三 姉妹 探偵 団 (2) Chapter 11 (2) みっ|しまい|たんてい|だん|chapter Three Sisters Detectives (2) Chapter 11 (2)

「 空耳 だった の かしら ……」 そらみみ||| "I wonder if it was a mishearing ..."

しかし 、 かなり はっきり と 聞こえた ようだった のだ 。 ||||きこえた|| However, it seemed to be heard quite clearly.

それなのに ……。 Even so ...

ただ 、 どうも 、 変な 方向 から ── と いう より 、 どこ から 聞こえた の か 、 はっきり し ない ような 足音 だった 。 ||へんな|ほうこう|||||||きこえた|||||||あしおと| However, it was a footstep that made it unclear where it came from, rather than from a strange direction.

音 が 反響 する せい だろう か 。 おと||はんきょう||||

でも 、 それ に して は 、 当の 足音 の 主 が 見え ない と いう の は 、 おかしな もの だ 。 |||||とうの|あしおと||おも||みえ||||||||

「 舞台 の 方 かしら 」 ぶたい||かた|

と 、 呟き ながら 、 綾子 は 立ち上った 。 |つぶやき||あやこ||たちのぼった

端 の 方 に ある 木 の 階段 を 上って 、 舞台 に 上って みる 。 はし||かた|||き||かいだん||のぼって|ぶたい||のぼって|

客席 の 方 を 眺め 回して 、 綾子 は 、 へえ 、 と 思った 。 きゃくせき||かた||ながめ|まわして|あやこ||||おもった

まるで 別の 世界 の ように 見える 。 |べつの|せかい|||みえる

ちょっと 見る 位置 と 角度 を 変えた だけ で 、 まるで 別の 場所 の ように 思える のだ 。 |みる|いち||かくど||かえた||||べつの|ばしょ|||おもえる|

これ は 綾子 に とって 、 新しい 発見 だった 。 ||あやこ|||あたらしい|はっけん|

大体 、 誰 が 見たって そう 思う だろう が 、 綾子 は 、 およそ 舞台 に 立つ こと と は 無縁な のだ 。 だいたい|だれ||みた って||おもう|||あやこ|||ぶたい||たつ||||むえんな| 今 まで に 、 舞台 に 立った こと と いえば 、 学芸 会 を 除けば 、 中学 の とき 、 生徒 会長 に 立候補 した 友人 の 応援 演説 を した ぐらい だった 。 いま|||ぶたい||たった||||がくげい|かい||のぞけば|ちゅうがく|||せいと|かいちょう||りっこうほ||ゆうじん||おうえん|えんぜつ||||

もっとも 、 それ は 演説 と は 言い難い もの で ── と いう の も 、 あがって しまった 綾子 は 、 ついに 一言 も 発せ ず に 終って しまった から だ 。 |||えんぜつ|||いいがたい|||||||||あやこ|||いちげん||はっせ|||しまって|||

これ は 、 頼んだ 友人 の 方 が 無理だった 。 ||たのんだ|ゆうじん||かた||むりだった

しかし 、 これ が 却って 好感 を 呼んだ 。 |||かえって|こうかん||よんだ

あんな 、 内気で 純情な 子 の 友だち なら 、 と いう ので 、 その 友人 に 票 が 集 り 、 当選 した のだった 。 |うちきで|じゅんじょうな|こ||ともだち||||||ゆうじん||ひょう||しゅう||とうせん||

しかし 、 その 結果 と は 別に 、 やはり 綾子 と して は 、 それ 以来 、 一 度 も 舞台 に 上って いない 。 ||けっか|||べつに||あやこ|||||いらい|ひと|たび||ぶたい||のぼって| もう こりごり 、 と いう ところ だった 。

大体 、 こうして 、 ただ 舞台 に 立って 、 空っぽの 客席 を 見回して いる だけ でも 、 何となく 緊張 して 来る のである 。 だいたい|||ぶたい||たって|からっぽの|きゃくせき||みまわして||||なんとなく|きんちょう||くる|

── コトン 、 と 背後 で 音 が した 。 ||はいご||おと||

何 だろう ？ なん|

振り向いて みた が 、 何も ない 。 ふりむいて|||なにも|

少し 、 遠い 感じ の 音 だった が ……。 すこし|とおい|かんじ||おと||

じゃ 、 舞台 の 裏 かも しれ ない わ 、 と 思って 、 綾子 は 、 歩いて 行った 。 |ぶたい||うら||||||おもって|あやこ||あるいて|おこなった

裏側 は 、 薄暗くて 、 何となく 埃っぽい 。 うらがわ||うすぐらくて|なんとなく|ほこり っぽい こういう 所 が 、 綾子 は 嫌いだった 。 |しょ||あやこ||きらいだった

ともかく 、 四方八方 、 明るくて 、 開けて いない と 安心 でき ない 人 な のだ 。 |しほうはっぽう|あかるくて|あけて|||あんしん|||じん|| もちろん お 風呂 に 入る とき など 、 それでは 困る わけだ が 、 でも 、 今 の マンション の お 風呂 場 に は 窓 が ない ので 、 ちょっと 不安で は あった 。 ||ふろ||はいる||||こまる||||いま||まんしょん|||ふろ|じょう|||まど|||||ふあんで||

何だか 、 閉じこめられて しまい そうな 気 が する のである 。 なんだか|とじこめ られて||そう な|き||| ともかく ── 舞台 の 裏 に も 、 人 の 姿 らしい もの は ない 。 |ぶたい||うら|||じん||すがた||||

あの 物音 は 、 何 だった の かしら ？ |ものおと||なん|||

綾子 は 、 肩 を すくめて 戻ろう と して …… 足下 に 落ちて いる 何 か に 気付いた 。 あやこ||かた|||もどろう|||あしもと||おちて||なん|||きづいた

何かしら 。 なにかしら

── と 、 手 を のばした とき 、 |て|||

「 危 い ！ き|

と 叫ぶ 声 が した と 思う と 、 凄い 勢い で 、 綾子 の 体 は 、 はね飛ばされて いた 。 |さけぶ|こえ||||おもう||すごい|いきおい||あやこ||からだ||はねとばさ れて| いや 、 誰 か が 猛然と ぶつかって 来て 、 二 人 して 床 に もつれ ながら 転がって いた のだ 。 |だれ|||もうぜんと||きて|ふた|じん||とこ||||ころがって||

そして 、 次の 瞬間 、 ドン 、 と 床 を 打つ 、 鈍い 音 が した 。 |つぎの|しゅんかん|||とこ||うつ|にぶい|おと||

「 お 姉さん ！ |ねえさん

大丈夫 ？ だいじょうぶ と いう 声 に 、 綾子 は 面食らって 、 起き上り ながら 、 ||こえ||あやこ||めんくらって|おきあがり|

「 夕 里子 。 ゆう|さとご

── 学校 に 行った んじゃ なかった の ？ がっこう||おこなった||| 「 それ どころ じゃ ない でしょ ！

と 、 夕 里子 は 、 素早く はね 起きて いた 。 |ゆう|さとご||すばやく||おきて|

たった今 、 綾子 が 立って いた 所 に 、 重い 鉄 アレイ ── 体 を きたえる の に 使う やつ だ ── が 、 床板 を 半ば 突き破り そうに して 、 落ちて 食い込んで いた 。 たったいま|あやこ||たって||しょ||おもい|くろがね||からだ|||||つかう||||ゆかいた||なかば|つきやぶり|そう に||おちて|くいこんで|

タタッ 、 と いう 足音 が 頭上 を 駆け抜ける 。 |||あしおと||ずじょう||かけぬける

「 外 だ わ ！ がい||

夕 里子 は 、 駆け出した 。 ゆう|さとご||かけだした

綾子 は 、 妹 の 背中 に 、 あやこ||いもうと||せなか|

「 学校 の 中 を 走っちゃ いけない わ よ ！ がっこう||なか||はしっちゃ|||

と 、 声 を かけて いた 。 |こえ|||