Ghost in the Shell : Stand Alone Complex Episode 3
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( カラス の 鳴き声 )
( 落ちる 音 ) ( カラス の 鳴き声 )
( 素子 ( もとこ )) これ ?
( 素子 ) 例の アンドロイド を いまだに 生産 し 続けて る 工場 って
意外 と 小さい の ね
アンドロイド の 一斉 自殺 なんて —
いかにも マスコミ が 飛びつき そうな ネタ ね
( 荒巻 ( あらまき ))10 分 やる
わし が 責任 者 に 事情 聴取 する 間 —
お前 は 生産 ライン の 中身 を 洗え
( 素子 ) 了解
タチコマ 分かって る ?
( タチコマ ) 無論 です こう 見えて も プロ です から
工場 長 を 呼んで くれ
( 阿部 ( あ べ )) 倉庫 に 回して おけ
公安 9 課 の 荒巻 です
今回 一斉に 暴走 した —
おたく の アンドロイド の 件 に ついて —
事情 聴取 に 伺い ました
( 阿部 ) 私 工場 長 の 阿部 と 申し ます
今回 は このような 騒ぎ を 起こして 本当に 申し訳 あり ませ ん
( 荒巻 ) 同一の 機種 だった ようです な ?
( 阿部 ) ええ GA 07- JL 型
ユーザー の 間 で は “ ジェリ ” と 呼ば れて いた タイプ です
発売 直後 は そこそこ 売れ ました が —
今 は 全国 でも 8,000 体 が 稼 動 して いる のみ です
正直 もう うち の 目玉 と いう わけじゃ ない んです よ
生産 も アフターケア 用 の 部品 製造 のみ です し
( 荒巻 ) イシカワ
( イシカワ ) 聞いて ます よ 今 調べ ます
今 と なって は デザイン も 古い し —
動き も 会話 も ぎこちない って いう んで —
部品 製造 の 方 も いつまで 続く の やら …
ジェリ と いう 特定 機種 が 狙わ れた 点 に —
何 か 心当たり は ?
それ が ない わけで は ない んです が …
実は ジェリ は ユーザー が —
不 適切な 改造 を して いた こと の 多かった 機種 な んです
まあ 我が 社 の 上層 部 は それ で 売れて くれる ん ならって —
むしろ 喜んで ました が ね
うち の 工場 の 若い 連中 なんか —
“ ジェリ が 自分 の 運命 を 呪って 自殺 した んだ ” って —
気味 悪 がって る 始末 で
何とか 原因 究明 の 方 お 願い し ます
ご 心配 なく
( 荒巻 ) 少佐 行く ぞ
失礼 し ます
ウイルス 性 の 暴走 に 間違い ない わ
定期 点検 プログラム に 紛れ込ま せて —
ネット 接続 して きた ユーザー の ジェリ に —
片っ端から ウイルス を 潜入 さ せて いる
おそらくは 修理 点検 の ため に —
工場 に 回収 さ れて きた ジェリ の うち どれ か に —
時限 性 の ウイルス が 仕掛け られ —
工場 の プログラム に 混入 した
念のため イシカワ に 中身 分析 さ せて る けど
一般 ユーザー の 犯行 か …
国会 議事 堂 と は 無関係だ と 思う か ?
( 素子 ) たぶん ね
それ でも 一応 確認 は 必要な んでしょ
ジェリユーザー の リスト 手 に 入れた わ よ
( 荒巻 ) 優先 順位 の 高い 者 から 片 っ 端 に 当たれ
バトー と パズ に も リスト を
もう とっくに 送った わ よ
早速 1 件 目 に 向かう わ
( 荒巻 ) うむ
タチコマ は 9 課 に 戻って 別 命 ある まで 待機
残念だ けど 今回 は 出番 な さ そう ね
( タチコマ ) ねえ 少佐 聞いた 話 で は —
留守番 を する と お土産 を もらう 権利 が 発生 する んです よ ね ?
土産話 なら —
あと で ウンザリ する くらい 聞か せて あげる わ よ
( タチコマ ) 土産話 ? やった ! やった !
土産 まで 要求 する ように なって きた か
( 荒巻 ) イシカワ か
( イシカワ ) はい ウイルス の 解析 終わり ました
せんだって 国会 議事 堂 で 検出 さ れた ウイルス と は —
似て も 似つか ない 素人 臭い 出来 の ウイルス です
( 荒巻 ) うむ
( イシカワ ) 一 つ 気 に なる の は —
保護 コード らしき もの が 見つかり まして ね
( 荒巻 ) 自分 の ジェリ だけ は —
ウイルス に 感染 し ない ように 守って いた
つまり 犯人 は 暴走 して ない ジェリ を —
連れて いる 可能 性 が 高い と いう こと だ な ?
( イシカワ ) おそらくは
( 荒巻 ) さっき の 工場 長 の 話 は どう だ ?
( イシカワ ) あの 話 は 本当の ようです
( イシカワ ) 07- JL 型 の 新規の 機体 製造 は —
3 年 前 から もう 行わ れて い ませ ん
( イシカワ ) ただ その後 —
コア な ファン に よる 製造 中止 反対 の クレーム が —
複数 確認 さ れて ます
今 の 情報 他 の 連中 に も 流して やれ
短 時間 に して は よく やった
( イシカワ ) うえ ー いや あ …
( オペレーター ) どう し ました ?
褒め られちゃ った よ
( キーボード を 打つ 音 )
( マーシャル ) 警察 に 気づか れた か
何度 も 場所 を 変えた のに …
僕 は 君 なし じゃ い られ ない
( ジェリ ) い られる でしょ
でも い たく ない んだ
僕 と 一緒に いて くれる ね
ええ
一緒に イタリア へ 行こう
行って 何 する の ?
( マーシャル ) 行って から 考える さ
( ドア の 閉まる 音 )
悲しみ は 無意味だ
悲しみ と 無 と で は 僕 は 無 を 取る
( アナウンサー ) アンドロイド が 一斉に 自殺 する と いう —
何とも 奇妙な 事件 が 起こった わけです が —
今日 は 近代 社会 学 者 の 宮代 ( みや しろ ) 先生 に —
お 越し いただいて おり ます
先生 早速 です が —
今回 の 事件 に ついて どのように お 考え です か ?
( 宮代 ) まあ 無論 アンドロイド は 生命 体 で は あり ませ ん から —
正確に は 自殺 で は ない わけです ね
“ 自 壊 ” と でも 呼び ましょう か
( アナウンサー ) ええ しかし —
往年 の SF 漫画 に 登場 した ように —
ロボット が ゴースト を —
持ち 始めた ので は ない か と いう 噂 も あり ます が
( 宮代 ) それ は 考え にくい で すね
むしろ そういった 心理 を くすぐる ため の —
愉快 犯 と 考える べき …
( バトー ) くだら ねえ
( バトー ) 捜査 に 集中 しろ よ
( トグサ ) 昔 は 割合 人気 あった よ な ジェリ って
性能 は お世辞 に も —
褒め られた もん じゃ なかった けど —
可愛かった し
最近 じゃ めったに 見かけ なく なった けど さ
見かけ ない って こと は それ だけ 捜査 が 楽 って こと だ
しかも 今回 の 事件 で —
ただ で さえ 少ない 機体 は さらに 少なく なって る
( トグサ ) でも なんで この 手 の 事件 を うち が 担当 する んだ よ
所轄 に 任せれば いい じゃ ん
先月 の 国会 議事 堂 で の ロボット 騒ぎ
あれ も ジェネシス ・ アンドロス 社 製 だった の —
もう 忘れた の か
いや それ は 覚えて る けど さ
に して も ほぼ 確実に 無関係な んだ ろ ?
ほとんど 存在 し ない であろう 因果 関係 を 洗う って の は …
俺 ら の 仕事 じゃ ない って 言い たい か ?
万が一 に 備える って の は こういう こと だ
残り の 9,999 回 まで は スカ って こと さ
何せ 今回 は まだ ウイルス の 出所 ( で どころ ) だって 分かって ない
( トグサ ) ハァ … ( バトー ) 乗り かかった 船 な んだ
リスト の 上 から しらみつぶし に 当たる ぞ
こんな 仕事 さっさと 片づけよう ぜ
公務 員 って 楽しい なあ
荒っぽい な 相変わらず
俺 に 任せりゃ 無傷で 開け ん のに
お前 じゃ 時間 かかり すぎる んだ よ
( トグサ ) ふん っ
( バトー ) あ 〜 あ
すげ え 映画 マニア
うん ?
( バトー ) 何 か 見つけた か
ジェリ に 仕掛けて あった ウイルス
当たり クジ だ
( ウエーター ) ええ …
( バトー ) 少佐 対象 者 を 見つけた
勘 の いい 奴 だ な 一足 遅かった
現在 地 と 集めた 情報 を 送る
あと は イシカワ の 情報 待ち だ
( ウエーター ) えっ ? ああ …
( パズ ) チッ
( ボーマ ) ほら 吐けよ !
( 暴力 団員 ) いちいち 愛玩 アンドロイド が どこ に 行った か なんて —
記録 して ねえ んで
( パズ ) よせ ハズレ だ ( 暴力 団員 ) う う っ …
また かよ
つま ん ねえ
( イシカワ ) 犯人 の 身元 を 確認 し ました
カナダ 大使 の 息子 マーシャル ・ マクラクラン 26 歳
身長 179 センチ 逮捕 歴 は なし
8 年 前 に 一 度 本国 に 帰国 して い ました が —
兵役 を 逃れる ため に 今 は 日本 に 舞い戻って きて い ます
大使 の 息子 ? 手出し でき ない んじゃ ねえ か
特権 免除 を 放棄 する よう 本国 と かけ合おう
犯人 の 現在 位置 は ?
( イシカワ ) 環状 6 号 を 福岡 方面 に 逃走 中
( バトー ) いい 車 乗って や がん な 青二才 の ボンボン が
( イシカワ ) IR システム の 写真 で 見る かぎり じゃ —
助手 席 に は ジェリ も 乗って る ようだ
( 素子 ) ジェリ ね 間違い ない わ
タイミング を 見計らって 高速 を 降りる よう 誘導 しろ
その 上 で 袋小路 に 追い込め
具体 的な アクション を 起こす の は それ から だ
いい な
いい な
( 一同 ) 了解 !
いい わ ね ラスト ドライブ は 海沿 いか
( 素子 ) でも ロボット を 買って —
自分 好み の 彼女 に しよう なんて 発想 から して マッチョ よ ね
気 に 入ら ない わ
( トグサ ) マッチョ ? 少佐 が 言う な よ
( バトー ) ほう 女性 代表 尊重 す べき 意見 だ な
( 素子 ) どうせ 自分 ち に 閉じ込めて 料理 洗濯 さ せて る んでしょ
( トグサ ) 料理 と 言って も たいした もん は 作れ ない んじゃ ない です か
そこ まで の 機能 を あの 価格 で 実現 できた と は —
思え ない んです けど ね ( 素子 ) じゃあ 何 さ せて る の よ
( トグサ ) う っ … 俺 に 怒ら ないで 下さい よ
( トグサ ) う っ … 俺 に 怒ら ないで 下さい よ
( バトー ) ハハハハ …
( バトー ) ハハハハ …
( バトー ) ハハハハ …
まあ 飾って 朝晩 眺める と か …
まあ 飾って 朝晩 眺める と か …
( 素子 ) やっぱり マッチョ じゃ ない
だから 少佐 が 言う なって
に して も —
なんで また そんな ポンコツ の 旧 型 ロボット に こだわって んだ ?
そい つ は
いつ の 時代 に も 金 じゃ 買え ない 旧式 デバイス へ の —
熱き ノスタルジー を 捨てきれ ない や から が いる って こと さ
お前 と 気 が 合い そうじゃ ねえ か
あ ? やめて くれよ
そういう あんた だって —
こんな 私物 の 旧 車 転がして る じゃ ない か
( バトー ) ふ ふん 俺 の は メカ へ の ピュア な 愛情
何 して る の
見つめて いる
なぜ 見つめて いる の
見つめて いる から
君 の 横顔 は 最高だ よ
とても 君 らしい
( ジェリ ) 私 より 美人 は 多い じゃ ない ?
でも 何 か 変な んだ
うまく いか ない し 惨めな 気持ち に なる
怖い かい ?
怖い けど 慣れた わ
何 か 優しい こと を 言って くれ ない か
私 に も 分から ない
あなた 魂 の 存在 を 信じる ?
優し さ だけ を 信じる よ
( 警告 音 )
( マーシャル ) クソ ! 工事 か
同じ 結末 なんか に し ない
( バトー ) 予定 どおり 高速 を 降りた ようだ
そのまま 誘導 を お 願い し ます 少佐 殿
( 素子 ) 任せ なさい
GPS に 介入 して あり も し ない 渋滞 を 作り出す … と
有能な 隊長 の 下 で 働く って の は 楽しい だ ろ
( トグサ ) う 〜 ん
( バトー ) 誘導 完了
少佐 殿 に 感謝 だ な
あと は サル おやじ から の 連絡 を 待つ のみ か
( 車 の エンジン 音 )
( マーシャル ) う っ …
ふ っ …
いた いた
( 荒巻 ) バトー
へい へい
特権 免除 の 放棄 に 成功 した 行け !
了解
仮にも 大使 の 息子 な んだ 無傷で いき ましょう
( バトー ) 当たり前だ
なるべく なら 穏便に 話し合い で 解決 する さ
昔 から 銃撃 や 格闘 より も 交渉 の 方 が 得意だ しな
あ 〜 そう でしょう ね
あっ …
( バトー ) 見 てら ん ねえ な
ジェリ 連れて ちゃ そう 速く も 走れ んだ ろ
( マーシャル ) あっ !
( マーシャル ) 僕 は カナダ 大使 ハーバード ・ マクラクラン の 息子 —
マーシャル ・ マクラクラン だ —
僕 を 逮捕 する こと は でき ない ぞ
( バトー ) 特権 免除 なら さっき 本国 が 放棄 した ぞ
( マーシャル ) えっ ?
どうして …
クソ ! やっぱり 無理な の か
( マーシャル ) 来る な ! ( バトー ) 待て
僕たち は 一緒に いたい だけ だ 邪魔 する な
行く ぞ ジェリ
あっ …
ジェリ ?
何 を する ? 気 でも 狂った の か ?
いいえ 正気 よ
( マーシャル ) う … う う っ
( マーシャル ) う っ … ( ジェリ ) いや …
そう 狂った の 一緒に 行き たく ない の
もう あなた を 愛し たく ない
どこ が ポンコツ な んだ よ 9 課 の より よく しゃべる じゃ ん
ごめんなさい
本当に 愛して た
どういう こと だ よ
( バトー ) ふん …
( バトー ) どうも 不可解な 事件 だった な
( 素子 ) そう ?
随分 分かり やすい 事件 だ と 思った けど
最終 的に は 国会 議事 堂 と は 無関係な こと が —
証明 さ れちゃ った けど ね
あなた は この 事件 を どう 見て る の ?
旧 型 ロボット に 郷愁 を 抱く メカマニア の 青年 に よる —
メーカー の 脅迫
まっ でも 結局 は それ が —
逆に 部品 製造 の 中止 を 促した の は 皮肉だ が な
自分 の アンドロイド を —
世界 で たった 1 人 しか 存在 し ない 女性 に し たかった んじゃ ない ?
その ため に 奴 は —
他の ジェリ を ことごとく 破壊 しよう と したって の か ?
動機 は 短絡 的だ し 手段 は 不器用だ けど ね
おいおい おい 珍しく 感傷 的じゃ ねえ か
仮に そう だ と して も —
自分 の ジェリ に は 保護 コード を かけて た
その ジェリ まで が 最後に おかしく なった の は どうして だ ?
あれ から は やっぱり 何の ウイルス も —
検出 さ れて ない んだ ぜ
( 素子 ) フッ
まさか ジェリ が 青年 を 助けた って 言う の か ?
ジェリ は ゴースト の ない ロボット だ ぜ
小さい 頃 うまく 義 体 が 使え ず —
大事に して いた 人形 を 握りつぶして 泣いた こと が あった
今 じゃ 世界 でも 屈指 の 義 体 使い じゃ ねえ か
( トグサ の 妻 ) お かえり なさい
( トグサ ) また 昔 の 映画 見て ん の ?
やっぱり 映画 は 20 世紀 に 限る わ よ
( 男性 ) 気 でも 狂った の か ?
( 女性 ) いいえ 正気 よ
いや … そう 狂った の
もう あなた を 愛し たく ない
もう あなた を 愛し たく ない
( トグサ の 妻 ) あっ …
何 す ん の よ ? もう すぐ 終わり な のに
( 男性 ) 気 でも 狂った の か ?
( 女性 ) いいえ 正気 よ
いや … そう 狂った の
あっ … う 〜 ん …
もう あなた を 愛し たく ない
これ が 元 ネタ か ?
( 映像 が 巻き 戻る 音 )
( 男性 ) 悲しみ は 無意味だ
悲しみ と 無 と で は 僕 は 無 を 選ぶ
( リモコン の 操作 音 )
( 女性 ) あなた 魂 の 存在 を 信じる ?
( 男性 ) 優し さ だけ を 信じる よ
( リモコン の 操作 音 )
( 男性 ) 気 でも 狂った の か ?
( 女性 ) いいえ 正気 よ
いや … そう 狂った の
もう あなた を 愛し たく ない
( トグサ ) うん ? ( リモコン の 操作 音 )
ジェリ が 口 に した 最後 の 言葉 が ない な
おい この 映画 この後 に 何 か セリフ あった ろ ?
ん ? ない わ よ 完全 ノーカット 版 だ もん
( トグサ ) うん ?
う … う 〜 ん …
♪〜
〜♪