いも 正月 |しょうがつ Potato New Year

いも 正月 |しょうがつ

むかし むかし 、 茂 作 ( しげ さく ) いう 若者 が 、 お 母さん と 二 人 で 暮らして い ました 。 ||しげる|さく||||わかもの|||かあさん||ふた|じん||くらして|| Once upon a time, a young man named Mosaku lived with his mother. 茂 作 は 働く の が 大きらいで 、 いつも ブラブラ と 遊んで は 、 お 酒 ばかり 飲んで い ます 。 しげる|さく||はたらく|||だいきらいで||ぶらぶら||あそんで|||さけ||のんで|| Mosaku works a lot, so he's always hanging out and drinking alcohol. その ため に 二 人 は とても 貧乏で 、 その 日 の 食べ物 に も 困る 暮らし でした 。 |||ふた|じん|||びんぼうで||ひ||たべもの|||こまる|くらし| As a result, the two of them were very poor and had a hard time finding food for the day.

ある 日 、 茂 作 が お 母さん に 言い ました 。 |ひ|しげる|さく|||かあさん||いい| One day, Mosaku said to his mother, 「 おれ 、 よそ の 土地 へ 行って 働いて くる 。 |||とち||おこなって|はたらいて| "I'm going to work in another land. どっさり と 金 を かせいで 来る から 、 待って いて くれ 」 　 お 母さん は うれし涙 を 流す と 、 家 を 出て 行く 茂 作 に こつこつと ためて いた お 金 を 全部 渡して 、 茂 作 を 見送り ました 。 ||きむ|||くる||まって||||かあさん||うれしなみだ||ながす||いえ||でて|いく|しげる|さく||||||きむ||ぜんぶ|わたして|しげる|さく||みおくり| I'm going to collect a lot of money, so please wait for me." Mother cried tears of joy, handed over all the money she had been diligently saving to Mosaku, who was leaving the house, and saw him off.

茂 作 が 村 を 出て から 、 三 年 の 月日 が 過ぎ ました 。 しげる|さく||むら||でて||みっ|とし||つきひ||すぎ| Three years have passed since Mosaku left the village. 茂 作 から は 、 手紙 一 つ あり ませ ん 。 しげる|さく|||てがみ|ひと|||| There is not a single letter from Mosaku. でも お 母さん は 、 いつか 立派に なった 茂 作 が 帰って 来る の を 待ち 続け ました 。 ||かあさん|||りっぱに||しげる|さく||かえって|くる|||まち|つづけ| But my mother continued to wait for Mosaku to return, who had grown up someday.

やがて 、 大みそか が やって 来 ました 。 |おおみそか|||らい| Before long, New Year's Eve came. ほか の 家 で は お 米 を たいて お 正月 の 準備 を し ます が 、 貧しい お 母さん の 家 に は お 米 が あり ませ ん 。 ||いえ||||べい||||しょうがつ||じゅんび|||||まずしい||かあさん||いえ||||べい|||| ある の は 、 少し ばかりの いも だけ です 。 |||すこし|||| 「 いも でも 、 ない より は ましだ わ 。 今夜 も いも を 煮て 、 お 正月 の 準備 を し ましょう 」 　 お 母さん が 川 で いも を 洗って いる と 、 旅人 が 声 を かけて き ました 。 こんや||||にて||しょうがつ||じゅんび|||||かあさん||かわ||||あらって|||たびびと||こえ|||| 「 すみません 。 旅 の 途中 で お 金 を 落として しまい 、 昨日 から 何も 食べて い ませ ん 。 たび||とちゅう|||きむ||おとして||きのう||なにも|たべて||| なに か 食べ物 を 、 わけて もらえ ませ ん か ？ ||たべもの|||||| 」 「 はい 」 　 お 母さん は やさしく うなずく と 旅人 を 家 に 連れて 行き 、 夕飯 の ため に 煮て おいた いも を 出して やり ました 。 ||かあさん|||||たびびと||いえ||つれて|いき|ゆうはん||||にて||||だして|| 旅人 は よほど お腹 が 空いて いた の か 、 両手 で いも を つかむ と ものすごい 早 さ で 食べて しまい ました 。 たびびと|||おなか||あいて||||りょうて|||||||はや|||たべて|| 「・・・ あの 、 申しわけない のです が 、 もう 少し いただけ ない でしょう か ？ |もうしわけない||||すこし|||| 」 「 はい 」 　 お 母さん は ニッコリ 笑う と 、 かまど に 火 を つけて 、 お 正月 用 の いも を 煮て あげる こと に し ました 。 ||かあさん||にっこり|わらう||||ひ||||しょうがつ|よう||||にて||||| そして いも が 煮える まで の 間 、 旅人 に 心配 して いる 茂 作 の 事 を 話し ました 。 |||にえる|||あいだ|たびびと||しんぱい|||しげる|さく||こと||はなし| 「 うち の 息子 の 茂 作 が 、 よそ で 働いて お 金 を かせいで 来る んです よ 。 ||むすこ||しげる|さく||||はたらいて||きむ|||くる|| お 金 なんて いり ませ ん が 、 立派に 働いて 一人前 に なった 茂 作 の 姿 を 見る の が 、 わたし の ゆい つ の 楽しみな のです 」 　 その 話 を 、 外 で 聞いて いる 者 が あり ました 。 |きむ||||||りっぱに|はたらいて|いちにんまえ|||しげる|さく||すがた||みる||||||||たのしみな|||はなし||がい||きいて||もの||| それ は 三 年 前 に 村 を 出て 行った 、 茂 作 です 。 ||みっ|とし|ぜん||むら||でて|おこなった|しげる|さく| 茂 作 は 三 年 の 間 、 働き も せ ず に ぶらぶら と 遊んで い ました 。 しげる|さく||みっ|とし||あいだ|はたらき|||||||あそんで|| そして お 母さん に もらった お 金 を 全部 使い果たした ので 、 しかたなく 家 に 帰って きた のでした 。 ||かあさん||||きむ||ぜんぶ|つかいはたした|||いえ||かえって|| ( おふくろ ・・・) 　 お 母さん の 話 を 聞いて いる うち に 茂 作 は 自分 が 恥ずかしく なって 、 そのまま 家 を 離れよう と し ました 。 ||かあさん||はなし||きいて||||しげる|さく||じぶん||はずかしく|||いえ||はなれよう||| する と その 時 、 旅人 が お 母さん に 言い ました 。 |||じ|たびびと|||かあさん||いい| 「 あの 、 山 に 荷物 を 置いて いる から 、 ちょっと 行って き ます ね 」 　 それ を 聞いた 茂 作 は 見つかって は まずい と 、 あわてて 物 置き の かげ に かくれ ました 。 |やま||にもつ||おいて||||おこなって||||||きいた|しげる|さく||みつかって|||||ぶつ|おき||||| 旅人 は 家 を 出る と 、 山 の 方 へ 歩いて 行き ました 。 たびびと||いえ||でる||やま||かた||あるいて|いき| そして 間もなく 、 山 の 方 から 旅人 の 大きな 声 が 聞こえて 来 ました 。 |まもなく|やま||かた||たびびと||おおきな|こえ||きこえて|らい| 「 いも は 、 煮え ました か ー 」 　 お 母さん も 、 大きな 声 で 答え ました 。 ||にえ|||-||かあさん||おおきな|こえ||こたえ| 「 いいえ 、 まだ です ー 」 　 しばらく する と 、 また 旅人 の 大きな 声 が し ました 。 |||-|||||たびびと||おおきな|こえ||| 「 いも は 、 煮え ました か ー 」 「 いいえ 、 もう 少し です ー 」 　 旅人 は 山 の 上 の 方 へ 行った らしく 、 声 が だんだん 遠く なって いき ます 。 ||にえ|||-|||すこし||-|たびびと||やま||うえ||かた||おこなった||こえ|||とおく||| 「 いも は 、 煮え ました か ー 」 「 は ー い 、 いも が 煮え ました よ ー 」 　 お 母さん が 答える と 、 山 の 上 から 旅人 が 言い ました 。 ||にえ|||-||-||||にえ|||-||かあさん||こたえる||やま||うえ||たびびと||いい| 「 それ じゃ あー 、 戸 を 開けて 待って いて くださ ー い 」 　 お 母さん が 言わ れた 通り に 家 の 戸 を 開ける と 、 突然 山 から 強い 風 が 吹いて きて 、 隠れて いた 茂 作 の 体 を 木 の 葉 の ように 舞い 上げ ました 。 |||と||あけて|まって|||-|||かあさん||いわ||とおり||いえ||と||あける||とつぜん|やま||つよい|かぜ||ふいて||かくれて||しげる|さく||からだ||き||は|||まい|あげ| そして 茂 作 は 風 に 運ば れて 、 ドスン と 家 の 中 に 落とさ れ ました 。 |しげる|さく||かぜ||はこば||どすん||いえ||なか||おとさ|| 「 しっ 、 茂 作 ！ |しげる|さく 」 　 お 母さん が 驚き の 声 を 上げる と 、 続いて 風 に 乗って 、 ドスン ！ |かあさん||おどろき||こえ||あげる||つづいて|かぜ||のって|どすん ドスン ！ どすん ドスン ！ どすん と 、 たくさんの 荷物 が 茂 作 の 後ろ に 落ちて き ました 。 ||にもつ||しげる|さく||うしろ||おちて|| 茂 作 が ふり返る と 、 後ろ に は お 金 や お 米 や 布 が 山 の ように 積んで あり ます 。 しげる|さく||ふりかえる||うしろ||||きむ|||べい||ぬの||やま|||つんで|| 「 茂 作 、 これ は いったい ？ しげる|さく||| 」 「 いや 、 おれ に も 何 が なんだか 」 　 飛んで 来た 荷物 の 中 に 、 一 通 の 手紙 が あり ました 。 ||||なん|||とんで|きた|にもつ||なか||ひと|つう||てがみ||| 二 人 が 手紙 を 開いて みる と 、 そこ に は こう 書か れて あり ました 。 ふた|じん||てがみ||あいて|||||||かか||| 《 おいしい いも でした 。 二 人 と も 、 お 幸せに 。 ふた|じん||||しあわせに 旅人 より 》 　 お 母さん は 思わず 、 旅人 が 消えて いった 山 に 手 を 合わせ ました 。 たびびと|||かあさん||おもわず|たびびと||きえて||やま||て||あわせ| 「 さっき の 旅人 は 、 神さま に ちがいない わ 」 　 茂 作 も 、 お 母さん と 一緒に 手 を 合わせ ました 。 ||たびびと||かみさま||||しげる|さく|||かあさん||いっしょに|て||あわせ| 「 ああ 、 きっと そう にち げ え ねえ 」

それ から の 茂 作 は 本当に よく 働く ように なり 、 お 母さん を 大事に して 幸せに 暮らし ました 。 |||しげる|さく||ほんとうに||はたらく||||かあさん||だいじに||しあわせに|くらし|

おしまい