Psycho-Pass Episode 17 psycho|pass|episode

槙島 は 逮捕 まきしま||たいほ

ヘルメット 犯罪 者 たち は 壊滅 へるめっと|はんざい|もの|||かいめつ

一 件 落着 … ひと|けん|らくちゃく

これ で お 仕舞い |||しまい

縢 が 行方 不明 だ とう||ゆくえ|ふめい|

二 係 でも 執行 官 が 一 人 どさくさ に 紛れ て 逃亡 を ふた|かかり||しっこう|かん||ひと|じん|||まぎれ||とうぼう|

監視 官 … かんし|かん

縢 が 逃げる か ね とう||にげる||

私 たち … 勝った と 言え る ん でしょ う か ？ わたくし||かった||いえ|||||

デカ の 仕事 は 基本 的 に 対症 療法 だ ||しごと||きほん|てき||たいしょう|りょうほう|

被害 者 が 出 て から 捜査 が 始まる ひがい|もの||だ|||そうさ||はじまる

そういう 意味 じゃ は な から 負け て いる |いみ|||||まけ||

だが 負け 試合 を せめて 引き分け で 終わら せる こと は でき た |まけ|しあい|||ひきわけ||おわら|||||

それ だけ で 良し と する しか ない |||よし||||

結局 シビュラシステム の 安全 神話 って 何 だった ん でしょ う か … けっきょく|||あんぜん|しんわ||なん|||||

安全 完璧 な 社会 なんて ただ の 幻想 だ あんぜん|かんぺき||しゃかい||||げんそう|

俺 たち が 暮らし て いる の は 今 でも 危険 社会 な ん だ おれ|||くらし|||||いま||きけん|しゃかい|||

危険 きけん

便利 だ が 危険 な もの に 頼った 社会 の こと さ べんり|||きけん||||たよった|しゃかい|||

俺 たち は 政府 に よって リスク を 背負わ さ れ て い た おれ|||せいふ|||りすく||せおわ|||||

しかし それ が 巧妙 に 分散 さ れ 分配 さ れ て い た ので |||こうみょう||ぶんさん|||ぶんぱい||||||

誰 も 気 付け なかった だれ||き|つけ|

いや … 気付 い て も 気付か なかった こと に し た |きづ||||きづか|||||

誰 も が 目 を そらし て い た の かも しれ ない だれ|||め|||||||||

危険 が そこ に 確かに 存在 する が 故 に きけん||||たしかに|そんざい|||こ|

逆 に 存在 し ない もの と して 扱わ ない と 正気 が 保て なかった ぎゃく||そんざい||||||あつかわ|||しょうき||たもて|

この 街 の 市民 は そこ まで 器用 だった でしょ う か |がい||しみん||||きよう||||

私 も 含め て … わたくし||ふくめ|

俺 は 多種多様 な 人間 を 一括 り に し た よう な 話し 方 は あんまり 好き じゃ ない ん だ が おれ||たしゅたよう||にんげん||いっかつ|||||||はなし|かた|||すき|||||

ここ は あえて 大雑把 に 行 こ う |||おおざっぱ||ぎょう||

人間 は 器用 な もの だ と 思う にんげん||きよう|||||おもう

自分 の 責任 を 回避 する 努力 を 無意識 に 行う こと が できる じぶん||せきにん||かいひ||どりょく||むいしき||おこなう|||

余計 な 話 だった な よけい||はなし||

俺 も 浮足立って いる の かも しれ ない おれ||うきあしだって|||||

槙島 聖 護 を どう 裁く か まきしま|せい|まもる|||さばく|

問題 は これ から だ もんだい||||

こいつ は ドミネーター を ぶ っ放す より 遥か に 難しく て 厄介 な 仕事 だ |||||っぱなす||はるか||むずかしく||やっかい||しごと|

だが 逃がす わけ に は いか ない |にがす|||||

やつ が 罪 を 犯し た こと は 厳然 たる 事実 だ ||ざい||おかし||||げんぜん||じじつ|

しかし 残った 心配 は 縢 の バカヤロー の こと だ |のこった|しんぱい||とう|||||

俺 たち と 別れ て 地下 へ 向かって おれ|||わかれ||ちか||むかって

なぜ そこ で 連絡 が 途絶え た |||れんらく||とだえ|

まるで パンデミック の 後始末 だ な |||あとしまつ||

サイコ ハザード は 精神 の 疾病 だ |はざーど||せいしん||しっぺい|

拡散 すれ ば この 有り様 だ かくさん||||ありさま|

大規模 な メンタル ケア パンク し た 収容 施設 だいきぼ|||けあ|ぱんく|||しゅうよう|しせつ

都市 機能 の 麻痺 に よる 経済 的 損失 … とし|きのう||まひ|||けいざい|てき|そんしつ

槙島 と いう の は とんでもない 男 で し た ね まきしま||||||おとこ||||

過去 形 に する の は まだ 早い かこ|かた||||||はやい

やつ の 量刑 を どう する か ||りょうけい||||

裁判 制度 なんて なくなって 久しい 今 さいばん|せいど|||ひさしい|いま

証拠 だけ で 立 件 する って の は ちょっと 難題 だ ろ う な しょうこ|||た|けん||||||なんだい||||

頼 ん だ ぜ 監視 官 たの||||かんし|かん

なれなれしい ぞ 執行 官 ||しっこう|かん

へい へい

局長 から の 呼び出し だ きょくちょう|||よびだし|

槙島 に 関 する 事件 の 取り調べ は 厚生 大臣 が 編成 し た 特殊 チーム で 行う まきしま||かん||じけん||とりしらべ||こうせい|だいじん||へんせい|||とくしゅ|ちーむ||おこなう

公安 局 は 捜査 権 を 失った こうあん|きょく||そうさ|けん||うしなった

はい

極めて 特異 な ケース だ きわめて|とくい||けーす|

取り調べ に は 医療 スタッフ も 常時 同席 せ ね ば なら ん とりしらべ|||いりょう|すたっふ||じょうじ|どうせき|||||

情報 の 機密 性 も 問題 に なる じょうほう||きみつ|せい||もんだい||

槙島 聖 護 は 過去 を さかのぼって 様々 な 事件 に 関与 し て い た 疑い が 濃厚 です まきしま|せい|まもる||かこ|||さまざま||じけん||かんよ|||||うたがい||のうこう|

事実 関係 を 明らか に する ため に も 公安 局 で の 尋問 は 必須 です じじつ|かんけい||あきらか||||||こうあん|きょく|||じんもん||ひっす|

その 過去 の 事件 と や ら に 未解決 の もの が ある か ね |かこ||じけん|||||みかいけつ||||||

いいえ

しかし …

槙島 は 研究 用 の 検体 と して 処分 さ れる まきしま||けんきゅう|よう||けんからだ|||しょぶん||

いや 処分 さ れ た |しょぶん|||

逮捕 し た 人間 の こと より も たいほ|||にんげん||||

君 の 一 係 は 大 問題 を 抱え て いる だ ろ う きみ||ひと|かかり||だい|もんだい||かかえ|||||

執行 官 が 一 人 逃亡 未 だ 行方 不明 しっこう|かん||ひと|じん|とうぼう|み||ゆくえ|ふめい

まだ 逃亡 と 決まった わけ で は … |とうぼう||きまった|||

シビュラシステム は すでに 復旧 し て いる |||ふっきゅう|||

縢 執行 官 が 監視 の 網 に 引っ掛から ない の は とう|しっこう|かん||かんし||あみ||ひっかから|||

それ を 避け て 行動 し て いる から だ ||さけ||こうどう|||||

このまま じゃ 責任 問題 に なる よ ||せきにん|もんだい|||

それ は その …

ふざける な

納得 の いく 説明 を しろ なっとく|||せつめい||

執行 官 が 偉 そう に 何 様 の つもり だ しっこう|かん||えら|||なん|さま|||

そんな 立場 の 話 を し てる 場合 か |たちば||はなし||||ばあい|

俺 たち が 逮捕 し た のに おれ|||たいほ|||

取り調べ も 許さ れ ない なんて おかしい だ ろ とりしらべ||ゆるさ||||||

俺 が 決め た こと じゃ ない おれ||きめ||||

文句 が ある なら … もんく|||

「 文句 が ある なら 局長 に 直接 言え 」 か もんく||||きょくちょう||ちょくせつ|いえ|

執行 官 の 俺 が 局長 に 会え る わけな い だ ろ しっこう|かん||おれ||きょくちょう||あえ|||||

実際 に 乗り込 ん で いったら 困る の は お前 だ 監視 官 じっさい||のりこ||||こまる|||おまえ||かんし|かん

どう なる ん です か ？ これ

どうにも なら ない ん じゃ ない かしら

とにかく こっち は 縢 の 捜索 に 全力 を 投入 する |||とう||そうさく||ぜんりょく||とうにゅう|

あいつ の 行動 に よって は 別 の 意味 で 公安 局 の 命取り に なり かね ない ||こうどう||||べつ||いみ||こうあん|きょく||いのちとり||||

久しぶり だ ね 聖 護 君 ひさしぶり|||せい|まもる|きみ

変わり ない よう で 何より だ かわり||||なにより|

公安 局 局長 禾生 さん … だった かな こうあん|きょく|きょくちょう|のぎなま|||

面識 は ない と 思う が … めんしき||||おもう|

まあ この 三 年 で 僕 は ずいぶん と 様変わり し た から ね ||みっ|とし||ぼく||||さまがわり||||

早速 だ が 君 に 謝ら ね ば なら ない こと が ある さっそく|||きみ||あやまら|||||||

以前 君 に 借り て い た 本 な ん だ が いぜん|きみ||かり||||ほん||||

色々 と 身辺 が ごたつ い た せい で 紛失 し て しまって ね いろいろ||しんぺん|||||||ふんしつ||||

同じ もの を 探す の に 苦労 し た よ おなじ|||さがす|||くろう|||

驚 い た な … おどろ|||

君 は 藤間 幸三郎 な の か きみ||ふじま|こうざぶろう|||

懐かしい な あれ から もう 三 年 に なる か なつかしい|||||みっ|とし|||

僕 は 君 が 公安 の 手 に 落ち た と 聞い て ぼく||きみ||こうあん||て||おち|||ききい|

心底 残念 に 思った もの だ しんそこ|ざんねん||おもった||

しかし その 顔 は 整形 … ||かお||せいけい

いや 違う な |ちがう|

体格 から し て 別人 だ たいかく||||べつじん|

全身 の サイボーグ 化 は お 友達 の 泉 宮 寺 豊久 も 実現 し て い た よ ね ぜんしん|||か|||ともだち||いずみ|みや|てら|とよひさ||じつげん||||||

だが ここ まで 完璧 な 義 体 化 技術 は 民間 に は 公開 さ れ て い ない |||かんぺき||ただし|からだ|か|ぎじゅつ||みんかん|||こうかい|||||

生身 の 人間 と まったく 見分け が つか ない だ ろ なまみ||にんげん|||みわけ|||||

君 の 知って いる 藤間 幸三郎 は 脳 だけ しか 残って い ない きみ||しって||ふじま|こうざぶろう||のう|||のこって||

どういう こと な ん だ

あれ だけ 世間 を 騒がせ た 連続 猟 奇 殺人 犯 が 公安 局 の トップ だ と ||せけん||さわがせ||れんぞく|りょう|き|さつじん|はん||こうあん|きょく||とっぷ||

冗談 に も 程 が ある じょうだん|||ほど||

厳密 に は 違う げんみつ|||ちがう

禾生 壌 宗 は 僕 一 人 で は ない し のぎなま|じょう|はじめ||ぼく|ひと|じん||||

僕 も また 常に 禾生 壌 宗 と いう わけ で は ない ぼく|||とわに|のぎなま|じょう|はじめ||||||

僕ら の 脳 は 簡単 に 交換 できる よう ユニット 化 さ れ て い て ね ぼくら||のう||かんたん||こうかん||||か||||||

いつも 持ち回り で この 体 を 使って いる ん だ |もちまわり|||からだ||つかって|||

まあ 日頃 の 業務 の 息抜き も 兼ねて ね |ひごろ||ぎょうむ||いきぬき||かねて|

「 僕ら 」 だ と ぼくら||

ああ 僕 は あくまで 代表 だ |ぼく|||だいひょう|

君 と 旧知 の 間柄 と いう こと で この 場 を 任さ れ た に すぎ ない きみ||きゅうち||あいだがら||||||じょう||まかさ|||||

姿 を 人目 に さら した こと は ない けれど すがた||ひとめ|||||||

僕たち 名前 だけ なら それなり に 有名 だ よ ぼくたち|なまえ|||||ゆうめい||

君 だって 知って る はず だ きみ||しって|||

世間 で は 僕ら の こと を 「 シビュラシステム 」 と 呼 ん で いる せけん|||ぼくら||||||よ|||

ここ から 縢 が どう 消える って いう ん だ ||とう|||きえる||||

あいつ は どんなに テンパ って も 逃げ た り は し ない ||||||にげ|||||

どんな とき でも 自分 が 生き残る 計算 が できる 男 だ |||じぶん||いきのこる|けいさん|||おとこ|

消え た の は あいつ 自身 の 意思 じゃ ない きえ|||||じしん||いし||

だったら 拉致 誘拐 … |らち|ゆうかい

それとも 死体 も 残ら ない よう な 殺し 方 か … |したい||のこら||||ころし|かた|

例えば ドミネーター の デコンポーザー と かな たとえば|||||

はい 常 守 です |とわ|しゅ|

市民 から の 通報 が あった しみん|||つうほう||

故障 し た ドミネーター が 放棄 さ れ て い た そう だ こしょう|||||ほうき|||||||

ノナ タワー から ここ まで ２０ ｋｍ は ある |たわー||||||

いくら 暴動 の 混乱 後 と は いえ |ぼうどう||こんらん|あと|||

１ 回 も カメラ チェック に 引っ掛から ない なんて こと が ある の か かい||かめら|ちぇっく||ひっかから|||||||

ドミネーター は 間違い なく 縢 の もの です ||まちがい||とう|||

かなり ひどく 損傷 し て ます ||そんしょう|||

内蔵 ＧＰＳ も 機能 し て い ない ないぞう|ｇｐｓ||きのう||||

自分 で 壊し た 追跡 を 逃れる ため に じぶん||こわし||ついせき||のがれる||

あるいは そう 思わ せ たい 誰 か の 偽装 工作 … ||おもわ|||だれ|||ぎそう|こうさく

今回 の 事件 こんかい||じけん

目 の 付け どころ は さすが と いう ほか ない め||つけ|||||||

実際 君 の お 仲間 は 真実 に たどりつ い て い た よ じっさい|きみ|||なかま||しんじつ|||||||

「 何 な ん だ ？ こりゃ … 」 なん||||

「 こいつ が シビュラシステム の 正体 だ 」 ||||しょうたい|

シビュラシステム は いわゆる ＰＤＰ モデル |||ｐｄｐ|もでる

大量 の スーパー コンピューター に よる 並列 分散 処理 と いう こと に なって いる たいりょう||すーぱー|こんぴゅーたー|||へいれつ|ぶんさん|しょり||||||

嘘 で は ない が それ は 実態 と は 程遠い うそ|||||||じったい|||ほどとおい

ナレッジ ベース の 活用 と 推論 機能 の 実現 は |べーす||かつよう||すいろん|きのう||じつげん|

ただ 従来 の 演算 の 高速 化 に よって 実現 し た わけ で は ない |じゅうらい||えんざん||こうそく|か|||じつげん||||||

それ が 可能 だった システム を 並列 化 し ||かのう||しすてむ||へいれつ|か|

機械 的 に 拡張 する こと で きかい|てき||かくちょう|||

膨大 な 処理 能力 を 与え た だけ の こと だった の さ ぼうだい||しょり|のうりょく||あたえ|||||||

人体 の 脳 の 活動 を 統合 し じんたい||のう||かつどう||とうごう|

思考 力 を 拡張 高速 化 する システム は しこう|ちから||かくちょう|こうそく|か||しすてむ|

実は もう ５０ 年 以上 も 前 から 実用 化 さ れ て い た じつは||とし|いじょう||ぜん||じつよう|か|||||

この 技術 を 秘匿 し 慎重 に 運用 し た から こそ |ぎじゅつ||ひとく||しんちょう||うんよう||||

わが国 は 目下 の ところ 地球 上 で 唯一 の 法治 国家 と して 機能 でき て いる わがくに||もっか|||ちきゅう|うえ||ゆいいつ||ほうち|こっか|||きのう|||

「 この 手 で ぶち壊す まで も ねえ 」 |て||ぶちこわす|||

「 こいつ を 世間 に 公表 すれ ば この 国 は おしまい だ 」 ||せけん||こうひょう||||くに|||

目下 システム の 構成 員 は ２４７ 名 もっか|しすてむ||こうせい|いん||な

うち ２００ 名 ほど が 順番 に セッション を 組む こと で |な|||じゅんばん||せっしょん||くむ||

この 国 の 全 人口 の サイコ パス を 常時 監視 し |くに||ぜん|じんこう|||ぱす||じょうじ|かんし|

判定 し 続ける こと が 可能 だ はんてい||つづける|||かのう|

結局 の ところ 機械 的 な プログラム で 判定 できる の は けっきょく|||きかい|てき||ぷろぐらむ||はんてい|||

せいぜい が 色相 診断 に よる ストレス 計測 まで だ ||しきそう|しんだん|||すとれす|けいそく||

より 深遠 な 人間 の 本質 を 示す 犯罪 係数 の 特定 に は |しんえん||にんげん||ほんしつ||しめす|はんざい|けいすう||とくてい||

もっと 高度 な 思考 力 と 判断 力 が 要求 さ れる |こうど||しこう|ちから||はんだん|ちから||ようきゅう||

それ を 実現 し 得る の が われわれ な ん だ よ ||じつげん||える|||||||

お 笑いぐさ だ な |わらいぐさ||

人間 の エゴ に 依存 し ない 機械 に よる 公平 な 社会 の 運営 にんげん||えご||いぞん|||きかい|||こうへい||しゃかい||うんえい

そう うたわれ て い た から こそ

民衆 は シビュラシステム を 受け入れ て き た と いう のに … みんしゅう||||うけいれ||||||

その 実体 が 人間 の 脳 の 集 合体 で ある |じったい||にんげん||のう||しゅう|がったい||

君 たち に よる 恣意 的 な もの だった の か きみ||||しい|てき|||||

いい や 限りなく 公平 だ と も ||かぎりなく|こうへい|||

民衆 を 審判 し 監督 し て いる われわれ は みんしゅう||しんぱん||かんとく|||||

すでに 人類 を 超越 し た 存在 だ |じんるい||ちょうえつ|||そんざい|

シビュラシステム の 構成 員 たる 第 一 の 資格 は ||こうせい|いん||だい|ひと||しかく|

従来 の 人類 の 規範 に 収まら ない イレギュラー な 人格 の 持ち主 で ある こと だ じゅうらい||じんるい||きはん||おさまら||||じんかく||もちぬし||||

いたずらに 他者 に 共感 する こと も 情 に 流さ れる こと も なく |たしゃ||きょうかん||||じょう||ながさ||||

人間 の 行動 を 外側 の 観点 から 俯 瞰 し 裁定 できる にんげん||こうどう||そとがわ||かんてん||うつむ|かん||さいてい|

そういう 才能 が 望ま れる |さいのう||のぞま|

例えば この 僕 や 君 が そう で ある よう に たとえば||ぼく||きみ||||||

ほう …

僕 も ね サイコ パス から 犯罪 係数 が 特定 でき ない 特殊 な 人間 だ ぼく||||ぱす||はんざい|けいすう||とくてい|||とくしゅ||にんげん|

おかげ で ずいぶん と 孤独 な 思い を し た もの だ ||||こどく||おもい|||||

その よう な シビュラ の 総意 を し て も 計り知れない パーソナリティー は |||||そうい|||||はかりしれない||

「 免罪 体質 」 と 呼ば れ て いる めんざい|たいしつ||よば|||

凡 百 の 市民 と は 一線 を 画す 新た な 思想 と 価値 観 の 持ち主 ぼん|ひゃく||しみん|||いっせん||かくす|あらた||しそう||かち|かん||もちぬし

そういう 貴重 な 人材 を 見つけ て 取り込む こと で |きちょう||じんざい||みつけ||とりこむ||

システム は 常に 思考 の 幅 を 拡張 し しすてむ||とわに|しこう||はば||かくちょう|

知性 体 と して 新た な 可能 性 を 獲得 し て き た ちせい|からだ|||あらた||かのう|せい||かくとく||||

そう か …

公安 局 の 手 に 落ち た 君 が 処刑 さ れる こと も なく 姿 を 消し た の は … こうあん|きょく||て||おち||きみ||しょけい||||||すがた||けし|||

ああ こうして シビュラシステム の 一員 に 加え られ た の さ ||||いちいん||くわえ||||

初め は 戸惑った が ね はじめ||とまどった||

すぐに その 素晴らし さ が 理解 でき た ||すばらし|||りかい||

他者 の 脳 と 認識 を 共有 し たしゃ||のう||にんしき||きょうゆう|

理解 力 と 判断 力 を 拡張 さ れる こと の 全 能 感 りかい|ちから||はんだん|ちから||かくちょう|||||ぜん|のう|かん

神話 に 登場 する 預言 者 の 気分 だ よ しんわ||とうじょう||よげん|もの||きぶん||

何もかも が 分かる なにもかも||わかる

世界 の 全て を 自分 の 支配 下 に 感じる せかい||すべて||じぶん||しはい|した||かんじる

人 一 人 の 肉体 が 獲得 し 得る 快楽 に は 限度 が ある じん|ひと|じん||にくたい||かくとく||える|かいらく|||げんど||

だが 知性 が もたらす 快楽 は 無限 だ |ちせい|||かいらく||むげん|

聖 護 君 君 なら 理解 できる ん じゃ ない か せい|まもる|きみ|きみ||りかい|||||

そう だ な … 想像 に 難く ない ところ で は ある |||そうぞう||かたく|||||

僕 も 君 も この 矛盾 に 満ち た 世界 で 孤立 し 迫害 さ れ て き た ぼく||きみ|||むじゅん||みち||せかい||こりつ||はくがい|||||

だが もう それ を 嘆く 必要 は ない ||||なげく|ひつよう||

僕たち は 共に 運命 と して 課さ れ た ぼくたち||ともに|うんめい|||かさ||

使命 の 崇高 さ を 誇る べき な ん だ しめい||すうこう|||ほこる||||

君 も また しかるべき 地位 を 手 に 入れる とき が 来 た ん だ きみ||||ちい||て||いれる|||らい|||

つまり …

僕 も また シビュラシステム の 一員 に なれ … と ぼく|||||いちいん|||

君 の 知性 深遠 なる 洞察 力 きみ||ちせい|しんえん||どうさつ|ちから

それ は シビュラシステム の さらなる 進化 の ため に |||||しんか|||

われわれ が 求めて やま ない もの だ ||もとめて||||

強引 な 手段 で 君 を システム の 一員 に 取り込む こと は でき なく は ない が … ごういん||しゅだん||きみ||しすてむ||いちいん||とりこむ|||||||

「 意思 に 基づ い た 行動 のみ が 価値 を 持つ 」 いし||もとづ|||こうどう|||かち||もつ

と いう の は 君 の 言葉 だった よ ね ||||きみ||ことば|||

君 なら ば 僕 の 説明 を 理解 し た 上 で 同意 し て くれる と 判断 し た ん だ きみ|||ぼく||せつめい||りかい|||うえ||どうい|||||はんだん||||

機械 の 部品 に 成り果てろ と いう の も ぞっと し ない 話 だ な きかい||ぶひん||なりはてろ||||||||はなし||

もちろん これ は 君 の 固体 と して の 自立 性 を 損なう よう な 要求 で は ない |||きみ||こたい||||じりつ|せい||そこなう|||ようきゅう|||

現に 僕 は こうして 今 も 藤間 幸三郎 と して の 自我 を 保って いる げんに|ぼく|||いま||ふじま|こうざぶろう||||じが||たもって|

君 は ただ 一言 「 ＹＥＳ 」 と うなず い て くれる だけ で いい きみ|||いちげん|ｙｅｓ||||||||

ここ に ある 設備 だけ で 厚生 省 に 向かう 道すがら |||せつび|||こうせい|しょう||むかう|みちすがら

外科 的 な 処置 は 完了 する げか|てき||しょち||かんりょう|

槙島 聖 護 と いう 公 の 存在 は 肉体 と 共に 消失 する が まきしま|せい|まもる|||おおやけ||そんざい||にくたい||ともに|しょうしつ||

君 は 誰 に 知ら れる こと も なく この 世界 を 統べる 支配 者 の 一員 と なる きみ||だれ||しら||||||せかい||すべる|しはい|もの||いちいん||

まるで バルニバービ の 医者 だ な |||いしゃ||

何 だって なん|

スウィフト の 『 ガリヴァー 旅行 記 』 だ よ |||りょこう|き||

その 第 三 編 |だい|みっ|へん

ガリヴァー が 空 飛ぶ 島 ラピュータ の 後 に 訪問 する の が バルニバービ だ ||から|とぶ|しま|||あと||ほうもん|||||

バルニバービ の ある 医者 が 対立 し た 政治 家 を 融和 さ せる 方法 を 思い付く |||いしゃ||たいりつ|||せいじ|いえ||ゆうわ|||ほうほう||おもいつく

２ 人 の 脳 を 半分 に 切断 し て じん||のう||はんぶん||せつだん||

再び つなぎ 合わせる と いう 手術 だ ふたたび||あわせる|||しゅじゅつ|

これ が 成功 する と ||せいこう||

節度 の ある 調和 の 取れ た 思考 が 可能 に なる と いう せつど|||ちょうわ||とれ||しこう||かのう||||

この 世界 を 監視 し 支配 する ため に 生まれて き た と うぬぼれ て いる 連中 に は |せかい||かんし||しはい||||うまれて|||||||れんちゅう||

何より も 望ましい 方法 だ と なにより||のぞましい|ほうほう||

スウィフト は 書 い て いる ||しょ|||

聖 護 君 は 皮肉 の 天才 だ な せい|まもる|きみ||ひにく||てんさい||

僕 で は なく スウィフト が ね ぼく||||||

場所 が 分から ない うち は 抵抗 し ない と 考え た ん だ ろ う が ばしょ||わから||||ていこう||||かんがえ||||||

相変わらず 君 は 詰め が 甘い あいかわらず|きみ||つめ||あまい

さっき の 「 厚生 省 に 向かう 道すがら 」 と いう 言葉 ||こうせい|しょう||むかう|みちすがら|||ことば

あれ で 移動 中 だ と ほのめかし て しまった ||いどう|なか|||||

ここ は 公安 局 の 中 で は ない ||こうあん|きょく||なか|||

だから 逃げ られる と 僕 は 判断 し た |にげ|||ぼく||はんだん||

なぜ だ

君 なら 理解 でき た はず だ きみ||りかい||||

この 全 能 の 愉悦 を … 世界 を 統べる 快感 を … |ぜん|のう||ゆえつ||せかい||すべる|かいかん|

さながら 神 の ごとく かね |かみ|||

それ は それ で 良い 気分 に なれる の かも しれ ない が ||||よい|きぶん|||||||

あいにく 審判 や レフェリー は 趣味 じゃ ない ん だ |しんぱん||れふぇりー||しゅみ||||

そんな 立場 で は 試合 を 純粋 に 楽しめ ない から ね |たちば|||しあい||じゅんすい||たのしめ|||

僕 は ね この 人生 と いう ゲーム を 心底 愛し て いる ん だ よ ぼく||||じんせい|||げーむ||しんそこ|あいし|||||

だから どこまでも プレーヤー と して 参加 し 続け たい ||ぷれーやー|||さんか||つづけ|

や … やめろ …

神 の 意識 を 手 に 入れ て も 死ぬ の は 怖い かい かみ||いしき||て||いれ|||しぬ|||こわい|

夜分 失礼 する やぶん|しつれい|

狡 噛 慎 也 の 番号 で 間違い なかった かな こう|か|まこと|や||ばんごう||まちがい||

今日 シビュラシステム の 正体 を 知った よ きょう|||しょうたい||しった|

あれ は 君 が 命懸け で 守る ほど 価値 の ある もの で は ない ||きみ||いのちがけ||まもる||かち||||||

それ だけ を 伝え て おき たく て ね |||つたえ|||||

では いずれ また …

おい ギノ いったい 何 が あった |||なん||

お前 … どこ で それ を … おまえ||||

どう な ん だ

まだ 確認 は 取れ て い ない が |かくにん||とれ||||

槙島 を 乗せ た 輸送 機 が … まきしま||のせ||ゆそう|き|

墜落 し た らしい … ついらく|||