×

Usamos cookies para ayudar a mejorar LingQ. Al visitar este sitio, aceptas nuestras politicas de cookie.

image

太宰治『人間失格』(No Longer Human by Osamu Dazai), 第二の手記 (3)

第 二 の 手記 (3)

自分 は 、やがて 画 塾 で 、或る 画 学生 から 、酒 と 煙草 と 淫売 婦 い ん ばい ふと 質屋 と 左翼 思想 と を 知ら さ れました。 妙な 取合 せ でした が 、しかし 、それ は 事実 でした。

その 画 学生 は 、堀木 正雄 と いって 、東京 の 下町 に 生れ 、自分 より 六 つ 年 長者 で 、私立 の 美術 学校 を 卒業 して 、家 に アトリエ が 無い ので 、この 画 塾 に 通い 、洋画 の 勉強 を つづけて いる のだ そうです。

「五 円 、貸して くれ ない か」

お互い ただ 顔 を 見 知っている だけ で 、それ まで 一言 も 話 合った 事 が 無かった のです。 自分 は 、へ ど もどして 五 円 差し出しました。

「よし 、飲もう。 おれ が 、お前 に おごる んだ。 よか チゴ じゃ のう」

自分 は 拒否 し 切れ ず 、その 画 塾 の 近く の 、蓬莱 ほうらい 町 の カフエ に 引っぱって 行か れた の が 、彼 と の 交友 の はじまり でした。

「前 から 、お前 に 眼 を つけて いた んだ。 それ それ 、その はにかむ ような 微笑 、それ が 見込み の ある 芸術 家 特有の 表情 な んだ。 お 近づき の しるし に 、乾杯! キヌ さん 、こいつ は 美男 子 だろう? 惚れちゃ いけない ぜ。 こいつ が 塾 へ 来た おかげ で 、残念 ながら おれ は 、第 二 番 の 美男 子 と いう 事 に なった」

堀木 は 、色 が 浅黒く 端正な 顔 を して いて 、画 学生 に は 珍 らしく 、ちゃんと した 脊広 せびろ を 着て 、ネクタイ の 好み も 地味で 、そうして 頭髪 も ポマード を つけて まん 中 から ぺったり と わけて いました。

自分 は 馴 れ ぬ 場所 で も あり 、ただ もう おそろしく 、腕 を 組んだり ほどいたり して 、それ こそ 、はにかむ ような 微笑 ばかり して いました が 、ビイル を 二 、三 杯 飲んで いる うち に 、妙に 解放 せられた ような 軽 さ を 感じて 来た のです。

「僕 は 、美術 学校 に はいろう と 思って いた んです けど、……」

「いや 、つまら ん。 あんな ところ は 、つまら ん。 学校 は 、つまら ん。 われら の 教師 は 、自然の 中 に あり! 自然 に 対する パアトス!

しかし 、自分 は 、彼 の 言う 事 に 一向に 敬意 を 感じません でした。 馬鹿な ひと だ 、絵 も 下手に ちがいない 、しかし 、遊ぶ の に は 、いい 相手 かも 知れ ない と 考えました。 つまり 、自分 は その 時 、生れて はじめて 、ほんもの の 都会 の 与 太 者 を 見た のでした。 それ は 、自分 と 形 は 違って いて も 、やはり 、この世 の 人間 の 営み から 完全に 遊離 して しまって 、戸 迷い して いる 点 に 於 いて だけ は 、たしかに 同類 な のでした。 そうして 、彼 は その お 道化 を 意識 せ ず に 行い 、しかも 、その お 道化 の 悲惨に 全く 気 が ついて いない の が 、自分 と 本質 的に 異色 の ところ でした。

ただ 遊ぶ だけ だ 、遊び の 相手 と して 附 合って いる だけ だ 、と つねに 彼 を 軽蔑 けいべつ し 、時に は 彼 と の 交友 を 恥ずかしく さえ 思い ながら 、彼 と 連れ立って 歩いて いる うち に 、結局 、自分 は 、この 男 に さえ 打ち破ら れました。

しかし 、はじめ は 、この 男 を 好 人物 、まれに 見る 好 人物 と ばかり 思い込み 、さすが 人間 恐怖 の 自分 も 全く 油断 を して 、東京 の よい 案内 者 が 出来た 、くらい に 思って いました。 自分 は 、実は 、ひと り で は 、電車 に 乗る と 車掌 が おそろしく 、歌舞伎 座 へ はいり たくて も 、あの 正面 玄関 の 緋 ひ の 絨緞 じゅうたん が 敷かれて ある 階段 の 両側 に 並んで 立って いる 案内 嬢 たち が おそろしく 、レストラン へ は いる と 、自分 の 背後 に ひっそり 立って 、皿 の あく の を 待って いる 給仕 の ボーイ が おそろしく 、殊に も 勘定 を 払う 時 、ああ 、ぎ ご ち ない 自分 の 手つき 、自分 は 買い物 を して お 金 を 手渡す 時 に は 、吝嗇 りん しょく ゆえ で なく 、あまり の 緊張 、あまり の 恥ずかし さ 、あまり の 不安 、恐怖 に 、くらく ら 目 まい して 、世界 が 真 暗 に なり 、ほとんど 半 狂乱 の 気持 に なって しまって 、値切る どころ か 、お釣 を 受け取る の を 忘れる ばかりで なく 、買った 品物 を 持ち帰る の を 忘れた 事 さえ 、しばしば あった ほど な ので 、とても 、ひと り で 東京 の まち を 歩け ず 、それ で 仕方なく 、一 日 一 ぱい 家 の 中 で 、ごろごろ して いた と いう 内情 も あった のでした。

それ が 、堀木 に 財布 を 渡して 一緒に 歩く と 、堀木 は 大いに 値切って 、しかも 遊び 上手 と いう の か 、わずかな お 金 で 最大 の 効果 の ある ような 支払い 振り を 発揮 し 、また 、高い 円 タク は 敬遠 して 、電車 、バス 、ポンポン 蒸気 など 、それぞれ 利用 し分けて 、最短 時間 で 目的 地 へ 着く と いう 手腕 を も 示し 、淫売 婦 の ところ から 朝 帰る 途中 に は 、何 々 と いう 料亭 に 立ち寄って 朝 風呂 へ はいり 、湯豆腐 で 軽く お 酒 を 飲む の が 、安い 割に 、ぜいたくな 気分 に なれる もの だ と 実地 教育 を して くれたり 、その他 、屋台 の 牛 め し 焼 とり の 安価に して 滋養 に 富む もの たる 事 を 説き 、酔い の 早く 発する の は 、電気 ブラン の 右 に 出る もの は ない と 保証 し 、とにかく その 勘定 に 就いて は 自分 に 、一 つ も 不安 、恐怖 を 覚え させた 事 が ありません でした。

さらに また 、堀木 と 附合って 救わ れる の は 、堀木 が 聞き手 の 思惑 など を てんで 無視 して 、その 所 謂 情熱 パトス の 噴出 する が まま に 、(或いは 、情熱 と は 、相手 の 立場 を 無視 する 事 かも 知れません が )四六時中 、くだらない おしゃべり を 続け 、あの 、二 人 で 歩いて 疲れ 、気まずい 沈黙 に おちいる 危懼 きく が 、全く 無い と いう 事 でした。 人 に 接し 、あの おそろしい 沈黙 が その 場 に あらわれる 事 を 警戒 して 、もともと 口 の 重い 自分 が 、ここ を 先 途 せんど と 必死の お 道化 を 言って 来た もの です が 、いま この 堀木 の 馬鹿 が 、意識 せ ず に 、その お 道化 役 を みずから すすんで やって くれて いる ので 、自分 は 、返事 も ろくに せ ず に 、ただ 聞き流し 、時折 、まさか 、など と 言って 笑って おれば 、いい のでした。

酒 、煙草 、淫売 婦 、それ は 皆 、人間 恐怖 を 、た とい 一 時 でも 、まぎらす 事 の 出来る ずいぶん よい 手段 である 事 が 、やがて 自分 に も わかって 来ました。 それ ら の 手段 を 求める ため に は 、自分 の 持ち物 全部 を 売却 して も 悔い ない 気持 さえ 、抱く ように なりました。

自分 に は 、淫売 婦 と いう もの が 、人間 でも 、女性 で も ない 、白 痴 か 狂 人 の ように 見え 、その ふところ の 中 で 、自分 は かえって 全く 安心 して 、ぐっすり 眠る 事 が 出来ました。 みんな 、哀しい くらい 、実に みじんも 慾 と いう もの が 無い のでした。 そうして 、自分 に 、同類 の 親和 感 と でも いった ような もの を 覚える の か 、自分 は 、いつも 、その 淫売 婦 たち から 、窮屈で ない 程度 の 自然の 好意 を 示さ れました。 何の 打算 も 無い 好意 、押し売り で は 無い 好意 、二度と 来 ない かも 知れ ぬ ひと へ の 好意 、自分 に は 、その 白 痴 か 狂 人 の 淫売 婦 たち に 、マリヤ の 円 光 を 現実 に 見た 夜 も あった のです。

しかし 、自分 は 、人間 へ の 恐怖 から のがれ 、幽 かな 一夜 の 休養 を 求める ため に 、そこ へ 行き 、それ こそ 自分 と 「同類 」の 淫売 婦 たち と 遊んで いる うち に 、いつのまに やら 無意識 の 、或る いまわしい 雰囲気 を 身辺 に いつも ただよわせる ように なった 様子 で 、これ は 自分 に も 全く 思い 設け なかった 所 謂 「おまけ の 附録 」でした が 、次第に その 「附録 」が 、鮮明に 表面 に 浮き上って 来て 、堀木 に それ を 指摘 せられ 、愕然 がくぜんと して 、そうして 、いやな 気 が 致しました。 はた から 見て 、俗な 言い 方 を すれば 、自分 は 、淫売 婦 に 依って 女 の 修行 を して 、しかも 、最近 めっきり 腕 を あげ 、女 の 修行 は 、淫売 婦 に 依る の が 一ばん 厳しく 、また それだけに 効果 の あがる もの だ そうで 、既に 自分 に は 、あの 、「女 達者 」と いう 匂い が つきまとい 、女性 は 、(淫売 婦 に 限ら ず )本能 に 依って それ を 嗅ぎ 当て 寄り添って 来る 、そのような 、卑猥 ひわ い で 不名誉な 雰囲気 を 、「おまけ の 附録 」と して もらって 、そうして その ほう が 、自分 の 休養 など より も 、ひどく 目立って しまって いる らしい のでした。

堀木 は それ を 半分 は お世辞 で 言った のでしょう が 、しかし 、自分 に も 、重苦しく 思い当る 事 が あり 、たとえば 、喫茶 店 の 女 から 稚拙な 手紙 を もらった 覚え も ある し 、桜木 町 の 家 の 隣り の 将軍 の はたち くらい の 娘 が 、毎朝 、自分 の 登校 の 時刻 に は 、用 も 無 さ そうな のに 、ご 自分 の 家 の 門 を 薄化粧 して 出たり は いったり して いた し 、牛肉 を 食い に 行く と 、自分 が 黙って いて も 、そこ の 女 中 が 、……また 、いつも 買いつけ の 煙草 屋 の 娘 から 手渡さ れた 煙草 の 箱 の 中 に 、……また 、歌舞伎 を 見 に 行って 隣り の 席 の ひと に 、……また 、深夜 の 市電 で 自分 が 酔って 眠って いて 、……また 、思いがけなく 故郷 の 親戚 の 娘 から 、思いつめた ような 手紙 が 来て 、……また 、誰 か わから ぬ 娘 が 、自分 の 留守 中 に お 手製 らしい 人形 を 、……自分 が 極度に 消極 的な ので 、いずれ も 、それっきり の 話 で 、ただ 断片 、それ 以上 の 進展 は 一 つ も ありません でした が 、何 か 女 に 夢 を 見 させる 雰囲気 が 、自分 の どこ か に つきまとって いる 事 は 、それ は 、のろ け だ の 何 だの と いう いい加減な 冗談 で なく 、否定 でき ない ので ありました。 自分 は 、それ を 堀木 ごとき 者 に 指摘 せられ 、屈辱 に 似た 苦 にが さ を 感ずる と 共に 、淫売 婦 と 遊ぶ 事 に も 、にわかに 興 が 覚めました。

堀木 は 、また 、その 見栄坊 みえぼう の モダニティ から 、(堀木 の 場合 、それ 以外 の 理由 は 、自分 に は 今もって 考えられません のです が )或る 日 、自分 を 共産 主義 の 読書 会 と か いう (R ・S と か いって いた か 、記憶 が はっきり 致しません )そんな 、秘密の 研究 会 に 連れて 行きました。 堀木 など と いう 人物 に とって は 、共産 主義 の 秘密 会合 も 、れいの 「東京 案内 」の 一 つ くらい の もの だった の かも 知れません。 自分 は 所 謂 「同志 」に 紹介 せられ 、パンフレット を 一部 買わさ れ 、そうして 上座 の ひどい 醜い 顔 の 青年 から 、マルクス 経済 学 の 講義 を 受けました。 しかし 、自分 に は 、それ は わかり切って いる 事 の ように 思わ れました。 それ は 、そう に 違いない だろう けれども 、人間 の 心 に は 、もっと わけ の わから ない 、おそろしい もの が ある。 慾 、と 言って も 、言い たりない 、ヴァニティ 、と 言って も 、言い たりない 、色 と 慾 、と こう 二 つ 並べて も 、言い たりない 、何だか 自分 に も わから ぬ が 、人間 の 世 の 底 に 、経済 だけ で ない 、へんに 怪談 じみ たも の が ある ような 気 が して 、その 怪談 に おびえ 切って いる 自分 に は 、所 謂唯 物 論 を 、水 の 低き に 流れる ように 自然に 肯定 し ながら も 、しかし 、それ に 依って 、人間 に 対する 恐怖 から 解放 せられ 、青葉 に 向って 眼 を ひらき 、希望 の よろこび を 感ずる など と いう 事 は 出来 ない のでした。 けれども 、自分 は 、いち ども 欠席 せ ず に 、その R ・S (と 言った か と 思います が 、間違って いる かも 知れません )なる もの に 出席 し 、「同志 」たち が 、いやに 一大事 の 如く 、こわばった 顔 を して 、一 プラス 一 は 二 、と いう ような 、ほとんど 初等 の 算 術 めいた 理論 の 研究 に ふけって いる の が 滑稽に 見えて たまら ず 、れいの 自分 の お 道化 で 、会合 を くつろが せる 事 に 努め 、その ため か 、次第に 研究 会 の 窮屈な 気配 も ほぐれ 、自分 は その 会合 に 無くて かなわ ぬ 人気者 と いう 形 に さえ なって 来た ようでした。 この 、単純 そうな 人 たち は 、自分 の 事 を 、やはり この 人 たち と 同じ 様 に 単純で 、そうして 、楽天 的な おどけ者 の 「同志 」くらい に 考えて いた かも 知れません が 、もし 、そう だったら 、自分 は 、この 人 たち を 一 から 十 まで 、あざむいて いた わけです。 自分 は 、同志 で は 無かった んです。 けれども 、その 会合 に 、いつも 欠かさ ず 出席 して 、皆 に お 道化 の サーヴィス を して 来ました。

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE

第 二 の 手記 (3) だい|ふた||しゅき Konten aus zweiter Hand (3) Second Memorandum (3) Cuentas de segunda mano (3) Comptes d'occasion (3) 두 번째 수기 (3) Contas em segunda mão (3) Счета из вторых рук (3) 第二注 (3) 第二注 (3)

自分 は 、やがて 画 塾 で 、或る 画 学生 から 、酒 と 煙草 と 淫売 婦 い ん ばい ふと 質屋 と 左翼 思想 と を 知ら さ れました。 じぶん|||が|じゅく||ある|が|がくせい||さけ||たばこ||いんばい|ふ|||||しちや||さよく|しそう|||しら||れ ました ||||||||||||煙草 in this context can be translated to 煙草 (香煙).||||||||當舖|||||||| |||painting|cram school||certain||||||tobacco||prostitute|prostitute|||||pawn shop||left-wing|||||| Eventually, at a gajuku school, a student informed me of sake, cigarettes, a lewd woman, a pawn shop, and left-wing ideas. 最终,在一所艺术学校,一名艺术学生向我介绍了酒精、香烟、妓女、当铺和左翼意识形态。 自己 後來 在 畫室 跟 一位 畫畫學生 學到 酒 、菸草 、性工作者 、當鋪 、左派 思想。 妙な 取合 せ でした が 、しかし 、それ は 事実 でした。 みょうな|とりあ|||||||じじつ| |搭配|||||||事實| |exchange|||||||| It was a strange deal, but it was a fact. 这是一个奇怪的组合,但这是事实。 雖然 是 奇怪 的 組合, 但 事實 上 確實 如此。

その 画 学生 は 、堀木 正雄 と いって 、東京 の 下町 に 生れ 、自分 より 六 つ 年 長者 で 、私立 の 美術 学校 を 卒業 して 、家 に アトリエ が 無い ので 、この 画 塾 に 通い 、洋画 の 勉強 を つづけて いる のだ そうです。 |が|がくせい||ほりき|まさお|||とうきょう||したまち||うまれ|じぶん||むっ||とし|ちょうじゃ||しりつ||びじゅつ|がっこう||そつぎょう||いえ||あとりえ||ない|||が|じゅく||かよい|ようが||べんきょう|||||そう です ||||||||||||出生||||||年長者|||||美術學校||||||工作室||||||||上課|||||||| ||||Horiguchi|Masao|||||downtown||||||||older person|||||||||||studio|||||||||||||||| The painting student, Masao Horiki, was born in downtown Tokyo, six years older than me, graduated from a private art school, and has no atelier at home, so I went to this painting school to study Western painting. It seems that it continues. 這位 畫畫學生 叫 堀木 正雄, 出生 在 東京 的 下町,比我 大 六歲,是 私立 美術 學校 畢業,因家中 沒有 工作室, 所以 來 上 這個 畫室,繼續 學習 西洋畫。

「五 円 、貸して くれ ない か」 いつ|えん|かして||| "Can you lend me five yen?"

お互い ただ 顔 を 見 知っている だけ で 、それ まで 一言 も 話 合った 事 が 無かった のです。 おたがい||かお||み|しっている|||||ひとこと||はなし|あった|こと||なかった| ||||||||||一句||||||| |||||know|||||||||||| We had only known each other by looking at each other's faces, and had never spoken a single word to each other until then. 我们只是看着对方就认识了,在此之前我们从未说过一句话。 自分 は 、へ ど もどして 五 円 差し出しました。 じぶん|||||いつ|えん|さしだし ました ||||還回去|||遞上了 ||||returned|||offered I returned and handed over the five yen. 我把五圓錢遞給了他。

「よし 、飲もう。 |のもう "Okay, let's drink. 好,喝吧。 おれ が 、お前 に おごる んだ。 ||おまえ||| ||||請客| ||||treat| I treated you. 我請你喝。 よか チゴ じゃ のう」 |good idea|| Yoka chigo ja nou" 好得讓人驚訝啊。

自分 は 拒否 し 切れ ず 、その 画 塾 の 近く の 、蓬莱 ほうらい 町 の カフエ に 引っぱって 行か れた の が 、彼 と の 交友 の はじまり でした。 じぶん||きょひ||きれ|||が|じゅく||ちかく||ほうらい||まち||||ひっぱって|いか||||かれ|||こうゆう||| ||拒絕||||||||||蓬萊||||||拉||||||||||| ||||||||||||Houroi|Hōrai|||cafe||pulled||||||||friendship||| 我無法拒絕,被帶到了那個畫塾附近的蓬萊町咖啡館,這是我和他的友誼開始的地方。

「前 から 、お前 に 眼 を つけて いた んだ。 ぜん||おまえ||がん|||| "I've had my eye on you from before. 「我早就注意到你了。」 それ それ 、その はにかむ ような 微笑 、それ が 見込み の ある 芸術 家 特有の 表情 な んだ。 |||||びしょう|||みこみ|||げいじゅつ|いえ|とくゆうの|ひょうじょう|| |||害羞|||||希望|||藝術||特有的||| |||bashful||||||||||unique||| お 近づき の しるし に 、乾杯! |ちかづき||||かんぱい |接近|||| honorific prefix|approaching|||| Cheers to the sign of your approach! 為了親近的象徵,乾杯! キヌ さん 、こいつ は 美男 子 だろう? きぬ||||びなん|こ| Kinu||||handsome man|| Kinu-san, isn't this guy a handsome boy? 絹小姐,這個可是帥哥吧? 惚れちゃ いけない ぜ。 ほれちゃ|| falling in love|| Don't fall in love. 可不能戀愛喔。 こいつ が 塾 へ 来た おかげ で 、残念 ながら おれ は 、第 二 番 の 美男 子 と いう 事 に なった」 ||じゅく||きた|||ざんねん||||だい|ふた|ばん||びなん|こ|||こと|| Unfortunately, thanks to him coming to cram school, I ended up being the second most handsome boy." 這傢伙來到補習學校,讓我不幸的是,被稱為第二位美男子。

堀木 は 、色 が 浅黒く 端正な 顔 を して いて 、画 学生 に は 珍 らしく 、ちゃんと した 脊広 せびろ を 着て 、ネクタイ の 好み も 地味で 、そうして 頭髪 も ポマード を つけて まん 中 から ぺったり と わけて いました。 ほりき||いろ||あさぐろく|たんせいな|かお||||が|がくせい|||ちん||||せびろ|||きて|ねくたい||よしみ||じみで||とうはつ||||||なか||ぺっ たり|||い ました 堀木||||淺黑|端莊的||||||學生|||||||寬肩||||||||樸素||||髮油||||||平貼||| ||||slightly dark|handsome|||||||||like||||striped necktie|striped|||||||plain||hair||hair pomade||||||flat||| Horiki has a swarthy and neat face, which is unusual for an art student, he wears a proper broad-sleeved robe, his taste in a necktie is plain, and his hair is pomade and flat from the middle. It was separated. 堀木的膚色偏深黑,臉蛋端正,作為美術學生來說罕見地穿著整齊的西裝,領帶的選擇也相當樸素,頭髮則是使用髮膠從中間梳理得緊緊的。

自分 は 馴 れ ぬ 場所 で も あり 、ただ もう おそろしく 、腕 を 組んだり ほどいたり して 、それ こそ 、はにかむ ような 微笑 ばかり して いました が 、ビイル を 二 、三 杯 飲んで いる うち に 、妙に 解放 せられた ような 軽 さ を 感じて 来た のです。 じぶん||じゅん|||ばしょ|||||||うで||くんだり|||||||びしょう|||い ました||||ふた|みっ|さかずき|のんで||||みょうに|かいほう|せら れた||かる|||かんじて|きた| ||馴染|||||||||||||解開了||||||||||||||||||||奇妙地||||輕||||| ||familiar||||||||||||crossing|unbuttoned||||smile bashfully|||||||beer||||cups|||||strangely||||lightness||||| I was in a place I wasn't used to, and I was just incredibly awkward, crossing and uncrossing my arms, only managing a shy smile. However, after drinking two or three beers, I started to feel a strangely liberating lightness. 我身處一個不熟悉的地方,實在是非常緊張,時而交錯雙臂,時而放開,只是露出有些羞澀的微笑,但在喝了兩三杯啤酒後,奇妙地感覺有些放鬆了。

「僕 は 、美術 学校 に はいろう と 思って いた んです けど、……」 ぼく||びじゅつ|がっこう||||おもって||| |||||to enroll||||| I thought I would enter art school, but...

「いや 、つまら ん。 No, that's boring. あんな ところ は 、つまら ん。 Such a place is boring. 学校 は 、つまら ん。 がっこう||| School is boring. われら の 教師 は 、自然の 中 に あり! ||きょうし||しぜんの|なか|| we||||||| Our teacher is in nature! 自然 に 対する パアトス! しぜん||たいする| |||pathos Pathos towards nature!

しかし 、自分 は 、彼 の 言う 事 に 一向に 敬意 を 感じません でした。 |じぶん||かれ||いう|こと||いっこうに|けいい||かんじ ませ ん| |||||||||敬意||| ||||||||at all|respect||did not feel| 然而,我對他所說的話完全沒有感到敬意。 馬鹿な ひと だ 、絵 も 下手に ちがいない 、しかし 、遊ぶ の に は 、いい 相手 かも 知れ ない と 考えました。 ばかな|||え||へたに|||あそぶ|||||あいて||しれ|||かんがえ ました |||||not good||||||||||||| He's a stupid person, and he must be bad at drawing, but I thought he might be a good partner to play with. 真是個笨蛋,畫得一定很差,但是,或許是個不錯的玩伴。 つまり 、自分 は その 時 、生れて はじめて 、ほんもの の 都会 の 与 太 者 を 見た のでした。 |じぶん|||じ|うまれて||||とかい||あずか|ふと|もの||みた| |||||||||城市|||||||是的 |||||||||city||drifter||person||| In other words, at that time, for the first time in my life, I saw a real urban giver. 換句話說,那時我第一次見到了真正的城市的空想家。 それ は 、自分 と 形 は 違って いて も 、やはり 、この世 の 人間 の 営み から 完全に 遊離 して しまって 、戸 迷い して いる 点 に 於 いて だけ は 、たしかに 同類 な のでした。 ||じぶん||かた||ちがって||||このよ||にんげん||いとなみ||かんぜんに|ゆうり|||と|まよい|||てん||お|||||どうるい|| ||||||||||||||活動|||脫離|||||||||於是||||||| ||||||||||||||activity|||detached|||indecisiveness|indecisiveness|||||at|||||kindred|| Although they were different in appearance, they were certainly of the same kind in that they were completely separated from the activities of humans in this world and lost their way. 即使自己的形狀與他不同,但仍然完全脫離這個世界的人類活動,困惑不已的那一點上,確實是同類的。 そうして 、彼 は その お 道化 を 意識 せ ず に 行い 、しかも 、その お 道化 の 悲惨に 全く 気 が ついて いない の が 、自分 と 本質 的に 異色 の ところ でした。 |かれ||||どうけ||いしき||||おこない||||どうけ||ひさんに|まったく|き||||||じぶん||ほんしつ|てきに|いしょく||| |||||||意識||||||||||悲慘地||||||||||本質||異樣||| |||||||||||||||||tragically||||||||||||distinct||| Thus, he performed that clownish act without being aware of it, and moreover, he was completely oblivious to the misery of that clowning, which was essentially different from myself. 而且,他在不自覺中進行著那種滑稽的行為,並且完全沒有意識到那種滑稽的悲慘之處,這正是他與我本質上不同的地方。

ただ 遊ぶ だけ だ 、遊び の 相手 と して 附 合って いる だけ だ 、と つねに 彼 を 軽蔑 けいべつ し 、時に は 彼 と の 交友 を 恥ずかしく さえ 思い ながら 、彼 と 連れ立って 歩いて いる うち に 、結局 、自分 は 、この 男 に さえ 打ち破ら れました。 |あそぶ|||あそび||あいて|||ふ|あって||||||かれ||けいべつ|||ときに||かれ|||こうゆう||はずかしく||おもい||かれ||つれだって|あるいて||||けっきょく|じぶん|||おとこ|||うちやぶら|れ ました |||||||||附和||||||總是|||輕蔑||||||||||||||||一起|走著|||||||||||| |||||||||just||||||always|||contempt||||||||||||||||walking together||||||||||||broken down| I always looked down on him, thinking he was just playing around and merely associating with me as a playmate, and sometimes even felt embarrassed about my friendship with him; yet, as I walked along with him, in the end, I found myself being defeated by this man. 只不過是在玩樂而已,僅是作為玩伴而附和著他,總是輕蔑地看待他,有時甚至感到與他的交往很羞恥,但在和他一起走的過程中,最終,我卻被這個男人打敗了。

しかし 、はじめ は 、この 男 を 好 人物 、まれに 見る 好 人物 と ばかり 思い込み 、さすが 人間 恐怖 の 自分 も 全く 油断 を して 、東京 の よい 案内 者 が 出来た 、くらい に 思って いました。 ||||おとこ||よしみ|じんぶつ||みる|よしみ|じんぶつ|||おもいこみ||にんげん|きょうふ||じぶん||まったく|ゆだん|||とうきょう|||あんない|もの||できた|||おもって|い ました ||||||||偶爾|||||||果然|||||||||||||||||||| ||||||good||rarely||||||||||||||carelessness||||||||||||| However, at first, I only thought of this man as a good person, a rare good person, and even though I, who was terrified of people, was completely unguarded, I thought I had found a good guide in Tokyo. 然而,一開始我只是把這個男人當作好人,偶爾認為他是一個難得的好人,果然對於人類的恐懼也完全不放在心上,以為在東京會有一位很好的導遊。 自分 は 、実は 、ひと り で は 、電車 に 乗る と 車掌 が おそろしく 、歌舞伎 座 へ はいり たくて も 、あの 正面 玄関 の 緋 ひ の 絨緞 じゅうたん が 敷かれて ある 階段 の 両側 に 並んで 立って いる 案内 嬢 たち が おそろしく 、レストラン へ は いる と 、自分 の 背後 に ひっそり 立って 、皿 の あく の を 待って いる 給仕 の ボーイ が おそろしく 、殊に も 勘定 を 払う 時 、ああ 、ぎ ご ち ない 自分 の 手つき 、自分 は 買い物 を して お 金 を 手渡す 時 に は 、吝嗇 りん しょく ゆえ で なく 、あまり の 緊張 、あまり の 恥ずかし さ 、あまり の 不安 、恐怖 に 、くらく ら 目 まい して 、世界 が 真 暗 に なり 、ほとんど 半 狂乱 の 気持 に なって しまって 、値切る どころ か 、お釣 を 受け取る の を 忘れる ばかりで なく 、買った 品物 を 持ち帰る の を 忘れた 事 さえ 、しばしば あった ほど な ので 、とても 、ひと り で 東京 の まち を 歩け ず 、それ で 仕方なく 、一 日 一 ぱい 家 の 中 で 、ごろごろ して いた と いう 内情 も あった のでした。 じぶん||じつは|||||でんしゃ||のる||しゃしょう|||かぶき|ざ||||||しょうめん|げんかん||ひ|||じゅうたん|||しか れて||かいだん||りょうがわ||ならんで|たって||あんない|じょう||||れすとらん|||||じぶん||はいご|||たって|さら|||||まって||きゅうじ||ぼーい|||ことに||かんじょう||はらう|じ||||||じぶん||てつき|じぶん||かいもの||||きむ||てわたす|じ|||りんしょく||||||||きんちょう|||はずかし||||ふあん|きょうふ||||め|||せかい||まこと|あん||||はん|きょうらん||きもち||||ねぎる|||おつり||うけとる|||わすれる|||かった|しなもの||もちかえる|||わすれた|こと|||||||||||とうきょう||||あるけ||||しかたなく|ひと|ひ|ひと||いえ||なか|||||||ないじょう||| ||||||||||||||||||||||||紅色|||絨緞|||鋪設|||||||||||||||||||||||靜靜地|||||||||服務生||男侍|||尤其是||帳單||支付||||||||||||||||||||||吝嗇|||因為||||||||||||||||||||||||||||||||||殺價|||找零||收錢|||||||||||||||經常|||||||||||||走路||||||||一杯|||||滾滾|||||內情||| |||||||||||train conductor|||Kabuki||||||||entrance||red|||carpet|carpet||spread||||both sides||||||guide|||||||||||back||quietly|||||||||waiter||waiter|||especially||paying the bill|||||terribly||||||hand movement|||||||||hand over||||stinginess|||therefore|||||||||||||||dark||||||||pitch dark|||||frantic||||||to bargain|||change|||||||||purchased item||bring back||||||||||||||||||||||||||||||||lounging around|||||circumstances||| The truth is, when I get on the train by myself, I'm afraid of the conductor, and even if I wanted to enter the Kabukiza, I would be standing side by side on both sides of that main entrance's stairs covered with a scarlet carpet. When the ushers dreadfully enter the restaurant, the wait boy standing quietly behind me waiting for the plates to be opened dreadfully, especially when I pay the bill, oh my awkward self. When I go shopping and hand over the money, it's not because I'm stingy, but because I'm too nervous, too embarrassed, too much anxiety, and fear, I feel dizzy and the world is pitch black. I became so frantic that I often forgot to take my change, let alone bargain, and even forgot to bring back the items I bought. I couldn't walk the streets of Tokyo because of the road, so I had no choice but to sit around at home all day. 其實我一個人搭乘電車的時候會感到可怕,因為即使想進歌舞伎座,但在正面入口紅色地毯鋪成的樓梯兩側站著的導遊們也是讓我感到恐懼,進入餐廳後,背後靜靜站著等待餐盤的服務生也讓我感到恐怖,尤其在結帳的時候,啊,我那拙劣的手法,當我在購物時要遞出現金的時候,不是因為吝嗇,而是因為過度的緊張、過度的尷尬、過度的不安和恐懼,讓我頭暈目眩,世界變得漆黑,我幾乎感到精神崩潰,不但忘了殺價,還忘了收回找零,甚至經常會忘了帶回買的貨物,因此根本無法單獨走在東京的街道上,這樣也只能無可奈何地一天待在家裡閒晃。

それ が 、堀木 に 財布 を 渡して 一緒に 歩く と 、堀木 は 大いに 値切って 、しかも 遊び 上手 と いう の か 、わずかな お 金 で 最大 の 効果 の ある ような 支払い 振り を 発揮 し 、また 、高い 円 タク は 敬遠 して 、電車 、バス 、ポンポン 蒸気 など 、それぞれ 利用 し分けて 、最短 時間 で 目的 地 へ 着く と いう 手腕 を も 示し 、淫売 婦 の ところ から 朝 帰る 途中 に は 、何 々 と いう 料亭 に 立ち寄って 朝 風呂 へ はいり 、湯豆腐 で 軽く お 酒 を 飲む の が 、安い 割に 、ぜいたくな 気分 に なれる もの だ と 実地 教育 を して くれたり 、その他 、屋台 の 牛 め し 焼 とり の 安価に して 滋養 に 富む もの たる 事 を 説き 、酔い の 早く 発する の は 、電気 ブラン の 右 に 出る もの は ない と 保証 し 、とにかく その 勘定 に 就いて は 自分 に 、一 つ も 不安 、恐怖 を 覚え させた 事 が ありません でした。 ||ほりき||さいふ||わたして|いっしょに|あるく||ほりき||おおいに|ねぎって||あそび|じょうず|||||||きむ||さいだい||こうか||||しはらい|ふり||はっき|||たかい|えん|||けいえん||でんしゃ|ばす|ぽんぽん|じょうき|||りよう|しわけて|さいたん|じかん||もくてき|ち||つく|||しゅわん|||しめし|いんばい|ふ||||あさ|かえる|とちゅう|||なん||||りょうてい||たちよって|あさ|ふろ|||ゆどうふ||かるく||さけ||のむ|||やすい|わりに||きぶん||||||じっち|きょういく||||そのほか|やたい||うし|||や|||あんかに||じよう||とむ|||こと||とき|よい||はやく|はっする|||でんき|||みぎ||でる|||||ほしょう||||かんじょう||ついて||じぶん||ひと|||ふあん|きょうふ||おぼえ|さ せた|こと||あり ませ ん| ||堀木||||||走|||||殺價||||||||微薄的|||||||||||支付方式|||||||計程車||避開|||||蒸汽||||||||||||||手腕||||||||||||||||||料亭||立ち寄って|||||豆腐鍋||輕鬆地|||||||||奢侈的|||||||實地||||||攤位||||而且||||||滋養||富裕|||||說||||||||電氣白蘭|||||||||||||帳單||||||||||||||||| ||Horigi|||||||||||bargained|||||||||||||||||||payment method||demonstrated|||||tax||avoid||||steam|steam||||utilize separately|shortest|||||||||skill||||skillful salesmanship||||||||||||||restaurant||stopped by|||||yudofu||||||||||relatively||||||||practical experience|||||other|food stall||||||||inexpensively||nourishment||abundant|||||persuade|drunkenness|||||||brandy|||||||||||||calculation||||||||||||||||| However, when I handed my wallet to Horiki and walked with him, Horiki bargained a lot, and perhaps because he was good at playing, he showed how to pay with a small amount of money to get the maximum effect. Taku shy away from it, instead using trains, buses, pon-pon steam, etc., showing his ability to reach his destination in the shortest possible time. He gave me a hands-on education on how to stop by the ryokan, take a bath in the morning, and drink lightly with yudofu (boiled tofu), which is cheap and can make you feel luxurious. He preached that it was rich in nutrition, and assured that there was nothing better than Denki Bran for quick onset of intoxication. I've never had a problem. 這時,當我把錢包交給堀木一起走時,堀木會大力地殺價,而他似乎很會玩,能以微薄的金額發揮出最大的效果,還會避開高價的計程車,用電車、公車、蒸氣船等,有效地利用各種交通工具,展現了以最短時間抵達目的地的本事。在從淫婦那裡早上回來的路上,堀木還會停下來去某某料理店泡早湯,輕鬆地喝酒吃湯豆腐,讓我體會到即便便宜卻也能享受奢侈的感覺,還教我街邊的牛肉飯和烤雞串怎樣便宜而又營養豐富,並且保證喝電氣白蘭地的醉意來得特別快,無論如何關於這些的帳單,從來沒有讓我感到不安或恐懼。

さらに また 、堀木 と 附合って 救わ れる の は 、堀木 が 聞き手 の 思惑 など を てんで 無視 して 、その 所 謂 情熱 パトス の 噴出 する が まま に 、(或いは 、情熱 と は 、相手 の 立場 を 無視 する 事 かも 知れません が )四六時中 、くだらない おしゃべり を 続け 、あの 、二 人 で 歩いて 疲れ 、気まずい 沈黙 に おちいる 危懼 きく が 、全く 無い と いう 事 でした。 ||ほりき||ふごう って|すくわ||||ほりき||ききて||おもわく||||むし|||しょ|い|じょうねつ|||ふんしゅつ|||||あるいは|じょうねつ|||あいて||たちば||むし||こと||しれ ませ ん||しろくじちゅう||||つづけ||ふた|じん||あるいて|つかれ|きまずい|ちんもく|||きく|||まったく|ない|||こと| |||||拯救||||||聽者|||||完全|||||||情感||噴發|||||||||||||||||||四六時中||閒聊|||||||||尷尬|||陷入|恐懼|||||||| ||||coinciding|||||||listener||thoughts|||at all|||||||passion||outpouring|||||||||||||||fact||||around the clock|||||||||||awkward silence|awkward silence||fall into|fear|||||||| Furthermore, it was only through Horiki that I was saved, as he completely ignored the listener's expectations and continued to talk nonsense all the time, allowing the so-called passion to erupt freely. (Or perhaps passion means ignoring the other person's position.) There was absolutely no fear of falling into exhausting, awkward silences as the two of us walked together. 人 に 接し 、あの おそろしい 沈黙 が その 場 に あらわれる 事 を 警戒 して 、もともと 口 の 重い 自分 が 、ここ を 先 途 せんど と 必死の お 道化 を 言って 来た もの です が 、いま この 堀木 の 馬鹿 が 、意識 せ ず に 、その お 道化 役 を みずから すすんで やって くれて いる ので 、自分 は 、返事 も ろくに せ ず に 、ただ 聞き流し 、時折 、まさか 、など と 言って 笑って おれば 、いい のでした。 じん||せっし|||ちんもく|||じょう|||こと||けいかい|||くち||おもい|じぶん||||さき|と|||ひっしの||どうけ||いって|きた||||||ほりき||ばか||いしき||||||どうけ|やく||||||||じぶん||へんじ|||||||ききながし|ときおり||||いって|わらって||| ||||||||||出現|||警惕||本來就||||||||||先途||||||||||||||||||||||||||自己|自願地||||||||||||||隨便聽聽|偶爾|||||||| ||interacting||||||||appears||||||||||||||to end|guidance|||||||||||||||||||||||||||voluntarily||||||||||||||letting it go in one ear and out the other|occasionally|||||||| While interacting with others, I became increasingly cautious about that dreadful silence appearing in the room. Being naturally shy, I had been desperately cracking jokes to break the ice, but now, this fool Horiki was unconsciously taking on that clown role himself, so I didn't have to respond much; I just let it all wash over me, laughing occasionally with a surprised 'no way!' and everything was fine. 為了避免在與人相處時出現可怕的沉默,我本來就話少的自己,拼命地講著一些滑稽的話來打破局面,但現在這個堀木的傻瓜卻不自覺地自願地擔任了這個滑稽的角色,於是我也不用多說什麼,只需隨便聽聽,偶爾用“雖然不會吧”等話語來笑笑就好了。

酒 、煙草 、淫売 婦 、それ は 皆 、人間 恐怖 を 、た とい 一 時 でも 、まぎらす 事 の 出来る ずいぶん よい 手段 である 事 が 、やがて 自分 に も わかって 来ました。 さけ|たばこ|いんばい|ふ|||みな|にんげん|きょうふ||||ひと|じ|||こと||できる|||しゅだん||こと|||じぶん||||き ました |煙草|賣淫婦||||||恐懼|||||||麻痺|||||||是|||終究||||| ||prostitution|||||||||||||distract||||||||||||||| Alcohol, cigarettes, and the company of whores are all quite effective means of temporarily alleviating human fear, as I eventually came to understand. 酒、香煙、賣淫婦女,這些無不都是能夠在某種程度上暫時麻痺人類恐懼的相當好的手段,漸漸地我也開始明白這一點。 それ ら の 手段 を 求める ため に は 、自分 の 持ち物 全部 を 売却 して も 悔い ない 気持 さえ 、抱く ように なりました。 |||しゅだん||もとめる||||じぶん||もちもの|ぜんぶ||ばいきゃく|||くい||きもち||いだく||なり ました ||||||||||||||出售|||悔恨|||||| |||||||||||possessions|||selling|||no regret||||to hold|| In order to seek those means, I even came to have the feeling that I would have no regrets even if I sold all my belongings. 為了尋求這些手段,我甚至會抱著願意出售自己所有的財物也不會後悔的心情。

自分 に は 、淫売 婦 と いう もの が 、人間 でも 、女性 で も ない 、白 痴 か 狂 人 の ように 見え 、その ふところ の 中 で 、自分 は かえって 全く 安心 して 、ぐっすり 眠る 事 が 出来ました。 じぶん|||いんばい|ふ|||||にんげん||じょせい||||しろ|ち||くる|じん|||みえ||||なか||じぶん|||まったく|あんしん|||ねむる|こと||でき ました ||||||||||||||||||||||||懷抱|||||||||||睡覺||| |||prostitute|||||||||||||fool||crazy||||||bosom||||||||||soundly||||was possible To me, prostitutes looked like idiots or lunatics, neither human nor female. . 對我來說,淫賣婦似乎既不是人類,也不是女性,像白痴或瘋子一樣,反而讓我在她們的懷抱中感到完全安心,能夠安穩地睡著。 みんな 、哀しい くらい 、実に みじんも 慾 と いう もの が 無い のでした。 |かなしい||じつに||よく|||||ない| |sad|||not at all|desire|||||| Everyone, sadly, there was no such thing as a soul. 大家的慾望少得可憐,實在是一點都沒有。 そうして 、自分 に 、同類 の 親和 感 と でも いった ような もの を 覚える の か 、自分 は 、いつも 、その 淫売 婦 たち から 、窮屈で ない 程度 の 自然の 好意 を 示さ れました。 |じぶん||どうるい||しんわ|かん|||||||おぼえる|||じぶん||||いんばい|ふ|||きゅうくつで||ていど||しぜんの|こうい||しめさ|れ ました ||||||||||||||||||||||||窘迫的|||||||| |||||affinity|||||||||||||||prostitute||||uncomfortable|||||natural kindness||| As if I felt a sort of kinship with myself, I was always shown the kindness of nature by those prostitutes to the extent that I wasn't cramped. 所以,我不知道自己是否有一種與同類的親密感,我總是從那些淫賣婦身上感受到適度不覺得壓迫的自然好意。 何の 打算 も 無い 好意 、押し売り で は 無い 好意 、二度と 来 ない かも 知れ ぬ ひと へ の 好意 、自分 に は 、その 白 痴 か 狂 人 の 淫売 婦 たち に 、マリヤ の 円 光 を 現実 に 見た 夜 も あった のです。 なんの|ださん||ない|こうい|おしうり|||ない|こうい|にどと|らい|||しれ|||||こうい|じぶん||||しろ|ち||くる|じん||いんばい|ふ|||まりや||えん|ひかり||げんじつ||みた|よ||| |計算||||強迫推銷|||||||||||||||||||||||||||||瑪莉亞||||||||||| |calculations|||favor|forced sales||||favor||||||||||goodwill|||||||||||prostitute||||Maria||light||||||||| A goodwill that has no calculation, a goodwill that is not coercive, a goodwill towards someone who may never come again—there were nights when I saw, in reality, the erotic light of Maria among those foolish or insane prostitutes. 沒有任何打算的好意,並不是強迫推銷的好意,對於可能再也不會來的人的好意,自己也曾經在那個看過瑪莉亞的圓光的夜晚,看到那些白痴或瘋子一樣的淫婦。

しかし 、自分 は 、人間 へ の 恐怖 から のがれ 、幽 かな 一夜 の 休養 を 求める ため に 、そこ へ 行き 、それ こそ 自分 と 「同類 」の 淫売 婦 たち と 遊んで いる うち に 、いつのまに やら 無意識 の 、或る いまわしい 雰囲気 を 身辺 に いつも ただよわせる ように なった 様子 で 、これ は 自分 に も 全く 思い 設け なかった 所 謂 「おまけ の 附録 」でした が 、次第に その 「附録 」が 、鮮明に 表面 に 浮き上って 来て 、堀木 に それ を 指摘 せられ 、愕然 がくぜんと して 、そうして 、いやな 気 が 致しました。 |じぶん||にんげん|||きょうふ|||ゆう||いちや||きゅうよう||もとめる|||||いき|||じぶん||どうるい||いんばい|ふ|||あそんで||||||むいしき||ある||ふんいき||しんぺん||||||ようす||||じぶん|||まったく|おもい|もうけ||しょ|い|||ふろく|||しだいに||ふろく||せんめいに|ひょうめん||うきあがって|きて|ほりき||||してき|せら れ|がくぜん|||||き||いたし ました ||||||||逃避|幽暗||||||||||||||||||||||||||||||某|可怕的||||||瀰漫著||||||||||||設想||||附錄|||||||||||||||||||指摘され|震驚||||||| ||||||||escaping|faint||one night||rest||||||||||||||prostitute|||||||||||||terrible|||surroundings|||drifting around||||||||||||prepared||||bonus||appendix|||||supplementary material||vividly|||surfaced||||||pointed out|was pointed out|shocked|astonished||||||was felt However, in order to escape from the fear of humanity and seek a faint night of rest, I went there, and while I was playing with those prostitutes, who were 'similar' to me, without realizing it, an unconscious, dreadful atmosphere began to always hover around me. This was something I had never thought of, what you might call an 'added bonus,' but gradually that 'bonus' became clearly apparent on the surface, and when Horiki pointed it out to me, I was astonished and felt unpleasant. 然而,自己為了逃避對人類的恐懼,尋求那短暫的一夜休養,前往那裡,與那些和自己同類的淫婦們玩耍的過程中,不知不覺中,身邊總是彌漫著某種可怕的氛圍。這對我來說本來是完全沒有預設的所謂「附錄」,但隨著時間的推移,那個「附錄」漸漸鮮明地浮現在表面,被堀木指出,令我驚愕不已,心中也不自覺地感到不快。 はた から 見て 、俗な 言い 方 を すれば 、自分 は 、淫売 婦 に 依って 女 の 修行 を して 、しかも 、最近 めっきり 腕 を あげ 、女 の 修行 は 、淫売 婦 に 依る の が 一ばん 厳しく 、また それだけに 効果 の あがる もの だ そうで 、既に 自分 に は 、あの 、「女 達者 」と いう 匂い が つきまとい 、女性 は 、(淫売 婦 に 限ら ず )本能 に 依って それ を 嗅ぎ 当て 寄り添って 来る 、そのような 、卑猥 ひわ い で 不名誉な 雰囲気 を 、「おまけ の 附録 」と して もらって 、そうして その ほう が 、自分 の 休養 など より も 、ひどく 目立って しまって いる らしい のでした。 ||みて|ぞくな|いい|かた|||じぶん||いんばい|ふ||よって|おんな||しゅぎょう||||さいきん||うで|||おんな||しゅぎょう||いんばい|ふ||よる|||ひとばん|きびしく|||こうか|||||そう で|すでに|じぶん||||おんな|たっしゃ|||におい|||じょせい||いんばい|ふ||かぎら||ほんのう||よって|||かぎ|あて|よりそって|くる||ひわい||||ふめいよな|ふんいき||||ふろく||||||||じぶん||きゅうよう|||||めだって|||| 從|||俗氣的||||||||||||||||||顯著地||||||||||||||||||||提高||||||||||女性高手|||||纏繞|||||||||||||嗅覺||依偎|||卑猥||||不光彩的|||||||||||||||休息|||||非常明顯|||| by|||vulgar|||||||||||||training|||||markedly||||||||prostitute||||||||||||||||||||||skilled|||scent||sticking to|||prostitute||||||||||smell||snuggling|||obscene||||disgraceful|||bonus||appendix||||||||||rest||||||||| From an outsider's perspective, to put it in a vulgar way, I was being trained as a woman by prostitutes, and moreover, recently I had markedly improved. It is said that the training as a woman is strictest under prostitutes, and that is why it is effective. Already, a scent of 'womanly ability' clung to me, and women (not just prostitutes) instinctively caught onto it and came close. It seemed that this lewd and disgraceful atmosphere had become an 'added bonus,' and that it was standing out more than my rest and relaxation. 從旁人看來,俗話說的,自我似乎是因為淫婦而開始了對女性的修行,而且最近技藝大增。據說女性的修行由淫婦來進行是最嚴格的,而且也因此效果最佳。如今我身上已經籠罩著那種被稱為「女性優雅」的氣息,女性(不僅限於淫婦)本能地就能嗅到這種氣息,主動向我靠近。這樣的猥褻和不光彩的氛圍,即便當作「附錄」也好,似乎比我的休養更為顯眼。

堀木 は それ を 半分 は お世辞 で 言った のでしょう が 、しかし 、自分 に も 、重苦しく 思い当る 事 が あり 、たとえば 、喫茶 店 の 女 から 稚拙な 手紙 を もらった 覚え も ある し 、桜木 町 の 家 の 隣り の 将軍 の はたち くらい の 娘 が 、毎朝 、自分 の 登校 の 時刻 に は 、用 も 無 さ そうな のに 、ご 自分 の 家 の 門 を 薄化粧 して 出たり は いったり して いた し 、牛肉 を 食い に 行く と 、自分 が 黙って いて も 、そこ の 女 中 が 、……また 、いつも 買いつけ の 煙草 屋 の 娘 から 手渡さ れた 煙草 の 箱 の 中 に 、……また 、歌舞伎 を 見 に 行って 隣り の 席 の ひと に 、……また 、深夜 の 市電 で 自分 が 酔って 眠って いて 、……また 、思いがけなく 故郷 の 親戚 の 娘 から 、思いつめた ような 手紙 が 来て 、……また 、誰 か わから ぬ 娘 が 、自分 の 留守 中 に お 手製 らしい 人形 を 、……自分 が 極度に 消極 的な ので 、いずれ も 、それっきり の 話 で 、ただ 断片 、それ 以上 の 進展 は 一 つ も ありません でした が 、何 か 女 に 夢 を 見 させる 雰囲気 が 、自分 の どこ か に つきまとって いる 事 は 、それ は 、のろ け だ の 何 だの と いう いい加減な 冗談 で なく 、否定 でき ない ので ありました。 ほりき||||はんぶん||おせじ||いった||||じぶん|||おもくるしく|おもいあたる|こと||||きっさ|てん||おんな||ちせつな|てがみ|||おぼえ||||さくらぎ|まち||いえ||となり||しょうぐん|||||むすめ||まいあさ|じぶん||とうこう||じこく|||よう||む||そう な|||じぶん||いえ||もん||うすげしょう||でたり||||||ぎゅうにく||くい||いく||じぶん||だまって|||||おんな|なか||||かいつけ||たばこ|や||むすめ||てわたさ||たばこ||はこ||なか|||かぶき||み||おこなって|となり||せき|||||しんや||しでん||じぶん||よって|ねむって|||おもいがけなく|こきょう||しんせき||むすめ||おもいつめた||てがみ||きて||だれ||||むすめ||じぶん||るす|なか|||てせい||にんぎょう||じぶん||きょくどに|しょうきょく|てきな||||||はなし|||だんぺん||いじょう||しんてん||ひと|||あり ませ ん|||なん||おんな||ゆめ||み|さ せる|ふんいき||じぶん|||||||こと||||||||なん||||いいかげんな|じょうだん|||ひてい||||あり ました |||||||||||||||heavily|to come to mind|||||tea house|||||childish|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||light makeup||||||||||||||||||||||||||||tobacco|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||thought||||||||||||||||||handmade||||||||||||それっきり = just that||||||||||||||||||||||||||||||||||||||nonsense|||||||||||||||| ||||||flattery|||||||||heavily||||||cafe|||||immature|letter||||||||||||||general||twenty||||||||||time||||||||||||||||light makeup||||||||||||||||||||||||||purchasing|||||||handed over|||||||||||||||||||||||streetcar||||drunk||||unexpectedly|hometown||||||deeply troubled||||||||||||||absence||||handmade||||||extremely|passive|||||after that|||||fragment||||development|||||||||||||||||||||||followed me||||||nomanticizing|||||||||||||||| Horiki must have said it half as flattering, but he too has some somber thoughts. The daughter of the shogun next door was walking in and out of the gate of his house every morning when he was supposed to go to school, dressed in light makeup, even though he didn't seem to have anything to do. When I went out to eat beef, even though I was silent, the maid there... And in the cigarette box handed to me by the daughter of the tobacco shop I always bought,... again, Kabuki. I went to see it, and the person sitting next to me... I found myself drunk and asleep on the streetcar late at night... And then, unexpectedly, I received a thoughtful letter from a relative's daughter in my hometown... Also, a daughter I don't know who made a homemade doll while I was away. I didn't know what to do, but I couldn't deny that somewhere in me, I was haunted by an atmosphere that made women dream. It was there because it wasn't. 自分 は 、それ を 堀木 ごとき 者 に 指摘 せられ 、屈辱 に 似た 苦 にが さ を 感ずる と 共に 、淫売 婦 と 遊ぶ 事 に も 、にわかに 興 が 覚めました。 じぶん||||ほりき||もの||してき|せら れ|くつじょく||にた|く||||かんずる||ともに|いんばい|ふ||あそぶ|こと||||きょう||さめ ました |||||like|||||humiliation|||||||to feel||||||||||suddenly||| |||||like|||||humiliation|||suffering|bitterness||||||prostitute|||||||suddenly|interest|| When someone like Horiki pointed this out to me, I felt a bitterness akin to humiliation. 我感到受到像堀木這樣的人指摘,並感受到類似屈辱的痛苦,同時對於與色情女性玩樂,也突然產生了興趣。

堀木 は 、また 、その 見栄坊 みえぼう の モダニティ から 、(堀木 の 場合 、それ 以外 の 理由 は 、自分 に は 今もって 考えられません のです が )或る 日 、自分 を 共産 主義 の 読書 会 と か いう (R ・S と か いって いた か 、記憶 が はっきり 致しません )そんな 、秘密の 研究 会 に 連れて 行きました。 ほりき||||みえぼう|||||ほりき||ばあい||いがい||りゆう||じぶん|||いまもって|かんがえ られ ませ ん|||ある|ひ|じぶん||きょうさん|しゅぎ||どくしょ|かい||||r|s||||||きおく|||いたし ませ ん||ひみつの|けんきゅう|かい||つれて|いき ました ||||show-off|||modernity|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||do||||||| ||||show-off|show-off||modernity|||||||||||||even now|cannot consider|||||||communist|||reading|||||registered||||||||||does not remember||||||| In Horiki's showy modernity, one day (in Horiki's case, I can't think of any other reason yet), one day he decided to join a communist book club. I took him to a secret study group like that (I don't remember if he said R.S.). 堀木又因為那種虛榮的現代感,(在堀木的情況下,除了這個理由之外,我至今無法想出其他原因)有一天,他帶我去了一個所謂的共產主義讀書會(好像叫做R・S,記憶不太清楚)的秘密研究會。 堀木 など と いう 人物 に とって は 、共産 主義 の 秘密 会合 も 、れいの 「東京 案内 」の 一 つ くらい の もの だった の かも 知れません。 ほりき||||じんぶつ||||きょうさん|しゅぎ||ひみつ|かいごう|||とうきょう|あんない||ひと||||||||しれ ませ ん ||||人物||||||||會議|||||||||||||| ||||||||communism||||meeting|||||||||||||| For someone like Horiki, the communist secret meetings may have been just another part of Rei's 'guide to Tokyo'. 對於像堀木這樣的人來說,共產主義的秘密會議或許也只不過是「東京指南」中的其中一個項目而已。 自分 は 所 謂 「同志 」に 紹介 せられ 、パンフレット を 一部 買わさ れ 、そうして 上座 の ひどい 醜い 顔 の 青年 から 、マルクス 経済 学 の 講義 を 受けました。 じぶん||しょ|い|どうし||しょうかい|せら れ|ぱんふれっと||いちぶ|かわさ|||かみざ|||みにくい|かお||せいねん|||けいざい|まな||こうぎ||うけ ました ||||志同道合者||||小冊子||||||上座|||||||||||||| ||||comrade|||||||made to buy|||seat|||||||||economics|||lecture|| 我被所謂的「同志」介紹,購買了一部分小冊子,然後從座位上那個醜陋的青年那裡聽取了馬克思經濟學的講義。 しかし 、自分 に は 、それ は わかり切って いる 事 の ように 思わ れました。 |じぶん|||||わかりきって||こと|||おもわ|れ ました ||||||完全明白|||||| ||||||understood|||||| However, it seemed to me that it was all too clear. 然而,我覺得這對我來說,本來就應該是顯而易見的事。 それ は 、そう に 違いない だろう けれども 、人間 の 心 に は 、もっと わけ の わから ない 、おそろしい もの が ある。 ||||ちがいない|||にんげん||こころ||||||||||| |||||||||||||理由||||||| That must be so, but there is something more incomprehensible and frightening in the human heart. 這樣或許是沒錯,但人心中還存在著更難以理解的可怕東西。 慾 、と 言って も 、言い たりない 、ヴァニティ 、と 言って も 、言い たりない 、色 と 慾 、と こう 二 つ 並べて も 、言い たりない 、何だか 自分 に も わから ぬ が 、人間 の 世 の 底 に 、経済 だけ で ない 、へんに 怪談 じみ たも の が ある ような 気 が して 、その 怪談 に おびえ 切って いる 自分 に は 、所 謂唯 物 論 を 、水 の 低き に 流れる ように 自然に 肯定 し ながら も 、しかし 、それ に 依って 、人間 に 対する 恐怖 から 解放 せられ 、青葉 に 向って 眼 を ひらき 、希望 の よろこび を 感ずる など と いう 事 は 出来 ない のでした。 よく||いって||いい||||いって||いい||いろ||よく|||ふた||ならべて||いい||なんだか|じぶん||||||にんげん||よ||そこ||けいざい|||||かいだん|||||||き||||かいだん|||きって||じぶん|||しょ|いただ|ぶつ|ろん||すい||ひくき||ながれる||しぜんに|こうてい|||||||よって|にんげん||たいする|きょうふ||かいほう|せら れ|あおば||むかい って|がん|||きぼう||||かんずる||||こと||でき|| 欲望||||||虛榮||||||顏色||||||||||||||||||||||||||||||怪談般||||||||||||恐懼||||||||||||||||||||||||||||||||||||||眼を開き|希望||希望的喜悅|||||||||| ||||||vanity|||||||||||||||||||||||||||||||||||ghost story||||||||||||||||||||simply|materialism|||||low|||||naturally affirms|||||||||||||||fresh green leaves|||||||||||||||||| Even if I say desire, I won't say it, even if I say vanity, I won't say it even if I put the two together, color and desire. In addition, I feel that there is something strange about the ghost story that is not only about the economy. Although he affirmed this, he was unable to free himself from his fear of humans, open his eyes to Aoba, and feel the joy of hope. 慾,雖然這樣說,但仍然無法完全表達,虛榮,雖然這樣說,但仍然無法完全表達,色與慾,這兩者並列,卻仍然無法完全表達,不知道為何,似乎在這人類的世界底部,除了經濟外,還有一些奇妙的、類似怪談的東西,這樣想著,對於那個怪談感到恐懼的自己,所謂的唯物論,雖然像水流入低處一樣自然地肯定著,但因此並不能使我擺脫對人類的恐懼,向著青葉張開眼睛,感受到希望的喜悅。 けれども 、自分 は 、いち ども 欠席 せ ず に 、その R ・S (と 言った か と 思います が 、間違って いる かも 知れません )なる もの に 出席 し 、「同志 」たち が 、いやに 一大事 の 如く 、こわばった 顔 を して 、一 プラス 一 は 二 、と いう ような 、ほとんど 初等 の 算 術 めいた 理論 の 研究 に ふけって いる の が 滑稽に 見えて たまら ず 、れいの 自分 の お 道化 で 、会合 を くつろが せる 事 に 努め 、その ため か 、次第に 研究 会 の 窮屈な 気配 も ほぐれ 、自分 は その 会合 に 無くて かなわ ぬ 人気者 と いう 形 に さえ なって 来た ようでした。 |じぶん||||けっせき|||||r|s||いった|||おもい ます||まちがって|||しれ ませ ん||||しゅっせき||どうし||||いちだいじ||ごとく||かお|||ひと|ぷらす|ひと||ふた|||||しょとう||さん|じゅつ||りろん||けんきゅう||ふけ って||||こっけいに|みえて||||じぶん|||どうけ||かいごう||||こと||つとめ||||しだいに|けんきゅう|かい||きゅうくつな|けはい|||じぶん|||かいごう||なくて|||にんきもの|||かた||||きた| |我自己|||||||||||||||||||||||||||||非常|一大事|||僵硬的|||||||||||||||||類似的|||||沉迷||||||||||||||||放鬆||||||||||||窘迫的|氣氛||鬆開|||||||無法忍受|||||||||| |||||absence||||||||||||||||||||attendance||comrades|||||||stiff|||||||||||||elementary||calculation||like|||||immersed||||comically||couldn't help||||||||meeting||relaxed||||effort||||||||confining|||loosen||||meeting|||could not bear|||||||||| However, I never missed one, attended the R.S. I couldn't help but find it funny that I was absorbed in the study of almost elementary arithmetic theory, such as one plus one equals two, with a stiffened face on my face. So, I tried to make the meeting feel comfortable, and perhaps because of that, the feeling of tightness in the study group gradually loosened, and I even seemed to come to be a popular person at the meeting. 然而,我卻從未缺席地參加過那個R・S(我覺得這是這樣說的,但可能是錯的)之類的會議,'同志'們一副如同重大事件般僵硬的面孔,專注於一加一等於二的近乎初等的數學理論的研究,這讓我覺得非常滑稽,於是便用我一貫的道化,努力使會議變得輕鬆,或許因此,研究會的緊張氣氛逐漸緩和,我似乎也成為了在這個會議上必不可少的受歡迎角色。 この 、単純 そうな 人 たち は 、自分 の 事 を 、やはり この 人 たち と 同じ 様 に 単純で 、そうして 、楽天 的な おどけ者 の 「同志 」くらい に 考えて いた かも 知れません が 、もし 、そう だったら 、自分 は 、この 人 たち を 一 から 十 まで 、あざむいて いた わけです。 |たんじゅん|そう な|じん|||じぶん||こと||||じん|||おなじ|さま||たんじゅんで||らくてん|てきな|おどけもの||どうし|||かんがえて|||しれ ませ ん|||||じぶん|||じん|||ひと||じゅう|||| ||||||||||||||||||||||滑稽者||||||||||||||||||||||||| |simple|||||||||||||||||simple||optimistic||jester||comrade||||||||||if so|||||||||||deceiving||it means These simple-looking people might have thought of themselves as simple as they were, and perhaps thought of themselves as "comrades" in the optimistic antics. If so, I would have deceived these people one to ten times. 這些看似單純的人們,或許也將我視為跟他們一樣單純的,並且看作是一位樂天派的小丑'同志',但如果是這樣的話,那麼我就從一開始到十全都在欺騙這些人。 自分 は 、同志 で は 無かった んです。 じぶん||どうし|||なかった| I was not a comrade. けれども 、その 会合 に 、いつも 欠かさ ず 出席 して 、皆 に お 道化 の サーヴィス を して 来ました。 ||かいごう|||かかさ||しゅっせき||みな|||どうけ|||||き ました |||||fail to attend|||||||||||| However, I have always attended those meetings without fail and have been providing everyone with a humorous service. 然而,我一直參加那個會議,經常提供服務來逗樂大家。