episode 03「 恋 か 友情 か 、 それ が 問題 だ 」
( 上原 ( うえ はら )) 今日 … ど っか 行く か ?
( 菜緒 ( なお )) うん
( チャイム )
( ドア を たたく 音 )
紗栄 子 ( さえ こ ) さん ?
さ … 紗栄 子 さん って
名前 呼び ?
( 上原 ・ 菜緒 ) あっ …
( 上原 ) えっ どうかした んです か ?
( 紗栄 子 ) ごめん 邪魔 して
パソコン が ぶ っ 壊れて 明日 の 学会 の データ が 全部 飛んだ
( 上原 ) え ? ( 紗栄 子 ) って こと で
特別 手当 出す から 来て !
( 上原 ) あっ いや 紗栄 子 さん ちょっと
( 上原 ) 俺 今日 …
あっ いや い … いい わ よ 上原 君
バイト に 行って
え ?
いって らっしゃい
お前 熱 でも あん の か ?
失礼 ね
仕事 だ から しかたない じゃ ない
頑張って ください ね
( 上原 ) うん
うん
あなた …
できる 女 ! 彼女 合格 !
フフッ まあ …
当然です わ
ホホホ …
( 菜緒 ) もう ! 何で 行っちゃ う の 上原 君 の バカ !
( まり な ) って か 自分 で 行け って 言った んでしょ ?
( 太田 ( おお た )) うん うん
( 菜緒 ) それ は そう な んだ けど さ
( 太田 ) 菜緒 ちゃん は 上原 君 が
紗栄 子 さん って 名前 で 呼んで る こと が
一 番 気 に なる んだ よ ね
上原 君 が 女 の 人 を 名前 で 呼ぶ って ゆり りん ぐらい ?
あっ ごめん
私 今 地雷 踏んだ よ ね
( 上原 ) 紗栄 子
( 紗栄 子 ) 久志 ( ひさし )
( 菜緒 ) ダメ … ダメ ダメ ダメ ダメ
ダメダメダメ ダメダメダメ …
ダメだ よ 上原 君 !
あー もう 菜緒 戻って こ ー い
( 太田 ) えっ ゆり りん って ?
ああ 上原 君 が 菜緒 と 付き合う 前 に …
あっ 8 年間 片思い して た 年上 の 人
上原 君 って 年上 が 好み なんだ
えっ じゃあ 菜緒 ちゃん は
上原 君 の 理想 の タイプ と は 真 逆の 彼女 な んだ
( まり な ) あー …
まあ 菜緒 と 一緒に いる と
上原 君 は だいぶ 年上 に は 見える けど
上原 君 が 老けて る って の も ある から ね
私 って そんなに ガキ かな
いや そこ が 菜緒 ちゃん の いい ところ って いう か
( まり な ) って かさ ねえ
1 年 半 も 付き合って る んだ から ちょっと は 成長 し な よ
もっと どーんと 構えて ねっ
( 携帯 電話 の 着信 音 )
( まり な ) あっ みっ ちゃん
そんな 写真 いつの間に ?
( まり な ) 普通でしょ
( まり な ) もしも ー し ( 菜緒 ) 普通 ?
( まり な ) みっ ちゃん ?
うん どうした の ?
( 戸 の 開閉 音 )
( 太田 ) えっ 上原 君 の 単独 ショット ばっかり
しかも ちょっと 隠し撮り っぽい
( 太田 ) ん ?
こっち は みんな で 撮った 写真 ばっかり
♪~
~♪
( 菜緒 ) 2 人 と も さっさと 帰っちゃ って
付き合って くれて も いい のに さ
1 人 街 ブラ …
大人 な 女性
フフフッ
どーんと 構えて
フフフッ
( メール の 着信 音 )
( 菜緒 ) ハッ
あっ 上原 君
上原 君 上原 …
ハァ …
あっ
( 愛 梨 ( あい り )) あっ ( 菜緒 ) うわ っ
( 菜緒 ) イッタ … ( 夏目 ( なつ め )) 愛 梨 !
大丈夫 か ? ケガ は ?
夏目 君
菜緒 ちゃん
って いう か …
夏目 君 ストライクゾーン 広 すぎ でしょ
( 夏目 ) ほら
菜緒 ちゃん 違う よ こいつ 俺 の 妹
( 菜緒 ) 妹 ?
愛 梨 挨拶 は ?
こんにちは
あっ その リス かわいい ね
フフフ … 手作り ?
あっ お 母さん が 作って くれた の ?
( 愛 梨 ) お 兄 ちゃ … ( 夏目 ) 愛 梨
店 の 中 行って みよう か
( 愛 梨 ) うん ! ( 夏目 ) ねっ
走 んな よ ! また ぶつかる ぞ
じゃあ ね
お 兄ちゃん …
( 愛 梨 ) これ と 同じ リス が いい の
これ も リス じゃ ん 同じだ よ
( 愛 梨 ) 何 か 違う
( 夏目 ) いや 変わら ない よ ほら
ねっ
( 愛 梨 ) 分かった
( 夏目 ) よし
( 夏目 ) 違う な
もう 少し 探して み よっ か
いい の ?
( 夏目 ) って か プレゼント って 誰 に 渡す 用 ?
( 愛 梨 ) 好きな 人
( 夏目 ) 男 じゃ ない よ な ( 愛 梨 ) 男子 だ よ
愛 梨 もっと よく 考えた ほう が いい んじゃ ない か
( 愛 梨 ) さっ 行こう
( 夏目 ) お 兄ちゃん の 話 を 聞き なさい
世の中 の 男 は 3 つ に 分かれる
いい 男 と 悪い 男 と チャラ い 男
( 愛 梨 ) は いはい
( 夏目 ) 流す な よ
男 を 見る 目 は 今 養わ ない と
“ 三 つ 子 の 魂 百 まで ” って いって な
おお 夏目 君
夏目 君 妹 さん の 前 で は 全然 チャラ くない …
ああ ! チャラ いと か 言わ ない
え ?
愛 梨 ほら 行こう
あっ ちょっと 待って
ねえ ねえ ねえ 私 も 一緒に それ 探して も いい ?
( 愛 梨 ) 本当 ? ( 菜緒 ) うん
いや 愛 梨 菜緒 ちゃん 忙しい から 無理 言っちゃ …
忙しい ?
う うん
私 約束 ドタキャン さ れちゃ って 暇な の
だから いい かな
うん ! ねっ お 兄ちゃん
うん …
どう ? 直り そう ?
どう な の ?
直 ん ない なら 一 から やり 直さ なきゃ なん ない んだ から
はっきり して !
( 上原 ) あっ ( 紗栄 子 ) 何 ?
昨日 俺 が 作業 した ところ まで バックアップ 残って ます
でか した ! その あと 私 が 作業 した やつ は ?
バックアップ 取り ました ?
何 か 文句 ある ?
( 上原 ) いえ … ( 紗栄 子 ) ほら さっさと やる わ よ
( 上原 ) はい
( 菜緒 ) ある かな ?
あっ 愛 梨 ちゃん 見て
( 愛 梨 ) わ あー ( 愛 梨 ・ 菜緒 ) かわいい
( 愛 梨 ) リス だ よ ( 菜緒 ) 本当だ かわいい
ほら ヒツジ さん !
( 愛 梨 ) モフモフ ( 菜緒 ) モフモフ だ ね
フワフワ して る ほら
( 愛 梨 ・ 菜緒 ) あっ かわいい !
( 菜緒 ) かわいい ね
( 菜緒 ) すごい かわいい ね ( 愛 梨 ) キラキラ
( 菜緒 ) シカ さん だ よ
( 愛 梨 ) これ と 同じ のな んです けど
( 店員 ) ああ 今 ちょっと 品切れ 中 な んです けど
( 夏目 ) もう 1 軒 行く ぞ
( 愛 梨 ) もう いい
だって さっき の お 店 の 人 もう 生産 終了 した って
それ って もう 売って ない って こと でしょ
売れ残り が 絶対 ど っ かしら に ある
( 菜緒 ) ちょっと
そんな こと 言って 結局 見つか ん なかったら
愛 梨 ちゃん もっと 落ち込んじゃ う じゃ ん
絶対 見つけて み せる
どこ から くん の ? そんな 自信
あっ ここ は 私 に 任せて
愛 梨 ちゃん
ぬいぐるみ も いい けど 本物 の リス も 見て み たく ない ?
近く に リス が いる 公園 が ある んだ けど
( 愛 梨 ) 触れる の ?
( 菜緒 ) うん
お土産 に リス の ぬいぐるみ も ある よ
( 愛 梨 ) 行き たい ! ( 菜緒 ) フフフッ
( 愛 梨 ) けど …
ハァ …
じゃあ 行く か
やった ー !
( 菜緒 ) フフフッ 行こう !
( 愛 梨 ・ 菜緒 ) うわ ー !
( 菜緒 ) すごい ね
大 っき いね
すごい たくさん 食べて る
( 愛 梨 ・ 菜緒 ) パリパリパリ …
お 兄ちゃん 撮って い いよ
いや いい よ 別に
( 愛 梨 ) いつも 愛 梨 の 写真 撮り まくって る くせ に
そう な の ?
( 夏目 ) たまに ね ( 愛 梨 ) 毎日
( 菜緒 ) 毎日 ? ( 愛 梨 ) そう
愛 梨 そういう こと は 言わ なくて いい んだ よ
( 愛 梨 ) 何で ?
( 夏目 ) いや 何で って …
( リス の 鳴き声 )
( 菜緒 ) ふ ー ん
( 紗栄 子 ) 彼女 ?
あっ …
( 紗栄 子 ) 気 に なる ?
いや 別に
ちゃんと 送り出して くれて 彼女 理解 の ある 大人 じゃ ない
( 上原 ) フッ … ( 紗栄 子 ) ん ?
あっ いや あいつ が 大人 って …
違う の ?
すげ え 無理 して る と 思い ます
あっ こない だ も 家 に ゴキブリ が 出た から って ―
夜中 に 部屋 で 殺虫 剤 たき 始めて
そんで 寝 られ なく なって
( 紗栄 子 ) ふ ー ん
アホ です よ ね
( 上原 ) イッテ ( 紗栄 子 ) もう 大好きじゃ ん
聞いて る こっち が 恥ずかしい よ
ちょっと 飲み物 買って き ます ね
何 が いい っす か ?
センス で
( 上原 ) はい
( 愛 梨 ) ちょっと 遊んで くる ( 菜緒 ) うん
( 夏目 ) 遠く 行く な よ ( 愛 梨 ) は ー い
愛 梨 ちゃん 楽し そうで よかった
飲み物 でも 買って くる ね
( 菜緒 ) うん
どーんと 構えて …
( 菜緒 ) 大人 な 余裕 って 感じ ?
( 夏目 ) どうぞ
あっ ありがとう
これ 好きな やつ
( 夏目 ) サークル の 時 も 飲んで た もん ね
( 菜緒 ) よく 見て る ね
ハッ !
あっ いや 夏目 君 私 の こと …
あっ いや いや …
私 に は 上原 君 が いる し
いや 2 人 友達 だ し
ダメ ダメ ダメダメ ダメ …
私 の こと 好き と か 困る
困る 困る ダメだ よ
ないない ないない
俺 は 世界中 の 女の子 に 平等に 優しい から
今日 も 順調に チャラ い です ね
( 菜緒 ) そ … そういう の って さ ―
どういう タイミング で 撮る の ?
( 夏目 ) えっ どういう って 普通に “ 撮ろう ” って
普通 ?
普通に 撮る でしょ ? 上原 と
( 菜緒 ) あり え ない ( 夏目 ) マジ ?
1 枚 も 撮った こと ない かも
今どき 中学生 だって 撮る よ
( リス の 鳴き声 )
って か 本当 は 今日 も 何 か あった んでしょ
いや ない よ えっ う うん 別に 何にも ない
( 夏目 ) ウソ
ドタキャン さ れた 約束 って 上原 でしょ
どうして 分か ん の ?
俺 に 読め ない 女心 は ない の
あの ね …
夏目 君 は さ
好きで も ない 人 を 名前 で 呼んだり する ?
名前 で 呼ば ず に 何で 呼ぶ の ? 口笛 と か ?
違う よ 名字
ああ …
俺 女の子 の こと 名字 で 呼んだ こと ない
夏目 君 は そう かも しれ ない けど
上原 君 は 違う の
上原 君 は 女 の 人 の こと 名前 で 呼んだり し ない もん
なのに …
あの 研究 室 の 人 の こと
紗栄 子 さん って 名前 で 呼んで て
ああ やっぱり 言わ なきゃ よかった
( 夏目 ) いや ごめん
そんな こと 気 に して た んだ
熊 埜御 堂 ( くま のみ どう )
( 菜緒 ) ん ?
く … 熊 の ミード ?
( 夏目 ) 熊 埜御 堂 紗栄 子 さん って いう んだ
あの 人 の 名前
名字 が 嫌いで 名前 で 呼ば ない と 返事 して くれ ない んだ
( 菜緒 ) 熊 埜御 堂 紗栄 子 …
( 夏目 ) それ に 紗栄 子 さん は
研究 以外 興味 なし の 典型 的な リケジョ だ から 大丈夫
そ っか
安心 した ?
うん フフッ
( 夏目 ) 確かに 上原 って
菜緒 ちゃん の こと も 吉川 ( よし かわ ) って 呼ぶ よね
何で ?
最初 っ から そう 呼ば れて た から
つくづく 進展 の ない カップル だ なあ
見て 見て
はい 笑って
( 連 写 の 音 )
わ あっ 何で ?
これ を 上原 に 送る
( 菜緒 ) え ?
2 人 に は 刺激 が 必要な ん だって
刺激 って …
そんな の 急に 送ら れたら さすが に 上原 君 も 不安に な っ …
な … 不安に なら ない かも だ けど
で … でも 不安に …
上原 だって 今日 1 日 菜緒 ちゃん を 不安に さ せた んだ から
はい 送信 完了
え ?
えっ えっ … 本当に ?
じゃ … 私 上原 君 に 誤解 だって 言わ ない と
あっ
( 夏目 ) 愛 梨 ?
愛 梨 ?
え ?
( 夏目 ) 愛 梨 !
愛 梨 ちゃん
( 夏目 ) 愛 梨 !
( 菜緒 )10 歳 の 女の子 捜して る んです けど
ポシェット に リス の ストラップ つけた 子 な んです けど
どう ?
大丈夫 絶対 見つかる
( アナウンス ) ご 来場 の お 客 様 に 迷子 の お 知らせ を 申し上げ ます
東京 都 から お 越し の 夏目 様
お 連れ 様 が …
お 兄ちゃん
何 やって んだ よ !
どん だけ 心配 した か 分かる よ な
もう 二度と 1 人 で 行動 する な
はい
ありがとう ございました
ご 迷惑 を おか けして 申し訳 あり ませ ん
( 係員 ) いえいえ
落ち着いて 名前 も 住所 も 言えて
偉かった です よ
よかった ね 気 を つけて ね
( 愛 梨 ) ごめんなさい
ハァ …
( チャイム )
( 上原 ) あっ
( 大地 ( だいち )) おお 上原
( 上原 ) 部活 っす か ? ( 大地 ) ああ さっき 終わった とこ
高校 の 後輩 の 上原
( 七瀬 ( なな せ )) 後輩 …
( 大地 ) マネージャー の 七瀬
あー !
( 大地 ) 何 だ よ
( 七 瀬 ) ど っか で 見た こと ある と 思ったら
ミスター ・ キャンパス に 選ば れた 奇跡 の 1 年生 でしょ
( 上原 ) あっ いや … ( 大地 ) 奇跡 ?
ちょっと バレ て ますよ 笑って ん の
菜緒 は ? 一緒じゃ ない の か ?
( 上原 ) ああ 俺 研究 室 で バイト 始めて
おお 相変わらず 忙しい な
少し は 菜緒 の こと 構って やれよ
あいつ 今頃 絶対 まり な あたり つかまえて
グチ って る ぞ
( 上原 ) です よ ね ( 大地 ) あと 冗談 抜きで
大学 なんて そこら 中 に 出会い 転がって んだ から
あんまり ほっといたら 浮気 さ れる ぞ
ご 忠告 どうも
その 余裕 な 感じ も 相変わらず だ な
大地 行 こ みんな 待って る
うん じゃあ な
買って き ました
( 紗栄 子 ) お っ サンキュー
じゃ 5 分 休憩
( 上原 ) はい
( 紗栄 子 ) 彼女 から ?
( 上原 ) ああ いや 急ぎ ましょう
あっ 会い たく なっちゃ った ?
まっ 会い たかったら さっさと 終わら せる こと だ ね
よし
( 菜緒 ) 愛 梨 ちゃん 疲れた ?
( 愛 梨 ) う うん 平気
( 夏目 ) 腹 減った か ?
うわ … 熱
え ?
ずっと 体調 悪かった の か ?
どうして 早く 言わ ない んだ よ
( 愛 梨 ) ごめんなさい
ほら おんぶ
夏目 君 うち すぐ だ から 少し 休ま せて あげよう
いや でも …
上原 の 不在 に 上がり 込む の は
さすが の 俺 でも 気 が 引ける って いう か
そんな こと 言って る 場合 じゃ ない でしょ
上原 君 も 絶対 休め って 言う はずだ よ
( 菜緒 ) よし
愛 梨 ちゃん 食べ れる かな
あっ 夏目 君 ちょっと 味見 して くん ない ?
( 夏目 ) ああ うん
( 菜緒 ) はい
おいしく ない ?
うまい !
( 菜緒 ) よかった
料理 だけ は ちょっと だけ 自信 ある んだ よ ね
上原 君 大 食い だ から
毎日 手 料理 作って んだ
うん
高校 の 時 も お 弁当 ずっと 作って たから
ちょっと 鍛え られた んだ
面倒くさい の に よく やる ね
それ に 上原 君 おいし そうに 食べて くれる から
何 か 頑張れちゃ うんだ よ ね
ごめん まったく 理解 でき ない わ
俺 基本 して もらう ほう だ から さ
( 菜緒 ) ウソ ( 夏目 ) え ?
あの ポシェット
夏目 君 が 作った んでしょ ?
いや 違う あれ は せがま れて しかたなく …
( 菜緒 ) 手芸 サークル も ―
本当 は 愛 梨 ちゃん の ため に 入った んでしょ
( 夏目 ) いや それ は
イケメン で 手芸 って そういう ギャップ に 女子 は …
いい お 兄ちゃん で すね ー
ほら うち 母親 いない から しかたな …
あっ そ っか
じゃあ いい お 母さん だ
謝ら ない んだ
え ?
あっ いや ほら
こういう デリケートな 話した 時 って 女子 って すぐ 謝る じゃ ん
“ あっ ごめん 変な こと 聞いて ” って
( 菜緒 ) え ?
あっ ごめん 変な こと 聞いた ?
( 夏目 ) いや そう じゃ なくて … ( 菜緒 ) あっ あれ だ よ ?
あの いい お 母さん って いう の は 褒め 言葉 だ よ
別に 夏目 君 が 女の子 っぽい と か そういう こと じゃ ない から
うん 分かって る
でも まっ いい お 母さん じゃ ない の かも
今日 も 熱 出して ん の 菜緒 ちゃん に 言わ れ なかったら ―
気づか なかった し
甘え ベタ に なっちゃ って 我慢 ばっ か
( 菜緒 ) 我慢 する よ
( 夏目 ) え ? ( 菜緒 ) だって ―
好きな 人 と 一緒に お出かけ だ よ ?
そりゃ 我慢 する よ
好きな 人 って …
あの リス の マスコット 渡 し たい 人 好きな 人 って 言って た じゃ ん ?
うん
夏目 君 に あげる んだ って
愛 梨 ちゃん 言って た
あった ね
夏目 君 でも 分から ない 女心 ?
ねっ
( ドア が 開く 音 )
( 上原 ) 鍵 開いて ん ぞ
上原 君 フフフ …
お かえり
( 大地 ) 大学 なんて そこら 中 に 出会い 転がって んだ から
あんまり ほっといたら 浮気 さ れる ぞ
( 菜緒 ) え ? あっ ちょ … ちょっと 上原 君
( 菜緒 ) ちょっと 上原 君 どうした の ?
( 上原 ) あっ いや …
ごめん
え ?
ちょっと ここ に いろ
( ドア が 閉まる 音 )
( 夏目 ) ごめん
留守 に 上がり 込んで
妹 が 具合 悪く なっちゃ って
少し 休ま せて もらって
あっ …
そ っか
え ? もう 大丈夫な の か ?
( 夏目 ) 熱 は 下がった から
ちょっと はしゃぎ すぎちゃ った みたい
( 上原 ) どこ の 家 の 兄貴 も ―
妹 なり 弟 なり を 溺愛 する もん だ な
( 夏目 ) は ? ( 上原 ) いや うち も そう だ から
兄貴 う ぜ え ほど 構って くる
( 夏目 ) 兄貴 いる んだ
今 仕事 で 海外 だ けど 毎日 の メール 攻撃 ハンパ ねえ
( 夏目 ) ハハッ
まあ うち 両親 い なくて 兄貴 と 2 人 だった から
過保護に なる の も しょうがない んだ けど さ
( 上原 ) 何だか んだ で 感謝 して る し
ふ ー ん
( 上原 ) 何 だ よ ( 夏目 ) あっ いや 何でも
お前 基本 的に 俺 バカに して ない ?
して ない して ない
いや 俺 も いつか 感謝 と か 言わ れ ん の か なって 思って さ
え ?
うち も 母親 いない から
出て った っきり 音信 不通
菜緒 ちゃん い わく 俺 いい お 母さん
( 上原 ) フッ …
そこ 笑う とこ ?
いや ヒラヒラ の エプロン して る お前 想像 しちゃ った
何 だ それ
似合い すぎて 笑えた
菜緒 ちゃん と いい お前 と いい 変わって んな
って か お前 今日 ドタキャン し ただ ろ
いや 急に バイト 入った から さ
った く
無理 して ん の は 見え見えだった し
荒れて る だろう な と は 思って たよ
菜緒 ちゃん ドタキャン で 荒れて た わけじゃ ない けど な
女心 知ら な すぎ
あおろう と 思って ツーショット 写真 送った のに
何の リアクション も ない し
ああ
いや これ じゃ 何だか 分か ん ねえ よ
( 夏目 ) ハハハッ あれ ?
って か これ どこ 行って んだ お前
( 愛 梨 ) うーん … ( 夏目 ) シーッ
( 上原 ) あっ
でも さ
冗談 抜きで ツーショット 写真 くらい 撮って やれよ
菜緒 ちゃん 気 に して た ぞ
今日 荒れて た の は それ が 理由
悪かった な お前 が い ない 時 に 上がり 込んで
でも 上原 が 心配 する ような こと 絶対 ない から
俺 の 好み は 大人 の 女
菜緒 ちゃん と は 正反対の タイプ だ から さ
でも 見る 人 に よって は
あいつ が 大人 の 女 に 見える らしい ぞ
菜緒 ちゃん が ? ないない
( 愛 梨 ) うーん …
( 上原 ) シーッ ( 夏目 ) あっ ごめん シーッ
って か どこ 行った んだ よ
今日 ? 秘密
は あ ? 何 だ よ それ
菜緒 ちゃん また ね
また ね 愛 梨 ちゃん また 遊ぼう ね
お邪魔 し ました
バイバイ
ど っか 飯 行く ?
( 菜緒 ) え ?
ドタキャン の おわび
別に 全然 そんな の 気 に して ない よ
ウソ つけよ
いや そんな こと で 動じ ない 大人 な 女性 に なる って 決めた の
( 上原 ) ふ ー ん
せっかく 今日 の バイト で 臨時 収入 あった のに なあ
( 菜緒 ) え ? ( 上原 ) 残念だ なあ
いや … やっぱり 行く
お前 は それ で いい んだ よ
どこ 行く ?
上原 君 は ?
何 食べ たい ?
うち の 飯
うち の ?
( 船 の 警笛 )
( 菜緒 ) あっ
キレイ !
( シャッター 音 ) ( 菜緒 ) すごい ね フフフッ
( シャッター 音 )
( シャッター 音 )
( 菜緒 ) フフッ
( シャッター 音 )
今 撮った ?
あっ この 写真
これ じゃ 私 だって 分か ん ない じゃ ん ねえ
何 この 写真
いや すぐ 分かった よ
( 船 の 警笛 )
上原 君
そこ 立って て
はい チーズ
( シャッター 音 )
( 携帯 電話 の 着信 音 )
もしもし
( まり な ) 菜緒 みっ ちゃん から の 伝言
みっ ちゃん から ?
( まり な ) うん
上原 君 が 菜緒 の こと 名前 で 呼ば ない の は ―
名字 で 呼べ なく なった 時 の ため に とって ある ん だって
いい こ と 言う でしょ うち の みっ ちゃん
えっ どういう 意味 ?
( まり な ) だ から 吉川 って 呼ば なく なる の は きっと ―
菜緒 の 名字 が 変わる 時 だって こと
無理 せ ず 2 人 の ペース で いけば いい んだ よ
じゃあ ね
( 菜緒 ) うん
そ っか
そう 思ったら 今 は どっち で も いい や
吉川
( 菜緒 ) ん ? ( 上原 ) ちょっと 来て
うん
( 上原 ) ここ
あっ ち 向いて
( 菜緒 ) えっ えっ ? えっ …
( 上原 ) イヤな の か よ
( 菜緒 ) う うん う うん
撮り … 撮り たい
フフッ 撮り たい です
じゃあ いく ぞ
はい チーズ
( シャッター 音 )
( 菜緒 ) フフッ ( 上原 ) おい
フフッ 見せて
( 上原 と 菜緒 の 笑い声 )
( 上原 ) 俺 以外 の 男 ―
部屋 入れ ん な
返事
( 菜緒 ) はい
以上
( 菜緒 ) 上原 君 今 の 写真 送って ね
( 上原 ) イヤだ
( 菜緒 ) え ? 何で ?
あっ じゃあ 私 の 携帯 で もう 1 回 撮ろう
( 上原 ) もう いい よ もう いい って ( 菜緒 ) ここ に 立って 撮って
( 上原 ) 腹 減って んだ から 早く 帰る ぞ
( 菜緒 ) じゃあ こっち から 送る から いい もん
( 上原 ) やめろ よ やめ …
( 菜緒 ) こっち から 送る ねえ 一緒に 撮ろう
( 愛 梨 ) お 兄ちゃん ?
( 夏目 ) 起きた か
( 愛 梨 ) うーん …
今日 は 楽しかった
( 夏目 ) うん 楽しかった な
( 愛 梨 ) また 菜緒 ちゃん と 遊べる ?
そう だ な
また 遊び たい なあ
あっ !
ちょっと ねえ それ 最後に 食べよう と 思って た のに
お前 食わ ない から いら ない か と 思って
じゃあ から 揚げ もらう
( 上原 ) から 揚げ … おい ( 大地 ) お前 ら 相変わらず だ な
( 菜緒 ) あっ 大 ちゃん
( 上原 ) どうも
( 菜緒 ) 一緒に 食べよう よ
( 上原 ) どうぞ ( 大地 ) うん
菜緒 これ あげる 好きだ ろ ?
いい よ 大 ちゃん の なんだ から 大 ちゃん 食べ な
( 上原 ) じゃあ いただき ます
( 菜緒 ) あっ ちょっと ! ダメだ よ 上原 君
それ 大 ちゃん の なんだ から
( 大地 ) いい よ ( 上原 ) ゴマ 団子 なんか ある ん すね
( 大地 ) そう おばちゃん の オススメ
( 上原 ) へえ
( 七 瀬 ) 大地 ( 大地 ) うん
七瀬
一緒に いい ?
( 大地 ) うん ( 菜緒 ) どうぞ
あっ ここ 使って ください
どうも
えっ と 吉川 さん だ よ ね
あっ はい
私 ハンド 部 の マネージャー の 七瀬 凛 ( りん ) です
大地 と は 学部 も 一緒で
そう な んだ
吉川 菜緒 です よろしく お 願い し ます
いい なあ
( 菜緒 ) え ?
こんな イケメン の 彼 氏 が いて
( 大地 ) ハハハッ
( 夏目 ) 上原
( 上原 ) おお
誰 ?
ああ 上原 君 の 友達
夏目 君 私 の 幼なじみ の 篠崎 ( し の ざ き ) 大 ちゃん
( 大地 ) どうも ( 夏目 ) 夏目 です
篠崎 って も しか して ハンド 部 の ?
( 大地 ) うん ( 菜緒 ) そう
や っぱ 大 ちゃん 有名 人 な んだ ね
そう な の ?
( 夏目 )3 人 同じ 高校 ?
( 上原 ) ああ ( 菜緒 ) うん
( 七 瀬 ) えっ 大地 って どんな 高校 生 だった の ?
( 菜緒 ) モテ て たよ ね ー
( 夏目 ) でしょう ね まあ 俺 も モテ た けど
彼女 と かいた ?
あっ いや … 俺 部活 ばっ か して たしな
( 七 瀬 ) じゃあ 3 人 で 遊んだり し なかった の ?
( 大地 ) あん ま そういう の は なかった かな
( 七 瀬 ) 仲 よかった のに ?
まあ いろいろ あんだ よ
いろいろ って もし かして
大地 が 菜緒 さん の こと 好きだった と か ?
♪~
~♪