盾の勇者の成り上がり 02 Chapter 01
一 話 たまご ガチャ
「 これ は これ は 勇者 様 。 今日 は どのような 用件 で ? テント に 顔 を 出す と 、 あの 紳士 の 奴隷 商 が もったいぶった ポーズ で 俺 達 を 出迎える 。
「 おや ? 奴隷 商 は ラフタリア を マジマジ と 見つめて 感心 した ように 声 を 漏らす 。
「 驚き の 変化 です な 。 まさか こんなに も 上 玉 に 育つ と は 」
と か 言い ながら 俺 の 方 を 見て 、 何 か ガックリ と 肩 を 落とす 。
この 奴隷 商 と いう 人物 は 俺 が 人間 不信 に なり 、 若干 の 金 は あって も 攻撃 の 手段 が ない と 悩んで いた ところ に 奴隷 を 買いません か ? と 勧めて きた 奴 だ 。
外見 は 小 太り の 中年 紳士 。 怪しい を 絵 に 描いた ような 人物 だ 。
どうも 俺 の 目付き が 気 に 入って 色々 と 良く して くれる らしい 。 ここ で 俺 は ラフタリア を 買った 。
「…… なんだ よ 」
「 もっと 私 共 の ような 方 か と 思って いた のです が 期待 は ずれ でした な 」
それ は どういう 意味 だ ? と は 言わ ず 我慢 しよう 。
舐められる と 、 以後 の 関係 に 支障 が 出る から な 。 それっぽい 事 でも 言って おく か 。 「 生かさ ず 殺さ ず 、 それでいて 品質 を 上げる の が 真 なる 奴隷 使い だ と 答えて やる 」
ドス の 利いた 声 で 奴隷 商 に 返答 する 。
「 お前 の 知る 奴隷 と は 、 使い捨てる もの な んだろう な 」
「 な 、 ナオフミ 様 ? ラフタリア が 上 目 使い で 心配 そうに こちら を 見上げた 。
自分 でも ちょっと 調子 に 乗って いる と いう 自覚 は ある 。 なんという か 以前 より 少し 余裕 が できた 。
「…… ふ ふ ふ 。 そう でした か 、 私 ゾクゾク して きました よ 」 奴隷 商 の 奴 、 俺 の 答え が 気 に 入った の か 、 これ でも か と 笑み を 浮かべる 。 「 して 、 この 奴隷 の 査定 です な …… ここ まで 上 玉 に 育った と なる と 、 非 処女 だ と して 金貨 二〇 枚 で 、 どう でしょう か ? 「 なんで 売る こと が 既に 決定 して いる んです か ! それ に 私 は 処女 です ! ラフタリア の 言葉 に 奴隷 商 は 驚き の 声 を 発する 。
「 なんと ! で は 金貨 三五 枚 に 致しましょう 。 本当に 処女 か 確かめて よろしい です かな ? 「 ナオフミ 様 ! ラフタリア が 金貨 三五 枚 だ と !?
「 ナオフミ 様 !? ねえ 、 なんか 言って ください よ 」
金貨 三五 枚 か 、 Lv 75 の 狼 男 が 余裕 で 買える 金額 だ ぞ !
そんな 思案 を して いる と ラフタリア が 凄く 怖い 顔 で ガシッ と 俺 の 肩 を 掴む 。
「 ナオフミ 様 …… お 戯れ は 程々に なさいません と 怒ります よ 」 「 どうした ん だ ? 怖い 顔 を して 」
「 私 が 査定 されて いる に も かかわら ず 、 全然 拒否 し ない から です 」 「 余裕 を 見せ ない と 舐められる から だ 」 と 、 誤 魔 化 す しか ない だろう 。 ちょっと 考え が 脳裏 に 過ぎった の を 見抜か れたら 、 ラフタリア に 見限ら れ かね ない 。 さすが に 俺 を この 世界 で 唯一 信じて くれた 子 を 売る ような 真似 は し ない 。
だが ……。
「 金貨 三五 枚 か ……」
小さく 呟く と ラフタリア の 力 が 強く なる 。
「 いたい 、 いたい ! ラフタリア の 攻撃 力って …… 俺 の 防御 力 を 上回って いる んだ なぁ 。 これ は 頼り に なる 。 戦闘 的な 意味 で 。
「…… このまま 逃げて も よろしい でしょう か ? 「 冗談 だ 。 ラフタリア が そんなに も 高く 評価 を されて いる んだ な と 思った だけ だ 」 「 そ 、 そんな …… ナオフミ 様ったら ……」 なんか ラフタリア が 大人 しく なって 照れて いる 。 「 まあ 奴隷 商 、 ラフタリア は 売ら ない と 決めて いる んだ 。 大事な 娘 を 手放せる か 」
「 娘 ? 「 気 に する な 。 こっち の 話 だ 」
「 は ぁ ……? たとえ 親 の 真似 事 を する と して も 、 ラフタリア の 親 は 世界 に 二 人 しか いない 。 ラフタリア も 俺 が 突然 親 気取り を 始めたら 嫌だろう 。
「 そう です か …… 非常に 残念です 。 して 、 何の 御用 で ? 「 ああ 、 お前 は 聞いて ない か ? 城 で の 騒ぎ 」
俺 の 問い に 奴隷 商 は また も ニヤリ と 笑う 。
「 存じて おります ぞ 。 奴隷 の 呪い が 解かれて しまった のです ね 」 「 知っている なら 話 は 早い な …… と いう か 、 何 し に 来た の か わかって いる なら 査定 を する な 」 俺 が ラフタリア に 愛想 を 尽かさ れ そうに なって いた と いう のに 。 「 あの 王 の 妄言 程度 で この 国 の 奴隷 制度 は なくなりません よ 。 ハイ 」
昨夜 、 あの クズ は 俺 の 奴隷 であった ラフタリア を 国 の 法律 を 捻じ曲げて まで 没収 しよう と した 。 それ は 元 もと 康 やす が 気 に 入ら ない から と いう 理由 だった ようだ が 。
「 ん ? 貴族 は 奴隷 を 買わ ない んだ ろ ? 「 いえいえ 、 むしろ 貴族 の 方々 が 買い に 来ます 。 用途 は 色々 あります から ね 。 ハイ 」
「 あの クズ 、 元康 …… 槍 の 勇者 に 肩入れ して あんな 事 言って 貴族 が 反感 を 抱いたり し ない の か ? そう なる と 滑稽な んだ が な 。 と いう か むしろ そう なって くれれば この 国 も 良く なる のに 。
「 この 国 も 一枚岩 で は ございませ ん ので 。 そんな 事 を すれば 手痛い 目 に 遭う の は 意見 を 掲げた 貴族 です 。 ハイ 」
「 あの クズ が そんなに 権力 を 持って いる の か ? 独裁 国家 的な 国 な のだろう か 。 だ と したら 一〇 年 持た ない な 。 いずれ 反乱 でも 起こって 滅亡 する だろう 。 なん せ クズ が 国 を 治めて 、 ビッチ が 後継 者 だ もん な 。
「 それ は です ね 。 この 国 で は 王 より ──」
「 あの …… 奴隷 紋 の 話 は どう なった のです か ? 「 そう いえば そう だった な 」
脱線 して しまった 。 考えて みれば 、 もう 会わ ない クズ の 事 なんて どうでも 良い な 。
「 で 、 奴隷 紋 を 掛けて もらい に 来た わけです ね 。 ハイ 」
「 ああ 、 できる か ? 「 いつでも できます よ 」 パチン と 奴隷 商 が 指 を 鳴らす と 、 奴隷 認証 を した 時 の 壷 を 部下 が 持って 来た 。 ラフタリア は 恥ずかし そうに 胸 当て を 外して 胸 を 露出 さ せる 。
「 ど 、 どう です か ? 「 何 が ? 「…… は ぁ 」
ん ? 何 を そんなに 残念 そうに して いる のだろう か ?
しかも 溜息 まで 吐く 始末 。 俺 が 何 か した のだろう か ?
後 は 前 やった 時 と 同じ ように 俺 の 血 を 混ぜた インク を ラフタリア の 奴隷 紋 が あった 場所 に 塗り つける 。 消えて いた 紋様 が 浮かび上がり 、 ラフタリア の 胸 で 輝き 始める 。
「 くっ……」 ラフタリア は 痛み を 堪えて いる 。 俺 の 視界 に 奴隷 の アイコン が 復活 した 。 命令 や 違約 行為 に 対する 該当 項目 を チェック 。
…… 前 より は 少な めに して 大丈夫だ 。 ラフタリア は 俺 に 信じて もらう ため に 奴隷 に 戻った のだ 。 俺 も ラフタリア を 信じ なければ いけない 。 むしろ 殆ど 掛ける 必要 は ない 、 形 だけ の 印 だ 。
「 さて 」
どう する か と 考えて いる と 、 不意に 残った インク の 入って いる 皿 が 視界 に 入る 。
触れて みる と 盾 が 反応 して いた 。
「 なあ 、 この インク を 分けて もらえ ない か ? その分 の 金 は 払う から 」
「 ええ 、 良い です よ 」
残った インク を 盾 に 掛ける 。
スー …… と 盾 は インク を 吸い込んだ 。
奴隷 使い の 盾 の 条件 が 解放 さ れました 。 奴隷 使い の 盾 Ⅱ の 条件 が 解放 さ れました 。 奴隷 使い の 盾
能力 未 解放 …… 装備 ボーナス 、 奴隷 成長 補正 ( 小 )
奴隷 使い の 盾 Ⅱ
能力 未 解放 …… 装備 ボーナス 、 奴隷 ステータス 補正 ( 小 )
奴隷 使い の 盾 か …… まあ 、 なんとなく 頷ける 結果 だ な 。
ツリー は 独自の もの な の か 新しく 出現 し 、 元 は スモールシールド から 派生 して いる 。 その分 あまり 強く ない 。 だけど 、 装備 ボーナス が ちょっと 魅力 的だ 。
成長 補正 か 。
と いう か インク を 少し 流した だけ で なんで 二 つ も 開いた んだ ?
この 盾 、 伝説 の 武器 であり 、 様々な 素材 を 吸わ せる こと で 成長 して いく 力 を 持って いる 。
そして しばらく その 盾 の 状態 で いる と 能力 解放 と いう もの が 起こり 、 装備 ボーナス が 永続 的に 俺 の ステータス に 付与 さ れる と いう 仕組み だ 。 つまり 様々な 盾 を 手 に 入れて 装備 ボーナス を 重ねる こと で 勇者 は 普通の 人 より も 遥かに 強く なれる と いう こと な のだ 。
スキル や 技能 、 他 に ステータス 自体 を 伸ばす 装備 ボーナス が 今 の ところ 確認 されて いる 。 まだまだ 謎 が 多い が 、 この 盾 を 使いこなして いか ない と これ から 生き残る こと は でき ない だろう 。
さて と 、 徐に ラフタリア の 顔 を 見る 。
「 な んです か ? そう いえば 髪 の 毛 を 盾 に 吸わ せた こと が あった な 。 あの 時 は ラクーンシールド に 目 が 行って た けど 、 こっち も 満たして いた の かも しれ ない 。 おそらく 奴隷 使い の 盾 Ⅱ が それ だった のだろう 。 ツリー を 満たした ので 一緒に 解放 さ れた 。 そんな ところ だ と 推察 する 。
と なる と ……。
「 ラフタリア 、 ちょっと 血 を くれ ない か ? 「 どうした の です か ? 「 いやな 、 少し 実験 して み たくて な 」
首 を 傾げ つつ 、 ラフタリア は 俺 が インク に 血 を 入れた 時 と 同じ ように 指先 を ナイフ で 少し だけ 切って 血 を 滲ませ 、 俺 が 差し出した 盾 に 落とす 。
奴隷 使い の 盾 Ⅲ の 条件 が 解放 さ れました 。 奴隷 使い の 盾 Ⅲ
能力 未 解放 …… 装備 ボーナス 、 奴隷 成長 補正 ( 中 )
よし ! 推理 は 当たった !
「 ナオフミ 様 ? なんか 楽し そうです よ 」
「 ああ 、 面白い 盾 が 出て きた んで な 」
「 それ は よかった です ね 」
俺 は 盾 を 奴隷 使い の 盾 に 替えて 解放 を 待つ こと に した 。
「 さて と …… ん ? ここ で の 用事 も 済んだ し 帰ろう と する と 、 テント の 隅 に ある 卵 の 入った 木箱 に 目 が いった 。
見覚え が ない もの だ 。 何 だろう か 。
「 あれ は 何 だ ? 奴隷 商 に 尋ねる 。
「 ああ 、 あれ は 私 共 の 表 の 商売 道具 です な 」
「 お前 等 の 表 の 仕事って な んだ よ 」 「 魔物 商 です よ 」 なんか テンション 高 めに 答えられた 。 「 魔物 ? と いう と この 世界 に は 魔物 使い と かも いる の か 」
「 物 わかり が 良くて 何より です 。 勇者 様 は ご 存じ ないで す か ? 「 会った こと は ない 気 が する が ……」
「 ナオフミ 様 」
ラフタリア が 手 を 上げる 。
「 どうした ? 「 フィロリアル は 魔物 使い が 育てた 魔物 です よ ? 聞いた こと も ない 魔物 の 名前 だ 。 一体 何 を 指して いる んだ だろう 。
「 何 だ 、 それ は ? 「 町 で 馬 の 代わり に 馬車 を 引いて いる 鳥 です よ 」
「 ああ 、 あれ か 」
馬車 を 引く 大きな 鳥 ね 。 この 世界 独特 の 動物 か と 思ったら 魔物 だった の か 。
「 私 の 住んで いた 村 に も 魔物 育成 を 仕事 に して いる 方 が いました よ 。 牧場 に 一杯 食肉 用 の 魔物 を 育てて いました 」 「 へ ー ……」 あれ か ? この 世界 に とって 牧場 経営 と か の 類 は 魔物 使い と いう カテゴリー に 組み込まれて いる の かも しれ ない 。 動物 と いう 名称 が なく 、 人 以外 の 生物 が 魔物 と 呼ばれて いる なら あり える な 。 「 で 、 あの 卵 は ? 「 魔物 は 卵 から 育て ない と 人 に は 懐きません から ねぇ 。 こうして 卵 を 取引 して る のです よ 」
「 そう な の か 」
「 魔物 の 檻 を 見ます か ? 欲しい の なら 売る 。 奴隷 商 は 商魂 逞 し い な 。
「 いや 、 今回 は いい 。 で 、 あの 卵 の 入った 木箱 の 上 に 立てかけて ある 看板 は 何 だ ? なんと 書いて ある の か 読め ない けど 、 木箱 に 矢印 が ついて いて 数字 らしき もの が 書いて ある 。
「 銀貨 一〇〇 枚 で 一 回 挑戦 、 魔物 の 卵 くじ です よ ! 「 一〇〇 枚 と は 高い な 」
俺 達 の 所持 金 は 銀貨 五〇八 枚 、 かなり の 大金 だ 。
「 高価な 魔物 です 故 」
「 一応 参考 に 聞く が 、 フィロリアル だっけ ? それ は お前 の 所 じゃ 平均 幾ら だ ? 「…… 成体 で 二〇〇 枚 から です か ね 。 羽毛 や 品種 など に 左右さ れます 。 ハイ 」
「 成体 と いう こと は ヒナ は もっと 安い の か 。 更に 卵 の 値段 だけ で 、 育成 費 は 除外 だ と する と …… 得な の か ? 「 いえいえ 、 あそこ に ある の は 他の 卵 も 一緒で ございます 」
「 なるほど …… くじ と 言って いた から な 」
ハズレ も あれば 当たり も ある と 言う 奴 か 。
ハズレ を 引けば 目 も 当てられ ない 。 当たり を 引けば 元 より 高め 。
「 で 、 あの 中 に は 当たり が 無いって ところ か 」 「 なんと ! 私 達 が そんな 非道な 商売 を して いる と 勇者 様 は お 思い で !?」
「 違う の か ? 「 私 、 商売 に は プライド を 持って おります 。 虚 言 で お 客 様 を 騙す の は 好きで は あります が 、 売る もの を 詐称 する の は 嫌で ございます 」 「 騙す の は 好きだ けど 、 詐称 は 嫌いって ……」 どんな 理屈 だ よ 。 と 、 半ば 呆れ つつ 考える 。
「 それ で ? 当たり は 何 な んだ ? 「 勇者 様 が わかり やすい ように 説明 します と 騎竜 で ございます ね 」 キリュウ 、 騎竜 …… たぶん 、 騎士 団 の 将軍 クラス が 乗って いた ドラゴン か ? 「 馬 みたいな ドラゴン ? 「 いえ 、 今回 は 飛行 タイプ です 。 人気 が あります 故 …… 貴族 の お 客 様 が 挑戦 して いきます よ 」 飛ぶ ドラゴン か ー …… 夢 が ある な 。 「 ナオフミ 様 ? 「 相場 です と 当たり を 引いたら 金貨 二〇 枚 相当に 匹敵 します 。 ドラゴン の 中 で は 安 めです 。 ハイ 」
「 ちなみに 確率 は ? その 騎竜 の 卵 の 出る 奴 だけ で 良い 」
「 今回 の くじ で 用意 した 卵 は 二五〇 個 で ございます 。 その 中 で 当たり は 一 個 です 」
二五〇 分 の 一 か 。
「 見た目 や 重 さ で わから ない よう 強い 魔法 を 掛けて おります 。 ハズレ を 引く 可能 性 を 先 に 了承 して から の 購入 です 」
「 良い 商売 を して いる な 」
「 ええ 、 当たった 方 に は 名前 を 教えて もらい 、 宣伝 に も 参加 して いただいて おります 」 「 ふむ 、 確率 が な ……」 「 一〇 個 お 買い上げ に なる と 、 必ず 当たり の 入って いる 、 こちら の 箱 から 一 つ 選べます 。 ハイ 」
「 さすが に 騎竜 と やら は 入って いない のだろう ? 「 ハイ 。 ですが 、 銀貨 三〇〇 枚 相当 の 物 は 必ず 当たります 」 自然 と 笑み が 零れる 。 待てよ …… コレって コンプガチャ じゃ ねえ か 、 コラ ! こういう の は 大 元 が 得 を する ように 出来て いる んだ 。 あと 少し で また 騙さ れる ところ だった 。
「 う ー む ……」
考えて みれば 仲間 が ラフタリア だけ で は ちょっと 心許なく なって くる かも しれ ない 。
奴隷 を 新しく 買う の と 魔物 を 買う ので は どっち が 得だ ?
新しく 出た 奴隷 の 盾 を 試して みる の も 面白い よ な 。 ラフタリア は Lv が 上がって いる から 成長 補正 の 恩恵 が 少し 受け づらい し 。
ただ …… 魔物 の 長所 も ある 。 ラフタリア と 一緒に 行動 する ように なって 問題 に なった の は 武器 や 防 具だ 。 魔物 は おそらく 自前 の 体 で 戦う から 武器 や 防 具 を 買い 与える 必要 が ない 。
その分 を ラフタリア に 回せる 。
「 よし 、 じゃあ 試しに 一 個 買わ せて もらう か 」
「 ありがとう ございます ! 今回 は 奴隷 紋 の 代金 込み で ご 提供 さ せて いただきます 」 「 太っ腹じゃ ない か 。 俺 は そういう の 好きだ ぞ 」
「 ナオフミ 様 !?」
「 どうした ? 「 魔物 の 卵 を 買う のです か ? 「 ああ 、 ラフタリア だけ じゃ この先 の 戦い が 厳しく なる だろう と 思って な 。 奴隷 を 買う の は 装備 代 を 考える と 高く つくし 、 魔物 辺り でも 育てて みる の も 一興 か と ね 」
「 は ぁ …… でも 、 魔物 も 大変です よ 」
「 それ くらい わかって る 。 ラフタリア も ペット くらい は 欲しい だ ろ ? 「…… ドラゴン を 狙って いる ので は ない のです か ? 「 最悪 ウサピル でも 問題 は 無い 」
小 動物 は 嫌いじゃ ない 。 ネット ゲーム でも テイミングペット が ある じゃ ない か 。 あれ と 同じ 感覚 で 一種 の 清涼 剤 代わり に なって くれれば 良い 。 何より 奴隷 と 同じく 命令 できる の なら 俺 より は 攻撃 力 が ある はずだ 。
金銭 に 余裕 が 少し だけ ある から か 財布 の 紐 が 緩んで いる 自覚 は ある 。 だけど 悪い 投資 で は ない はずだ 。 何より 奴隷 に 盾 が ある ならば 魔物 に あって も 不思議じゃ ない 。
「 育てて 売れば 奴隷 より 心 が 痛ま ない し な 」
「 ああ 、 なるほど 。 そういう 事 です か 」
愛着 は 湧く けれど 、 俺 達 に は 金 が 必要な んだ 。 我慢 する しか ない 。
奴隷 は 相手 が 人 故 に 売る 時 が 一 番 厳しい と 思う 。 なんだか んだ で ラフタリア が 俺 を 慕って くれる ように 、 俺 を 慕う 奴隷 を 売る と なる と 俺 に は できる か わから ない 。 その 点 、 魔物 に は 喋 しゃべる 口 が 無い から な 。 どんなに 懐いて いたって 心 が 少し 痛む 程度 で 済む 。
良い 買い 主に 巡り合えよ 。 と か 勝手な 願望 を 押し付けられる し 。 「 そういう 斡旋 も やって る だ ろ ? 「 勇者 様 の 考え の 深 さ に 私 、 ゾクゾク します よ ! ハイ ! 奴隷 商 の テンション も 上昇 中 だ 。
並んで いる 卵 を 見る 。 サーチ と か は でき ない ように して ある ような 事 を 言って いた から 適当に 選べば 良い だろう 。
「 じゃあ これ だ な 」
なんとなく の 直感 で 右側 に ある 卵 を 一 個 選んで 取り出す 。
「 では 、 その 卵 に 記されて いる 印 に 血 を 落として ください ませ 」 言わ れる まま 、 卵 に 塗られて いる 紋様 に 血 を 塗り た くる 。 すると カッ と 赤く 輝き 、 俺 の 視界 に 魔物 使役 の アイコン が 現れる 。 奴隷 と 同じく 禁止 事項 を 設定 できる ようだ 。
…… 俺 の 指示 を 無視 する と 罰 が 下る ように 設定 する 。 ラフタリア に 比べる と 厳し めに チェック して おく 。 所詮 は 魔物 だ 。 こちら の 言葉 は 理解 できる の か よく わから ない から 、 きつい 口調 の 方 が 良い だろう 。 まだ 孵化 して いない けど な 。 奴隷 商 は ニヤリ と 笑い ながら 孵化 器 らしき 道具 を 開いて いる 。 俺 は その 卵 を 孵化 器 に 入れた 。
「 もしも 孵化 し なかったら 違約 金 と か を 請求 し に 来る から な 」
「 ハズレ を 掴ま さ れた と して も タダ で は 転ば ない 勇者 様 に 脱帽 です ! 奴隷 商 の 機嫌 も 最高潮 に 達して いる 。 まったく 、 潜在 的な 被 虐 願望 で も ある んじゃ ない か コイツ ? 男 を 嬲る 趣味 は 無い が …… まあ 、 他の クソ 勇者 が 苦しむ 顔 は 見たい な 。 「 口 約束 でも 、 本当に 来る から な 。 シラ を 切ったら 乱暴な 俺 の 奴隷 が 暴れ だす ぞ 」
「 私 に 何 を さ せる つもりです か ! 「 心得て おります と も ! 奴隷 商 の 奴 、 すっげ ー 機嫌 が 良い 。 「 いつ 頃 孵 る んだ これ ? 銀貨 一〇〇 枚 を 奴隷 商 に 渡して から 尋ねる 。
「 孵化 器 に 書いて おります 」 「 ふ ー ん ……」 なんか 数字っぽい この 世界 の 文字 が 動いて いる 。 「 ラフタリア は 読める か ? 「 えっと 、 少し だけ なら …… 明日 くらい に 数字 が なくなり そうです 」 「 早い な 。 まあ 良い けど 」
明日 に は 何 か の 魔物 が 孵化 する の か 、 楽しみに なって きた 。
「 勇者 様 の ご 来店 、 いつでも お 待ち して おります 」 こうして 俺 達 は 卵 を 持って 、 テント を 後 に する のだった 。