若 様 は 一 人
わか|さま||ひと|じん
young man alone
若 様 は 一 人
わか|さま||ひと|じん
young||||
Young Master is alone.
むかし むかし 、 彦 一 ( ひこ いち ) と 言う 、 とても かしこい 子ども が い ました 。
||ひこ|ひと|ひ こ|||いう|||こども|||
||boy||boy|||||smart||||
Once upon a time, there was a very clever child named Hikoiichi.
その うわさ は 隣 近所 の 町 や 村 に まで 広がり 、 とうとう 、 お 城 の 殿さま の 耳 に まで 入り ました 。
|||となり|きんじょ||まち||むら|||ひろがり|||しろ||とのさま||みみ|||はいり|
|rumor|||||||||||finally||||lord||||||
That rumor spread to the neighboring towns and villages, and eventually reached the ears of the lord of the castle.
「 そんなに 利口 なら 、 一 つ とんち の 力試し を して やろう 」 こうして 彦 一 は 、 お 城 に 呼ば れた のです 。
|りこう||ひと||||ちからだめし|||||ひこ|ひと|||しろ||よば||
|smart||||wisdom||test of wit||||thus|boy||||||||
"If you are that clever, let's put your wits to the test." Thus, Hikoichi was summoned to the castle.
彦 一 が 、 お 城 の 大広間 で かしこまって いる と 、 やがて 現れた 殿さま が 言い ました 。
ひこ|ひと|||しろ||おおひろま||||||あらわれた|とのさま||いい|
||||||great hall|at|formally seated|||eventually|||||
Hikoichi was sitting formally in the castle's great hall when the lord, who soon appeared, said,
「 そち が 、 ちまた で 評判 の 彦 一 じゃ な 。
||||ひょうばん||ひこ|ひと||
||town||reputation|||||
"You are Hikoichi, who is reputed in the town, aren't you?"
くるしゅう ない 、 面 ( おもて → 顔 ) を 上げ い 。
||おもて||かお||あげ|
don't suffer|||||||
"You needn't be troubled, raise your face."
・・・ ほ ほう 、 利発 ( りはつ → かしこ そう ) な 顔 を して おる な 。
||りはつ|||||かお||||
||smart|smart|smart|||face||||
Hmm, you have a clever-looking face, don't you?
ところで 余 に も 、 お前 くらい の 若 が 一 人 おる 。
|よ|||おまえ|||わか||ひと|じん|
|I||||||||||there
By the way, I have a young one just like you.
その方 、 これ から は 若 の 遊び 相手 を して やって くれ 」 殿さま は こう 言った あと 、 家来 の 者 に 若 さま を 呼び に 行か せ ました 。
そのほう||||わか||あそび|あいて|||||とのさま|||いった||けらい||もの||わか|||よび||いか||
|||||||||||||||||retainer|||||||||||
After saying this, the lord asked one of his retainers to go call for the young master.
やがて ふすま が 開いて 、 一 人 、 二 人 、 三 人 、 四 人 、 五 人 と 、 同じ 着物 を 着た 子ども が ぞろぞろ と 入って き ました 。
|||あいて|ひと|じん|ふた|じん|みっ|じん|よっ|じん|いつ|じん||おなじ|きもの||きた|こども||||はいって||
||||||||||||||||kimono|||||one after another||||
着物 だけ で は あり ませ ん 。
きもの||||||
It is not just a kimono.
五 人 と も 、 兄弟 の 様 に 顔 が よく 似て い ます 。
いつ|じん|||きょうだい||さま||かお|||にて||
All five of them resemble each other very much, like siblings.
「 どう じゃ 彦 一 。
||ひこ|ひと
Well then, Hikoichi.
お前 に 本当の 若 が 当て られる か ?
おまえ||ほんとうの|わか||あて||
you|||||assigned||
Can you really guess the Young Master?
さあ 、 うわさ に 聞く 知恵 で 見事 当てたら 、 褒美 を つかわす ぞ 」 周り に いた 家来 で さえ 、 若 さま を 当てる 自信 が あり ませ ん 。
|||きく|ちえ||みごと|あてたら|ほうび||||まわり|||けらい|||わか|||あてる|じしん||||
|rumor|||||||reward||bestow|||||retainer|at|even||||guess|||||
Well, if you can guess it brilliantly with the wisdom you've heard in rumors, I'll reward you,” even the retainers around didn't have confidence in guessing the Young Master.
それ を 若 さま を 見た 事 の ない 子ども が 見た だけ で 分かる はず が ない と 、 殿さま は 得意 顔 ( とくいがお ) です 。
||わか|||みた|こと|||こども||みた|||わかる|||||とのさま||とくい|かお||
|||||||||||||||||||||||triumphant face|
The lord, with a smug look, remarks that a child who has never seen the Young Master couldn't possibly understand just by looking at him.
「 さあ 、 どうした 。
|what happened
"Well, what's wrong?"
無理 なら 無理 と 、 正直に 言う が よい 」 ところが 彦 一 は 、 ニコニコ し ながら 言い ました 。
むり||むり||しょうじきに|いう||||ひこ|ひと||にこにこ|||いい|
||||honestly||||but||||smiling||||
If it's impossible, it's better to honestly say it's impossible,
「 どの 子 も 同じ ように 見え ます ね 。
|こ||おなじ||みえ||
However, Hikoiichi said with a smile.
しかし わたし に は 、 本物 の 若 さま は ちゃんと 分かり ます 。
||||ほんもの||わか||||わかり|
||||real|||||properly||
Every child looks the same, but I can tell who the real young master is.
本物 の 若 さま は 、 手習い の 後 と 見えて 、 手 に 墨 ( すみ ) が 付いて い ます よ 」 この 言葉 に つら れて 、 本物 の 若 さま は 自分 の 手 を 見て 、 他の 子ども は それ を のぞき 込み ました 。
ほんもの||わか|||てならい||あと||みえて|て||すみ|||ついて|||||ことば||||ほんもの||わか|||じぶん||て||みて|たの|こども|||||こみ|
|||||writing practice|||||||ink|||stuck|||||||enticed|||||||||||||||||peeked|included|
The real young lord appears to have ink on his hands after practicing calligraphy, you see.” At those words, the real young lord looked at his own hands, and the other children leaned in to take a look.
ところが どこ を 探して も 、 墨 は ついて い ませ ん 。
|||さがして||すみ|||||
however|||||ink|||||
However, no matter where he looked, there was no ink on them.
「 殿さま 。
とのさま
“Lord.”
その お方 が 、 若 さ まで す 」 彦 一 の 賢 さ に 、 殿さま は すっかり 感心 して 、 「 これ は まいった 。
|おかた||わか||||ひこ|ひと||かしこ|||とのさま|||かんしん||||
|that person|||||||||wisdom|||||completely|admiration||||I give up
That person is so young. The lord was completely impressed by Hikoichi's wisdom and said, 'This is remarkable.'
約束 通り 、 褒美 を つかわそう 」 こうして 彦 一 は 、 山 の 様 な 褒美 を もらう 事 が 出来た のです 。
やくそく|とおり|ほうび||||ひこ|ひと||やま||さま||ほうび|||こと||できた|
||reward||to use|in this way|||||||||||||was able to|
As promised, I will give you a reward. Thus, Hikoichi was able to receive a reward that resembled a mountain.
おしまい
the end
The end.