episode 04「 初恋 は 叶わないって 言う けれど 」 (2)
( 男子 学生 ) うわ ー もう 肩 痛い
( 男子 学生 ) 今 から 飯 行く 人 ? ( 男子 学生 たち ) 行く 行く
( 男子 学生 ) オーケー 何 食べる ? ( 男子 学生 ) 全員 か
( 夏目 ) こない だ から 君 は 一体 何 に イラ ついて ん の ?
七瀬 も 行く よ な ?
お前 俺 の こと 避けて る だ ろ ?
悪かった よ こない だ は 俺 も 言い すぎた
う うん 私 が …
( 男子 学生 ) お前 ら 何 2 人 の 世界 に 浸って んだ よ !
本当 は デキ てん じゃ ねえ の ?
バーカ !
俺 と 七瀬 は 性別 を 超えた 仲間 な の
未来 永 劫 ( えい ごう ) な
や だ
や だ よ
上原 君
( 上原 ) 遅く なる なら 遅く なる って 言えよ
電話 して も 通じ ねえ し
( 菜緒 ) あっ ごめん
あっ どうかした の ?
“ どうかした の ?” って 今日 お 祝い する って 約束 し ただ ろ
( 菜緒 ) す っ ごく す っ ごく 幸せ
あの 瞬間 時 が 止まった って いう か 世界中 の 人 に 祝福 さ れた 気 が して
あー 一生 の 思い出 だ よ
あっ だ から さ 今夜 お 祝い し ない ?
( 菜緒 ) 本当に ごめん 私 うっかり して て
バイト 先 で 何 か あった の か ?
( 菜緒 ) え ?
( 上原 ) いや 昼間 と 顔 が 全然 違う し
ああ … いや
ちょっと いろいろ あって ね
別に さ
無理 する こと ない んじゃ ない の ?
オシャレ な 店 と か 制服 と か
そういう の に こだわる から いけない んだ よ
向いて ない 仕事 無理 して 続ける こと ないだ ろ
向いて ない ?
( 上原 ) また 一番星 で 働いて も いい し
上原 君 も そう 思って る んだ 向いて ない って
え ?
私 に 向いて る 仕事 って 何 ?
吉川 ?
私 辞め ない から
向いて ない なんて そんな の まだ 分か ん ないじ ゃん
私 に だって 人 の 役 に 立てる こと ある し
( 上原 ) 吉川 … ( 菜緒 ) ごめん 上原 君
私 しばらく バイト に 集中 し たい
( 店員 ) 吉川 さん これ も お 願い
( 菜緒 ) は ー い
あっ
( 店員 ) もう 何 やって ん の ?
( 菜緒 ) すいません
( ドア の 開閉 音 )
( 菜緒 ) あっ
いらっしゃい ませ
あっ 七瀬 さん 例の プレゼント です か ?
これ お 願い し ます
はい
ついに 思い を 伝える んです ね
これ で 少し は 意識 して くれれば いい んだ けど
私 応援 して ます
向いて ない 仕事 無理 して 続ける こと ないだ ろ
私 に だって 人 の 役 に 立てる こと ある し
って いう か
七瀬 さん に は 本当に うまく いって ほしくて
それ に 私 思う んです
もしかしたら その 人 も 七瀬 さん と の 関係 を 壊し たく なくて
告白 し たくて も でき ない んじゃ ない か なって
その 人 に 好きな 人 が いる って いう の も
もしかしたら 七瀬 さん の 思いすごし で …
( 七 瀬 ) 適当な こと 言わ ないで よ
え ?
思いすごし と か 適当な こと 言わ ないで よ
私 と 彼 の こと 全然 分かって ない くせ に
いや …
私 は 七瀬 さん の こと が 応援 し たくて
そんな の あなた の 自己 満足 じゃ ない
( ドア が 開く 音 )
( 菜緒 ) 七瀬 さん !
( 店員 ) ねえ さっき の 仕分け まだ 終わって ない の ?
( 菜緒 ) すいません
( 夏目 ) こない だ から 君 は 一体 何 に イラ ついて ん の ?
ブス
何で 上原 君 が 謝る の
( 菜緒 ) ありがとう 上原 君
( 上原 ) 吉川 さ
前 に す っげ え 怒った じゃ ん ? 体育 倉庫 で
上原 君 は かわいそう なんか じゃ ない から って
俺 の こと 好き で も 何でもない 時 に
あっ 水 かけ られた 時 か
いろいろ 頑張って る 人 に は
“ かわいそう ” じゃ なくて “ すごい ね ” でしょ !
そんな の も 分か ん ない ダメ 女子 に は
上原 君 は カケラ も 欲 情 し ない から !
( 上原 ) その 時
こいつ すげ え なって 思った
え ?
他人 の ため に 怒 れる ん だって
そんな の 当たり前
当たり前じゃ ねえ よ 全然 当たり前じゃ ない
そう かな ?
( 上原 ) 少なくとも 俺 に とって は
だから ―
お前 に 向いて ない なんて 思わ ない
え ?
人 の ため に 頑張る 仕事
お前 に 向いて ない なんて 思わ ない よ
吉川 ?
うん
私 明日 七瀬 さん に 謝って くる
は ?
今日 全然 ダメだった 私
そ っか 頑張れよ
うん
ハァ … 上原 君 会い たいよ
お前 が しばらく 会え ない って 言う から
こっち だって バイト 入れて た んだ ろ
そう だ けど さ
( 上原 ) それ に 顔 見て たら こんな こと 言え ねえ し
( 菜緒 ) え ? ( 上原 ) 何でも ねえ よ
それ より さ 俺 明日 バイト 代 入る んだ けど
ん ?
たまに は ど っか 出かける か
雑誌 に 載って る ような 店 行って 飯 でも 食って さ
私 明日 の 夜 空いて る !
うん
( チャイム )
( 菜緒 ) 七瀬 さん
あの …
昨日 は ごめんなさい
( 菜緒 ) 私 七瀬 さん の 相手 の こと 全然 考えて なくて
好き勝手 言っちゃ って
本当 すみません でした
( 七 瀬 ) あの … 私 も
( 菜緒 ) あの …
あの 時 私 七瀬 さん の こと 応援 して る と か 言って ―
結局 自分 の こと しか 考えて なくて
七瀬 さん は 相手 の こと 考えて た んです よ ね
相手 の 気持ち 大事に し たい から 困った 顔 さ せ たく なくて
なのに 私 無責任な こと 言って
本当に ごめんなさい
また いつでも お 店 来て ください ね
( メール の 着信 音 )
( 菜緒 ) ん ?
あっ 菜緒 ちゃん 急きょ パーティー の 準備 が 入った の
花 と バルーン 景品 の こん包
今 すぐ 来て くれ ない ?
え ?
私 は 明日 まで に 花 の 買い付け を し なきゃ いけない の よ
お 願い
あっ いや ちょっと …
( 通話 が 切れる 音 )
あっ …
えー
えー !
( 携帯 電話 の バイブ 音 )
すいません お 待た せ し ました
すいません 遅く なり ま …
え ?
そんな …
あー 実験 進ま ねえ し お腹 すいた し イライラ する
あれ ? 上原 君 まだ いた の ?
今日 残業 でき そうな んです けど
( 紗栄 子 ) さては デート ドタキャン さ れ そうな んだ ?
バイト 代 前借り まで した のに
( 上原 ) はい
何 か あいつ も バイト 頑張って る みたいな んで
( 紗栄 子 ) ふ ー ん
彼女 大した もん ね
上原 君 の ファン が 聞いたら 激怒 する わ
“ ミスター ・ キャンパス を 振り回す なんて ―”
“ 身分 を わきまえろ ” と か 何とか
吉川 は アホ だ けど
あいつ が 頑張る 時 って いつも 人 の ため な んです よ
ボロボロ に なって も
自分 の こと より 他人 の こと で 頭 いっぱい で
そういう の みんな 知ら ねえ から
よし
( ぶつかる 音 )
( 菜緒 ) うわ っ うわ っ うわ っ …
( ユイ ) 柊 ( しゅう ) 君 バイト 忙しい って 言って た の に もう いい の ?
って か ユイ ちゃん の 顔 見たら 今 まで の 疲れ も 吹っ飛んじゃ った
( ユイ ) また そういう こと 言って
( 夏目 ) だ から さ もっと よ ー く 顔 見せて …
( 夏目 ) だ から さ もっと よ ー く 顔 見せて …
( 店員 ) 吉川 さん 今頃 絶対 パニク って る よ ね
( 店員 ) 吉川 さん 今頃 絶対 パニク って る よ ね
( 店員 ) あの 子 夏目 君 独り占め し すぎ なんだ よ ね
( 店員 ) けど あの 仕事 全部 1 人 で やる って マジ 悲惨
( 夏目 ) 何の 話 ? ( 店員 ) 夏目 君
俺 も 仲間 に 入れて
( 大地 ) 何 か あった ?
( 七 瀬 ) え ?
( 大地 ) いや さっき から ひと言 も 話さ ない から
吉川 さん って 変な 子 だ よ ね
何 ? 急に
何 か 不器用 って いう か 一直線 って いう か …
ハハハッ うん
大地 どう やって 諦めた の ?
え ?
それ に 今 も 笑って 吉川 さん と 話せる よ ね
うん
どうして ?
告白 した 時 と 同じ 理由 かな
( 大地 ) ずっと 彼女 の 味方 で いたい って 思った から
( 菜緒 ) ごめん ね
気 使わ せちゃ って
ありがとう
( 夏目 ) ハァ ハァ …
( 菜緒 ) もう 無理
私 1 人 じゃ 無理だ よ
( 夏目 ) 菜緒 ちゃん 大丈夫 ? 俺 が 来た から …
え ?
( 菜緒 ) 牛乳 プリン …
風呂 釜 いっぱい なんて 無理だ よ
1 人 じゃ 食べ られ ない よ
無理だ よ 上原 君
菜緒 ちゃん ?
店長 ! ただ今 作業 終わり ました !
何 だ 夏目 君 か
( 夏目 )“ 何 だ ” は ない でしょ デート す っぽ かして きた のに
もし かして 私 …
また 夏目 君 に 迷惑 かけて …
( 風船 が 割れる 音 )
( 菜緒 ) あー !
( 風船 が 割れる 音 )
( 菜緒 ) う っ …
今日 もう いい から
( 上原 ) え ?
( 紗栄 子 ) 迎え 行ったら ?
彼女
そんな 魅力 的な 彼女 なら 目 離したら 別の 男 に 持って かれる よ
それ は …
な いっす
分か ん ない よ 先 の こと なんて
上原 君 しか 知ら ない 彼女 の 魅力
誰 か に 見つかったら どう す ん の ?
( 夏目 ) 何 か 逆に ごめん ね 俺 が 来た ばっかりに
( 菜緒 ) う うん
でも さ
2 人 だ と こういう 作業 も 何 か 楽しい もん だ ね
あの さ
( 菜緒 ) ん ?
俺 の 知り合い が 結婚 式場 で バイト して て
え ?
初恋 同士 で 結婚 する カップル って 結構 いる らしい よ
や っぱ 俺 そういう の 理解 でき ない けど
夏目 君 さ
言って る こと と やって る こと 違う よね ?
( 夏目 ) 何 が ? ( 菜緒 ) 別に
言 っと く けど 俺 が ここ に 来た の は
上原 と 約束 した から だ よ
上原 君 と ?
そう あいつ に 頼ま れた の
菜緒 ちゃん の こと よろしく って
あいつ こそ 澄ました 顔 して 心配 性 っ つうか
やっぱり 言って る こと と 違う じゃ ん
だから 俺 は …
約束 なんて 意味 ない と か 言って た けど
夏目 君 上原 君 と の 約束 守って る
素直じゃ ない んだ ?
フフッ
( オルゴール の 音 )
違う
本当 は 頼ま れた から じゃ なくて
俺 は …
( 菜緒 ) 誕生日 な の
え ?
( 菜緒 ) 来月 上原 君 の 誕生日 な の
だから
どうしても 喜ば せ たくて
もし かして この バイト あいつ の プレゼント 買う ため ?
うん
( 足音 )
( 菜緒 ) 上原 君
迎え に 来て くれた んだ
まだ 終わ ん ねえ の か よ
( 菜緒 ) あっ もう ちょっと
あっ でも 夏目 君 が 手伝って くれて
いや 俺 は 逆に 邪魔 した って いう か
上原 君 約束 して た んでしょ ?
( 上原 ) え ?
男 の 友情 って やつ か
あっ そう いえば 上原 君
男の子 の 友達 できる の 初めて だ よ ね ?
( 上原 ) お前 俺 の こと 何 だ と 思って んだ よ
( 菜緒 ) 見た こと ない もん ( 上原 ) いや いただ ろ
( 上原 ) 夏目
悪かった な
( 上原 ) お前 知ら ない か な ? ( 菜緒 ) 知ら ない よ そ したら
( 上原 ) 中華 料理 屋 の 息子 で さ ( 菜緒 ) だ から いっちゃ んでしょ
( 上原 ) 最近 できた んだ よ
( 上原 ) あっ 阿部 は 別に 友達 じゃ ねえ よ
( 菜緒 ) 友達 じゃ ない んだ
アモーレ !
は ?
私 夏目 柊 は
今後 何 が あって も 常に 夏目 柊 で いる こと を 誓い ます
( 菜緒 ) え ? ( 上原 ) は ?
( 上原 ) お前 何 言って んだ よ ( 菜緒 ) アモーレ ?
( 上原 ) イッテ ! は ? ( 夏目 ) 危 ねえ とこ だったろう が
( 上原 ) 何 が ? ( 夏目 ) フフッ
( 上原 ) 何 だ よ これ ( 夏目 ) 何でも ねえ よ
( 菜緒 ) あー あ また デート でき なかった ね
上原 君 が オシャレ なお 店 誘う なんて
10 年 に 一 度 あるか ない か な のに
って いう か お前 他 に 言う こと ある だ ろ
( 菜緒 ) へ ?
連絡 !
俺 ずっと 待って た んだ けど
あっ ごめんなさい
フフフ …
でも 何 か 優越 感
お前 な
あっ ごめん … ごめんなさい もう 二度と し ませ ん
ごめん ごめん ごめん … 二度と し ませ ん
何 す ん の ?
痛い 痛い 痛い 何で お前 が やんだ よ
( 菜緒 ) 痛い でしょ ( 上原 ) やめ なさい
( 菜緒 ) 上原 君 が やった から でしょ ( 上原 ) 何で お前 が やんだ よ
( 菜緒 ) 上原 …
( 上原 ) あっ 満月 だ よ
( 菜緒 ) 顔 が 満月 みたいだ よ
( 上原 ) そりゃ お前 だ よ ( 菜緒 ) 違う よ
( 物音 )
これ お 願い し ます
結局 こっち に した んだ ?
前 に 言った でしょ ?
私 は 何 に イラ ついて る の か って
( 夏目 ) うん
自分 に だった
どんなに 一緒に いて も 見て もらえ なくて
それ を あの 子 の せいに して
告白 だって 自分 が 楽に なる から で
全部 自分 の ことば っか
そんな 自分 が 一 番 イヤだった
けど イヤな 自分 を 認めたら 思った の
彼 の 困った 顔 見る の は もっと イヤだ なって
自分 が 苦しい ほう が マシ だって
だから それ に する
( 七 瀬 ) こんな の 分か ん ない よ ね
いや
分かる よ
発音 の アクセント が 変わって くる わけ
今日 の 夕飯 何 食べ たい ?
は あ ? これ やれよ !
2 つ の 発音 の アクセント が 変わって くる わけで