寝ぼけ 顔 で 、 不服 そうに 、「 あんた 、 怒る と ママ そっくり 」 あやこ|||ねぼけ|かお||ふふく|そう に||いかる||まま| Reiko is still a sleepy face, so dissatisfied, "If you get angry, it looks like a mom." Ayako ainda está com o rosto sonolento e insatisfeito, "Você fica igual à mamãe quando fica com raiva."

「 余計な こと 言って る ヒマ が ──」 よけいな||いって||ひま| "There's nothing extra to say about him." "Eu tenho um tempo livre para dizer algo extra ──"

と 言い ながら ドア を 開けて 、 夕 里子 は 立ちすくんだ 。 |いい||どあ||あけて|ゆう|さとご||たちすくんだ Yuriko opened the door while saying, Yuriko stood still. Enquanto dizia isso, abri a porta e Yuriko se levantou. 赤い 炎 が 目の前 の 壁 を なめ 始めて いる 。 あかい|えん||めのまえ||かべ||な め|はじめて| A red flame is beginning to lick the wall in front of you. Uma chama vermelha está começando a lamber a parede à minha frente. 天井 は もう 火 に 包ま れて いた 。 てんじょう|||ひ||つつま|| The ceiling was already covered with fire. O teto já estava coberto de fogo.

「 だめだ わ 。 "No. "Não. 窓 から ! まど| From the window! Da janela! ドア を 叩きつける ように 閉める と 、 夕 里子 は 、 奥 の 窓 へ 駆け寄った 。 どあ||たたきつける||しめる||ゆう|さとご||おく||まど||かけよった When I closed the door to slam, Yuuriko rushed to the back window. Quando fechei a porta como se estivesse batendo, Yuriko correu para a janela nos fundos. 幸いな こと に 平屋 造り である 。 さいわいな|||ひらや|つくり| Luckily, it is a flat house. Felizmente, é um prédio de um andar.

「 でも 金網 が 張って ある よ 」 |かなあみ||はって|| "But there is a wire mesh." "Mas há uma rede de arame."

と 、 珠美 が 言った 。 |たまみ||いった Said, Tamami. Disse Tamami.

夏 の 虫 よけ に 、 細かい 金網 を 打ちつけて ある のだ 。 なつ||ちゅう|||こまかい|かなあみ||うちつけて|| A fine wire mesh is hit against the summer insects. Uma malha de arame fina é usada contra insetos no verão. 窓 を 開ける と 、 夕 里子 は 叫んだ 。 まど||あける||ゆう|さとご||さけんだ Yuuriko yelled when she opened the window. Quando abri a janela, Yuriko gritou.

「 破る の よ 。 やぶる|| "I'll break it. "Eu vou quebrar. 椅子 ! いす Cadeira ! ほら 、 それ かして 」 You see, that's it. " Você vê, é isso. "

妹 の 勉強 机 の 椅子 を かつぎ 上げる と 、 金網 めがけて 叩きつける 。 いもうと||べんきょう|つくえ||いす|||あげる||かなあみ||たたきつける I raise the sister's study desk's chair, and hit it against the wire mesh. Quando a cadeira da escrivaninha de minha irmã é levantada, ela bate na tela de arame. 足 の 先 が 網 を 破って 外 へ 突き出る 。 あし||さき||あみ||やぶって|がい||つきでる The tip of the foot breaks the net and protrudes to the outside. A ponta do pé rompe a rede e se projeta.

「 もう 一 度 ! |ひと|たび " once again ! " Mais uma vez ! 珠美 ! たまみ Tamami! 見て ないで 手伝って よ ! みて||てつだって| Don't look and help me! Não olhe, me ajude! 珠美 が あわてて 椅子 を 一緒に かつぐ 。 たまみ|||いす||いっしょに| Tamami is upset and holds a chair together. Tamami apressadamente se senta em uma cadeira.

「 そら ! " Céu ! 力一杯 椅子 を 金網 へ と 突き出す と 、 そのまま 椅子 は スッポ 抜けて 、 窓 の 外 へ 消えた 。 ちからいっぱい|いす||かなあみ|||つきだす|||いす|||ぬけて|まど||がい||きえた When the full force chair protruded to the wire mesh, the chair came off as it was and disappeared outside the window. Quando empurrei a cadeira contra a tela de arame com todas as minhas forças, a cadeira escorregou e desapareceu pela janela.

「 珠美 、 早く 出て ! たまみ|はやく|でて "Tamami, get out early! "Tamami, saia mais cedo! 「 私 が 先 ? わたくし||さき "Is it me? "Eu sou o primeiro? 「 いい から 早く して ! ||はやく| "Please do as soon as possible! "Porque está tudo bem, seja rápido! お 姉さん 、 出て よ 」 |ねえさん|でて| Older sister, get out " Irmã mais velha, saia. "

綾子 は 、 ぼんやり と 腕組み して 立って いる 。 あやこ||||うでぐみ||たって| Ayako is idly standing with his arms folded. Ayako está vagamente com os braços cruzados.

「 あんた 先 に 出て 。 |さき||でて "You go ahead. "Saia primeiro. 妹 な んだ から 」 いもうと||| I'm a little sister. " Porque eu sou minha irmã. "

「 そんな こと 言って る とき じゃ ない よ ! ||いって||||| "This is not the time to say! "Não é hora de dizer isso! 急いで 、 ほら ──」 いそいで| Hurry up and see - "

スローモー な 姉 を 一 人 で 置いて ったら 、 また 一 つ 欠 伸 を して ベッド へ 戻り かね ない 。 ||あね||ひと|じん||おいて|||ひと||けつ|しん|||べっど||もどり|| If I put a slow-eying older sister alone, I will be able to return to bed with one missing. Se eu deixar minha irmã lenta sozinha, posso esticar mais um pouco e voltar para a cama. 強引に 窓 の 方 へ と 引 張って 、 背中 を ぐいぐい 押す 。 ごういんに|まど||かた|||ひ|はって|せなか|||おす Forcibly pull toward the window and push the back a lot. Puxe com força em direção à janela e aperte as costas.

「 分 った から ── 押さ ないで 。 ぶん|||おさ| "Because I understood it, do not push it. "Eu entendo ── Não pressione. 危 い じゃ ない の ! き|||| It's dangerous! Não é perigoso! 火事 と どっち が 危 いんだ か ! かじ||||き|| Which is dangerous and fire! O que é mais perigoso, um incêndio! やっとこ 綾子 を 押し出した とき 、 ドア が 突然 倒れた 。 |あやこ||おしだした||どあ||とつぜん|たおれた When pushing Ayako Yatsuto suddenly the door collapsed. Quando finalmente empurrei Ayako para fora, a porta desabou de repente. 火 の 塊 が 天井 へ と 突き抜けて 、 ドーンと 凄い 音 が した 。 ひ||かたまり||てんじょう|||つきぬけて|どーんと|すごい|おと|| A lump of fire penetrated the ceiling and sounds great with Dawn. Um pedaço de fogo perfurou o teto e fez um barulho terrível.

「 お 姉ちゃん ! |ねえちゃん " irmã mais velha ! 外 で 珠美 の 呼ぶ 声 が する 。 がい||たまみ||よぶ|こえ|| There is a voice called by Mami outside. Há uma voz chamada por Tamami do lado de fora. 夕 里子 は あわてて 窓 へ と 頭から 突っ込んで 行った 。 ゆう|さとご|||まど|||あたまから|つっこんで|おこなった Yuuriko rushed to the window and plunged from her head. Yuriko mergulhou apressadamente a cabeça na janela.

窓 の 真 下 に 、 先 に 出た 綾子 が 、 まだ 座り込んで いた 。 まど||まこと|した||さき||でた|あやこ|||すわりこんで| Ayako who came out earlier was sitting down just under the window. Logo abaixo da janela, Ayako, que saiu mais cedo, ainda estava sentado. 夕 里子 は その 真 上 に 落ちた わけである 。 ゆう|さとご|||まこと|うえ||おちた| Yuriko fell on top of that. Yuriko caiu bem acima dele.

「 痛い ! いたい " dor ! 「 キャーッ ! "Cha! 二 人 は もつれる ように して その 場 から 這って 逃げ出した 。 ふた|じん||||||じょう||はって|にげだした They crawled out of the spot so that they could get tangled. Os dois se arrastam para longe da cena de uma forma emaranhada.

「 お 姉ちゃん ……」 |ねえちゃん " irmã mais velha ……"

珠美 が 妙に 上ずった 声 を 出した 。 たまみ||みょうに|うわずった|こえ||だした Mr. Tami gave a voice that strangely went up. Tamami fez uma voz estranhamente elevada.

夕 里子 は 起き上って 振り向き 、 目 を 見張った 。 ゆう|さとご||おきあがって|ふりむき|め||みはった Riko got up and turned around and kept his eyes. Yuriko se levantou, se virou e olhou nos olhos dela. ほんの 数 秒 前 に 出て 来た 窓 から 、 黄色い 炎 が 、 まるで 巨大な ガス バーナー みたいな 勢い で 吹き出して いた 。 |すう|びょう|ぜん||でて|きた|まど||きいろい|えん|||きょだいな|がす|ばーなー||いきおい||ふきだして| From the window that appeared just a few seconds ago, a yellow flame was blowing out like a huge gas burner. Da janela que saiu há poucos segundos, uma chama amarela estava explodindo com a força de um queimador de gás gigante.

そして 、 姉妹 たち の 家 は 、 もう 八 割方 、 炎 に 包ま れて いた 。 |しまい|||いえ|||やっ|わりかた|えん||つつま|| And my sister's house was surrounded by fire for 80%. E as casas das irmãs já estavam cercadas de chamas, 80% das vezes.

「 家 が …… なく なっちゃ う ……」 いえ|||| "The house will be gone ... ..." "A casa ... se foi ..."

珠美 が 気 の 抜けた ような 声 を 出した 。 たまみ||き||ぬけた||こえ||だした Mr. Zami gave out a distracting voice. Tamami fez uma voz muda.

「 うん ……」 " Sim ……"

夕 里子 も 、 ぼんやり と して 、 ただ 肯 いた 。 ゆう|さとご||||||こう| Evening evening, it was absent and just reproached. Yuriko também foi vaga e apenas afirmou.

三 人 の 家 は 、 この 新興 住宅 地 の 一 画 でも 、 少し 離れて 、 ポツンと 高台 に 建って いて 、 隣 近所 と いって も 、 軒 を 接して いる わけで は なかった から 、 延焼 の 心配 は なかった 。 みっ|じん||いえ|||しんこう|じゅうたく|ち||ひと|が||すこし|はなれて|ぽつんと|たかだい||たって||となり|きんじょ||||のき||せっして||||||えんしょう||しんぱい|| Even though the three people 's house was built a little apart at Potun and the hill, even one of the houses of this new residential area was not adjacent to the eaves even though it was the neighborhood, the worry of spreading fire There was not. A casa para três pessoas foi construída em um morro com vaso, mesmo em uma parte dessa área residencial recém-desenvolvida, e mesmo sendo na vizinhança, não tocou no beiral, então não há preocupação com a propagação de fogo. Não havia. もっとも 、 三 人 と も 、 そんな こと に まで 、 とても 頭 が 回ら なかった が 。 |みっ|じん||||||||あたま||まわら|| However, even the three of them were not very smart about such things. Claro, mesmo nós três não pensamos muito sobre isso.

「 夕 里子 ……」 ゆう|さとご "Yuriko ..."

と 、 綾子 が 呟く ように 言った 。 |あやこ||つぶやく||いった Ayako told me to murmur. Disse Ayako para murmurar.

「 なあ に ? "What? "O que? 「 一一九 番 し なかった わ ね 」 いちいちきゅう|ばん|||| "I did not do it in numbers one thousand nine" "Eu não numerei 119."

「 うん ……」 " Sim ……"

今さら 電話 した って 、 どう なる の 、 と 叫び たい の を 抑えて 、 夕 里子 は 肯 いた 。 いまさら|でんわ|||||||さけび||||おさえて|ゆう|さとご||こう| Evening sat down with holding down what you wanted to call out as soon as you called the phone. Yuriko afirmou, impedindo-a de gritar o que aconteceria se ela ligasse agora. お 姉さん は そういう 人 なんだ から 。 |ねえさん|||じん|| My sister is from that kind of person. Porque sua irmã é esse tipo de pessoa.

人間 、 悲劇 的な 立場 に 立た さ れる と 、 却って 寛大に なれる もの な のである 。 にんげん|ひげき|てきな|たちば||たた||||かえって|かんだいに|||| Human beings who are in a tragic position can become rather lenient. Os seres humanos podem ser generosos quando estão em uma posição trágica.

そこ へ 、 坂 を 駆け上って 来る 足音 が した 。 ||さか||かけあがって|くる|あしおと|| There was a footsteps coming up the hill. Lá, ouvi passos subindo a colina.

「 おい ! 大丈夫 か ! だいじょうぶ| 「 あ 、 先生 ──」 |せんせい "Ah, my teacher-"

と 珠美 が 言った 。 |たまみ||いった

この 少し 先 に 住んで いる 、 安東 と いう 教師 だった 。 |すこし|さき||すんで||あんどう|||きょうし| I was a teacher named Andong who lives a little while ahead of this. Eu era um professor chamado Ando, que viveu um pouco antes. 珠美 の 通って いる 中学校 で 、 国語 を 教えて いる 。 たまみ||かよって||ちゅうがっこう||こくご||おしえて| I am teaching Japanese at a junior high school which is attended by Sumi. Eu ensino um idioma nacional em uma escola secundária onde Tamami frequenta.

パジャマ 姿 に サンダル を 引っかけて 、 駆けて 来る 。 ぱじゃま|すがた||さんだる||ひっかけて|かけて|くる I grabbed my sandals in my pajamas and came running. Coloque sandálias no pijama e corra.

「 どうした ん だ ! " What happened ! " O que aconteceu ! 「 分 り ませ ん 。 ぶん||| " Eu não entendo . 寝て たら 急に ──」 ねて||きゅうに Suddenly if I go to bed 」" De repente, quando eu estava dormindo ── "

「 みんな 無事 か ? |ぶじ| "Está todo mundo seguro? ── お 父さん は どうした ? |とうさん|| ど う What happened to your father? 「 パパ 、 出張 です 」 ぱぱ|しゅっちょう|

「 そう か 、 じゃ 、 君 ら だけ な んだ な ? |||きみ||||| "Well, then, are you all alone? "Bem, então, vocês são os únicos? 良かった ! よかった 家 が バリバリ と 裂ける ような 音 を 立てた 。 いえ||ばりばり||さける||おと||たてた The house made a sound to split with Bari Bali. A casa fez um barulho crepitante.

「 危 い ぞ 。 き|| "It's dangerous. "É perigoso. 退 がって いた 方 が いい 」 しりぞ|||かた|| You had better retire. " É melhor estar aposentado. ”

屋根 が 崩れ落ちた 。 やね||くずれおちた The roof collapsed. O telhado desabou. 火 の 粉 が 無数に 夜空 へ 舞い 上って 、 夕 里子 は こんな 場合 な のに 、 きれいだ な 、 と 思った 。 ひ||こな||むすうに|よぞら||まい|のぼって|ゆう|さとご|||ばあい||||||おもった A myriad of fire dancing flying up to the night sky, thought that evening child was beautiful even though this is the case. Incontáveis faíscas dispararam no céu noturno, e achei Yuriko linda nesse caso.

「── 何も 持ち出せ なかった わ 」 なにも|もちだせ|| "── I did not bring anything." "── Eu não pude trazer nada para fora."

と 、 やっと 目 が 覚め 切った らしい 綾子 が 言った 。 ||め||さめ|きった||あやこ||いった Finally, Reiko said that she had finally woke up. Disse Ayako, que parece ter finalmente acordado. 「 保険 の 証書 も 焼けちゃ った の かしら 」 ほけん||しょうしょ||やけちゃ||| "I wonder if the certificate of insurance has been burned up too" "Eu me pergunto se o certificado do seguro também foi queimado."

「 命 が ある んだ ! いのち||| "I have a life! "Existe vida! と 安東 が 太い 声 で 言った 。 |あんどう||ふとい|こえ||いった Said Ando in a loud voice. Ando disse em uma voz grossa. 「 みんな 火傷 も せ ず に 、 生きて る んだ ! |やけど|||||いきて|| "Everyone is alive without burns! “Todo mundo está vivo sem se queimar! それ が 何より じゃ ない か 」 ||なにより||| "What is it better than that?" Não é o melhor? "

理屈 は そう だ けど ね 。 りくつ||||| The reason is right, though. A teoria é assim, no entanto. ── 夕 里子 は 心 の 中 で 、 焼けて 行く 一つ一つ の 品物 を 思い出して いた 。 ゆう|さとご||こころ||なか||やけて|いく|ひとつひとつ||しなもの||おもいだして| -Yuuriko remembered every item in the heart that was burning. ── Yuriko lembrou em seu coração cada um dos itens que estavam queimando. 小学校 から 使った 机 、 買った ばかりの 鞄 、 お気に入り の ワンピース 、 まだ 一 回 は いただけ の 靴 ……。 しょうがっこう||つかった|つくえ|かった||かばん|おきにいり||わんぴーす||ひと|かい||||くつ The desk I used from elementary school, the bag I just bought, my favorite dress, and only one shoe. A carteira que usei na escola primária, a bolsa que acabei de comprar, meu vestido favorito e os sapatos que usei apenas uma vez.

そうだ 。 そう だ É isso . 死んだ ママ の 写真 も 、 焼けて しまった 。 しんだ|まま||しゃしん||やけて| The picture of the dead mom has also been burned. A foto da mãe morta também foi queimada.

── サイレン が 遠く から 近付いて 来る 。 さいれん||とおく||ちかづいて|くる ── Sirenes estão se aproximando de longe.

「 やっと 来た か 」 |きた| "Will you finally come?" "Você finalmente veio?"

と 安東 が 言った 。 |あんどう||いった Andoh said. Disse Ando.

「 先生 が 電話 して 下さった んです か ? せんせい||でんわ||くださった|| "Did your teacher call me? "A professora ligou para você? と 綾子 が 訊 いた 。 |あやこ||じん| Ayako perguntou.

「 うん 。 " Sim . もっと すぐ 来る と 思った が ……」 ||くる||おもった| I thought it would come more soon ... Achei que fosse acontecer mais cedo ... "

全部 焼け落ちて しまう わ 、 この 様子 じゃ 、 と 夕 里子 は 思った 。 ぜんぶ|やけおちて||||ようす|||ゆう|さとご||おもった Everything will be burned down, this way, Riko Yuri thought. Yuriko pensou que tudo seria queimado, assim. サイレン と 鐘 の 音 が 、 少しずつ 近付いて 来て 、 他 に も 何 人 か 、 近所 の 人 たち が 、 寝 衣 姿 で 走って 来る の が 、 炎 に 照らし出さ れて 目 に 入った 。 さいれん||かね||おと||すこしずつ|ちかづいて|きて|た|||なん|じん||きんじょ||じん|||ね|ころも|すがた||はしって|くる|||えん||てらしださ||め||はいった The sound of the siren and the bell came closer little by little, and some other people, others in the neighborhood ran out in sleeping clothes, lighted in the flames and got into the eyes. Os sons de sirenes e sinos se aproximaram aos poucos, e alguns outros vizinhos, correndo em suas roupas de dormir, vieram aos meus olhos à luz das chamas.

炎 は 少し 勢い を 弱め つつ あった 。 えん||すこし|いきおい||よわめ|| The flame was weakening a little. A chama estava enfraquecendo um pouco. もう 、 燃える 物 が なくなって 来た のだ 。 |もえる|ぶつ|||きた| The burning thing has already disappeared. Não há mais coisas queimando.

夕 里子 は 、 初めて 夜 気 の 冷た さ を 感じて 、 身震い した 。 ゆう|さとご||はじめて|よ|き||つめた|||かんじて|みぶるい| Yuriko felt the coldness of the night for the first time and shuddered. Pela primeira vez, Yuriko sentiu o frio do ar noturno e estremeceu.