毒の粉
どく の こな
poison powder
giftigt damm
有毒粉末
毒 の 粉
どく||こな
むかし むかし 、 とても 仲 の 悪い お 姑 さん と お 嫁 さん が い ました 。
|||なか||わるい||しゅうとめ||||よめ||||
Once upon a time, there was a mother-in-law and a daughter-in-law who were on very bad terms.
お 姑 さん と いう の は 、 お 嫁 さん が 結婚 した お 婿 さん の お 母さん の 事 です 。
|しゅうとめ|||||||よめ|||けっこん|||むこ||||かあさん||こと|
Mother-in-law is the mother of the son-in-law who the daughter-in-law got married to.
この お 姑 さん 、 最初 は お 嫁 さん と 仲 が 良かった のです が 、 お 婿 さん が 病気 で 死んで から 、 お 嫁 さん を いじめる 様 に なった のです 。
||しゅうとめ||さいしょ|||よめ|||なか||よかった||||むこ|||びょうき||しんで|||よめ||||さま|||
At first, this mother-in-law was on good terms with her daughter-in-law, but after her son-in-law died of illness, she began to bully her daughter-in-law.
お 嫁 さん が 掃除 を した 後 、 お 姑 さん は 必ず 文句 を 言い ます 。
|よめ|||そうじ|||あと||しゅうとめ|||かならず|もんく||いい|
Mother-in-law always complains after her daughter-in-law cleans.
「 なんだい 、 この 掃除 の 仕方 は !
||そうじ||しかた|
"What is this cleaning method!
ここ に 、 ほこり が 付いて いる じゃ ない か !
||||ついて||||
There's dust here!
ほら ここ も !
ここ も !
ああ 、 だらしない 嫁 だ ねえ !
||よめ||
Ah, what a sloppy bride!
」 そして お 嫁 さん が ご飯 を 作れば 、 「 なんだい 、 この 魚 は !
||よめ|||ごはん||つくれば|||ぎょ|
尻尾 が 焦げて いる じゃ ない か !
しっぽ||こげて||||
That tail is burnt!
焦げ は 、 体 に 毒 な んだ よ !
こげ||からだ||どく|||
Burnt food is poisonous to your body!
あたし を 殺す つもり かい !
||ころす||
Are you going to kill me!
それ に この 味噌汁 、 辛 すぎて 飲め や し ない よ !
|||みそしる|しん||のめ||||
Besides, this miso soup is too spicy to drink!
ぺっ 、 ぺっ !
」 と 、 文句 を 言って 吐き出す 真似 を し ます 。
|もんく||いって|はきだす|まね|||
近所 で 人 に 出会えば 、 お 嫁 さん に 聞こえる 様 に わざと 大声 で 、 「 ねえ 、 聞い ておくれ よ 。
きんじょ||じん||であえば||よめ|||きこえる|さま|||おおごえ|||ききい||
If I meet someone in my neighborhood, I will say out loud on purpose so that my wife can hear me, "Hey, listen to me.
家 の 嫁 と 来たら 、 掃除 は 出来 ない わ 、 飯 は まずい は ・・・」 と 、 お 嫁 さん の 悪 口 を 言う のでした 。
いえ||よめ||きたら|そうじ||でき|||めし||||||よめ|||あく|くち||いう|
If I came with my daughter-in-law, I wouldn't be able to clean the house.
こんな 事 が 毎日 毎日 続く ので 、 お 嫁 さん は お 姑 さん が 大嫌いでした 。
|こと||まいにち|まいにち|つづく|||よめ||||しゅうとめ|||だいきらいでした
そんな ある 日 の 事 、 ついに 我慢 が 出来 なく なった お 嫁 さん は 、 お 寺 の 和尚 さん に 相談 を し ました 。
||ひ||こと||がまん||でき||||よめ||||てら||おしょう|||そうだん|||
「 わたし 、 これ 以上 は 我慢 でき ませ ん !
||いじょう||がまん|||
もう 、 死のう と 思い ます 。
|しのう||おもい|
I think I'm going to die.
こんな 毎日 が 続く より は ・・・」 「 なるほど 。
|まいにち||つづく|||
だが 、 あんた が 死ぬ 事 は 無い 。
|||しぬ|こと||ない
話 を 聞く 限り 、 死ぬ の は むしろ 、 姑 さん の 方 だろう 」 「 それ は そう です が 、 でも 、 姑 が 死ぬ まで 待て ませ ん 」 「・・・ それ なら 」 和尚 さん は 白い 粉 の 入った 袋 を 持って くる と 、 声 を ひそめて 言い ました 。
はなし||きく|かぎり|しぬ||||しゅうとめ|||かた||||||||しゅうとめ||しぬ||まて|||||おしょう|||しろい|こな||はいった|ふくろ||もって|||こえ|||いい|
From what I've heard, the mother-in-law will rather die." "That's true, but I can't wait until my mother-in-law dies." I brought it to you and said in a low voice.
「 よい か 、 これ は 毒 の 粉 じゃ 。
||||どく||こな|
この 毒 の 粉 を 毎日 、 姑 さん の ご飯 に 混ぜる のじゃ 。
|どく||こな||まいにち|しゅうとめ|||ごはん||まぜる|
すると 姑 さん は だんだん 体 が 弱く なり 、 やがて 死んで しまう じゃ ろう 。
|しゅうとめ||||からだ||よわく|||しんで|||
これ で 全て は 解決 じゃ 。
||すべて||かいけつ|
しかし 、 毒 を 混ぜた 事 が 知れる と まずい 。
|どく||まぜた|こと||しれる||
あんた は 笑顔 で 姑 さん の 言う 事 を 聞いて 、 できる 限り 優しく して やる のじゃ 。
||えがお||しゅうとめ|||いう|こと||きいて||かぎり|やさしく|||
つらい じゃ ろう が 、 しばらく の 辛抱 だ から な 」 「 はい 。
||||||しんぼう||||
ありがとう ございます !
」 お 嫁 さん は 何度 も 何度 も お 礼 を 言って 、 和尚 さん から 毒 の 粉 を もらって 帰り ました 。
|よめ|||なんど||なんど|||れい||いって|おしょう|||どく||こな|||かえり|
その 日 の 夜 、 お 嫁 さん は お 姑 さん の 夕飯 に そっと 毒 の 粉 を 混ぜて 出し ました 。
|ひ||よ||よめ||||しゅうとめ|||ゆうはん|||どく||こな||まぜて|だし|
それ を 一口 食べた お 姑 さん は 、 いつも の 様 に 文句 を 言い ます 。
||ひとくち|たべた||しゅうとめ|||||さま||もんく||いい|
「 ああ 、 まずい !
何て まずい 飯 だろう ね !
なんて||めし||
こんな 物 を 食わ せて 、 あたし を 死な せる 気 かい !
|ぶつ||くわ||||しな||き|
」 お 嫁 さん は カチン と き ました が 、 でも 、 和尚 さん に 言わ れた 様 に 笑顔 を 作る と 、 手 を ついて 謝り ました 。
|よめ|||||||||おしょう|||いわ||さま||えがお||つくる||て|||あやまり|
「 お 母 様 、 ごめんなさい 。
|はは|さま|
明日 は 、 もっと 上手に 作る 様 に 頑張り ます ので 」
あした|||じょうずに|つくる|さま||がんばり||
次の 日 、 お 姑 さん は お 嫁 さん が 掃除 を した 場所 を 調べて 、 いつも の 様 に 怒鳴り ます 。
つぎの|ひ||しゅうとめ||||よめ|||そうじ|||ばしょ||しらべて|||さま||どなり|
「 汚い ね 、 これ でも 掃除 を した つもり かい !
きたない||||そうじ||||
まだ こんなに も 、 ほこり が 付いて いる じゃ ない か !
|||||ついて||||
ああ 、 掃除 も ろくに 出来 ない と は 、 だらしない 嫁 だ ねえ !
|そうじ|||でき|||||よめ||
」 お 嫁 さん は カチン と き ました が 、 でも にっこり 微笑む と 手 を ついて 謝り ました 。
|よめ||||||||||ほおえむ||て|||あやまり|
「 お 母 様 、 ごめんなさい 。
|はは|さま|
すぐ に 掃除 を やり 直し ます 」 お 嫁 さん は 笑顔 で 掃除 を やり 直し ながら 、 心 の 中 で 思い ました 。
||そうじ|||なおし|||よめ|||えがお||そうじ|||なおし||こころ||なか||おもい|
( もう 少し 、 もう 少し の 我慢 だ わ 。
|すこし||すこし||がまん||
もう 少し すれば 毒 が 効いて 、 病気 に なって 死んで しまう のだ から )
|すこし||どく||きいて|びょうき|||しんで|||
ところが 不思議な 事 に 、 お 姑 さん は 病気 に なる どころ か 、 ますます 元気に なって いった のです 。
|ふしぎな|こと|||しゅうとめ|||びょうき||||||げんきに|||
( おかしい わ ね ?
毒 の 量 が 足り ない の かしら ?
どく||りょう||たり|||
) お 嫁 さん は 毒 の 粉 を 多く 入れる と 、 それ を 残さ ず 食べて もらえる 様 に 、 お 姑 さん に 今 まで 以上 の 笑顔 で 接する 様 に なり ました 。
|よめ|||どく||こな||おおく|いれる||||のこさ||たべて||さま|||しゅうとめ|||いま||いじょう||えがお||せっする|さま|||
) When the daughter-in-law put a lot of poison powder in, she began to treat her mother-in-law with a smile more than ever, so that she would eat it all.
すると 不思議な 事 に 、 お 姑 さん の お 嫁 さん に 対する 態度 が 少しずつ 変わって きて 、 近所 の 人 に 出会う と 、 こう 言う ように なった のです 。
|ふしぎな|こと|||しゅうとめ||||よめ|||たいする|たいど||すこしずつ|かわって||きんじょ||じん||であう|||いう|||
Strangely enough, the mother-in-law's attitude toward her daughter-in-law gradually changed, and when she met a neighbor, she began to say,
「 ねえ 、 聞い ておくれ よ 。
|ききい||
家 の 嫁 は 変わった よ 。
いえ||よめ||かわった|
いつも 笑顔 で 、 とても 働き者 な んじゃ 。
|えがお|||はたらきもの||
家 の 嫁 は 、 本当に いい 嫁 じゃ 」 そして 、 お 嫁 さん が 作った ご飯 を 食べる と 、 うれし そうに 目 を 細めて 言い ます 。
いえ||よめ||ほんとうに||よめ||||よめ|||つくった|ごはん||たべる|||そう に|め||ほそめて|いい|
The bride of the house is really a good wife." Then, when I ate the rice that the bride made, I said with happy eyes.
「 ああ うまい 、 うまい ねえ 。
あんた の 作る ご飯 は 、 本当に うまい ねえ 」 そればかりか 、 お 嫁 さん が 掃除 を して いる と 、 文句 を 言う どころ か うれし そうに こう 言う のです 。
||つくる|ごはん||ほんとうに|||||よめ|||そうじ|||||もんく||いう||||そう に||いう|
「 どれ 、 あたし も 手伝って やる よ 。
|||てつだって||
二 人 でした 方 が 早く 終わる から ね 。
ふた|じん||かた||はやく|おわる||
それ で 掃除 が 終わったら 、 一緒に お 茶 に しよう ね 」 お 嫁 さん は 、 どうして お 姑 さん が 優しく なった の か 全く わかり ませ ん 。
||そうじ||おわったら|いっしょに||ちゃ|||||よめ|||||しゅうとめ|||やさしく||||まったく|||
でも 褒め られる と うれしく なって 、 気 が つく と 心 の 底 から 笑顔 で 笑って いる 事 が 多く なり ました 。
|ほめ|||||き||||こころ||そこ||えがお||わらって||こと||おおく||
そんな ある 日 。
||ひ
今 まで 元気だった お 姑 さん の 具合 が 急に 悪く なり 、 寝 込んで しまった のです 。
いま||げんきだった||しゅうとめ|||ぐあい||きゅうに|わるく||ね|こんで||
( 毒 の ご飯 が 、 ようやく 効いて きた んだ わ ) お 嫁 さん は 、 お 姑 さん の 看病 を し ながら 、 うれしい はずな のに 涙 が こぼれて くる の が 不思議で なり ませ ん 。
どく||ごはん|||きいて|||||よめ||||しゅうとめ|||かんびょう|||||||なみだ||||||ふしぎで|||
( どうして ?
あんなに 大嫌いだった のに 。
|だいきらいだった|
早く 死んで くれれば と 、 いつも 思って いた のに ・・・) その 涙 を 見て 、 お 姑 さん が 言い ました 。
はやく|しんで||||おもって||||なみだ||みて||しゅうとめ|||いい|
「 ああ 、 泣く こと は ない よ 。
|なく||||
心配 せ んで ええ よ 。
しんぱい||||
大丈夫 、 すぐ に 良く なる から 。
だいじょうぶ|||よく||
良く なったら 、 また 一緒に 働こう ね 。
よく|||いっしょに|はたらこう|
あたし は あんた と 働く の が 、 大好きじゃ 」 「・・・・・・」 その 言葉 を 聞いた お 嫁 さん は 、 たまら なく なって 裸足 の まま 家 を 飛び出し ました 。
||||はたらく|||だいすきじゃ||ことば||きいた||よめ||||||はだし|||いえ||とびだし|
そして 和尚 さん の 所 へ 行って 、 泣き ながら 和尚 さん に 言い ました 。
|おしょう|||しょ||おこなって|なき||おしょう|||いい|
「 ごめんなさい !
和尚 さま 、 私 が 間違って おり ました 。
おしょう||わたくし||まちがって||
お 母 様 は 、 いい 人 です 。
|はは|さま|||じん|
本当に 、 いい 人 です 。
ほんとうに||じん|
和尚 さま 、 どう か 、 お 母 様 を 助けて ください 。
おしょう|||||はは|さま||たすけて|
毒 の 粉 が 効いて 、 もう 死に そうな のです 。
どく||こな||きいて||しに|そう な|
お 願い です 。
|ねがい|
お 願い です ・・・」 すると 和尚 さん は 、 優しく 笑って 言い ました 。
|ねがい|||おしょう|||やさしく|わらって|いい|
「 あはは は は 。
あ は は||
心配 せ ん でも ええ 、 大丈夫 。
しんぱい|||||だいじょうぶ
実は な 、 あの 粉 は 毒 で は なく 、 ただ の イモ の 粉 じゃ 。
じつは|||こな||どく||||||いも||こな|
いくら 食べて も 、 元気に なる 事 は あって も 病気 に なる 事 は ない 」 「 でも 、 お 母 様 は ・・・」 「 なあ に 、 姑 さん が 寝 込んだ の は 、 急に 働き すぎた せい じゃ ろう 。
|たべて||げんきに||こと||||びょうき|||こと|||||はは|さま||||しゅうとめ|||ね|こんだ|||きゅうに|はたらき||||
No matter how much you eat, you may feel better, but you won't get sick." Let's go.
しばらく 休めば 、 すぐ に 良く なる 」 「 本当です か !
|やすめば|||よく||ほんとうです|
」 「 うむ 。
本当じゃ 。
ほんとうじゃ
それにしても 、 姑 さん も お前 さん も 、 イモ の 粉 で 意地悪 病 が 治って 良かった のう 。
|しゅうとめ|||おまえ|||いも||こな||いじわる|びょう||なおって|よかった|
Anyway, I'm glad that you and your mother-in-law were cured of their nasty illnesses with potato powder.
これ から も 笑顔 で 優しく して いれば 、 二 人 と も 二度と 意地悪 病 に は かから ん じゃ ろう 」 お 嫁 さん は 涙 を ふいて 微笑む と 、 和尚 さん に 深く 頭 を さげ ました 。
|||えがお||やさしく|||ふた|じん|||にどと|いじわる|びょう||||||||よめ|||なみだ|||ほおえむ||おしょう|||ふかく|あたま|||
「 和尚 さま 。
おしょう|
ありがとう ございます !
その後 、 和尚 さん の 言葉 通り 、 お 姑 さん の 体 は すぐ に 良く なり 、 お 姑 さん と お 嫁 さん は いつまでも 仲良く 暮らした と いう こと です 。
そのご|おしょう|||ことば|とおり||しゅうとめ|||からだ||||よく|||しゅうとめ||||よめ||||なかよく|くらした||||
おしまい