三 姉妹 探偵 団 3 Chapter 00
みっ|しまい|たんてい|だん|chapter
Three Sisters Detectives 3 Chapter 00
プロローグ
ぷろろーぐ
prologue
女 は 校門 の 前 まで 来て 、 ためらった 。
おんな||こうもん||ぜん||きて|
The woman came to the front of the school gate and hesitated.
本当に 門 が 開く かしら ?
ほんとうに|もん||あく|
Does the gate really open?
それ に 、 開く と したって 、 凄い 音 が する んじゃ ない だろう か 。
||あく|||すごい|おと||||||
Well, if you open it, it sounds amazing.
こんな 夜中 に 、 大きな 音 を 立てたら 、 近所 の 家 に 聞こえ そうだ けど ……。
|よなか||おおきな|おと||たてたら|きんじょ||いえ||きこえ|そう だ|
If you make a loud noise in the middle of the night like this, you might hear it at your neighbor's house ...
女 は 、 鉄柵 の 門 を 押そう と して 、 もう 一 度 、 後ろ を 振り向いた 。
おんな||てっさく||もん||おそう||||ひと|たび|うしろ||ふりむいた
The woman turned around again, trying to push the gate of the iron fence.
誰 か が 見て いる 。
だれ|||みて|
Someone is watching.
── そう 思えて なら なかった 。
|おもえて||
──I didn't think so.
家 を 出て 、 ここ まで 来る 間 、 ずっと そう 感じて いた のだ 。
いえ||でて|||くる|あいだ|||かんじて||
I felt that way all the time I left home and came this far.
誰 か が 尾 け て 来る 。
だれ|||お|||くる
Someone will come after you.
見 られて いる 。
み||
It has been seen .
気のせい だ わ 、 と 自分 に 言い聞かせた 。
きのせい||||じぶん||いいきかせた
I told myself that it was my fault.
こんな 風 に 人目 を 忍んで 出かけて 来た とき は 、 いつ だって そんな 気 が する もの だ 。
|かぜ||ひとめ||しのんで|でかけて|きた||||||き||||
Whenever I go out with a sneak peek like this, I always feel like that.
本当に 、 私 が 先生 と ホテル へ 入る とき だって 、 いつも 誰 か に 見 られて いる ような 気 が した 。
ほんとうに|わたくし||せんせい||ほてる||はいる||||だれ|||み||||き||
Really, when I entered the hotel with my teacher, I always felt like someone was watching me.
でも 、 結局 は 何でもなかった のだ 。
|けっきょく||なんでもなかった|
But in the end it was nothing.
── そう 。
今 だって 、 気のせい に 決 って いる 。
いま||きのせい||けっ||
Even now, it's decided because of my mind.
女 は 、 ためらい を 振り切る ように 、 大きく 一 つ 息 を ついて 、 それ から 思い切って 、 門 を 押して みた 。
おんな||||ふりきる||おおきく|ひと||いき|||||おもいきって|もん||おして|
The woman took a big breath, as if to shake off her hesitation, and then took the plunge and pushed the gate.
カタカタカタ ……。
Rattling …….
びっくり する ほど 音 は 小さかった 。
|||おと||ちいさかった
The sound was surprisingly quiet.
門 は 、 内側 へ 楽々 と 開いた 。
もん||うちがわ||らくらく||あいた
The gate opened easily inward.
ホッと 息 を つく 。
ほっと|いき||
Take a breath.
これ なら 、 誰 も 気付く まい 。
||だれ||きづく|
If this is the case, no one will notice it.
女 は 中 へ 入る と 、 門 を 元 の 通り に 閉めて おいた 。
おんな||なか||はいる||もん||もと||とおり||しめて|
When the woman went inside, she closed the gate back to its original state.
女 が 、 神経 を 尖ら せて いる の も 、 理由 の ない こと で は なくて ── ともかく 、 辺り は 静かだった のである 。
おんな||しんけい||とがら|||||りゆう||||||||あたり||しずかだった|
The woman's nerves were sharpened, not for no reason ── anyway, the area was quiet.
夜 、 十二 時 、 と いう 時間 の せい も ある が 、 今時 、 十二 時 ぐらい まで 起きて いる 若者 は 珍しく も ない 。
よ|じゅうに|じ|||じかん||||||いまどき|じゅうに|じ|||おきて||わかもの||めずらしく||
It is not uncommon for young people to stay up until about 12 o'clock at night, partly because of the time of 12 o'clock.
しかし 、 今 、 少なくとも 校門 から 見える 家 に は 、 一 つ も 明り の 点いた 窓 は なかった 。
|いま|すくなくとも|こうもん||みえる|いえ|||ひと|||あかり||ついた|まど||
But now, at least in the house visible from the school gate, there were no lit windows.
薄気味悪い ほど の 静寂 。
うすきみわるい|||せいじゃく
Creepy silence.
月 も 出て い ない 。
つき||でて||
The moon hasn't risen either.
ほとんど 闇夜 に 近かった 。
|やみよ||ちかかった
It was almost dark night.
女 は 、 校舎 へ と 目 を やった 。
おんな||こうしゃ|||め||
The woman looked at the school building.
── 校門 を 入る と 運動 場 で 、 大した 広 さ で は なかった が 、 校舎 は その 奥 だった 。
こうもん||はいる||うんどう|じょう||たいした|ひろ||||||こうしゃ|||おく|
── When you entered the school gate, it was an athletic field, and although it was not very large, the school building was in the back.
一 つ 、 明り の 点いた 窓 が あった 。
ひと||あかり||ついた|まど||
There was one window with a light.
「 あそこ だ わ 」
"It's over there"
と 、 女 は 呟いた 。
|おんな||つぶやいた
The woman muttered.
足下 も はっきり 見え ない ような 夜 だ 。
あしもと|||みえ|||よ|
It's a night when you can't even see your feet clearly.
懐中 電灯 でも 持って 来る んだった わ 、 と 思った が 、 もう 遅い 。
かいちゅう|でんとう||もって|くる||||おもった|||おそい
I thought I would bring a flashlight, but it's too late.
出入 口 の 上 に 、 一 つ 、 常 夜 灯 が 灯って いる 。
しゅつにゅう|くち||うえ||ひと||とわ|よ|とう||ともって|
There is one nightlight above the doorway.
そこ を 目指して 、 真 直ぐに 歩いて 行った 。
||めざして|まこと|すぐに|あるいて|おこなった
Aiming for that, I walked straight.
近付いて 、 足下 が 見える ように なる と 、 ホッと した 。
ちかづいて|あしもと||みえる||||ほっと|
I was relieved when I got closer and could see my feet.
ここ も ちゃんと 開けて ある かしら ?
|||あけて||
I wonder if this is also opened properly?
戸 は 、 楽に 開いた 。
と||らくに|あいた
The door opened comfortably.
── さすが に 抜かり が ない んだ から ……。
||ぬかり||||
──Because there is no excuse ...
校舎 の 中 へ 入る と 、 何となく 気 が 楽に なった 。
こうしゃ||なか||はいる||なんとなく|き||らくに|
When I entered the school building, I felt at ease.
もちろん 、 あまり 居心地 の いい 場所 で ない こと は 確かである 。
||いごこち|||ばしょ|||||たしかである
Of course, it's certainly not a very cozy place.
廊下 に 、 光 が 洩 れて いた 。
ろうか||ひかり||えい||
Light was leaking into the corridor.
あの 、 明り の 点いて いた 教室 である 。
|あかり||ついて||きょうしつ|
That is the classroom where the lights were on.
その 教室 の 戸 を 開ける 。
|きょうしつ||と||あける
Open the door of the classroom.
今度 は 、 ちょっと ギクリと する ような 、 大きな 音 が した 。
こんど|||ぎくりと|||おおきな|おと||
This time, there was a loud, slightly jarring sound.
でも ── 校舎 の 中 なら 、 どう って こと は ない わ 。
|こうしゃ||なか|||||||
But ──If it's inside the school building, there's nothing wrong with it.
「 先生 ……」
せんせい
と 、 女 は 低い 声 で 呼んで みた 。
|おんな||ひくい|こえ||よんで|
The woman called in a low voice.
空っぽの 教室 は 、 外 以上 に 寒々 と して いた 。
からっぽの|きょうしつ||がい|いじょう||さむざむ|||
The empty classroom was colder than outside.
外 も 、 もう 大分 寒い 。
がい|||だいぶ|さむい
It's already cold outside.
もう すぐ 十二 月 に なろう と いう ところ だ 。
||じゅうに|つき||||||
It's about to be December.
本当 なら 、 この 教室 の 中 の 方 が 暖 い はずだ が 、 いつも 人 が 沢山 いる 場所 が 空っぽに なって いる の は 、 寂しい 光景 であった 。
ほんとう|||きょうしつ||なか||かた||だん|||||じん||たくさん||ばしょ||からっぽに|||||さびしい|こうけい|
If true, it should have been warmer in this classroom, but it was a lonely sight that the place where there were always a lot of people was empty.
どこ に 行った の かしら ……。
||おこなった||
I wonder where I went ...
中 に 入って 、 女 は 、 教壇 の 上 に 立って みた 。
なか||はいって|おんな||きょうだん||うえ||たって|
Once inside, the woman stood on the podium.
── 先生 に なった 気分 だ わ 、 と 思って 、 微笑 する 。
せんせい|||きぶん||||おもって|びしょう|
──I feel like I'm a teacher, and smile.
でも ── すぐに 笑み は 消えた 。
||えみ||きえた
But ── Immediately the smile disappeared.
今夜 の 話 の こと を 考える と 、 心 は 重い 。
こんや||はなし||||かんがえる||こころ||おもい
Thinking about tonight's story, my heart is heavy.
話して くれ なくて も 分 って いる こと を 、 改めて 人 の 口 から 聞く の は 辛い もの だ 。
はなして||||ぶん|||||あらためて|じん||くち||きく|||からい||
It's hard to hear again from the human mouth that you know what you know without telling us.
でも 、 聞か なくて は なら ない 。
|きか||||
そう 。
結局 は 私 と 先生 と 、 二 人 の 責任 なんだ から 。
けっきょく||わたくし||せんせい||ふた|じん||せきにん||
After all, it's the responsibility of me and the teacher.
逃げる こと は でき ない のだ 。
にげる|||||
You can't run away.
足音 が 、 廊下 を やって 来た 。
あしおと||ろうか|||きた
Footsteps came down the hallway.
── 女 は 入口 の 方 へ 顔 を 向けた 。
おんな||いりぐち||かた||かお||むけた
── The woman turned her face toward the entrance.
戸 は 開いた まま に なって いる 。
と||あいた||||
The door remains open.
「 どこ に 行って た の ?
||おこなって||
と 、 女 が 言って ── 表情 が こわばった 。
|おんな||いって|ひょうじょう||
Said the woman, ── the expression was stiff.
体 が 動く 間 も なかった 。
からだ||うごく|あいだ||
I didn't have time to move.
一気に 迫って 来た その 人物 の 両手 が 真 直ぐに 伸びて 来て 、 女 の 首 を がっしり と つかまえた 。
いっきに|せまって|きた||じんぶつ||りょうて||まこと|すぐに|のびて|きて|おんな||くび||||
The person's hands, which came at a stretch, stretched out straight and grabbed the woman's neck tightly.
声 を 上げよう に も 、 絞め 上げ られて 、 息 が 通ら ない 。
こえ||あげよう|||しめ|あげ||いき||とおら|
Even if I try to raise my voice, I can't breathe because I'm squeezed.
女 の 目 が カッ と 見開いた 。
おんな||め||||みひらいた
The woman's eyes opened wide.
振り 放そう と 体 を 左右 へ 激しく 揺らした 。
ふり|はなそう||からだ||さゆう||はげしく|ゆらした
I shook my body violently from side to side to shake it off.
首 に 食い込んだ 指 は 外れ なかった 。
くび||くいこんだ|ゆび||はずれ|
The finger that bite into the neck did not come off.
女 が よろける 。
おんな||
The woman staggers.
── 二 人 は 、 生徒 の 机 に 向 って 一緒に 倒れた 。
ふた|じん||せいと||つくえ||むかい||いっしょに|たおれた
机 が 、 二 つ 、 三 つ 、 派手な 音 を 立てて 倒れる 。
つくえ||ふた||みっ||はでな|おと||たてて|たおれる
The desk collapses with two, three, and a flashy noise.
二 人 は 、 床 の 上 で 、 なおも 激しく もみ合った ……。
ふた|じん||とこ||うえ|||はげしく|もみあった