ワラ と 炭 と マメ わら||すみ||まめ Straw, charcoal and beans

ワラ と 炭 と マメ わら||すみ||まめ

むかし むかし 、 ある 村 に 、 一 人 の 貧しい おばあ さん が 住んで い ました 。 |||むら||ひと|じん||まずしい||||すんで|| おばあ さん は マメ を ひと さ ら 集めて 、 煮よう と 思い ました 。 |||まめ|||||あつめて|によう||おもい| そこ で おばあ さん は かまど に 火 を おこす ため 、 ひと つかみ の ワラ に 火 を つけ ました 。 |||||||ひ|||||||わら||ひ||| おばあ さん が マメ を ナベ に あける とき 、 知ら ない 間 に 一 粒 だけ おばあ さん の 手 から 滑り落ち ました 。 |||まめ||なべ||||しら||あいだ||ひと|つぶ|||||て||すべりおち| その マメ は 床 の 上 の ワラ の そば に 、 コロコロ と 転がって いき ました 。 |まめ||とこ||うえ||わら||||ころころ||ころがって|| すぐ その あと から 、 まっ 赤 に おこって いる 炭 が かまど から は ね 出して 、 この 二 人 の ところ へ やってき ました 。 |||||あか||||すみ||||||だして||ふた|じん||||| する と 、 ワラ が 言い ました 。 ||わら||いい| 「 お前 さん たち 、 どこ から 来た んだ ね ？ おまえ|||||きた|| 」 　 炭 が 、 答え ました 。 すみ||こたえ| 「 おれ は うまい ぐあい に 、 火 の 中 から 飛び出して きた んだ よ 。 |||||ひ||なか||とびだして||| こう で も し なかったら 、 間違い なし に お だぶつ さ 。 |||||まちがい||||| 燃えて 灰 に なっち ま うに 、 決まって る もの 」 　 今度 は 、 マメ が 言い ました 。 もえて|はい|||||きまって|||こんど||まめ||いい| 「 あたし も 、 無事に 逃げて きた わ 。 ||ぶじに|にげて|| あの おばあ さん に お ナベ の 中 へ 入れ られよう もの なら 、 ほか の お 友だち と 同じ ように 、 ドロドロ に 煮 られて しまう ところ だった の よ 」 「 おれ だって 、 似たりよったりの 目 に 会って る の さ 」 と 、 ワラ が 言い ました 。 |||||なべ||なか||いれ|||||||ともだち||おなじ|よう に|||に|||||||||にたりよったりの|め||あって|||||わら||いい| 「 おれ の 兄弟 たち は 、 みんな あの ばあさん の おかげ で 火 を つけ られて 煙 ( けむり ) になっ ちまった んだ 。 ||きょうだい|||||||||ひ||||けむり|||ち まった| ばあさん たら 、 いっぺんに 六十 も つかんで 、 みんな の 命 を とっ ちまった の さ 。 |||ろくじゅう|||||いのち|||ち まった|| おれ だけ は 運 良く 、 ばあさん の 指 の 間 から 滑り落ちた から いい けど ね 」 「 ところで 、 おれたち は これ から 、 どう したら いい だろう ？ |||うん|よく|||ゆび||あいだ||すべりおちた||||||||||||| 」 と 、 炭 が 言い ました 。 |すみ||いい| 「 あたし 、 こう 思う の よ 」 と 、 マメ が 答え ました 。 ||おもう||||まめ||こたえ| 「 あたし たち は 運 良く 死な ず に すんだ のです から 、 みんな で 仲良し の お 友だち に なり ましょう よ 。 |||うん|よく|しな||||の です||||なかよし|||ともだち|||| そして ここ で もう 二度と あんな ひどい 目 に 会わ ない ように 、 一緒に 外 へ 出て 、 どこ か よ その 国 へ でも 行き ましょう 」 　 この 話 に 、 ほか の 二 人 も 賛成 し ました 。 ||||にどと|||め||あわ||よう に|いっしょに|がい||でて|||||くに|||いき|||はなし||||ふた|じん||さんせい|| そこ で 三 人 は 連れだって 、 出かける こと に なった のです 。 ||みっ|じん||つれだって|でかける||||の です

やがて 三 人 は 、 とある 小さな 水 の 流れ の ところ に やってき ました 。 |みっ|じん|||ちいさな|すい||ながれ||||| 見る と 橋 も なければ 、 渡し 板 も あり ませ ん 。 みる||きょう|||わたし|いた|||| 三 人 は どうして 渡った もの か 、 とほう に くれて しまい ました 。 みっ|じん|||わたった||||||| すると ワラ が 、 うまい 事 を 思い ついて 言い ました 。 |わら|||こと||おもい||いい| 「 おれ が 横 に なって 、 ねころんで やろう 。 ||よこ|||| そう すれば お前 さん たち は 橋 を 渡る ように 、 おれ の 体 の 上 を 渡って いける と いう もん だ 」 　 こう 言って ワラ は こっち の 岸 から 向こう の 岸 まで 、 体 を 長々 と のばし ました 。 ||おまえ||||きょう||わたる|よう に|||からだ||うえ||わたって|||||||いって|わら||||きし||むこう||きし||からだ||ながなが||| すると 炭 は 生まれつき せっかちだった もの です から 、 この 出来た ばかりの 橋 の 上 を かけ 出し ました 。 |すみ||うまれつき||||||できた||きょう||うえ|||だし| ところが 真ん中 まで 来て 、 足 の 下 で 水 が ザーザー と 流れる 音 を 聞き ます と 、 どうにも 怖く なって そこ に 立ちすくんで しまい ました 。 |まんなか||きて|あし||した||すい||||ながれる|おと||きき||||こわく||||たちすくんで|| 「 おい 、 はやく 渡れ ！ ||わたれ おれ が 燃え ちまう だろう ！ ||もえ|ち まう| 」 　 ワラ が どなり ました が 、 炭 は ブルブル ふるえ ながら 言い ました 。 わら|||||すみ||ぶるぶる|||いい| 「 わかって いる が 、 怖くて 、 怖くて 」 　 その うち に ワラ は 燃え 出して 二 つ に 切れて 、 水 の 流れ の 中 へ 落 っこ ち ました 。 |||こわくて|こわくて||||わら||もえ|だして|ふた|||きれて|すい||ながれ||なか||おと||| もちろん 炭 も 水 の 流れ に 落ちて しまい 、 ジュッ と いって 命 を 失って しまい ました 。 |すみ||すい||ながれ||おちて|||||いのち||うしなって|| この 出来事 を 見て いた マメ は 、 おかしくて 、 おかしくて 、 お腹 を かかえて 大笑い です 。 |できごと||みて||まめ||||おなか|||おおわらい| ところが あんまり ひどく 笑った もの です から 、 とうとう お腹 が パチン と はじけて しまい ました 。 |||わらった|||||おなか|||||| その 時 、 旅 を して いる 仕立 屋 ( し たて や ) さん が 、 運 良く はじけた マメ を 見つけて くれ ました 。 |じ|たび||||したて|や||||||うん|よく||まめ||みつけて|| 仕立 屋 さん は とても やさしい 人 でした から 、 さっそく 針 と 糸 を 取り出して マメ の 体 を ぬい あわせて くれ ました 。 したて|や|||||じん||||はり||いと||とりだして|まめ||からだ||||| 「 ありがとう ございます 。 おかげ で 助かり ました 」 　 マメ は 仕立 屋 さん に 、 何度 も 何度 も お 礼 を 言い ました 。 ||たすかり||まめ||したて|や|||なんど||なんど|||れい||いい| けれども 仕立 屋 さん が つかった の は 黒い 糸 でした ので 、 それ から と いう もの は どの マメ に も 黒い ぬい目 が ついて いる のです 。 |したて|や||||||くろい|いと||||||||||まめ|||くろい|ぬいめ||||の です

おしまい