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ヴァイオレット・エヴァーガーデン, Violet Evergarden Episode 2

Violet Evergarden Episode 2

( 部下 ) ディートフリート ・ ブーゲンビリア 大佐

弟 君 が お 見え に なり ました

( ディートフリート ) よう ギル 元気に して た か ?

相変わらず 辛 気 くさい 顔 だ な

父さん そっくりだ

( ギルベルト ) 兄さん こそ 相変わらず だ

その 髪 父上 が 見たら きっと 許し は し なかった

軍 刀 で 切ら れて いた だろう に

そりゃ ごめん だ

( ギルベルト ) 兄さん は いつも そう

( ディートフリート ) 死んで くれて よかった よ

ああ 悪かった

そんな 顔 する な よ

今日 は お前 の 昇格 祝い に いい もの を 持ってきて やった んだ

いい か ? あくまで 武器 と して 使え

情け も かける な

開けて みろ

( ディートフリート ) おい 起きろ

北東 戦域 で 拾った

名前 は …

( ヴァイオレット ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン です

( ホッジンズ ) 今日 から 自動 手記 人形 の 見習い と して 働く こと に なった

仕事 の こと と か いろいろ 教えて やって くれ

( カトレア ) は ー い

( エリカ ) 表情 の ない その 少女 は ―

まるで 人形 の ようだった

この 職業 の 名 の 由来 と なった ―

機械 じか け の 人形 の ように

( カトレア ) えっ と まずは そう ね

自動 手記 人形 の 仕事 に ついて は どれ くらい 知って る ?

( ヴァイオレット ) 依頼 者 の 要望 に 応じて 手紙 を 代筆 する 部門 だ と

ホッジンズ 中佐 … いえ

社長 に 伺い ました

( カトレア ) その とおり

完全に 理解 した と は 言え ませ ん が ―

任務 の 遂行 は 可能 と 思わ れ ます

( アイリス ) そんなに 簡単な 仕事 じゃ ない わ よ !

って いう か 任務 って 何 ?

アイリス いい から 仕事 続けて

( アイリス ) は ー い

( カトレア ) あっ そう いえば ―

まだ ほか の ドール を 紹介 して なかった わ ね

えっ と ドール って いう の は …

自動 手記 人形 の 略称 だ と 先日 理解 し ました

その とおり

さっき の 子 あの 子 が アイリス

養成 講座 を 終えた ばかりの 新人 ちゃん

それ から 彼女 は エリカ

彼女 も 私 も ドール は 前 から やって いた けど ―

うち の 会社 自体 出来て まだ 日 も 浅い から ―

みんな 新 入り みたいな もの よ

( エリカ ) 全然 違う と 思い ます

ヴァイオレット あなた タイプ ライター は 使える んだ っけ ?

使用 した こと は あり ませ ん

( カトレア ) じゃあ まずは タイプ の 練習 から 始め ましょう か

それ で ドール に なる わけ ?

( カトレア ) アイリス 教 則 本 貸して くれる ?

( アイリス ) は ー い

えっ と … 座って

了解 し ました

あっ …

ウフッ

あっ 手袋 は 取った ほう が いい わ ね

( ヴァイオレット ) はい

( カトレア ) あっ ( アイリス ) あっ

大丈夫 ?

問題 あり ませ ん

( カトレア ) そう

じゃあ まずは やって み ましょう か

こう やって 紙 を セット して

ノブ を 回して 巻き込む の

F と J に それぞれ 人さし指 を 置いて 打って みて

はい

( カトレア ) そう そう その 調子

あと は 文字 に 対応 した 指 の 位置 を 覚えて

この 教 則 本 どおり に 打って みて

( タイプ ライター を 打つ 音 )

あっ ちょっと … ヴァイオレット ?

ヴァイオレット ! やめて

もう 少し 静かに … ねっ

( リリアン ) ありがとう ございました

( ネリネ )1,2 リブル です ので 10 コルス で ございます

( 鐘 の 音 )

( リリアン ) ハァー やっと お 昼

( ネリネ ) ありがとう ございました

( ベネディクト ) ネリネ リリアン (2 人 ) ん ?

一緒に 昼 飯 食 おうぜ

焼きそば お前 ら の 分 も 買って あっ から よ

いら ない

( ネリネ ) それ と そんな 汗 臭い 格好で 窓口 に 来 ないで よね

( ベネディクト ) いや もう … 何 だ ? あれ

真面目に 汗水 垂らして 働く 男 に

“ お 疲れ さま ” の ひと言 も ない

つか “ 来る な ” って 何 だ よ

最近 の 女 の 計算 高 さ ったら 何 ?

香水 臭 ( くせ ) えし

あいつ ら ぜ って え 窓口 に 来る 金持ち 引っかける つもりな んだ よ

( ローランド ) まあ いい じゃ ない か

( ベネディクト ) もう いい

もう 働く 女 は いい わ

あっ お前 ら 焼きそば !

いり ませ ん

それ と “ お前 ” って 言う の やめて ください

( ローランド ) 焼きそば わし 食う よ

ああ …

( アイリス ) あー あ 今日 も 一 日 中 宛名 書き か

午後 に 予約 が 入って る 2 件 と も ―

カトレア さん を ご 指名 で すって

う えっ !

( エリカ ) 大丈夫 ? ( アイリス ) 大丈夫です

せっかく ライデン に 出て きて ドール に なった のに ―

毎日 毎日 宛名 書き だの

戦争 で 行方 不明に なった 人 の 安否 問い合わせ の 手紙 だ の

そんな の ばっかり

そう ね

あっ そう いえば あの 新 入り も 軍 に いた そうです よ

まだ 子供 な のに ?

あっ それ で …

( アイリス ) 何も ドール に する こと ない のに

愛想 も ない し 気 も 利き そうに ない し

絶対 向いて ないで す よ ね

あー もっと ワクワク する ような 手紙 が 書き たい な ー !

有名 人 の 代筆 と か 舞台 女優 の 秘密の 恋文 と か

でも そういう の は ―

カトレア さん の とこ いっちゃ い ます もん ね

( ホッジンズ ) ヴァイオレット ちゃん どう ?

お 昼 に 誘った んだ けど ―

補給 は 不要 だって

ひたすら タイプ 練習 して る

( ホッジンズ ) そう か

面倒 かける ね

ウフッ

ねえ じゃあ 今度 夕食 ごちそう して よ

クラウディア

( ホッジンズ ) 名前 で 呼ぶ な

( カトレア ) 女の子 が 欲しかった から って あんまり よ ね

ベッド の 中 で 女 の 名前 呼ぶ なんて 最悪だった わ

う っ … やめて ! お 願い ごめんなさい

うーん すぐに は 無理だ な

今月 の 俺 の 給料 なし だ から

え ?

宛名 書き 終わり ました

お 疲れ さま

( アイリス ) 配達 の ほう に 回して おき ます

うん お 願い

ヴァイオレット も お 疲れ さま

今日 は もう 終わり に して

どれ どれ

あっ ずいぶん 上達 した じゃ ない

すごい わ

すごい の は この 武器 です

武器 ?

そう よ ね 私 たち働く 女性 が 社会 に 出て 戦う ため の ね

明日 は 誰 か の 横 で 実際 の ドール の 仕事 を 見て いこう か

私 は これ から 出張 サービス に 行って くる の

要望 が あれば ―

自宅 や 仕事 先 に も 出向いて 代筆 する の よ

私 も 携帯 して よろしい でしょう か ?

タイプ を ? どこ へ ?

自室 です

訓練 の ため と

それ から …

( タイプ ライター を 打つ 音 )

( ホッジンズ ) 住所 ? ギルベルト の ?

はい

代筆 業務 に 着任 し 訓練 を 開始 した と ―

現状 報告 を し たい のです

少佐 は まだ お 忙しく

お目にかか れる 状況 で は ない のです よ ね ?

あっ … ああ

分かった これ は 俺 が 出して おく よ

それ で 訓練 は 順調な の ?

( ヴァイオレット ) 順調です

問題 あり ませ ん

( 男性 ) 知って の とおり ―

毎日 生活 する の も やっと で …

( アイリス )“ ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …”

( アイリス )“ ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …”

( ヴァイオレット ) つづり が 間違って い ます

それ から 毎月 2 クロル ずつ 返す って

書いて くれ

( アイリス ) 毎月 …

( アイリス ) 毎月 …

( ヴァイオレット ) 2 クロル ずつ です と

完済 する まで に 120 年 ほど かかり ます

旦那 様 は それ まで 生存 可能な のでしょう か ?

え ?

( 女性 ) 普段 は すごく いい 子 な の

でも 時々 カッ と なる こと が あって

“ 大切な お 子 様 に ”

“ ケガ を さ せて しまい ました こと を …”

( 女性 ) 私 の しつけ が 悪かった の かしら ?

“ 私 ども の 日頃 の 指導 が …”

( 女性 ) 何 が …

何 が いけなかった の ?

あの …

業務 が 滞り ます ので 即座に 泣く の を 中断 して ください

( エリカ ) ちょ … ( 女性 ) え ?

( 男性 ) 何 だ よ この 文章 は !

“ 勝手な お 願い で は ございます が ”

“ 勝手な ” って 何 だ よ !

すみません

( 男性 )“ 遅れ に つき まして は 弁解 の 余地 も なく ”?

これ じゃ 俺 が まるっきり 悪い みて え じゃ ねえ か !

お前 何 様 だ !

エリカ 様 です

名前 なんて 聞いて ねえ !

とにかく この 手紙 は 気 に 入ら ねえ

金 は 払わ ねえ から な

( ヴァイオレット ) “ 気 に 入ら ない から 代金 を 支払わ ない ” は ―

違法 行為 です

どこ が どのように 気 に 入ら ない の か …

( 男性 ) どけよ

具体 的 かつ 適切な 指示 を

速やかに して ください

お 客 様 から 何 件 か 苦情 が 来て る んだ けど

( ヴァイオレット ) 問題 が あり ました か ?

( ホッジンズ ) いや まあ …

君 は 大丈夫 ?

健康に は 異常 あり ませ ん

いや その … ドール の 仕事 の ほう は ?

( ヴァイオレット ) 鋭 意 訓練 中 です

そ っか

( エリカ ) あの …

この あと 予約 の お 客 様 は いらっしゃい ませ ん

商工 会議 所 の 名簿 の 作成 を ―

彼女 と 鋭 意 行い ます ので

あっ …

( エリカ ) 会社 と 住所 ―

それ から 業種 を タイプ して

( ヴァイオレット ) 了解 し ました

ねえ あなた

どうして この 仕事 を し たい の ?

( ヴァイオレット ) 私 は …

( ブリジット ) あら ? 誰 も い ない の ?

あっ いらっしゃい ませ

代筆 を ご 希望 で ございます か ?

フン … ほか に 何の 用 が ?

失礼 いたし ました

お 客 様 が お 望み なら ―

どのような 文章 も 代筆 さ せて いただき ます

自動 手記 人形 サービス …

カトレア ・ ボードレール って ドール は ?

ただいま 出張 して おり ます

( ブリジット ) あら

彼女 なら 間違い ない って 聞いて 来た のに

まあ いい わ

私 ね 交際 を 申し込ま れた の

自動車 の 会社 を 立ち上げた 男性 で ね

これ から 自家 用 車 の 時代 だ から って

( エリカ ) は あ

( ブリジット ) でも ね 私 そんな 簡単な 女 じゃ ないし

尻 の 軽い 女 に 見 られ たく ない わけ

あの … つまり

まあ 大した 男 じゃ ないし

私 に は 好意 なんて ない けど

彼 が もっと 誠意 を 見せて くれて ―

本当に 私 を 愛して る なら …

あっ …

気品 の ある ロマンチックな 手紙 を お 願い

書 い と いて

その …

あら

あなた が 書いて くれる の ?

( ヴァイオレット ) 了解 し ました ( エリカ ) あっ …

う っ … あっ …

( ブリジット の 荒い 息遣い )

( ドア が 開く 音 )

何 な の ? あの 手紙

お 客 様 どうぞ 落ち着いて ください

アイリス お茶 を お 出し して

( アイリス ) はい

( ヴァイオレット ) ご 要望 どおり に 代筆 し ました

( ブリジット ) あれ の どこ が ?

彼 怒って 手紙 を 送り 返して きた の よ !

読んで みなさ いよ 自分 が 書いた やつ !

( ヴァイオレット ) “ 手紙 を 拝読 し ました が ―”

“ 私 に は 現在 好意 は あり ませ ん ”

“ なおかつ 貴 殿 の 誠意 も 愛情 も 不足 して い ます ”

“ 私 は 複雑 かつ 重々しい 女 で あり ます ので ―”

“ その 点 を 考慮 し ”

“ 贈答 品 および 資金 を 調達 した うえ ”

“ 再度 の 挑戦 を 要望 し ます ”

どこ が 間違って いた のでしょう か ?

申し訳 あり ませ ん

ちょっと 表現 が 素直 すぎた と いう か …

( ブリジット ) 私 彼 と お付き合い し たかった の

でも 彼 の 思い を すぐに 受け入れたら ―

簡単に 手 に 入る 女 だって 思わ れる じゃ ない

もっと 追いかけて ほしい の が 女 って もん でしょ !

私 だって 愛して た の よ !

( ブリジット の 泣き声 )

( カトレア ) 何 に する ?

( ヴァイオレット ) 水分 の 補給 に は ―

水 か 白 湯 ( さゆ ) で 十分です

( カトレア ) 花 茶 を 2 つ

( 店員 ) かしこまり ました

( カトレア ) あなた に いきなり 任せる 仕事 じゃ なかった わ ね

理解 不能です

え ?

( ヴァイオレット ) 依頼 者 の 意図 を 最大 限 反映 して 文章 を 記し ました

言葉 に は 裏 と 表 が ある の

口 に 出した こと が すべて じゃ ない の よ

人 の 弱い ところ ね

相手 を 試す こと で 自分 の 存在 を 確認 する の

裏腹 よ ね

( カトレア ) やっぱり 私 だけ で 送り先 の 彼 の 所 へ 行って ―

謝って くるわ

あっ

少佐

少佐 !

ギルベルト 少佐 !

( 軍人 ) ん ?

( ベネディクト ) よっ と

お ?

お ー い

どうした ? 1 人 か ?

元気 ねえ な 飯 ちゃん と 食って る か ?

( ヴァイオレット ) 栄養 の 補給 は して い ます

じゃあ 仕事 の 失敗 でも した か ?

あー お前 配達 に 戻って こ いよ

( ヴァイオレット ) 配達 業務 で は ダメな のです

( ベネディクト ) ドール の 仕事 に こだわ ん ないで

ほか の 仕事 探した ほう が いい んじゃ ねえ の ?

ハァ … 俺 も 考えよう

ホッジンズ の ヤツ 今月 給料 ね えっ つって たし

うち の 会社 ヤバ いか も な

あ …

( ヴァイオレット ) 質問 よろしい でしょう か ?

( エリカ ) え ?

私 は 自動 手記 人形 に 不 適格でしょう か ?

それ は 私 も …

あなた の こと は 聞いて い ませ ん

向いて ない わ

第 一 あなた どうして この 仕事 が いい の よ

“ 愛して る ” を 知り たい のです

( エリカ ) それ だけ ? ( ヴァイオレット ) それ だけ です

特定の 感情 を 表す 言葉 だ と 理解 は して いる のです が ―

少佐 が なぜ 私 に 向けて ―

突然 その 言葉 を 口 に した の か

知り たい のです

たとえ 向いて い なくて も

私 は この 仕事 を 続け たい のです

あっ …

( エリカ ) 更衣室 に タオル が ある から

( アイリス ) どちら に せよ 彼女 ―

ヴァイオレット に ドール は 無理だ と 思い ます

うち は まだ 出来た ばかりの 会社 です が

カトレア さん へ の 依頼 は 絶え ませ ん

でも ここ で 評判 が 落ちたり したら …

せっかく 軌道 に 乗って きて る のに

ヴァイオレット に は 辞めて もらった ほう が …

( ホッジンズ ) いや もう 少し …

( エリカ ) あの !

( ホッジンズ ) エリカ

て か ヴァイオレット ちゃん も

どうした の ? 2 人 と も

何も …

何も 辞め させる こと は ない と 思い ます

彼女 ヴァイオレット は ―

タイプ は 正確で 速い で すし ―

宛名 書 きや 名簿 の 作成 と いった 業務 は こなせ ます

その うち もっと いろんな こと を 知って

手紙 も 少しずつ 書ける ように なる と 思い ます

お 願い し ます

辞め させ ないで ください

( ヴァイオレット ) 裏腹です ( エリカ ) あっ …

私 は この 任務 に 向いて い ない と 言った のに

裏腹です

ハッ !

♪~

( エリカ ) 自動 手記 人形 に 向いて い ない の は ―

私 の ほう だ

だから 彼女 を ―

あんなに ムキ に なって かばって しまった んだ

後 の タイプ ライター と なった ―

その 機械 は ―

活版 印刷 の 権威 である オーランド 博士 が

発明 した もの だった

小説 家 で あり ながら 盲目 と なり ―

執筆 でき なく なった 妻

モリー の ため に 製作 した もの だ が ―

博士 は それ を 自動 手記 人形 と 呼んだ

それ が 今では ―

代筆 業 の こと を 指す 呼び名 と なって いる

あの 子 と 出会って 実感 した

忘れ そうに なって た 自分 の 夢

埋もれて しまって た 自分 の 気持ち

オーランド 夫人 が 書いた 小説 が ―

私 の 心 を 震わせた ように

( 店主 ) 閉める けど いい かい ?

あっ はい

( ドア が 閉まる 音 )

( エリカ ) 私 も いつか ―

人 の 心 を 動かす ような ステキな 手紙 を 書き たい

~♪

( カトレア ) で ー きた !

どう ?

うん ヴァイオレット ちゃん 立って ごらん

( ヴァイオレット ) はい

うん よく 似合って る よ

やっぱり 俺 の 見立て に 間違い は なかった

ああ それ から 最後に これ

遅く なって ごめん ね

開けて ごらん

開け ます

あっ …

これ です

少佐 が くださった ブローチ です !

( ホッジンズ ) 闇市 に 流れて いた んだ

誰 か が 君 の 荷物 から 盗んだ んだろう な

あっ …

( カトレア ) そうだ わ ! ヴァイオレット

あなた ドール の 育成 講座 に 通って み ない ?

短期 の 講座 も ある し

アイリス も 通って た の よ

( アイリス ) 先生 す っ ごく 厳しい けど ね

( カトレア ) ため に なる と 思う の

( カトレア ) あれ を 買い戻した から 今月 の お 給料 なくなった の ね

( ホッジンズ ) いただき ます

で あの 子 の 言う 少佐 って 誰 の こと ?

( ホッジンズ ) あっ …

ギルベルト

士官 学校 時代 から の 友人 だ

ブーゲンビリア 家 の 一族 で

あっ あの 辺境 伯 の ?

フッ

いや あ …

いい と この 坊ちゃん の わりに は 骨 の ある ヤツ だった よ

( カトレア )“ だった ”?

( ホッジンズ ) あいつ は もう ―

戻って 来 ない


Violet Evergarden Episode 2 violet|evergarden|episode Violet Evergarden Episode 2 Violet Evergarden Episode 2

( 部下 ) ディートフリート ・ ブーゲンビリア 大佐 ぶか|||たいさ

弟 君 が お 見え に なり ました おとうと|きみ|||みえ|||

( ディートフリート ) よう ギル   元気に して た か ? |||げんきに||| (Hey Gil, how are you?

相変わらず 辛 気 くさい 顔 だ な あいかわらず|しん|き||かお|| You still look as grim as ever.

父さん そっくりだ とうさん|

( ギルベルト ) 兄さん こそ 相変わらず だ |にいさん||あいかわらず| (You're the same as ever.

その 髪 父上 が 見たら きっと 許し は し なかった |かみ|ちちうえ||みたら||ゆるし||| If my father could see you with that hair, he wouldn't have forgiven you.

軍 刀 で 切ら れて いた だろう に ぐん|かたな||きら|||| He would have been cut by a military sword.

そりゃ ごめん だ Oh, I'm sorry.

( ギルベルト ) 兄さん は いつも そう |にいさん|||

( ディートフリート ) 死んで くれて よかった よ |しんで||| (I'm glad you're dead.

ああ 悪かった |わるかった

そんな 顔 する な よ |かお|||

今日 は お前 の 昇格 祝い に いい もの を 持ってきて やった んだ きょう||おまえ||しょうかく|いわい|||||もってきて|| I brought you something nice today to celebrate your promotion.

いい か ? あくまで 武器 と して 使え |||ぶき|||つかえ Is that okay? Use it as a weapon.

情け も かける な なさけ||| Don't show any mercy.

開けて みろ あけて| Open it. Let's see.

( ディートフリート ) おい 起きろ ||おきろ

北東 戦域 で 拾った ほくとう|せんいき||ひろった Picked up in the northeastern battle zone.

名前 は … なまえ|

( ヴァイオレット ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン です

( ホッジンズ ) 今日 から 自動 手記 人形 の 見習い と して 働く こと に なった |きょう||じどう|しゅき|にんぎょう||みならい|||はたらく|||

仕事 の こと と か いろいろ 教えて やって くれ しごと||||||おしえて|| Tell me about your job and all that.

( カトレア ) は ー い ||-|

( エリカ ) 表情 の ない その 少女 は ― |ひょうじょう||||しょうじょ| (That girl with no expression...

まるで 人形 の ようだった |にんぎょう|| She looked like a doll.

この 職業 の 名 の 由来 と なった ― |しょくぎょう||な||ゆらい|| This profession got its name from the

機械 じか け の 人形 の ように きかい||||にんぎょう|| Like a doll not notched by a machine

( カトレア ) えっ と まずは そう ね

自動 手記 人形 の 仕事 に ついて は どれ くらい 知って る ? じどう|しゅき|にんぎょう||しごと||||||しって| How much do you know about the work of automatic memoir puppets?

( ヴァイオレット ) 依頼 者 の 要望 に 応じて 手紙 を 代筆 する 部門 だ と |いらい|もの||ようぼう||おうじて|てがみ||だいひつ||ぶもん||

ホッジンズ 中佐 … いえ |ちゅうさ|

社長 に 伺い ました しゃちょう||うかがい| I asked the president.

( カトレア ) その とおり (That's right.

完全に 理解 した と は 言え ませ ん が ― かんぜんに|りかい||||いえ||| I can't say I understand it completely.

任務 の 遂行 は 可能 と 思わ れ ます にんむ||すいこう||かのう||おもわ|| We believe that the mission is feasible.

( アイリス ) そんなに 簡単な 仕事 じゃ ない わ よ ! ||かんたんな|しごと|||| (It's not that easy a job!

って いう か 任務 って 何 ? |||にんむ||なん Or rather, what is a mission?

アイリス いい から 仕事 続けて |||しごと|つづけて Iris, it's okay. Keep working.

( アイリス ) は ー い ||-|

( カトレア ) あっ そう いえば ―

まだ ほか の ドール を 紹介 して なかった わ ね |||どーる||しょうかい||||

えっ と ドール って いう の は … ||どーる|||| I'm sorry, dolls are...

自動 手記 人形 の 略称 だ と 先日 理解 し ました じどう|しゅき|にんぎょう||りゃくしょう|||せんじつ|りかい|| I understood the other day that it's an abbreviation for "automatic record-keeping doll.

その とおり

さっき の 子 あの 子 が アイリス ||こ||こ||

養成 講座 を 終えた ばかりの 新人 ちゃん ようせい|こうざ||おえた||しんじん| Newcomer who just finished the training course

それ から 彼女 は エリカ ||かのじょ||

彼女 も 私 も ドール は 前 から やって いた けど ― かのじょ||わたくし||どーる||ぜん|||| She and I have both been dolling for a long time.

うち の 会社 自体 出来て まだ 日 も 浅い から ― ||かいしゃ|じたい|できて||ひ||あさい| Our company itself has only been in business for a short time.

みんな 新 入り みたいな もの よ |しん|はいり||| It's like we're all new.

( エリカ ) 全然 違う と 思い ます |ぜんぜん|ちがう||おもい| (I think it's totally different.

ヴァイオレット あなた タイプ ライター は 使える んだ っけ ? ||たいぷ|らいたー||つかえる|| Violet, do you know how to use a typewriter?

使用 した こと は あり ませ ん しよう||||||

( カトレア ) じゃあ まずは タイプ の 練習 から 始め ましょう か |||たいぷ||れんしゅう||はじめ|| (Then let's start by practicing typing.

それ で ドール に なる わけ ? ||どーる||| How does that make me a doll?

( カトレア ) アイリス 教 則 本 貸して くれる ? ||きょう|そく|ほん|かして|

( アイリス ) は ー い ||-|

えっ と … 座って ||すわって

了解 し ました りょうかい||

あっ …

ウフッ

あっ 手袋 は 取った ほう が いい わ ね |てぶくろ||とった||||| Oh, you'd better take off those gloves.

( ヴァイオレット ) はい

( カトレア ) あっ ( アイリス ) あっ

大丈夫 ? だいじょうぶ

問題 あり ませ ん もんだい|||

( カトレア ) そう

じゃあ まずは やって み ましょう か Then let's try it first.

こう やって 紙 を セット して ||かみ||せっと|

ノブ を 回して 巻き込む の ||まわして|まきこむ| Turn the knob to engage.

F と J に それぞれ 人さし指 を 置いて 打って みて f||j|||ひとさしゆび||おいて|うって|

はい

( カトレア ) そう そう その 調子 ||||ちょうし (That's right, that's the tone.

あと は 文字 に 対応 した 指 の 位置 を 覚えて ||もじ||たいおう||ゆび||いち||おぼえて

この 教 則 本 どおり に 打って みて |きょう|そく|ほん|||うって| Try hitting it exactly like in this rule book.

( タイプ ライター を 打つ 音 ) たいぷ|らいたー||うつ|おと

あっ ちょっと … ヴァイオレット ?

ヴァイオレット ! やめて

もう 少し 静かに … ねっ |すこし|しずかに| Just be a little quieter... okay?

( リリアン ) ありがとう ございました (Thank you very much.

( ネリネ )1,2 リブル です ので 10 コルス で ございます (1,2 rivulets, so 10 cols.

( 鐘 の 音 ) かね||おと

( リリアン ) ハァー やっと お 昼 ||||ひる (Finally, lunch.

( ネリネ ) ありがとう ございました

( ベネディクト ) ネリネ リリアン (2 人 ) ん ? |||じん|

一緒に 昼 飯 食 おうぜ いっしょに|ひる|めし|しょく| Let's have lunch together.

焼きそば お前 ら の 分 も 買って あっ から よ やきそば|おまえ|||ぶん||かって||| I bought some yakisoba for you guys, too.

いら ない No need

( ネリネ ) それ と そんな 汗 臭い 格好で 窓口 に 来 ないで よね ||||あせ|くさい|かっこうで|まどぐち||らい|| (And don't come to the counter looking so sweaty.

( ベネディクト ) いや もう … 何 だ ? あれ |||なん|| (Oh, no, what is it? Oh, my God.

真面目に 汗水 垂らして 働く 男 に まじめに|あせみず|たらして|はたらく|おとこ| To a man who works hard, sweats hard.

“ お 疲れ さま ” の ひと言 も ない |つかれ|||ひとこと|| Not even a "good night."

つか “ 来る な ” って 何 だ よ |くる|||なん|| What do you mean, "Don't come here"?

最近 の 女 の 計算 高 さ ったら 何 ? さいきん||おんな||けいさん|たか|||なん What's the height of women's calculations these days?

香水 臭 ( くせ ) えし こうすい|くさ|| Perfume Odor (stench)

あいつ ら ぜ って え 窓口 に 来る 金持ち 引っかける つもりな んだ よ |||||まどぐち||くる|かねもち|ひっかける||| They're all just trying to hook the rich people who come to the teller window.

( ローランド ) まあ いい じゃ ない か (Well, that's all right.

( ベネディクト ) もう いい

もう 働く 女 は いい わ |はたらく|おんな||| I don't want to be a working girl anymore.

あっ お前 ら 焼きそば ! |おまえ||やきそば

いり ませ ん

それ と “ お前 ” って 言う の やめて ください ||おまえ||いう||| And please stop saying "you."

( ローランド ) 焼きそば わし 食う よ |やきそば||くう| (I'll have yakisoba.

ああ …

( アイリス ) あー あ 今日 も 一 日 中 宛名 書き か |||きょう||ひと|ひ|なか|あてな|かき| (Oh, so you'll be writing addresses all day long.

午後 に 予約 が 入って る 2 件 と も ― ごご||よやく||はいって||けん|| I've got two appointments this afternoon, both in the afternoon.

カトレア さん を ご 指名 で すって ||||しめい||

う えっ !

( エリカ ) 大丈夫 ? ( アイリス ) 大丈夫です |だいじょうぶ||だいじょうぶです

せっかく ライデン に 出て きて ドール に なった のに ― |||でて||どーる||| And now that she's in Leiden and she's a doll...

毎日 毎日 宛名 書き だの まいにち|まいにち|あてな|かき| Every day, every day, writing addresses.

戦争 で 行方 不明に なった 人 の 安否 問い合わせ の 手紙 だ の せんそう||ゆくえ|ふめいに||じん||あんぴ|といあわせ||てがみ|| It's a letter inquiring about the safety of those who went missing in the war.

そんな の ばっかり I've seen a lot of that.

そう ね

あっ そう いえば あの 新 入り も 軍 に いた そうです よ ||||しん|はいり||ぐん|||そう です| Oh, by the way, I heard that new recruit was in the army too.

まだ 子供 な のに ? |こども||

あっ それ で …

( アイリス ) 何も ドール に する こと ない のに |なにも|どーる||||| (You don't have to do anything to the doll.

愛想 も ない し 気 も 利き そうに ない し あいそ||||き||きき|そう に|| You're not very friendly, you don't seem very friendly, and you don't seem to care.

絶対 向いて ないで す よ ね ぜったい|むいて||||

あー もっと ワクワク する ような 手紙 が 書き たい な ー ! ||わくわく|||てがみ||かき|||- I want to write more exciting letters!

有名 人 の 代筆 と か 舞台 女優 の 秘密の 恋文 と か ゆうめい|じん||だいひつ|||ぶたい|じょゆう||ひみつの|こいぶみ||

でも そういう の は ― But that's not--

カトレア さん の とこ いっちゃ い ます もん ね

( ホッジンズ ) ヴァイオレット ちゃん どう ?

お 昼 に 誘った んだ けど ― |ひる||さそった|| I invited her to lunch, but...

補給 は 不要 だって ほきゅう||ふよう| He said he didn't need to refill his tank.

ひたすら タイプ 練習 して る |たいぷ|れんしゅう|| I'm just practicing my typing.

( ホッジンズ ) そう か

面倒 かける ね めんどう|| I'm sorry I'm bothering you.

ウフッ

ねえ じゃあ 今度 夕食 ごちそう して よ ||こんど|ゆうしょく|||

クラウディア

( ホッジンズ ) 名前 で 呼ぶ な |なまえ||よぶ| (Don't call me by my name.

( カトレア ) 女の子 が 欲しかった から って あんまり よ ね |おんなのこ||ほしかった||||| (I just wanted a girl, but I didn't think I could have it.

ベッド の 中 で 女 の 名前 呼ぶ なんて 最悪だった わ べっど||なか||おんな||なまえ|よぶ||さいあくだった| Calling a woman's name in bed was the worst thing I've ever heard.

う っ … やめて ! お 願い ごめんなさい ||||ねがい|

うーん すぐに は 無理だ な |||むりだ| Well, not right away.

今月 の 俺 の 給料 なし だ から こんげつ||おれ||きゅうりょう||| I don't have my salary for this month.

え ?

宛名 書き 終わり ました あてな|かき|おわり|

お 疲れ さま |つかれ|

( アイリス ) 配達 の ほう に 回して おき ます |はいたつ||||まわして|| (I'll leave it in the delivery direction.

うん お 願い ||ねがい

ヴァイオレット も お 疲れ さま |||つかれ|

今日 は もう 終わり に して きょう|||おわり||

どれ どれ

あっ ずいぶん 上達 した じゃ ない ||じょうたつ||| Oh, you've improved a lot.

すごい わ

すごい の は この 武器 です ||||ぶき|

武器 ? ぶき

そう よ ね   私 たち働く 女性 が 社会 に 出て 戦う ため の ね |||わたくし|たちはたらく|じょせい||しゃかい||でて|たたかう||| Yes, for us working women to go out and fight in society.

明日 は 誰 か の 横 で 実際 の ドール の 仕事 を 見て いこう か あした||だれ|||よこ||じっさい||どーる||しごと||みて|| Tomorrow, I'd like to sit next to someone and watch a real doll at work.

私 は これ から 出張 サービス に 行って くる の わたくし||||しゅっちょう|さーびす||おこなって|| I'm going to go to a business trip now.

要望 が あれば ― ようぼう|| If you have any requests...

自宅 や 仕事 先 に も 出向いて 代筆 する の よ じたく||しごと|さき|||でむいて|だいひつ||| I can come to your home or place of business and write on your behalf.

私 も 携帯 して よろしい でしょう か ? わたくし||けいたい|||| May I carry my cell phone, too?

タイプ を ? どこ へ ? たいぷ||| Type? Where to?

自室 です じしつ|

訓練 の ため と くんれん|||

それ から …

( タイプ ライター を 打つ 音 ) たいぷ|らいたー||うつ|おと (typewriter typing sound)

( ホッジンズ ) 住所 ? ギルベルト の ? |じゅうしょ|| (Hodgins) Address? Gilbert?

はい

代筆 業務 に 着任 し 訓練 を 開始 した と ― だいひつ|ぎょうむ||ちゃくにん||くんれん||かいし||

現状 報告 を し たい のです げんじょう|ほうこく|||| I'd like to give you a status report.

少佐 は まだ お 忙しく しょうさ||||いそがしく Major is still very busy.

お目にかか れる 状況 で は ない のです よ ね ? おめにかか||じょうきょう||||||

あっ … ああ

分かった これ は 俺 が 出して おく よ わかった|||おれ||だして||

それ で 訓練 は 順調な の ? ||くんれん||じゅんちょうな|

( ヴァイオレット ) 順調です |じゅんちょうです

問題 あり ませ ん もんだい|||

( 男性 ) 知って の とおり ― だんせい|しって|| (Male) As you know...

毎日 生活 する の も やっと で … まいにち|せいかつ||||| I can barely make ends meet...

( アイリス )“ ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …” |ごぞんじ|||せいかつ|しきん|||きゅうする|じょうきょう ("As you know, we're in a situation where we're strapped for cash..."

( アイリス )“ ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …” |ごぞんじ|||せいかつ|しきん|||きゅうする|じょうきょう

( ヴァイオレット ) つづり が 間違って い ます |||まちがって||

それ から 毎月 2 クロル ずつ 返す って ||まいつき|||かえす|

書いて くれ かいて|

( アイリス ) 毎月 … |まいつき

( アイリス ) 毎月 … |まいつき

( ヴァイオレット ) 2 クロル ずつ です と

完済 する まで に 120 年 ほど かかり ます かんさい||||とし|||

旦那 様 は それ まで 生存 可能な のでしょう か ? だんな|さま||||せいぞん|かのうな||

え ?

( 女性 ) 普段 は すごく いい 子 な の じょせい|ふだん||||こ||

でも 時々 カッ と なる こと が あって |ときどき||||||

“ 大切な お 子 様 に ” たいせつな||こ|さま|

“ ケガ を さ せて しまい ました こと を …” けが|||||||

( 女性 ) 私 の しつけ が 悪かった の かしら ? じょせい|わたくし||||わるかった||

“ 私 ども の 日頃 の 指導 が …” わたくし|||ひごろ||しどう|

( 女性 ) 何 が … じょせい|なん|

何 が いけなかった の ? なん|||

あの …

業務 が 滞り ます ので 即座に 泣く の を 中断 して ください ぎょうむ||とどこおり|||そくざに|なく|||ちゅうだん||

( エリカ ) ちょ … ( 女性 ) え ? ||じょせい|

( 男性 ) 何 だ よ この 文章 は ! だんせい|なん||||ぶんしょう|

“ 勝手な お 願い で は ございます が ” かってな||ねがい||||

“ 勝手な ” って 何 だ よ ! かってな||なん||

すみません

( 男性 )“ 遅れ に つき まして は 弁解 の 余地 も なく ”? だんせい|おくれ|||||べんかい||よち||

これ じゃ 俺 が まるっきり 悪い みて え じゃ ねえ か ! ||おれ|||わるい|||||

お前 何 様 だ ! おまえ|なん|さま|

エリカ 様 です |さま|

名前 なんて 聞いて ねえ ! なまえ||きいて|

とにかく この 手紙 は 気 に 入ら ねえ ||てがみ||き||はいら|

金 は 払わ ねえ から な きむ||はらわ|||

( ヴァイオレット ) “ 気 に 入ら ない から 代金 を 支払わ ない ” は ― |き||はいら|||だいきん||しはらわ||

違法 行為 です いほう|こうい|

どこ が どのように 気 に 入ら ない の か … |||き||はいら|||

( 男性 ) どけよ だんせい|

具体 的 かつ 適切な 指示 を ぐたい|てき||てきせつな|しじ|

速やかに して ください すみやかに||

お 客 様 から 何 件 か 苦情 が 来て る んだ けど |きゃく|さま||なん|けん||くじょう||きて|||

( ヴァイオレット ) 問題 が あり ました か ? |もんだい||||

( ホッジンズ ) いや まあ …

君 は 大丈夫 ? きみ||だいじょうぶ

健康に は 異常 あり ませ ん けんこうに||いじょう|||

いや その … ドール の 仕事 の ほう は ? ||どーる||しごと|||

( ヴァイオレット ) 鋭 意 訓練 中 です |するど|い|くんれん|なか|

そ っか

( エリカ ) あの …

この あと 予約 の お 客 様 は いらっしゃい ませ ん ||よやく|||きゃく|さま||||

商工 会議 所 の 名簿 の 作成 を ― しょうこう|かいぎ|しょ||めいぼ||さくせい|

彼女 と 鋭 意 行い ます ので かのじょ||するど|い|おこない||

あっ …

( エリカ ) 会社 と 住所 ― |かいしゃ||じゅうしょ

それ から 業種 を タイプ して ||ぎょうしゅ||たいぷ|

( ヴァイオレット ) 了解 し ました |りょうかい||

ねえ あなた

どうして この 仕事 を し たい の ? ||しごと||||

( ヴァイオレット ) 私 は … |わたくし|

( ブリジット ) あら ? 誰 も い ない の ? ||だれ||||

あっ いらっしゃい ませ

代筆 を ご 希望 で ございます か ? だいひつ|||きぼう|||

フン … ほか に 何の 用 が ? ふん|||なんの|よう|

失礼 いたし ました しつれい||

お 客 様 が お 望み なら ― |きゃく|さま|||のぞみ|

どのような 文章 も 代筆 さ せて いただき ます |ぶんしょう||だいひつ||||

自動 手記 人形 サービス … じどう|しゅき|にんぎょう|さーびす

カトレア ・ ボードレール って ドール は ? |||どーる|

ただいま 出張 して おり ます |しゅっちょう|||

( ブリジット ) あら

彼女 なら 間違い ない って 聞いて 来た のに かのじょ||まちがい|||きいて|きた|

まあ いい わ

私 ね 交際 を 申し込ま れた の わたくし||こうさい||もうしこま||

自動車 の 会社 を 立ち上げた 男性 で ね じどうしゃ||かいしゃ||たちあげた|だんせい||

これ から 自家 用 車 の 時代 だ から って ||じか|よう|くるま||じだい|||

( エリカ ) は あ

( ブリジット ) でも ね 私 そんな 簡単な 女 じゃ ないし |||わたくし||かんたんな|おんな||

尻 の 軽い 女 に 見 られ たく ない わけ しり||かるい|おんな||み||||

あの … つまり

まあ 大した 男 じゃ ないし |たいした|おとこ||

私 に は 好意 なんて ない けど わたくし|||こうい|||

彼 が もっと 誠意 を 見せて くれて ― かれ|||せいい||みせて|

本当に 私 を 愛して る なら … ほんとうに|わたくし||あいして||

あっ …

気品 の ある ロマンチックな 手紙 を お 願い きひん|||ろまんちっくな|てがみ|||ねがい

書 い と いて しょ|||

その …

あら

あなた が 書いて くれる の ? ||かいて||

( ヴァイオレット ) 了解 し ました ( エリカ ) あっ … |りょうかい||||

う っ … あっ …

( ブリジット の 荒い 息遣い ) ||あらい|いきづかい

( ドア が 開く 音 ) どあ||あく|おと

何 な の ? あの 手紙 なん||||てがみ

お 客 様 どうぞ 落ち着いて ください |きゃく|さま||おちついて|

アイリス お茶 を お 出し して |おちゃ|||だし|

( アイリス ) はい

( ヴァイオレット ) ご 要望 どおり に 代筆 し ました ||ようぼう|||だいひつ||

( ブリジット ) あれ の どこ が ?

彼 怒って 手紙 を 送り 返して きた の よ ! かれ|いかって|てがみ||おくり|かえして|||

読んで みなさ いよ 自分 が 書いた やつ ! よんで|みな さ||じぶん||かいた|

( ヴァイオレット ) “ 手紙 を 拝読 し ました が ―” |てがみ||はいどく|||

“ 私 に は 現在 好意 は あり ませ ん ” わたくし|||げんざい|こうい||||

“ なおかつ 貴 殿 の 誠意 も 愛情 も 不足 して い ます ” |とうと|しんがり||せいい||あいじょう||ふそく|||

“ 私 は 複雑 かつ 重々しい 女 で あり ます ので ―” わたくし||ふくざつ||おもおもしい|おんな||||

“ その 点 を 考慮 し ” |てん||こうりょ|

“ 贈答 品 および 資金 を 調達 した うえ ” ぞうとう|しな||しきん||ちょうたつ||

“ 再度 の 挑戦 を 要望 し ます ” さいど||ちょうせん||ようぼう||

どこ が 間違って いた のでしょう か ? ||まちがって|||

申し訳 あり ませ ん もうしわけ|||

ちょっと 表現 が 素直 すぎた と いう か … |ひょうげん||すなお||||

( ブリジット ) 私 彼 と お付き合い し たかった の |わたくし|かれ||おつきあい|||

でも 彼 の 思い を すぐに 受け入れたら ― |かれ||おもい|||うけいれたら

簡単に 手 に 入る 女 だって 思わ れる じゃ ない かんたんに|て||はいる|おんな||おもわ|||

もっと 追いかけて ほしい の が 女 って もん でしょ ! |おいかけて||||おんな|||

私 だって 愛して た の よ ! わたくし||あいして|||

( ブリジット の 泣き声 ) ||なきごえ

( カトレア ) 何 に する ? |なん||

( ヴァイオレット ) 水分 の 補給 に は ― |すいぶん||ほきゅう||

水 か 白 湯 ( さゆ ) で 十分です すい||しろ|ゆ|||じゅうぶんです

( カトレア ) 花 茶 を 2 つ |か|ちゃ||

( 店員 ) かしこまり ました てんいん||

( カトレア ) あなた に いきなり 任せる 仕事 じゃ なかった わ ね ||||まかせる|しごと||||

理解 不能です りかい|ふのうです

え ?

( ヴァイオレット ) 依頼 者 の 意図 を 最大 限 反映 して 文章 を 記し ました |いらい|もの||いと||さいだい|げん|はんえい||ぶんしょう||しるし|

言葉 に は 裏 と 表 が ある の ことば|||うら||ひょう|||

口 に 出した こと が すべて じゃ ない の よ くち||だした|||||||

人 の 弱い ところ ね じん||よわい||

相手 を 試す こと で 自分 の 存在 を 確認 する の あいて||ためす|||じぶん||そんざい||かくにん||

裏腹 よ ね うらはら||

( カトレア ) やっぱり 私 だけ で 送り先 の 彼 の 所 へ 行って ― ||わたくし|||おくりさき||かれ||しょ||おこなって

謝って くるわ あやまって|

あっ

少佐 しょうさ

少佐 ! しょうさ

ギルベルト 少佐 ! |しょうさ

( 軍人 ) ん ? ぐんじん|

( ベネディクト ) よっ と

お ?

お ー い |-|

どうした ? 1 人 か ? |じん|

元気 ねえ な 飯 ちゃん と 食って る か ? げんき|||めし|||くって||

( ヴァイオレット ) 栄養 の 補給 は して い ます |えいよう||ほきゅう||||

じゃあ 仕事 の 失敗 でも した か ? |しごと||しっぱい|||

あー お前 配達 に 戻って こ いよ |おまえ|はいたつ||もどって||

( ヴァイオレット ) 配達 業務 で は ダメな のです |はいたつ|ぎょうむ|||だめな|

( ベネディクト ) ドール の 仕事 に こだわ ん ないで |どーる||しごと||||

ほか の 仕事 探した ほう が いい んじゃ ねえ の ? ||しごと|さがした||||||

ハァ … 俺 も 考えよう |おれ||かんがえよう

ホッジンズ の ヤツ 今月 給料 ね えっ つって たし ||やつ|こんげつ|きゅうりょう||||

うち の 会社 ヤバ いか も な ||かいしゃ||||

あ …

( ヴァイオレット ) 質問 よろしい でしょう か ? |しつもん|||

( エリカ ) え ?

私 は 自動 手記 人形 に 不 適格でしょう か ? わたくし||じどう|しゅき|にんぎょう||ふ|てきかくでしょう|

それ は 私 も … ||わたくし|

あなた の こと は 聞いて い ませ ん ||||きいて|||

向いて ない わ むいて||

第 一 あなた どうして この 仕事 が いい の よ だい|ひと||||しごと||||

“ 愛して る ” を 知り たい のです あいして|||しり||

( エリカ ) それ だけ ? ( ヴァイオレット ) それ だけ です

特定の 感情 を 表す 言葉 だ と 理解 は して いる のです が ― とくていの|かんじょう||あらわす|ことば|||りかい|||||

少佐 が なぜ 私 に 向けて ― しょうさ|||わたくし||むけて

突然 その 言葉 を 口 に した の か とつぜん||ことば||くち||||

知り たい のです しり||

たとえ 向いて い なくて も |むいて|||

私 は この 仕事 を 続け たい のです わたくし|||しごと||つづけ||

あっ …

( エリカ ) 更衣室 に タオル が ある から |こういしつ||たおる|||

( アイリス ) どちら に せよ 彼女 ― ||||かのじょ

ヴァイオレット に ドール は 無理だ と 思い ます ||どーる||むりだ||おもい|

うち は まだ 出来た ばかりの 会社 です が |||できた||かいしゃ||

カトレア さん へ の 依頼 は 絶え ませ ん ||||いらい||たえ||

でも ここ で 評判 が 落ちたり したら … |||ひょうばん||おちたり|

せっかく 軌道 に 乗って きて る のに |きどう||のって|||

ヴァイオレット に は 辞めて もらった ほう が … |||やめて|||

( ホッジンズ ) いや もう 少し … |||すこし

( エリカ ) あの !

( ホッジンズ ) エリカ

て か ヴァイオレット ちゃん も

どうした の ? 2 人 と も ||じん||

何も … なにも

何も 辞め させる こと は ない と 思い ます なにも|やめ|さ せる|||||おもい|

彼女 ヴァイオレット は ― かのじょ||

タイプ は 正確で 速い で すし ― たいぷ||せいかくで|はやい||

宛名 書 きや 名簿 の 作成 と いった 業務 は こなせ ます あてな|しょ||めいぼ||さくせい|||ぎょうむ|||

その うち もっと いろんな こと を 知って ||||||しって

手紙 も 少しずつ 書ける ように なる と 思い ます てがみ||すこしずつ|かける||||おもい|

お 願い し ます |ねがい||

辞め させ ないで ください やめ|さ せ||

( ヴァイオレット ) 裏腹です ( エリカ ) あっ … |うらはらです||

私 は この 任務 に 向いて い ない と 言った のに わたくし|||にんむ||むいて||||いった|

裏腹です うらはらです

ハッ !

♪~

( エリカ ) 自動 手記 人形 に 向いて い ない の は ― |じどう|しゅき|にんぎょう||むいて||||

私 の ほう だ わたくし|||

だから 彼女 を ― |かのじょ|

あんなに ムキ に なって かばって しまった んだ

後 の タイプ ライター と なった ― あと||たいぷ|らいたー||

その 機械 は ― |きかい|

活版 印刷 の 権威 である オーランド 博士 が かっぱん|いんさつ||けんい|||はかせ|

発明 した もの だった はつめい|||

小説 家 で あり ながら 盲目 と なり ― しょうせつ|いえ||||もうもく||

執筆 でき なく なった 妻 しっぴつ||||つま

モリー の ため に 製作 した もの だ が ― ||||せいさく||||

博士 は それ を 自動 手記 人形 と 呼んだ はかせ||||じどう|しゅき|にんぎょう||よんだ

それ が 今では ― ||いまでは

代筆 業 の こと を 指す 呼び名 と なって いる だいひつ|ぎょう||||さす|よびな|||

あの 子 と 出会って 実感 した |こ||であって|じっかん|

忘れ そうに なって た 自分 の 夢 わすれ|そう に|||じぶん||ゆめ

埋もれて しまって た 自分 の 気持ち うずもれて|||じぶん||きもち

オーランド 夫人 が 書いた 小説 が ― |ふじん||かいた|しょうせつ|

私 の 心 を 震わせた ように わたくし||こころ||ふるわせた|

( 店主 ) 閉める けど いい かい ? てんしゅ|しめる|||

あっ はい

( ドア が 閉まる 音 ) どあ||しまる|おと

( エリカ ) 私 も いつか ― |わたくし||

人 の 心 を 動かす ような ステキな 手紙 を 書き たい じん||こころ||うごかす||すてきな|てがみ||かき|

~♪

( カトレア ) で ー きた ! ||-|

どう ?

うん   ヴァイオレット ちゃん 立って ごらん |||たって|

( ヴァイオレット ) はい

うん   よく 似合って る よ ||にあって||

やっぱり 俺 の 見立て に 間違い は なかった |おれ||みたて||まちがい||

ああ それ から 最後に これ |||さいごに|

遅く なって ごめん ね おそく|||

開けて ごらん あけて|

開け ます あけ|

あっ …

これ です

少佐 が くださった ブローチ です ! しょうさ|||ぶろーち|

( ホッジンズ ) 闇市 に 流れて いた んだ |やみいち||ながれて||

誰 か が 君 の 荷物 から 盗んだ んだろう な だれ|||きみ||にもつ||ぬすんだ||

あっ …

( カトレア ) そうだ わ ! ヴァイオレット |そう だ||

あなた ドール の 育成 講座 に 通って み ない ? |どーる||いくせい|こうざ||かよって||

短期 の 講座 も ある し たんき||こうざ|||

アイリス も 通って た の よ ||かよって|||

( アイリス ) 先生 す っ ごく 厳しい けど ね |せんせい||||きびしい||

( カトレア ) ため に なる と 思う の |||||おもう|

( カトレア ) あれ を 買い戻した から 今月 の お 給料 なくなった の ね |||かいもどした||こんげつ|||きゅうりょう|||

( ホッジンズ ) いただき ます

で あの 子 の 言う 少佐 って 誰 の こと ? ||こ||いう|しょうさ||だれ||

( ホッジンズ ) あっ …

ギルベルト

士官 学校 時代 から の 友人 だ しかん|がっこう|じだい|||ゆうじん|

ブーゲンビリア 家 の 一族 で |いえ||いちぞく|

あっ あの 辺境 伯 の ? ||へんきょう|はく|

フッ

いや あ …

いい と この 坊ちゃん の わりに は 骨 の ある ヤツ だった よ |||ぼっちゃん||||こつ|||やつ||

( カトレア )“ だった ”?

( ホッジンズ ) あいつ は もう ―

戻って 来 ない もどって|らい|