天狗 | テング の 隠れみ の
てんぐ|||かくれ み|
Tengu - das Versteck der Tengu.
Tengu | Tengu's Hidden
Tengu | Tengu's Hidden
Tengu - o esconderijo dos Tengu.
Тенгу - место, где скрываются тенгу.
Tengu - Tenguernas gömställe.
天狗 | 天狗的隐藏
天狗 | 長鼻隱藏的秘密
むかし むかし 、彦一 (ひ こい ち )と 言う 、とても かしこい 子ども が いました。
||ひこいち|||||いう|||こども||
Once upon a time, there was a very smart child named Hikoichi.
Olipa kerran hyvin älykäs lapsi nimeltä Hikoichi.
小さい 頃 から 頭 が 良くて 、ずいぶん と とんち が きく のです が 、大 が 付く ほど の 酒好き です。
ちいさい|ころ||あたま||よくて||||||||だい||つく|||さけずき|
He's been smart since he was little, and he's very clever, but he's a big drinker.
Hän on ollut fiksu pienestä pitäen, ja hän on erittäin fiksu, mutta hän on iso juomari.
何しろ 彦一 の 夢 は 、毎日 たらふく 酒 を 飲む こと です。
なにしろ|ひこいち||ゆめ||まいにち||さけ||のむ||
After all, Hikokazu's dream is to drink plenty of sake every day.
Loppujen lopuksi Hikoichin unelma on juoda Tarafuku sakea joka päivä.
「酒 が 飲み て え な。
さけ||のみ|||
I want to drink sake.
何 か 、うまい 知恵 は ない だろう か?
なん|||ちえ||||
Isn't there some good wisdom?
」
考えて いる うち に 、ふと 、それ を かぶる と 姿 が 消える と いう 、テング の 隠れみの の 事 を 思い出しました。
かんがえて|||||||||すがた||きえる|||||かくれみの||こと||おもいだしました
While I was thinking about it, I suddenly remembered that the proboscis hides itself when it is worn.
テング は 村 は ずれ の 丘 に 、時々 やって 来る と いいます。
||むら||||おか||ときどき||くる||
It is said that tengu sometimes come to the hills on the outskirts of the village.
「よし 、テング の 隠れみの を 手 に 入れて 、酒 を たらふく 飲んで やろう」
|||かくれみの||て||いれて|さけ|||のんで|
"All right, let's get some of Teng's hidden treasures and drink a lot of booze."
彦一 は さっそく 、ごはん を 炊く とき に 使う 火 吹き 竹 (ひふ き だけ )を 持って 、丘 に 来ました。
ひこいち|||||たく|||つかう|ひ|ふき|たけ|||||もって|おか||きました
Hikokazu immediately came to the hill with a fire-breathing bamboo used for cooking rice.
「や あ 、こいつ は ええ なが めだ。
|||||な が|
大阪 や 京都 が 、手 に 取る よう に 見える。
おおさか||みやこ||て||とる|||みえる
Osaka and Kyoto seem to be right in front of your eyes.
見える ぞ」
みえる|
そう 言い ながら 、火吹き竹 を 望遠 鏡 (ぼうえん きょう )の よう に のぞいて いる と 、松 の 木 の そばから 声 が しました。
|いい||ひ ふき たけ||ぼうえん|きよう|||||||||まつ||き|||こえ||
As I was saying this and peering through the fire-breathing bamboo like a telescopic mirror, I heard a voice from beside a pine tree.
「彦一 、彦一。
ひこいち|ひこいち
のぞいて いる の は 、かまど の 下 の 火 を 吹き おこす 、ただ の 火 吹き 竹 じゃ ろう が」
||||||した||ひ||ふき||||ひ|ふき|たけ|||
What you see is just a fire-breathing bamboo that blows the fire under the furnace."
声 は します が 、目 に は 見えません。
こえ||||め|||みえません
It is audible but not visible.
テング が 、近く に いる のです。
||ちかく|||
「いい や 、これ は 火 吹き 竹 に 似た 、干 里 鏡 (せ ん り きょう )じゃ。
||||ひ|ふき|たけ||にた|ひ|さと|きよう|||||
No, this is a dried-up mirror similar to a fire-breathing bamboo.
遠く の 物 が 近く に 見える 、宝 じゃ。
とおく||ぶつ||ちかく||みえる|たから|
It's a treasure that makes distant things look closer.
・・・おお 、京 の 都 の 美しい 姫 が やってき なさった ぞ。
|けい||と||うつくしい|ひめ||||
...Oh, the beautiful princess of Kyoto has come.
牛 に 引か せた 車 に 、乗って おる わ」
うし||ひか||くるま||のって||
I'm riding in a cart pulled by cows."
「京 の 都 の 姫 だ と?
けい||と||ひめ||
彦一 、ちょっと で 良い から 、わし に も のぞかせて くれ ん か?
ひこいち|||よい||||||||
Hikokazu, can you give me a peek?
」
テング は 、彦一 の そば に 来た ようす です。
||ひこいち||||きた||
Tengu is seen here with Hikokazu.
「だめだ め。
No, no, no, no.
この 千里 鏡 は 、家 の 宝物。
|ちさと|きよう||いえ||たからもの
This senri mirror is a family treasure.
持って 逃げられて は 、大変 じゃ」
もって|にげられて||たいへん|
It would be terrible if they ran away with it."
その とたん 、目の前 に 大きな テング が 姿 を 現しました。
||めのまえ||おおきな|||すがた||あらわしました
Just then, a large tengu appeared in front of us.
「大丈夫 、逃げたり は せ ん。
だいじょうぶ|にげたり|||
"It's okay, don't run away.
だけど そんなに 心配 なら 、その あいだ 、わし の 隠れみの を あずけて おこう」
||しんぱい||||||かくれみの|||
But if you're that worried, I'll leave my stash with you for the time being."
「うーん 、それ じゃ 、ちょっと だけ だ ぞ」
"Well, then, it's only for a little while."
彦一 は すばやく 隠れみの を 身 に つける と 、さっと 姿 を 消しました。
ひこいち|||かくれみの||み|||||すがた||けしました
Hikokazu quickly put on his hidden clothes and quickly disappeared.
テング は 火 吹き 竹 を 目 に あてて みました が 、中 は まっ暗 で 何も うつりません。
||ひ|ふき|たけ||め|||||なか||まっくら||なにも|
Teng tried holding a fire-breathing bamboo to his eyes, but it was dark inside and nothing was floating.
「彦一 め 、だました な!
ひこいち|||
」
と 、気 が ついた とき に は 、彦一 の 姿 は 影 も 形 も ありません でした。
|き||||||ひこいち||すがた||かげ||かた|||
When I came to my senses, there was no sign of Hikokazu.
隠れみの に 身 を 包んだ 彦一 は 、さっそく 居酒屋 (いざかや →お 酒 を 出す 料理 屋 )に やって 来る と 、お 客 の 横 に 腰 を かけて 徳利 (とっくり →お 酒 の 入れ物 )の まま グビグビ と お 酒 を 飲み 始めました。
かくれみの||み||つつんだ|ひこいち|||いざかや|||さけ||だす|りょうり|や|||くる|||きゃく||よこ||こし|||とくり|||さけ||いれもの||||||さけ||のみ|はじめました
Hikokazu, dressed in his hidden clothing, immediately arrived at an izakaya (a restaurant serving sake), sat down next to a customer, and began to drink sake from a tokkuri (a sake container).
それ を 見た お 客 は 、ビックリ して 目 を 白黒 さ せます。
||みた||きゃく||びっくり||め||しろくろ||せま す
The customer is startled and his eyes go black and white.
「とっ、徳利 が 、ひとりでに 浮き上がった ぞ!
|とくり|||うきあがった|
The sake bottle floated up by itself!
」
さて 、たらふく 飲んだ 彦一 は 、ふらつく 足 で 家 に 帰りました。
||のんだ|ひこいち|||あし||いえ||かえりました
Hikokazu returned home on unsteady legs after drinking to his fill.
「う ぃ ー。
||-
これ は 、便利な 物 を 手 に 入れた わ。
||べんりな|ぶつ||て||いれた|
I've got something very handy here.
・・・ひっく」
隠れみの さえ あれば 、いつでも どこ でも 好きな 酒 を 飲む 事 が できます。
かくれみの||||||すきな|さけ||のむ|こと||
With only a stash, you can have your favorite drink anytime, anywhere.
次の 朝。
つぎの|あさ
今日 も 、ただ 酒 を 飲み に 行こう と 飛び起きた 彦一 は 、大事に し まいこんだ 隠れみの が どこ に も ない 事 に 気 が つきました。
きょう|||さけ||のみ||いこう||とびおきた|ひこいち||だいじに|||かくれみの||||||こと||き||
Hikokazu woke up today to go out for a drink, only to find that his prized stash was nowhere to be found.
「お ー い 、おっか あ。
|-|||
"Hey, you!
つづら (→衣服 を 入れる カゴ )の 中 に し まい込んだ 、みの を 知ら ん か?
|いふく||いれる|||なか|||まいこんだ|||しら||
Don't you know the minion that I put away in the Tsuzura (→a basket for clothes)?
」
「ああ 、あの 汚い みの なら 、かまど で 燃やした よ」
||きたない|||||もやした|
Yeah, I burned your filthy skin in the furnace.
「な 、なんだ と!
」
のぞきこんで みる と 、みの は すっかり 燃えつきて います。
||||||もえつきて|
When I looked into it, it was completely burnt out.
「あー ぁ 、なんて 事 だ。
|||こと|
毎日 、酒 が 飲める と 思った のに・・・」
まいにち|さけ||のめる||おもった|
I thought I could drink alcohol every day..."
彦一 は ぶつ くさ いい ながら 灰 を かき集めて みる と 、灰 の ついた 手 の 指 が 見え なく なりました。
ひこいち||||||はい||かきあつめて|||はい|||て||ゆび||みえ||
Hikoichi grumbled and collected the ashes until he could no longer see the ash-covered fingers on his hands.
「は は ー ん。
||-|
どうやら 隠れみの の 効き目 は 、灰 に なって も ある らしい」
|かくれみの||ききめ||はい|||||
Apparently, the effect of concealment is still there even when it's reduced to ashes."
体 に ぬって みる と 、灰 を ぬった ところ が 透明に なります。
からだ|||||はい|||||とうめいに|
When you try to apply it to your body, the area where the ash was applied becomes transparent.
「よし 、これ で 大丈夫だ。
|||だいじょうぶだ
さっそく 酒 を 飲み に 行こう」
|さけ||のみ||いこう
町 へ 出かけた 彦一 は 、さっそく お 客 の そば に すわる と 徳利 の 酒 を 横取り しました。
まち||でかけた|ひこいち||||きゃく||||||とくり||さけ||よこどり|
Hikokazu went out to the town and sat down beside his guest and took the sake from his tokuri (sake cup).
それ を 見た お 客 は、
||みた||きゃく|
「わっ!
」
と 、悲鳴 を あげました。
|ひめい||
「み 、みっ、見ろ。
||みろ
めっ、目玉 が 、わし の 酒 を 飲んで いる!
|めだま||||さけ||のんで|
The eyeballs are drinking my liquor!
」
隠れみの の 灰 を 全身 に ぬった つもり でした が 、目玉 に だけ は ぬって い なかった のです。
かくれみの||はい||ぜんしん||||||めだま|||||||
He thought he had covered his entire body with the hidden ash, but he had not covered his eyeballs.
「化け物 め 、これ を くらえ!
ばけもの||||
」
お 客 は そば に あった 水 を 、彦一 に かけました。
|きゃく|||||すい||ひこいち||
バシャン!
すると 、どう でしょう。
What do you think?
体 に ぬった 灰 が みるみる 落ちて 、裸 の 彦一 が 姿 を 現した のです。
からだ|||はい|||おちて|はだか||ひこいち||すがた||あらわした|
The ashes that had been spread on his body began to fall off quickly, revealing a naked Hikokazu.
「あっ!
て め え は 、彦一 だ な!
||||ひこいち||
こいつ め 、ぶん なぐって やる!
I'm going to beat him to a pulp!
」
「わっ、悪かった 、許して くれ ー!
|わるかった|ゆるして||-
」
彦一 は そう いって 、素っ裸 の まま 逃げ 帰った と いう 事 です。
ひこいち||||そっはだか|||にげ|かえった|||こと|
Hikokazu then fled home naked.
おしまい