山河 三 差 路 分かれ 道
守り たい の は 己 か 人 か
常 世 の 闇 か …
非だ の 乱れ は 貢が ない
終わる 事 ない 阿 鼻 の 芸
時に 分け入れ 扉 が 開く
晴らせ ぬ 恨み 晴らし ます
まだ 逃げる つもり
人 が 人 を 怨 むこ と も
怨 ま れる こと も 止め られ ない って 言った わ よ ね
地獄 は 人 の 中 に ある って
だったら 地獄 通信 なんて 意味 無い じゃ ない
いっそ 放って 置いて くれれば いい じゃ ない
今 あなた は わたし を 憎んで いる
そんな こと 無い
あなた わたし を 地獄 へ 流し たい んでしょ
違う 絶対 地獄 少女 に なんか …
考える の は やめよう 明日 は 合格 発表 なんだ から
秋 恵 …
大丈夫 今日 の こと だけ 考えて やってきた んだ から
絶対 受かって る
1215 番 …1215 番
あった 1215
間違い ない よ ね 1215 番 だ よ ね
間違い ない 間違い ない 確かに 1215
凄い や だ …
よく 頑張った ね
あの それ 私 の 受験 票 じゃ あり ませ ん か ?
1215 番 って 私 の 受験 番号 だ と 思う んです けど
何 か の 勘違い じゃ ない んです か
そんな はず は そんな …
そんな そんな どうして
ない あれ あれ …
お 母さん お 母さん
5 号 棟 今月 で もう 誰 も 居 なく なる 見 たい よ
そう ここ も ついに 取り壊し かしら ね
あ すみません 間違って 捨 って ちゃ った かも 知れ なくて
5 号 棟 の 御 景 です 失礼 し ました
5 号 棟 あの 子 いた かしら
あ 無くしちゃ った みたいで
わかん ない よ ね 本当 どこ やっちゃ った んだ ろ
あ そうだ 守屋 先生 は ?
職員 室 じゃ ない
ありがとう
誰 ?
さあ
先生 賽 河原 校 の 発表 が あった んです けど
あ 悪い それ は 君 の 担任 の 先生 に 聞いて くれる かな
今 は ちょっと 忙しくて
先生
どういう こと ?
そら 望
珠代
秋 恵
秋 恵
秋 恵
どうして 助けて くれ なかった の ?
どうして ?
わかって る わ あなた でしょ
出て き なさい よ 地獄 少女 !
こんな こと して 何 に なる って いう の
あたし は あなた を 怨 んだ りし ない わ よ
怨み なんて 怨念 なんて 虚 し いって あたし は 知って る から
それ を 教えて くれた の は あなた だ から
な に さ れた って あたし は 地獄 少女 に なんか なら ない
絶対 なら ない から !
だから もう いい加減に して
こんな こと もう やめて
柴田 先生
落ち着いた ?
はい 先生 が 見て も 変です か ?
わかり ます か ? 今 この 世界 が おかし いって
わかる と いえば わかる わ
とりあえず
わたし に は あなた が 誰 だ か わかって る から 安心 して
なんで こんな こと を する んだ ろ
なんで わたし が 地獄 少女 に なんか
先生 どう すれば ここ から 抜け出せる か
知って る んじゃ ない んです か
教えて ください
いつか わたし に 聞いた わ よ ね
わたし も そう だった んじゃ ない か
地獄 少女 に なる さ だめだった んじゃ ない か って
はい
それ は 違う わ
わたし は 地獄 少女 に なる さだめ なんか じゃ なかった
わたし は ただ 見せ られて いた だけ
何 人 も 何 人 も 地獄 へ 流す 人 流さ れる 人
そして あなた の ような 人 たち
わたし の ような ?
みんな 苦しんで いた 今 の あなた の ように
見て る だけ だった んです か
私 わ ね
わたし の こと も 見て る だけ です か ?
助けて ください お 願い です
もう 先生 しか 頼る 人 が い ない んです
ごめんなさい 見て る だけ な んじゃ ない
わたし に できる の は 見る こと だけ な の
そんな
言った でしょ 定め に は 抗 え ない って
じゃあ どうして
何で あの 時 わたし に あんな こと
お 止し なさい
誰 行ったら 戻れ なく なる わ よ どうして です か ?
父 と わたし よ
父 は 止めよう と した 地獄 少女 を
地獄 通信 を 巡る 不条理 の すべて を
でも 結局 それ を やめた わ
なぜ です か ?
そう する こと も また
地獄 通信 の システム の 一部 に 過ぎ ない と 悟った から よ
ごめん 難しかった わ ね
でも そんな 風 に しか 言え ない の
わたし たち の 運命 も 行動 も
すべて システム に 組み込ま れる の よ
それ が さだめ な の
わから ない わ
わたし も わから なかった
どうして わたし が 次 から 次 へ と
不幸な 人々 の 運命 を 見 なくちゃ いけない の か
それ が 誰 の 目的 な の か
その 人 は わたし に 何 を さ せ たい の か
何 を 期待 して いる の か ?
その うち に ある 日 ふっと 思った の
わたし に ビジョン を 見せる 目的 は …
あきらめ させ たい んじゃ ない か って
理不尽に 満ちた この 世界
怨み の 念 に 塗りつぶさ れた この 世界 を
ありのまま 醜い まま に 肯定 して
受け入れ させ たい んじゃ ない か って
どうして ?
変わら ない から よ
この 世界 は けがれた まま
決して 変わる こと は 無い
そして 人々 は 本心 で は
世界 は けがれた まま の ほう が いい と 思って いる
ビジョン を 送って くる 存在 は
きっと その 秩序 を 守ろう と して いる んだ わ
そんな
あなた も 見た でしょ
地獄 通信 に 救わ れた 人 たち も いる
わたし も 何 人 も 見て きた
でも わたし は 気づいた の
本当に 救わ れて いる の は
直接 地獄 通信 に アクセス して 地獄 少女 に 依頼 した 人 じゃ ない
地獄 通信 の 存在 を 知り ながら アクセス して い ない 人
心 に 怨み の 念 を 抱き ながら
いつか アクセス して やろう と 思って る 人
彼ら な んじゃ ない か って
彼ら に とって は
地獄 通信 が 存在 する こと 自体 が 希望 な の よ
不愉快な 奴 は いつか 地獄 少女 に 地獄 に 流して もらえば いい
だから 彼ら は 鬱屈 した 毎日 を 生きて いける
そして そういう 気持ち は 誰 に でも ある
あなた に も わたし に も
確かに 地獄 少女 は 言って ました
本当の 地獄 は 人 の 心 に ある って
この 世界 を 変える なんて 途方 も 無くて
どこ から 手 を つけて いい の か わから ない
だから 父 も あきらめた
わたし も 地獄 少女 を 否定 する んじゃ なく
共存 して いく しか ない と 思う ように なった
そして たぶん 地獄 少女 本人 も あきらめて いる
それ を 望んで る
つまり 受け入れろ って こと です か ?
今 の この 状況 を
あなた に とって は その ほう が 幸せだ わ
そんな こと あり ませ ん !
親 も い ない 友だち も い ない
先生 しか わたし の こと を 知ら ない
こんな ところ に いる の は 嫌です
そう やって 地獄 少女 へ の 怨み を 抱え ながら
この 世界 で さまよって いる ほう が 幸せ かも
あきらめる なんて 嫌です !
ここ しばらく ずっと 無視 して き ました
地獄 通信 に アクセス して いる 人 たち の こと
わたし が 何 を したって 変わら ない
そんな こと より 受験 に 集中 しよう って 思った から
でも それ って 自分 を ごまかして た んです
本当 は ずっと 毎日 後悔 して た んです
柴田 先生 も そう な んじゃ ない です か
あきらめた んじゃ なくて あきらめよう と して た んじゃ ない です か
あの 鳥居 の 向こう に 何 が ある の か 知ら ない けど
もし 本当に あきらめた の なら
あんな こと 言わ なければ 良かった じゃ ないで す か !
黙って 見て れば 良かった じゃ ないで す か !
それ に どうして 何の ため に 先生 は この 町 に いる んです か ?
どこ か で まだ 自分 に も できる こと が ある んじゃ ない か って
思って る から じゃ ないで す か
父 は 地獄 少女 に 地獄 流し を やめ させよう と
ホントに 必死だった
いい 年 して 青臭い 情熱 で
自分 が 大人 に なって みて わかった わ
あれ だけ の 情熱 を 持ち 続ける の が どれ だけ 大変 か
だから 父 が あきらめた 時 に わたし は 責めた
今 の あなた みたいに ね
父 は 言った わ ひと言 疲れた んだ って
わたし も 疲れた わ
なのに こう やって 関わって しまう
あなた の いう 通り ね
たぶん まだ どこ か で 信じて る の よ
世界 を 変える こと が できる んじゃ ない か って
教えて ください どう すれば いい んです か ?
一 つ だけ 約束 して あの 鳥居 の 向こう に だけ は 行か ない って
あの 向こう に は 何 が ある んです か ?
どんなに ひどい こと でも どんなに 辛い こと でも
逆らわ ず に 受け入れて 欲しい の
どういう こと です か ?
わたし が 見て きた
次の 地獄 少女 に なる はずだった 女の子 たち
彼女 たち は 地獄 少女 に も なれ ず
かといって 自分 の さだめ も 受け入れ られ ず
今 も まだ 現世 と 冥界 の 狭間 に 漂って いる わ
現世 ? 冥界 ?
何の こと です か ?
すべて が 幻 でも
親 が いて 友だち が いて
普通に 中学生 に なった 日常 へ なら 戻る こと が できる かも しれ ない
幻 ? 何 が 幻 な んです か ?
受け入れ られる これ が 現実 だって
あなた が い ない この 世界 が 現実 で 今 まで が 幻 だって
あなた は もう この世 の 者 じゃ ない
あなた は もう とうの昔 に この世 から
やめて
い なく なった 存在 な の
お 母さん
だから それ を 受け入れて
嘘 よ
それ に 耐えて
嘘 よ !
あの 鳥居 の 向こう に だけ は …
はじめ ちゃん
嘘 よ !
嘘 よ !
助けて 誰 か
わかった ?
それ が あなた よ
できる こと なら 知ら ない まま で 済ませて やり たかった
それ が 無理だ と わかって いて も
俺 たち に は どう しよう も ない こと な んだ と わかって いて も
何 が 悪かった の か 誰 が 悪かった の か
教えて やろう
これ が 御 景 ゆず きって 娘 の すべて だ
次回
柚木