Clannad : After Story Episode 15 clannad|after|story|episode Clannad: After Story Episode 15

渚 　 今 の うち に サイン もらえ ます か ？ なぎさ|いま||||さいん|||

親 バカ だ な おや|ばか||

て め ぇ だって 　 自分 に 娘 が でき れ ば こう なれ ||||じぶん||むすめ|||||| Because if I could have a daughter, I would do this

絶対 なら ねぇ よ ぜったい|||

岡崎 さん なる と 思い ます 　 お 父さん に 似 て ます から おかざき||||おもい|||とうさん||に|||

何 ！ ？ 　 こいつ と か なん|||

二 ヶ月 か ふた|かげつ|

二 ヶ月 です ふた|かげつ|

産む ん だ よ な ？ うむ||||

もちろん です

大変 だ ぞ ？ たいへん||

俺 が 守る おれ||まもる

朋也 君 が い て くれる の で 安心 です ともや|きみ|||||||あんしん|

今日 まで も 二 人 で 頑張って き まし た きょう|||ふた|じん||がんばって|||

あの 日 の 秋生 さん 　 そっくり です ね |ひ||あきお||||

私 達 が 渚 を 授かった とき も わたくし|さとる||なぎさ||さずかった||

秋生 さん 　 俺 が 守る って 言って くれ まし た よ あきお||おれ||まもる||いって||||

そう だった な

頑張れ よ 　 この 甲斐 性 なし がんばれ|||かい|せい|

甲斐 性 なし … かい|せい|

でも 　 もう それ じゃ す まさ れ ない

渚 は 仕事 を 休む こと に なる だ ろ う なぎさ||しごと||やすむ||||||

俺 一 人 で 　 三 人 分 の 家計 を まかなわ なけ れ ば なら ない おれ|ひと|じん||みっ|じん|ぶん||かけい|||||||

これ から が 　 俺 達 家族 の 正念場 だ |||おれ|さとる|かぞく||しょうねんば|

ふと 思った |おもった

親父 も 　 俺 が 産まれる 前 に は こんな こと を 考え た ん だ ろ う か おやじ||おれ||うまれる|ぜん||||||かんがえ||||||

きみ だけ が 過ぎ去った 坂 の 途中 は |||すぎさった|さか||とちゅう|

あたたか な 日だまり が いく つ も でき て た ||ひだまり|||||||

僕 ひと り が ここ で 優しい ぼく||||||やさしい

温か さ を 思い返し てる あたたか|||おもいかえし|

きみ だけ を きみ だけ を

好き で い た よ すき||||

風 で 目 が 滲 ん で かぜ||め||しん||

遠く なる よ とおく||

いつ まで も 　 覚え てる |||おぼえ|

なにもかも 変わって も |かわって|

ひと つ だけ 　 ひと つ だけ

あり ふれた もの だ けど

見せ て やる 　 輝き に 満ち た その ひと つ だけ みせ|||かがやき||みち|||||

いつ まで も いつ まで も 守って いく ||||||まもって|

おめでとう

はい ？

聞い た ぞ 　 子供 だ よ 　 子供 ききい|||こども|||こども

何 っ ？ なん|

お前 の 奥さん 　 子供 産 ん だ の か ？ おまえ||おくさん|こども|さん||||

おお 　 コングラチュレーション 　 ミスター 岡崎 ||みすたー|おかざき

いえ 　 まだ 産まれ た わけ じゃ ||うま れ|||

芳野 さん 　 誰 から それ を ？ よしの||だれ|||

うち の 奥さん が 早苗 さん から 聞い た そう だ ||おくさん||さなえ|||ききい|||

隣 近所 の 人 達 も 　 みんな 知って る ぞ となり|きんじょ||じん|さとる|||しって||

恐 る べし 　 ご 近所 パワー こわ||||きんじょ|ぱわー

まだまだ 社会 人 と して は 半 人前 だ が |しゃかい|じん||||はん|ひとまえ||

夫 と して は 　 これ で 一人前 に なら ざる を 得 ない な おっと||||||いちにんまえ|||||とく||

は あ … 　 でも 正直 まだ 実感 と か なく て |||しょうじき||じっかん||||

産まれ て くれ ば 　 嫌 でも 理解 する こと に なる さ うま れ||||いや||りかい||||| If you are born, you will understand it even if you don't like it.

人 は 誰 も が 　 一 人 で は 生き て いけ ない と いう こと じん||だれ|||ひと|じん|||いき||||||

誰 も が 誰 か を 支え 　 そして 誰 か に 支え られ て 生き て いる だれ|||だれ|||ささえ||だれ|||ささえ|||いき||

始め ち まった ぞ … はじめ|||

この 広大 な 宇宙 の 片隅 に 地球 が 誕生 し て から ４５ 億 年 　 俺 達 は … |こうだい||うちゅう||かたすみ||ちきゅう||たんじょう||||おく|とし|おれ|さとる|

日々 は 　 すごい スピード で 流れ 始め た ひび|||すぴーど||ながれ|はじめ|

三 ヶ月 に なる ころ 　 つわり が ひどく なり みっ|かげつ|||||||

渚 は 寝 て いる こと が 多く なった なぎさ||ね|||||おおく|

ごめんなさい 　 迷惑 かけ て しまい ます |めいわく||||

気 に する な 　 これ くらい の こと は 俺 が やる から き|||||||||おれ|||

すみません

謝る な って 　 全部 共同 作業 だ ろ あやまる|||ぜんぶ|きょうどう|さぎょう||

食事 は ちゃんと とった の か ？ しょくじ|||||

あまり 食べ られ ませ ん で し た |たべ||||||

何 か 　 楽 に する 方法 と か ない の か ？ なん||がく|||ほうほう|||||

つわり は どうして 起きる の かも 　 よく わかって ない そう です |||おきる|||||||

水 物 を 飲 ん で も 気持ち が 悪く なる ので すい|ぶつ||いん||||きもち||わるく||

水分 の 補給 も 　 こうして … すいぶん||ほきゅう||

おいしい です

ああ 　 悪い 　 起こし ち まった か |わるい|おこし|||

気分 は どう だ ？ きぶん|||

今 は 平気 です いま||へいき|

よかった

食べ られる 時 に 少し でも 食べ た ほう が いい たべ||じ||すこし||たべ||||

どう だ ？

朋也 君 が 作った ん です か ？ ともや|きみ||つくった|||

慣れ て ない から 　 形 は アレ だ けど な なれ||||かた|||||

ありがとう ござい ます 　 いただき ます

おいしい です

目まぐるしく 時間 が 過ぎ て いく 中 　 俺 と 渚 は 無我夢中 だった めまぐるしく|じかん||すぎ|||なか|おれ||なぎさ||むがむちゅう|

おはよう ございます

起き て 大丈夫 か ？ おき||だいじょうぶ|

今日 は とって も 調子 が いい です きょう||||ちょうし|||

十 週 目 ぐらい で 落ち着く って 　 お 医者 様 が おっしゃって まし た じゅう|しゅう|め|||おちつく|||いしゃ|さま||||

その とおり です

順調 って こと だ な じゅんちょう||||

はい 　 よかった です

あの …

ご 相談 が ある ん です が |そうだん|||||

自宅 出産 ？ じたく|しゅっさん

はい 　 私 この お 部屋 で 赤ちゃん を 産み たい です |わたくし|||へや||あかちゃん||うみ||

そんな こと できる の か ？

昨日 病院 で 　 この 母親 教室 の 案内 を もらった ん です きのう|びょういん|||ははおや|きょうしつ||あんない||||

自宅 出産 を さ れ た 　 お 母さん の 手記 が 載って い ます じたく|しゅっさん||||||かあさん||しゅき||のって||

生まれて き た 赤ちゃん を 父親 が 産湯 に つける の か うまれて|||あかちゃん||ちちおや||うぶゆ||||

病院 だ と 　 産まれ た 赤ちゃん を びょういん|||うま れ||あかちゃん|

すぐに 抱 い て あげ られ ない こと も ある そう な の で |いだ||||||||||||

そう でき れ ば 　 いい な と 思い まし た |||||||おもい||

うん …

ここ は 朋也 君 と 私 の 家 です ||ともや|きみ||わたくし||いえ|

私 自分 の 家 で 　 この 町 で 赤ちゃん を 産 ん で あげ たい です わたくし|じぶん||いえ|||まち||あかちゃん||さん|||||

どう でしょう か ？

自宅 出産 だ と ～ ! ？ じたく|しゅっさん||

どう だ 　 今 の ドリフト ||いま||

ゲーム やめ ない か ？ げーむ|||

て め ぇ なぁ 　 出産 だけ でも 大変 だって の に ||||しゅっさん|||たいへん|||

それ を さらに 自宅 で しよ うって の か |||じたく|||||

医者 は 渚 の 体調 を 心配 し て いる けれど いしゃ||なぎさ||たいちょう||しんぱい||||

俺 は なる べく 希望 を かなえ て やり たい おれ||||きぼう|||||

もちろん 　 体 の 調子 と 相談 し て だ けど |からだ||ちょうし||そうだん||||

そう です ね 　 無事 に 出産 を する こと が 最 優先 です |||ぶじ||しゅっさん|||||さい|ゆうせん|

ただ 　 私 が 渚 を 産 ん だ 時 は すぐ 渚 と 引き離さ れ て しまって |わたくし||なぎさ||さん|||じ|||なぎさ||ひきはなさ|||

秋生 さん が 渚 を 抱 い た の も 病院 の 人 に 抱か れ た 後 で し た し あきお|||なぎさ||いだ|||||びょういん||じん||いだか|||あと||||

でも 　 なめ た の は 俺 が 最初 だ ぜ |な め||||おれ||さいしょ||

私 　 そんな こと さ れ て た ん です か ？ わたくし|||||||||

それ だけ 　 かわいかった って こった

かわいく て も 　 そんな こと し たら ダメ です |||||||だめ|

もう 　 おせ え よ

あんた は 賛成 し て くれる の か ？ ||さんせい|||||

体 の 心配 さえ なけりゃ いい だ ろ う からだ||しんぱい||||||

抱 い て やれ 　 最初 に いだ||||さいしょ|

だが な … 　 なめる の は 俺 が 最初 だ ！ |||||おれ||さいしょ|

ダメ です 　 なめる の も 朋也 君 が 最初 です だめ|||||ともや|きみ||さいしょ|

いや 　 なめ ない けど さ … |な め|||

あっ 　 そうです 　 なめ ませ ん |そう です|な め||

アホ アホ 親子 だ ||おやこ|

こちら 八木 さん です |やぎ||

私 の お 友達 で 　 助産 師 さん を し て らっしゃい ます わたくし|||ともだち||じょさん|し||||||

八木 です 　 初め まして やぎ||はじめ|

岡崎 渚 です 　 よろしく お 願い し ます おかざき|なぎさ||||ねがい||

夫 の 朋也 です おっと||ともや|

こちら で 出産 を ご 希望 と 伺い まし た けど ||しゅっさん|||きぼう||うかがい|||

はい

こんな 場所 でも 　 大丈夫 でしょ う か |ばしょ||だいじょうぶ|||

リラックス できる 環境 が 大事 です りらっくす||かんきょう||だいじ|

まだ 時間 が あり ます から ね |じかん||||| I still have time

じっくり 考え て いた だい て 結構 です よ |かんがえ|||||けっこう||

よろしく お 願い し ます ||ねがい||

何 か あったら 　 いつ でも ご 連絡 ください ね なん||||||れんらく||

ありがとう ござい ます

八木 さん は 渚 が 丈夫 で は ない こと も 知って い ます やぎ|||なぎさ||じょうぶ||||||しって||

周り が あまり 心配 する と 　 妊婦 も 不安 に なる から まわり|||しんぱい|||にんぷ||ふあん|||

気 を つける よう に と 言わ れ まし た き||||||いわ|||

わかり まし た

さっき 　 お 母さん と 何 の 話 を し て た ん です か ？ ||かあさん||なん||はなし|||||||

ああ 　 いや … 　 ちょっと

隠さ なく て も 大丈夫 です かくさ||||だいじょうぶ|

私 の 体 の こと です ね わたくし||からだ||||

朋也 君 や 　 お 母さん や 　 お 父さん が 心配 し て くれる の は わかり ます ともや|きみ|||かあさん|||とうさん||しんぱい|||||||

でも 　 私 自分 に もしも の こと が あって も |わたくし|じぶん|||||||

赤ちゃん は 産 ん で あげ たい です あかちゃん||さん|||||

そんな こと 言う な ||いう|

無事 に 産め る よう に 　 みんな で こうして 協力 し てる ん だ から ぶじ||うめ|||||||きょうりょく|||||

そう です よ ね 　 ごめんなさい

高校 の 時 の こと 思い出さ ない か こうこう||じ|||おもいださ||

はい ？

あの とき も 舞台 を 成功 さ せる ため に |||ぶたい||せいこう||||

みんな で 頑張った だ ろ ||がんばった||

それ に 似 てる なって 思って さ ||に|||おもって|

わかる か ～ 　 俺 が パパ だ ぞ ～ ||おれ||ぱぱ||

嘘 を つい たら ダメ です うそ||||だめ|

この 子 　 信じ て しまい ます |こ|しんじ|||

冗談 も 通じ ねぇ の か ？ 　 て め ぇ の 子 は よ じょうだん||つうじ||||||||こ||

渚 の 子 だ から 　 冗談 が 通じ ない ん じゃ ない の か なぎさ||こ|||じょうだん||つうじ||||||

お じいちゃん

その 呼び 方 は する ん じゃ ねぇ ！ |よび|かた|||||

秋生 さん は アッキ － って 呼ば れ たい そう です よ あきお|||||よば|||||

アッキ － だ ぞ 　 アッキ －

おかしな 胎教 は やめ て くれ |たいきょう||||

この ぐらい に なる と 　 耳 も でき て |||||みみ|||

ちゃんと 外 の 音 も 聞き取れ ます から ね |がい||おと||ききとれ|||

音楽 を 聞か せ て あげる の も いい です よ おんがく||きか||||||||

歌 は いつも 歌って あげて ます うた|||うたって||

だんご 　 だんご 　 だんご 　 だんご

だんご 大 家族 |だい|かぞく

だんご 　 だんご 　 だんご 　 だんご

だんご 大 家族 　 赤ちゃん … |だい|かぞく|あかちゃん

何もかも 順調 なにもかも|じゅんちょう Everything is cool

俺 は そう 思って い た おれ|||おもって||

いや 　 もしかしたら 心 の どこ か で ||こころ||||

その 時 が 来る こと を 予感 し て い た の だ ろ う か |じ||くる|||よかん|||||||||

ただいま

渚 ！ なぎさ

大丈夫 です だいじょうぶ|

ちょっと 気 分 が 悪く なって |き|ぶん||わるく|

昼間 　 渚 から 電話 が あった ん です ひるま|なぎさ||でんわ||||

急 い で 駆けつけ たら 　 渚 が 倒れ て い て きゅう|||かけつけ||なぎさ||たおれ|||

なら 　 俺 に も 教え て くれ れ ば |おれ|||おしえ||||

すみません 　 お 仕事 の 邪魔 を し たく なかった ので ||しごと||じゃま|||||

ご 心配 なく 　 赤ちゃん は 元気 です よ |しんぱい||あかちゃん||げんき||

そう です か

何 か あったら 　 いつ でも 呼 ん で ください なん|||||よ|||

念のため に 　 明日 から 昼間 は 私 が 渚 の そば に い ます ねんのため||あした||ひるま||わたくし||なぎさ|||||

それ なら 朋也 さん も 安心 でしょ う ||ともや|||あんしん||

はい 　 よろしく お 願い し ます |||ねがい||

具合 は どう だ ぐあい|||

欲しい もの は ない か ？ ほしい||||

何も いり ませ ん なにも|||

朋也 君 が そば に い て くれ れ ば 安心 です ともや|きみ|||||||||あんしん|

そう だ よ な 　 お前 強い ヤツ だ もん な ||||おまえ|つよい|やつ|||

心配 し ない で ください 　 朋也 君 しんぱい|||||ともや|きみ

いや 　 俺 は 別に … |おれ||べつに

二 人 なら 　 きっと 乗り越え られ ます ふた|じん|||のりこえ||

私 　 朋也 君 に 守って もらって ます から わたくし|ともや|きみ||まもって|||

渚 でも 　 俺 は もう 手放し で 幸福 感 に 浸る こと は でき なく なって い た なぎさ||おれ|||てばなし||こうふく|かん||ひたる||||||| 朋也 さん ともや|

あれ 　 早苗 さん |さなえ|

お 帰り なさい |かえり|

ここ で 渚 が 働 い て い た ん です ね ||なぎさ||はたら|||||||

私 も 　 一 度 来 て み たかった ん です わたくし||ひと|たび|らい|||||

ナウ い お 店 です ね |||てん||

それ 　 死語 です |しご|

そう なん です か ？

お 話 が ある ん です |はなし||||

はい

渚 の こと です が なぎさ||||

出産 の 際 　 少し 危険 が 伴う と お 医者 様 に 言わ れ まし た しゅっさん||さい|すこし|きけん||ともなう|||いしゃ|さま||いわ|||

渚 に は まだ 話し て い ませ ん なぎさ||||はなし||||

私 だけ が 聞か さ れ た こと です わたくし|||きか|||||

それ って 　 どの くらい 危険 な ん です か ||||きけん||||

まさか 　 渚 の 命 が … |なぎさ||いのち|

一般 的 な 分娩 より も 母体 に かかる 負担 が 若干 大きい いっぱん|てき||ぶんべん|||ぼたい|||ふたん||じゃっかん|おおきい

でも 　 出産 に は 問題 ない だ ろ う と の こと で し た |しゅっさん|||もんだい||||||||||

そう です か

ただ 　 それ は 順調 に いけ ば の 話 です |||じゅんちょう|||||はなし|

朋也 さん も 知って いる とおり 　 渚 は 時々 体調 を 崩し ます ともや|||しって|||なぎさ||ときどき|たいちょう||くずし|

渚 の 病気 に は 　 よく わから ない こと が 多い です し なぎさ||びょうき||||||||おおい||

お 医者 様 も 　 万が一 の こと を 心配 し て おら れる よう で し た |いしゃ|さま||まんがいち||||しんぱい||||||||

これ は 慎重 に 考え なけ れ ば いけない こと です ||しんちょう||かんがえ||||||

それ で 朋也 さん に 先 に お 話し し て おこ う と 考え まし た ||ともや|||さき|||はなし||||||かんがえ||

渚 に は 朋也 さん から 伝え て なぎさ|||ともや|||つたえ|

そして 二 人 で お 医者 様 の お 話 を 聞い て み て ください |ふた|じん|||いしゃ|さま|||はなし||ききい||||

その 上 で 　 また 私 も 一緒 に 考え ます |うえ|||わたくし||いっしょ||かんがえ|

もしも の こと を 考え たら ||||かんがえ|

子供 は あきらめ た ほう が いい ん でしょ う か こども||||||||||

私 に も わかり ませ ん わたくし|||||

ただ 　 そう する なら 　 早い ほう が いい でしょ う ||||はやい|||||

二 人 で よく 考え て ください ふた|じん|||かんがえ||

早苗 さん 　 いつも 俺 達 の ため に ありがとう ござい ます さなえ|||おれ|さとる||||||

家族 です から かぞく||

私 　 産 みたい です わたくし|さん||

そう 言う の は わかって た けど な |いう||||||

私 は 弱い 人間 です けど わたくし||よわい|にんげん||

その ため に 　 赤ちゃん を あきらめ たく は ない です |||あかちゃん||||||

赤ちゃん を 無事 に 産 ん で あげる ため なら あかちゃん||ぶじ||さん|||||

自宅 出産 で なく て も いい です じたく|しゅっさん||||||

渚 私 　 赤ちゃん に 会い たい です なぎさ|わたくし|あかちゃん||あい|| 医者 は 何て ？ いしゃ||なんて

病院 で 産む なら 　 リスク は 減らせる だ ろ う って びょういん||うむ||りすく||へらせる||||

それ でも 俺 は 　 まだ 心配 な ん だ ||おれ|||しんぱい|||

渚 の 意志 は 変わら ない ん だ な なぎさ||いし||かわら||||

ああ

あいつ も 本当 は 不安 な ん じゃ ない か と 思う ||ほんとう||ふあん|||||||おもう

明るく ふるまって る けど あかるく|||

俺 と 同じ 気持ち な ん じゃ な いか って おれ||おなじ|きもち||||||

ちょっと 　 つい て こい

それ っ

ここ は 俺 の 秘密 の 遊び場 だ ||おれ||ひみつ||あそびば|

しょっちゅう 　 ガキ と 野球 し たり |がき||やきゅう||

座り込 ん で 　 ボー っと し たり し てる すわりこ||||||||

仕事 中 よく い なく なる と 思って た けど しごと|なか||||||おもって||

こんな とこ に 来 て た の か |||らい||||

どんどん 緑 が 削ら れ て よ |みどり||けずら|||

もう すぐ 　 ここ に は 病院 が できる そう だ |||||びょういん||||

すみません

結構 な こった けっこう||

ありがとう ござい ます

ありがとう ござい ます

これ は 二 年 前 の 話 の 続き だ ||ふた|とし|ぜん||はなし||つづき|

俺 が 劇団 員 で おれ||げきだん|いん|

早苗 が 教師 だった 時 の こと だ さなえ||きょうし||じ|||

前 に も 話し た 通り ぜん|||はなし||とおり

その ころ 渚 は いつも 一 人 だった ||なぎさ|||ひと|じん|

その 日 　 俺 と 早苗 は 熱 を 出し た 渚 を 置 い て 仕事 に 出 た |ひ|おれ||さなえ||ねつ||だし||なぎさ||お|||しごと||だ|

二 人 と も どうして も 休め ない 事情 が あった ん だ ふた|じん|||||やすめ||じじょう||||

渚 の 容態 は 落ち着 い て い た し なぎさ||ようだい||おちつ|||||

俺 も 早苗 も すぐ 戻って くる つもり だった おれ||さなえ|||もどって|||

渚 は 外 に 出 て い た なぎさ||がい||だ|||

倒れる まで 　 俺 たち を 待ち 続け て いた ん だ たおれる||おれ|||まち|つづけ||||

明け方 に は 　 もう 絶望 的 だった あけがた||||ぜつぼう|てき|

あんな 悲しい こと を 俺 は 知ら なかった |かなしい|||おれ||しら|

こっか ら 先 を 早苗 以外 の 人間 に 話す の は 初めて だ ||さき||さなえ|いがい||にんげん||はなす|||はじめて|

気 が つく と 俺 は 　 渚 を 抱 い て 駆け出し て い た き||||おれ||なぎさ||いだ|||かけだし|||

闇 雲 に 走って 　 いつの間にか この 場所 に たどり つい て た やみ|くも||はしって|いつのまにか||ばしょ|||||

俺 は 祈った おれ||いのった

渚 を 助け て くれ なぎさ||たすけ||

こんな 最期 は 嫌 だって |さいご||いや|

もう 何 か に 祈る こと しか でき なかった ん だ |なん|||いのる||||||

その とき

ここ の 緑 が 渚 を 包み込 ん だ 気 が し た ||みどり||なぎさ||つつみこ|||き|||

夢 じゃ ない か と 思った ゆめ|||||おもった

でも 　 現実 だった |げんじつ|

涙 が あふれ て 　 すべて の もの に 感謝 し た よ なみだ||||||||かんしゃ|||

それ 以来 　 ずっと この 場所 を 見 て き た |いらい|||ばしょ||み|||

ここ が 渚 の 分身 の よう に 思え て なら なかった ん だ ||なぎさ||ぶんしん||||おもえ|||||

不思議 な 話 だ ろ ふしぎ||はなし||

でも 　 本当 に 起き た こと な ん だ よ |ほんとう||おき||||||

ああ 　 信じる よ |しんじる|

祈れ ば 必ず 願い が かなう なんて こと は あり え ねぇ いのれ||かならず|ねがい||||||||

だが 　 ギリギリ まで 必死 に 考え て 力 を 尽くせ ば |ぎりぎり||ひっし||かんがえ||ちから||つくせ|

そう 悪い 結果 に ばかり も なら ねぇ だ ろ う |わるい|けっか||||||||

そう かも な

産め と 言って る ん じゃ ねぇ ぞ うめ||いって|||||

一 番 苦し ん だ ヤツ が 決め れ ば いい ひと|ばん|にがし|||やつ||きめ|||

その 結果 を みんな で 受け止めよ う って こと だ |けっか||||うけとめよ||||

なあ 　 小僧 … |こぞう

いや 　 朋也 |ともや

これ から お前 に も 苦しい こと や 悲しい こと が 待って いる はず だ ||おまえ|||くるしい|||かなしい|||まって|||

お前 達 なら 　 俺 達 なら おまえ|さとる||おれ|さとる|

乗り越え て いける はず だ のりこえ||||

ああ

俺 達 は 家族 だ おれ|さとる||かぞく|

助け合って いく ぞ たすけあって||

風 が 涼しく て 　 気持ち いい です かぜ||すずしく||きもち||

今 　 動き まし た いま|うごき||

マジ か

はい 　 ズル って いう 感じ で 動き まし た ||||かんじ||うごき||

名前 　 考え ませ ん か ？ なまえ|かんがえ|||

ああ 　 男の子 の とき と 女の子 の とき と 　 両方 必要 だ な |おとこのこ||||おんなのこ||||りょうほう|ひつよう||

朋也 君 の 名前 から 一 文字 取り ま しょ う か ともや|きみ||なまえ||ひと|もじ|とり||||

いや

それ なら 　 お前 の 名前 から 何 か 考えよ う ||おまえ||なまえ||なん||かんがえよ|

俺 は 名字 を 与える こと が できる ん だ から おれ||みょうじ||あたえる||||||

でも 　 私 の 名前 を そのまま 使う の は 難しい です |わたくし||なまえ|||つかう|||むずかしい|

渚 子 と か 　 渚 美 と か に なって しまい ます なぎさ|こ|||なぎさ|び||||||

そのまま 使わ なく て も いい だ ろ う |つかわ|||||||

渚 に ちな ん な 名前 で いい ん じゃ ない か なぎさ|||||なまえ||||||

そう です か …

それ なら

汐 　 と いう の は どう でしょう か しお|||||||

うし お ？

はい 　 海 の 水 が 高く なったり 低く なったり する |うみ||すい||たかく||ひくく||

潮 の 満ち 引き の こと です しお||みち|ひき|||

これ なら 　 男の子 に も 女の子 に も 合い ます ||おとこのこ|||おんなのこ|||あい|

岡崎 汐 　 か おかざき|しお|

きっと 　 人生 に は いろんな こと が あり ます |じんせい|||||||

でも 　 とき が たて ば 　 また 満ち て そば に 返って き ます ||||||みち||||かえって||

ずっと それ を 繰り返し て 　 私 は 汐 を 見守って いき ます |||くりかえし||わたくし||しお||みまもって||

渚 より も 　 汐 の ほう が 大きい 存在 だ よ な なぎさ|||しお||||おおきい|そんざい|||

そう です ね 　 海 です から |||うみ||

そんな ふう に 　 何もかも 包み込み |||なにもかも|つつみこみ

育む よう な 　 大きな 優し さ を 持った ヤツ に なれる かな はぐくむ|||おおきな|やさし|||もった|やつ|||

なって ほしい です

今年 の 夏 も 　 海 に いけなかった な ことし||なつ||うみ|||

はい 　 私 も 朋也 君 と 海 が 見 たかった です |わたくし||ともや|きみ||うみ||み||

じゃあ 　 約束 しよ う |やくそく||

はい ？

来年 は 　 汐 と 三 人 で 海 へ 行 こ う らいねん||しお||みっ|じん||うみ||ぎょう||

約束 だ やくそく|

約束 やくそく

約束 　 し て くれる よ な ？ 　 渚 やくそく||||||なぎさ

約束 　 し ます やくそく||

見つめ て い た 流れる 雲 を みつめ||||ながれる|くも|

感じ て い た 変わる 空 の 色 を かんじ||||かわる|から||いろ|

立ち止まった 僕ら は 気付く たちどまった|ぼくら||きづく

移ろい ゆく 世界 が 紡ぐ 唄 に うつろい||せかい||つむぐ|うた|

伸ばし た 指 で 手繰る よう に のばし||ゆび||たぐる||

ただ 一 つ 変わら ない もの 探す |ひと||かわら|||さがす

かざす 手 に 灯火 を |て||とうか|

明日 へ と 続く 小さな 標 あした|||つづく|ちいさな|しるべ

今 も まだ こだま する いま||||

あの 日 の 言葉 誓い に 変え |ひ||ことば|ちかい||かえ

僕 は 行く ぼく||いく

隠さ れ た 世界 は 一 つ じゃ ない かも しれ ない の かくさ|||せかい||ひと|||||||

いろんな 世界 が たくさん ある って いう 説 も ある の |せかい||||||せつ|||

藤林 ふじばやし

お前 いつ だった か 占い の 話 を し てる 時 に 　 そんな こと 言って た よ な おまえ||||うらない||はなし||||じ||||いって|||

はい 　 決まった 未来 が 一 つ だけ ある ん じゃ なく て |きまった|みらい||ひと|||||||

いろんな 可能 性 が ある |かのう|せい||

今 でも そう 思って ます いま|||おもって|