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世界の昔話, 黒ウシの助け

黒 ウシ の 助け

黒 ウシ の 助け

むかし むかし 、 ある ところ に 三 人 の 娘 が い ました 。 ある 日 、 一 番 上 の 娘 が 言い ました 。 「 お 母さん 、 パン と 肉 を 焼いて ください 。 幸せ を 探し に 出かけ ます から 」 お 母さん は 、 パン と 肉 を 娘 に やり ました 。 娘 は 魔法使い の 洗濯 女 の ところ へ 行って 、 これ から 幸せ を 探し に 行く のだ と 話し ました 。 する と 、 洗濯 女 は 、 「 しばらく 、 わたし の 家 に 泊まって いき なさい 。 そして 毎日 毎日 、 裏口 から 外 を 見て おい で 。 なに か 見えたら 、 わたし に 言う んです よ 」 と 、 言い ました 。 さっそく 娘 は 、 裏口 から 外 を 見 ました 。 はじめ の 日 は 、 なにも 見え ませ ん でした 。 二 日 目 も 、 なにも 見え ませ ん でした 。 三 日 目 に 娘 が 外 を 見て いる と 、 六 頭 だて の 馬車 ( ばしゃ ) が やって 来 ました 。 する と 、 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の 馬車 です よ 」 と 、 言う ので 娘 が 外 へ 出て みる と 、 馬車 に 乗って いた 人 が おりて きて 娘 を 馬車 に 乗せて くれ ました 。 馬車 は そのまま 、 かけ足 で 行って しまい ました 。

さて 家 で は 、 二 番 目 の 娘 が お 母さん に 、 「 お 母さん 、 パン と 肉 を 焼いて ください 。 幸せ を 探して き ます から 」 と 、 言い ました 。 お 母さん は 娘 の 言う とおり 、 パン と 肉 を やり ました 。 この 娘 も 、 魔法使い の 洗濯 女 の ところ へ 行き ました 。 そして やはり 裏口 から 外 を 見て 、 二 日 過ごし ました 。 三 日 目 に 娘 が 外 を 見て いる と 、 四 頭 だて の 馬車 が 来 ました 。 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の 馬車 です よ 」 と 、 言う ので 娘 が 外 ヘ 出て みる と 、 馬車 に 乗って いた 人 が 娘 を 乗せて くれ ました 。 そして 馬車 は 、 かけ足 で 行って しまい ました 。

今度 は 一 番 下 の 娘 が 出かけ たく なって 、 お 母さん に パン と 肉 を 焼いて もらい ました 。 そして 、 洗濯 女 の ところ へ 行き ました 。 洗濯 女 は 、 「 毎日 、 裏口 から 外 を 見て おい で 。 なに か 見えたら 、 わたし に 言う んです よ 」 と 、 言い ました 。 最初の 日 は 、 なにも 見え ませ ん でした 。 二 日 目 も 、 なにも 見え ませ ん でした 。 三 日 目 に なり ました 。 娘 が 裏口 から 見て いる と 、 黒 ウシ が ひくい 声 で うなり ながら やってき ました 。 する と 、 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の ウシ です よ 」 と 、 言い ました 。 娘 は ビックリ して 、 泣き そうに なり ました 。 けれども 洗濯 女 に 言わ れた 通り 、 外 に 出 ました 。 すると 黒 ウシ が 待って いた ので 、 娘 は 黒 ウシ に よじのぼり ました 。 娘 が 黒 ウシ の 背中 に 座る と 、 黒 ウシ は かけ 出し ました 。 ドンドン 進んで 行く うち に 、 娘 は だんだん お腹 が 空いて き ました 。 やがて お腹 は ペコペコ に なって 、 今にも 気 が 遠く なり そうです 。 すると それ に 気 が ついた の か 、 黒 ウシ が 娘 に 言い ました 。 「 わたし の 右 の 耳 から 食べ なさい 。 そして 左 の 耳 から 飲み なさい 」 娘 は 、 言わ れた 通り に し ました 。 食べ 終わる と 、 娘 は とても 元気に なり ました 。 ウシ は 娘 を 乗せた まま 、 なおも 進んで 行き ました 。 やがて 、 立派な お 城 が 見えて き ました 。 すると 黒 ウシ は 、 「 今夜 は 、 あの お 城 に 泊まり ましょう 。 わたし の 兄 が 、 住んで い ます から 」 と 、 言い ました 。 間もなく 、 お 城 に つき ました 。 お 城 の 人 が 出て 来て 、 娘 を 黒 ウシ の 背中 から おろして 城 の 中 へ 案内 して くれ ました 。 黒 ウシ は 、 草地 に 連れて 行か れ ました 。 朝 に なる と 、 お 城 の 人 は 娘 を 立派な 部屋 に つれて いき ました 。 そして 娘 に 、 リンゴ を 一 つ わたして い い ました 。 「 なに か こまった こと が あったら 、 この リンゴ を わり なさい 。 きっと 、 あなた は たすけて もらえ ます 」 娘 は ふたたび 、 黒 ウシ の 背中 に 乗り ました 。 黒 ウシ は 娘 を 乗せて 、 ドンドン 、 ドンドン すすみ ました 。 しばらく する と 、 まえ より も もっと 美しい お 城 が 見えて き ました 。 すると 黒 ウシ は 、 「 こんや は 、 あそこ ヘ とまり ましょう 。 わたし の 二 番 目 の 兄 が 住んで い ます 」 と 、 いい ました 。 お 城 に つく と お 城 の 人 たち が 出て きて 、 娘 を 黒 ウシ から おろして 、 お 城 の 中 へ 案内 して くれ ました 。 黒 ウシ は 、 草地 ヘ つれて いか れ ました 。 朝 に なる と 、 お 城 の 人 は 娘 を りっぱな ヘ や へ つれて いって 、 きれいな ナシ を わたし ました 。 「 なに か こまった こと が あったら 、 この ナシ を わり なさい 。 きっと 、 あなた は たすけて もらえ ます 」 と 、 お 城 の 人 が いい ました 。 娘 は 黒 ウシ の 背中 に 乗って 、 また 旅 を つづけ ました 。 黒 ウシ が ズンズン すすんで いく と 、 まえ の ふた つ より も ずっと 大きな お 城 が 見えて き ました 。 「 こんや は 、 あそこ に いか なきゃ なり ませ ん 。 わたし の 一 番 下 の 兄 が 住んで いる のです 」 と 、 黒 ウシ が いい ました 。 お 城 に つく と 、 お 城 の 人 たち が やってきて 、 娘 を 中 に 案内 して くれ ました 。 黒 ウシ は 、 やはり 草地 に つれて いか れ ました 。 朝 に なる と 、 娘 は 一 番 立派な 部屋 ヘ 連れて 行か れ ました 。 お 城 の 人 は 、 娘 に スモモ を 渡して 、 「 何 か 困った 事 が あったら 、 この スモモ を 割り なさい 。 きっと 、 あなた は 助けて もらえ ます 」 と 、 言い ました 。 娘 は 、 黒 ウシ の 背中 に 乗り ました 。 黒 ウシ は 、 また ドンドン 進み ました 。 そして 薄暗い 谷間 に 、 やって 来 ました 。 黒 ウシ は 足 を とめて 、 娘 を おろし ました 。 黒 ウシ は 娘 に 、 「 あなた は 、 ここ に い なくて は いけ ませ ん 。 わたし は ちょっと 強い 奴 と 戦って き ます から 、 あなた は あの 石 の 上 に すわって いて ください 。 そして わたし が 帰る まで 、 手 も 足 も 動かして は いけ ませ ん よ 。 もし あなた が ちょっと でも 手 や 足 を 動かす と 、 わたし が 勝って 戻って 来て も 、 あなた を 見つけ 出す 事 が 出来 なく なって しまう のです 。 もし あたり が 青く 染まったら 、 わたし は そいつ を やっつけた と 思って ください 。 赤く 染まったら 、 わたし は やられて しまった と 思って ください 」 と 、 言って 、 行って しまい ました 。 そこ で 娘 は 、 石 の 上 に 腰 を おろし ました 。 しだいに あたり が 、 青く なって き ました 。 黒 ウシ が 、 勝った のです 。 娘 は うれし さ の あまり 、 つい 足 を 組みあわせて しまい ました 。

黒 ウシ は 戻って きて 、 娘 を 探し ました 。 しかし どうしても 、 見つかり ませ ん 。 娘 は 長い こと すわって 黒 ウシ を 待ち ました が 、 黒 ウシ は 現れ ませ ん 。 娘 は シクシク と 泣き ました が 、 やがて 立ち 上がって 歩き 出し ました 。 けれども 、 行 く あて も あり ませ ん 。 歩き まわって いる うち に 、 ガラス の 丘 に つき ました 。 娘 は なんとか して ガラス の 丘 に のぼろう と し ました が 、 どうしても のぼれ ませ ん 。 娘 は 泣き ながら 、 ガラス の 丘 の ふもと を グルリ と まわり ました 。 ウロウロ 歩いて いる うち に 、 娘 は かじ や の 店 の 前 に 出 ました 。 かじ や は 、 「 七 年 の 間 、 家 で 働いたら 鉄 の クツ を つくって やろう 。 そう すれば 、 ガラス の 丘 に のぼる こと が 出来る だろう 」 と 、 言い ました 。 そこ で 娘 は 七 年 の 間 働いて 、 鉄 の クツ を もらい ました 。 そして 、 ガラス の 丘 を のぼった のです 。 そこ に は 、 もう 一 人 の 洗濯 女 の 家 が あり ました 。 家 の 中 に は 血だらけの 服 を 着た 、 若い 騎士 ( きし ) がい ました 。 何でも その 服 を きれいに 洗った 者 が 、 騎士 の 奥さん に なれる と いう こと です 。 洗濯 女 は 、 一生懸命 洗い ました 。 けれど どんなに 洗って も 、 血 は 取れ ませ ん でした 。 今度 は 、 洗濯 女 の 娘 が 洗って み ました 。 どんなに ゴシゴシ こすって も 、 血 は 少しも おち ませ ん 。 そこ で 、 鉄 の くつ を はいて きた 娘 が 洗って み ました 。 すると 血 は みるみる うち に おちて 、 服 は きれいに なり ました 。 ところが 、 洗濯 女 の 娘 は 、 「 服 を きれいに した の は 、 わたし です 」 と 、 騎士 に うそ を つき ました 。 こうして 騎士 と 洗濯 女 の 娘 が 、 結婚 する こと に なり ました 。 これ を 知る と 鉄 の くつ を はいた 娘 は 、 ひどく ガッカリ し ました 。 一目 見た 時 から 、 騎士 が 大好きに なって いた から です 。 娘 は ふと 、 リンゴ の こと を 思いだし ました 。 リンゴ を 割って みる と 、 中 から 金 や 宝石 が 出て き ました 。 娘 は 、 洗濯 女 の 娘 に 、 「 これ を みんな あげる わ 。 その代わり 、 結婚 する の を 一 日 だけ のばして ちょうだい 。 そして 今夜 、 わたし を 騎士 の 部屋 に 入ら せて ください 」 と 、 頼み ました 。 洗濯 女 の 娘 は 金 と 宝石 を もらって 、 娘 の 申し出 を 承知 ( しょうち ) し ました 。 ところが 洗濯 女 は 、 騎士 に 眠り 薬 を 飲ま せた のです 。 騎士 は 眠り 薬 を 飲んで 、 朝 まで グッスリ と 眠って しまい ました 。 娘 は 騎士 のべ ッド の そば で 、 夜通し 泣いて い ました 。 そして 、 ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 と 、 歌い ました 。

次の 日 、 娘 は 悲しくて 悲しくて 、 どうして よい か わかり ませ ん でした 。 そして ふと 、 ナシ を 割って み ました 。 ナシ の 中 に は 前 より も ずっと たくさんの 、 宝石 や 金 が 入って い ました 。 これ を 、 洗濯 女 の 娘 に やって 、 「 もう 一 日 、 結婚 を のばして ください 。 そして もう ひと 晩 、 騎士 の 部屋 に 入ら せて ください 」 と 、 頼み ました 。 洗濯 女 の 娘 は 、 承知 し ました 。 けれども 騎士 は 、 その 晩 も 洗濯 女 に 眠り 薬 を 飲ま さ れて 、 朝 まで グッスリ 寝て しまい ました 。 娘 は 、 ため息 を ついて 、 ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 と 、 歌い ました 。

次の 日 、 騎士 が 狩り に 出かける と 、 仲間 の 一 人 が 言い ました 。 「 きみ の 部屋 から 聞こえる 音 は 、 なんだ ? うめき声 と 泣き声 と 、 歌 を うたう 声 が 聞こえる ぞ 」 と 、 言い ました 。 「? ・・・ ぼく は 、 何も 知ら ない 」 と 、 騎士 は 言い ました 。 けれども 仲間 は みんな 、 すすり泣き を 聞いた と いう のです 。 そこ で 騎士 は 、 今夜 は 一晩 中 起きて 見張って いる こと に し ました 。

三 日 目 の 晩 に 、 なり ました 。 娘 は 、 スモモ を 割り ました 。 中 から は リンゴ を 割った 時 より も 、 ナシ を 割った 時 より も 、 ずっと ずっと すばらしい 宝石 が 出て き ました 。 この 宝石 で 娘 は また 、 騎士 の 部屋 に 入る 事 が 出来 ました 。 洗濯 女 は 、 またしても 眠り 薬 を 騎士 の ところ へ 持って 行き ました 。 すると 騎士 は 、 「 ハチミツ を 入れて 、 甘く して くれ 」 と 、 言って 、 洗濯 女 に ハチミツ を 取り に 行か せ ました 。 洗濯 女 が 行って いる すきに 、 騎士 は 眠り 薬 を 捨てて しまい ました 。 騎士 は べ ッド に 入って いる と 、 やがて 娘 が やってきて うたい はじめ ました 。 ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 騎士 は 起き上がる と 、 娘 の 方 を 向き ました 。 娘 は 騎士 に 、 何もかも 話し ました 。 この 騎士 こそ 、 あの 黒 ウシ だった のです 。 魔法 で 黒 ウシ に さ れて いた 騎士 は 、『 強い 奴 』 と 戦って 勝った ので 人間 の 姿 に 戻った のです 。 それ から 谷間 で 娘 を 探した のです が 、 あの とき 娘 が 足 を 組んで しまった ので 、 見つける 事 が 出来 なく なって しまった のでした 。

あくる 日 、 洗濯 女 と その 娘 は 追い出さ れ ました 。 そして 騎士 と 娘 は 、 めでたく 結婚 した のです 。

おしまい


黒 ウシ の 助け くろ|うし||たすけ Black Cows Help

黒 ウシ の 助け くろ|うし||たすけ

むかし むかし 、 ある ところ に 三 人 の 娘 が い ました 。 |||||みっ|じん||むすめ||| ある 日 、 一 番 上 の 娘 が 言い ました 。 |ひ|ひと|ばん|うえ||むすめ||いい| 「 お 母さん 、 パン と 肉 を 焼いて ください 。 |かあさん|ぱん||にく||やいて| 幸せ を 探し に 出かけ ます から 」   お 母さん は 、 パン と 肉 を 娘 に やり ました 。 しあわせ||さがし||でかけ||||かあさん||ぱん||にく||むすめ||| 娘 は 魔法使い の 洗濯 女 の ところ へ 行って 、 これ から 幸せ を 探し に 行く のだ と 話し ました 。 むすめ||まほうつかい||せんたく|おんな||||おこなって|||しあわせ||さがし||いく|||はなし| する と 、 洗濯 女 は 、 「 しばらく 、 わたし の 家 に 泊まって いき なさい 。 ||せんたく|おんな|||||いえ||とまって|| そして 毎日 毎日 、 裏口 から 外 を 見て おい で 。 |まいにち|まいにち|うらぐち||がい||みて|| なに か 見えたら 、 わたし に 言う んです よ 」 と 、 言い ました 。 ||みえたら|||いう|ん です|||いい| さっそく 娘 は 、 裏口 から 外 を 見 ました 。 |むすめ||うらぐち||がい||み| はじめ の 日 は 、 なにも 見え ませ ん でした 。 ||ひ|||みえ||| 二 日 目 も 、 なにも 見え ませ ん でした 。 ふた|ひ|め|||みえ||| 三 日 目 に 娘 が 外 を 見て いる と 、 六 頭 だて の 馬車 ( ばしゃ ) が やって 来 ました 。 みっ|ひ|め||むすめ||がい||みて|||むっ|あたま|||ばしゃ||||らい| する と 、 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の 馬車 です よ 」 と 、 言う ので 娘 が 外 へ 出て みる と 、 馬車 に 乗って いた 人 が おりて きて 娘 を 馬車 に 乗せて くれ ました 。 ||せんたく|おんな||||||ばしゃ||||いう||むすめ||がい||でて|||ばしゃ||のって||じん||||むすめ||ばしゃ||のせて|| Then the Washerwoman said, "That's your carriage," and when she went out, a man in the carriage came and put her on the carriage. .. 馬車 は そのまま 、 かけ足 で 行って しまい ました 。 ばしゃ|||かけあし||おこなって||

さて 家 で は 、 二 番 目 の 娘 が お 母さん に 、 「 お 母さん 、 パン と 肉 を 焼いて ください 。 |いえ|||ふた|ばん|め||むすめ|||かあさん|||かあさん|ぱん||にく||やいて| 幸せ を 探して き ます から 」 と 、 言い ました 。 しあわせ||さがして|||||いい| お 母さん は 娘 の 言う とおり 、 パン と 肉 を やり ました 。 |かあさん||むすめ||いう||ぱん||にく||| この 娘 も 、 魔法使い の 洗濯 女 の ところ へ 行き ました 。 |むすめ||まほうつかい||せんたく|おんな||||いき| そして やはり 裏口 から 外 を 見て 、 二 日 過ごし ました 。 ||うらぐち||がい||みて|ふた|ひ|すごし| 三 日 目 に 娘 が 外 を 見て いる と 、 四 頭 だて の 馬車 が 来 ました 。 みっ|ひ|め||むすめ||がい||みて|||よっ|あたま|||ばしゃ||らい| 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の 馬車 です よ 」 と 、 言う ので 娘 が 外 ヘ 出て みる と 、 馬車 に 乗って いた 人 が 娘 を 乗せて くれ ました 。 せんたく|おんな||||||ばしゃ||||いう||むすめ||がい||でて|||ばしゃ||のって||じん||むすめ||のせて|| そして 馬車 は 、 かけ足 で 行って しまい ました 。 |ばしゃ||かけあし||おこなって||

今度 は 一 番 下 の 娘 が 出かけ たく なって 、 お 母さん に パン と 肉 を 焼いて もらい ました 。 こんど||ひと|ばん|した||むすめ||でかけ||||かあさん||ぱん||にく||やいて|| そして 、 洗濯 女 の ところ へ 行き ました 。 |せんたく|おんな||||いき| 洗濯 女 は 、 「 毎日 、 裏口 から 外 を 見て おい で 。 せんたく|おんな||まいにち|うらぐち||がい||みて|| なに か 見えたら 、 わたし に 言う んです よ 」 と 、 言い ました 。 ||みえたら|||いう|ん です|||いい| 最初の 日 は 、 なにも 見え ませ ん でした 。 さいしょの|ひ|||みえ||| 二 日 目 も 、 なにも 見え ませ ん でした 。 ふた|ひ|め|||みえ||| 三 日 目 に なり ました 。 みっ|ひ|め||| 娘 が 裏口 から 見て いる と 、 黒 ウシ が ひくい 声 で うなり ながら やってき ました 。 むすめ||うらぐち||みて|||くろ|うし|||こえ||||| する と 、 洗濯 女 は 、 「 あれ は 、 あなた の ウシ です よ 」 と 、 言い ました 。 ||せんたく|おんな||||||うし||||いい| 娘 は ビックリ して 、 泣き そうに なり ました 。 むすめ||びっくり||なき|そう に|| けれども 洗濯 女 に 言わ れた 通り 、 外 に 出 ました 。 |せんたく|おんな||いわ||とおり|がい||だ| すると 黒 ウシ が 待って いた ので 、 娘 は 黒 ウシ に よじのぼり ました 。 |くろ|うし||まって|||むすめ||くろ|うし||| 娘 が 黒 ウシ の 背中 に 座る と 、 黒 ウシ は かけ 出し ました 。 むすめ||くろ|うし||せなか||すわる||くろ|うし|||だし| ドンドン 進んで 行く うち に 、 娘 は だんだん お腹 が 空いて き ました 。 どんどん|すすんで|いく|||むすめ|||おなか||あいて|| やがて お腹 は ペコペコ に なって 、 今にも 気 が 遠く なり そうです 。 |おなか|||||いまにも|き||とおく||そう です すると それ に 気 が ついた の か 、 黒 ウシ が 娘 に 言い ました 。 |||き|||||くろ|うし||むすめ||いい| 「 わたし の 右 の 耳 から 食べ なさい 。 ||みぎ||みみ||たべ| そして 左 の 耳 から 飲み なさい 」   娘 は 、 言わ れた 通り に し ました 。 |ひだり||みみ||のみ||むすめ||いわ||とおり||| And drink from your left ear. ”The daughter did exactly what she was told. 食べ 終わる と 、 娘 は とても 元気に なり ました 。 たべ|おわる||むすめ|||げんきに|| When I finished eating, my daughter became very well. ウシ は 娘 を 乗せた まま 、 なおも 進んで 行き ました 。 うし||むすめ||のせた|||すすんで|いき| The cow continued to move forward with his daughter on board. やがて 、 立派な お 城 が 見えて き ました 。 |りっぱな||しろ||みえて|| Eventually, I saw a magnificent castle. すると 黒 ウシ は 、 「 今夜 は 、 あの お 城 に 泊まり ましょう 。 |くろ|うし||こんや||||しろ||とまり| Then the black cow said, "Let's stay at that castle tonight. わたし の 兄 が 、 住んで い ます から 」 と 、 言い ました 。 ||あに||すんで|||||いい| My brother lives there, "he said. 間もなく 、 お 城 に つき ました 。 まもなく||しろ||| お 城 の 人 が 出て 来て 、 娘 を 黒 ウシ の 背中 から おろして 城 の 中 へ 案内 して くれ ました 。 |しろ||じん||でて|きて|むすめ||くろ|うし||せなか|||しろ||なか||あんない||| 黒 ウシ は 、 草地 に 連れて 行か れ ました 。 くろ|うし||くさち||つれて|いか|| The black cow was taken to the grassland. 朝 に なる と 、 お 城 の 人 は 娘 を 立派な 部屋 に つれて いき ました 。 あさ|||||しろ||じん||むすめ||りっぱな|へや|||| In the morning, the castle man took his daughter to a magnificent room. そして 娘 に 、 リンゴ を 一 つ わたして い い ました 。 |むすめ||りんご||ひと||||| And I gave my daughter an apple. 「 なに か こまった こと が あったら 、 この リンゴ を わり なさい 。 |||||||りんご||| "If something goes wrong, replace this apple. きっと 、 あなた は たすけて もらえ ます 」   娘 は ふたたび 、 黒 ウシ の 背中 に 乗り ました 。 ||||||むすめ|||くろ|うし||せなか||のり| I'm sure you can help me. "My daughter got on the back of the black cow again. 黒 ウシ は 娘 を 乗せて 、 ドンドン 、 ドンドン すすみ ました 。 くろ|うし||むすめ||のせて|どんどん|どんどん|| The black cow carried his daughter, dong dong, dong dong, and proceeded. しばらく する と 、 まえ より も もっと 美しい お 城 が 見えて き ました 。 |||||||うつくしい||しろ||みえて|| After a while, I saw a more beautiful castle than before. すると 黒 ウシ は 、 「 こんや は 、 あそこ ヘ とまり ましょう 。 |くろ|うし||||||| わたし の 二 番 目 の 兄 が 住んで い ます 」 と 、 いい ました 。 ||ふた|ばん|め||あに||すんで||||| My second brother lives here, "he said. お 城 に つく と お 城 の 人 たち が 出て きて 、 娘 を 黒 ウシ から おろして 、 お 城 の 中 へ 案内 して くれ ました 。 |しろ|||||しろ||じん|||でて||むすめ||くろ|うし||||しろ||なか||あんない||| When I arrived at the castle, the people of the castle came out and took my daughter down from the black cow and guided me into the castle. 黒 ウシ は 、 草地 ヘ つれて いか れ ました 。 くろ|うし||くさち||||| The black cow was taken to the grassland. 朝 に なる と 、 お 城 の 人 は 娘 を りっぱな ヘ や へ つれて いって 、 きれいな ナシ を わたし ました 。 あさ|||||しろ||じん||むすめ|||||||||||| In the morning, the man in the castle took his daughter to a fine place and gave me a beautiful pear. 「 なに か こまった こと が あったら 、 この ナシ を わり なさい 。 "If something goes wrong, replace this pear. きっと 、 あなた は たすけて もらえ ます 」 と 、 お 城 の 人 が いい ました 。 ||||||||しろ||じん||| 娘 は 黒 ウシ の 背中 に 乗って 、 また 旅 を つづけ ました 。 むすめ||くろ|うし||せなか||のって||たび||| The daughter rode on the back of a black cow and continued her journey. 黒 ウシ が ズンズン すすんで いく と 、 まえ の ふた つ より も ずっと 大きな お 城 が 見えて き ました 。 くろ|うし|||||||||||||おおきな||しろ||みえて|| As the black cow went on, I saw a castle that was much larger than the previous two. 「 こんや は 、 あそこ に いか なきゃ なり ませ ん 。 "Hello, I have to go over there. わたし の 一 番 下 の 兄 が 住んで いる のです 」 と 、 黒 ウシ が いい ました 。 ||ひと|ばん|した||あに||すんで||||くろ|うし||| My youngest brother lives in it, "said Kuroushi. お 城 に つく と 、 お 城 の 人 たち が やってきて 、 娘 を 中 に 案内 して くれ ました 。 |しろ|||||しろ||じん||||むすめ||なか||あんない||| 黒 ウシ は 、 やはり 草地 に つれて いか れ ました 。 くろ|うし|||くさち||||| The black cow was also taken to the grassland. 朝 に なる と 、 娘 は 一 番 立派な 部屋 ヘ 連れて 行か れ ました 。 あさ||||むすめ||ひと|ばん|りっぱな|へや||つれて|いか|| In the morning, my daughter was taken to the finest room. お 城 の 人 は 、 娘 に スモモ を 渡して 、 「 何 か 困った 事 が あったら 、 この スモモ を 割り なさい 。 |しろ||じん||むすめ||||わたして|なん||こまった|こと||||||わり| The castle man gave the plum to his daughter and said, "If you have any problems, split this plum. きっと 、 あなた は 助けて もらえ ます 」 と 、 言い ました 。 |||たすけて||||いい| 娘 は 、 黒 ウシ の 背中 に 乗り ました 。 むすめ||くろ|うし||せなか||のり| 黒 ウシ は 、 また ドンドン 進み ました 。 くろ|うし|||どんどん|すすみ| The black cow went on again. そして 薄暗い 谷間 に 、 やって 来 ました 。 |うすぐらい|たにま|||らい| And then I came to the dim valley. 黒 ウシ は 足 を とめて 、 娘 を おろし ました 。 くろ|うし||あし|||むすめ||| The black cow stopped and lowered his daughter. 黒 ウシ は 娘 に 、 「 あなた は 、 ここ に い なくて は いけ ませ ん 。 くろ|うし||むすめ||||||||||| Die schwarze Kuh sagte zu seiner Tochter: "Du musst hier sein. The black cow told his daughter, "You must be here. わたし は ちょっと 強い 奴 と 戦って き ます から 、 あなた は あの 石 の 上 に すわって いて ください 。 |||つよい|やつ||たたかって|||||||いし||うえ|||| I'll be fighting a little strong guy, so you should sit on that stone. そして わたし が 帰る まで 、 手 も 足 も 動かして は いけ ませ ん よ 。 |||かえる||て||あし||うごかして||||| Und bewege deine Hände oder Füße nicht, bis ich zurückkomme. And don't move your hands or feet until I return. もし あなた が ちょっと でも 手 や 足 を 動かす と 、 わたし が 勝って 戻って 来て も 、 あなた を 見つけ 出す 事 が 出来 なく なって しまう のです 。 |||||て||あし||うごかす||||かって|もどって|きて||||みつけ|だす|こと||でき|||| If you move your hands or feet a little, you will not be able to find you, even if I win and come back. もし あたり が 青く 染まったら 、 わたし は そいつ を やっつけた と 思って ください 。 |||あおく|そまったら|||そい つ||||おもって| If the area turns blue, think I've beaten it. 赤く 染まったら 、 わたし は やられて しまった と 思って ください 」 と 、 言って 、 行って しまい ました 。 あかく|そまったら||||||おもって|||いって|おこなって|| If it turns red, think I've been killed, "he said, and went. そこ で 娘 は 、 石 の 上 に 腰 を おろし ました 。 ||むすめ||いし||うえ||こし||| There, the daughter sat down on a stone. しだいに あたり が 、 青く なって き ました 。 |||あおく||| Allmählich wurde der Bereich blau. Gradually, the area became blue. 黒 ウシ が 、 勝った のです 。 くろ|うし||かった| 娘 は うれし さ の あまり 、 つい 足 を 組みあわせて しまい ました 。 むすめ|||||||あし||くみあわせて|| Meine Tochter war so glücklich, dass sie nur ihre Beine zusammenlegte. My daughter was so happy that she just put her legs together.

黒 ウシ は 戻って きて 、 娘 を 探し ました 。 くろ|うし||もどって||むすめ||さがし| しかし どうしても 、 見つかり ませ ん 。 ||みつかり|| But I couldn't find it. 娘 は 長い こと すわって 黒 ウシ を 待ち ました が 、 黒 ウシ は 現れ ませ ん 。 むすめ||ながい|||くろ|うし||まち|||くろ|うし||あらわれ|| 娘 は シクシク と 泣き ました が 、 やがて 立ち 上がって 歩き 出し ました 。 むすめ||しくしく||なき||||たち|あがって|あるき|だし| My daughter cried, but soon she got up and started walking. けれども 、 行 く あて も あり ませ ん 。 |ぎょう|||||| However, there is no place to go. 歩き まわって いる うち に 、 ガラス の 丘 に つき ました 。 あるき|||||がらす||おか||| As I was walking around, I reached a glass hill. 娘 は なんとか して ガラス の 丘 に のぼろう と し ました が 、 どうしても のぼれ ませ ん 。 むすめ||||がらす||おか|||||||||| My daughter managed to climb the glass hill, but she couldn't. 娘 は 泣き ながら 、 ガラス の 丘 の ふもと を グルリ と まわり ました 。 むすめ||なき||がらす||おか||||ぐるり||| Die Tochter streifte weinend um den Fuß des Glashügels. The daughter, crying, roamed around the foot of the glass hill. ウロウロ 歩いて いる うち に 、 娘 は かじ や の 店 の 前 に 出 ました 。 うろうろ|あるいて||||むすめ|||||てん||ぜん||だ| While walking around, my daughter came out in front of the blacksmith's shop. かじ や は 、 「 七 年 の 間 、 家 で 働いたら 鉄 の クツ を つくって やろう 。 |||なな|とし||あいだ|いえ||はたらいたら|くろがね||くつ||| Kajiya said, "If you work at home for seven years, let's make iron shoes. そう すれば 、 ガラス の 丘 に のぼる こと が 出来る だろう 」 と 、 言い ました 。 ||がらす||おか|||||できる|||いい| そこ で 娘 は 七 年 の 間 働いて 、 鉄 の クツ を もらい ました 。 ||むすめ||なな|とし||あいだ|はたらいて|くろがね||くつ||| There, my daughter worked for seven years and was given iron shoes. そして 、 ガラス の 丘 を のぼった のです 。 |がらす||おか||| そこ に は 、 もう 一 人 の 洗濯 女 の 家 が あり ました 。 ||||ひと|じん||せんたく|おんな||いえ||| There was another laundry woman's house there. 家 の 中 に は 血だらけの 服 を 着た 、 若い 騎士 ( きし ) がい ました 。 いえ||なか|||ちだらけの|ふく||きた|わかい|きし||| Im Haus war ein junger Ritter in blutigen Kleidern. Inside the house was a young knight, dressed in bloody clothes. 何でも その 服 を きれいに 洗った 者 が 、 騎士 の 奥さん に なれる と いう こと です 。 なんでも||ふく|||あらった|もの||きし||おくさん|||||| Dies bedeutet, dass die Person, die die Kleidung putzt, die Frau eines Ritters sein kann. It means that the person who cleans the clothes can be the wife of a knight. 洗濯 女 は 、 一生懸命 洗い ました 。 せんたく|おんな||いっしょうけんめい|あらい| Laundry The woman washed her hard. けれど どんなに 洗って も 、 血 は 取れ ませ ん でした 。 ||あらって||ち||とれ||| However, no matter how much I washed it, I couldn't get any blood. 今度 は 、 洗濯 女 の 娘 が 洗って み ました 。 こんど||せんたく|おんな||むすめ||あらって|| This time, the washing woman's daughter tried to wash it. どんなに ゴシゴシ こすって も 、 血 は 少しも おち ませ ん 。 ||||ち||すこしも||| No matter how hard you rub it, the blood will not drop at all. そこ で 、 鉄 の くつ を はいて きた 娘 が 洗って み ました 。 ||くろがね||||||むすめ||あらって|| There, my daughter, who had been wearing iron shoes, washed it. すると 血 は みるみる うち に おちて 、 服 は きれいに なり ました 。 |ち||||||ふく|||| Then the blood fell and the clothes were clean. ところが 、 洗濯 女 の 娘 は 、 「 服 を きれいに した の は 、 わたし です 」 と 、 騎士 に うそ を つき ました 。 |せんたく|おんな||むすめ||ふく|||||||||きし||||| However, the washing woman's daughter lied to the knight, saying, "I was the one who cleaned the clothes." こうして 騎士 と 洗濯 女 の 娘 が 、 結婚 する こと に なり ました 。 |きし||せんたく|おんな||むすめ||けっこん||||| In this way, the knight and the daughter of the washing woman got married. これ を 知る と 鉄 の くつ を はいた 娘 は 、 ひどく ガッカリ し ました 。 ||しる||くろがね|||||むすめ|||がっかり|| Knowing this, my daughter, who wore iron shoes, was terribly disappointed. 一目 見た 時 から 、 騎士 が 大好きに なって いた から です 。 いちもく|みた|じ||きし||だいすきに|||| Auf den ersten Blick habe ich Ritter immer geliebt. From the first glance, I've always loved knights. 娘 は ふと 、 リンゴ の こと を 思いだし ました 。 むすめ|||りんご||||おもいだし| My daughter suddenly remembered an apple. リンゴ を 割って みる と 、 中 から 金 や 宝石 が 出て き ました 。 りんご||わって|||なか||きむ||ほうせき||でて|| When I broke the apple, gold and jewels came out from inside. 娘 は 、 洗濯 女 の 娘 に 、 「 これ を みんな あげる わ 。 むすめ||せんたく|おんな||むすめ|||||| The daughter said to the daughter of the washing woman, "I'll give this to everyone. その代わり 、 結婚 する の を 一 日 だけ のばして ちょうだい 。 そのかわり|けっこん||||ひと|ひ||| Bitte verlängern Sie Ihre Ehe stattdessen nur um einen Tag. Instead, please extend your marriage for only one day. そして 今夜 、 わたし を 騎士 の 部屋 に 入ら せて ください 」 と 、 頼み ました 。 |こんや|||きし||へや||はいら||||たのみ| Und heute Nacht, bitte lassen Sie mich das Ritterzimmer betreten. " And tonight, please let me enter the knight's room. " 洗濯 女 の 娘 は 金 と 宝石 を もらって 、 娘 の 申し出 を 承知 ( しょうち ) し ました 。 せんたく|おんな||むすめ||きむ||ほうせき|||むすめ||もうしで||しょうち||| The Washerwoman's daughter received money and jewels and accepted her offer. ところが 洗濯 女 は 、 騎士 に 眠り 薬 を 飲ま せた のです 。 |せんたく|おんな||きし||ねむり|くすり||のま|| However, the washing woman gave the knight a sleeping pill. 騎士 は 眠り 薬 を 飲んで 、 朝 まで グッスリ と 眠って しまい ました 。 きし||ねむり|くすり||のんで|あさ||ぐっすり||ねむって|| The knight took sleeping pills and fell asleep until morning. 娘 は 騎士 のべ ッド の そば で 、 夜通し 泣いて い ました 。 むすめ||きし||||||よどおし|ないて|| My daughter was crying all night by the knight's bed. そして 、 ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 |なな|とし||あいだ|||||| ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 がらす||おか|||きもの||ち||あらった| ♪ I washed the glass hills, climbed up, ♪ The blood of the kimono was also washed. ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ||||ねて|| ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 ♪ Schälen Sie diesen, nicht wahr? ♪ Peel this one, don't you. と 、 歌い ました 。 |うたい|

次の 日 、 娘 は 悲しくて 悲しくて 、 どうして よい か わかり ませ ん でした 。 つぎの|ひ|むすめ||かなしくて|かなしくて||||||| The next day, my daughter was sad and sad and didn't know what to do. そして ふと 、 ナシ を 割って み ました 。 ||||わって|| Then, suddenly, I broke the pear. ナシ の 中 に は 前 より も ずっと たくさんの 、 宝石 や 金 が 入って い ました 。 ||なか|||ぜん|||||ほうせき||きむ||はいって|| There were far more jewels and gold in the pear than before. これ を 、 洗濯 女 の 娘 に やって 、 「 もう 一 日 、 結婚 を のばして ください 。 ||せんたく|おんな||むすめ||||ひと|ひ|けっこん||| Do this to the daughter of the washing woman and say, "Please extend your marriage for another day. そして もう ひと 晩 、 騎士 の 部屋 に 入ら せて ください 」 と 、 頼み ました 。 |||ばん|きし||へや||はいら||||たのみ| 洗濯 女 の 娘 は 、 承知 し ました 。 せんたく|おんな||むすめ||しょうち|| けれども 騎士 は 、 その 晩 も 洗濯 女 に 眠り 薬 を 飲ま さ れて 、 朝 まで グッスリ 寝て しまい ました 。 |きし|||ばん||せんたく|おんな||ねむり|くすり||のま|||あさ||ぐっすり|ねて|| 娘 は 、 ため息 を ついて 、 ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 むすめ||ためいき|||なな|とし||あいだ|||||| ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 がらす||おか|||きもの||ち||あらった| ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ||||ねて|| ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 と 、 歌い ました 。 |うたい|

次の 日 、 騎士 が 狩り に 出かける と 、 仲間 の 一 人 が 言い ました 。 つぎの|ひ|きし||かり||でかける||なかま||ひと|じん||いい| The next day, the knight went hunting, one of his companions said. 「 きみ の 部屋 から 聞こえる 音 は 、 なんだ ? ||へや||きこえる|おと|| うめき声 と 泣き声 と 、 歌 を うたう 声 が 聞こえる ぞ 」 と 、 言い ました 。 うめきごえ||なきごえ||うた|||こえ||きこえる|||いい| 「? ・・・ ぼく は 、 何も 知ら ない 」 と 、 騎士 は 言い ました 。 ||なにも|しら|||きし||いい| けれども 仲間 は みんな 、 すすり泣き を 聞いた と いう のです 。 |なかま|||すすりなき||きいた||| But all the friends said they heard sobbing. そこ で 騎士 は 、 今夜 は 一晩 中 起きて 見張って いる こと に し ました 。 ||きし||こんや||ひとばん|なか|おきて|みはって||||| There, the knight decided to stay up and watch all night tonight.

三 日 目 の 晩 に 、 なり ました 。 みっ|ひ|め||ばん||| 娘 は 、 スモモ を 割り ました 。 むすめ||||わり| 中 から は リンゴ を 割った 時 より も 、 ナシ を 割った 時 より も 、 ずっと ずっと すばらしい 宝石 が 出て き ました 。 なか|||りんご||わった|じ|||||わった|じ||||||ほうせき||でて|| From the inside, a much better gem came out than when I broke an apple and when I broke a pear. この 宝石 で 娘 は また 、 騎士 の 部屋 に 入る 事 が 出来 ました 。 |ほうせき||むすめ|||きし||へや||はいる|こと||でき| 洗濯 女 は 、 またしても 眠り 薬 を 騎士 の ところ へ 持って 行き ました 。 せんたく|おんな|||ねむり|くすり||きし||||もって|いき| すると 騎士 は 、 「 ハチミツ を 入れて 、 甘く して くれ 」 と 、 言って 、 洗濯 女 に ハチミツ を 取り に 行か せ ました 。 |きし||||いれて|あまく||||いって|せんたく|おんな||||とり||いか|| Then the knight said, "Put in the honey and sweeten it," and sent the washing woman to pick up the honey. 洗濯 女 が 行って いる すきに 、 騎士 は 眠り 薬 を 捨てて しまい ました 。 せんたく|おんな||おこなって|||きし||ねむり|くすり||すてて|| The knight has thrown away his sleeping pills as the washing woman goes. 騎士 は べ ッド に 入って いる と 、 やがて 娘 が やってきて うたい はじめ ました 。 きし|||||はいって||||むすめ||||| ♪ 七 年 の 間 、 あなた の ため に つくし ました 。 なな|とし||あいだ|||||| ♪ I've done it for you for seven years. ♪ ガラス の 丘 を 、 よじのぼり 、 ♪ 着物 の 血 も 、 洗った わ 。 がらす||おか|||きもの||ち||あらった| ♪ それ でも 、 あなた は 寝て いる の 。 ||||ねて|| ♪ こっち を むいて 、 くださら ない の 。 騎士 は 起き上がる と 、 娘 の 方 を 向き ました 。 きし||おきあがる||むすめ||かた||むき| When the knight got up, he turned to his daughter. 娘 は 騎士 に 、 何もかも 話し ました 。 むすめ||きし||なにもかも|はなし| The daughter told the knight everything. この 騎士 こそ 、 あの 黒 ウシ だった のです 。 |きし|||くろ|うし|| 魔法 で 黒 ウシ に さ れて いた 騎士 は 、『 強い 奴 』 と 戦って 勝った ので 人間 の 姿 に 戻った のです 。 まほう||くろ|うし|||||きし||つよい|やつ||たたかって|かった||にんげん||すがた||もどった| それ から 谷間 で 娘 を 探した のです が 、 あの とき 娘 が 足 を 組んで しまった ので 、 見つける 事 が 出来 なく なって しまった のでした 。 ||たにま||むすめ||さがした|||||むすめ||あし||くんで|||みつける|こと||でき|||| Then I searched for my daughter in the valley, but at that time she had crossed her legs, so I couldn't find her.

あくる 日 、 洗濯 女 と その 娘 は 追い出さ れ ました 。 |ひ|せんたく|おんな|||むすめ||おいださ|| The next day, the washing woman and her daughter were kicked out. そして 騎士 と 娘 は 、 めでたく 結婚 した のです 。 |きし||むすめ|||けっこん||

おしまい