( 足音 )
( 真希子 ( まきこ ) ) 殺し て やる 殺し て やる …
殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …
殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …
♪ ~
~ ♪
( 真希子 ) なるほど みんな が 自分 の こと を ―
悪く 言って いる よう な 気 が し て しかたがない と
( スピーカー の 音楽 )
( スピーカー の 音楽 )
( 真希子 ) 誰 か に つけ られ て いる よう な 感じ です か ?
( 患者 ) 私 が ウソ を つい て いる と ?
( 真希子 ) いいえ まだ 分かり ませ ん
( 患者 ) フッ … 先生 聞い て いた だ け ます か ?
ええ もちろん
( 患者 ) 実は 世界 に は 恐るべき 悪 が すみ 着 い て いる こと に ―
私 は 気づ い て しまった ん です
( 文 字 を 書く 音 )
( 患者 ) それ で ヤツ は ―
自分 の 存在 に 気づ い た 私 を ウソつき に する ため ―
先回り し て 周囲 の 人 たち に 悪評 を 流し て 回って いる ん です よ
大変 な こと です これ は
なぜ 気づ い た ん です か ?
( 患者 ) フフッ 気づ い た も 何 も …
ヤツ は 嫌がらせ を し て いる こと を ―
テレビ や ラジオ で 私 に 伝え て き ます から
( 真希子 ) なるほど
それ は 大変 です ね
( 患者 ) まったく 大変 な ん です
あっ
( 真希子 ) 久しぶり ね ( 凪 ( なぎ ) ) ん ?
( 凪 ) ああ 来 生 ( き すぎ ) 先生
( 真希子 ) 元気 そう で 何より だ わ
先生 も 変わ ん ない ね
ありがとう
でも ホント … 正直 に 言って しまう けど ―
今 でも 私 あなた が どう やって 治った の か 分から ない
先生 は やっぱり 心理 的 な もの だ と 考え てん だ ろ ?
まあ そう ね 正直 言って
実は 俺 も ―
今 じゃ そう だった ん じゃ ない か って 気 も する
あっ 心 当たり が ある の ?
ああ 俺 ある 人 に 会った ん だ
それ から なんか 心 が すごく 軽く なった よう な 気 が し て
それ で ひ ょっ と する と その せい で 治った ん じゃ ない か って
あっ
( 真希子 ) へ … へえ どんな 人 な の ?
男 の 人 ?
( 凪 ) 変 な ヤツ だった
ただ すぐ に ど っか 消え ち まって さ
捜し てん だ けど たぶん 見つか ん ない
( 真希子 ) ふ ~ ん ( 凪 ) そんな 気 が する ん だ
( 真希子 ) 恋 … だった の かも ね
( 凪 ) ヘヘヘッ ( 真希子 ) 違う ?
さあ ? よく 分か ん ねえ ん だ これ が
オヤジ だったら 何て 言う かな ?
“ 初恋 は 実ら ない ” って 言う わ よ
まっ 忘れる こと ね
うん そう な ん だ ろ う けど …
でも さ …
なあ 先生
先生 は どう し て 精神 科 の 医者 に な ろ う って 思った の ?
えっ ?
( 凪 ) 俺 さ ―
これ から どう し て いい の か よく 分か ん ない ん だ よ ね
先生 は なんで 今 の 進路 を 選 ん だ の ?
そう ね … 怖がり だった から かしら
ん ? どう いう 意味 ?
精神 分析 って つまる ところ ―
“ 訳 の 分から ない 怖 さ ” と いう もの の 解体 って ところ が ある の
( 凪 ) うん
私 は 子供 の ころ から とても 怖がり で ね
“ なんで そんな ふう に 思う の か な ? ”
“ なんで 恐怖 なんて もの が ある ん だ ろ う ? ” って …
ずっと それ を 追いかけ て い たら ここ に 至った って 感じ かしら
ふ ~ ん
じゃあ さ もしも …
じゃあ さ もしも …
( アナウンス チャイム )
( アナウンス チャイム )
( アナウンス ) 霧 間 ( き り ま ) 凪 さん 3 番 の 窓口 まで お 越し ください
( 凪 ) チェッ 呼ば れ た
じゃあ ね 先生
( 真希子 ) ええ さよなら 凪 ちゃん
( 真希子 ) やはり あの 子 は 何 も 気づ い て い ない よう だ
( ラット の 鳴き声 )
( 真希子 ) 全て の 始まり は あの とき だった
あの 直後 不治 の 病 だった 霧 間 凪 が 奇跡 的 に 回復
その 後 の 実験 で は ラット は 不死身 と も いえる 再生 能力 を 得 た
やっぱり これ は 進化 と 言わ ざる を 得 ない わ ね
これ 患者 に 投与 し たら どう なる かしら ?
なんて ね 無理 よ 無理
( 真希子 ) しか し あるいは …
( 男性 の 荒い 息 )
うん ?
あっ !
ハッ …
う わ っ …
( キャスター ) 連続 殺人 事件 に 関する 速報 です
昨夜 新た な 被害 者 と み られる ―
10 代 の 女性 の 遺体 が 発見 さ れ まし た
下あご が 外さ れる など 遺体 の 損傷 が 激しい こと から ―
警察 は 3 か月 前 から 続く 一 連 の 殺人 死体 遺棄 事件 の ―
新た な 被害 者 と み て 捜査 を 進め て い ます
( 司会 者 ) ついに 5 人 目 の 犠牲 者 が 出 て しまい まし た
今回 も 過去 の 犠牲 者 と 同様 に 下あご が 外さ れ ―
脳 が 抜き取ら れ て い た と の こと です が …
( コメンテーター ) ええ 犯人 は やはり ―
脳 と いう もの に 過剰 な 思い入れ が ある よう です ね
と 言い ます と ?
きれい に 頭蓋 骨 だけ を 解体 し て いる わけ です から ねえ
儀式 と いう か 何 か 呪術 めい た 意図 を 感じ て しまい ます
( 真希子 ) フフッ
( イン ターン ) あっ … 何 です ?
( 真希子 ) いえ ずいぶん テレビ 映り の いい 先生 だ な って
アハハッ 顔 が いい から テレビ 向き な ん でしょ う ね
来 生 先生 は この 事件 どう お 考え です か ?
( 真希子 ) “ 専門 家 は こう いう 極端 な 事件 に ― ”
“ 軽々しく 関心 を 持つ べき で は ない ” って ―
院長 先生 なら 言う わ よ
ああ …
脳 に 対する 過剰 な 関心 か …
しかし 頭蓋 骨 の 解体 なんて かなり 高度 な 知識 を 持って ます よ ね
やっぱり マニア かな …
解剖 その もの が 目的 と か ―
バラ す こと その もの に 何らか の 快楽 を 得 て いる と か
どう でしょ う ね
さあ ね
ただ 医療 関係 者 が 犯人 だ と する と 大 問題 に なり ます よ これ は
( 真希子 ) 蛇 の 巣 を ひっくり返し た よう な 騒ぎ に なる わ ね
な … 何 です か ?
“ 蜂 の 巣 ” です よ ね ?
そう だった かしら ?
え … ええ 確か …
( 真希子 ) 蛇 嫌い な ん だ ?
い … いや そう いう わけ じゃ
蛇 に トラウマ で も ある の ?
い … いえ ただ なんか 気味 が 悪く て
蛇 って 確か 男性 自身 を 表し てる って 話 も あった わ よ ね ?
フロイト だ っけ ?
だ … だ から そう いう の じゃ なく て
べ … 別に 僕 は その …
大丈夫 ? 顔色 が 悪い けど
( イン ターン ) い … いえ 平気 です
ちょっと 疲れ てる の か な …
( 真希子 ) 話 に なら ない 甘 さ ね
これ 以上 恐怖 さ せ て も ロク な 味 に なら ない わ
やっぱり 男 は 深 み が ない
( 少女 ) 誰 か … 誰 か 来 て !
( 少女 ) 助け て ! ( 少女 ) 夢 よ 夢 に 決まって る !
まっ 疲れる の も 無理 ない わ
ここ の ところ いろいろ あった もん ね
急に ベテラン 看護 師 さん を 解雇 し たり
院長 先生 です か ?
確か に ご 乱心 の おかげ で 現場 は 大 混乱 です
誰 か に 弱み でも 握ら れ ちゃ った の かしら ね
( 真希子 ) こんなん じゃ 足り ない
( 真希子 ) 足り ない 足り ない 足り ない …
足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …
足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …
( ノック )
( 真希子 ) 篠 北 ( し の き た ) さん お 加減 は いかが です か ?
誰 か お 見舞い に 来 まし た か ?
あら やっぱり 誰 も 来 ない ん です ね
親身 に なって くれ た 看護 師 さん 退職 さ れ た そう です ね
( 足音 )
( 篠 北 ) ハッ !
さみしい です か ? 篠 北 さん
家族 の ため に 身 を 粉 に し て 働 い た のに ―
奥さん に は 離婚 さ れ 会社 でも 降格
おまけに 長年 の 接待 の ツケ で 内臓 は ボロボロ
今 は 会社 も 病気 休暇 を 認め て くれ て いる けど ―
それ も いつ まで やら
傷病 手当 が 切れ たら どう やって 入院 費用 を 払え ば いい の かしら ね
あの お 薬 篠 北 さん に 投与 し たら 治った かも ね
こっち を 向け !
ここ の ところ 少し 派手 に やっちゃ っ て ―
今 は あんた を いた ぶる しか ない の !
そう そう よ !
もっと … もっと もっと 心 の 底 から おびえ て !
あ あっ !
( 真希子 ) どう ? すごい でしょ
こんな こと も でき ちゃ う
お 薬 の おかげ
なんて ね 手品 よ 何て こと の ない 手品
フッ ウフフ フフ …
( うめき声 )
あら あら また です か ?
でも ダメ よ 篠 北 さん
正気 を 失って しまったら 私 の 病棟 に 来る こと に なり ます よ
そう なったら もっと もっと 楽しま せ て もらい ます から ね
( 戸 の 開閉 音 )
( 戸 の 開閉 音 )
( 真希子 ) 足り ない … こんなん じゃ 足り ない
もっと もっと もっと …
もっと もっと もっと …
( 少女 ) 助け て …
もっと もっと もっと もっと もっと もっと …
もっと もっと もっと もっと もっと もっと …
( 少女 ) 助け て … ください
もっと もっと もっと もっと もっと もっと …
もっと もっと もっと もっと もっと もっと …
( 少女 ) お 願い し ます …
もっと !
もっと もっと 圧倒 的 な 崩壊 の …
その 恐怖 が 欲しい
( 真希子 ) やはり 恐怖 の 味 は 男 より も 女
そして 意志 の 強い 者 ほど いい
( 友人 ) でも …
( 末 真 ( す えま ) ) だって そう いう の は さ 両方 に 責任 が ある でしょ ?
( 友人 ) だって 相手 大学生 だ し …
( 末 真 ) そんな の 関係ない って
だから 直接 話し に 行 こ う
( 真希子 ) そう 若い ほう が 怖い もの 知ら ず な の だ
この 子 なら …
大丈夫 だ から
フフ フッ
( キャスター ) 続 い て 連続 殺人 事件 に 関する …
( 真希子 の 母 ) おお 怖い 女の子 ばかり 狙う なんて
真希子 さん あなた も 気 を つけ て よ 本当 に
( 真希子 ) そう ね
( 真希子 ) それにしても ―
派手 な 痕跡 を 残し て しまった
当然 このまま で は 犯行 を 特定 さ れ て しまう
あの 子 を 殺す 前 に ―
犯人 を でっち上げる なり 何なり し ない と ね
で なけ れ ば いずれ 薬 の 製造 者 たち の 目 に も 留まる
ただ これ だけ の もの を 隠し 通 せ て いる と いう こと は ―
それ だけ 大きい 組織 で ある と いう こと
今 の 私 なら ば 逆 に 利用 する こと も できる わ
弱み さえ 握って しまえ ば ね
あら 私 に おびえ て いる の ?
( 真希子 ) そう 個体 は 群れる もの だ
群れ と は いわば 1 つ の 個体 で あり そこ に また 弱点 が 生まれる
それ は 恐らく 国家 と いう 単位 でも それ が 群れ で ある 以上 …
( ラット の 鳴き声 )
国 全体 が 恐怖 に おののく とき って ―
一体 どんな 味 が する の かしら ?
( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?
( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?
( スピーカー の 音楽 )
( スピーカー の 音楽 )
( スピーカー の 音楽 )
( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―
( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―
もう すぐ 世界 は 終わって しまう の です よ
へえ それ は 大変 ね
( 患者 ) ええ まったく 大変 な 話 です
前 に お 話し し た 恐るべき 悪 な ん です が ―
そい つ が とうとう 活動 を 開始 し た ん です よ
なるほど 困った わ ね
やめ させる こと は でき ない の かしら ?
( 患者 ) でき ませ ん と も
じゃあ どう する の ?
( 患者 ) どう も でき ませ ん
我々 は 諦め て 全滅 する しか ない ん です
恐怖 に おののき ながら
( 真希子 ) 怖い の ?
( 患者 ) ものすごく 怖い はず です
( 真希子 ) 大変 ね ( 患者 ) まったく 大変 な ん です よ
( 真希子 ) 次 の 方 どうぞ
( 真希子 ) 二 重人 格 … です か ?
( 藤 花 ( とうか ) の 母 ) はい この 子 の 心 に は 奇妙 な 男 の 人格 が ある ん です
しかし 宮下 ( みや した ) さん 多重 人格 と いう の は ―
そう 簡単 に 決めつけ られる もの で は …
( 藤 花 の 母 ) 本当 な ん です !
その 奇妙 な 男 の 人格 に 私 は 危うく 殺さ れ かけ た ん です
( 藤 花 ) お 母 さん
あなた は 黙って なさい
何 が あった の か よく 分かり ませ ん が ―
一 度 娘 さん と 2 人 で お 話し し て も よろしい です か ?
( 藤 花 ) ずっと あんな 調子 な ん です
( 真希子 ) それ は あなた が 二 重人 格 だ から ?
( 藤 花 ) そう らしい ん です
私 に は よく 分かり ませ ん けど
( 真希子 ) 自覚 は ない の ね ?
はい
ところで お 母 さん お 父さん と は うまく いって る の かしら ?
い … いえ それ は …
それ だけ が 理由 じゃ ない と は 思う けれど ―
そう いう こと が 原因 って 多い の よ
まっ 何 と も 言 え ない わ よ ね
それ じゃ 少し 試し て み ま しょ う か
( 藤 花 ) 何 を です か ?
( 真希子 ) あなた の もう 1 人 の 人格 と やら を ―
ちょっと その つもり で 演じ て み なさい
えっ ?
( 真希子 ) “ 奇妙 な 男 ” と お 母 さん は 言って た わ ね
そう いう イメージ の 人間 の つもり に なって みる の よ
( 藤 花 ) そ … そんな こと 言わ れ て も …
一種 の 催眠 療法 みたい な も の よ
本当 に あなた が 二 重人 格 なら ―
演じ て いる うち に 出 て くる かも しれ ない し
( 藤 花 ) そ … そう いう もの でしょ う か
( 真希子 ) ほら ほら そこ で 男 の つもり で しゃべる の よ
あっ はい
あっ わ … 分かった ぜ
( 真希子 ) そう そう その 調子 気楽 に ね
( 藤 花 ) お … おう
( 真希子 ) さて あなた は どんな 男 な の かしら ?
( 藤 花 ) えっ と …
( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
( 真希子 ) 奇妙 と いう からに は 相当 変わり者 な ん でしょ う ね
( ブギー ポップ ) 男 でも 女 でも どっち でも 好き に 考える と いい さ
へえ 性別 不明 って わけ ? 変わって る わ ね
それ で あなた は なぜ 藤 花 ちゃん の 中 に いる の ?
( ブギー ポップ ) それ が 分から ない ん だ まだ
( 真希子 ) 分から ない ?
( ブギー ポップ ) 迷惑 を かけ て いる 宮 下 家 に は 悪い が ―
その へん 僕 に は どう しよう も なく て ね
しかし 使命 の ほう は 分かって いる
へえ 何 か する こと が ある の ?
( ブギー ポップ ) 世界 の 危機 を 回避 し なく て は なら ない ん だ
世界 の 危機 ?
( ブギー ポップ ) 世界 の 敵 が この 辺 に 現れ て いる
このまま で は 世界 は 滅びる
( 真希子 ) スケール が 大きい わ ね
( ブギー ポップ ) フッ それ は 違う ね
世界 の 危機 なんて もの は その 辺 に ゴロゴロ し て いる もの さ
へえ それ なら あんまり 怖く ない わ ね
( ブギー ポップ ) それ は 怖く ない だ ろ あなた に は
( 真希子 ) どう いう 意味 ? それ
( ブギー ポップ ) あなた こそ が 世界 の 敵 だ から だ
あっ …
( 真希子 ) 弱点 が 消え た ?
敵 … ね
そう 敵 だ
でも それ は あなた だけ で は なく 全て の 人 間 は 皆 ―
世界 の 敵 たり 得る 可能 性 を 秘め て いる ん だ
人間 と いう の は 起爆 剤 の よう な もの で ―
ちょっと し た きっかけ で すぐ に 破裂 する
そして 後先 考え ない で 世界 を きしま せ て いく
僕 は いう なれ ば そう いう 者 の 天敵 み たい な もの か
( 真希子 ) 全て の 人 間 と 言う けど ほとんど の 人 は 普通 だ と 思う わ
( ブギー ポップ ) 普通 だ から そう なる の さ
どう いう こと ?
もしも 何 か 特別 な こと に 出合った と し て も ―
自分 を 持って いる 人 で あれ ば それ を 冷静 に 受け止め られる
だが 普通 すぎる と ―
その 波 に のみ 込ま れ あと は 流さ れ て いく
そう いう 暴走 が 一 番 危険 な の さ
( 真希子 ) それ って 正常 性 バイアス の たぐい かしら ?
( ブギー ポップ ) さ あね
ただ そう いう ―
“ 普通 な だけ で いい ” と 思って いる 者 に は 抵抗 力 が ない
そして 彼ら が 思い込 ん で いる ほど 実は 世界 は 安定 も し て い ない
いつ でも 危機 が …
そう その 壁 を 突破 する こと を ―
待望 し て いる 者 に とって の チャンス が ―
そこら 中 に 転がって いる
いい 曲 だ ね とても きれい だ
そう ね 余計 な もの が なく て
それ に 恐怖 が 全然 ない ところ も
( ブギー ポップ ) どう いう 意味 だい ?
世 の 中 に は 恐怖 が 多 すぎる わ
うんざり する くらい
本当 に あらゆる 恐怖 が なくなれ ば どんな に いい か
( ブギー ポップ ) なるほど それ が 君 の “ 方向 性 ” か
( 真希子 ) それ でも “ 世界 の 危機 ” に なる の かしら ?
( ブギー ポップ ) 全て の もの に は 多面 性 が ある
当然 それ に も 別 の 解釈 が あって しかるべき だ
例えば “ 全て 死に 絶え れ ば そこ に は もう 恐怖 は ない ”
… と かね
なるほど ね
じゃ その 世界 の 敵 を 前 に し て あなた は どう する の ?
( ブギー ポップ ) 殺す
怖い こと を 言う の ね
( ブギー ポップ ) しかたがない よ そう いう もの らしい から ね
( 真希子 ) 容赦 は ない って わけ ね
そう だ
恐らく 僕 の 敵 に なる よう な 者 も それ を 望 ん じゃ い ない
真剣 勝負 の 決闘 って ところ かしら
( ブギー ポップ ) 違う かい ?
( 真希子 ) あるいは 今 ここ で この 娘 を 殺し て しまえ ば …
欲望 の まま 病院 中 の 人間 も 皆 殺し て しまえ ば …
( 藤 花 の 母 ) ど … どう で し た でしょ う か ?
今 の 段階 で は 何 と も
もう 少し 冷静 に 見極め て 判断 する 必要 が あり ます
( 藤 花 の 母 ) あっ … そう です か
( 真希子 ) そう 今 は まだ その とき じゃ ない
( 真希子 ) 藤 花 ちゃん ( 藤 花 ) ん ?
あなた も あまり 考え 詰め ない よう に ね
はい
( 真希子 ) それ じゃ
( 藤 花 ) はい ありがとう ござい まし た
( 足音 )
( マウス の 操作 音 )
( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
死ぬ とき は こう いう 曲 に 送ら れ たい もの ね
レクイエム の よう な 辛 気 くさい もの で は なく フフッ
♪ ~
~ ♪