木 仏 長者 (きぼ と け ちょうじゃ)
き|ふつ|ちょうじゃ||||
Kibotoke Choja (Häuptling Kibotoke).
Kibotoke Choja
Kibotoke Choja (Chef Kibotoke).
むかし むかし 、 貧乏な 男 が 、 長者 と いわ れる 大 金持ち の 家 で 働いて い ました 。
||びんぼうな|おとこ||ちょうじゃ||||だい|かねもち||いえ||はたらいて||
Once upon a time, a poor man worked for a wealthy family known as a millionaire.
長者 の 家 に は 、 立派な 金 の 仏さま が あり ます 。
ちょうじゃ||いえ|||りっぱな|きむ||ふつ さま|||
There is a splendid golden Buddha in the house of the rich man.
男 は たいへん 信心 ( しんじん → 神仏 を 信仰 する 気持ち ) 深くて 、 「 なんて 立派な 仏さま だろう 。
おとこ|||しんじん||しんぶつ||しんこう||きもち|ふかくて||りっぱな|ふつ さま|
The man is very devoted (shinjin → feelings of worshiping the gods and Buddha), and he said, "What a wonderful Buddha!
自分 も あんな 仏さま を 持って おがみ たい もの だ な 」 と 、 思って い ました 。
じぶん|||ふつ さま||もって|||||||おもって||
I thought, 'I wish I could hold such a Buddha and pray.'
ある 日 の 事 、 男 は 山 へ 仕事 に 行って 、 仏さま そっくり の 木 の 切れはし を 見つける と 、 ひろって 持って 帰り ました 。
|ひ||こと|おとこ||やま||しごと||おこなって|ふつ さま|||き||きれはし||みつける|||もって|かえり|
One day, a man went to work in the mountains, found a piece of wood that looked like a Buddha, and picked it up and brought it home.
そして 、 自分 の 部屋 に おまつり した のです 。
|じぶん||へや||||
He then placed it in his room.
男 は 毎日 、 自分 の お ぜん を お供え して 、 木 の 仏さま を おがみ ました 。
おとこ||まいにち|じぶん|||||おそなえ||き||ふつ さま|||
Every day, the man made an offering of his own and worshiped the wooden Buddha.
でも 、 ほか の みんな は それ を バカに して 、 男 を いじめる のです 。
|||||||ばかに||おとこ|||
But everyone else makes fun of it and bullies the man.
男 は とても よく 働く ので 、 このまま いじめ られて よそ に いかれて は 大変 と 、 長者 は こんな 事 を 考え ました 。
おとこ||||はたらく|||||||いか れて||たいへん||ちょうじゃ|||こと||かんがえ|
A man works very hard, so the choja thought that it would be a disaster if he continued to be bullied and go somewhere else.
「 お前 さん の おがんで いる 木 の 仏さま と 、 わし の 持って いる 金 の 仏さま と を 、 一 度 、 すもう を とら せて み ようで は ない か 。
おまえ|||||き||ふつ さま||||もって||きむ||ふつ さま|||ひと|たび|||||||||
"Why don't we try to get the wooden Buddha you're resting on and the golden Buddha I'm holding for once?
木 の 仏さま が 負けた なら 、 お前 は 一生 、 わし の ところ で 働く んだ 。
き||ふつ さま||まけた||おまえ||いっしょう|||||はたらく|
If the wooden Buddha loses, you will work for me for the rest of your life.
その代わり 、 もし わし の 金 の 仏さま が 負けた なら 、 わし の 持って いる 財産 は 、 みんな お前 に やろう 」 男 は びっくり です 。
そのかわり||||きむ||ふつ さま||まけた||||もって||ざいさん|||おまえ|||おとこ|||
In exchange, if my Golden Buddha loses, I will give you all the property I have." The man was astonished.
さっそく 木 の 仏さま の 前 へ 座る と 、 手 を 合わせて い い ました 。
|き||ふつ さま||ぜん||すわる||て||あわせて|||
He immediately sat down in front of the wooden Buddha, and put his hands together in prayer.
「 大変な 事 に なり ました 。
たいへんな|こと|||
"It's been a big deal.
あなた さま と 金 の 仏さま と が 、 お すもう を おとり に なる のです 。
|||きむ||ふつ さま|||||||||
You and the Golden Buddha will be the bait.
どう し ましょう ?
What should we do?
」 すると 木 の 仏さま は 、 男 に いい ました 。
|き||ふつ さま||おとこ|||
" Then the wooden Buddha said to the man, "You are not a man, you are a Buddha.
「 心配 する な 。
しんぱい||
Don't worry.
強い 相手 だ が 、 わし は 勝負 を して みる よ 」 いよいよ 、 すもう を とる 日 です 。
つよい|あいて|||||しょうぶ|||||||||ひ|
Finally, the day of the take-off is upon us.
大きな 部屋 で 、 金 の 仏さま と 木 の 仏さま は 向かいあって 立ち ました 。
おおきな|へや||きむ||ふつ さま||き||ふつ さま||むかいあって|たち|
In a large room, a golden Buddha and a wooden Buddha stood facing each other.
長者 は 二 つ の 仏さま に 、 勝負 に 負ける と どう なる か を 説明 する と 、 「 さあ 、 始め !
ちょうじゃ||ふた|||ふつ さま||しょうぶ||まける||||||せつめい||||はじめ
When the choja explained to the two Buddhas what would happen if they lost the match, they said, "Let's begin!
は っけ よい 、 この った !
Good, this was it!
」 と 、 うちわ を あげて 、 開始 の 合図 を し ました 。
||||かいし||あいず|||
" I raised my fan to signal the start of the event.
すると 二 つ の 仏さま は 、 グラグラ と 動き 出して 近寄って 組み 合い ました 。
|ふた|||ふつ さま||ぐらぐら||うごき|だして|ちかよって|くみ|あい|
Then the two Buddhas wobbled and moved closer to each other.
押したり 押さ れたり 、 なかなか 勝負 が つき ませ ん 。
おしたり|おさ|||しょうぶ||||
It's hard to win, with the game being pushed and shoved.
長者 も 使用人 の 男 も 、 ハラハラ し ながら 応援 ( おうえん ) し ました 。
ちょうじゃ||しようにん||おとこ||はらはら|||おうえん|||
Both the rich man and the servant cheered him on.
「 金 の 仏さま 負ける な !
きむ||ふつ さま|まける|
"Golden Buddha, don't lose!
」 「 木 の 仏さま 負ける な !
き||ふつ さま|まける|
" "Don't lose, Woody Buddha!
」 最初の 方 は 金 の 仏さま が 優勢でした が 、 その うち に 金 の 仏さま の 体 中 が 、 汗 で びっしょり に なって きた のです 。
さいしょの|かた||きむ||ふつ さま||ゆうせいでした|||||きむ||ふつ さま||からだ|なか||あせ||||||
In the beginning, the Golden Buddha was dominant, but soon the Golden Buddha's body was drenched in sweat.
汗 だけ で なく 、 足 も フラフラ です 。
あせ||||あし||ふらふら|
Not only are I sweating, but my feet are also dizzy.
これ は 大変 と 、 長者 は 大きな 声 で 叫び ました 。
||たいへん||ちょうじゃ||おおきな|こえ||さけび|
"This is terrible," cried the elder in a loud voice.
「 金 の 仏さま が 、 そんな 木ぎれ の 仏さま に 負けて どう する のです !
きむ||ふつ さま|||きぎれ||ふつ さま||まけて|||
"What would a golden Buddha lose to such a wooden Buddha!
がんばって ください !
Good luck!
がんばって ください !
Good luck!
」 けれど 金 の 仏さま は 、 とうとう 倒れて 負けて しまい ました 。
|きむ||ふつ さま|||たおれて|まけて||
But the Golden Buddha fell at last and was defeated.
疲れ 果てて 、 起きあがる 力 も あり ませ ん 。
つかれ|はてて|おきあがる|ちから||||
I was exhausted and didn't have the strength to get up.
その 間 に 木 の 仏さま は 、 今 まで 金 の 仏さま が まつら れて いた 仏壇 の 上 へ あがって 座り ました 。
|あいだ||き||ふつ さま||いま||きむ||ふつ さま|||||ぶつだん||うえ|||すわり|
In the meantime, the wooden Buddha rose and sat down on the altar where the golden Buddha had been enshrined.
「 ありがたい 、 ありがたい 」 みんな は 、 その 木 の 仏さま を おがみ ました 。
|||||き||ふつ さま|||
Thank you, thank you," they said to the wooden Buddha.
負けた 長者 は 、 約束 通り に 家 を 出て いき ました 。
まけた|ちょうじゃ||やくそく|とおり||いえ||でて||
The defeated elder left home as promised.
長者 の 家 は 、 もう 使用人 の 男 が 主人 です 。
ちょうじゃ||いえ|||しようにん||おとこ||あるじ|
The servant man is already the master of the rich man's house.
金 の 仏さま を 抱いた 長者 は 、 野原 を トボトボ と 歩いて いき ました 。
きむ||ふつ さま||いだいた|ちょうじゃ||のはら||とぼとぼ||あるいて||
The chief, holding the golden Buddha, stumbled across the field.
そして 、 金 の 仏さま に いい ました 。
|きむ||ふつ さま|||
Then he said to the golden Buddha.
「 お前 さん は 、 どうして あんな 木切れ の 仏さま なんか に 負けた のだ ね 」 する と 、 金 の 仏さま は 答え ました 。
おまえ|||||きぎれ||ふつ さま|||まけた|||||きむ||ふつ さま||こたえ|
How did you lose to that piece of wood, that Buddha? The Golden Buddha replied.
「 相手 は 木 の 仏だ が 、 毎日 毎日 、 お ぜん を 供えて もらって 信心 さ れて いた 。
あいて||き||ぶつだ||まいにち|まいにち||||そなえて||しんじん|||
The other person was a wooden Buddha who received offerings of Zen every day and was devout.
それなのに 、 わたし は 一 年 に 、 ほんの 二 度 か 三 度 、 お祭り の とき に お ぜん を 供えて くれた だけ 、 それ に お前 さん は 、 信心 も して くれ ない 。
|||ひと|とし|||ふた|たび||みっ|たび|おまつり|||||||そなえて|||||おまえ|||しんじん||||
And yet, only two or three times a year, I've offered offerings at festivals, and you don't even have faith in me.
力 が 出 ない の は 、 当たり前で は ない か 」 金 の 仏さま は 、 悲し そうに 泣き ました 。
ちから||だ||||あたりまえで||||きむ||ふつ さま||かなし|そう に|なき|
Isn't it normal to be weak?" The Golden Buddha cried sadly.
「・・・・・・」 長者 は 、 返す 言葉 が あり ませ ん でした 。
ちょうじゃ||かえす|ことば|||||
"..." The Choja had no words to reply.
おしまい
The end