JIN - 仁 - 完结 编 #11 (3) |しとし|かん结|

《≪（ 龍 馬 ） 戻る ぜ よ 　 あん 世界 へ 》 りゅう|うま|もどる||||せかい|

え ッ ？

ちょっと ！

待ち なさい 　 待て ！ まち||まて

咲 さ ん さ||

すいません

（ 杉田 ） お ッ 　 目 　 覚めた か ？ すぎた|||め|さめた|

杉田 すぎた

何で 錦 糸 町 の 公園 で 頭 割って 　 ぶ っ 倒れて た んだ よ ？ なんで|にしき|いと|まち||こうえん||あたま|わって|||たおれて|||

おやじ 狩り に でも 　 あったか ？ え ッ ？ |かり|||||

しかも 調べたら 　 脳 腫瘍 も あって さ |しらべたら|のう|しゅよう|||

あの さ

俺 　 着物 だった よ な ？ おれ|きもの|||

普通の 　 お 洋服 でした よ ふつうの||ようふく||

あの さ

俺 から 取った 脳 腫瘍 って おれ||とった|のう|しゅよう|

胎児 様 腫瘍 だった よ な ？ たいじ|さま|しゅよう|||

お前 　 何 言って んだ よ 普通の 良性 腫瘍 だ よ おまえ|なん|いって|||ふつうの|りょうせい|しゅよう||

あ ッ 　 俺 の 手術 した の って 誰 な んだ ？ ||おれ||しゅじゅつ||||だれ||

俺 だ よ 　 今度 　 何 か おごれ おれ|||こんど|なん||

〈 その後 　 何 人 か に 同じ こと を 尋ねて みた が 〉 そのご|なん|じん|||おなじ|||たずねて||

〈 答え は 同じだった 〉 こたえ||おなじだった

〈 俺 が 俺 に 手術 さ れた と いう 事実 は 〉 おれ||おれ||しゅじゅつ|||||じじつ|

〈 あの 胎児 様 腫瘍 と ともに 消えて いた 〉 |たいじ|さま|しゅよう|||きえて|

〈 そして 　 ここ に いる はずの 未来 も また …〉 |||||みらい||

〈 どうやら 　 俺 の 帰って きた 世界 は 〉 |おれ||かえって||せかい|

〈 俺 の 　 かつて いた 世界 と は 少し 違う ようだった 〉 おれ||||せかい|||すこし|ちがう|

〈 これ は 　 俺 が 歴史 を 変えた 結果 な の か ？〉 ||おれ||れきし||かえた|けっか|||

〈 それとも 　 俺 が 関わった 日々 は 〉 |おれ||かかわった|ひび|

〈 全て 修正 さ れて いる んだろう か ？〉 すべて|しゅうせい|||||

〈 この 数 日間 の ように 〉 |すう|にち かん||よう に

どう なって んだ よ …

野口 のくち

あ ッ 　 南方 先生 ||なんぽう|せんせい

腫瘍 　 きれいに 取れて 良かった です ね しゅよう||とれて|よかった||

あの さ

俺 　 入院 して る 間 に おれ|にゅういん|||あいだ|

小説 書いて みよう と 思って んだ けど しょうせつ|かいて|||おもって||

は ッ ？ まあ 聞けよ |||きけよ

一 人 の 医者 が さ ひと|じん||いしゃ||

江戸 時代 に タイム スリップ する って 話 なんだ よ えど|じだい||たいむ|すりっぷ|||はなし||

どう だ ？

医者 が 自分 に 手術 さ れる って の が なあ いしゃ||じぶん||しゅじゅつ||||||

この 人 　 二 人 いる って ことに なっちゃ う じゃ ないで す か |じん|ふた|じん|||||||||

一緒に 考えて くれよ え ッ ？ いっしょに|かんがえて|||

僕 の 考えた 結果 は です ね ぼく||かんがえた|けっか|||

この 世界 は 　 実は 一 つ じゃ なくて 地層 みたいに なって て |せかい||じつは|ひと||||ちそう|||

似て る けど 　 ちょっと ずつ 違う 世界 が 　 いっぱい ある んです にて|||||ちがう|せかい||||ん です

やっぱり 　 パラレルワールド か

主人公 の 医者 は 　 もともと この Ａ って 世界 で 生きて た んです しゅじんこう||いしゃ||||||せかい||いきて||ん です

医者 は 　 この Ａ の 世界 の 幕末 に タイム スリップ した と 思って る けど いしゃ|||||せかい||ばくまつ||たいむ|すりっぷ|||おもって||

実は 　 こっち の Ｂ の 幕末 に 行って た んです よ じつは|||||ばくまつ||おこなって||ん です|

で 　 Ｂ の 世界 で 生きて いた もう 一 人 の 自分 に 手術 さ れて |||せかい||いきて|||ひと|じん||じぶん||しゅじゅつ||

今度 は 　 こっち の Ｂ の 世界 の 医者 が Ｃ の 幕末 に 行く って こと で こんど||||||せかい||いしゃ||||ばくまつ||いく|||

いい んじゃ ない です か ？ なるほど なあ

Ｃ は Ｄ に 行って 　 Ｄ は Ｅ に 行って ||||おこなって|||||おこなって

無限に ループ する って いう 仕組み は どう でしょう か ？ むげんに|||||しくみ||||

ただし 　 江戸 に 行く の は 必ず ２００９ 年 の １０ 月 １１ 日 で |えど||いく|||かならず|とし||つき|ひ|

戻って くる の は １８６８ 年 の ５ 月 ２０ 日 って こと で もどって||||とし||つき|ひ|||

なるほど

頭 の 中 に いた 　 胎児 様 腫瘍 は どう 考える ？ あたま||なか|||たいじ|さま|しゅよう|||かんがえる

バニシングツイン って こと で どう でしょう か ね ？

なるほど なあ

もともと 二 つ あった 受精 卵 の 一 つ が |ふた|||じゅせい|たまご||ひと||

いつの間にか 吸収 さ れて 消える やつ だ な いつのまにか|きゅうしゅう|||きえる|||

そう です

消えた 方 の 組織 が 　 残った 方 の 体 の 一部 に 取り込ま れる 現象 は きえた|かた||そしき||のこった|かた||からだ||いちぶ||とりこま||げんしょう|

十万 人 に 一 人 の 割合 で 起こり ます し じゅうまん|じん||ひと|じん||わりあい||おこり||

この 医者 の 場合 は 　 それ を 頭 の 中 に 抱え込んだ まま 成長 して |いしゃ||ばあい||||あたま||なか||かかえこんだ||せいちょう|

それ が ガン 化 したって こと に する の は 　 どう です か ？ ||がん|か|||||||||

なるほど なあ

坂本 龍 馬 の 声 は ？ 「 なるほど 　 なるほど 」 って さかもと|りゅう|うま||こえ||||

ちょっと は 自分 で 考えたら どう です か ？ ||じぶん||かんがえたら|||

俺 は 俺 で 考え てるよ 　 でも おれ||おれ||かんがえ||

お前 の 考え を 聞いた 上 で ベスト の … おまえ||かんがえ||きいた|うえ||べすと|

たとえば です よ 実際 に 心臓 移植 を さ れた 人 が |||じっさい||しんぞう|いしょく||||じん|

手術 後 に 　 ドナー に 　 好み や 性格 が しゅじゅつ|あと||どなー||よしみ||せいかく|

近い もの に なった って いう 症例 も ある じゃ ないで す か ちかい||||||しょうれい||||||

この 男 の 場合 は 　 龍 馬 から 血 と か 脳 漿 と か |おとこ||ばあい||りゅう|うま||ち|||のう|しょう||

何らか の 細胞 を 浴びて なんらか||さいぼう||あびて

その 人格 が 　 この 頭 の 中 の 胎児 と 一体 化し たって こと で |じんかく|||あたま||なか||たいじ||いったい|かし|||

いい んじゃ ない です か ？

浴びた わ あびた|

じゃ 　 そういう こと で

その 医者 は さ |いしゃ||

結局 　 歴史 を 変えた の か な ？ けっきょく|れきし||かえた|||

は ッ ？ いやさ ||いや さ

彼 は 　 Ｂ って いう パラレルワールド に 行った んだ ろ かれ|||||||おこなった||

だったら 　 その 歴史 は ||れきし|

もともと 知って る 歴史 と は 違う もの だった かも しれ ない だ ろ |しって||れきし|||ちがう|||||||

て いう こと は 　 俺 は 　 結局 ||||おれ||けっきょく

何も し なかった って こと に なる の か な ？ なにも|||||||||

俺 ？ おれ

いや 　 何でもない |なんでもない

龍 馬 さん りゅう|うま|

そういう こと だった んです か ね ？ |||ん です||

見て ください よ みて||

これ が 未来 の 江戸 です よ ||みらい||えど||

吉原 は 　 たしか よしはら||

あっ ち の 方 です よ |||かた||

もう

ない です けど ね

ない です けど ね

《 じゃあ 龍 馬 さん 　 また 明日 》 |りゅう|うま|||あした

《 おう 》

《 また 明日 じゃ 》 |あした|

〈 ずっと 避けて いた けれど 〉 |さけて||

〈 もう 限界 だった 〉 |げんかい|

〈 ちゃんと 確かめよう 〉 |たしかめよう

〈 咲 さん が 　 どう なった の か 〉 さ||||||

〈 俺 が 生きて きた 　 あの 日々 が どう なった の か 〉 おれ||いきて|||ひび|||||

「 ペニシリン は イギリス の フレミング に よって 」 ||いぎりす||||

「１９２８ 年 に 発見 さ れた 」 とし||はっけん||

「 日本 で は 既に 土着 的に 生産 さ れて いた 」 にっぽん|||すでに|どちゃく|てきに|せいさん|||

「 ペニシリン を 土着 的な 方法 で 開発 し 　 それ を 通じ 」 ||どちゃく|てきな|ほうほう||かいはつ||||つうじ

「 古来 の 本道 と 　 江戸 期 に 入って きた 西洋 医学 を 融合 さ せ 」 こらい||ほんどう||えど|き||はいって||せいよう|いがく||ゆうごう||

「 日本 独自 の 和洋折衷 の 医療 を 作り上げた 」 にっぽん|どくじ||わようせっちゅう||いりょう||つくりあげた

「 当時 　 医学 界 の 反逆 者 と みなさ れた 」 とうじ|いがく|かい||はんぎゃく|もの||みな さ|

「 彼ら の 医療 結社 は 」 かれら||いりょう|けっしゃ|

「 仁 友 堂 」 しとし|とも|どう

みんな

ちゃんと

〈 だけど 〉

〈 いくら 調べて も 〉 |しらべて|

〈 そこ に ない もの が 二 つ あった 〉 |||||ふた||

〈 俺 の 名前 と 橘 咲 と いう 名前 だった 〉 おれ||なまえ||たちばな|さ|||なまえ|

たしか 　 この 辺 … ||ほとり

これ って …

（ 女 ） あの … うち に 何 か 　 ご用 です か ？ おんな||||なん||ごよう||

うち ？

ここ 　 うち なんで

あの 　 こちら の ご 先祖 に ||||せんぞ|

橘 咲 さん って 方 が いた と 思う んです けど たちばな|さ|||かた||||おもう|ん です|

いま した けど

少し 　 お 話 を 聞か せて もらえ ませ ん か ？ すこし||はなし||きか|||||

時間 は 取ら せ ませ ん から じかん||とら||||

お 願い し ます |ねがい||

いい です よ 　 どうぞ

どうぞ

あの …　 お 医者 さん な んです か ？ ||いしゃ|||ん です|

その つもり で 医学部 に 入った んです けど |||いがくぶ||はいった|ん です|

結局 は 　 医学 史 の 方 を 医学 史 を ？ けっきょく||いがく|し||かた||いがく|し|

実際 に は 　 予備 校 の 教師 で 食べて る んです けど ね じっさい|||よび|こう||きょうし||たべて||ん です||

病院 は 　 弟 が 継いで くれて る んで 何で 　 医学 史 に ？ びょういん||おとうと||ついで||||なんで|いがく|し|

さっき 　 おっしゃって た 橘 咲 は 明治 維新 の 後 に |||たちばな|さ||めいじ|いしん||あと|

実家 を 改造 して ここ に 橘 医院 を 開いた 人 です けど じっか||かいぞう||||たちばな|いいん||あいた|じん||

それ は 　 ご存じ で ？ ||ごぞんじ|

咲 さ ん 　 生きて た んです か ？ え ッ ？ さ|||いきて||ん です|||

いや

気 に し ないで ください き||||

明治 初期 の 女医 なんて 相当 珍しかった と 思う んです けど めいじ|しょき||じょい||そうとう|めずらしかった||おもう|ん です|

咲 は 　 あまり 注目 さ れて ない んです よ ね さ|||ちゅうもく||||ん です||

小児 科 や 産科 が 　 主だった みたいで しょうに|か||さんか||おもだった|

色々 知って る 産婆 さん みたいな 感じ で いろいろ|しって||さんば|||かんじ|

当時 は 見 られて いた ようです し とうじ||み|||よう です|

あ ッ 　 これ だ

長生き した みたいです よ ながいき||みたい です|

一 度 　 生死 の 境 を さまよった こと も あった みたいです けど ひと|たび|せいし||さかい||||||みたい です|

奇跡 的に 助かって きせき|てきに|たすかって

奇跡 的に ？ きせき|てきに

兄 の 恭 太郎 が 　 林 の 中 で あに||きよう|たろう||りん||なか|

ガラス 瓶 に 入った 妙な 薬 を 拾った そうです → がらす|びん||はいった|みょうな|くすり||ひろった|そう です

それ を 　 一 か 八 か で 咲 に あげたら 治っちゃ った 　 って → ||ひと||やっ|||さ|||なおっちゃ||

日本 昔話 みたいです よ ね にっぽん|むかしばなし|みたい です||

その 薬 って 薬 だけ 拾った んです か ？ |くすり||くすり||ひろった|ん です|

その …　 誰 か が 持ってきた と か ？ |だれ|||もってきた||

恭 太郎 の 晩年 の 回顧 録 に は 薬 だけ しか 出て きて ませ ん けど きよう|たろう||ばんねん||かいこ|ろく|||くすり|||でて||||

あの …

橘 咲 さ んに たちばな|さ||

深く 関わった 医者 は い ない んです か ？ ふかく|かかわった|いしゃ||||ん です|

仁 友 堂 の 佐分利 祐輔 と か 山田 純 庵 と か と は しとし|とも|どう||さぶり|ゆうすけ|||やまだ|じゅん|いおり||||

交流 が あった ようです こうりゅう|||よう です

〈 そこ に 　 俺 が 写って る もの は なかった 〉 ||おれ||うつって||||

〈 と いう こと は もう 一 人 の 俺 と は 別に 〉 |||||ひと|じん||おれ|||べつに

〈 ホスミシン だけ が 　 あの 時点 に 〉 ||||じてん|

〈 落ちて くれた と いう こと な んだろう か ？〉 おちて|||||||

これ …

恭 太郎 は 　 坂本 龍 馬 と も 縁 が あった ような んです きよう|たろう||さかもと|りゅう|うま|||えん||||ん です

恭 太郎 は 　 龍 馬 の 船 中 九 策 の きよう|たろう||りゅう|うま||せん|なか|ここの|さく|

皆 が 等しく 適切な 医療 を 受け られる みな||ひとしく|てきせつな|いりょう||うけ|

「 保険 」 なる 制度 を 作る 事 って ところ に 感銘 を 受けて ほけん||せいど||つくる|こと||||かんめい||うけて

その 実現 に 走り回った 人 な んです よ |じつげん||はしりまわった|じん||ん です|

恭 太郎 さん が ？ きよう|たろう||

あ ッ 　 いえ

そう な んです か ||ん です|

日本 の 国民 医療 費 負担 が 世界 で 最も 低い の は にっぽん||こくみん|いりょう|ひ|ふたん||せかい||もっとも|ひくい||

龍 馬 の 精神 が 受け継が れて きた おかげ かも しれ ませ ん よ ね りゅう|うま||せいしん||うけつが|||||||||

《（ 写真 屋 ） で は 　 まいり ます 》 しゃしん|や||||

それ 　 ホント は 隣 に 誰 かいた みたいじゃ ない です か ？ |ほんと||となり||だれ|||||

たしかに

言わ れて みれば 　 そうです ね いわ|||そう です|

この 子 は ？ |こ|

咲 の 娘 です さ||むすめ|

あ ッ 　 でも 養女 です よ |||ようじょ||

養女 ？ ようじょ

咲 が 　 友人 の 子 を 引き取った んです さ||ゆうじん||こ||ひきとった|ん です

亡くなら れた 　 ご 両親 の 意向 も あった ようで なくなら|||りょうしん||いこう|||

たしか 　 裏 に 名前 が |うら||なまえ|

「 安 寿 」 やす|ひさ

咲 は 　 ずっと 一 人 だった ようです よ さ|||ひと|じん||よう です|

そう …　 です か

〈 言葉 が 見つから なかった 〉 ことば||みつから|

〈 咲 さんと 野 風 さん が 起こして くれた 〉 さ||の|かぜ|||おこして|

〈 この 奇跡 に 〉 |きせき|

《 腹 を 切って おく ん なん し 》 はら||きって||||

《 この 時代 の 人間 が 強い 意志 を 持って 》 |じだい||にんげん||つよい|いし||もって

《 未来 を 変え たい と 願った こと だ と したら 》 みらい||かえ|||ねがった||||

《 それ は 　 もはや 修正 さ れる べき 歴史 で は なく 》 |||しゅうせい||||れきし|||

《 ただ の 歴史 な ので は ない でしょう か ？》 ||れきし||||||

〈 俺 は 〉 おれ|

〈 何の 言葉 も 見つけ られ なかった 〉 なんの|ことば||みつけ||

そう な んです か ||ん です|

色々 ありがとう ございました いろいろ||

あの …

揚げ だ し 豆腐 は 　 お 好きです か ？ あげ|||とうふ|||すき です|

はい

ずっと 　 あなた を 待って いた 気 が し ます |||まって||き|||

え ッ ？ 変な 意味 じゃ ないで すよ ||へんな|いみ|||

とにかく 読んで みて ください |よんで||

私 が 医学 史 に 進んで しまった 原点 な んです わたくし||いがく|し||すすんで||げんてん||ん です

はい

じゃあ

あの

名前 　 教えて もらえ ます か ？ なまえ|おしえて|||

橘 未来 です たちばな|みらい|

未来 さん みらい|

「●● 先生 」 せんせい

「 先生 　 お 元気で いらっしゃい ます でしょう か 」 せんせい||げんきで||||

「 おかしな 書き出し で ございます こと 」 |かきだし|||

「 深く お 詫び 申し上げ ます 」 ふかく||わび|もうしあげ|

「 実は 　 感染 症 から 一命 を 取り留めた 後 」 じつは|かんせん|しょう||いちめい||とりとめた|あと

「 どうしても 先生 の 名 が 思い出せ ず 」 |せんせい||な||おもいだせ|

おら れ ました でしょ ？ もう 　 お 一方 　 先生 が ||||||いっぽう|せんせい|

「 先生 方 に 確かめた ところ 」 せんせい|かた||たしかめた|

「 仁 友 堂 に は 　 そのような 先生 など おいでになら ず 」 しとし|とも|どう||||せんせい|||

「 ここ は 私 達 が 起こした 治療 所 だ と 言わ れ ました 」 ||わたくし|さとる||おこした|ちりょう|しょ|||いわ||

「 何 か が おかしい そう 思い ながら も 」 なん|||||おもい||

子 は 順調で ございます ありがとう ございます こ||じゅんちょうで|||

「 私 も また 　 次第に 　 そのように 思う ように なり ました 」 わたくし|||しだいに|そのよう に|おもう|よう に||

「 夢 でも 見て いた のであろう 　 と 」 ゆめ||みて|||

「 なれ ど 　 ある 日 の こと 」 |||ひ||

「 見た こと も ない 　 奇妙な 銅 の 丸い 板 を 見つけた ので ございます 」 みた||||きみょうな|どう||まるい|いた||みつけた||

「 その 板 を 見て いる うち に 」 |いた||みて|||

「 私 は 　 おぼろげに 思い出し ました 」 わたくし|||おもいだし|

先生 … せんせい

「 ここ に は 　 先生 と 呼ば れた お方 が いた こと を 」 |||せんせい||よば||おかた||||

「 その お方 は 」 |おかた|

《 こ よい は 　 何 を お 食べ に なり とう ございます か ？》 |||なん|||たべ|||||

《 揚げ だし …》 あげ|

「 揚げ だ し 豆腐 が お 好きであった こと 」 あげ|||とうふ|||すきであった|

「 涙もろい お方 で 　 あった こと 」 なみだもろい|おかた|||

「 神 の ごとき 手 を 持ち 」 かみ|||て||もち

「 なれ ど 　 決して 神 など で は なく 」 ||けっして|かみ||||

「 迷い 傷つき 　 お 心 を 砕か れ 」 まよい|きずつき||こころ||くだか|

「 ひたすら 懸命に 治療 に 当たら れる 」 |けんめいに|ちりょう||あたら|

「 仁 を お 持ち の 人 であった こと 」 しとし|||もち||じん||

「 私 は 　 その お方 に 」 わたくし|||おかた|

《 咲 さ ん 》 さ||

《 私 と 一緒に なって もらえ ませ ん か ？》 わたくし||いっしょに|||||

「 この世 で 一 番 美しい 夕日 を いただき ました こと を 」 このよ||ひと|ばん|うつくしい|ゆうひ|||||

「 思い出し ました 」 おもいだし|

「 もう 　 名 も 　 お 顔 も 思い出せ ぬ その お方 に 」 |な|||かお||おもいだせ|||おかた|

「 恋 を して おり ました こと を 」 こい||||||

「 なれ ど 　 きっと このまま で は 」

「 私 は 　 いつか 全て を 忘れて しまう 」 わたくし|||すべて||わすれて|

「 この 涙 の わけ まで も 失って しまう 」 |なみだ|||||うしなって|

「 なぜ か 耳 に 残って いる 」 ||みみ||のこって|

「 修正 力 と いう 言葉 」 しゅうせい|ちから|||ことば

「 私 は 　 この 思い出 を 　 なき もの と さ れて しまう 気 が いたし ました 」 わたくし|||おもいで||||||||き|||

「 ならば 　 と 」

「 筆 を とった 次第に ございます 」 ふで|||しだいに|

「 私 が この 出来事 に あらがう すべ は 一 つ 」 わたくし|||できごと|||||ひと|

「 この 思い を 記す こと で ございます 」 |おもい||しるす|||

「●● 先生 」 せんせい

「 改めて 　 ここ に 書き留め させて いただき ます 」 あらためて|||かきとめ|さ せて||

「 橘 咲 は 」 たちばな|さ|

「 先生 を 　 お 慕い 申して おり ました 」 せんせい|||したい|もうして||

私 も です よ わたくし|||

咲 さ ん さ||

私 も わたくし|

お 慕い 申して おり ました |したい|もうして||

〈 この 思い を いつまでも 忘れ まい と 思った 〉 |おもい|||わすれ|||おもった

〈 けれど 　 俺 の 記憶 も また 〉 |おれ||きおく||

〈 全て 　 時 の はざま に 消えて いく の かも しれ ない 〉 すべて|じ||||きえて|||||

〈 歴史 の 修正 力 に よって 〉 れきし||しゅうせい|ちから||

《≪（ 龍 馬 ） わし ら は 　 おる ぜ よ 》 りゅう|うま||||||

《≪（ 龍 馬 ） 見え ん でも 聞こえ ん でも 》 りゅう|うま|みえ|||きこえ||

《 いつ の 日 も 》 ||ひ|

《 先生 と 共に 》 せんせい||ともに

〈 それ でも 　 俺 は もう 忘れる こと は ない だろう 〉 ||おれ|||わすれる||||

〈 この 日 の 美し さ を 〉 |ひ||うつくし||

〈 当たり前の 　 この 世界 は 〉 あたりまえの||せかい|

〈 誰 も が 戦い 　 もがき 苦しみ 〉 だれ|||たたかい||くるしみ

〈 命 を 落とし 　 勝ち取って きた 〉 いのち||おとし|かちとって|

〈 無数の 奇跡 で 編み 上げ られて いる こと を 〉 むすうの|きせき||あみ|あげ||||

〈 俺 は 忘れ ない だろう 〉 おれ||わすれ||

〈 そして 　 さらなる 光 を 与えよう 〉 ||ひかり||あたえよう

〈 今度 は 俺 が 　 未来 の ため に 〉 こんど||おれ||みらい|||

〈 この 手 で 〉 |て|

♪♪～