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福娘童話集, かぐ や 姫 ( 竹取 物語 )

かぐ や 姫 ( 竹取 物語 )

むかし むかし 、『 竹 とり の おきな 』 と 呼ば れる 、 竹 とり の お じいさん が いました 。 お じいさん の 仕事 は 、 山 で 取って 来た 竹 で カゴ や ザル を 作る 事 です 。 ある 日 の 事 、 お じいさん が 山 へ 行く と 、 一 本 の 竹 の 根本 が ぼんやり と 光り輝いてました 。 「 おや ? 何と 不思議な 竹 だろう 」 お じいさん は 、 その 光る 竹 を 切って みました 。 すると 竹 の 中 に は 、 大き さ が 三 寸 ( さんす ん → 約 九 センチ ) ほど の 、 ぽ ーっと 光り輝く 可愛くて 小さな 女の子 が 入って いた のです 。 「 光る 女の子 と は ・・・。 きっと この 子 は 、 天から の 授かり 物 に 違いない 」 子ども の いない お じいさん は 、 大喜びで その 女の子 を 家 に 連れて 帰りました 。 そして 、 お じいさん が 連れて 帰った 女の子 を 見て 、 お ばあさん も 大喜びです 。 「 まあ 、 まあ 。 なんて 可愛い 女の子 でしょう 。 お じいさん の 言う 通り 、 この 子 は 天から の 授かり 物 に 違い ありません わ 」 お じいさん と おばあ さん は 、 その 女の子 を 自分 の 子ども と して 大切に 育てる 事 に しました 。 女の子 が 家 に やって 来た 次の 日 から、 不思議な 事 に お じいさん が 竹 を 取り に 行く と 、 竹 の 中 に 黄金 が ぎっしり つまって いる 事 が 何度 も あった のです 。 おかげ で お じいさん の 家 は 、 たちまち 大 金持ち に なりました 。 また 不思議な 事 に 、 あの 小さかった 女の子 は わずか 三 ヶ月 ほど の 間 に すくすく と 育って 、 それはそれは 美しい 娘 に なった のです 。 大きく なった 娘 は 、 見る 者 を 何とも いえ ない かぐわしい 香り で 包んで 、 その 心 を とても おだやかに して くれました 。 そして どんなに 暗い ところ に いて も 夜空 の 月 が はっきり と 見える ように 、 体 から あわい 光 を 発して いました 。 そこ で その 娘 は 、『 あわく ゆらめく 様 に 光り輝く お姫さま 』 と 言う 意味 の 『 かぐ や 姫 』 と 名付けられた のです 。 その 美しく 不思議な かぐ や 姫 を 、 世 の 男 たち が ほうって は おきません 。 多く の 若者 たち が お じいさん の 家 に やって 来て は 、 かぐ や 姫 を お 嫁 さん に したい と 言いました 。 そして その 多く の 若者 たち の 中 でも 特に 熱心だった の が 、 次の 五 人 の 王子 たち です 。 彼ら は 名前 を 、 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ )。 車 持 皇子 ( くら もち の みこ )。 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし )。 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき )。 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ )。 と 、 言いました。 みんな 身分 が とても 高く 、 そして お 金持ち です 。 「 誰 も 、 婿 どの と して は 申し分 ない のだ が 」 選び かねた お じいさん は 、 かぐ や 姫 に 相談 を しました。 「 五 人 の お方 は 、 みな 、 それぞれ に 立派な お方 たち じゃ 。 お前 は 、 どの お方 が いい の か ね ? 」 する と かぐ や 姫 は 、 こう 答えました 。 「 今 から わたくし の 言う 、 世にも めずらしい 宝物 を 探して 持って 来た お方 の ところ へ 、 お 嫁 に 行きたい と 思います 。 その 宝物 と は ・・・」 話 を 聞いた お じいさん は 、 五 人 の 王子 たち に かぐ や 姫 の 言葉 を 伝えました 。 「 かぐ や は 、 こう 申して おります 。 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) どの に は 、 天 竺 ( てん じく → インド ) に ある 《 仏 の 御 石 の 鉢 ( ほとけ のみ いし の はち → お しゃか さま が 使った うつわ )》 を 。 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) どの に は 、 東 の 海 の 蓬莱 山 ( ほうらい さん ) に ある 《 玉 の 枝 ( たまの えだ → 根っこ が 銀 、 くき が 金 、 実 が 真珠 で 出来て いる 木 の 枝)》 を 。 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) どの に は 、 もろこし (→ 中国 の 事 ) に ある 《 火 ネズミ の 裘 ( ひね ずみ の かわ ごろ も → 火 ネズミ と 呼ば れる 伝説 の ネズミ の 皮 で 作った 燃え ない 布 》 を 。 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき ) どの に は 、《 竜 の 持って いる 玉 》 を 。 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ ) どの に は 、 つばめ が 生む と いう 《 子安 貝 ( こやす がい → タカラ 貝 と 呼ば れる きれいな 貝 )》 を 。 それぞれ、 お 持ち いただきたい と 」 それ を 聞いた 五 人 の 王子 たち は 、 思わず 目 を 見張りました 。 「 何という 、 難しい 注文 だ 」 「 どれ も 、 簡単に 手 に 入る 品物 で は ない ぞ 」 しかし それ ら の 宝物 を 持って行か ない と 、 かぐ や 姫 を お 嫁 に する 事 が 出来ません 。 そこ で 五 人 の 王子 たち は 、 それ ら の 宝物 を 探す ため に 帰って 行きました 。 まずは 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) が 、 天 竺 に 行って 仏 の 御 石 の 鉢 を 手 に 入れる 事 は 無理だ と 思い 、 大和 の 国 ( やま と の くに → 奈良 県 ) の 山寺 で 手 に 入れた 古い 鉢 を きれいに かざって 、 かぐ や 姫 の ところ へ 持って行きました 。 「 天 竺 へ 行って 、《 仏 の 御 石 の 鉢 》 を 手 に 入れました 」 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) が 偽物 の 鉢 を 差し出す と 、 かぐ や 姫 は 布 で その 鉢 を みがいて 、 「《 仏 の 御 石 の 鉢 》 は 、 みがけば みがく ほど 光り輝く 鉢 です 。 これ は 、《 仏 の 御 石 の 鉢 》 では ありません 」 と 、 偽物 である 事 を 見破りました 。 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) も 蓬莱 山 ( ほうらい さん ) に は 行か ず 、 たくさんの 腕 の 良い 職人 を 集めて 見事な 玉 の 枝 を 作ら せました 。 そして いかにも 、 蓬莱 山 から 帰って 来た と 見せかけて 、 「 苦労 しました が 、 蓬莱 山 から 《 玉 の 枝 》 を 持ち帰りました 」 と 、 言った のです 。 偽物 です が 見事な 出来ばえ に 、 かぐ や 姫 も 言葉 を なくして 見つめて いる と 、 そこ へ たくさんの 男 たち が 現れました 。 彼ら は 、 この 玉 の 枝 を 作った 職人 たち です 。 「 車 持 の 皇子 どの 。 《 玉 の 枝 》 を お 作り した お 金 を 、 早く 払って ください 」 「 こ 、 これ ! こんな ところ で 何 を 言う 」 玉 の 枝 が 偽物 だ と ばれた 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) は 、 はずかし そうに かぐ や 姫 の 家 から 逃げて 行きました 。 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) も 、 もろこし に は 行か ず に 、 もろこし から やって 来た 商人 から 高い お 金 で 《 火 ネズミ の 裘 ( かわ ごろ も )》 を 買いました 。 「 もろこし 中 を 探し回って 、 やっと 手 に 入れる 事 が 出来ました 」 する と かぐ や 姫 は 、 一目 見て 言いました 。 「 見事な かわ ごろ も です が 、 本物 なら 火 に 入れて も 燃え ない はずです よ 」 「 はい 。 さっそく 、 火 に 入れて みましょう 」 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) は 自信 たっぷり に 火 の 中 へ 《 火 ネズミ の 裘 》 を 入れました が 、 偽物 の 裘 は 簡単に 燃えて しまいました 。 「 もろこし の 商人 は 、 よくも わし を だました な ! 」 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) は 、 怒り ながら 帰って 行きました 。 四 番 目 の 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき ) は 、《 竜 の 持って いる 玉 》 を 手 に 入れよう と 竜 を 探して 航海 に 出ました。 ところが 、 ものすごい あらし に 出会って 、 乗って いる 船 が 沈み そうに なった のです 。 王子 は 、 嵐 に 向かって 祈りました 。 「 竜神 さま 。 どうか 、 お 助け ください 。 わたし が あなた の 玉 を 欲しがる から 、 あなた が 怒って 暴れて おら れる の なら 、 もう 二度と 玉 が 欲しい など と 申しません 。 どうか この 嵐 を 、 お しずめ ください 」 する と すぐに 嵐 が やんで 、 王子 は 何とか 都 へ 帰る 事 が 出来ました 。 でも 《 竜 の 持って いる 玉 》 を 手 に 入れる 事 が 出来 なかった ので 、 それっきり かぐ や 姫 の ところ へ は 現れません でした 。 最後 の 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ) は 、 屋敷 の のき先 の つばめ の 巣 の 中 に 光り輝く 固まり が ある の を 見つける と、 さっそく やぐら を 組ま せて 、 やぐら の 上 から つるした カゴ に 乗って つばめ の 巣 に 手 を 入れました 。 「 あった ぞ 。 つばめ の 《 子安 貝 》 が あった ぞ 。 これ で かぐ や 姫 は 、 わし の 妻 だ 」 しか し 、 あまり の うれし さ に カゴ を ゆらして しまった ので 、 カゴ を つるした ひも が ぷ つんと 切れて しまいました 。 高い ところ から 地面 に 落ちた 王子 は 、 腰 の 骨 を 折る 大けが です 。 しかも 《 子安 貝 》 と 思って いた の は 、 ただ の つばめ の ふん だった のです 。 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ ) は がっかり して 、 そのまま 病気 に なって しまいました 。 こうして 五 人 の 王子 たち は 、 誰一人 、 かぐ や 姫 を お 嫁 に する 事 は 出来ません でした 。 さて 、 この 話し が ついに 、 帝 ( みかど → 天皇 ) の 耳 に も 届きました 。 そして かぐ や 姫 の 美し さ に 心 を 奪わ れた 帝 が 、 かぐ や 姫 を 宮廷 に 迎える と 言った のです 。 帝 と 言えば 、 この 日本 で 一 番 偉い お方 です 。 お じいさん と おばあ さん は 大喜びです が 、 かぐ や 姫 は 宮廷 に 行く の を 断りました 。 帝 の 力 を 持って すれば 無理矢理 に でも かぐ や 姫 を 宮廷 に 迎える 事 は 可能でした が 、 帝 は とても 心 優しい お方 だった ので 、 無理に かぐ や 姫 を 迎えよう と は せ ず に 、 かぐ や 姫 と は 和歌 を 取り交わす 関係 と なりました 。 かぐ や 姫 が 帝 と 和歌 を 交わす 関係 に なって から 三 年 の 月日 が たった 頃 、 かぐ や 姫 は 月 を 見て は 涙 を 流す ように なりました 。 心配 した お じいさん と おばあ さん が 、 かぐ や 姫 に たずねました 。 「 何 が そんなに、 悲しい のだ ね 」 「 心配事 で も ある なら 、 わたし たち に 話して ごらん 」 しか し かぐ や 姫 は 何も 言わ ず 、 光 の 玉 の ような 涙 を はらはら と 流す ばかりでした。 そんな ある 夜 、 かぐ や 姫 は お じいさん と おばあ さん に 、 泣いて いる わけ を 話しました 。 「 お 父 さま 、 お 母 さま 。 実は わたくし は 、 人間 の 世界 の 者 では ありません 。 わたくし は 、 あそこ で 光り輝く 月 の 都 の 者 です 。 今度 の 十五夜 に 月 の 都 から 迎え が 来る ので 、 わたくし は 月 の 都 に 帰ら なければ なりません。 それ が 悲しくて 、 泣いて いる のです 」 「 なんと ! ・・・ しかし 大丈夫 。 かぐ や 姫 は わし ら の 大切な 娘 じゃ 。 必ず 守って やる から 」 そこ で お じいさん と おばあ さん は 帝 に お 願い を して 、 月 の 都 から 来る 迎え を 追い返す 事 に した のです。 十五夜 の 夜 、 帝 は かぐ や 姫 を 守る ため に 、 二千 人 の 軍勢 を 送りました 。 二千 人 の 軍勢 は 地上 に 千 人 、 かぐ や 姫 の 屋敷 の 屋根 に 千 人 が 並び 、 弓 や 槍 を かまえて 月 の 都 から 来る 迎え を 待ちました 。 やがて 月 が 明る さ を 増し 、 空 が ま 昼 の 様 に 明るく なりました 。 すると 雲 に 乗った 月 の 都 の 迎えた ち が 、 ゆっくり と ゆっくり と かぐ や 姫 の 屋敷 へ と やってきた のです 。 「 姫 を 守れ ! あの 者 たち を 追い返す のだ ! 」 二千 人 の 軍勢 たち は 弓 や 槍 で 月 の 都 の 迎え を 追い返そう と しました が 、 どうした 事 か 軍勢 の 体 が 石 の 様 に 動か なく なって しまった のです 。 中 に は 力 を ふり絞って 弓矢 を 放った 者 も いました が 、 弓矢 は 月 の 都 の 迎え に 近づく と 大きく それて しまいます 。 月 の 都 の 迎え は 屋敷 の 上空 で とまる と 、 お じいさん に こう 言いました 。 「 竹取 り の おきな よ 。 姫 を 迎え に 来ました 。 さあ 、 姫 を お 渡し なさい 」 お じいさん と おばあ さん は 、 かぐ や 姫 の 手 を 力一杯 にぎりしめました が 、 でも その 手 から 力 が すーっと 抜けて しまいました 。 かぐ や 姫 は 静かに 庭 に 出る と 、 いつの間にか 美しい 天女 の 羽衣 を 身 に まとって いました 。 「 お 父 さま 、 お 母 さま 、 これ で お 別れ で ございます 。 これ から は 月 を 見る たび に 、 わたくし の 事 を 思い出して ください 。 そして これ を 、 帝 に お 渡し ください 」 そう 言って かぐ や 姫 は 、 お じいさん と おばあ さん に 不老 不 死 の 薬 と 手紙 を 渡しました 。 そして かぐ や 姫 は 天女 の 羽衣 で 月 の 都 の お迎え たち の ところ へ 行く と 、 そのまま お迎え たち と 一緒に ゆっくり と 夜空 へ のぼって 行き 、 月 の 光 の 中 に 消えて しまいました 。 それ から 数 日 後 、 かぐ や 姫 の 手紙 と 不老 不 死 の 薬 を 受け取った 帝 は 手紙 を 読んで ひどく 悲しみ、 何 日 も 何 日 も 何も 食べません でした 。 やがて 帝 は 、 大臣 たち を 呼び寄せる と 、 「 かぐ や 姫 が 帰って 行った 、 天 に 一 番 近い 山 は 何 か ? 」 と 、 たずねました 。 そこ で 大臣 たち が 調べる と 、 もっとも 天 に 近い 山 は 駿河 の 国 ( する が の くに → 静岡 県 ) に ある 山 だ と わかりました 。 「 しかし 、 その 山 は あまりに も 高く 、 なみ の 者 が 登れる 山 では ありません 」 「 そう か 。 では 、 士 ( つわもの → 侍 の 事 ) を 集めて 、 これ を その 山 の 山頂 で 焼いて ほしい 」 そう 言って 帝 は 、 かぐ や 姫 から の 手紙 と 不老 不 死 の 薬 を 壺 に 入れて 大臣 に 渡しました 。 「 よろしい のです か ? 」 たずねる 大臣 に 、 帝 は こんな 歌 で 答えました 。 ♪ 会う 事 も 出来 ず ♪ こぼれる 涙 に 、 浮かんで いる 様 な 我が身 に ♪ 不 死 の 薬 が 、 何 に なろう か かぐ や 姫 を 心から 愛して いた 帝 に とって 、 かぐ や 姫 に 会え ず に 長生き を して も 、 意味 の ない 事 だ と 歌って いる のです 。 「 わかりました 」 大臣 は 帝 から 渡さ れた 壺 を 持つ と 、 大勢 の 士 ( つわもの → 侍 ) たち を 連れて 日本 一 高い 山 に 登りました 。 その 事 から その 山 は 『 士 ( つわもの ) が 富む ( とむ → たくさん いる ) 山 』 と して 、『 富士山 』 と 名付けられた そうです 。 そして 大臣 が 富士山 の 山頂 で 焼いた 不老 不 死 の 薬 が 煙 と なって 、 かぐ や 姫 の いる 天 へ と 昇って いきました 。 その 一部 の 煙 が 富士山 に あった 雪 に 降りかかり 、 その 雪 が 不 死 の 雪 (→ 万年雪 ) と なって 、 今 でも 富士山 の 頂上 に 残って いる と 言われて います 。 おしまい


かぐ や 姫 ( 竹取 物語 ) ||ひめ|たけとり|ものがたり Princess Kaguya ( The Tale of the Bamboo Cutter )

むかし むかし 、『 竹 とり の おきな 』 と 呼ば れる 、 竹 とり の お じいさん が いました 。 ||たけ|||||よば||たけ||||||い ました Es war einmal ein alter Mann, der „Okina der Bambusschneider“ genannt wurde. Once upon a time, there was an old bamboo-tori grandfather called "Taketori no Okina". お じいさん の 仕事 は 、 山 で 取って 来た 竹 で カゴ や ザル を 作る 事 です 。 |||しごと||やま||とって|きた|たけ||||ざる||つくる|こと| The old man's job is to make baskets and colanders out of the bamboo he picked up in the mountains. ある 日 の 事 、 お じいさん が 山 へ 行く と 、 一 本 の 竹 の 根本 が ぼんやり と 光り輝いてました 。 |ひ||こと||||やま||いく||ひと|ほん||たけ||こんぽん||||ひかりかがやいて ました Eines Tages, als der alte Mann in die Berge ging, leuchtete der Fuß eines einzelnen Bambusbaums schwach. One day, when the old man went to the mountains, the base of a single bamboo tree was shining dimly. 「 おや ? "Good morning? 何と 不思議な 竹 だろう 」 お じいさん は 、 その 光る 竹 を 切って みました 。 なんと|ふしぎな|たけ||||||ひかる|たけ||きって|み ました What a strange bamboo.” The old man cut the glowing bamboo. すると 竹 の 中 に は 、 大き さ が 三 寸 ( さんす ん → 約 九 センチ ) ほど の 、 ぽ ーっと 光り輝く 可愛くて 小さな 女の子 が 入って いた のです 。 |たけ||なか|||おおき|||みっ|すん|||やく|ここの|せんち||||- っと|ひかりかがやく|かわいくて|ちいさな|おんなのこ||はいって|| Dann, im Inneren des Bambus, war ein süßes kleines Mädchen, etwa drei Zoll groß, das hell leuchtete. Then, inside the bamboo, there was a cute little girl about three inches in size, shining brightly. 「 光る 女の子 と は ・・・。 ひかる|おんなのこ|| "A shining girl is... きっと この 子 は 、 天から の 授かり 物 に 違いない 」 子ども の いない お じいさん は 、 大喜びで その 女の子 を 家 に 連れて 帰りました 。 ||こ||てんから||さずかり|ぶつ||ちがいない|こども||||||おおよろこびで||おんなのこ||いえ||つれて|かえり ました Dieses Kind muss ein Geschenk des Himmels sein.“ Der kinderlose alte Mann war überglücklich und nahm das Mädchen mit nach Hause. This child must be a gift from heaven.” The childless old man was overjoyed and took the girl home. そして 、 お じいさん が 連れて 帰った 女の子 を 見て 、 お ばあさん も 大喜びです 。 ||||つれて|かえった|おんなのこ||みて||||おおよろこびです And the old woman is overjoyed when she sees the girl the old man has brought home. 「 まあ 、 まあ 。 "Well, well. なんて 可愛い 女の子 でしょう 。 |かわいい|おんなのこ| Was für ein schönes Mädchen. What a lovely girl. お じいさん の 言う 通り 、 この 子 は 天から の 授かり 物 に 違い ありません わ 」 お じいさん と おばあ さん は 、 その 女の子 を 自分 の 子ども と して 大切に 育てる 事 に しました 。 |||いう|とおり||こ||てんから||さずかり|ぶつ||ちがい|あり ませ ん|||||||||おんなのこ||じぶん||こども|||たいせつに|そだてる|こと||し ました Genau wie Großvater sagte, dieses Kind muss ein Geschenk des Himmels sein.“ Opa und Oma beschlossen, das Mädchen als ihr eigenes Kind zu erziehen. Just as Grandpa said, this child must be a gift from heaven." Grandpa and Grandma decided to raise the girl as their own child. 女の子 が 家 に やって 来た 次の 日 から、 不思議な 事 に お じいさん が 竹 を 取り に 行く と 、 竹 の 中 に 黄金 が ぎっしり つまって いる 事 が 何度 も あった のです 。 おんなのこ||いえ|||きた|つぎの|ひ||ふしぎな|こと|||||たけ||とり||いく||たけ||なか||おうごん|||||こと||なんど||| Von dem Tag an, nachdem das Mädchen ins Haus gekommen war, als der alte Mann seltsamerweise Bambus holen ging, gab es viele Male, als der Bambus voller Gold war. From the day after the girl came to the house, strangely enough, when the old man went to pick up bamboo, there were many times when the bamboo was full of gold. おかげ で お じいさん の 家 は 、 たちまち 大 金持ち に なりました 。 |||||いえ|||だい|かねもち||なり ました Dadurch wurde die Familie des Großvaters in kürzester Zeit sehr reich. Thanks to this, the grandfather's family became very rich in no time. また 不思議な 事 に 、 あの 小さかった 女の子 は わずか 三 ヶ月 ほど の 間 に すくすく と 育って 、 それはそれは 美しい 娘 に なった のです 。 |ふしぎな|こと|||ちいさかった|おんなのこ|||みっ|かげつ|||あいだ||||そだって||うつくしい|むすめ||| Seltsamerweise wuchs dieses kleine Mädchen in nur drei Monaten zu einem wunderschönen Mädchen heran. Strangely enough, that little girl grew up to be a beautiful girl in just three months. 大きく なった 娘 は 、 見る 者 を 何とも いえ ない かぐわしい 香り で 包んで 、 その 心 を とても おだやかに して くれました 。 おおきく||むすめ||みる|もの||なんとも||||かおり||つつんで||こころ|||||くれ ました Die erwachsene Tochter hüllte alle, die sie sahen, in einen unbeschreiblich duftenden Duft und beruhigte ihre Herzen. そして どんなに 暗い ところ に いて も 夜空 の 月 が はっきり と 見える ように 、 体 から あわい 光 を 発して いました 。 ||くらい|||||よぞら||つき||||みえる||からだ|||ひかり||はっして|い ました Und sein Körper gab ein schwaches Licht ab, sodass der Mond am Nachthimmel deutlich zu sehen war, egal wie dunkel es war. そこ で その 娘 は 、『 あわく ゆらめく 様 に 光り輝く お姫さま 』 と 言う 意味 の 『 かぐ や 姫 』 と 名付けられた のです 。 |||むすめ||||さま||ひかりかがやく|おひめさま||いう|いみ||||ひめ||なづけ られた| その 美しく 不思議な かぐ や 姫 を 、 世 の 男 たち が ほうって は おきません 。 |うつくしく|ふしぎな|||ひめ||よ||おとこ|||||おき ませ ん The men of the world will not abandon the beautiful and mysterious Princess Kaguya. 多く の 若者 たち が お じいさん の 家 に やって 来て は 、 かぐ や 姫 を お 嫁 さん に したい と 言いました 。 おおく||わかもの||||||いえ|||きて||||ひめ|||よめ|||し たい||いい ました そして その 多く の 若者 たち の 中 でも 特に 熱心だった の が 、 次の 五 人 の 王子 たち です 。 ||おおく||わかもの|||なか||とくに|ねっしんだった|||つぎの|いつ|じん||おうじ|| 彼ら は 名前 を 、 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ )。 かれら||なまえ||いし|さく|おうじ|||| 車 持 皇子 ( くら もち の みこ )。 くるま|じ|おうじ|||| 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし )。 あべ|ご|あるじ|||| 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき )。 おおとも|ご|ぎょう|||| 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ )。 いしがみ|あさ|ろ|||||| Maro Isonokami. と 、 言いました。 |いい ました みんな 身分 が とても 高く 、 そして お 金持ち です 。 |みぶん|||たかく|||かねもち| 「 誰 も 、 婿 どの と して は 申し分 ない のだ が 」 選び かねた お じいさん は 、 かぐ や 姫 に 相談 を しました。 だれ||むこ|||||もうしぶん||||えらび|||||||ひめ||そうだん||し ました 「 五 人 の お方 は 、 みな 、 それぞれ に 立派な お方 たち じゃ 。 いつ|じん||おかた|||||りっぱな|おかた|| お前 は 、 どの お方 が いい の か ね ? おまえ|||おかた||||| 」 する と かぐ や 姫 は 、 こう 答えました 。 ||||ひめ|||こたえ ました 「 今 から わたくし の 言う 、 世にも めずらしい 宝物 を 探して 持って 来た お方 の ところ へ 、 お 嫁 に 行きたい と 思います 。 いま||||いう|よにも||たからもの||さがして|もって|きた|おかた|||||よめ||いき たい||おもい ます その 宝物 と は ・・・」 話 を 聞いた お じいさん は 、 五 人 の 王子 たち に かぐ や 姫 の 言葉 を 伝えました 。 |たからもの|||はなし||きいた||||いつ|じん||おうじ|||||ひめ||ことば||つたえ ました 「 かぐ や は 、 こう 申して おります 。 ||||もうして|おり ます 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) どの に は 、 天 竺 ( てん じく → インド ) に ある 《 仏 の 御 石 の 鉢 ( ほとけ のみ いし の はち → お しゃか さま が 使った うつわ )》 を 。 いし|さく|おうじ||||||||てん|じく|||いんど|||ふつ||ご|いし||はち||||||||||つかった|| 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) どの に は 、 東 の 海 の 蓬莱 山 ( ほうらい さん ) に ある 《 玉 の 枝 ( たまの えだ → 根っこ が 銀 、 くき が 金 、 実 が 真珠 で 出来て いる 木 の 枝)》 を 。 くるま|じ|おうじ||||||||ひがし||うみ||ほうらい|やま|||||たま||えだ|||ねっこ||ぎん|||きむ|み||しんじゅ||できて||き||えだ| 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) どの に は 、 もろこし (→ 中国 の 事 ) に ある 《 火 ネズミ の 裘 ( ひね ずみ の かわ ごろ も → 火 ネズミ と 呼ば れる 伝説 の ネズミ の 皮 で 作った 燃え ない 布 》 を 。 あべ|ご|あるじ|||||||||ちゅうごく||こと|||ひ|ねずみ||きゅう|||||||ひ|ねずみ||よば||でんせつ||ねずみ||かわ||つくった|もえ||ぬの| 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき ) どの に は 、《 竜 の 持って いる 玉 》 を 。 おおとも|ご|ぎょう||||||||りゅう||もって||たま| 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ ) どの に は 、 つばめ が 生む と いう 《 子安 貝 ( こやす がい → タカラ 貝 と 呼ば れる きれいな 貝 )》 を 。 いしがみ|あさ|ろ||||||||||||うむ|||こやす|かい||||かい||よば|||かい| それぞれ、 お 持ち いただきたい と 」 それ を 聞いた 五 人 の 王子 たち は 、 思わず 目 を 見張りました 。 ||もち|いただき たい||||きいた|いつ|じん||おうじ|||おもわず|め||みはり ました 「 何という 、 難しい 注文 だ 」 「 どれ も 、 簡単に 手 に 入る 品物 で は ない ぞ 」 しかし それ ら の 宝物 を 持って行か ない と 、 かぐ や 姫 を お 嫁 に する 事 が 出来ません 。 なんという|むずかしい|ちゅうもん||||かんたんに|て||はいる|しなもの|||||||||たからもの||もっていか|||||ひめ|||よめ|||こと||でき ませ ん そこ で 五 人 の 王子 たち は 、 それ ら の 宝物 を 探す ため に 帰って 行きました 。 ||いつ|じん||おうじ||||||たからもの||さがす|||かえって|いき ました まずは 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) が 、 天 竺 に 行って 仏 の 御 石 の 鉢 を 手 に 入れる 事 は 無理だ と 思い 、 大和 の 国 ( やま と の くに → 奈良 県 ) の 山寺 で 手 に 入れた 古い 鉢 を きれいに かざって 、 かぐ や 姫 の ところ へ 持って行きました 。 |いし|さく|おうじ||||||てん|じく||おこなって|ふつ||ご|いし||はち||て||いれる|こと||むりだ||おもい|だいわ||くに|||||なら|けん||やまでら||て||いれた|ふるい|はち||||||ひめ||||もっていき ました 「 天 竺 へ 行って 、《 仏 の 御 石 の 鉢 》 を 手 に 入れました 」 石 作 皇子 ( いし つくり の みこ ) が 偽物 の 鉢 を 差し出す と 、 かぐ や 姫 は 布 で その 鉢 を みがいて 、 「《 仏 の 御 石 の 鉢 》 は 、 みがけば みがく ほど 光り輝く 鉢 です 。 てん|じく||おこなって|ふつ||ご|いし||はち||て||いれ ました|いし|さく|おうじ||||||にせもの||はち||さしだす||||ひめ||ぬの|||はち|||ふつ||ご|いし||はち|||||ひかりかがやく|はち| これ は 、《 仏 の 御 石 の 鉢 》 では ありません 」 と 、 偽物 である 事 を 見破りました 。 ||ふつ||ご|いし||はち||あり ませ ん||にせもの||こと||みやぶり ました 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) も 蓬莱 山 ( ほうらい さん ) に は 行か ず 、 たくさんの 腕 の 良い 職人 を 集めて 見事な 玉 の 枝 を 作ら せました 。 くるま|じ|おうじ||||||ほうらい|やま|||||いか|||うで||よい|しょくにん||あつめて|みごとな|たま||えだ||つくら|せま した そして いかにも 、 蓬莱 山 から 帰って 来た と 見せかけて 、 「 苦労 しました が 、 蓬莱 山 から 《 玉 の 枝 》 を 持ち帰りました 」 と 、 言った のです 。 ||ほうらい|やま||かえって|きた||みせかけて|くろう|し ました||ほうらい|やま||たま||えだ||もちかえり ました||いった| 偽物 です が 見事な 出来ばえ に 、 かぐ や 姫 も 言葉 を なくして 見つめて いる と 、 そこ へ たくさんの 男 たち が 現れました 。 にせもの|||みごとな|できばえ||||ひめ||ことば|||みつめて||||||おとこ|||あらわれ ました 彼ら は 、 この 玉 の 枝 を 作った 職人 たち です 。 かれら|||たま||えだ||つくった|しょくにん|| 「 車 持 の 皇子 どの 。 くるま|じ||おうじ| 《 玉 の 枝 》 を お 作り した お 金 を 、 早く 払って ください 」 「 こ 、 これ ! たま||えだ|||つくり|||きむ||はやく|はらって||| こんな ところ で 何 を 言う 」 玉 の 枝 が 偽物 だ と ばれた 車 持 皇子 ( くら もち の みこ ) は 、 はずかし そうに かぐ や 姫 の 家 から 逃げて 行きました 。 |||なん||いう|たま||えだ||にせもの||||くるま|じ|おうじ|||||||そう に|||ひめ||いえ||にげて|いき ました 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) も 、 もろこし に は 行か ず に 、 もろこし から やって 来た 商人 から 高い お 金 で 《 火 ネズミ の 裘 ( かわ ごろ も )》 を 買いました 。 あべ|ご|あるじ|||||||||いか||||||きた|しょうにん||たかい||きむ||ひ|ねずみ||きゅう|||||かい ました 「 もろこし 中 を 探し回って 、 やっと 手 に 入れる 事 が 出来ました 」 する と かぐ や 姫 は 、 一目 見て 言いました 。 |なか||さがしまわって||て||いれる|こと||でき ました|||||ひめ||いちもく|みて|いい ました 「 見事な かわ ごろ も です が 、 本物 なら 火 に 入れて も 燃え ない はずです よ 」 「 はい 。 みごとな||||||ほんもの||ひ||いれて||もえ|||| さっそく 、 火 に 入れて みましょう 」 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) は 自信 たっぷり に 火 の 中 へ 《 火 ネズミ の 裘 》 を 入れました が 、 偽物 の 裘 は 簡単に 燃えて しまいました 。 |ひ||いれて|み ましょう|あべ|ご|あるじ||||||じしん|||ひ||なか||ひ|ねずみ||きゅう||いれ ました||にせもの||きゅう||かんたんに|もえて|しまい ました 「 もろこし の 商人 は 、 よくも わし を だました な ! ||しょうにん|||||| 」 阿部 御 主人 ( あ べ のみ うし ) は 、 怒り ながら 帰って 行きました 。 あべ|ご|あるじ||||||いかり||かえって|いき ました 四 番 目 の 大伴 御 行 ( お おとも の みゆき ) は 、《 竜 の 持って いる 玉 》 を 手 に 入れよう と 竜 を 探して 航海 に 出ました。 よっ|ばん|め||おおとも|ご|ぎょう||||||りゅう||もって||たま||て||いれよう||りゅう||さがして|こうかい||で ました ところが 、 ものすごい あらし に 出会って 、 乗って いる 船 が 沈み そうに なった のです 。 ||||であって|のって||せん||しずみ|そう に|| 王子 は 、 嵐 に 向かって 祈りました 。 おうじ||あらし||むかって|いのり ました 「 竜神 さま 。 りゅうじん| どうか 、 お 助け ください 。 ||たすけ| わたし が あなた の 玉 を 欲しがる から 、 あなた が 怒って 暴れて おら れる の なら 、 もう 二度と 玉 が 欲しい など と 申しません 。 ||||たま||ほしがる||||いかって|あばれて||||||にどと|たま||ほしい|||もうし ませ ん どうか この 嵐 を 、 お しずめ ください 」 する と すぐに 嵐 が やんで 、 王子 は 何とか 都 へ 帰る 事 が 出来ました 。 ||あらし||||||||あらし|||おうじ||なんとか|と||かえる|こと||でき ました でも 《 竜 の 持って いる 玉 》 を 手 に 入れる 事 が 出来 なかった ので 、 それっきり かぐ や 姫 の ところ へ は 現れません でした 。 |りゅう||もって||たま||て||いれる|こと||でき||||||ひめ|||||あらわれ ませ ん| 最後 の 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ) は 、 屋敷 の のき先 の つばめ の 巣 の 中 に 光り輝く 固まり が ある の を 見つける と、 さっそく やぐら を 組ま せて 、 やぐら の 上 から つるした カゴ に 乗って つばめ の 巣 に 手 を 入れました 。 さいご||いしがみ|あさ|ろ||||||||やしき||のきさき||||す||なか||ひかりかがやく|かたまり|||||みつける|||||くま||||うえ|||||のって|||す||て||いれ ました 「 あった ぞ 。 つばめ の 《 子安 貝 》 が あった ぞ 。 ||こやす|かい||| これ で かぐ や 姫 は 、 わし の 妻 だ 」 しか し 、 あまり の うれし さ に カゴ を ゆらして しまった ので 、 カゴ を つるした ひも が ぷ つんと 切れて しまいました 。 ||||ひめ||||つま|||||||||||||||||||||きれて|しまい ました 高い ところ から 地面 に 落ちた 王子 は 、 腰 の 骨 を 折る 大けが です 。 たかい|||じめん||おちた|おうじ||こし||こつ||おる|おおけが| しかも 《 子安 貝 》 と 思って いた の は 、 ただ の つばめ の ふん だった のです 。 |こやす|かい||おもって|||||||||| 石上 麻 呂 ( いそ の かみ の ま ろ ) は がっかり して 、 そのまま 病気 に なって しまいました 。 いしがみ|あさ|ろ|||||||||||びょうき|||しまい ました こうして 五 人 の 王子 たち は 、 誰一人 、 かぐ や 姫 を お 嫁 に する 事 は 出来ません でした 。 |いつ|じん||おうじ|||だれひとり|||ひめ|||よめ|||こと||でき ませ ん| さて 、 この 話し が ついに 、 帝 ( みかど → 天皇 ) の 耳 に も 届きました 。 ||はなし|||みかど||てんのう||みみ|||とどき ました そして かぐ や 姫 の 美し さ に 心 を 奪わ れた 帝 が 、 かぐ や 姫 を 宮廷 に 迎える と 言った のです 。 |||ひめ||うつくし|||こころ||うばわ||みかど||||ひめ||きゅうてい||むかえる||いった| 帝 と 言えば 、 この 日本 で 一 番 偉い お方 です 。 みかど||いえば||にっぽん||ひと|ばん|えらい|おかた| お じいさん と おばあ さん は 大喜びです が 、 かぐ や 姫 は 宮廷 に 行く の を 断りました 。 ||||||おおよろこびです||||ひめ||きゅうてい||いく|||ことわり ました 帝 の 力 を 持って すれば 無理矢理 に でも かぐ や 姫 を 宮廷 に 迎える 事 は 可能でした が 、 帝 は とても 心 優しい お方 だった ので 、 無理に かぐ や 姫 を 迎えよう と は せ ず に 、 かぐ や 姫 と は 和歌 を 取り交わす 関係 と なりました 。 みかど||ちから||もって||むりやり|||||ひめ||きゅうてい||むかえる|こと||かのうでした||みかど|||こころ|やさしい|おかた|||むりに|||ひめ||むかえよう||||||||ひめ|||わか||とりかわす|かんけい||なり ました かぐ や 姫 が 帝 と 和歌 を 交わす 関係 に なって から 三 年 の 月日 が たった 頃 、 かぐ や 姫 は 月 を 見て は 涙 を 流す ように なりました 。 ||ひめ||みかど||わか||かわす|かんけい||||みっ|とし||つきひ|||ころ|||ひめ||つき||みて||なみだ||ながす||なり ました 心配 した お じいさん と おばあ さん が 、 かぐ や 姫 に たずねました 。 しんぱい||||||||||ひめ||たずね ました 「 何 が そんなに、 悲しい のだ ね 」 「 心配事 で も ある なら 、 わたし たち に 話して ごらん 」 しか し かぐ や 姫 は 何も 言わ ず 、 光 の 玉 の ような 涙 を はらはら と 流す ばかりでした。 なん|||かなしい|||しんぱいごと||||||||はなして||||||ひめ||なにも|いわ||ひかり||たま|||なみだ||||ながす| そんな ある 夜 、 かぐ や 姫 は お じいさん と おばあ さん に 、 泣いて いる わけ を 話しました 。 ||よ|||ひめ||||||||ないて||||はなし ました 「 お 父 さま 、 お 母 さま 。 |ちち|||はは| 実は わたくし は 、 人間 の 世界 の 者 では ありません 。 じつは|||にんげん||せかい||もの||あり ませ ん わたくし は 、 あそこ で 光り輝く 月 の 都 の 者 です 。 ||||ひかりかがやく|つき||と||もの| 今度 の 十五夜 に 月 の 都 から 迎え が 来る ので 、 わたくし は 月 の 都 に 帰ら なければ なりません。 こんど||じゅうごや||つき||と||むかえ||くる||||つき||と||かえら||なり ませ ん それ が 悲しくて 、 泣いて いる のです 」 「 なんと ! ||かなしくて|ないて||| ・・・ しかし 大丈夫 。 |だいじょうぶ かぐ や 姫 は わし ら の 大切な 娘 じゃ 。 ||ひめ|||||たいせつな|むすめ| 必ず 守って やる から 」 そこ で お じいさん と おばあ さん は 帝 に お 願い を して 、 月 の 都 から 来る 迎え を 追い返す 事 に した のです。 かならず|まもって|||||||||||みかど|||ねがい|||つき||と||くる|むかえ||おいかえす|こと||| 十五夜 の 夜 、 帝 は かぐ や 姫 を 守る ため に 、 二千 人 の 軍勢 を 送りました 。 じゅうごや||よ|みかど||||ひめ||まもる|||にせん|じん||ぐんぜい||おくり ました 二千 人 の 軍勢 は 地上 に 千 人 、 かぐ や 姫 の 屋敷 の 屋根 に 千 人 が 並び 、 弓 や 槍 を かまえて 月 の 都 から 来る 迎え を 待ちました 。 にせん|じん||ぐんぜい||ちじょう||せん|じん|||ひめ||やしき||やね||せん|じん||ならび|ゆみ||やり|||つき||と||くる|むかえ||まち ました やがて 月 が 明る さ を 増し 、 空 が ま 昼 の 様 に 明るく なりました 。 |つき||あかる|||まし|から|||ひる||さま||あかるく|なり ました すると 雲 に 乗った 月 の 都 の 迎えた ち が 、 ゆっくり と ゆっくり と かぐ や 姫 の 屋敷 へ と やってきた のです 。 |くも||のった|つき||と||むかえた|||||||||ひめ||やしき|||| 「 姫 を 守れ ! ひめ||まもれ あの 者 たち を 追い返す のだ ! |もの|||おいかえす| 」 二千 人 の 軍勢 たち は 弓 や 槍 で 月 の 都 の 迎え を 追い返そう と しました が 、 どうした 事 か 軍勢 の 体 が 石 の 様 に 動か なく なって しまった のです 。 にせん|じん||ぐんぜい|||ゆみ||やり||つき||と||むかえ||おいかえそう||し ました|||こと||ぐんぜい||からだ||いし||さま||うごか|||| 中 に は 力 を ふり絞って 弓矢 を 放った 者 も いました が 、 弓矢 は 月 の 都 の 迎え に 近づく と 大きく それて しまいます 。 なか|||ちから||ふりしぼって|ゆみや||はなった|もの||い ました||ゆみや||つき||と||むかえ||ちかづく||おおきく||しまい ます 月 の 都 の 迎え は 屋敷 の 上空 で とまる と 、 お じいさん に こう 言いました 。 つき||と||むかえ||やしき||じょうくう||||||||いい ました 「 竹取 り の おきな よ 。 たけとり|||| 姫 を 迎え に 来ました 。 ひめ||むかえ||き ました さあ 、 姫 を お 渡し なさい 」 お じいさん と おばあ さん は 、 かぐ や 姫 の 手 を 力一杯 にぎりしめました が 、 でも その 手 から 力 が すーっと 抜けて しまいました 。 |ひめ|||わたし||||||||||ひめ||て||ちからいっぱい|にぎりしめ ました||||て||ちから|||ぬけて|しまい ました かぐ や 姫 は 静かに 庭 に 出る と 、 いつの間にか 美しい 天女 の 羽衣 を 身 に まとって いました 。 ||ひめ||しずかに|にわ||でる||いつのまにか|うつくしい|てんにょ||はごろも||み|||い ました 「 お 父 さま 、 お 母 さま 、 これ で お 別れ で ございます 。 |ちち|||はは|||||わかれ|| これ から は 月 を 見る たび に 、 わたくし の 事 を 思い出して ください 。 |||つき||みる|||||こと||おもいだして| そして これ を 、 帝 に お 渡し ください 」 そう 言って かぐ や 姫 は 、 お じいさん と おばあ さん に 不老 不 死 の 薬 と 手紙 を 渡しました 。 |||みかど|||わたし|||いって|||ひめ||||||||ふろう|ふ|し||くすり||てがみ||わたし ました そして かぐ や 姫 は 天女 の 羽衣 で 月 の 都 の お迎え たち の ところ へ 行く と 、 そのまま お迎え たち と 一緒に ゆっくり と 夜空 へ のぼって 行き 、 月 の 光 の 中 に 消えて しまいました 。 |||ひめ||てんにょ||はごろも||つき||と||おむかえ|||||いく|||おむかえ|||いっしょに|||よぞら|||いき|つき||ひかり||なか||きえて|しまい ました それ から 数 日 後 、 かぐ や 姫 の 手紙 と 不老 不 死 の 薬 を 受け取った 帝 は 手紙 を 読んで ひどく 悲しみ、 何 日 も 何 日 も 何も 食べません でした 。 ||すう|ひ|あと|||ひめ||てがみ||ふろう|ふ|し||くすり||うけとった|みかど||てがみ||よんで||かなしみ|なん|ひ||なん|ひ||なにも|たべ ませ ん| やがて 帝 は 、 大臣 たち を 呼び寄せる と 、 「 かぐ や 姫 が 帰って 行った 、 天 に 一 番 近い 山 は 何 か ? |みかど||だいじん|||よびよせる||||ひめ||かえって|おこなった|てん||ひと|ばん|ちかい|やま||なん| 」 と 、 たずねました 。 |たずね ました そこ で 大臣 たち が 調べる と 、 もっとも 天 に 近い 山 は 駿河 の 国 ( する が の くに → 静岡 県 ) に ある 山 だ と わかりました 。 ||だいじん|||しらべる|||てん||ちかい|やま||するが||くに|||||しずおか|けん|||やま|||わかり ました 「 しかし 、 その 山 は あまりに も 高く 、 なみ の 者 が 登れる 山 では ありません 」 「 そう か 。 ||やま||||たかく|||もの||のぼれる|やま||あり ませ ん|| では 、 士 ( つわもの → 侍 の 事 ) を 集めて 、 これ を その 山 の 山頂 で 焼いて ほしい 」 そう 言って 帝 は 、 かぐ や 姫 から の 手紙 と 不老 不 死 の 薬 を 壺 に 入れて 大臣 に 渡しました 。 |し||さむらい||こと||あつめて||||やま||さんちょう||やいて|||いって|みかど||||ひめ|||てがみ||ふろう|ふ|し||くすり||つぼ||いれて|だいじん||わたし ました 「 よろしい のです か ? 」 たずねる 大臣 に 、 帝 は こんな 歌 で 答えました 。 |だいじん||みかど|||うた||こたえ ました ♪ 会う 事 も 出来 ず ♪ こぼれる 涙 に 、 浮かんで いる 様 な 我が身 に ♪ 不 死 の 薬 が 、 何 に なろう か かぐ や 姫 を 心から 愛して いた 帝 に とって 、 かぐ や 姫 に 会え ず に 長生き を して も 、 意味 の ない 事 だ と 歌って いる のです 。 あう|こと||でき|||なみだ||うかんで||さま||わがみ||ふ|し||くすり||なん||||||ひめ||こころから|あいして||みかど|||||ひめ||あえ|||ながいき||||いみ|||こと|||うたって|| 「 わかりました 」 大臣 は 帝 から 渡さ れた 壺 を 持つ と 、 大勢 の 士 ( つわもの → 侍 ) たち を 連れて 日本 一 高い 山 に 登りました 。 わかり ました|だいじん||みかど||わたさ||つぼ||もつ||おおぜい||し||さむらい|||つれて|にっぽん|ひと|たかい|やま||のぼり ました その 事 から その 山 は 『 士 ( つわもの ) が 富む ( とむ → たくさん いる ) 山 』 と して 、『 富士山 』 と 名付けられた そうです 。 |こと|||やま||し|||とむ||||やま|||ふじさん||なづけ られた|そう です そして 大臣 が 富士山 の 山頂 で 焼いた 不老 不 死 の 薬 が 煙 と なって 、 かぐ や 姫 の いる 天 へ と 昇って いきました 。 |だいじん||ふじさん||さんちょう||やいた|ふろう|ふ|し||くすり||けむり|||||ひめ|||てん|||のぼって|いき ました その 一部 の 煙 が 富士山 に あった 雪 に 降りかかり 、 その 雪 が 不 死 の 雪 (→ 万年雪 ) と なって 、 今 でも 富士山 の 頂上 に 残って いる と 言われて います 。 |いちぶ||けむり||ふじさん|||ゆき||ふりかかり||ゆき||ふ|し||ゆき|まんねんゆき|||いま||ふじさん||ちょうじょう||のこって|||いわ れて|い ます おしまい