×

Χρησιμοποιούμε cookies για να βελτιώσουμε τη λειτουργία του LingQ. Επισκέπτοντας τον ιστότοπο, συμφωνείς στην cookie policy.


image

世界の昔話, 世界一美しいバラの花

世界 一 美しい バラ の 花

世界 一 美しい バラ の 花

むかし むかし 、 偉い 女王 さま が い ました 。 その お 庭 に は 一年中 、 その 時々 の 一 番 美しい 花 や 世界 中 の 国々 から 持って 来た 花 が 咲いて い ました 。 けれども 女王 さま の とくに お 気 に 入り の 花 は 、 バラ の 花 です 。 ですから バラ の 花 ならば 、 リンゴ の に おい の する 緑色 の 野 バラ から 、 プロヴァンス の 一 番 美しい バラ の 花 まで 、 ありとあらゆる 種類 の バラ の 花 を 持って い ました 。 それ ら の バラ は お 城 の 壁 を はいあがり 、 柱 や 窓 わく に からみつき 、 廊下 から 天井 伝い に 広間 と いう 広間 の 中 まで のびて 行き ました 。 そして どの 花 も 、 におい や 形 や 色 が それぞれ 違って い ました 。

ある 日 、 女王 さま が 重い ご 病気 に なって しまい ました 。 お 医者 たち も 、 「 もう 、 お 亡くなり に なる の を 待つ ほか は ない 」 と 、 言い ました 。 「 しかし 、 女王 さま を お 助け する 道 が 一 つ ございます 」 お 医者 たち の うち で 、 一 番 偉い 人 が 言い ました 。 「 それ は 、 女王 さま に 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 差し上げる こと です 。 それ は 、 この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 を あらわした もの で なければ なり ませ ん 。 女王 さま の お 目 の 光 が 消え ない うち に 、 その様な バラ の 花 を ご覧 に 入れる こと が 出来れば 、 女王 さま は お 亡くなり に は なり ませ ん 」 さあ これ を 聞いて 、 みんな は 自分 たち の 庭 に 咲いて いる 一 番 美しい バラ の 花 を 持って 来 ました 。 けれども 、 どの 花 も 捜し 求めて いる の と は 違い ました 。 それ は 、 愛 の 花園 から つみ取って きた 花 で なければ なり ませ ん 。 でも 愛 の 花園 の うち の どの 花 が いったい 、 この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 の 象徴 ( しょうちょう ) でしょう か ? 歌人 たち は 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 歌って 、 めいめい 自分 の 花 こそ それ だ と 言い ました 。 ですが 、 「 まだ 誰 も 、 求める 花 を 名ざして きた 者 は ない ! 」 と 、 医者 は 言い ました 。 「 私 は 、 その 花 の 咲いて いる ところ を 存じて おり ます ! 」 と 、 乳飲み子 を だいた 幸福 そうな 母親 が 、 女王 さま の 床 の そば に きて 言い ました 。 「 私 は 、 世界 一 の 美しい バラ の 花 の ありか を 存じて おり ます ! この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 の 象徴 である バラ の 花 、 それ は 私 の かわいい 坊や の つやつや した ほお に 咲き 出る ので ございます 。 この 子 が 眠り から 覚めて 、 きげん よく目 を パッチリ と 開いて 、 愛 そのもの の 様 に 私 に 笑い かけ ます 時 、 その 花 は 開く ので ございます 」 「 なるほど 、 その バラ の 花 は 美しい 。 だが 、 もっと 美しい 花 が ある はずじゃ 」 と 、 医者 は 言い ました 。 「 はい 。 もっと 、 ずっと 美しい の が ございます 」 と 、 侍女 の 一 人 が 言い ました 。 「 私 は 、 それ を 見た こと が ございます 。 それ より も 気高い 神々しい バラ の 花 は 、 どこ に も 咲いて おり ませ ん 。 けれども それ は 、 コウシンバラ の ように 青白う ございました 。 女王 さま の ほお の 上 に 、 私 は それ を 見た ので ございます 。 いつぞや 女王 さま は 王冠 ( おうかん ) を お ぬぎ に なり 、 ご 病気 の お 子 さま を お 抱き に なって 、 長い 悲しみ の 一夜 を まんじ り と も なさら ず に 涙 を お 流し に なって は 、 お 子 さま に キス を なさって いらっしゃい ました 。 そして 世 の 母親 が 悲しみ の おり に いたし ます ように 、 神さま に お 祈り を なさ い ました 」 「 悲しみ の 白い バラ の 花 に は 、 確かに 神々しく も 不思議な 力 が こもって いる 。 だが 、 今 求めて いる 花 は それ で は ない 」 「 おお 、 それ それ ! わし は 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 、 主 の 聖 壇 ( せいだん ) の 前 で 見 ました ぞ 」 と 、 年 取った 信心深い 司教 が 言い ました 。 「 わし は 、 それ が 天使 ( てんし ) の 顔 の 様 に 輝く の を 見 ました 。 若い 娘 たち が 主 の 聖 餐台 ( せい さんだい ) の 前 に 進み 出て 、 洗礼 ( せんれい ) の 聖 約 を 新たに いたし ました 。 その 時 、 娘 たち の みずみずしい ほお に バラ の 花 が 赤らみ 、 また 、 青ざめ ました 。 さて 、 その 中 に 一 人 の 娘 が おり ました が 、 この 娘 は 純潔 と 愛 と に 満ちた 魂 を いだいて 神 を 仰いで おり ました 。 これ こそ この 上 も なく 清らかな 、 この 上 も なく 気高い 愛 の 象徴 で あり ました ぞ 」 「 神 の 恵み 、 その 娘 の 上 に あれ ! 」 と 、 賢者 は 言い ました 。 「 だが あなた がた の うち 、 まだ 誰 も 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 名ざした もの は あり ませ ん 」 その 時 、 一 人 の 子ども が 部屋 の 中 に 入って 来 ました 。 それ は 、 女王 さま の 小さな 王子 でした 。 見れば 涙 が 目 に あふれて 、 ほお に 流れて い ます 。 王子 は 、 大きな 本 を ひろげて 持って い ました 。 ビロード の 表紙 に は 、 大きな 銀 の 金具 が ついて い ました 。 「 お 母 さま ! 」 と 、 小さい 王子 は 言い ました 。 「 ねえ 、 ぼく が 今 読んだ 言葉 を 聞いて ちょうだい ! 」 こう 言って 王子 は ベッド の そば に 腰 を おろして 『 主 の 書 』、 世 の 人々 を 、 いえ 、 まだ 生まれて こ ない 後 の 世 の 人々 を も 救う ため に 進んで 十字架 に お かかり に なった 、 主 の 書 の 中 の 一節 を 読み ました 。 「 これ より も 、 大きな 愛 は ない ! 」 その 時 、 女王 さま の ほお の 上 に バラ 色 の 光 が さして き ました 。 そして 目 が 大きく 、 そして 明るく 開か れ ました 。 なぜなら 女王 さま は その 本 の ぺージ の 中 から 、 世界 一 の 美しい バラ の 花 が 浮かび あがって くる の を ご覧 に なった から です 。 それ は 十字架 の 上 に 流さ れた キリスト の 血 の 中 から 咲き 出た 、 あの バラ の 花 の 姿 でした 。 「 私 に は 、 バラ の 花 が 見え ます ! 」 と 、 女王 さま は 言い ました 。 「 この世 で 一 番 美しい バラ の 花 を 見た 者 は 、 決して 死ぬ こと は あり ませ ん 」

おしまい


世界 一 美しい バラ の 花 せかい|ひと|うつくしい|ばら||か The most beautiful roses in the world

世界 一 美しい バラ の 花 せかい|ひと|うつくしい|ばら||か The most beautiful rose flower in the world

むかし むかし 、 偉い 女王 さま が い ました 。 ||えらい|じょおう|||| その お 庭 に は 一年中 、 その 時々 の 一 番 美しい 花 や 世界 中 の 国々 から 持って 来た 花 が 咲いて い ました 。 ||にわ|||いちねんじゅう||ときどき||ひと|ばん|うつくしい|か||せかい|なか||くにぐに||もって|きた|か||さいて|| The garden was full of the most beautiful flowers of the time and flowers brought from countries all over the world all year round. けれども 女王 さま の とくに お 気 に 入り の 花 は 、 バラ の 花 です 。 |じょおう|||||き||はいり||か||ばら||か| ですから バラ の 花 ならば 、 リンゴ の に おい の する 緑色 の 野 バラ から 、 プロヴァンス の 一 番 美しい バラ の 花 まで 、 ありとあらゆる 種類 の バラ の 花 を 持って い ました 。 |ばら||か||りんご||||||みどりいろ||の|ばら||||ひと|ばん|うつくしい|ばら||か|||しゅるい||ばら||か||もって|| So if it was a rose flower, I had all kinds of rose flowers, from the green wild roses that smelled like apples to the most beautiful rose flowers in Provence. それ ら の バラ は お 城 の 壁 を はいあがり 、 柱 や 窓 わく に からみつき 、 廊下 から 天井 伝い に 広間 と いう 広間 の 中 まで のびて 行き ました 。 |||ばら|||しろ||かべ|||ちゅう||まど||||ろうか||てんじょう|つたい||ひろま|||ひろま||なか|||いき| The roses climbed up the walls of the castle, entwined with pillars and windows, and stretched from the corridor to the ceiling and into the hall. そして どの 花 も 、 におい や 形 や 色 が それぞれ 違って い ました 。 ||か||||かた||いろ|||ちがって||

ある 日 、 女王 さま が 重い ご 病気 に なって しまい ました 。 |ひ|じょおう|||おもい||びょうき|||| お 医者 たち も 、 「 もう 、 お 亡くなり に なる の を 待つ ほか は ない 」 と 、 言い ました 。 |いしゃ|||||なくなり|||||まつ|||||いい| The doctors also said, "I have no choice but to wait for my death." 「 しかし 、 女王 さま を お 助け する 道 が 一 つ ございます 」   お 医者 たち の うち で 、 一 番 偉い 人 が 言い ました 。 |じょおう||||たすけ||どう||ひと||||いしゃ|||||ひと|ばん|えらい|じん||いい| "But there is one way to help the Queen," said one of the greatest doctors. 「 それ は 、 女王 さま に 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 差し上げる こと です 。 ||じょおう|||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||さしあげる|| それ は 、 この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 を あらわした もの で なければ なり ませ ん 。 |||うえ|||けだかく||うえ|||きよらかな|あい|||||||| It must be the most noble and the most pure love. 女王 さま の お 目 の 光 が 消え ない うち に 、 その様な バラ の 花 を ご覧 に 入れる こと が 出来れば 、 女王 さま は お 亡くなり に は なり ませ ん 」   さあ これ を 聞いて 、 みんな は 自分 たち の 庭 に 咲いて いる 一 番 美しい バラ の 花 を 持って 来 ました 。 じょおう||||め||ひかり||きえ||||その よう な|ばら||か||ごらん||いれる|||できれば|じょおう||||なくなり|||||||||きいて|||じぶん|||にわ||さいて||ひと|ばん|うつくしい|ばら||か||もって|らい| けれども 、 どの 花 も 捜し 求めて いる の と は 違い ました 。 ||か||さがし|もとめて|||||ちがい| But it wasn't what every flower was looking for. それ は 、 愛 の 花園 から つみ取って きた 花 で なければ なり ませ ん 。 ||あい||はなぞの||つみとって||か||||| It must be a flower picked from the flower garden of love. でも 愛 の 花園 の うち の どの 花 が いったい 、 この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 の 象徴 ( しょうちょう ) でしょう か ? |あい||はなぞの|||||か||||うえ|||けだかく||うえ|||きよらかな|あい||しょうちょう||| But which of the flowers in the flower garden of love is the most noble and the most pure symbol of love? 歌人 たち は 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 歌って 、 めいめい 自分 の 花 こそ それ だ と 言い ました 。 かじん|||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||うたって||じぶん||か|||||いい| The singers sang the most beautiful rose flower in the world and said that it was their own flower. ですが 、 「 まだ 誰 も 、 求める 花 を 名ざして きた 者 は ない ! ||だれ||もとめる|か||なざして||もの|| However, "No one has named the flower they are looking for yet! 」 と 、 医者 は 言い ました 。 |いしゃ||いい| 「 私 は 、 その 花 の 咲いて いる ところ を 存じて おり ます ! わたくし|||か||さいて||||ぞんじて|| 」 と 、 乳飲み子 を だいた 幸福 そうな 母親 が 、 女王 さま の 床 の そば に きて 言い ました 。 |ちのみご|||こうふく|そう な|ははおや||じょおう|||とこ|||||いい| The happy mother, who had a baby, came to the Queen's floor and said. 「 私 は 、 世界 一 の 美しい バラ の 花 の ありか を 存じて おり ます ! わたくし||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||||ぞんじて|| この 上 も なく 気高く 、 この 上 も なく 清らかな 愛 の 象徴 である バラ の 花 、 それ は 私 の かわいい 坊や の つやつや した ほお に 咲き 出る ので ございます 。 |うえ|||けだかく||うえ|||きよらかな|あい||しょうちょう||ばら||か|||わたくし|||ぼうや||||||さき|でる|| The rose flower, which is the most noble and the most pure symbol of love, blooms on the shiny cheeks of my cute little boy. この 子 が 眠り から 覚めて 、 きげん よく目 を パッチリ と 開いて 、 愛 そのもの の 様 に 私 に 笑い かけ ます 時 、 その 花 は 開く ので ございます 」 「 なるほど 、 その バラ の 花 は 美しい 。 |こ||ねむり||さめて||よくめ||||あいて|あい|その もの||さま||わたくし||わらい|||じ||か||あく|||||ばら||か||うつくしい When this child wakes up from sleep, opens his eyes and laughs at me like love itself, the flowers open. "" I see, the roses are beautiful. だが 、 もっと 美しい 花 が ある はずじゃ 」 と 、 医者 は 言い ました 。 ||うつくしい|か|||||いしゃ||いい| 「 はい 。 もっと 、 ずっと 美しい の が ございます 」 と 、 侍女 の 一 人 が 言い ました 。 ||うつくしい|||||じじょ||ひと|じん||いい| There is something much more beautiful, "said one of the maids. 「 私 は 、 それ を 見た こと が ございます 。 わたくし||||みた||| "I have seen it. それ より も 気高い 神々しい バラ の 花 は 、 どこ に も 咲いて おり ませ ん 。 |||けだかい|こうごうしい|ばら||か|||||さいて||| けれども それ は 、 コウシンバラ の ように 青白う ございました 。 |||||よう に|あおじろう| However, it was pale like a roses. 女王 さま の ほお の 上 に 、 私 は それ を 見た ので ございます 。 じょおう|||||うえ||わたくし||||みた|| Above the Queen's cheeks, I saw it. いつぞや 女王 さま は 王冠 ( おうかん ) を お ぬぎ に なり 、 ご 病気 の お 子 さま を お 抱き に なって 、 長い 悲しみ の 一夜 を まんじ り と も なさら ず に 涙 を お 流し に なって は 、 お 子 さま に キス を なさって いらっしゃい ました 。 |じょおう|||おうかん||||||||びょうき|||こ||||いだき|||ながい|かなしみ||いちや|||||||||なみだ|||ながし|||||こ|||きす|||| そして 世 の 母親 が 悲しみ の おり に いたし ます ように 、 神さま に お 祈り を なさ い ました 」 「 悲しみ の 白い バラ の 花 に は 、 確かに 神々しく も 不思議な 力 が こもって いる 。 |よ||ははおや||かなしみ||||||よう に|かみさま|||いのり||な さ|||かなしみ||しろい|ばら||か|||たしかに|こうごうしく||ふしぎな|ちから||| And I prayed to God, just as the mother of the world would mourn. "" The white rose flower of grief certainly has a divine and mysterious power. だが 、 今 求めて いる 花 は それ で は ない 」 「 おお 、 それ それ ! |いま|もとめて||か|||||||| わし は 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 、 主 の 聖 壇 ( せいだん ) の 前 で 見 ました ぞ 」 と 、 年 取った 信心深い 司教 が 言い ました 。 ||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||おも||せい|だん|||ぜん||み||||とし|とった|しんじんぶかい|しきょう||いい| 「 わし は 、 それ が 天使 ( てんし ) の 顔 の 様 に 輝く の を 見 ました 。 ||||てんし|||かお||さま||かがやく|||み| 若い 娘 たち が 主 の 聖 餐台 ( せい さんだい ) の 前 に 進み 出て 、 洗礼 ( せんれい ) の 聖 約 を 新たに いたし ました 。 わかい|むすめ|||おも||せい|さんだい||||ぜん||すすみ|でて|せんれい|||せい|やく||あらたに|| その 時 、 娘 たち の みずみずしい ほお に バラ の 花 が 赤らみ 、 また 、 青ざめ ました 。 |じ|むすめ||||||ばら||か||あからみ||あおざめ| さて 、 その 中 に 一 人 の 娘 が おり ました が 、 この 娘 は 純潔 と 愛 と に 満ちた 魂 を いだいて 神 を 仰いで おり ました 。 ||なか||ひと|じん||むすめ||||||むすめ||じゅんけつ||あい|||みちた|たましい|||かみ||あおいで|| これ こそ この 上 も なく 清らかな 、 この 上 も なく 気高い 愛 の 象徴 で あり ました ぞ 」 「 神 の 恵み 、 その 娘 の 上 に あれ ! |||うえ|||きよらかな||うえ|||けだかい|あい||しょうちょう|||||かみ||めぐみ||むすめ||うえ|| 」 と 、 賢者 は 言い ました 。 |けん しゃ||いい| 「 だが あなた がた の うち 、 まだ 誰 も 世界 一 の 美しい バラ の 花 を 名ざした もの は あり ませ ん 」   その 時 、 一 人 の 子ども が 部屋 の 中 に 入って 来 ました 。 ||||||だれ||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||なざした|||||||じ|ひと|じん||こども||へや||なか||はいって|らい| それ は 、 女王 さま の 小さな 王子 でした 。 ||じょおう|||ちいさな|おうじ| 見れば 涙 が 目 に あふれて 、 ほお に 流れて い ます 。 みれば|なみだ||め|||||ながれて|| 王子 は 、 大きな 本 を ひろげて 持って い ました 。 おうじ||おおきな|ほん|||もって|| ビロード の 表紙 に は 、 大きな 銀 の 金具 が ついて い ました 。 びろーど||ひょうし|||おおきな|ぎん||かなぐ|||| 「 お 母 さま ! |はは| 」 と 、 小さい 王子 は 言い ました 。 |ちいさい|おうじ||いい| 「 ねえ 、 ぼく が 今 読んだ 言葉 を 聞いて ちょうだい ! |||いま|よんだ|ことば||きいて| 」   こう 言って 王子 は ベッド の そば に 腰 を おろして 『 主 の 書 』、 世 の 人々 を 、 いえ 、 まだ 生まれて こ ない 後 の 世 の 人々 を も 救う ため に 進んで 十字架 に お かかり に なった 、 主 の 書 の 中 の 一節 を 読み ました 。 |いって|おうじ||べっど||||こし|||おも||しょ|よ||ひとびと||||うまれて|||あと||よ||ひとびと|||すくう|||すすんで|じゅうじか||||||おも||しょ||なか||いっせつ||よみ| 「 これ より も 、 大きな 愛 は ない ! |||おおきな|あい|| 」   その 時 、 女王 さま の ほお の 上 に バラ 色 の 光 が さして き ました 。 |じ|じょおう|||||うえ||ばら|いろ||ひかり|||| そして 目 が 大きく 、 そして 明るく 開か れ ました 。 |め||おおきく||あかるく|あか|| なぜなら 女王 さま は その 本 の ぺージ の 中 から 、 世界 一 の 美しい バラ の 花 が 浮かび あがって くる の を ご覧 に なった から です 。 |じょおう||||ほん||ぺ -ジ||なか||せかい|ひと||うつくしい|ばら||か||うかび|||||ごらん|||| それ は 十字架 の 上 に 流さ れた キリスト の 血 の 中 から 咲き 出た 、 あの バラ の 花 の 姿 でした 。 ||じゅうじか||うえ||ながさ||きりすと||ち||なか||さき|でた||ばら||か||すがた| 「 私 に は 、 バラ の 花 が 見え ます ! わたくし|||ばら||か||みえ| 」 と 、 女王 さま は 言い ました 。 |じょおう|||いい| 「 この世 で 一 番 美しい バラ の 花 を 見た 者 は 、 決して 死ぬ こと は あり ませ ん 」 このよ||ひと|ばん|うつくしい|ばら||か||みた|もの||けっして|しぬ||||| "Wer die schönsten Rosen der Welt sieht, wird niemals sterben."

おしまい