地獄 少女 三 鼎 - 20
山河 三 差 路 分かれ 道
守り たい の は 己 か 人 か
常 世 の 闇 か …
非だ の 乱れ は 貢が ない
終わる 事 ない 阿 鼻 の 芸
時に 分け入れ 扉 が 開く
晴らせ ぬ 恨み 晴らし ます
駄目 やめて
駄目 それ を 解いちゃ
その 糸 を 解いちゃ 駄目
どうして ー
一 度 プロパー の 方 に 来て いただいて
え 私 です か ?
賽 河原 中学 の 保健 医 を して おり ます
柴田 と 申し ます
柴田 つぐみ です
では お 願い し ます
行ったら 戻れ なく なる わ よ
見える んです か ? それ が
次の 時間 まで 寝て って も いい の よ
柴田 先生 六 文 燈 籠 の 時
地獄 の 入り口 が 見えて た んです よ ね
さ ぁ
あそこ に 行ったら 戻れ なく なる って 言い ました よ ね
覚えて ない けど
柴田 先生 は 知って る んです か ? 地獄 少女 の こと
俺 の 勘 って やつ も 鈍 っち まった らしい なぁ
こんな ところ に いた なんて
柴田 つぐみ この 学校 に 来た の は 去年 らしい よ
もう 長い 間 地獄 流し に 干渉 する こと は なかった から なぁ
ど っか で 普通に 暮らして る と 思って た んだ が
はじめ ちゃん どうし てる んだろう ね
父親 か ぁ
だいたい の 場所 は つかめた よ
地獄 通信 に 柴田 つぐみ の 名前 書いて は 消して る 奴 の 場所
いったい どうして あの 子 の こと を 地獄 に なんて
で どんな 按排 なんで ぇ その …
今 山 童 が 行って る
え いや あ って こと は … あれ も 一緒 か ぁ
廃墟 だった の を 今年 初め に 買った そうです
何 ヶ月 も 業者 が 工事 して たって いう けど
ボロボロ じゃ ん ちょ ー 微妙 ちょ ー 微妙
姫 駄目です よ
まだ 送信 さ れて ない んだ し
様子 を 見る だけ だ よ ー
お前 の 物 は 俺 の 物
地獄 の 沙汰 も 金次 第 ー
どこ で 覚えて くんだ ろ ああいう の
大丈夫です か ?
姫 !
通り抜け られ なかった ぁ ー
おかしい な 僕たち に 現世 の 壁 なんて
うん こっち は 変わり ない よ
そっち は ? お 父さん 元気 ?
そう な んだ
う うん 別に 用事 だった わけじゃ なくて …
あい また 戻って 来た んだ ねぇ
そう ね おばあ ちゃん
あい は その こと 望んで いた かい ?
寂しい の は 慣れた から
でも 二 人 に は 早く 帰って 来て 欲しい なって
あ 違う
うん なんでもない から 心配 し ないで
はじめ ちゃん おかしい ね
わたし が 地獄 通信 に 書か れた みたい
それ も いい の かも
逆の 側 に なる より
その ほう が ずっと マシ
柴田 つぐみ 様 です ね
どなた です か ?
溝 呂木 と いう 者 の 使い で 参り ました
桔梗 と 申し ま
溝 呂木 が 柴田 様 に 是非 お目にかかり たい と
関心 あり ませ ん
この 本 に 書いて ある こと に ついて の お 話 です が
地獄 少女 に ついて 唯一 真実に 迫った と いわ れる この 本
あなた の 父 君 が 書か れた もの です ね
です ので つぐみ 様 に 是非 ご 同道 を お 願い し たく
柴田 先生 が どうして 地獄 流し に …
どうして 来た の ?
止める ため に ?
柴田 先生 が 何 を したって いう の ?
わたし の 務め は
地獄 に 流して 欲しい 人 の 願い を 叶える こと
あなた は 何も 考え ない の ?
流して いい 人 な の か どう か と か
おかしい よ ! わたし に は よく わかん ない けど
そんな の おかしい そんな の …
しかし どうした もんか なぁ
山 童 の 言う に は
俺 たち の 力 で は この 屋敷 に 入る こと は でき ねぇ と
そう 言 や 山 童 と きく り は どこ 行った ん だい
まったく …
柴田 先生
久しぶり
久しぶり ね つぐみ
みなさん お 揃い です ね
では 中 に ご 案内 し ます
ちょっと 待って 柴田 先生
先生 の 名前 が 地獄 通信 に 書か れちゃ った んです よ
知って る わ
なんか 息苦しい ね この 中
山 童 が 言って た の は この こと か
待て その エレキテル みて え なや つ だ
お 嬢 近づ かね いほう が いい
こんな からくり で 遊んで 欲しい の ?
その 装置 は リバーサ
あなた 方 の 持つ 超 自然 的な 力 に 反発 する
EMR 発生 装置 だった のです が …
呼んだ ?
ええ 呼び ました よ 地獄 少女
そして 柴田 つぐみ さん
前 に お 会い した こと は あり ました か ?
いいえ つぐみ さん は どうぞ そちら の イス へ
いったい 何の まね だい !
先生 地獄 流し に しよう と いう の ?
どんな 怨み が ある の よ
実のところ 怨み は 無い んです
いや むしろ わたし は つぐみ さん の お 父さん
この 本 を 書いた 柴田 一 氏 を 敬愛 して い ます
こいつ は 妙だ ぜ 相応の 怨み の 念 が 無きゃ
地獄 通信 に アクセス すら でき ねえ はずだ
ああ その こと は 後 で 説明 し ましょう
まずは わたし が どういう 人間 か 知って もらい たい
溝 呂木 省吾 応用 数学 者
二十 年 前 に 高 確率 の 空間 予測 を 可能 と する
溝 呂木 定数 なる もの を 発見 し
その後 消息 を 絶った
わたし が 見出した 空間 予測 定数 は
それ 自体 は ただ の 数式 です が
ある 特殊な 分野 で 非常に 有効だった んです
これ から の 戦争 は 無人 兵器 に よる 戦闘 が 主流 に なる と
考え られて い ます
その ほう が リスク が 少ない から です
空間 予測 定数 それ は 軍事 分野 に 有効だった のです
人 の 命 も 計算 かい
わたし の 定数 は
無人 攻撃 機 の 機能 を 飛躍 的に 高める こと が わかり
わたし は わたし が 発見 した 定数 と
溝 呂木 省吾 と いう 人格 ごと ある 企業 に 買収 さ れ ました
わたし は それ で 満足でした
表 に 出 なければ 好きに 残り の 人生 を 送れる
しかし わたし の 定数 は
違う もう 一 つ の こと を 明らかに して いる と 気づいた んです
この 実 世界 と は 別に 見え ない 別の 世界 が 存在 して いる
即 ち それ は 地獄 が 実在 する と いう こと です
数式 が 地獄 の 実在 を 証明 して いる
この こと に わたし は 心 を 奪わ れた
なぜ そこ まで わたし が 地獄 に 魅 かれる の か
しばらく たって やっと 思い出した
自分 の 育て られた 家庭 が
まず 地獄 だ と いえ なく も なかった
いや これ は まったく の 比喩 な んです が
母 は 父 を 地獄 へ 送った と わたし に 言った けれど
幼かった わたし に は その 意味 は よく わから なかった
その 母 も 数 年 後 に は い なく なって しまった
地獄 そこ へ 流す 者 と 流さ れる 者 が いる
ハイゼンベルク 以降
絶対 と いう もの は 絶対 で なく なった この 世界 で
地獄 の 存在 の 絶対 性 と は なんと 魅惑 的な もの だろう と
わたし は 地獄 流し に ついて 調べ ました
もちろん 基本 的な 理解 は 柴田 一 氏 の 著作 から 得 ました
昔 は 新聞 の 三 行 広告
ベーシック で 書か れた 原始 的な BBS
そして ネット 携帯 へ と
施設 に 沿って 変遷 し つつ
地獄 少女 が 怨み を 聞き届ける その 基本 は 普遍 に 続いて いる
そんなに 前 から
地獄 流し と は
一 つ の 地域 で 集中 的に 起こる 傾向 が ある こと を わたし は 知った
町 ひと つ が 崩壊 する まで エスカレート する こと も あった
あれ は ひどかった ね
この 賽 河原 市 でも それ が 起こり つつ ある
そして わたし は 知った
地獄 少女 が 再び 肉体 を この 地 で 得た こと
さらに 柴田 一 の 娘 地獄 少女 と 深い 関わり を 持った
柴田 つぐみ まで も が この 町 に いる と
地獄 少女 に 会い たい それ で 柴田 先生 の 名前 を ?
ええ 地獄 少女 に は 藁 人形 の 化身 が 従者 と して 仕えて おり
超 自然 的な 能力 を 持つ こと も わかって いた ので
この 屋敷 を 作った のです 対等に 話 が できる ように ね
どうか して る ぜ
しかし 合点 が いか ねえ
さっき も 言った が
怨み の 念 が 無きゃ 地獄 通信 に アクセス は でき ねえ はずだ
地獄 の 存在 を わたし は 客観 的に 知り たかった
しかし わたし に は 地獄 に 流し たい ほど 憎む 人間 も
この 現世 に は い ない
憎悪 の 情 動 さえ 生成 できれば
地獄 通信 が 繋がる のだ と すれば …
何 を し たんだい ?
彼 は 催眠 療法 師 です わたし の 深層 心理 に
柴田 つぐみ に 対する 憎悪 の 情 動 を 植えつけて もらった のです
作り事 の 憎しみ そんな こと まで して …
おかしい よ みんな
それ で 何 を 証明 し たかった んです か ?
地獄 流し と いう システム の 持つ 矛盾
たとえば その 怨み が
誤解 や 逆 怨み の 妥当 性 の 無い もの だ と して も
地獄 流し は 行わ れて しまう
幼い とき から わたし は 人 が 地獄 へ 流さ れる 印 と して
鈴 の 音 を 聞き 続けて きた
それ が どんなに 間違った 怨み でも
地獄 少女 は 地獄 へ 流して しまう し
わたし は それ を 止め られ なかった
そう そう よ だ から 間違って る !
地獄 流し なんて やっちゃ 駄目な の !
確かに
俺 たち は 理不尽 だって 感じ ながら も 流した 人間 が い 大勢 いる
けど それ が 俺 たち の 仕事 なんだ から
あなた は 何も 考え ない の ? そういう こと
考え なかった と 思う ?
呪い と は 弱い 人間 の ルサンチマン が 持てる 最後 の 救いだ
人 は 地獄 を 神格 化 し 呪い と いう システム を 作り出した
つまり 地獄 は 人々 が 生み出した 幻想 で しか ねえ と
いや そう であって は なら ない のだ
わたし に とって 地獄 は 絶対 的に 存在 し なければ なら ん
倫理 や 道徳 と いう 人間 社会 の 都合 で できた もの と は
隔絶 した 究極 の 不条理
それ こそ が 地獄
閻魔 あい 君 こそ は その 不条理 の 象徴 な のだ よ
地獄 少女 会い たかった
会い たかった の は わたし じゃ ない
一目 連
お 嬢 !
これ が 地獄 少女 の する こと ?
こんな 間違った こと なんて わたし 絶対 し たく ない !
柴田 先生 先生 流さ れちゃ う んです よ
何の 罪 も 無い のに !
罪 は 無い わけじゃ ない
わたし は はじめ ちゃん の こと …
だから そう なって も かまわ ない の
もう 一 人 で いる の 疲れちゃ った し
先生 !
その 赤い 糸 を 解いたら どう なる かも 知って る んだ ろ !
当然 そう 長い こと なく わたし 自身 も 地獄 へ 流さ れる
つぐみ を 巻き込む こと は ねえ だ ろ !
わたし に かかって いる 催眠 は
ある キーワード が トリガー に なって 解ける
その 時 わたし の こと を 存分に さげすんで くれ
やめて ー !
一 遍 死んで みる ?
お 嬢 !
トリガー を 聞いた が わたし は まだ 糸 を 解いて い ない
やっぱり 子ども が いた
糸 を 解いた の は あの 人 だ よ
桔梗 お前
お 許し ください
わたし は この 子 たち が あなた を 流そう と して いる の を 知り
あなた と 同じ 方法 で 地獄 流し を 頼んだ のです
あなた は 自分 の 発見 した 数字 が
罪 無き 命 を 奪う こと を 心 の 奥 で 責めて いた
だから 戦地 で 親 を 失った 子ども たち を 引き取り
養育 して いた
偽善 さ
ええ この 子 たち は
無差別に 人 の 命 を 奪える 兵器 を 作った あなた を
許せ なかった のです
お前たち が …
そう か すまなかった ね
桔梗 この 子 たち を 頼む
これ で また 会える の か お 母さん
この 怨み 地獄 へ 流し ます
柴田 先生 !
もし かして 先生 も そう だった んじゃ ない んです か ?
なに が
先生 も 地獄 少女 に なる 定め だった んじゃ ない んです か ?
そう かしら 定め と は 本来 あらがえ ぬ もの
わたし は そう 思って いる わ
わたし は 嫌 !
定め って なに ? 誰 が そんな もの 決める の !
どう すれば いい の あたし …
貴方 の 怨み 晴らし ます
名前 は ?
菊池 海 斗
今 の お 母さん は 本当の お 母さん じゃ ない んだ ね
うん でも とって も 優しく して くれた んだ
だけど 変わっちゃ った
そして 父さん も
我慢 して た けど やっぱり 辛い 悲し いよ
それ で 君 は …
次回
谎言 的 正面