87. ねこ と お しるこ - 小川 未明
||||おがわ|みめい
|||rice porridge|Ogawa|the wee hours of the morning
87. neko to oshiruko - OGAWA Mimei
87. gato y oshiruko - Mimei Ogawa
87. кошка и осируко - Мимэй Огава
87. 貓和大水子-小川美美
ねこ と お しるこ - 小川 未明
||||おがわ|みめい
「 お 姉ちゃん 、 お 姉ちゃん 、たいへん 。」
|ねえちゃん||ねえちゃん|
|||older sister|
と 、 まくら を ならべて いる 正 ちゃん が 、 夜中 に お 姉さん を 起こしました 。
|||||せい|||よなか|||ねえさん||おこし ました
|pillow||arranged||proper|||middle of the night|||||woke
よく 眠 入って いた お 姉さん は 、 何事 か と 思って 、 おどろいて 目 を さまして 、・・
|ねむ|はいって|||ねえさん||なにごと|||おもって||め||
|||||||something||||surprised|||woke
「 どうした の 、 正 ちゃん 。」
||せい|
||Masashi|
と 、 いまにも 立ち上がろう と なさ いました 。
||たちあがろう||な さ|い ました
|any moment|about to stand up|||
・・
「 あれ 、たいへんじゃ ない か 。」
|serious||
と 、 正 ちゃん は 、 大きな 目 を あけて 、 耳 を すまして いました 。
|せい|||おおきな|め|||みみ|||い ました
|||||||opened|||listening|
・・
「 なに さ 、 なに がたいへんな の 。」
|||が たいへんな|
|||difficult|
・・
「 アオン 、 アオン と いって いる だろう 。
aon|blue||||
"Aon, aon," you're saying.
あれ は 、 黒い どら ねこ だ よ 。
||くろい||||
|||dragon|||
That's a black cat.
そして 、 ニャア 、 ニャア と いって いる の は 、 三 毛 な んだ よ 。」
||||||||みっ|け|||
|meow||||||||calico|||
・・
正 ちゃん は 、 ねこ の けんか で 目 を さました のでした 。
せい|||||||め|||
|||||fight||||opened|
Tadashi was awakened by a catfight.
小さい 三毛 が 、 大きな 黒 ねこ に いじめられて いる ので 、たいへんだ と 思った のです 。
ちいさい|みっけ||おおきな|くろ|||いじめ られて|||||おもった|
|calico|||black|||being bullied|||tough|||
・・
「 ねこ の けんか でしょう 。
そんな こと で 、 人 を 起こす もの が あります か 、 びっくり する じゃ ありません か 。」
|||じん||おこす|||あり ます|||||あり ませ ん|
と 、 お 姉さん は 、 正 ちゃん を しかりました 。
||ねえさん||せい|||しかり ました
|||||||scolded
正 ちゃん は 、 お 床 の 中 で 、 しばらく 黒 ねこ と 三毛ねこ の けんか を きいて いました が 、 我慢 が しき れ なく なって 、・・
せい||||とこ||なか|||くろ|||みけねこ|||||い ました||がまん|||||
||||||||||||calico cat|||||||patience||tolerance|||
「 しっ!
shh
」 と 、 どなりました 。
|どなり ました
|shouted
・・
その うち に 、 ねこ の なき声 が し なく なりました 。
|||||なきごえ||||なり ました
|||||meowing||||
In time, the sound of a cat's cry stopped.
・・
「 わるい どら ねこ だ な 。
bad||||
こんど 見つけたら 、 石 を 投げて やる から 。」
|みつけたら|いし||なげて||
|find|||throw||
・・
そう いって 、 正 ちゃん は 、 眠りました が 、 お 姉さん は 、 なかなか 眠れません でした 。
||せい|||ねむり ました|||ねえさん|||ねむれ ませ ん|
|||||slept|||older sister|||could not sleep|
明くる 日 の 朝 、 みんな が 、 テーブル の 前 に すわった とき 、・・
あくる|ひ||あさ|||てーぶる||ぜん|||
next||||||||||sat|
「 あんな こと で 、 起こす もの じゃ なくて よ 。」
|||おこす||||
と 、 正 ちゃん は 、 お 姉さん に しから れました 。
|せい||||ねえさん||し から|れ ました
|||||||only|
ところが 、 その 日 の 午後 で ありました 。
||ひ||ごご||あり ました
however||||||
お 姉さん が 、 学校 から 帰って くる と 、 往来 で 遊んで いた 正 ちゃん が 、 遠く から 、 見つけて かけて きて 、・・
|ねえさん||がっこう||かえって|||おうらい||あそんで||せい|||とおく||みつけて||
||||||||street||playing|||||in the distance||||
「 お 姉さん !
|ねえさん
」 と 、 呼びました 。
|よび ました
|called
これ を 見た 、 お 姉さん は 、 思わず にっこり なさ いました 。
||みた||ねえさん||おもわず||な さ|い ました
||||||unintentionally|smiled||
正 ちゃん は 、 やっと 、 お 姉さん に 近づく と 、・・
せい|||||ねえさん||ちかづく|
|||finally||||approach|
「 お 姉ちゃん 、 お しるこ が ある よ 。
|ねえちゃん|||||
だけど 、 たった 、 一 杯 !
||ひと|さかずき
|||cup
」 と 、 大きな 声 で 、 いいました 。
|おおきな|こえ||いい ました
歩いて いる 人 が 、 これ を きいて 、 笑って ゆきました 。
あるいて||じん|||||わらって|ゆき ました
||||||listened||
People walking by laughed when they heard this.
お 姉 ねえさん も 、 きまり が 悪く なりました 。
|あね|||||わるく|なり ました
||older sister||mood|||
My sister is also having a hard time getting settled.
お家 へ 帰る と 、 お 姉さん は 、・・
おいえ||かえる|||ねえさん|
「 なぜ 、 あんな みっともない こと を いう の 、 人 が 笑って ゆく じゃ ありません か 。」
|||||||じん||わらって|||あり ませ ん|
||embarrassing|||||||||||
と いって 、 正 ちゃん を しかりました 。
||せい|||しかり ました
And then he punished Tadashi with a "I'm sorry, I'm sorry.
・・
「 ほんとうだ から 、 いい だろう 。
true|||
僕 、 お しるこ たべたい な 。」
ぼく|||たべ たい|
|||want to eat|
と 、 正 ちゃん は 、 いいました 。
|せい|||いい ました
・・
「 いいえ 、 もう 、 あんた は いけません 。」
||||いけ ませ ん
と 、 お母さん が おっしゃいました 。
|お かあさん||おっしゃい ました
|||said
The mother said, "I'm not sure.
・・
正 ちゃん は 、 外 へ 遊び に ゆきました 。
せい|||がい||あそび||ゆき ました
それ から 、 だいぶ 時間 が たちました 。
|||じかん||たち ました
|||||passed
It has been a long time since then.
その うち に 、 日 が 陰って 、 風 が 寒く なりました 。
|||ひ||かげって|かぜ||さむく|なり ました
|||||was obscured||||
・・
「 さっき 、 正 ちゃん は 、 セーター を ぬいだ の よ 。
|せい|||せーたー||||
||||||took||
寒く なった から 、 呼んで きて 、 着 せて お やり 、 かぜ を ひく と いけない 。」
さむく|||よんで||ちゃく||||||||
|||||||||cold||||
It's getting cold, so I'm going to call him in and dress him, so he won't get cold.
・・
こう 、 お母さん が 、 おっしゃった ので 、 お 姉さん は 、 正 ちゃん を さがし に ゆきました 。
|お かあさん|||||ねえさん||せい|||||ゆき ました
|||||||||||looked for||went
しかし 、 どこ に も 、 その 姿 が 、 見つかりません でした 。
|||||すがた||みつかり ませ ん|
|||||figure|||
・・
「 いま せ ん の よ 。」
と 、 お 姉さん は 、 帰って きました 。
||ねえさん||かえって|き ました
・・
「 赤土 の 原っぱ に も 。」
あかつち||はらっぱ||
red soil||field||
・・
「 ええ 、 原っぱ に も 、 お 宮 の 境内 に も 。」
|はらっぱ||||みや||けいだい||
|||||shrine||grounds||
・・
正 ちゃん は 、 よく 、 その 原っぱ や 、 お 宮 の 境内 で 、 お 友だち と いろいろの こと を して 遊ぶ のです 。
せい|||||はらっぱ|||みや||けいだい|||ともだち||||||あそぶ|
・・
「 どこ へ いった でしょう 。
こんなに おそく まで 遊んで いる こと は 、 ない のに 。」
|||あそんで|||||
と 、 お母さん は おっしゃいました 。
|お かあさん||おっしゃい ました
・・
「 私 、 心配だ から 、 もう 一 度 見て くる わ 。」
わたくし|しんぱいだ|||ひと|たび|みて||
と 、 お 姉さん は 、 目 に 涙 を ためて 、 お家 を 出ました 。
||ねえさん||め||なみだ|||おいえ||で ました
||||||tears|||||
昨日 から 、 いろんな こと で 、 正 ちゃん を しかった の を 思い出して 、 悪い こと を した と 後悔 しました 。
きのう|||||せい||||||おもいだして|わるい|||||こうかい|し ました
||||||||bullied|||||thing||||regret|
なぜなら 、 それ は 、 正 ちゃん が 、 無邪気であった から です 。
|||せい|||むじゃきであった||
||||||innocent||
・・
「 ねこ の けんか も 、 お しるこ の こと も 。」
|||||sweet red bean soup|||
と 、 お 姉さん は 、 歩き ながら 、 考えました 。
||ねえさん||あるき||かんがえ ました
その とき 、 あちら から 、 子供 たち の 声 が して 、 わ あわ あいって 、 き かかる 中 に 、 正 ちゃん も いた のです 。
||||こども|||こえ|||||あ いって|||なか||せい||||
||||||||||||crying|||||||||
お 姉さん は 、 やっと 安心 して 、 その そば に まいりました 。
|ねえさん|||あんしん|||||まいり ました
Finally, the sister felt relieved and moved to be near him.
・・
「 正 ちゃん 、 どこ へ いって いた の ?
せい||||||
」 と 、 お 姉さん は 、 ききました 。
||ねえさん||きき ました
||||listened to
・・
「 本屋 の 二 階 で 、 学校 ごっこ を やって いた の さ 、 僕 は 、 算 術 が 七 点 で 、 読み 方 が 八 点 で 、 三 番 だ 。
ほんや||ふた|かい||がっこう|||||||ぼく||さん|じゅつ||なな|てん||よみ|かた||やっ|てん||みっ|ばん|
||||||playing pretend||||||||arithmetic||||||||||||||
えらい だろう 。」
great|
I'm proud of you.
と 、 正 ちゃん は 、 いいました 。
|せい|||いい ました
・・
「 だめ よ 。
もっと 、 いい お 点 を とら なけりゃ 。」
|||てん|||
|||grade||score|
I've got to score better than that."
と 、 お 姉さん は 、 しかって から 、 はっと して 、 いつも 弟 に 小言 を いう 悪い くせ に 気 が ついて 顔 を 赤く しました 。
||ねえさん|||||||おとうと||こごと|||わるい|||き|||かお||あかく|し ました
||||scolded||suddenly|||||sermon||||||||||||