Kazari to Youko Chapter 2.6
『 今度 の 休み の 日 一緒に 映画 を 見 に 行きましょう か ? 』 スズキ さん が 提案 した 時 私 は 飛び上がって 喜んだ 。
『 でも 、 ヨーコ さん の お母さん に 悪い かしら 。 こんなに あなた を ひとりじめ しちゃって 。 そうそう 、 今度 カザリ ちゃん も 一緒に 連れて おい で 。 うん 。 うなずいた けれど どう すれば いい か 分から なかった 。
スズキ さん は 私 の 嘘 を まるっきり 信じて いた 。
映画 を 見 終わった 後 私 と スズキ さん は 回転 寿司 に 入った 。
私 は 遠慮 のだ けれど スズキ さん が どうしても 行こう と 言った 。
私 は ほとんど 寿司 なんて 食べた こと が なかった ので 魚 の 名前 を まったく 知ら なかった 。
回転 寿司 の ルール は 一応 知っていた し 安い もの を 選ぼう と 思って いる のだ けど 、 どの 寿司 が 安い の か 分から なかった 。
ドンドン 寿司 が 流れて いく 中 で スズキ さん が 家族 の 話 を した 。
『 私 に は ね 、 ちょうど ヨーコ さん くらい の 孫 が いる の 。 スズキ さん は 寂し そうな かお を して いた 。
『 ヨーコ さん の 一 つ 下 かしら 。 娘 の 子 な の 。 割と 近く に 住んで いる の に もう 三 年 も 会って ない わ 。 『 家族 と 一緒に 住ま ない の ? スズキ さん は 答え なかった 。 きっと 何 か 事情 が ある のだろう と 思った 。
『 手紙 を 出したら どう かしら 。 会って ごちそう した 、 何でも 好きな もの を 食べて いい わ よ 』って 書けば きっと 会い に 来て くれる わ よ 。 それ から 私 は 真剣に 、 自分 が 『 好きな もの を 食べて いい わ よ 』 など とい 言わ れたら 何と 答える べき 考え込んだ 。
一生 に 一 度 あるか ない か と いう 質問 な ので 今 の うち から 検討 して おく べき 問題 だ な と 思った 。
私 が 考えて いる 間 も 目の前 を 寿司 が 流れて いった 。
『 あなた は 優しい 子 ね 。 』 呟く ように スズキ さん が 言った 。 『。 実は 言わ なくちゃ いけない こと ご ある の 。 アソ を 連れて きて くれた お 礼 と して あなた に 差し上げる こと に なって いた 宝物 の こと 。
本当 は そんな 宝物 なんて 最初 から なかった の 。
嘘 だった の よ 。 あなた に また 会い たくて 口実 を 作った だけ 。
ごめんなさい 。 その代わり これ を 受け取って 』 スズキ さん は 私 に カギ を 握ら せた 。
『 私 の 家 の カギ よ 。 もう 口実 なんて いら ない から 、 いつでも うち に おい で 。 私 は あなた が 大好きな んだ から 。 私 は 何 回 も うなずいた 。 とても 素敵な アイデア に 思えた 。
これ まで 生まれた こと を 後悔 して 何度 か 高い ビル の 屋上 に 上がって 金網 を よじ登り 、 吹きすさぶ 風 で 鼻水 を 垂らし ながら 飛び降りる か どう か 迷った けれど こんな 日 が 私 に おとずれる なんて と 思った 。
将来 つらい こと が あった 時 スズキ さん もらった カギ を 握りしめて 踏ん張った 。
まるで カギ は アルカリ の 単 三 電池 の ように 私 へ エネルギー を 供給 し 、 私 は 『 よし きた ー 』 と いう 気持ち に なった 。
カギ は いつも 詩 織 の 代わり に 本 の 間 に 挟んで 隠して 。