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孝女(こうじょ)いと
孝 女 ( こうじょ ) いと
むかし むかし 、 早瀬 ( はやせ ) に 、 イト と いう 心 の やさしい 女 の 人 が い ました 。
家 は とても 貧しくて 、 夫 も 漁 に 出て 留守 がちだった ので 、 イト が 魚 を 売り 歩いて 姑 ( しゅうと ) と 子ども を 養って い まし ゜ た 。
ある とき 、 イト が 魚 を 売り 終えて 帰って みる と 、 家 の 中 一面に わら が 散らかって い ます 。
「 なんだろう 、 これ は ?
」 不思議に 思って 、 子ども に たずねる と 、 「 うん 。
おばあ ちゃん と 一緒に 遊んだ んだ よ 」 と 、 答え ます 。
年老いた 姑 は 、 聞き分け の ない 子ども と 同じな のでした 。
でも イト は 、 怒る どころ か 、 「 まあ 、 それ は 楽し そう ね 」 と 、 自分 も わら を まいて 遊んだ ので 、 姑 は とても 喜び ました 。
また ある 年 の 冬 、 姑 は 急に 季節 は ずれ の なすび の 吸い物 が 食べ たい と 言い だし ました 。
そこ で イト が 、 近く の 寺 で もらった なすび の ぬか づけ を 川 で 洗って いる と 、 みるみる うち に 鮮やかな 紫 の 生 の なすび に なった ので 、 それ で 吸い物 を 作る 事 が でき ました 。
その 次の 年 の 冬 、 今度 は 嵐 で 漁 が でき ない 時 に 、 姑 は 魚 を 食べ たい と だ だ を こね ました 。
イト が 何とか しよう と 魚 を 探し 歩いて いる と 、 一 羽 の トビ が 飛んで きて 、 大きな 生きた 魚 を 落として いき ました 。
もちろん イト は 喜んで その 魚 を 拾い 、 姑 に 食べ させ ました 。
きっと 、 イト の 姑 を 思う 気持ち が 、 天 に 届いた のでしょう ね 。
おしまい
孝女(こうじょ)いと
たか おんな||
filial daughter
孝 女 ( こうじょ ) いと
こう|おんな||
むかし むかし 、 早瀬 ( はやせ ) に 、 イト と いう 心 の やさしい 女 の 人 が い ました 。
||はやせ||||||こころ|||おんな||じん|||
家 は とても 貧しくて 、 夫 も 漁 に 出て 留守 がちだった ので 、 イト が 魚 を 売り 歩いて 姑 ( しゅうと ) と 子ども を 養って い まし ゜ た 。
いえ|||まずしくて|おっと||りょう||でて|るす|||||ぎょ||うり|あるいて|しゅうとめ|||こども||やしなって|||
ある とき 、 イト が 魚 を 売り 終えて 帰って みる と 、 家 の 中 一面に わら が 散らかって い ます 。
||||ぎょ||うり|おえて|かえって|||いえ||なか|いちめんに|||ちらかって||
「 なんだろう 、 これ は ?
」 不思議に 思って 、 子ども に たずねる と 、 「 うん 。
ふしぎに|おもって|こども||||
おばあ ちゃん と 一緒に 遊んだ んだ よ 」 と 、 答え ます 。
|||いっしょに|あそんだ||||こたえ|
年老いた 姑 は 、 聞き分け の ない 子ども と 同じな のでした 。
としおいた|しゅうとめ||ききわけ|||こども||おなじな|
An old mother-in-law is like a child who doesn't listen.
でも イト は 、 怒る どころ か 、 「 まあ 、 それ は 楽し そう ね 」 と 、 自分 も わら を まいて 遊んだ ので 、 姑 は とても 喜び ました 。
|||いかる||||||たのし||||じぶん|||||あそんだ||しゅうとめ|||よろこび|
But far from being angry, Ito said, "Well, that sounds like fun," and played with straw himself, which made my mother-in-law very happy.
また ある 年 の 冬 、 姑 は 急に 季節 は ずれ の なすび の 吸い物 が 食べ たい と 言い だし ました 。
||とし||ふゆ|しゅうとめ||きゅうに|きせつ||||なす び||すいもの||たべ|||いい||
Another winter, my mother-in-law suddenly said that she wanted to eat eggplant soup out of season.
そこ で イト が 、 近く の 寺 で もらった なすび の ぬか づけ を 川 で 洗って いる と 、 みるみる うち に 鮮やかな 紫 の 生 の なすび に なった ので 、 それ で 吸い物 を 作る 事 が でき ました 。
||||ちかく||てら|||なす び|||||かわ||あらって||||||あざやかな|むらさき||せい||なす び||||||すいもの||つくる|こと|||
So Ito was washing the eggplant rice bran he got from a nearby temple in the river, and in a blink of an eye, it turned into a bright purple raw eggplant, and he was able to make soup with it.
その 次の 年 の 冬 、 今度 は 嵐 で 漁 が でき ない 時 に 、 姑 は 魚 を 食べ たい と だ だ を こね ました 。
|つぎの|とし||ふゆ|こんど||あらし||りょう||||じ||しゅうとめ||ぎょ||たべ|||||||
イト が 何とか しよう と 魚 を 探し 歩いて いる と 、 一 羽 の トビ が 飛んで きて 、 大きな 生きた 魚 を 落として いき ました 。
||なんとか|||ぎょ||さがし|あるいて|||ひと|はね||とび||とんで||おおきな|いきた|ぎょ||おとして||
もちろん イト は 喜んで その 魚 を 拾い 、 姑 に 食べ させ ました 。
|||よろこんで||ぎょ||ひろい|しゅうとめ||たべ|さ せ|
きっと 、 イト の 姑 を 思う 気持ち が 、 天 に 届いた のでしょう ね 。
|||しゅうとめ||おもう|きもち||てん||とどいた||
I'm sure Ito's feelings for his mother-in-law have reached heaven.
おしまい