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Fairy Tales, 二羽のカモ

二 羽 の カモ

二 羽 の カモ

むかし むかし 、 京都 に 一 人 の 男 が 住んで い ました 。 男 の 家 は 貧乏でした が 、 お 嫁 さん と 二 人 で 仲良く 暮らして い ました 。 ある 日 の 事 、 お 嫁 さん に 赤ちゃん が 生まれ ました 。 ところが お 嫁 さん は お 産 の ため に 体 が 弱って いた ので 、 あまり お 乳 が 出 ませ ん 。 そこ で お 嫁 さん は お 肉 を 食べて 力 を 付けよう と 思い 、 夫 に 頼み ました 。 「 わたし 、 お 肉 を 食べ たい のです けれど ・・・」 それ を 聞いて 男 は 、 「 それ は 、 もっともだ 。 肉 を 食べて 、 はやく 元気に なって もらわ ない と な 。 お前 の ため に も 、 赤ん坊 の ため に も 」 と 、 言い ました が 、 しかし 男 は 貧乏で 、 お 肉 を 買う お 金 が あり ませ ん 。 男 は いろいろ と 考えた あげく 、 「 よし 、 そう だ 。 自分 で 鳥 を 取り に いこう 」 と 、 言い ました 。

次の 日 、 男 は 朝 早く 起きる と 、 弓矢 を 持って 家 を 出 ました 。 そして 、 ミミドロ 池 と いう 池 に やって 来 ました 。 この 池 に は あまり 人 が 来 ない ので 、 きっと 水鳥 が たくさん いる と 思った のです 。 男 は 池 まで 来る と 岸 に 生えた 草 の 中 に 身 を かくして 、 じっと 水 の 上 を 見つめて い ました 。 すると 一 羽 の カモ が 、 草むら の かげ から 泳いで 来 ました 。 続いて もう 一 羽 が やって 来て 、 二 羽 の カモ は 仲良く こちら に 近づいて き ます 。 それ は 、 メス と オス の カモ でした 。 男 は そっと 、 弓 に 矢 を つが え ました が 、 ( 夫婦 だろう か ? 仲 の 良い カモ を 殺す なんて 、 かわいそうだ ) と 、 思い 弓 と 矢 を 置き ました 。 しかし 男 は 、 また 思い 直し ました 。 お 肉 を 食べ た がって いる 、 お 嫁 さん の 事 を 思った から です 。 ( 仕方ない 。 カモ よ 、 許し ておくれ ) 男 が 矢 を 放つ と 、 矢 は 真っ直ぐに オス の カモ に 当たり ました 。 「 それ 、 当たった ぞ ! 」 男 は 大急ぎで 池 に 入って 獲物 を 拾い 上げる と 、 すぐ に 家 へ 帰り ました 。 男 は さっそく 、 お 嫁 さん に カモ の 取れた 事 を 話し ました 。 そして 、 「 あす の 朝 は 、 カモ を 料理 して 食べよう な 」 と 、 言う と 、 カモ を さお に かけて 寝 ました 。

さて 、 その 夜中 の 事 です 。 男 は 、 さお に かけた カモ が バタバタ と 羽 を 動かして いる 音 に 目 を 覚まし ました 。 「 おや ? あの カモ が 、 生きかえった の か な ? 」 男 が 不思議に 思い ながら 、 あかり を 持って さお の ところ に 行き ました 。 すると 昼 に 取って きた カモ は 死んだ まま で 、 その そば を 一 羽 の カモ が バタバタ と 羽ばたいて いる で は あり ませ ん か 。 「 あっ ! メス の カモ だ 。 ミミドロ 池 で オス と なら ん で 泳いで いた 、 あの メスガモ に 違いない 。 殺さ れた オス を した って 、 あと を つけて きた の か 」 男 は メス の カモ を 、 じっと 見つめ ました 。 カモ は あかり を 持った 人間 が そば に 立って いる の に 少しも 恐れる 様子 は なく 、 死んだ オス の まわり を 離れよう と は し ませ ん 。 男 は つい 、 ポロリ と 涙 を こぼし ました 。 する と 、 外 の 音 に 起き 出した お 嫁 さん も やって 来 ました 。 お 嫁 さん は 男 の 隣 で じっと カモ を 見つめる と 、 男 に 言い ました 。 「 カモ も 人間 も 、 相手 を 想う 気持ち は 一緒な のです ね 。 ねえ 、 明日 あの カモ の お 墓 を 作って あげ ましょう 」 「 しかし 、 カモ を 食べ ない と お前 の 体 は ・・・」 「 いいえ 。 わたし は 病気 で は あり ませ ん 。 日 が たてば 、 また 元気に なれ ます から 」 その 朝 、 男 は オスガモ を 持って 、 また 池 に やって 来 ました 。 そして ていねいに うずめて やる と 、 小さな お 墓 を 作って やり ました 。

それ から しばらく たつ と 、 お 嫁 さん は すっかり 元気に なり ました 。 そして 赤ちゃん と 三 人 で 、 しあわせに 暮らした と いう 事 です 。

おしまい


二 羽 の カモ ふた|はね||かも Two ducks

二 羽 の カモ ふた|はね||かも

むかし むかし 、 京都 に 一 人 の 男 が 住んで い ました 。 ||みやこ||ひと|じん||おとこ||すんで|| 男 の 家 は 貧乏でした が 、 お 嫁 さん と 二 人 で 仲良く 暮らして い ました 。 おとこ||いえ||びんぼうでした|||よめ|||ふた|じん||なかよく|くらして|| ある 日 の 事 、 お 嫁 さん に 赤ちゃん が 生まれ ました 。 |ひ||こと||よめ|||あかちゃん||うまれ| ところが お 嫁 さん は お 産 の ため に 体 が 弱って いた ので 、 あまり お 乳 が 出 ませ ん 。 ||よめ||||さん||||からだ||よわって|||||ちち||だ|| そこ で お 嫁 さん は お 肉 を 食べて 力 を 付けよう と 思い 、 夫 に 頼み ました 。 |||よめ||||にく||たべて|ちから||つけよう||おもい|おっと||たのみ| 「 わたし 、 お 肉 を 食べ たい のです けれど ・・・」   それ を 聞いて 男 は 、 「 それ は 、 もっともだ 。 ||にく||たべ||||||きいて|おとこ|||| 肉 を 食べて 、 はやく 元気に なって もらわ ない と な 。 にく||たべて||げんきに||||| お前 の ため に も 、 赤ん坊 の ため に も 」 と 、 言い ました が 、 しかし 男 は 貧乏で 、 お 肉 を 買う お 金 が あり ませ ん 。 おまえ|||||あかんぼう||||||いい||||おとこ||びんぼうで||にく||かう||きむ|||| 男 は いろいろ と 考えた あげく 、 「 よし 、 そう だ 。 おとこ||||かんがえた|||| 自分 で 鳥 を 取り に いこう 」 と 、 言い ました 。 じぶん||ちょう||とり||||いい|

次の 日 、 男 は 朝 早く 起きる と 、 弓矢 を 持って 家 を 出 ました 。 つぎの|ひ|おとこ||あさ|はやく|おきる||ゆみや||もって|いえ||だ| そして 、 ミミドロ 池 と いう 池 に やって 来 ました 。 ||いけ|||いけ|||らい| この 池 に は あまり 人 が 来 ない ので 、 きっと 水鳥 が たくさん いる と 思った のです 。 |いけ||||じん||らい||||みずどり|||||おもった| 男 は 池 まで 来る と 岸 に 生えた 草 の 中 に 身 を かくして 、 じっと 水 の 上 を 見つめて い ました 。 おとこ||いけ||くる||きし||はえた|くさ||なか||み||||すい||うえ||みつめて|| すると 一 羽 の カモ が 、 草むら の かげ から 泳いで 来 ました 。 |ひと|はね||かも||くさむら||||およいで|らい| 続いて もう 一 羽 が やって 来て 、 二 羽 の カモ は 仲良く こちら に 近づいて き ます 。 つづいて||ひと|はね|||きて|ふた|はね||かも||なかよく|||ちかづいて|| それ は 、 メス と オス の カモ でした 。 ||めす||おす||かも| 男 は そっと 、 弓 に 矢 を つが え ました が 、 ( 夫婦 だろう か ? おとこ|||ゆみ||や||||||ふうふ|| 仲 の 良い カモ を 殺す なんて 、 かわいそうだ ) と 、 思い 弓 と 矢 を 置き ました 。 なか||よい|かも||ころす||||おもい|ゆみ||や||おき| しかし 男 は 、 また 思い 直し ました 。 |おとこ|||おもい|なおし| お 肉 を 食べ た がって いる 、 お 嫁 さん の 事 を 思った から です 。 |にく||たべ|||||よめ|||こと||おもった|| ( 仕方ない 。 しかたない カモ よ 、 許し ておくれ )   男 が 矢 を 放つ と 、 矢 は 真っ直ぐに オス の カモ に 当たり ました 。 かも||ゆるし||おとこ||や||はなつ||や||まっすぐに|おす||かも||あたり| 「 それ 、 当たった ぞ ! |あたった| 」   男 は 大急ぎで 池 に 入って 獲物 を 拾い 上げる と 、 すぐ に 家 へ 帰り ました 。 おとこ||おおいそぎで|いけ||はいって|えもの||ひろい|あげる||||いえ||かえり| 男 は さっそく 、 お 嫁 さん に カモ の 取れた 事 を 話し ました 。 おとこ||||よめ|||かも||とれた|こと||はなし| そして 、 「 あす の 朝 は 、 カモ を 料理 して 食べよう な 」 と 、 言う と 、 カモ を さお に かけて 寝 ました 。 |||あさ||かも||りょうり||たべよう|||いう||かも|||||ね|

さて 、 その 夜中 の 事 です 。 ||よなか||こと| 男 は 、 さお に かけた カモ が バタバタ と 羽 を 動かして いる 音 に 目 を 覚まし ました 。 おとこ|||||かも||||はね||うごかして||おと||め||さまし| 「 おや ? あの カモ が 、 生きかえった の か な ? |かも||いきかえった||| 」   男 が 不思議に 思い ながら 、 あかり を 持って さお の ところ に 行き ました 。 おとこ||ふしぎに|おもい||||もって|||||いき| すると 昼 に 取って きた カモ は 死んだ まま で 、 その そば を 一 羽 の カモ が バタバタ と 羽ばたいて いる で は あり ませ ん か 。 |ひる||とって||かも||しんだ||||||ひと|はね||かも||||はばたいて||||||| 「 あっ ! メス の カモ だ 。 めす||かも| ミミドロ 池 で オス と なら ん で 泳いで いた 、 あの メスガモ に 違いない 。 |いけ||おす|||||およいで|||||ちがいない 殺さ れた オス を した って 、 あと を つけて きた の か 」   男 は メス の カモ を 、 じっと 見つめ ました 。 ころさ||おす||||||||||おとこ||めす||かも|||みつめ| カモ は あかり を 持った 人間 が そば に 立って いる の に 少しも 恐れる 様子 は なく 、 死んだ オス の まわり を 離れよう と は し ませ ん 。 かも||||もった|にんげん||||たって||||すこしも|おそれる|ようす|||しんだ|おす||||はなれよう||||| 男 は つい 、 ポロリ と 涙 を こぼし ました 。 おとこ|||||なみだ||| する と 、 外 の 音 に 起き 出した お 嫁 さん も やって 来 ました 。 ||がい||おと||おき|だした||よめ||||らい| お 嫁 さん は 男 の 隣 で じっと カモ を 見つめる と 、 男 に 言い ました 。 |よめ|||おとこ||となり|||かも||みつめる||おとこ||いい| 「 カモ も 人間 も 、 相手 を 想う 気持ち は 一緒な のです ね 。 かも||にんげん||あいて||おもう|きもち||いっしょな|| ねえ 、 明日 あの カモ の お 墓 を 作って あげ ましょう 」 「 しかし 、 カモ を 食べ ない と お前 の 体 は ・・・」 「 いいえ 。 |あした||かも|||はか||つくって||||かも||たべ|||おまえ||からだ|| わたし は 病気 で は あり ませ ん 。 ||びょうき||||| 日 が たてば 、 また 元気に なれ ます から 」   その 朝 、 男 は オスガモ を 持って 、 また 池 に やって 来 ました 。 ひ||||げんきに|||||あさ|おとこ||||もって||いけ|||らい| そして ていねいに うずめて やる と 、 小さな お 墓 を 作って やり ました 。 |||||ちいさな||はか||つくって||

それ から しばらく たつ と 、 お 嫁 さん は すっかり 元気に なり ました 。 ||||||よめ||||げんきに|| そして 赤ちゃん と 三 人 で 、 しあわせに 暮らした と いう 事 です 。 |あかちゃん||みっ|じん|||くらした|||こと|

おしまい