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太宰治『人間失格』(No Longer Human by Osamu Dazai), 第二の手記 (4)

第 二 の 手記 (4)

好きだった から な のです 。 自分 に は 、その 人たち が 、気にいっていた から なのです 。 しかし 、それ は 必ずしも 、マルクス に 依って 結ばれた 親愛感 で は 無かった のです 。

非合法 。 自分 に は 、それ が 幽か に 楽しかった のです 。 むしろ 、居心地 が よかった のです 。 世の中 の 合法 と いう もの の ほうが 、かえって おそろしく 、(それに は 、底 知れず 強い もの が 予感 せられます )その からくり が 不可解 で 、とても その 窓 の 無い 、底冷え の する 部屋 に は 坐って おられず 、外 は 非合法 の 海 であっても 、それに 飛び込んで 泳いで 、やがて 死に 到る ほうが 、自分 に は 、いっそ 気楽 の ようでした 。

日 蔭者 ひかげ も の 、 と いう 言葉 が あります 。 人間 の 世に 於 いて 、 みじめな 、 敗者 、 悪徳者 を 指差して いう 言葉 の よう です が 、 自分 は 、 自分 を 生れた 時 から の 日 蔭者 の ような 気 が して いて 、 世間 から 、 あれ は 日 蔭者 だ と 指差されて いる 程 の ひと と 逢う と 、 自分 は 、 必ず 、 優しい 心 に なる の です 。 そうして 、その 自分 の 「優しい 心 」は 、自身 で うっとり する くらい 優しい 心 でした 。

また 、犯人 意識 、と いう 言葉 も あります 。 自分 は 、 この人間 の 世の中 に 於 いて 、 一生 その 意識 に 苦しめられ ながら も 、 しかし 、 それ は 自分 の 糟糠 そうこう の 妻 の 如き 好 伴侶 はんりょ で 、 そい つと 二人きり で 侘 わびしく 遊び たわむれて いる と いう の も 、 自分 の 生きて いる 姿勢 の 一 つ だった かも 知れない し 、 また 、 俗に 、 脛 すね に 傷 持つ 身 、 と いう 言葉 も ある よう です が 、 その 傷 は 、 自分 の 赤ん坊 の 時 から 、 自然に 片方 の 脛 に あらわれて 、 長ずる に 及んで 治癒 する どころ か 、 いよいよ 深く なる ばかりで 、 骨 に まで 達し 、 夜 々 の 痛 苦 は 千変万化 の 地獄 と は 言い ながら 、 しかし 、( これ は 、たいへん 奇妙な 言い 方 です けど ) その 傷 は 、 次第に 自分 の 血肉 より も 親しく なり 、 その 傷 の 痛み は 、 すなわち 傷 の 生きて いる 感情 、 または 愛情 の 囁 ささやき の よう に さえ 思わ れる 、 そんな 男 に とって 、 れいの 地下 運動 の グルウプ の 雰囲気 が 、 へんに 安心で 、 居心地 が よく 、 つまり 、 その 運動 の 本来 の 目的 より も 、 その 運動 の 肌 が 、 自分 に 合った 感じ な のでした 。 堀木 の 場合 は 、 ただ もう 阿 呆 の ひやかし で 、 いち ど 自分 を 紹介 し に その 会合 へ 行った きり で 、 マルキシスト は 、 生産 面 の 研究 と 同時に 、 消費 面 の 視察 も 必要だ など と 下手な 洒落 しゃれ を 言って 、 その 会合 に は 寄りつか ず 、 とかく 自分 を 、 その 消費 面 の 視察 の ほう に ばかり 誘い た がる のでした 。 思えば 、当時 は 、さまざまの 型 の マルキシスト が いた もの です 。 堀木 の ように 、虚栄 の モダニティ から 、それ を 自称 する 者 も あり 、また 自分 の ように 、ただ 非合法 の 匂い が 気にいって 、そこに 坐り込んでいる 者 も あり 、もしも これら の 実体 が 、マルキシズム の 真 の 信奉者 に 見破られたら 、堀木 も 自分 も 、烈火 の 如く 怒られ 、卑劣なる 裏切者 として 、たちどころに 追い払われた 事 でしょう 。 しかし 、自分 も 、また 、堀木 で さえ も 、なかなか 除名 の 処分 に 遭わ ず 、殊に も 自分 は 、その 非合法の 世界 に 於いて は 、合法 の 紳士たち の 世界 に 於ける より も 、かえって のびのび と 、所謂 「健康 」に 振舞う 事 が 出来ました ので 、見込み の ある 「同志 」として 、噴き出したく なる ほど 過度に 秘密めかした 、さまざまの 用事 を たのま れる ほど に なった のです 。 また 、 事実 、 自分 は 、 そんな 用事 を いち ども 断った こと は 無く 、 平気で なんでも 引受け 、 へんに ぎくしゃく して 、 犬 ( 同志 は 、 ポリス を そう 呼んで いました ) に あやしま れ 不審 訊問 じんもん など を 受けて しくじる ような 事 も 無かった し 、 笑い ながら 、 また 、 ひと を 笑わ せ ながら 、 その あぶない ( その 運動 の 連中 は 、 一大事 の 如く 緊張 し 、 探偵 小説 の 下手な 真似 みたいな 事 まで して 、 極度の 警戒 を 用い 、 そうして 自分 に たのむ 仕事 は 、 まことに 、 あっけにとられる くらい 、 つまらない もの でした が 、 それ でも 、 彼等 は 、 その 用事 を 、 さかんに 、 あぶな がって 力んで いる のでした ) と 、 彼等 の 称する 仕事 を 、 とにかく 正確に やってのけて いました 。 自分 の その 当時 の 気持 と して は 、 党員 に なって 捕えられ 、 た とい 終身 、 刑務所 で 暮す よう に なった と して も 、 平気だった の です 。 世の中 の人間 の 「 実 生活 」 と いう もの を 恐怖 し ながら 、 毎夜 の 不眠 の 地獄 で 呻 うめいて いる より は 、 いっそ 牢屋 ろうや の ほう が 、 楽 かも 知れない と さえ 考えて いました 。

父 は 、桜木 町 の 別荘 で は 、来客 やら 外出 やら 、同じ 家 に いて も 、三日 も 四日 も 自分 と 顔 を 合せる 事 が 無い ほど でした が 、しかし 、どうにも 、父 が けむったく 、おそろしく 、この 家 を 出て 、どこか 下宿 でも 、と 考え ながら も それ を 言い出せずに いた 矢先に 、父 が その 家 を 売払う つもり らしい と いう 事 を 別荘 番 の 老爺 ろうや から 聞きました 。

父 の 議員 の 任期 も そろそろ 満期 に 近づき 、 いろいろ 理由 の あった 事 に 違い ありません が 、 もう これ きり 選挙 に 出る 意志 も 無い 様子 で 、 それ に 、 故郷 に 一 棟 、 隠居 所 など 建てたり して 、 東京 に 未練 も 無い らしく 、 たかが 、 高等 学校 の 一 生徒 に 過ぎない 自分 の ため に 、 邸宅 と 召使い を 提供 して 置く の も 、 むだな 事 だ と でも 考えた の か 、( 父 の 心 も また 、 世間 の人 たち の 気持ち と 同様に 、 自分 に は よく わかりません ) とにかく 、 その 家 は 、 間も無く人手 に わたり 、 自分 は 、 本郷 森川 町 の 仙遊 館 と いう 古い 下宿 の 、 薄暗い 部屋 に 引越 して 、 そうして 、 たちまち 金 に 困りました 。

それ まで 、 父 から 月々 、 きまった 額 の 小遣い を 手渡さ れ 、 それ は もう 、 二 、 三 日 で 無くなって も 、 しかし 、 煙草 も 、 酒 も 、 チイズ も 、 くだもの も 、 いつでも 家 に あった し 、 本 や 文房具 や その他 、 服装 に 関する もの など 一切 、 いつでも 、 近所 の 店 から 所 謂 「 ツケ 」 で 求められた し 、 堀木 に お そば か 天丼 など を ごちそう して も 、 父 の ひいき の 町 内 の 店 だったら 、 自分 は 黙って その 店 を 出て も かまわ なかった のでした 。

それ が 急に 、下宿 の ひとり 住い に なり 、何もかも 、月々 の 定額 の 送金 で 間に合わ せ なければ ならなく なって 、自分 は 、まごつきました 。 送金 は 、 やはり 、 二 、 三 日 で 消えて しまい 、 自分 は 慄然 りつぜんと し 、 心細 さ の ため に 狂う よう に なり 、 父 、 兄 、 姉 など へ 交互に お 金 を 頼む 電報 と 、 イサイフミ の 手紙 ( その 手紙 に 於 いて 訴えて いる 事情 は 、 ことごとく 、 お 道化 の 虚構 でした 。 人 に もの を 頼む のに 、 まず 、 その人 を 笑わ せる の が 上 策 と 考えて いた の です ) を 連発 する 一方 、 また 、 堀木 に 教えられ 、 せっせと 質屋 が よい を はじめ 、 それ でも 、 いつも お 金 に 不自由 を して いました 。

所詮 、自分 に は 、何の 縁故 も 無い 下宿 に 、ひとり で 「生活 」して 行く 能力 が 無かった のです 。 自分 は 、 下宿 の その 部屋 に 、 ひと り で じっと して いる の が 、 おそろしく 、 いまにも 誰 か に 襲わ れ 、 一撃 せられる ような 気 が して 来て 、 街 に 飛び出して は 、 れいの 運動 の 手伝い を したり 、 或いは 堀木 と 一緒に 安い 酒 を 飲み 廻ったり して 、 ほとんど 学業 も 、 また 画 の 勉強 も 放棄 し 、 高等 学校 へ 入学 して 、 二 年 目 の 十一 月 、 自分 より 年上 の 有 夫 の 婦人 と 情 死 事件 など を 起し 、 自分 の 身の上 は 、 一変 しました 。

学校 は 欠席 する し 、学科 の 勉強 も 、すこしも しなかった のに 、それでも 、妙に 試験 の 答案 に 要領 の いい ところ が ある ようで 、どうやら それまで は 、故郷 の 肉親 を あざむき 通して 来た のです が 、しかし 、もう そろそろ 、出席 日数 の 不足 など 、学校 の ほう から 内密に 故郷 の 父 へ 報告 が 行っている らしく 、父 の 代理 として 長兄 が 、いかめしい 文章 の 長い 手紙 を 、自分 に 寄こす ように なっていた のでした 。 けれども 、それ より も 、自分 の 直接 の 苦痛 は 、金 の 無い 事 と 、それから 、れいの 運動 の 用事 が 、とても 遊び半分 の 気持 で は 出来ない くらい 、はげしく 、いそがしく なって 来た 事 でした 。 中央 地区 と 言った か 、何 地区 と 言った か 、とにかく 本郷 、小石川 、下谷 、神田 、あの 辺 の 学校 全部 の 、マルクス 学生 の 行動 隊 々 長 と いう もの に 、自分 は なって いた のでした 。 武装 蜂起 ほうき 、 と 聞き 、 小さい ナイフ を 買い ( いま 思えば 、 それ は 鉛筆 を けずる に も 足りない 、 きゃしゃな ナイフ でした ) それ を 、 レンコオト の ポケット に いれ 、 あちこち 飛び 廻って 、 所 謂 いわゆる 「 聯絡 れんらく 」 を つける のでした 。 お酒 を 飲んで 、ぐっすり 眠りたい 、しかし 、お金 が ありません 。 しかも 、 P (党 の 事 を 、そういう 隠語 で 呼んで いた と 記憶 して います が 、或いは 、違って いる かも 知れません )の ほう から は 、次々 と 息 を つく ひま も 無い くらい 、用事 の 依頼 が まいります 。 自分 の 病弱 の からだ で は 、とても 勤まり そう も 無くなりました 。 もともと 、 非合法の 興味 だけ から 、 その グルウプ の 手伝い を して いた の です し 、 こんなに 、 それ こそ 冗談 から 駒 が 出た よう に 、 いやに いそがしく なって 来る と 、 自分 は 、 ひそかに P の ひと たち に 、 それ は お 門 かど ちがい でしょう 、 あなた たち の 直系 の もの たち に やら せたら どう です か 、 と いう ような いまいましい 感 を 抱く の を 禁ずる 事 が 出来 ず 、 逃げました 。 逃げて 、さすが に 、いい 気持 は せず 、死ぬ 事 に しました 。

その頃 、自分 に 特別の 好意 を 寄せて いる 女 が 、三 人 いました 。 ひとり は 、自分 の 下宿 している 仙遊館 の 娘 でした 。 この 娘 は 、 自分 が れいの 運動 の 手伝い で へとへとに なって 帰り 、 ごはん も 食べ ず に 寝て しまって から 、 必ず 用 箋 ようせ ん と 万年筆 を 持って 自分 の 部屋 に やって 来て 、

「 ごめんなさい 。 下 で は 、妹 や 弟 が うるさくて 、ゆっくり 手紙 も 書け ない のです 」

と 言って 、何やら 自分 の 机 に 向って 一 時間 以上 も 書いている のです 。

自分 も また 、 知らん振り を して 寝て おれば いい のに 、 いかにも その 娘 が 何 か 自分 に 言って もらい た げ の 様子 な ので 、 れい の 受け身の 奉仕 の 精神 を 発揮 して 、 実に 一言 も 口 を きき たくない 気持 な のだ けれども 、 くたくたに 疲れ切って いる から だ に 、 ウム と 気合い を かけて 腹這 はらばい に なり 、 煙草 を 吸い 、

「女 から 来た ラヴ ・レター で 、風呂 を わかして は いった 男 が ある そうです よ 」

「あら 、いやだ 。 あなた でしょう ?

「ミルク を わかして 飲んだ 事 は ある んです 」

「光栄 だ わ 、飲んで よ 」

早く この ひと 、帰ら ねえ か なあ 、手紙 だ なんて 、見えすいて いる のに 。 へ へ の の も へ じ でも 書いて いる のに 違いない んです 。

「見せて よ 」

と 死んで も 見 たく ない 思い で そう 言えば 、あら 、いや よ 、あら 、いや よ 、と 言って 、その うれしがる 事 、ひどく みっともなく 、興 が 覚める ばかりな のです 。 そこ で 自分 は 、用事 でも 言いつけて やれ 、と 思う んです 。

「すまない けど ね 、電車 通り の 薬屋 に 行って 、カルモチン を 買って 来て くれない ? あんまり 疲れ すぎて 、顔 が ほてって 、かえって 眠れ ない んだ 。 すまない ね 。 お 金 は 、……」

「いい わ よ 、お 金 なんか 」

よろこんで 立ちます 。 用 を 言いつける という の は 、決して 女 を しょげ させる 事 で は なく 、かえって 女 は 、男 に 用事 を たのまれ る と 喜ぶ もの だ と いう 事 も 、自分 は ちゃんと 知っている のでした 。

もう ひと り は 、女子 高等 師範 の 文科 生 の 所謂 「同志 」でした 。 この ひと と は 、れいの 運動 の 用事 で 、いやで も 毎日 、顔 を 合せ なければ ならなかった のです 。 打ち合せ が すんで から も 、その 女 は 、いつまでも 自分 に ついて 歩いて 、そうして 、やたらに 自分 に 、もの を 買って くれる のでした 。

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第 二 の 手記 (4) だい|に|の|しゅき ordinal|two|attributive particle|memoir Konten aus zweiter Hand (4) Cuentas de segunda mano (4) Comptes d'occasion (4) 두 번째 수기 (4) Contas em segunda mão (4) 第二注 (4) 第二注 (4) Second Memoir (4)

好きだった から な のです 。 すきだった|から|な|のです 曾經喜歡||| liked|because|adjectival particle|you see It was because I liked them. 自分 に は 、その 人たち が 、気にいっていた から なのです 。 じぶん|に|は|その|ひとたち|が|きにいっていた|から|なのです myself|locative particle|topic marker|that|people|subject marker|liked|because|it is For me, it was because I was fond of those people. しかし 、それ は 必ずしも 、マルクス に 依って 結ばれた 親愛感 で は 無かった のです 。 しかし|それ|は|かならずしも|マルクス|に|よって|むすばれた|しんあいかん|で|は|なかった|のです however|that|topic marker|not necessarily|Marx|locative particle|depending on|was tied|affection|at|topic marker|was not|you see 然而,那並不一定是因為馬克思而結下的親密感。 However, it was not necessarily a bond of affection formed through Marx.

非合法 。 ひごうほう 非法。 Illegal. 自分 に は 、それ が 幽か に 楽しかった のです 。 じぶん|に|は|それ|が|かすか|に|たのしかった|のです |||||幽暗|||很快樂 myself|locative particle|topic marker|that|subject marker|faint|adverbial particle|was fun|you see |||||fantasioso||| 對我來說,那是微微愉快的。 For me, it was faintly enjoyable. むしろ 、居心地 が よかった のです 。 むしろ|いごこち|が|よかった|のです |舒適感||| rather|comfort|subject marker|was good|you see pelo contrário|||| 反而,讓人感到很舒適。 Rather, it was comfortable. 世の中 の 合法 と いう もの の ほうが 、かえって おそろしく 、(それに は 、底 知れず 強い もの が 予感 せられます )その からくり が 不可解 で 、とても その 窓 の 無い 、底冷え の する 部屋 に は 坐って おられず 、外 は 非合法 の 海 であっても 、それに 飛び込んで 泳いで 、やがて 死に 到る ほうが 、自分 に は 、いっそ 気楽 の ようでした 。 よのなか|の|ごうほう|と|いう|もの|の|ほうが|かえって|おそろしく|それに|は|そこ|しれず|つよい|もの|が|よかん|せられます|その|からくり|が|ふかかい|で|とても|その|まど|の|ない|そこびえ|の|する|へや|に|は|すわって|おられず|そと|は|ひごうほう|の|うみ|であっても|それに|とびこんで|およいで|やがて|しに|いたる|ほうが|じぶん|に|は|いっそ|きらく|の|ようでした |||||||||||||||||||||||機關||||||||冰冷的底部||||||||||||||||||||||||| the world|attributive particle|legality|and|called|thing|attributive particle|rather|rather|frighteningly|moreover|topic marker|bottom|unfathomable|strong|thing|subject marker|premonition|is felt|that|mechanism|subject marker|incomprehensible|and|very|that|window|attributive particle|no|coldness|attributive particle|doing|room|locative particle|topic marker|sitting|cannot sit|outside|topic marker|illegality|attributive particle|sea|even if|moreover|jump in|swim|eventually|die|reach|rather|myself|locative particle|topic marker|rather|comfortable|attributive particle|seemed ||||||||||おそろしく|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| ||legal|||||||||||||||||||será pressentido||mecanismo oculto||||||||frio intenso||||||||||||mar do não legal||||||||||||| 世間的合法事物,反而讓人感到可怕,(在那裡,似乎預感到有某種深不可測的力量),它的奧秘無法理解,讓人根本無法坐在沒有窗戶的、透骨的冷房裡;外面的非法之海,即便如此,潛入並游泳,最終走向死亡,對我來說,似乎更輕鬆自在。 The legalities of the world are, conversely, terrifying, (and they seem to hint at something unfathomably strong) their mechanisms are incomprehensible, and I could not sit in that windowless, chilling room; even if the outside was a sea of illegality, it seemed much more carefree to jump in and swim, eventually leading to death.

日 蔭者 ひかげ も の 、 と いう 言葉 が あります 。 ひ|おん しゃ||||||ことば|| 有一句話叫做日蔭者。 There is a term called "hikage-mono" (shade person). 人間 の 世に 於 いて 、 みじめな 、 敗者 、 悪徳者 を 指差して いう 言葉 の よう です が 、 自分 は 、 自分 を 生れた 時 から の 日 蔭者 の ような 気 が して いて 、 世間 から 、 あれ は 日 蔭者 だ と 指差されて いる 程 の ひと と 逢う と 、 自分 は 、 必ず 、 優しい 心 に なる の です 。 にんげん||よに|お|||はいしゃ|あくとく しゃ||ゆびさして||ことば|||||じぶん||じぶん||うまれた|じ|||ひ|おん しゃ|||き||||せけん||||ひ|おん しゃ|||ゆびさされて||ほど||||あう||じぶん||かならず|やさしい|こころ|||| 在人間的世界中,似乎有一種話語是用來指責可憐的、失敗者和惡徒,但我卻覺得自己從出生起就像一個日陰者,當遇到那些被世人指指點點說他們是日陰者的人時,我必定會心生善意。 It seems to refer to miserable, defeated, or wicked people in human society, but I have felt like a "hikage-mono" since the moment I was born. When I meet someone who is pointed out by society as a "hikage-mono," I inevitably become gentle-hearted. そうして 、その 自分 の 「優しい 心 」は 、自身 で うっとり する くらい 優しい 心 でした 。 そうして|その|じぶん|の|やさしい|こころ|は|じしん|で|うっとり|する|くらい|やさしい|こころ|でした |||||||自己||陶醉||||| and|that|myself|possessive particle|kind|heart|topic marker|oneself|at|enchanted|to do|to the extent|kind|heart|was |||||||||encantada||||| 而且,自己那顆「善良的心」是讓自己陶醉到不行的善良心。 And that "gentle heart" of mine was so gentle that I could be entranced by it myself.

また 、犯人 意識 、と いう 言葉 も あります 。 また|はんにん|いしき|と|いう|ことば|も|あります also|criminal|consciousness|and|called|word|also|there is 另外,還有「犯人意識」這個詞。 There is also the term "guilty consciousness." 自分 は 、 この人間 の 世の中 に 於 いて 、 一生 その 意識 に 苦しめられ ながら も 、 しかし 、 それ は 自分 の 糟糠 そうこう の 妻 の 如き 好 伴侶 はんりょ で 、 そい つと 二人きり で 侘 わびしく 遊び たわむれて いる と いう の も 、 自分 の 生きて いる 姿勢 の 一 つ だった かも 知れない し 、 また 、 俗に 、 脛 すね に 傷 持つ 身 、 と いう 言葉 も ある よう です が 、 その 傷 は 、 自分 の 赤ん坊 の 時 から 、 自然に 片方 の 脛 に あらわれて 、 長ずる に 及んで 治癒 する どころ か 、 いよいよ 深く なる ばかりで 、 骨 に まで 達し 、 夜 々 の 痛 苦 は 千変万化 の 地獄 と は 言い ながら 、 しかし 、( これ は 、たいへん 奇妙な 言い 方 です けど ) その 傷 は 、 次第に 自分 の 血肉 より も 親しく なり 、 その 傷 の 痛み は 、 すなわち 傷 の 生きて いる 感情 、 または 愛情 の 囁 ささやき の よう に さえ 思わ れる 、 そんな 男 に とって 、 れいの 地下 運動 の グルウプ の 雰囲気 が 、 へんに 安心で 、 居心地 が よく 、 つまり 、 その 運動 の 本来 の 目的 より も 、 その 運動 の 肌 が 、 自分 に 合った 感じ な のでした 。 じぶん||この にんげん||よのなか||お||いっしょう||いしき||くるしめられ||||||じぶん||かすぬか|そう こう||つま||ごとき|よしみ|はんりょ|||||ふた ひときり||た||あそび|||||||じぶん||いきて||しせい||ひと||||しれ ない|||ぞくに|すね|||きず|もつ|み|||ことば|||||||きず||じぶん||あかんぼう||じ||しぜんに|かたほう||すね|||ちょうずる||およんで|ちゆ|||||ふかく|||こつ|||たっし|よ|||つう|く||せんぺんばんか||じごく|||いい||||||きみょうな|いい|かた||||きず||しだいに|じぶん||けつにく|||したしく|||きず||いたみ|||きず||いきて||かんじょう||あいじょう||ささや||||||おもわ|||おとこ||||ちか|うんどう||||ふんいき|||あんしんで|いごこち|||||うんどう||ほんらい||もくてき||||うんどう||はだ||じぶん||あった|かんじ|| I, in this human world, while suffering from that consciousness throughout my life, however, it was like my humble wife, a good companion, and perhaps playing and frolicking together with her in solitude was one of the postures of my existence. Also, as the saying goes, "a person with a wound on their shin," that wound has appeared naturally on one of my shins since I was a baby, and rather than healing as I grew, it only deepened, reaching the bone. The nightly pain is like a hell of a thousand transformations, yet (this is a very strange way to put it) that wound gradually became more familiar than my own flesh and blood, and the pain of that wound seemed to be the living emotion of the wound itself, or even a whisper of affection. For such a man, the atmosphere of the underground movement group felt strangely reassuring and comfortable, in other words, the essence of that movement felt more suited to me than its original purpose. 堀木 の 場合 は 、 ただ もう 阿 呆 の ひやかし で 、 いち ど 自分 を 紹介 し に その 会合 へ 行った きり で 、 マルキシスト は 、 生産 面 の 研究 と 同時に 、 消費 面 の 視察 も 必要だ など と 下手な 洒落 しゃれ を 言って 、 その 会合 に は 寄りつか ず 、 とかく 自分 を 、 その 消費 面 の 視察 の ほう に ばかり 誘い た がる のでした 。 ほりき||ばあい||||おもね|ぼけ||||||じぶん||しょうかい||||かいごう||おこなった|||||せいさん|おもて||けんきゅう||どうじに|しょうひ|おもて||しさつ||ひつようだ|||へたな|しゃれ|||いって||かいごう|||よりつか|||じぶん|||しょうひ|おもて||しさつ|||||さそい||| 堀木的情況,無非是阿呆的嘲諷,只是曾經去過一次自我介紹的會議。馬克思主義者卻說著低劣的玩笑,聲稱生產面的研究同時需要消費面的視察,結果卻不參加會議,反而總是引誘自己偏向消費面的視察。 In the case of Horiki, he was just a fool making fun, having only gone to that meeting once to introduce himself. The Marxists would say something clumsy like, "Research on the production side is necessary, and at the same time, observation of the consumption side is also needed," and he would not approach that meeting, always trying to lure me more towards the observation of the consumption side. 思えば 、当時 は 、さまざまの 型 の マルキシスト が いた もの です 。 おもえば|とうじ|は|さまざまの|かた|の|マルキシスト|が|いた|もの|です ||||型||馬克思主義|||| if I think|at that time|topic marker|various|types|attributive particle|Marxists|subject marker|there was|things|is 回想起來,當時有各式各樣的馬克思主義者。 Looking back, there were various types of Marxists at that time. 堀木 の ように 、虚栄 の モダニティ から 、それ を 自称 する 者 も あり 、また 自分 の ように 、ただ 非合法 の 匂い が 気にいって 、そこに 坐り込んでいる 者 も あり 、もしも これら の 実体 が 、マルキシズム の 真 の 信奉者 に 見破られたら 、堀木 も 自分 も 、烈火 の 如く 怒られ 、卑劣なる 裏切者 として 、たちどころに 追い払われた 事 でしょう 。 ほりき|の|ように|きょえい|の|モダニティ|から|それ|を|じしょう|する|もの|も|あり|また|じぶん|の|ように|ただ|ひごうほう|の|におい|が|きにいって|そこに|すわりこんでいる|もの|も|あり|もしも|これら|の|じったい|が|マルキシズム|の|しん|の|しんぽうしゃ|に|みやぶられたら|ほりき|も|じぶん|も|れっか|の|ごとく|おこられ|ひれつなる|うらぎりもの|として|たちどころに|おいはらわれた|こと|でしょう |||||現代性||||||||||||||非法的|||||||||||||||||||馬克思主義|||||||||||||烈火|||| Horiki|attributive particle|like|vanity|attributive particle|modernity|from|that|object marker|self-proclaimed|to do|person|also|there is|also|myself|possessive particle|like|just|illegal|attributive particle|smell|subject marker|like|there|sitting|person|also|there is|if|these|possessive particle|substance|subject marker|Marxism|possessive particle|true|attributive particle|adherents|locative particle|if discovered|Horiki|also|myself|also|raging fire|attributive particle|like|be angry|despicable|traitor|as|immediately|chased away|thing|probably |||vaidade||||||auto-proclamado||||||||||não legal|||||||||||||||||||||||crente|||veriam|||||||||| 像堀木這樣,從虛榮的現代性中,自稱為馬克思主義者的人,也有像我這樣,單純對非法的氣息感興趣,扎根於那裡的人。如果這些實體被真正的馬克思主義信奉者看穿的話,堀木和我也將遭到如烈火般的憤怒,立即被作為卑鄙的背叛者驅逐。 There were those like Horiki, who claimed to be modern out of vanity, and there were also those like me, who simply liked the scent of illegality and settled there. If these entities were to be seen through by true believers of Marxism, both Horiki and I would have been scolded like a raging fire and immediately chased away as despicable traitors. しかし 、自分 も 、また 、堀木 で さえ も 、なかなか 除名 の 処分 に 遭わ ず 、殊に も 自分 は 、その 非合法の 世界 に 於いて は 、合法 の 紳士たち の 世界 に 於ける より も 、かえって のびのび と 、所謂 「健康 」に 振舞う 事 が 出来ました ので 、見込み の ある 「同志 」として 、噴き出したく なる ほど 過度に 秘密めかした 、さまざまの 用事 を たのま れる ほど に なった のです 。 しかし|じぶん|も|また|ほりき|で|さえ|も|なかなか|じょめい|の|しょぶん|に|あわ|ず|ことに|も|じぶん|は|その|ひごうほうの|せかい|に|おいて|は|ごうほう|の|しんしたち|の|せかい|に|おける|より|も|かえって|のびのび|と|いわゆる|けんこう|に|ふるまう|こと|が|できました|ので|みこみ|の|ある|どうし|として|ふきだしたく|なる|ほど|かどに|ひみつめかした|さまざまの|ようじ|を|||ほど|に|なった|のです |||也|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||行為|||||||||||||||過度地||神秘的|| however|myself|also|also|Horiki|at|even|also|quite|expulsion|attributive particle|punishment|locative particle|encounter|not|especially|also|myself|topic marker|that|illegal|world|locative particle|in|topic marker|legal|attributive particle|gentlemen|possessive particle|world|locative particle|in|than|also|rather|freely|and|so-called|health|locative particle|behave|thing|subject marker|was able to|because|prospects|possessive particle|there is|comrades|as|want to burst out|become|to the extent|excessively|secretive|various|errands|object marker|||to the extent|locative particle|became|you see |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||秘密めかした|| |||||||||expulsão||punição||encontrar|||||||||||||||||||||||||||||||comportar-se|||||perspectiva||||||||||excessivamente||secreto|| 然而,包括我在內,即便是堀木也很難遭到除名的處分,尤其是我在那個非法的世界裡,反而比在合法紳士們的世界裡,更能自由自在地、所謂的「健康」地行為,因此作為有潛力的「同志」,我開始受到過度神秘化的各種請托,甚至讓我忍不住想要噴出來。 However, both I and even Horiki were not subjected to expulsion, and especially for me, in that illegal world, I was able to behave more freely and what is called 'healthily' than in the world of legal gentlemen, so I became someone who was asked to do various overly secretive tasks to the point of wanting to burst out laughing as a promising 'comrade'. また 、 事実 、 自分 は 、 そんな 用事 を いち ども 断った こと は 無く 、 平気で なんでも 引受け 、 へんに ぎくしゃく して 、 犬 ( 同志 は 、 ポリス を そう 呼んで いました ) に あやしま れ 不審 訊問 じんもん など を 受けて しくじる ような 事 も 無かった し 、 笑い ながら 、 また 、 ひと を 笑わ せ ながら 、 その あぶない ( その 運動 の 連中 は 、 一大事 の 如く 緊張 し 、 探偵 小説 の 下手な 真似 みたいな 事 まで して 、 極度の 警戒 を 用い 、 そうして 自分 に たのむ 仕事 は 、 まことに 、 あっけにとられる くらい 、 つまらない もの でした が 、 それ でも 、 彼等 は 、 その 用事 を 、 さかんに 、 あぶな がって 力んで いる のでした ) と 、 彼等 の 称する 仕事 を 、 とにかく 正確に やってのけて いました 。 |じじつ|じぶん|||ようじ||||たった|||なく|へいきで||ひきうけ||||いぬ|どうし|||||よんで|||||ふしん|じんもん||||うけて|||こと||なかった||わらい|||||わらわ||||||うんどう||れんちゅう||いちだいじ||ごとく|きんちょう||たんてい|しょうせつ||へたな|まね||こと|||きょくどの|けいかい||もちい||じぶん|||しごと|||||||||||かれら|||ようじ|||||りきんで||||かれら||しょうする|しごと|||せいかくに|| 而且事實上,我從來沒有拒絕過這樣的請托,心安理得地接受任何事情,反而有些變得笨拙,偶爾被狗(同志們稱警察為狗)懷疑,被詢問不明的事情,也沒有失敗過,同時還能笑著,並讓他人發笑,雖然那危險的(那運動的夥伴們緊張得像是發生了大事,甚至還模仿拙劣的偵探小說,保持極度的警惕,然後我接受的工作,卻實在簡單得讓人驚訝),不過他們還是對那些請求充滿警覺和緊張。 Moreover, in fact, I never once refused such tasks, and I took on anything without hesitation, and there was no awkwardness that would lead to suspicion from the police (comrades referred to the police this way), nor did I ever fail due to suspicious inquiries. While laughing and making others laugh, I was accurately carrying out the so-called work they referred to as dangerous (the people involved in that movement were extremely tense as if it were a major crisis, doing things that resembled a poorly written detective novel, exercising extreme caution, and the tasks they entrusted to me were truly surprisingly trivial, yet they were fervently anxious and tense about those tasks). 自分 の その 当時 の 気持 と して は 、 党員 に なって 捕えられ 、 た とい 終身 、 刑務所 で 暮す よう に なった と して も 、 平気だった の です 。 じぶん|||とうじ||きもち||||とういん|||とらえられ|||しゅうしん|けいむしょ||くらす|||||||へいきだった|| 對於我當時的心情來說,即使成為黨員被捕,即便是終身在監獄裡生活,我也不在乎。 At that time, my feeling was that even if I were captured as a party member and ended up living in prison for life, I would be fine with it. 世の中 の人間 の 「 実 生活 」 と いう もの を 恐怖 し ながら 、 毎夜 の 不眠 の 地獄 で 呻 うめいて いる より は 、 いっそ 牢屋 ろうや の ほう が 、 楽 かも 知れない と さえ 考えて いました 。 よのなか|の にんげん||み|せいかつ|||||きょうふ|||まいよ||ふみん||じごく||うめ||||||ろうや|||||がく||しれ ない|||かんがえて| I even thought that it might be easier to be in a prison cell than to fear the 'real life' of the people in the world and suffer in the hell of sleepless nights every night.

父 は 、桜木 町 の 別荘 で は 、来客 やら 外出 やら 、同じ 家 に いて も 、三日 も 四日 も 自分 と 顔 を 合せる 事 が 無い ほど でした が 、しかし 、どうにも 、父 が けむったく 、おそろしく 、この 家 を 出て 、どこか 下宿 でも 、と 考え ながら も それ を 言い出せずに いた 矢先に 、父 が その 家 を 売払う つもり らしい と いう 事 を 別荘 番 の 老爺 ろうや から 聞きました 。 ちち|は|さくらぎ|ちょう|の|べっそう|で|は|らいきゃく|やら|がいしゅつ|やら|おなじ|いえ|に|いて|も|みっか|も|よっか|も|じぶん|と|かお|を|あわせる|こと|が|ない|ほど|でした|が|しかし|どうにも|ちち|が|けむったく|おそろしく|この|いえ|を|でて|どこか|げしゅく|でも|と|かんがえ|ながら|も|それ|を|いいだせずに|いた|やさきに|ちち|が|その|いえ|を|うりはらう|つもり|らしい|と|いう|こと|を|べっそう|ばん|の|ろうや|ろうや|から|ききました |||||||||||||||||||||||||||||||||||無論|||煙霧瀰|||||||||寄宿|||||||||||||正當此時|||||||||||| father|topic marker|Sakuragi|town|attributive particle|villa|at|topic marker|guests|and/or|going out|and/or|same|house|locative particle|being|also|three days|also|four days|also|myself|and|face|object marker|meet|thing|subject marker|not|to the extent|was|but|however|somehow|father|subject marker|smoky|terribly|this|house|object marker|leaving|somewhere|boarding house|or something|quotation particle|thinking|while|also|that|object marker|unable to say|was|just when|father|subject marker|that|house|object marker|sell|intention|seems|quotation particle|say|thing|object marker|villa|caretaker|attributive particle|old man|old man|from|heard |||||||||||||||||||||||||||||||||||de jeito nenhum|||fumou|||||||||||||||||||||||||||||||||| 父親在櫻木町的別墅中,來客和外出,雖然同在一棟房子裡,卻有三四天都無法見到他一面。不過,我一直在考慮著父親的冷淡和恐怖,想要離開這個家,去下宿,但卻又說不出口。就在這樣的時候,我從別墅看守的老爺爺那得知,父親似乎打算把這房子賣掉。 My father, at the villa in Sakuragi-cho, had so many visitors and outings that even when we were in the same house, there were times when we wouldn't see each other for three or four days. However, I couldn't help but feel that my father was becoming increasingly distant and frightening. I was thinking about leaving this house and perhaps staying somewhere else, but I couldn't bring myself to say it. Just then, I heard from the old caretaker of the villa that my father seemed to be planning to sell the house.

父 の 議員 の 任期 も そろそろ 満期 に 近づき 、 いろいろ 理由 の あった 事 に 違い ありません が 、 もう これ きり 選挙 に 出る 意志 も 無い 様子 で 、 それ に 、 故郷 に 一 棟 、 隠居 所 など 建てたり して 、 東京 に 未練 も 無い らしく 、 たかが 、 高等 学校 の 一 生徒 に 過ぎない 自分 の ため に 、 邸宅 と 召使い を 提供 して 置く の も 、 むだな 事 だ と でも 考えた の か 、( 父 の 心 も また 、 世間 の人 たち の 気持ち と 同様に 、 自分 に は よく わかりません ) とにかく 、 その 家 は 、 間も無く人手 に わたり 、 自分 は 、 本郷 森川 町 の 仙遊 館 と いう 古い 下宿 の 、 薄暗い 部屋 に 引越 して 、 そうして 、 たちまち 金 に 困りました 。 ちち||ぎいん||にんき|||まんき||ちかづき||りゆう|||こと||ちがい||||||せんきょ||でる|いし||ない|ようす||||こきょう||ひと|むね|いんきょ|しょ||たてたり||とうきょう||みれん||ない|||こうとう|がっこう||ひと|せいと||すぎ ない|じぶん||||ていたく||めしつかい||ていきょう||おく||||こと||||かんがえた|||ちち||こころ|||せけん|の じん|||きもち||どうよう に|じぶん|||||||いえ||まもなく ひとで|||じぶん||ほんごう|もりかわ|まち||せんゆう|かん|||ふるい|げしゅく||うすぐらい|へや||ひっこし||||きむ||こまりました 父親的議員任期也快到期,雖然一定有各種理由,但他似乎不再打算參加選舉。而且,他在故鄉建了一座隱居所,似乎對東京已經沒有眷戀。或許是覺得為一個不過是高中的學生的我,提供宅邸和僕人是浪費的吧。(父親的心情我也無法理解,就像世間的人的心情一樣。)總之,那棟房子不久後將轉手,而我則搬到了本鄉森川町的一家叫仙遊館的古老下宿,並迅速陷入了金錢困境。 My father's term as a politician was nearing its end, and there were various reasons for that, but it seemed he had no intention of running for election again. Moreover, he had built a retirement home in his hometown and appeared to have no lingering attachment to Tokyo. Perhaps he thought it was a waste to provide a mansion and servants for someone who was just a high school student like me. (My father's feelings, like those of people in society, are something I don't quite understand.) In any case, the house would soon change hands, and I moved to a dim room in an old boarding house called Senyukan in Hongō Morikawa-cho, and before long, I found myself in financial trouble.

それ まで 、 父 から 月々 、 きまった 額 の 小遣い を 手渡さ れ 、 それ は もう 、 二 、 三 日 で 無くなって も 、 しかし 、 煙草 も 、 酒 も 、 チイズ も 、 くだもの も 、 いつでも 家 に あった し 、 本 や 文房具 や その他 、 服装 に 関する もの など 一切 、 いつでも 、 近所 の 店 から 所 謂 「 ツケ 」 で 求められた し 、 堀木 に お そば か 天丼 など を ごちそう して も 、 父 の ひいき の 町 内 の 店 だったら 、 自分 は 黙って その 店 を 出て も かまわ なかった のでした 。 ||ちち||つきづき||がく||こづかい||てわたさ|||||ふた|みっ|ひ||なくなって|||たばこ||さけ|||||||いえ||||ほん||ぶんぼうぐ||そのほか|ふくそう||かんする|||いっさい||きんじょ||てん||しょ|い|つけ||もとめられた||ほりき|||||てんどん||||||ちち||||まち|うち||てん||じぶん||だまって||てん||でて|||| 在此之前,父親每個月都會給我固定數額的零用錢,雖然通常兩三天就花光了,但家裡總是有煙、酒、奶酪和水果等,書籍、文具及其他與服裝相關的東西,隨時都能夠在附近的店以「賒帳」的方式購買。如果在堀木那裡請我吃蕎麥麵或天丼,只要是父親偏愛的那家店,我便會默默地從店裡走出去,也毫無所謂。 Until then, my father would hand me a fixed amount of pocket money every month, which would run out in just two or three days. However, there was always tobacco, alcohol, cheese, and fruit available at home, and I could always get books, stationery, and other clothing-related items on credit from the nearby store. If I treated myself to soba or tempura at Horiki, as long as it was a store favored by my father in the neighborhood, I could leave the store without a word.

それ が 急に 、下宿 の ひとり 住い に なり 、何もかも 、月々 の 定額 の 送金 で 間に合わ せ なければ ならなく なって 、自分 は 、まごつきました 。 それ|が|きゅうに|げしゅく|の|ひとり|すまい|に|なり|なにもかも|つきづき|の|ていがく|の|そうきん|で|||なければ|ならなく|なって|じぶん|は|まごつきました that|subject marker|suddenly|boarding house|attributive particle|one person|residence|locative particle|became|everything|monthly|attributive particle|fixed amount|attributive particle|remittance|at|||if not|have to|became|myself|topic marker|was flustered |||pensão|||||||||||||||||||| 那突然之間,我成為了寄宿的獨居者,所有一切都必須依賴每月的固定匯款來維持生活,讓我感到非常困惑。 Suddenly, I became a solitary resident in the boarding house, and I had to manage everything with the fixed monthly remittance, which left me feeling flustered. 送金 は 、 やはり 、 二 、 三 日 で 消えて しまい 、 自分 は 慄然 りつぜんと し 、 心細 さ の ため に 狂う よう に なり 、 父 、 兄 、 姉 など へ 交互に お 金 を 頼む 電報 と 、 イサイフミ の 手紙 ( その 手紙 に 於 いて 訴えて いる 事情 は 、 ことごとく 、 お 道化 の 虚構 でした 。 そうきん|||ふた|みっ|ひ||きえて||じぶん||りつぜん|||こころぼそ|||||くるう||||ちち|あに|あね|||こうごに||きむ||たのむ|でんぽう||||てがみ||てがみ||お||うったえて||じじょう||||どうけ||きょこう| 匯款果然只維持了二、三天就消失不見,我感到驚恐,因為心中的不安而變得瘋狂,於是反覆地向父親、哥哥、姐姐等人請求金錢的電報,以及寫給伊賽夫米的信(那信中所訴說的情況,全部都是自欺欺人的虛構)。 The remittance, after all, disappeared in two or three days, and I was left in a state of panic, becoming almost mad due to my anxiety, sending telegrams asking for money to my father, brother, and sister in turn, along with letters to Isai Fumi (the circumstances I was pleading in those letters were all a complete fabrication of a joke. I thought that the best strategy for asking someone for something was to first make them laugh). 人 に もの を 頼む のに 、 まず 、 その人 を 笑わ せる の が 上 策 と 考えて いた の です ) を 連発 する 一方 、 また 、 堀木 に 教えられ 、 せっせと 質屋 が よい を はじめ 、 それ でも 、 いつも お 金 に 不自由 を して いました 。 じん||||たのむ|||その じん||わらわ||||うえ|さく||かんがえて|||||れんぱつ||いっぽう||ほりき||おしえられ||しちや|||||||||きむ||ふじゆう||| 我認為請求他人幫忙時,首先要讓那個人發笑才是上策(因此我不斷地重複這種自嘲的方式),同時又受到堀木的啟發,開始勤奮地向當鋪借助,但即使如此,我仍然常常缺錢。 On one hand, I was repeatedly sending those messages, while on the other hand, I was diligently learning from Horiki and starting to visit pawn shops, yet I was always struggling financially.

所詮 、自分 に は 、何の 縁故 も 無い 下宿 に 、ひとり で 「生活 」して 行く 能力 が 無かった のです 。 しょせん|じぶん|に|は|なんの|えんこ|も|ない|げしゅく|に|ひとり|で|せいかつ|して|いく|のうりょく|が|なかった|のです |||||關聯||||||||||||| after all|myself|locative particle|topic marker|any|connections|also|not|boarding house|locative particle|alone|at|life|doing|go|ability|subject marker|did not have|you see |||||vínculo||||||||||||| 所詮,我是一個與下宿毫無關聯的人,無法獨自「生活」下去。 After all, I had no ability to live alone in a boarding house with no connections. 自分 は 、 下宿 の その 部屋 に 、 ひと り で じっと して いる の が 、 おそろしく 、 いまにも 誰 か に 襲わ れ 、 一撃 せられる ような 気 が して 来て 、 街 に 飛び出して は 、 れいの 運動 の 手伝い を したり 、 或いは 堀木 と 一緒に 安い 酒 を 飲み 廻ったり して 、 ほとんど 学業 も 、 また 画 の 勉強 も 放棄 し 、 高等 学校 へ 入学 して 、 二 年 目 の 十一 月 、 自分 より 年上 の 有 夫 の 婦人 と 情 死 事件 など を 起し 、 自分 の 身の上 は 、 一変 しました 。 じぶん||げしゅく|||へや||||||||||||だれ|||おそわ||いちげき|せら れる||き|||きて|がい||とびだして|||うんどう||てつだい|||あるいは|ほりき||いっしょに|やすい|さけ||のみ|まわったり|||がくぎょう|||が||べんきょう||ほうき||こうとう|がっこう||にゅうがく||ふた|とし|め||じゅういち|つき|じぶん||としうえ||ゆう|おっと||ふじん||じょう|し|じけん|||おこし|じぶん||みのうえ||いっぺん| 我在下宿的那個房間裡獨自待著,感到相當恐懼,似乎隨時會被某人襲擊,甚至會受到重創,於是我跳出街頭,幫助運動,或是和堀木一起喝便宜酒,幾乎放棄了學業,也放棄了畫的學習,進入高中後,二年級的十一月,和比自己年長的已婚婦女產生情感糾葛,自己的身世完全改變了。 I found it terrifying to be alone in that room of the boarding house, feeling as if I would be attacked and struck down at any moment, so I would rush out into the streets, helping with the usual activities, or drinking cheap alcohol with Horiki, almost completely abandoning my studies and my art practice. In November of my second year after entering high school, I became involved in a love suicide incident with a married woman older than me, and my life changed completely.

学校 は 欠席 する し 、学科 の 勉強 も 、すこしも しなかった のに 、それでも 、妙に 試験 の 答案 に 要領 の いい ところ が ある ようで 、どうやら それまで は 、故郷 の 肉親 を あざむき 通して 来た のです が 、しかし 、もう そろそろ 、出席 日数 の 不足 など 、学校 の ほう から 内密に 故郷 の 父 へ 報告 が 行っている らしく 、父 の 代理 として 長兄 が 、いかめしい 文章 の 長い 手紙 を 、自分 に 寄こす ように なっていた のでした 。 がっこう|は|けっせき|する|し|がっか|の|べんきょう|も|すこしも|しなかった|のに|それでも|みょうに|しけん|の|とうあん|に|ようりょう|の|いい|ところ|が|ある|ようで|どうやら|それまで|は|ふるさと|の|にくしん|を|あざむき|とおして|きた|のです|が|しかし|もう|そろそろ|しゅっせき|にっすう|の|ふそく|など|がっこう|の|ほう|から|ないみつに|ふるさと|の|ちち|へ|ほうこく|が|いっている|らしく|ちち|の|だいり|として|ちょうけい|が|いかめしい|ぶんしょう|の|ながい|てがみ|を|じぶん|に|よこす|ように|なっていた|のでした |||||||||一點也||||||||||||||||||似乎||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||嚴肅的|||||| school|topic marker|absence|to be absent|and|subject|possessive particle|study|also|not at all|did not study|even though|even so|strangely|exam|attributive particle|answer sheet|locative particle|efficiency|attributive particle|good|points|subject marker|there is|it seems|somehow|until then|topic marker|hometown|possessive particle|close relatives|object marker|deceiving|through|came|you see|but|however|already|soon|attendance|number of days|possessive particle|shortage|etc|school|possessive particle|side|from|secretly|hometown|possessive particle|father|to|report|subject marker|is going|it seems|father|possessive particle|proxy|as|eldest brother|subject marker|stern|letter|possessive particle|long|letter|object marker|myself|locative particle|send|so that|had been|it was |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||いかめしい|||||| |||||||||nem um pouco||||||estranhamente|||resposta||habilidade|||||||||||||||enganar|||||||||||||||||em segredo|||||relatório||||||||||||严肃|||||| 儘管缺席了學校,也沒有學習任何課程,但奇怪的是,考試的答案中似乎有些機靈的地方,總的來說,直到那時為止,似乎一直在欺騙故鄉的親人,但現在看來,缺席的日數似乎已經被學校偷偷地向故鄉的父親報告了,於是父親的代理長兄開始寄給我一封長篇的正式信件。 Although I was absent from school and hadn't studied any subjects at all, there seemed to be a strangely clever aspect to my exam answers. It appeared that until then, I had been deceiving my family back home, but it seemed that soon enough, the school was secretly reporting my lack of attendance to my father. As a result, my eldest brother, acting on behalf of my father, had started sending me long letters with stern wording. けれども 、それ より も 、自分 の 直接 の 苦痛 は 、金 の 無い 事 と 、それから 、れいの 運動 の 用事 が 、とても 遊び半分 の 気持 で は 出来ない くらい 、はげしく 、いそがしく なって 来た 事 でした 。 けれども|それ|より|も|じぶん|の|ちょくせつ|の|くつう|は|かね|の|ない|こと|と|それから|れいの|うんどう|の|ようじ|が|とても|あそびはんぶん|の|きもち|で|は|できない|くらい|はげしく|いそがしく|なって|きた|こと|でした ||||||直接的|痛苦|||||||||||||||遊玩心態|||||||激烈地|忙碌地|||| but|that|than|also|myself|possessive particle|direct|attributive particle|pain|topic marker|money|attributive particle|not have|thing|and|and then|that|exercise|attributive particle|plans|subject marker|very|half-hearted|attributive particle|feeling|at|topic marker|cannot do|to the extent|intensely|busily|has become|has come|thing|was ||||||direto|||||||||||||||||||||||||||| 然而,直接的痛苦是缺錢,然後,與那個運動有關的事情,變得非常忙碌,以至於根本無法以玩樂的心情來進行。 However, more directly painful for me was the lack of money, and also the fact that the physical activities I was involved in had become so intense and busy that I could no longer approach them with a half-hearted attitude. 中央 地区 と 言った か 、何 地区 と 言った か 、とにかく 本郷 、小石川 、下谷 、神田 、あの 辺 の 学校 全部 の 、マルクス 学生 の 行動 隊 々 長 と いう もの に 、自分 は なって いた のでした 。 ちゅうおう|ちく|と|いった|か|なに|ちく|と|いった|か|とにかく|ほんごう|こいしかわ|したや|かんだ|あの|へん|の|がっこう|ぜんぶ|の|マルクス|がくせい|の|こうどう|たい|々|ちょう|と|いう|もの|に|じぶん|は|なって|いた|のでした central|district|quotation particle|said|question marker|what|district|quotation particle|said|question marker|anyway|Hongo|Koishikawa|Shitaya|Kanda|that|area|attributive particle|school|all|possessive particle|Marx|student|possessive particle|action|squad|repetition marker|leader|quotation particle|called|thing|locative particle|myself|topic marker|became|was|was |||||||||||||||||||||||||隊||||||||||| 至於是中央地區還是什麼地區,總之在本鄉、小石川、下谷、神田,那一帶的所有學校中,我成為了馬克思主義學生的行動隊隊長。 Whether it was called the Central District or some other district, in any case, I had become the leader of the Marxist student action group for all the schools in the area of Hongo, Koishikawa, Shitaya, and Kanda. 武装 蜂起 ほうき 、 と 聞き 、 小さい ナイフ を 買い ( いま 思えば 、 それ は 鉛筆 を けずる に も 足りない 、 きゃしゃな ナイフ でした ) それ を 、 レンコオト の ポケット に いれ 、 あちこち 飛び 廻って 、 所 謂 いわゆる 「 聯絡 れんらく 」 を つける のでした 。 ぶそう|ほうき|||きき|ちいさい|ないふ||かい||おもえば|||えんぴつ|||||たりない||ないふ||||||ぽけっと||||とび|まわって|しょ|い||れんらく|||| 聽說是武裝起義,我買了一把小刀(現在回想起來,那把刀連削鉛筆都不夠用,是非常脆弱的刀),把它放進小口袋裡,四處飛跑,進行所謂的「聯絡」。 Hearing about the armed uprising, I bought a small knife (looking back now, it was a delicate knife that was barely enough to sharpen a pencil), put it in my pocket, and flew around here and there, establishing what is called 'contact'. お酒 を 飲んで 、ぐっすり 眠りたい 、しかし 、お金 が ありません 。 おさけ|を|のんで|ぐっすり|ねむりたい|しかし|おかね|が|ありません sake|object marker|drinking|soundly|want to sleep|however|money|subject marker|there is not I want to drink alcohol and sleep soundly, but I have no money. しかも 、 P (党 の 事 を 、そういう 隠語 で 呼んで いた と 記憶 して います が 、或いは 、違って いる かも 知れません )の ほう から は 、次々 と 息 を つく ひま も 無い くらい 、用事 の 依頼 が まいります 。 しかも|P|とう|の|こと|を|そういう|いんご|で|よんで|いた|と|きおく|して|います|が|あるいは|ちがって|いる|かも|しれません|の|ほう|から|は|つぎつぎ|と|いき|を|つく|ひま|も|ない|くらい|ようじ|の|いらい|が|まいります ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||來 moreover|P|party|attributive particle|matter|object marker|such|slang|at|calling|was|quotation particle|memory|doing|is|but|or|different|is|maybe|don't know|possessive particle|side|from|topic marker|one after another|and|breath|object marker|sigh|time|also|not|about|errands|attributive particle|requests|subject marker|will come ||partido|||||gíria|||||||||||||||||||||||||||||pedido|| 而且,我記得那個「P」(是指黨的事情,以這種隱語來稱呼,也許我記錯了)這邊有接連不斷的要求,連喘口氣的空間都沒有。 Moreover, I remember that P (I think that was the code name for the party, but I might be mistaken) keeps sending requests one after another, leaving no time to catch my breath. 自分 の 病弱 の からだ で は 、とても 勤まり そう も 無くなりました 。 じぶん|の|びょうじゃく|の|からだ|で|は|とても|つとまり|そう|も|なくなりました |||||||能夠工作|||| myself|possessive particle|weak health|attributive particle|body|at|topic marker|very|able to work|seems|also|has become no longer |||||||ser capaz|||| 以我這個病弱的身體,實在是無法再繼續下去了。 With my frail body, it seems impossible to keep up. もともと 、 非合法の 興味 だけ から 、 その グルウプ の 手伝い を して いた の です し 、 こんなに 、 それ こそ 冗談 から 駒 が 出た よう に 、 いやに いそがしく なって 来る と 、 自分 は 、 ひそかに P の ひと たち に 、 それ は お 門 かど ちがい でしょう 、 あなた たち の 直系 の もの たち に やら せたら どう です か 、 と いう ような いまいましい 感 を 抱く の を 禁ずる 事 が 出来 ず 、 逃げました 。 |ひごうほうの|きょうみ||||||てつだい||||||||||じょうだん||こま||でた||||||くる||じぶん|||||||||||もん|||||||ちょっけい||||||||||||||かん||いだく|||きんずる|こと||でき||にげました 本來只是因為對非法的興趣,才幫那個團體的忙,但隨著事務變得如此忙碌,彷彿真的是開玩笑一般,心中不禁暗想對於P的人們說,這可是冤屈啊,不如讓你們的直系成員來處理一下如何,我無法克制這種惱人的感覺,於是便逃跑了。 Originally, I was only helping that group out of illegal interest, and now that it has become so busy, as if a joke has turned into reality, I can't help but feel secretly annoyed at the people from P, thinking, isn't that a bit off? Why not let your direct subordinates handle it? 逃げて 、さすが に 、いい 気持 は せず 、死ぬ 事 に しました 。 にげて|さすが|に|いい|きもち|は|せず|しぬ|こと|に|しました run away|as expected|locative particle|good|feeling|topic marker|without doing|die|thing|locative particle|decided 逃跑吧,果然,心情不好,決定要死。 I ran away, but as expected, I didn't feel good at all, so I decided to die.

その頃 、自分 に 特別の 好意 を 寄せて いる 女 が 、三 人 いました 。 そのころ|じぶん|に|とくべつの|こうい|を|よせて|いる|おんな|が|さん|にん|いました at that time|myself|locative particle|special|affection|object marker|having feelings|is|woman|subject marker|three|people|there was 那個時候,對我抱有特別好感的女孩子有三個。 At that time, there were three women who had special feelings for me. ひとり は 、自分 の 下宿 している 仙遊館 の 娘 でした 。 ひとり|は|じぶん|の|げしゅく|している|せんゆうかん|の|むすめ|でした alone|topic marker|myself|possessive particle|boarding house|is living|Sen'yūkan (name of the boarding house)|attributive particle|daughter|was |||||||Sen'yū|| 其中一個是住在我下宿的仙遊館的女兒。 One of them was the daughter of the inn where I was staying. この 娘 は 、 自分 が れいの 運動 の 手伝い で へとへとに なって 帰り 、 ごはん も 食べ ず に 寝て しまって から 、 必ず 用 箋 ようせ ん と 万年筆 を 持って 自分 の 部屋 に やって 来て 、 |むすめ||じぶん|||うんどう||てつだい||||かえり|||たべ|||ねて|||かならず|よう|せん||||まんねんひつ||もって|じぶん||へや|||きて This girl would always come to my room with a notepad and fountain pen after I returned home exhausted from helping with the usual exercise, and would go to sleep without even eating.

「 ごめんなさい 。 "I'm sorry. 下 で は 、妹 や 弟 が うるさくて 、ゆっくり 手紙 も 書け ない のです 」 した|で|は|いもうと|や|おとうと|が|うるさくて|ゆっくり|てがみ|も|かけ|ない|のです under|at|topic marker|younger sister|and|younger brother|subject marker|noisy|slowly|letter|also|can write|not|you see Downstairs, my younger sister and brother are noisy, so I can't write my letter slowly."

と 言って 、何やら 自分 の 机 に 向って 一 時間 以上 も 書いている のです 。 と|いって|なにやら|じぶん|の|つくえ|に|むかって|いち|じかん|いじょう|も|かいている|のです |||||桌子|||||||| and|saying|something or other|myself|possessive particle|desk|locative particle|facing|one|hour|more than|also|writing|you see 我說過,似乎正對著自己的桌子寫了一個多小時。 Saying this, she was writing something at her desk for over an hour.

自分 も また 、 知らん振り を して 寝て おれば いい のに 、 いかにも その 娘 が 何 か 自分 に 言って もらい た げ の 様子 な ので 、 れい の 受け身の 奉仕 の 精神 を 発揮 して 、 実に 一言 も 口 を きき たくない 気持 な のだ けれども 、 くたくたに 疲れ切って いる から だ に 、 ウム と 気合い を かけて 腹這 はらばい に なり 、 煙草 を 吸い 、 じぶん|||しらんふり|||ねて||||||むすめ||なん||じぶん||いって|||||ようす|||||うけみの|ほうし||せいしん||はっき||じつに|いちげん||くち|||たく ない|きもち|||||つかれきって|||||||きあい|||はらばい||||たばこ||すい 自己也可以裝作不知道就睡著,但是,這女孩看起來像是想要我說些什麼,於是不由自主地發揮了那種被動奉獻的精神,實在是不想說一句話,然而,由於疲憊不堪,勉強地「嗯」了一聲,趴在桌子上,抽著煙。 I could just pretend to sleep, but she seemed like she wanted me to say something to her, so I displayed the usual passive service spirit. Although I really didn't want to say a word, I was completely exhausted, so I took a deep breath, lay down on my stomach, and smoked a cigarette.

「女 から 来た ラヴ ・レター で 、風呂 を わかして は いった 男 が ある そうです よ 」 おんな|から|きた|ラヴ|レター|で|ふろ|を|わかして|は|いった|おとこ|が|ある|そうです|よ ||||||||煮沸||||||| woman|from|came|love|letter|at|bath|object marker|boiling|topic marker|went|man|subject marker|there is|it seems|emphasis marker 聽說曾經有個男的收到了來自女人的情書,還為此去準備澡堂呢。 "There is a man who was said to have been warmed up by a love letter from a woman."

「あら 、いやだ 。 あら|いやだ oh|no way 「哦,真是的。 "Oh, how awful. あなた でしょう ? あなた|でしょう you|right 是你吧? Isn't that you?" "

「ミルク を わかして 飲んだ 事 は ある んです 」 ミルク|を|わかして|のんだ|こと|は|ある|んです 牛奶||||||| milk|object marker|heated|drank|experience|topic marker|there is|you see 「我曾經喝過加熱的牛奶」 "I have boiled milk and drunk it before."

「光栄 だ わ 、飲んで よ 」 こうえい|だ|わ|のんで|よ honor|is|sentence-ending particle (emphasizing)|drink (te-form)|sentence-ending particle (emphasizing) 「真榮幸,快喝吧」 "I'm honored, go ahead and drink it."

早く この ひと 、帰ら ねえ か なあ 、手紙 だ なんて 、見えすいて いる のに 。 はやく|この|ひと|かえら|ねえ|か|なあ|てがみ|だ|なんて|みえすいて|いる|のに ||||||||||太明顯了|| quickly|this|person|will return|right|question marker|you know|letter|is|things like|transparent|is|even though 這個人怎麼還不回去呢,明明是邀請信,看得出來啊。 I wonder if this person will go home soon; even though they say it's a letter, it's so transparent. へ へ の の も へ じ でも 書いて いる のに 違いない んです 。 へ|へ|の|の|も|へ|じ|でも|かいて|いる|のに|ちがいない|んです to|to|attributive particle|attributive particle|also|to|emphasis particle|but|writing|is|even though|must be|you see 雖然我寫著嘿嘿之類的,但這應該沒有錯。 They must be writing something trivial, that's for sure.

「見せて よ 」 みせて|よ show|emphasis marker 「讓我看看」 "Show me, please."

と 死んで も 見 たく ない 思い で そう 言えば 、あら 、いや よ 、あら 、いや よ 、と 言って 、その うれしがる 事 、ひどく みっともなく 、興 が 覚める ばかりな のです 。 と|しんで|も|み|たく|ない|おもい|で|そう|いえば|あら|いや|よ|あら|いや|よ|と|いって|その|うれしがる|こと|ひどく|みっともなく|きょう|が|さめる|ばかりな|のです |||||||||||||||||||||||可恥的|||| and|die|even|see|want to|not|feeling|with|so|if you say|oh|no|emphasis particle|oh|no|emphasis particle|and|saying|that|will be happy|thing|very|disgracefully|interest|subject marker|cools|just|you see |||||||||||||||||||||||vergonhoso|||| 如果這樣說是出於死也不想見的想法,那麼啊,真讓人不想啊,啊,真讓人不想啊,這樣的說法讓人感到高興,真是相當失態,讓人完全提不起興致。 If I were to say that with a feeling I never want to see even if I die, oh, no, oh, no, saying that while being so pleased is terribly embarrassing and only dampens my spirits. そこ で 自分 は 、用事 でも 言いつけて やれ 、と 思う んです 。 そこ|で|じぶん|は|ようじ|でも|いいつけて|やれ|と|おもう|んです ||||||告訴|||| there|at|myself|topic marker|errands|or something|tell|do it|quotation particle|think|you see ||||||dizer|||| 所以我在想,能不能拜託你去辦點事。 So I think to myself, I should give them a task.

「すまない けど ね 、電車 通り の 薬屋 に 行って 、カルモチン を 買って 来て くれない ? すまない|けど|ね|でんしゃ|とおり|の|くすりや|に|いって|カルモチン|を|かって|きて|くれない |||||||||||買|| I'm sorry|but|right|train|street|attributive particle|drugstore|locative particle|go (te-form)|Carmotene|object marker|buy (te-form)|come (te-form)|won't you give me |||||||||カルモチン|||| 「抱歉,不過你能去電車旁的藥局,幫我買點卡爾莫汀嗎? "I'm sorry, but could you go to the pharmacy on the train road and buy some Calmothin for me?" あんまり 疲れ すぎて 、顔 が ほてって 、かえって 眠れ ない んだ 。 あんまり|つかれ|すぎて|かお|が|ほてって|かえって|ねむれ|ない|んだ |||||發熱||睡不著|| not very|tired|too|face|subject marker|flushed|on the contrary|can't sleep|not|you see |||||vermelho|||| 我太累了,臉發熱,反而睡不著。 I'm so tired that my face is flushed, and I can't sleep at all. すまない ね 。 すまない|ね sorry|right I'm sorry. お 金 は 、……」 お|きん|は honorific prefix|gold|topic marker As for the money, ...

「いい わ よ 、お 金 なんか 」 いい|わ|よ|お|お金|なんか good|sentence-ending particle for emphasis (female)|sentence-ending particle for emphasis|honorific prefix|money|like or something like It's fine, I don't care about the money.

よろこんで 立ちます 。 よろこんで|たちます gladly|will stand I will gladly stand up. 用 を 言いつける という の は 、決して 女 を しょげ させる 事 で は なく 、かえって 女 は 、男 に 用事 を たのまれ る と 喜ぶ もの だ と いう 事 も 、自分 は ちゃんと 知っている のでした 。 よう|を|いいつける|という|の|は|けっして|おんな|を|しょげ|させる|こと|で|は|なく|かえって|おんな|は|おとこ|に|ようじ|を|たのまれ|る|と|よろこぶ|もの|だ|と|いう|こと|も|じぶん|は|ちゃんと|しっている|のでした 用||告訴||||||||沮喪|||||||||||||||||||||||||| use|object marker|to tell|called|attributive particle|topic marker|never|woman|object marker|to be downhearted|to make|thing|at|topic marker|not|on the contrary|woman|topic marker|man|locative particle|errands|object marker|asked|passive marker|quotation particle|to be happy|thing|is|quotation particle|to say|thing|also|oneself|topic marker|properly|know|was ||||||||||triste|||||||||||||||||||||||||| 用的要求並不會讓女性感到沮喪,相反地,女性會因為被男性要求做事而感到高興,我自己也清楚這一點。 To ask a woman to do something does not mean to make her feel down; rather, a woman is actually happy when a man asks her for a favor, and I know this well.

もう ひと り は 、女子 高等 師範 の 文科 生 の 所謂 「同志 」でした 。 もう|ひと|り|は|じょし|こうとう|しはん|の|ぶんか|せい|の|いわゆる|どうし|でした already|one|person|topic marker|girls|high|teacher's college|attributive particle|liberal arts|student|possessive particle|so-called|comrade|was ||||||normal||ciências humanas||||| 另一位是女子高等師範的文科生,所謂的「同志」。 The other person was what is called a "comrade" from the women's high school teacher training program. この ひと と は 、れいの 運動 の 用事 で 、いやで も 毎日 、顔 を 合せ なければ ならなかった のです 。 この|ひと|と|は|れいの|うんどう|の|ようじ|で|いやで|も|まいにち|かお|を|あわせ|なければ|ならなかった|のです ||||||||||也||||||| this|person|and|topic marker|the usual|exercise|attributive particle|errands|at|unpleasant|even|every day|face|object marker|meet|must|did not have to|you see 與這位人士因為運動的事務,哪怕不情願,也必須每天見面。 With this person, I had to face them every day for the tasks related to the movement, even if I didn't want to. 打ち合せ が すんで から も 、その 女 は 、いつまでも 自分 に ついて 歩いて 、そうして 、やたらに 自分 に 、もの を 買って くれる のでした 。 うちあわせ|が|すんで|から|も|その|おんな|は|いつまでも|じぶん|に|ついて|あるいて|そうして|やたらに|じぶん|に|もの|を|かって|くれる|のでした 會議||||||||||||走||隨意地||||||| meeting|subject marker|after finishing|after|even|that|woman|topic marker|forever|myself|locative particle|following|walking|and|excessively|myself|locative particle|things|object marker|buying|gives|was ||||||||||||||sem parar||||||| 會議結束後,那個女人還是一直跟在我身邊,並且不斷地為我買東西。 Even after the meeting was over, that woman continued to walk alongside me for a long time, and she kept buying things for me without hesitation.

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