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シュタインズ・ゲート ゼロ, シュタインズ・ゲート ゼロ (22)

( 岡部 ( お かべ )) くっ …

( 真 帆 ( ま ほ )) つまり ―

何度 タイムリープ して も ―

タイム マシン が 破壊 さ れて しまう って こと ?

( 岡部 ) ああ

( ダル ) 今 から ラジ 館 で まゆ 氏 を 待ち 伏せて ―

乗ら ない ように すれば いい んじゃ ね ?

( 岡部 ) もちろん それ で ―

ま ゆり と 鈴 羽 ( すず は ) を 救える 可能 性 は ある … が ―

同時に 全く 予期 せ ぬ こと が 起きる 可能 性 も 高い

どういう こと ?

( 岡部 ) あの タイム マシン 破壊 が ―

収束 する 事象 な の か どう か は 分から ない

ただ 第 3 次 世界 大戦 の ―

大きな きっかけ に なって いる こと だけ は 確かだ

可能 性 は 高い

( 真 帆 ) どこ に 行く の ?

( 岡部 ) 少し 風 に 当たって 考える

( ダル ) オカリン

オカリン 未来 から 何度 も タイムリープ して ―

ここ まで 来た んだ よ ね ?

( 岡部 ) ああ ( ダル ) じゃ あさ ―

未来 の オカリン も さ 今 みたいな 感じ な ん ?

〝 厨 二 病 ( ちゅう に びょう ) 乙 !〞 な 感じ じゃ なく …

( ドア の 開閉 音 )

厨 二 病 ?

いつか 帰って くる 気 が した んだ けど な

諦め ない

そう 決めた はずだった のに …

やはり 目の当たり に する と …

( アマデウス 紅 莉栖 ( くり す )) しっかり し なさい

あっ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 岡部 倫太郎 ( りん たろう )

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

あっ そう か まだ 教授 に 隔離 さ れる 前 か

( 真 帆 ) 未来 を 見て きた んでしょう ?

そして それ を 覆す ため に 帰って きた んでしょう ?

科学 者 なら 可能 性 が ゼロ で ない かぎり ―

諦める と いう 結論 は ない わ

協力 は 惜しま ない わ よ

( 岡部 の 笑い声 )

( アマデウス 紅 莉栖 ) 何 が おかしい の ?

( 岡部 ) いや … いつ いかなる どんな 時代 でも ―

お前たち ラボメン は ―

本当に 変わら ない な と 思って な

フッ

フッ ?

フゥー ハッハッハ …

愚かな !

あくまで これ は 機関 を 油断 さ せる ため の 演技 に すぎ ん

( 真 帆 ) は ?

( 岡部 ) 助手 1 号 アーンド 2 号 よ

助手 ?

すぐに 会議 を 始める

ついてくる が いい

何 な んです ? あれ

( 真 帆 ) さあ …

( 岡部 ) さっさと 来い ! 実験 大好き っ子 ども

( 真 帆 ) え ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) え ?

( 岡部 ) つまり 第 3 次 世界 大戦 を 引き起こす 大きな 要因 は 2 つ

アメリカ と ロシア そして …

タイム マシン だ

それ は さっき 聞いた わ

( 岡部 ) そこ に 関わって いる 組織 が …

ストラトフォー の レスキネン

同じく アメリカ 陣営 である DURPA ( ダーパ )

そして ロシア の 諜報 機関

恐らく この 3 組織

規模 デカ すぎ じゃ ね ?

オカリン が いつも 言って た 機関 的な …

その とおり

この 天才 科学 者 に して 世界 を 混とん に 陥れる ―

鳳凰 院 ( ほう おういん ) 凶 真 ( きょう ま ) に 気づいた 世界 各国 が ―

ついに 動きだした と 言える

フゥー ハッハッハ …

先輩 …

何 ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 岡部 さん 頭 でも 打った んです か ?

それとも 何 か 悲しい こと で も あった と か …

黙れ クリスティーナ よ !

“ ティーナ ” 言う な !

話して て 恥ずかしく なら ない の ?

な っ !?

( 岡部 ) そんな こと は 分かって いる

俺 だって 恥ずかしく ない わけ が …

( ダル ) それ で いい と 思う よ ( 岡部 ) え ?

僕 の 知って る オカリン は どう しよう も なく ―

面倒くさくて う ざ く て ―

何 を 言って も 言い返して くる ―

体 の 芯 まで “ 厨 二 病 乙 !” な ヤツ で …

でも だ から こそ ムチャクチャ な 理論 で ―

不可能 を 突破 して きた のだ から

( 岡部 ) ダル … ( ダル ) だ けど ―

つい さっき 仏頂面 で 出て いった と 思ったら ―

真 帆 たん と 一緒に 帰って きて いきなり その テンション

一体 何 が あった ん ?

何 して もらった んだ ? オカリン !

チュッチュ か ? チュッチュ な の か !?

まゆ 氏 と いう 人 が あり ながら 羨ま し い !

何も し と らんし さ れ とら ん わ !

大体 ダル よ お前 は 根源 的な ところ を 間違って いる

俺 は 岡部 倫太郎 で は ない

我が 名 は … バッ !

鳳 ・ 凰 ・ 院

凶 真 だ !

これ が この 狂気 の マッドサイエンティスト の 真 の 姿 だ

その 目 を か っ 開いて よ ー く 焼き付ける が いい !

ホントに いい の ?

( 岡部 ) 俺 だ 計画 は 最終 段階 に 入った

そ ー だ これ が 発動 すれば ―

大国 の 諜報 機関 と いえ ど 太刀打ち は でき ん

フフン … ああ そう だ

誰 と 話して る ?

もう いい わ 早く 話 を 進めて

最初 から そう 言えば いい のだ

( 岡部 ) ロリ っ子 よ ( 真 帆 ) う っ …

( 岡部 ) 先 に も 言った ように ―

タイム マシン を 狙って いる の は この 3 組織

今 まで 失敗 して きた の は ―

全て この 3 組織 の いずれ か の 妨害 が あった から だ

だが 決して 打開 策 が ない わけで は ない

タイム マシン の 破壊 は ―

避け られ ない 収束 で は ない と 言い たい わけ ?

( 岡部 ) 要 は まゆ り たち の 行動 は そのまま に ―

過去 に 飛び立つ あの 瞬間 あの 一瞬 だけ ―

邪魔 を さ せ なければ いい のだ

しかも ―

ストラトフォー と つながり を 持つ レスキネン

そして DURPA の 先兵 の 動き を 封じる こと は ―

これ まで 既に 成功 して いる

と いう こと は …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 残る は ロシア 1 つ

( 岡部 ) うん

で 何 か 作戦 は ある ん ?

( 岡部 ) ない ( ダル ) 何 !?

これ だけ 長く 話して きて 結局 何も 考えて ない ん ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) は いはい ワロス ワロス

( 真 帆 ) 何 それ ? ( 岡部 ) シャーラップ !

レスキネン と DURPA の 動き は ―

この 鳳凰 院 凶 真 の 機転 と 的確な 作戦 に より 封じた のだ

1 つ くらい お前たち が 思いついて くれて も いい だろう

( ダル ) つう て も 知った の 今 さっき だし

( 岡部 ) あ … ( 真 帆 ) ハァ …

しかたない わ ね

こういう の は まず 何 が 原因 と なって いる の か ―

なぜ その 行動 を する の か ―

その 因果 関係 を 洗って みる こと が 重要 よ

この 場合 ロシア が …

( ダル ) おおう !

( 真 帆 ) ロシ … ア … が …

出た ! 真 帆 たん の 約束 さ れた 勝利 の ポーズ !

( 真 帆 ) 何の 話 !?

やむ を えん な

( 岡部 ) はい ( 真 帆 ) えっ ?

( 岡部 ) さあ 書け

( 殴る 音 ) ( 岡部 ・ ダル ) あっ

( 真 帆 ) まず アメリカ の 両 組織 と ロシア が ―

なぜ ここ に タイム マシン が ある の を 知った かね

アメリカ 側 は レスキネン で 間違い ない

未来 の レスキネン が かがり を 使って ―

現在 の レスキネン に タイム マシン の 情報 を 伝えた

でも か が りさん が 教授 に 会った の は ―

今 から 何 年 も 前 でしょう ?

なぜ 聞いた 時点 で 動か なかった の ?

( 岡部 ) 変え られ なかった から だ

え ?

( 岡部 ) タイムパラドックス と 同じだ

歴史 と 異なる 行動 を とって も ―

世界 線 の 収束 に より それ は 修正 さ れて しまう から だ

世界 線 …

だが それ を 逆手 に 取った の が 教授 の 策 だった

なるほど ね

つまり 未来 の 世界 で は 2011 年 の 7 月 7 日 に ―

タイム マシン 争奪 戦 の 火ぶた が 切ら れる こと に なって いた

7 月 7 日 に タイム マシン は 破壊 さ れる

だったら ―

その 日 なら タイム マシン を 奪い 取れる と 考えた の ね

あ …

DURPA は その 情報 を どこ から つかんだ んだろう ?

同じ 西側 だ から な

あと 1 つ ロシア だ が …

アメリカ 陣営 から 盗んだ と か ?

( 真 帆 ) 教授 が 未来 の 自分 から ―

第 3 次 世界 大戦 の こと を 聞いて いた と したら ―

その 情報 管理 は 徹底 する はず よ

ロシア は 最も 漏らし たく ない 相手 じゃ ない ?

あ …

ダル パソコン で 検索 を かけて くれ

( ダル ) いい けど 何て ?

検索 ワード は ―

“ 中鉢 ( なか ばち ) 博士 ” だ

( 中鉢 ) それ に して も 助かった よ

金属 探知 機 に かかった おかげ で …

やはり 中鉢 博士 は ロシア に 亡命 して いる

パパ …

パパ ?

その 話 は あと だ

中鉢 博士 が タイム マシン に 関する 論文 を 持って ―

ロシア に 亡命 した の は 確かだ

だが ロシア は タイム マシン 開発 に 成功 して い ない

どういう こと ?

( 岡部 ) 完成 さ せた の なら 戦争 に は なら ない から だ

半年 前 に 俺 たち を 襲い ―

紅 莉栖 の PC を 破壊 した の は ロシア だった

あれ は 中鉢 の 資料 から 牧 瀬 ( まき せ ) 紅 莉栖 に たどりついた ヤツ ら が ―

ほか の 勢力 に 奪わ れる くらい なら と …

ほか に も 何 か が 残って いる … と いう こと は ない の か ?

彼女 の メモ や 書類 その 知識 を …

あっ …

そういう こと … でしょう ね

私 の 中 に は 牧 瀬 紅 莉栖 の 記憶 そして その 思考 パターン が ある

タイム マシン を 作ろう と する なら 是が非でも 欲しい でしょう ね

あ …

( 岡部 ) あの とき ―

アマデウス の 乗っ取り と 同時に 世界 線 が 変動 した の は …

( ダル ) どうした ん ?

ロシア が 接触 する 前 に さかのぼり ―

アマデウス を 保護 する こと は でき ない の か ?

( 真 帆 ) 接触 する 前 って いつ ?

断定 は でき ない なるべく 早い 段階 で と しか

紅 莉栖 の 記憶 データ を 最初に 取った の は いつ だ ?

紅 莉栖 が 日本 に 行く 前 だ から …

去年 の 春 頃 だった と 思う

( 岡部 ) そこ まで タイムリープ で 戻り …

( ダル ) え … で できる ん ? 去年 の 春 って まだ …

( 岡部 ) あっ …

( 真 帆 ) そもそも 電話 レンジ と か いう の が 最初に 完成 した の が ―

去年 の 夏 な んでしょ ?

どう 考えて も それ 以前 に は 戻れ ない わ よ

くっ … なら D メール だ ダル !

( ダル ) ホントに いいん ? オカリン ずっと 反対 して た けど

確かに … 使えば SERN ( セルン ) に 捕 捉 さ れる

そう なれば …

くっ …

( 真 帆 ) ほか の 方法 を 探る しか ない よう ね

( ダル ) 今 こんな こと 言う の も どう か と 思う んだ けど さ

聞いて くれる ?

D ライン ?

( ダル ) そう D メール の 原理 使って ―

ライン を 過去 に 送れる ように した ん

( 岡部 ) SERN に 捕 捉 さ れ ず に 送れる の か ?

( ダル ) うん

ただし 去年 の 春 段階 で は まだ 試作 版 で ―

アプリ を 持って る の は 僕 だけ に なる けど ね

限界 で 去年 の 正月 くらい ?

( 真 帆 ) つまり 橋田 ( は し だ ) さん 以外 の 相手 に は 送れ ない

何とか なる ?

可能だ 未来 の 自分 から ―

“ ヴィクトル ・ コンドリア 大 に 保管 さ れて いる ―”

“ 牧 瀬 紅 莉栖 の 記憶 データ を 保護 せよ ” と ―

指令 が 来れば 従う はずだ

オカリン が 見たら 放っておか ない はずだ しね

( アマデウス 紅 莉栖 ) 待って

それ で 情報 の 流出 が 止め られる と は 思え ない

相手 は 巨大 国家 よ

アクセス できる かぎり 必ず 追いかけて くるし ―

どこ か で コピー さ れ 拡散 さ れる 可能 性 も ある

それ は 確かに …

( 真 帆 ) なら どう すれば いい の ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 消去 する しか ない

オリジナルの 紅 莉栖 の 記憶 の バックアップ を ―

取った 直後 の データ に アクセス して ―

修復 でき ない ように システム ごと 自 壊さ せる

え … 紅 莉栖

それ しか ない で す 先輩

去年 の 春 の 段階 で 消去 すれば アマデウス の 再 構築 は 不可能に なる

( 真 帆 ) でも それ じゃ あなた が …

( 岡部 ) つまり ―

アマデウス そのもの を なかった こと に …

( アマデウス 紅 莉栖 ) どういう こと です か ?

私 に 聞か れて も ね

( アマデウス 紅 莉栖 ) このまま で は ―

結局 あした も タイム マシン が 破壊 さ れて しまう

その 可能 性 が 高い わ ね

なら やる べき こと は 1 つ じゃ ないで す か

そう ね でも 私 に は 分かる 気 が する わ

そして あなた も それ に 気づいて る

( アマデウス 紅 莉栖 ) あ …

( 真 帆 ) 恐らく 岡部 さん は …

( 携帯 電話 の 振動 音 )

何 だ ?

( 真 帆 ) 言わ れた こと だけ 伝える わ

アマデウス が あなた と 話した いって

( 携帯 電話 の 振動 音 ) ( 岡部 ) あっ …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( 携帯 電話 の 着信 音 )

あっ …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

ど どうも

( 岡部 ) ああ

何 か 久しぶりに 外 に 出た 気 が する

少し 景色 見せて よ

何て こと ない 景色 だ けど な

( アマデウス 紅 莉栖 ) へえ ~ こんな 所 も ある んだ

( 岡部 ) 夜 は 初めて か ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 当然でしょ

自分 の 足 で 歩ければ 好きな だけ 見て 回る けど …

プログラム だ から

( 岡部 ) あっ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) ハァ …

私 を 消す こと に 躊躇 ( ちゅうちょ ) して いる のだ と したら ―

アマデウス と いう プログラム と して 誇り に 思う わ

人 の 心 に 影響 を 与える まるで 人 と 同じ ような AI …

と いう こと だ から

( 岡部 ) 消える んだ ぞ

( アマデウス 紅 莉栖 ) やっぱり それ で 躊躇 して いた の ね

せっかく 外 に 出た んだ から ―

ついでに もう 少し 見せて くれ ない ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 昼 と 夜 と じゃ 大 違い ね

( 岡部 ) そりゃ あな

( アマデウス 紅 莉栖 ) ほか の 街 も こんな 感じ な の ?

( 岡部 ) いや 場所 に も よる な

新宿 ( しん じゅく ) や 渋谷 ( しぶ や ) は 夜中 でも 結構 にぎやかだ し ―

逆に 銀座 ( ぎんざ ) 辺り は ここ より 静か かも しれ ん

( アマデウス 紅 莉栖 ) へえ ~ そう な の ね

( 岡部 ) どっち に 行く ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) そう ね … あっ

あそこ 上って み たい

( 岡部 ) 分かった

( アマデウス 紅 莉栖 ) 何 か 以前 も こんな 感じ で歩いた わ よ ね

( 岡部 ) ああ

( アマデウス 紅 莉栖 ) そう いえば あの 変な 口調 は どうした の ?

“ フゥー ハッハッハ ” と か いう …

そっち の ほう が いい か ?

助手 よ

( アマデウス 紅 莉栖 ) やっぱり いい

話して る と やり込め たく なる から

( 岡部 ) ハハッ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) こんな 景色 な の ね

( 岡部 ) おもしろい か ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) とても !

だって ここ は 混とんと して いて 法則 など 何も ない

私 の 存在 して いる ここ は 全て の もの に 理由 と 必然 が ある

存在 する 理由 の ない もの は 消さ れ ―

ムダ は 省か れ 全て 効率 的に 構築 さ れて いく

でも 今 見えて いる この 世界 は 大げさに 言う と 無秩序

必要な いもの が 存在 し ―

ムダ に しか 思え ない 行動 が 日常 の ように 発生 し ―

明らかに 答え が 分かって いる 選択 を なぜ か 誤る

けど それ が 偶然 を 生み 意味 の ない もの に 必然 を 与え ―

複雑に 絡み合って ―

奇跡 の ような 出来事 が 生み出さ れて いく

出会い が 生まれる

プログラム である 私 に は 到底 届か ない 世界

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

岡部 倫太郎

私 を 消す こと に 対して ―

センチメンタルな 気持ち に なる こと は 理解 できる

少し うれしい と いう 感情 も ある

だったら …

( アマデウス 紅 莉栖 ) でも あなた が 話して くれた シュタインズ ・ ゲート 世界 線

椎名 ( しい な ) まゆ り の 命

そして その先 に ある オリジナルの 私 の 命

共に 救える 世界 線 へ の 道 が 今 目の前 に ある

くっ …

何度 も 言う けど 私 は プログラム に すぎ ない の

それ が たとえ …

( 岡部 ) 分かって る

だったら …

( 岡部 ) 俺 は ―

以前 オリジナル の お前 を 殺した

えっ ?

( 岡部 ) まゆ り と 紅 莉栖 ―

どちら か しか 助け られ ない と いう 状況 の 中 で ―

俺 は ま ゆり を 選んだ

そして お前 を 救う こと を 諦めた

( アマデウス 紅 莉栖 ) それ を 私 は 肯定 した ?

( 岡部 ) ああ

“ それ で いい 間違って ない ” 何度 も そう 言って いた

ま ゆり を 選ぶ べきだ と

それ が 正しい 選択 なんだ と

でしょう ね

誰 か を 犠牲 に なんて 私 なら プライド が 許さ ない

やら なければ いけない こと は 分かる わ よ ね ?

椎名 さん と 鈴 羽 さん を 救い ―

世界 を 戦争 に なんか させ ない ため に …

( 岡部 ) だ が お前 が …

だが お前 が 存在 し なかった こと に なる んだ ぞ

い なく なる だけ じゃ ない

誰 も お前 が 存在 した こと すら …

でも ―

あなた は 覚えて いて くれる んでしょ ?

( 岡部 ) あ …

もし 失敗 したら …

もし 見つけ られ なかったら …

( アマデウス 紅 莉栖 ) それ が 今 まで の あなた だった んじゃ ない の ?

それ を 後悔 して 今 を 変える と 決意 して ―

3,000 回 も タイムリープ して 戻って きた んでしょ ?

オリジナル が 死んで から たまに 考えて いた わ

私 と いう 存在 は 一体 何 な んだろう って

何の ため に 存在 して る のだろう って

そ したら 第 3 次 世界 大戦 の 引き金 に なっちゃ う と か ―

そんな 悲しい 理由 で 存在 して いる

それ が 私 の いた 理由 な の か って

でも もし オリジナルの 紅 莉栖 を 救える 力 に なれる の なら …

この 美しい 世界 を 救う ため に ―

私 が これ まで 存在 して いた のだ と したら

それ は とても ロジカル で ―

とても ロマンチックな こと じゃ ない ?

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

見せて 空

わ あ

こんなに まぶしい の ね

ああ

( アマデウス 紅 莉栖 ) あなた たち は 自分 たち が 思って る より ―

ずっと すばらしい 世界 で 生きて いる

時間 が 流れ 混とん と 偶然 が 奇跡 を 生み出し ―

必然 を 紡いで いく

そんな 世界 に …

ねっ

( ダル ) セッティング は 終わって る お

じゃあ 先輩

いい の ね ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) はい

( キーボード を 打つ 音 )

( ダル ) オーケー

あと は 真 帆 たん の 用意 する ファイル を 添付 して ―

過去 の 僕 に 送れば いい んだ よ ね ?

( 真 帆 ) アマデウス 制御 コード の パス を 受理 せよ

デァ ・ アルテ ・ ヴュルフェルト ・ ニヒト

( 警告 音 )

( アマデウス 紅 莉栖 ) 制御 コード が 入力 さ れ ました

システム を エマージェンシー モード へ 移行 し ます

最高 管理 権限 保持 者 比 屋 定 ( ひや じょう ) 真 帆 が 命じる

指定 バッチプログラム を 指定 ファイル へ と 転送

再 起動 と 同時に ―

処理 を 続行 する よう 命令 を 部分 変更

( アマデウス 紅 莉栖 ) 命令 を 受諾 し ました

最高 管理 権限 保持 者 比 屋 定 真 帆 の 命令 を もって ―

処理 を 開始 し ます

( 岡部 ) 比 屋 定 さん …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 先輩 !

諦め ず に 頑張って ください

可能 性 は 無限です

私 は 先輩 の こと を よく 知ってい ます

だから 確信 を 持って 言え ます

先輩 は 必ず 私 の 研究 を 超えて ―

その先 の 地平 を 切り開く こと が でき ます

そして きっと ―

私 たち が たどりつく べき 世界 へ ―

私 たち は 必ず そこ へ たどりつき ます

( 岡部 ) アマデウス ! いつか また ―

時 の 交差 する その 約束 の 日 に

必ず その たどりつく べき 場所 で

再び 相ま みえ ん こと を !

( アマデウス 紅 莉栖 ) 先輩 !

鳳凰 院 凶 真 の こと よろしく お 願い し ます !

紅 莉栖 …

ゴー !

う っ … くっ …

う あー っ !

♪~

~♪


( 岡部 ( お かべ )) くっ …

( 真 帆 ( ま ほ )) つまり ―

何度 タイムリープ して も ―

タイム マシン が 破壊 さ れて しまう って こと ?

( 岡部 ) ああ

( ダル ) 今 から ラジ 館 で まゆ 氏 を 待ち 伏せて ―

乗ら ない ように すれば いい んじゃ ね ?

( 岡部 ) もちろん それ で ―

ま ゆり と 鈴 羽 ( すず は ) を 救える 可能 性 は ある … が ―

同時に 全く 予期 せ ぬ こと が 起きる 可能 性 も 高い

どういう こと ?

( 岡部 ) あの タイム マシン 破壊 が ―

収束 する 事象 な の か どう か は 分から ない

ただ 第 3 次 世界 大戦 の ―

大きな きっかけ に なって いる こと だけ は 確かだ

可能 性 は 高い

( 真 帆 ) どこ に 行く の ?

( 岡部 ) 少し 風 に 当たって 考える

( ダル ) オカリン

オカリン 未来 から 何度 も タイムリープ して ―

ここ まで 来た んだ よ ね ?

( 岡部 ) ああ ( ダル ) じゃ あさ ―

未来 の オカリン も さ 今 みたいな 感じ な ん ?

〝 厨 二 病 ( ちゅう に びょう ) 乙 !〞 な 感じ じゃ なく …

( ドア の 開閉 音 )

厨 二 病 ?

いつか 帰って くる 気 が した んだ けど な

諦め ない

そう 決めた はずだった のに …

やはり 目の当たり に する と …

( アマデウス 紅 莉栖 ( くり す )) しっかり し なさい

あっ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 岡部 倫太郎 ( りん たろう )

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

あっ そう か まだ 教授 に 隔離 さ れる 前 か

( 真 帆 ) 未来 を 見て きた んでしょう ?

そして それ を 覆す ため に 帰って きた んでしょう ?

科学 者 なら 可能 性 が ゼロ で ない かぎり ―

諦める と いう 結論 は ない わ

協力 は 惜しま ない わ よ

( 岡部 の 笑い声 )

( アマデウス 紅 莉栖 ) 何 が おかしい の ?

( 岡部 ) いや … いつ いかなる どんな 時代 でも ―

お前たち ラボメン は ―

本当に 変わら ない な と 思って な

フッ

フッ ?

フゥー ハッハッハ …

愚かな !

あくまで これ は 機関 を 油断 さ せる ため の 演技 に すぎ ん

( 真 帆 ) は ?

( 岡部 ) 助手 1 号 アーンド 2 号 よ

助手 ?

すぐに 会議 を 始める

ついてくる が いい

何 な んです ?  あれ

( 真 帆 ) さあ …

( 岡部 ) さっさと 来い ! 実験 大好き っ子 ども

( 真 帆 ) え ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) え ?

( 岡部 ) つまり 第 3 次 世界 大戦 を 引き起こす 大きな 要因 は 2 つ

アメリカ と ロシア そして …

タイム マシン だ

それ は さっき 聞いた わ

( 岡部 ) そこ に 関わって いる 組織 が …

ストラトフォー の レスキネン

同じく アメリカ 陣営 である DURPA ( ダーパ )

そして ロシア の 諜報 機関

恐らく この 3 組織

規模 デカ すぎ じゃ ね ?

オカリン が いつも 言って た 機関 的な …

その とおり

この 天才 科学 者 に して 世界 を 混とん に 陥れる ―

鳳凰 院 ( ほう おういん ) 凶 真 ( きょう ま ) に 気づいた 世界 各国 が ―

ついに 動きだした と 言える

フゥー ハッハッハ …

先輩 …

何 ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 岡部 さん 頭 でも 打った んです か ?

それとも 何 か 悲しい こと で も あった と か …

黙れ クリスティーナ よ !

“ ティーナ ” 言う な !

話して て 恥ずかしく なら ない の ?

な っ !?

( 岡部 ) そんな こと は 分かって いる

俺 だって 恥ずかしく ない わけ が …

( ダル ) それ で いい と 思う よ ( 岡部 ) え ?

僕 の 知って る オカリン は どう しよう も なく ―

面倒くさくて う ざ く て ―

何 を 言って も 言い返して くる ―

体 の 芯 まで “ 厨 二 病 乙 !” な ヤツ で …

でも だ から こそ ムチャクチャ な 理論 で ―

不可能 を 突破 して きた のだ から

( 岡部 ) ダル … ( ダル ) だ けど ―

つい さっき 仏頂面 で 出て いった と 思ったら ―

真 帆 たん と 一緒に 帰って きて いきなり その テンション

一体 何 が あった ん ?

何 して もらった んだ ? オカリン !

チュッチュ か ? チュッチュ な の か !?

まゆ 氏 と いう 人 が あり ながら 羨ま し い !

何も し と らんし さ れ とら ん わ !

大体 ダル よ お前 は 根源 的な ところ を 間違って いる

俺 は 岡部 倫太郎 で は ない

我が 名 は … バッ !

鳳 ・ 凰 ・ 院

凶 真 だ !

これ が この 狂気 の マッドサイエンティスト の 真 の 姿 だ

その 目 を か っ 開いて よ ー く 焼き付ける が いい !

ホントに いい の ?

( 岡部 ) 俺 だ 計画 は 最終 段階 に 入った

そ ー だ これ が 発動 すれば ―

大国 の 諜報 機関 と いえ ど 太刀打ち は でき ん

フフン … ああ そう だ

誰 と 話して る ?

もう いい わ 早く 話 を 進めて

最初 から そう 言えば いい のだ

( 岡部 ) ロリ っ子 よ ( 真 帆 ) う っ …

( 岡部 ) 先 に も 言った ように ―

タイム マシン を 狙って いる の は この 3 組織

今 まで 失敗 して きた の は ―

全て この 3 組織 の いずれ か の 妨害 が あった から だ

だが 決して 打開 策 が ない わけで は ない

タイム マシン の 破壊 は ―

避け られ ない 収束 で は ない と 言い たい わけ ?

( 岡部 ) 要 は まゆ り たち の 行動 は そのまま に ―

過去 に 飛び立つ あの 瞬間 あの 一瞬 だけ ―

邪魔 を さ せ なければ いい のだ

しかも ―

ストラトフォー と つながり を 持つ レスキネン

そして DURPA の 先兵 の 動き を 封じる こと は ―

これ まで 既に 成功 して いる

と いう こと は …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 残る は ロシア 1 つ

( 岡部 ) うん

で 何 か 作戦 は ある ん ?

( 岡部 ) ない ( ダル ) 何 !?

これ だけ 長く 話して きて 結局 何も 考えて ない ん ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) は いはい ワロス ワロス

( 真 帆 ) 何 それ ? ( 岡部 ) シャーラップ !

レスキネン と DURPA の 動き は ―

この 鳳凰 院 凶 真 の 機転 と 的確な 作戦 に より 封じた のだ

1 つ くらい お前たち が 思いついて くれて も いい だろう

( ダル ) つう て も 知った の 今 さっき だし

( 岡部 ) あ … ( 真 帆 ) ハァ …

しかたない わ ね

こういう の は まず 何 が 原因 と なって いる の か ―

なぜ その 行動 を する の か ―

その 因果 関係 を 洗って みる こと が 重要 よ

この 場合 ロシア が …

( ダル ) おおう !

( 真 帆 ) ロシ … ア … が …

出た !  真 帆 たん の 約束 さ れた 勝利 の ポーズ !

( 真 帆 ) 何の 話 !?

やむ を えん な

( 岡部 ) はい ( 真 帆 ) えっ ?

( 岡部 ) さあ 書け

( 殴る 音 ) ( 岡部 ・ ダル ) あっ

( 真 帆 ) まず アメリカ の 両 組織 と ロシア が ―

なぜ ここ に タイム マシン が ある の を 知った かね

アメリカ 側 は レスキネン で 間違い ない

未来 の レスキネン が かがり を 使って ―

現在 の レスキネン に タイム マシン の 情報 を 伝えた

でも か が りさん が 教授 に 会った の は ―

今 から 何 年 も 前 でしょう ?

なぜ 聞いた 時点 で 動か なかった の ?

( 岡部 ) 変え られ なかった から だ

え ?

( 岡部 ) タイムパラドックス と 同じだ

歴史 と 異なる 行動 を とって も ―

世界 線 の 収束 に より それ は 修正 さ れて しまう から だ

世界 線 …

だが それ を 逆手 に 取った の が 教授 の 策 だった

なるほど ね

つまり 未来 の 世界 で は 2011 年 の 7 月 7 日 に ―

タイム マシン 争奪 戦 の 火ぶた が 切ら れる こと に なって いた

7 月 7 日 に タイム マシン は 破壊 さ れる

だったら ―

その 日 なら タイム マシン を 奪い 取れる と 考えた の ね

あ …

DURPA は その 情報 を どこ から つかんだ んだろう ?

同じ 西側 だ から な

あと 1 つ ロシア だ が …

アメリカ 陣営 から 盗んだ と か ?

( 真 帆 ) 教授 が 未来 の 自分 から ―

第 3 次 世界 大戦 の こと を 聞いて いた と したら ―

その 情報 管理 は 徹底 する はず よ

ロシア は 最も 漏らし たく ない 相手 じゃ ない ?

あ …

ダル パソコン で 検索 を かけて くれ

( ダル ) いい けど 何て ?

検索 ワード は ―

“ 中鉢 ( なか ばち ) 博士 ” だ

( 中鉢 ) それ に して も 助かった よ

金属 探知 機 に かかった おかげ で …

やはり 中鉢 博士 は ロシア に 亡命 して いる

パパ …

パパ ?

その 話 は あと だ

中鉢 博士 が タイム マシン に 関する 論文 を 持って ―

ロシア に 亡命 した の は 確かだ

だが ロシア は タイム マシン 開発 に 成功 して い ない

どういう こと ?

( 岡部 ) 完成 さ せた の なら 戦争 に は なら ない から だ

半年 前 に 俺 たち を 襲い ―

紅 莉栖 の PC を 破壊 した の は ロシア だった

あれ は 中鉢 の 資料 から 牧 瀬 ( まき せ ) 紅 莉栖 に たどりついた ヤツ ら が ―

ほか の 勢力 に 奪わ れる くらい なら と …

ほか に も 何 か が 残って いる … と いう こと は ない の か ?

彼女 の メモ や 書類 その 知識 を …

あっ …

そういう こと … でしょう ね

私 の 中 に は 牧 瀬 紅 莉栖 の 記憶 そして その 思考 パターン が ある

タイム マシン を 作ろう と する なら 是が非でも 欲しい でしょう ね

あ …

( 岡部 ) あの とき ―

アマデウス の 乗っ取り と 同時に 世界 線 が 変動 した の は …

( ダル ) どうした ん ?

ロシア が 接触 する 前 に さかのぼり ―

アマデウス を 保護 する こと は でき ない の か ?

( 真 帆 ) 接触 する 前 って いつ ?

断定 は でき ない なるべく 早い 段階 で と しか

紅 莉栖 の 記憶 データ を 最初に 取った の は いつ だ ?

紅 莉栖 が 日本 に 行く 前 だ から …

去年 の 春 頃 だった と 思う

( 岡部 ) そこ まで タイムリープ で 戻り …

( ダル ) え … で できる ん ? 去年 の 春 って まだ …

( 岡部 ) あっ …

( 真 帆 ) そもそも 電話 レンジ と か いう の が 最初に 完成 した の が ―

去年 の 夏 な んでしょ ?

どう 考えて も それ 以前 に は 戻れ ない わ よ

くっ … なら D メール だ ダル !

( ダル ) ホントに いいん ? オカリン ずっと 反対 して た けど

確かに … 使えば SERN ( セルン ) に 捕 捉 さ れる

そう なれば …

くっ …

( 真 帆 ) ほか の 方法 を 探る しか ない よう ね

( ダル ) 今 こんな こと 言う の も どう か と 思う んだ けど さ

聞いて くれる ?

D ライン ?

( ダル ) そう D メール の 原理 使って ―

ライン を 過去 に 送れる ように した ん

( 岡部 ) SERN に 捕 捉 さ れ ず に 送れる の か ?

( ダル ) うん

ただし 去年 の 春 段階 で は まだ 試作 版 で ―

アプリ を 持って る の は 僕 だけ に なる けど ね

限界 で 去年 の 正月 くらい ?

( 真 帆 ) つまり 橋田 ( は し だ ) さん 以外 の 相手 に は 送れ ない

何とか なる ?

可能だ 未来 の 自分 から ―

“ ヴィクトル ・ コンドリア 大 に 保管 さ れて いる ―”

“ 牧 瀬 紅 莉栖 の 記憶 データ を 保護 せよ ” と ―

指令 が 来れば 従う はずだ

オカリン が 見たら 放っておか ない はずだ しね

( アマデウス 紅 莉栖 ) 待って

それ で 情報 の 流出 が 止め られる と は 思え ない

相手 は 巨大 国家 よ

アクセス できる かぎり 必ず 追いかけて くるし ―

どこ か で コピー さ れ 拡散 さ れる 可能 性 も ある

それ は 確かに …

( 真 帆 ) なら どう すれば いい の ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 消去 する しか ない

オリジナルの 紅 莉栖 の 記憶 の バックアップ を ―

取った 直後 の データ に アクセス して ―

修復 でき ない ように システム ごと 自 壊さ せる

え … 紅 莉栖

それ しか ない で す 先輩

去年 の 春 の 段階 で 消去 すれば アマデウス の 再 構築 は 不可能に なる

( 真 帆 ) でも それ じゃ あなた が …

( 岡部 ) つまり ―

アマデウス そのもの を なかった こと に …

( アマデウス 紅 莉栖 ) どういう こと です か ?

私 に 聞か れて も ね

( アマデウス 紅 莉栖 ) このまま で は ―

結局 あした も タイム マシン が 破壊 さ れて しまう

その 可能 性 が 高い わ ね

なら やる べき こと は 1 つ じゃ ないで す か

そう ね でも 私 に は 分かる 気 が する わ

そして あなた も それ に 気づいて る

( アマデウス 紅 莉栖 ) あ …

( 真 帆 ) 恐らく 岡部 さん は …

( 携帯 電話 の 振動 音 )

何 だ ?

( 真 帆 ) 言わ れた こと だけ 伝える わ

アマデウス が あなた と 話した いって

( 携帯 電話 の 振動 音 ) ( 岡部 ) あっ …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( 携帯 電話 の 着信 音 )

あっ …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

ど どうも

( 岡部 ) ああ

何 か 久しぶりに 外 に 出た 気 が する

少し 景色 見せて よ

何て こと ない 景色 だ けど な

( アマデウス 紅 莉栖 ) へえ ~ こんな 所 も ある んだ

( 岡部 ) 夜 は 初めて か ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 当然でしょ

自分 の 足 で 歩ければ 好きな だけ 見て 回る けど …

プログラム だ から

( 岡部 ) あっ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) ハァ …

私 を 消す こと に 躊躇 ( ちゅうちょ ) して いる のだ と したら ―

アマデウス と いう プログラム と して 誇り に 思う わ

人 の 心 に 影響 を 与える まるで 人 と 同じ ような AI …

と いう こと だ から

( 岡部 ) 消える んだ ぞ

( アマデウス 紅 莉栖 ) やっぱり それ で 躊躇 して いた の ね

せっかく 外 に 出た んだ から ―

ついでに もう 少し 見せて くれ ない ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) 昼 と 夜 と じゃ 大 違い ね

( 岡部 ) そりゃ あな

( アマデウス 紅 莉栖 ) ほか の 街 も こんな 感じ な の ?

( 岡部 ) いや 場所 に も よる な

新宿 ( しん じゅく ) や 渋谷 ( しぶ や ) は 夜中 でも 結構 にぎやかだ し ―

逆に 銀座 ( ぎんざ ) 辺り は ここ より 静か かも しれ ん

( アマデウス 紅 莉栖 ) へえ ~ そう な の ね

( 岡部 ) どっち に 行く ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) そう ね … あっ

あそこ 上って み たい

( 岡部 ) 分かった

( アマデウス 紅 莉栖 ) 何 か 以前 も こんな 感じ で歩いた わ よ ね

( 岡部 ) ああ

( アマデウス 紅 莉栖 ) そう いえば あの 変な 口調 は どうした の ?

“ フゥー ハッハッハ ” と か いう …

そっち の ほう が いい か ?

助手 よ

( アマデウス 紅 莉栖 ) やっぱり いい

話して る と やり込め たく なる から

( 岡部 ) ハハッ …

( アマデウス 紅 莉栖 ) こんな 景色 な の ね

( 岡部 ) おもしろい か ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) とても !

だって ここ は 混とんと して いて 法則 など 何も ない

私 の 存在 して いる ここ は 全て の もの に 理由 と 必然 が ある

存在 する 理由 の ない もの は 消さ れ ―

ムダ は 省か れ 全て 効率 的に 構築 さ れて いく

でも 今 見えて いる この 世界 は 大げさに 言う と 無秩序

必要な いもの が 存在 し ―

ムダ に しか 思え ない 行動 が 日常 の ように 発生 し ―

明らかに 答え が 分かって いる 選択 を なぜ か 誤る

けど それ が 偶然 を 生み 意味 の ない もの に 必然 を 与え ―

複雑に 絡み合って ―

奇跡 の ような 出来事 が 生み出さ れて いく

出会い が 生まれる

プログラム である 私 に は 到底 届か ない 世界

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

岡部 倫太郎

私 を 消す こと に 対して ―

センチメンタルな 気持ち に なる こと は 理解 できる

少し うれしい と いう 感情 も ある

だったら …

( アマデウス 紅 莉栖 ) でも あなた が 話して くれた シュタインズ ・ ゲート 世界 線

椎名 ( しい な ) まゆ り の 命

そして その先 に ある オリジナルの 私 の 命

共に 救える 世界 線 へ の 道 が 今 目の前 に ある

くっ …

何度 も 言う けど 私 は プログラム に すぎ ない の

それ が たとえ …

( 岡部 ) 分かって る

だったら …

( 岡部 ) 俺 は ―

以前 オリジナル の お前 を 殺した

えっ ?

( 岡部 ) まゆ り と 紅 莉栖 ―

どちら か しか 助け られ ない と いう 状況 の 中 で ―

俺 は ま ゆり を 選んだ

そして お前 を 救う こと を 諦めた

( アマデウス 紅 莉栖 ) それ を 私 は 肯定 した ?

( 岡部 ) ああ

“ それ で いい 間違って ない ” 何度 も そう 言って いた

ま ゆり を 選ぶ べきだ と

それ が 正しい 選択 なんだ と

でしょう ね

誰 か を 犠牲 に なんて 私 なら プライド が 許さ ない

やら なければ いけない こと は 分かる わ よ ね ?

椎名 さん と 鈴 羽 さん を 救い ―

世界 を 戦争 に なんか させ ない ため に …

( 岡部 ) だ が お前 が …

だが お前 が 存在 し なかった こと に なる んだ ぞ

い なく なる だけ じゃ ない

誰 も お前 が 存在 した こと すら …

でも ―

あなた は 覚えて いて くれる んでしょ ?

( 岡部 ) あ …

もし 失敗 したら …

もし 見つけ られ なかったら …

( アマデウス 紅 莉栖 ) それ が 今 まで の あなた だった んじゃ ない の ?

それ を 後悔 して 今 を 変える と 決意 して ―

3,000 回 も タイムリープ して 戻って きた んでしょ ?

オリジナル が 死んで から たまに 考えて いた わ

私 と いう 存在 は 一体 何 な んだろう って

何の ため に 存在 して る のだろう って

そ したら 第 3 次 世界 大戦 の 引き金 に なっちゃ う と か ―

そんな 悲しい 理由 で 存在 して いる

それ が 私 の いた 理由 な の か って

でも もし オリジナルの 紅 莉栖 を 救える 力 に なれる の なら …

この 美しい 世界 を 救う ため に ―

私 が これ まで 存在 して いた のだ と したら

それ は とても ロジカル で ―

とても ロマンチックな こと じゃ ない ?

( 岡部 ) 紅 莉栖 …

見せて 空

わ あ

こんなに まぶしい の ね

ああ

( アマデウス 紅 莉栖 ) あなた たち は 自分 たち が 思って る より ―

ずっと すばらしい 世界 で 生きて いる

時間 が 流れ 混とん と 偶然 が 奇跡 を 生み出し ―

必然 を 紡いで いく

そんな 世界 に …

ねっ

( ダル ) セッティング は 終わって る お

じゃあ 先輩

いい の ね ?

( アマデウス 紅 莉栖 ) はい

( キーボード を 打つ 音 )

( ダル ) オーケー

あと は 真 帆 たん の 用意 する ファイル を 添付 して ―

過去 の 僕 に 送れば いい んだ よ ね ?

( 真 帆 ) アマデウス 制御 コード の パス を 受理 せよ

デァ ・ アルテ ・ ヴュルフェルト ・ ニヒト

( 警告 音 )

( アマデウス 紅 莉栖 ) 制御 コード が 入力 さ れ ました

システム を エマージェンシー モード へ 移行 し ます

最高 管理 権限 保持 者 比 屋 定 ( ひや じょう ) 真 帆 が 命じる

指定 バッチプログラム を 指定 ファイル へ と 転送

再 起動 と 同時に ―

処理 を 続行 する よう 命令 を 部分 変更

( アマデウス 紅 莉栖 ) 命令 を 受諾 し ました

最高 管理 権限 保持 者 比 屋 定 真 帆 の 命令 を もって ―

処理 を 開始 し ます

( 岡部 ) 比 屋 定 さん …

( アマデウス 紅 莉栖 ) 先輩 !

諦め ず に 頑張って ください

可能 性 は 無限です

私 は 先輩 の こと を よく 知ってい ます

だから 確信 を 持って 言え ます

先輩 は 必ず 私 の 研究 を 超えて ―

その先 の 地平 を 切り開く こと が でき ます

そして きっと ―

私 たち が たどりつく べき 世界 へ ―

私 たち は 必ず そこ へ たどりつき ます

( 岡部 ) アマデウス ! いつか また ―

時 の 交差 する その 約束 の 日 に

必ず その たどりつく べき 場所 で

再び 相ま みえ ん こと を !

( アマデウス 紅 莉栖 ) 先輩 !

鳳凰 院 凶 真 の こと よろしく お 願い し ます !

紅 莉栖 …

ゴー !

う っ … くっ …

う あー っ !

♪~

~♪