Violet Evergarden Episode 7
( 役者 ) 説得 の 余地 など ない !
愚行 を 働いた 輩 ( や から ) に 対して 手 を 下した まで だ
( 役者 ) 善人 の 皮 を かぶった 悪魔 め !
闇 の 底 へ と 沈め !
( 役者 ) うわ あ …
( エリカ ) ああ …
( 役者 ) 手 を 下した お前 も 私 と 同類
咎人 ( と が び と ) の 業 火 に 焼か れる が いい
( 役者 ) ああ っ …
う っ …
ああ … 私 は この 罪 を 背負って 生きる しか ない !
この先 一生 !
( 役者 が 倒れる )
( 拍手 )
( エリカ ) 昨日 の お 芝居 す っ ごく よかった
ヴァイオレット も 見 に 行けば よかった のに
( ヴァイオレット ) 「 赤い 悪魔 」 でしたら 今 戯曲 を 読んで い ます
( エリカ ) あー いい な
オスカー ・ ウェブスター の 代筆 なんて うらやまし すぎる
だって 真っ先 に 彼 の 新作 が 読める って こと でしょ ?
完成 したら 久しぶりの 新作 に なる わ ね
( ヴァイオレット ) “ ああ … 私 は この 罪 を 背負って 生きる しか ない ”
“ この先 一生 ”
♪~
~♪
( ホッジンズ ) はい これ 代筆 依頼 書 ね
( カトレア ) こんなに ?
( ホッジンズ ) 公開 恋文 以来 ―
ヴァイオレット ちゃん の 指名 も 増えた しね
( カトレア ) ねえ ( ホッジンズ ) ん ?
( カトレア ) 例の 少佐 の こと あの 子 に 話した ?
いや
( カトレア ) 最近 の あの 子 ―
時々 何 か 考え込んで る みたいだ から
( オスカー ) 誰 だ ?
( ヴァイオレット ) 自動 手記 人形 サービス です
( オスカー ) 何 だ ? それ は
( ヴァイオレット ) お初 に お目にかかり ます
お 客 様 が お 望み なら どこ でも 駆けつけ ます
自動 手記 人形 サービス
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン です
( オスカー ) そこ に は 少女 が いた
もう 一 度 会い たかった
名前 すら 悲しくて さ さ やけ ない
あの 子 と 同じ 髪 の 色 の 少女 が …
( オスカー ) しか し 驚いた
まさか こんな 子供 が 来る と は な
ご 希望 に 添え ませ ん でしたら
別の ドール を 手配 さ せて いただき ます
( オスカー ) いや タイプ さえ 打てれば
俺 は 今 ちょっと 体調 が …
( ヴァイオレット ) 申し訳 あり ませ ん が ―
仕事 中 は お 酒 を 控えて いただく よう お 願い 申し上げ ます
う っ …
俺 は 飲ま ない と 書け ない
( ヴァイオレット ) 書く の は 私 です
( オスカー ) じゃあ 執筆 は 明日 から に しよう
困った お方 です ね
執筆 は この 部屋 で ?
( オスカー ) ここ か テラス だ な
書斎 は ある が あそこ は 狭くて 息苦しい
( ヴァイオレット ) でしたら 今日 は …
ん ? その 手 は ?
( ヴァイオレット ) 戦争 で 失い ました
ですが 作業 に は 問題 あり ませ ん
あー
旦那 様
執筆 に 差し支え ない 程度 に は 片づけ ました
タイプ ライター は 持参 して おり ます が ―
用紙 は あり ます でしょう か ?
ない な
港 の 商店 に 売って る から 買って きて くれ
それ と 夕食 も
カルボナーラ が いい
旦那 様 私 は 代筆 屋 であって メイド で は …
( オスカー の いびき )
( ヴァイオレット ) 困った お方 です
( 店主 ) 聞いた メニュー の 材料 は そろえた よ
( ヴァイオレット ) ありがとう ございます
( 店主 ) どうし たんだい ? 何 か 付いて る かね ?
( ヴァイオレット ) いえ
これ を 一体 どう やって 調理 すれば よい のでしょう ?
え ? 殻 を 割って 黄身 だけ 取り分けて
黄身 ?
何 やって る んだ ?
料理 に 挑戦 して おり ます
ん ?
まあ 初めて に して は 上出来じゃ ない か
君 は 食べ ない の か ?
私 は あと で いただき ます
そう
( ヴァイオレット ) 何 を なさって いる んです か ?
棚 に あった 酒 を どこ に やった ?
隠し ました
執筆 作業 の 妨げ に なり ます し ―
それ に …
旦那 様 ご 自身 に とって も よく は あり ませ ん
( オスカー ) あっ …
お 預かり して よろしい です ね ?
( オスカー ) 次 オリーブ の セリフ
“ この 火 の 谷 を 越え ない と ―”
“ 怪物 を 倒す 剣 が 手 に 入ら ない わ ”
ト書き
水 の 聖 霊 が 現れる
聖 霊 の セリフ
“ 私 が この 火 を 消して あげる ”
“ そう すれば この 谷 を 越え られる わ ”
越え られる のです ね ? よかった です
( オスカー ) ト書き
燃えて いる 火 が 消える
( ヴァイオレット ) どう やって 消える のです か ?
( オスカー ) 舞台 上 で はためいて た 赤い 布 を 引っ込める と ―
消えた ように 見える だ ろ ?
( ヴァイオレット ) なるほど 了解 し ました
なあ どう 思う ?
面白い か ?
何という か …
何という か ?
本当の 話 で は ない のに 自分 が 体験 して いる ようです
あっ …
( ヴァイオレット ) 自分 が この オリーブ と いう 少女 と 同じ ように ―
喜んだり 悲しんだり 不安に なったり する の は ―
どうして な のでしょう か ?
それ は 君 が 主人公 と …
オリーブ と 同じ 気持ち に なって くれて る って こと だ よ
オリーブ に 共感 して くれて る んだ
君 が そう 感じて くれて ホッと した
子供 向け の 芝居 を 書く の は 初めて で ね
( ヴァイオレット ) この あと オリーブ は 火 の 谷 を 越えて ―
無事に 剣 を 手 に 入れ ―
怪物 を 倒す のです よ ね ?
ああ
でも その 代わり に 精霊 使い の 力 を 失って しまう んだ
そんな …
では どう やって 故郷 へ 戻る のです か ?
船 も 壊れて しまい ました し …
そこ は まだ 考えて ない
( ヴァイオレット ) 考え ない と
考え なければ 父親 が 待つ 家 に 帰れ ませ ん
あっ …
考え ました か ?
( オスカー ) う っ
( オスカー ) いい 天気 だ な
いや よ すぎる か
( ヴァイオレット ) 旦那 様
ん ?
これ は ?
ああ … ただ の 傘 だ よ
どうして ?
とても キレイ な 傘 だ と 思い まして
( オスカー ) 少し 休ま せて くれ
( ドア が 閉まる 音 )
( オリビア ) いつか ―
いつか きっと 見せて あげる ね
( オスカー ) やめろ !
( オスカー 深い 息 )
やめて くれ !
申し訳 ございませ ん 勝手に 傘 を …
( オスカー ) もう いい !
もう いい
帰って くれ
( ヴァイオレット ) それでは お 芝居 が 完成 し ませ ん
オリーブ の 物語 が 完結 し ませ ん
旦那 様 は ―
心 に 何 か 隠して いらっしゃる ので は ないで す か ?
私 に は それ を くみ取る 能力 が なく ―
本当に 申し訳 ございませ ん
( オスカー ) 俺 は もう 何も 書け ない
だが このまま じゃ ダメだ
そう 思って あの 子 に …
オリビア に 聞か せて やった 話 を 完成 さ せよう と 思って
オリビア ?
ああ
娘 だ
妻 が 病気 で 亡くなって ―
夏 の 別荘 だった この 屋敷 へ ―
俺 は 娘 と 越して きた
母親 が い なくて 寂しかった と 思う
けど …
けど そんな 様子 は これ っぽ っち も 見せ ず ―
むしろ 俺 が 仕事 を 頑張れる ように と ―
いつも いろいろ と 手伝って くれて た んだ
そんな 娘 の 好きな もの が ―
フリル の 付いた 日傘 と ―
水鳥 で …
うわ ー ! いい な ー !
私 も この 湖 を 渡って み たい
あの 落ち葉 の 上 なら 歩ける かな ?
傘 を 差して 風 を 利用 すれば できる かも しれ ない ね
わ あっ
( 風 の 音 )
( オリビア ) あっ ! ( オスカー ) オリビア !
( オリビア ) 大丈夫
私 が 湖 を 歩く ところ
いつか きっと 見せて あげる ね
お 父さん
( オスカー ) そして ―
医者 と の 不毛な 押し問答 を 繰り返し ―
残さ れた 時間 を 過ごす ため 俺 は 娘 を 連れて 戻る こと に した
久しぶりの 娘 の 笑顔
穏やかで 優しい 日々
だが …
たった 1 つ の 希望 が …
神 は どれ だけ 俺 の 大切な もの を …
( ヴァイオレット ) 大切な 人 と 別れる と いう こと は …
二度と 会え ない と いう こと は
こんなに も 寂しく ―
こんなに も つらい こと な のです ね
( ノック )
( オスカー ) さっき は すまなかった
いえ お つらい の は 旦那 様 です のに
私 の ほう が 取り乱して しまい 申し訳 あり ませ ん
( オスカー ) 完成 さ せる よ ( ヴァイオレット ) あっ …
( オスカー ) オリーブ の 物語 を
少女 は 帰って きて 父親 と 再会 する
どんなに つらい 冒険 を した と して も ―
最後 は ハッピーエンド だ
主人公 も 観客 も 幸せに なる
いや して み せる
( オスカー ) そして 倒れる 怪物
オリーブ
“ ついに 怪物 を 倒した わ ”
水 の 聖 霊
“ よく やった わ ”
風 の 聖 霊
“ 私 たち は 戻ら なければ ”
“ 聖 霊 の 世界 に ”
火 の 聖 霊
“ ここ で お 別れよ ”
立ち尽くす オリーブ
さて ここ から どう やって オリーブ を 家 に 帰す か
船 は 壊れて しまった ので 飛行機 です か ?
うーん
もっと 夢 が ある ような 方法 で
( ヴァイオレット ) 鳥 でしたら 飛んで 帰れ ます が …
傘 で 飛ぶ の は どう だ ?
( ヴァイオレット ) 傘 で は 飛べ ませ ん
飛べる んだ
風 の 聖 霊 が もう 一 度 だけ 現れて 言う
“ オリーブ あなた の 傘 を 広げて ”
君 傘 を 広げて みて くれ ない か ?
“ その 傘 が あなた の 翼 よ ”
“ 高く 飛ぶ と 風 に 流さ れる から ―”
“ 海 で は 波 を 川 で は 岩 を ”
“ 湖 で は 落ち葉 を 踏んで 行き なさい ”
ステキな 着想 です
だ ろ ?
戻って きた オリーブ は 父親 に 再会 する
そして 海 を 渡って 帰って きて
再会 して ひと言 目 何 を 言う かな …
“ ただいま ”?
いや “ お 父さん ”?
また 行き詰まった のです か ?
ん っ …
君 ちょっと 向こう から 歩いて きて くれ ない か ?
イメージ を つかみ たい
歩く だけ で いい のです か ?
できたら 湖 に 浮かぶ 木 の 葉 の 上 を ね
( ヴァイオレット ) 了解 し ました
え ?
いや 今 の は …
( オリビア ) いい な ー !
私 も この 湖 を 渡って み たい
あの 落ち葉 の 上 なら 歩ける かな ?
いつか ―
いつか きっと 見せて あげる ね
お 父さん
( オスカー ) あと 何 千 回 だって そう 呼ば れ たかった
死な ないで ほしかった な
生きて …
大きく 育って …
… ほしかった な
( ヴァイオレット ) ハァ ハァ …
ご覧 に なら れ ました か ?
( ヴァイオレット ) ハァ ハァ …
3 歩 は 歩いて いた と 思い ます
( オスカー 泣き 始める )
旦那 様 ? どう なされ ました ?
お 体 の 具合 でも 悪い のでしょう か ?
( オスカー ) 奇跡 を かなえて くれた 彼女 に 俺 は 言った
“ 神様 なんて い ない と 思って いた けど ―”
“ いる なら 君 の こと だろう ” と
( ヴァイオレット ) 本当に この 傘 を 頂いて よろしい のでしょう か ?
ああ
もっと 飛べる と 思って いた のです が …
十分だ よ
君 は 死んだ 娘 の ―
“ いつか きっと ” を かなえて くれた
“ いつか きっと ”?
( 汽笛 )
( ヴァイオレット ) それでは
自動 手記 人形 サービス の ご 利用
誠に ありがとう ございました
こちら こそ ありがとう
( オスカー ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
( ディートフリート ) 多く の 命 を 奪った その 手 で ―
人 を 結ぶ 手紙 を 書く の か ?
君 は 自分 が して きた こと で
どんどん 体 に 火 が ついて ―
燃え上がって いる こと を まだ 知ら ない
私 は …
燃え てるよ
いつか 俺 が 言った こと が 分かる とき が 来る
そして 初めて ―
自分 が たくさん ヤケド して いる こと に 気づく んだ
ハッ !
( ヴァイオレット ) 少佐 …
( ギルベルト ) 生きて …
いい のです か ?
( ギルベルト ) 自由に なり なさい
( ヴァイオレット ) 武器 と して 人 を あ やめて きた 私 が ―
それ で いい のです か ?
私 は 誰 か の “ いつか きっと ” を ―
奪った ので は ない のです か ?
そして その 人 たち に も ―
愛する 相手 が いた ので は ないで す か ?
燃えて い ませ ん
燃えて い ます
燃えて い ませ ん
燃えて い ます !
自分 が して きた こと で どんどん 体 に 火 が ついて
燃え上がって い ます !
( ティファニー ) あら ?
あなた ヴァイオレット
( ヴァイオレット ) 奥様
いつぞや は 大変 失礼 を いたし ました
奥様 の お 心 を 傷つけて しまい ―
誠に 申し訳 ございませ ん でした
ヴァイオレット そんな … いい の よ
顔 を 上げて ちょうだい
よかった あなた が 立派に なって
浮かば れる わ ね 亡くなった ギルベルト も
“ 亡くなった ”?
あっ …
( ヴァイオレット ) 生きて いる と おっしゃい ました よ ね ?
少佐 は ご 無事な のです よ ね ?
それ は …
( ヴァイオレット ) 生きて いらっしゃる のです よ ね ?
あっ …
すまない
どうしても 君 に 言え なかった
インテンス 最終 決戦 の あと ―
聖堂 の 下 で 君 は 1 人 倒れて いた
恐らく 砲撃 を 食らう 寸前 ―
あいつ は 君 を 突き飛ばした んだ
あいつ は 確認 でき なかった が ガレキ の 下 に 認識 票 が あった
それ で 未 帰還 扱い に なって …
( ヴァイオレット ) で は 分かり ませ ん
( ホッジンズ ) だ が あの 状況 で は …
少佐 は きっと ご 無事です
ヴァイオレット ちゃん
ご 無事です !
( ホッジンズ ) ヴァイオレット ちゃん
分かって くれ あいつ は もう …
( ヴァイオレット ) 分かり ませ ん … 分かり ませ ん
どうして … どうして 私 だけ …
おかしい です !
そば に は 少佐 が いら して いた のに
そして 私 に …
ヴァイオレット ちゃん
つらくて も 受け入れる んだ
ヴァイオレット ちゃん !
( ヴァイオレット の 荒い 息遣い )
♪~
~♪