JIN - 仁 - #10 |しとし

（ 咲 ） 先生 　 実は 　 私 … さ|せんせい|じつは|わたくし

実は … （ 仁 ） はい じつは|しとし|

ああ ッ …

先生 　 どう なさった の です か ！？　 先生 ！ せんせい||||||せんせい

《（ 男 ） 戻る ぜ よ 　 あん 世界 へ 》 おとこ|もどる||||せかい|

〈 そう か 　 あれ は …〉

（ 咲 ） 先生 ！ さ|せんせい

先生 ！ せんせい

先生 　 先生 ！→ せんせい|せんせい

先生 ！ せんせい

≪（ 咲 ） 脈 も 呼吸 も 正常です し さ|みゃく||こきゅう||せいじょう です|

お 疲れ が 出た んだ と 思い ます |つかれ||でた|||おもい|

（ 橘 ） 咲 たちばな|さ

こんな とき に 何 だ が その 　 縁談 の … |||なん||||えんだん|

あの …　 返事 は 　 もう しばし |へんじ|||

≪（ 橘 ） そう で は ない たちばな||||

よい 話 で は ある が 無理に 決める こと は ない |はなし|||||むりに|きめる|||

お前 に は 　 今 打ち込む もの が ある のだ から おまえ|||いま|うちこむ|||||

兄 上 … あに|うえ

ない …

≪（ 男 ） 坂本 殿 で いらっしゃる か ？ おとこ|さかもと|しんがり|||

（ 龍 馬 ） ほう じゃ が ？ りゅう|うま|||

久 坂 殿 から の 　 お 返事 に ございます ひさ|さか|しんがり||||へんじ||

久 坂 殿 は 　 ペニシリン なる 薬 に 非常に 興味 を 持って い ます ひさ|さか|しんがり||||くすり||ひじょうに|きょうみ||もって||

考え は 別に 　 一 度 　 話 を し たい と かんがえ||べつに|ひと|たび|はなし||||

ち っく と 待 っと ー せ 今 　 返事 を 書く き |||ま||-||いま|へんじ||かく|

おい 　 誰 かおる かえ ？　 紙 と 筆 じゃ |だれ|||かみ||ふで|

（ 久 坂 ） 気 が 多い やつ じゃ ひさ|さか|き||おおい||

〈 もし 　 あれ が 〉

〈 あれ が 　 俺 だった と したら 〉 ||おれ|||

〈 俺 は 　 俺 の 手術 を した こと に なる 〉 おれ||おれ||しゅじゅつ|||||

〈 そんな こと が あり える んだろう か ？〉

《≪（ 男 ） 戻る ぜ よ 　 あん 世界 へ 》 おとこ|もどる||||せかい|

〈 あの 声 は 　 龍 馬 さん だった し だ と したら …〉 |こえ||りゅう|うま||||||

〈 やっぱり 　 龍 馬 さん な の か ？〉 |りゅう|うま||||

〈 あれ が 　 龍 馬 さん で タイム スリップ して きた と したら 〉 ||りゅう|うま|||たいむ|すりっぷ||||

〈 龍 馬 暗殺 は なく なる ？〉 りゅう|うま|あんさつ|||

と は 　 かぎら ない よ なあ

大体 　 あの 人 だいたい||じん

ホントに 　 坂本 龍 馬 な の か なあ ほんとに|さかもと|りゅう|うま||||

違う んじゃ ない か なあ ちがう||||

あれ ！？

≪（ 咲 ） お 目覚め で ございます か ？ はい さ||めざめ||||

これ を 　 お 探し で ございます か ？ |||さがし|||

あの …

倒れ られた とき に 落とさ れた ようで たおれ||||おとさ||

あの 　 一 枚 で よろしゅう ございます か ？ |ひと|まい||||

え ッ ？

別の 絵柄 の もの も あった ような 気 が する のです が べつの|えがら||||||き|||の です|

ああ 　 一 枚 で |ひと|まい|

すいません 　 いつも いつも

また 　 薄く なって る |うすく||

やはり 　 そう で ございます よ ね

以前 　 拝見 した とき より も いぜん|はいけん||||

未来 さん の お 色 が 薄く なって いる ような … みらい||||いろ||うすく|||

≪（ 栄 ） 南方 先生 に お 客 様 で ございます さかい|なんぽう|せんせい|||きゃく|さま||

≪（ 彦三郎 ） 実は 　 野 風 の 身 請け が 決まった のです ひこさぶろう|じつは|の|かぜ||み|うけ||きまった|の です

あの 　 身 請け って ？ |み|うけ|

（ 彦三郎 ） 二千五百 両 で 　 野 風 の 身 を 吉原 より 請け 出し ひこさぶろう|にせんごひゃく|りょう||の|かぜ||み||よしはら||うけ|だし

妾 に と 望ま れて いる 方 が おら れ まして めかけ|||のぞま|||かた||||

二千五百 ！ にせんごひゃく

これ 以上 ない ような 幸運な お 話 で ございます |いじょう|||こううんな||はなし||

それ で 　 実は 　 身 請け の 前 に は ||じつは|み|うけ||ぜん||

体 の お 調べ と いう もの が ございまして からだ|||しらべ|||||

それ を 先生 に やって いただき たい のです ||せんせい|||||の です

え ッ …

これ は 　 野 風 の 最後 の 望み な のです ||の|かぜ||さいご||のぞみ||の です

あの 夜 　 野 風 は 　 先生 と の 思い出 を つくり たかった んだ と 思い ます → |よ|の|かぜ||せんせい|||おもいで||||||おもい|

その 思い出 を 最後に |おもいで||さいごに

身 請け 先 に 行く つもりだった の か と み|うけ|さき||いく||||

え ッ ？

え ッ …

身 請け 先 は 　 ご 家 門 の ご 隠居 さま で ございます み|うけ|さき|||いえ|もん|||いんきょ|||

身 請け さ れたら 　 最後 野 風 は 広い 屋敷 の 塀 の 中 み|うけ|||さいご|の|かぜ||ひろい|やしき||へい||なか

二度と 　 先生 に 会う こと も でき ませ ぬ にどと|せんせい||あう|||||

どうか 　 最後 の 望み を かなえて やって ください ませ |さいご||のぞみ|||||

野 風 さん の お 調べ は なさる ので ございます か ？ の|かぜ||||しらべ|||||

行か なければ 　 未来 は 生まれ なく なる かも しれ ませ ん いか||みらい||うまれ||||||

生まれ なく なる と は ？ うまれ||||

咲 さん の おっしゃった とおり さ||||

写真 の 未来 は 　 以前 より 薄く なって しまって る んです しゃしん||みらい||いぜん||うすく||||ん です

ただ 　 一瞬 だけ 色 の 戻った 瞬間 と いう の が あって |いっしゅん||いろ||もどった|しゅんかん|||||

その とき と いう の が

野 風 さん が 　 身 請け を 前向きに 考えて くれて いた とき の ようで の|かぜ|||み|うけ||まえむきに|かんがえて|||||

つまり 　 未来 は 　 野 風 さん と |みらい||の|かぜ||

その 身 請け 先 の 方 と の 間 の 子孫 で |み|うけ|さき||かた|||あいだ||しそん|

野 風 さん が 身 請け 先 に 行か なければ の|かぜ|||み|うけ|さき||いか|

未来 は 生まれ ない って こと な んじゃ ない か と みらい||うまれ||||||||

では 　 今 も 身 請け が 飛んで しまう ような |いま||み|うけ||とんで||

状態 に ある と いう こと です か ？ じょうたい|||||||

考え たく ない んです けど かんがえ|||ん です|

最悪 　 自害 と か … さいあく|じがい||

え ッ ？

だって 　 わりと 　 皆 　 すぐ 自害 と かって 言い出す し ||みな||じがい|||いいだす|

お 調べ は お 受け した ほう が いい か と |しらべ|||うけ||||||

あの 　 先生 |せんせい

私 も 　 その お 調べ に 同席 する こと は でき ます か ？ わたくし||||しらべ||どうせき||||||

〈 さらなる 異変 が 起こった の は 〉 |いへん||おこった||

〈 その 夜 の こと だった 〉 |よ|||

〈 あの とき と 同じ 痛み 〉 |||おなじ|いたみ

〈 もし かして これ は 　 タイム スリップ の 〉 ||||たいむ|すりっぷ|

〈 予兆 な んだろう か 〉 よちょう|||

〈 だ と する と 　 俺 は 　 やはり 〉 ||||おれ||

〈 あの 患者 と して あの とき へ 戻って いく の か ？〉 |かんじゃ||||||もどって|||

〈 でも 　 じゃあ あの 龍 馬 さん の 声 は …〉 |||りゅう|うま|||こえ|

〈 今 　 ここ で 戻ったら 〉 いま|||もどったら

〈 未来 は 　 一体 どう なって …〉 みらい||いったい||

〈 予感 が する 〉 よかん||

〈 何もかも が 　 もう すぐ …〉 なにもかも|||

〈 終わる 〉 おわる

〈 小さな 蝶 の 引き起こした 嵐 は 〉 ちいさな|ちょう||ひきおこした|あらし|

〈 起こした 蝶 を も 巻き込んで 〉 おこした|ちょう|||まきこんで

〈 時 の 波間 に 　 消えて いく ので は ない だろう か ？〉 じ||なみま||きえて||||||

♪♪～

身 請け 先 の 藩 医 を して おり ます み|うけ|さき||はん|い||||

三隅 俊 斉 と 申し ます みすみ|しゆん|ひとし||もうし|

南方 仁 と 申し ます なんぽう|しとし||もうし|

このたび は 　 花魁 の わがままで ||おいらん||

このような 　 お 調べ の 形 に なって しまい ||しらべ||かた|||

三隅 先生 に は まことに 　 かたじけなく みすみ|せんせい||||

いえいえ 　 南方 先生 の ご 高名 は 伺って おり ます し |なんぽう|せんせい|||こうめい||うかがって|||

本日 は 　 よろしく お 願い いたし ます ほんじつ||||ねがい||

こちら こそ 　 よろしく お 願い し ます ||||ねがい||

あの …

（ 野 風 ） か の 心 に 決めた お方 と やら は の|かぜ|||こころ||きめた|おかた|||

強敵 であり ん した お 聞き に なら れた のです か ？ きょうてき|||||きき||||の です|

どこ の 誰 と は しかと 教えて いただけ ず ||だれ||||おしえて||

けん ど 　 その方 へ の お 気持ち は ||そのほう||||きもち|

伝わって きん した つたわって||

あ ちき を 　 その方 と 思え と |||そのほう||おもえ|

誘った であり ん す が … さそった||||

むなしい 試み であり ん した |こころみ|||

野 風 さん は 　 諦めきれる ので ございます か ？ の|かぜ|||あきらめきれる|||

そういう 思い は 　 時 の 流れ の 中 で |おもい||じ||ながれ||なか|

忘れて いける もの な ので ございます か ？ わすれて||||||

でき ぬ から …

こうして おり ん す

え ッ ？

では 　 心 音 を 調べ ます |こころ|おと||しらべ|

失礼 し ます しつれい||

続いて 　 乳房 の 検診 を 行い ます つづいて|ちぶさ||けんしん||おこない|

右手 を 上げて ください みぎて||あげて|

失礼 し ます しつれい||

では 　 左手 を 上げて ください |ひだりて||あげて|

失礼 し ます しつれい||

先生 せんせい

何 か あり ん した か ？ なん|||||

いえ

三隅 先生 　 どうぞ みすみ|せんせい|

（ 茜 ） 黒 米 いなり 　 いかがです か ？ あかね|くろ|べい||いかが です|

特に 　 問題 は 見当たり ませ ぬ とくに|もんだい||みあたり||

健やかな 　 お 体 か と すこやかな||からだ||

≪（ 三隅 ） 南方 先生 の 　 お 見立て は ？ みすみ|なんぽう|せんせい|||みたて|

私 も 　 三隅 先生 と 同じです わたくし||みすみ|せんせい||おなじ です

そりゃ 　 まこと であり ん す か ？

はい

あの 　 もし 　 お 調べ で 何 か 病気 が 発覚 したら |||しらべ||なん||びょうき||はっかく|

どう なる んです か ？ ||ん です|

ささいな 病 なら 問題 は ございませ ぬ が |びょう||もんだい||||

大病 です と 　 身 請け が ご破算 に なる こと も ございます たいびょう|||み|うけ||ごはさん|||||

あの …　 何 か ？ |なん|

いえ 　 後 学 の ため に お伺い した だけ です |あと|まな||||おうかがい|||

〈「 何とぞ 　 もう 一 度 　 お 調べ を 」〉 なにとぞ||ひと|たび||しらべ|

南方 先生 が おっしゃる のであり ん す から … なんぽう|せんせい||||||

〈 野 風 さん の 胸 に は しこり が あった 〉 の|かぜ|||むね|||||

〈 でも 　 それ は 小さく 感触 も 定かで は ない 〉 |||ちいさく|かんしょく||さだかで||

〈 悪性 の 腫瘍 だ と 判断 する こと は でき ない レベル の もの だ 〉 あくせい||しゅよう|||はんだん||||||れべる|||

《 私 も 　 三隅 先生 と 同じです 》 わたくし||みすみ|せんせい||おなじ です

〈 だ から 　 あれ は 　 嘘 で は ない 〉 ||||うそ|||

濃く なって る こく||

〈 これ で いい んだ 〉

〈 未来 に は 　 生まれる 権利 が ある んだ から 〉 みらい|||うまれる|けんり||||

（ 佐分利 ） すぐ 終わり ます から ね さぶり||おわり|||

（ 山田 ） 大丈夫です か ？ やまだ|だいじょうぶ です|

（ 福田 ） これ は 　 飯 の 前 に お 湯 で 飲んで ください ふくた|||めし||ぜん|||ゆ||のんで|

ありがとう ございます お 大事に |||だいじに

≪（ 栄 ） すぐに 　 お 祝い に あがろう と 思って いた のです が → さかい|||いわい||||おもって||の です|

何かと 立て込んで おり 三 月 も たって しまい まして なにかと|たてこんで||みっ|つき||||

ねえ 　 咲 ？ |さ

あ ッ …　 はい

（ ご 婦人 ） かえって ありがたく 存じ ます → |ふじん|||ぞんじ|

生まれて すぐで は 落ち着き ませ ぬ ゆえ うまれて|||おちつき|||

いら せ られ ませ

≪（ ご 婦人 ） し のです 抱いて やって ください ます か ？ |ふじん||の です|いだいて||||

かわいらしい

どうぞ

乳 瘍 に は 　 神 水 膏 や 伯州 散 が 効き ます が ちち|よう|||かみ|すい|こう||はくしゅう|ち||きき||

岩 に 効く もの と いう の は … そうです よ ね いわ||きく||||||そう です||

どなた か 　 乳 に 岩 が ある のです か ？ ||ちち||いわ|||の です|

いえ 　 後 学 の ため に と 思って |あと|まな|||||おもって

乳 がん と いえば 華岡 流 で ございましょう なあ ちち||||はなおか|りゅう|||

華岡 流 …　 でも 　 その 華岡 流 でも 切って 治す んです よ ね ？ はなおか|りゅう|||はなおか|りゅう||きって|なおす|ん です||

そう だ と は 思い ます が ||||おもい||

あそこ は 　 門弟 以外 に は 一切 を 秘密に する ので ||もんてい|いがい|||いっさい||ひみつに||

教えて さしあげて は どう だ ？　 お ぬし おしえて||||||

華岡 流 で 学んで おった ので は ない の か ？ はなおか|りゅう||まなんで||||||

そう な んです か ？ ||ん です|

その 噂 　 困る んです よ ね |うわさ|こまる|ん です||

ど っ から 　 そんな 根 も 葉 も ない 話 が 出て る ん か 知り ま へん けど ||||ね||は|||はなし||でて||||しり|||

違う んです か ちがう|ん です|

見て いる だけ で 幸せな 心地 に なり ます ね みて||||しあわせな|ここち||||

赤子 と いう の は あかご||||

それ が 女 の 幸せ と いう もの だ と 思う のです よ 　 咲 ||おんな||しあわせ||||||おもう|の です||さ

え ッ ？

医術 が おもしろい の は 分かり ます いじゅつ|||||わかり|

ですが 　 この先 どう する つもりです か ？ |このさき|||つもり です|

子 を 生む だけ が 女 の 幸せで は ない と … こ||うむ|||おんな||しあわせで|||

慕って いる の は あなた だけ に 見え ます よ したって|||||||みえ||

咲 さ ん 　 お 帰り なさい さ||||かえり|

先生 は … せんせい|

ずっと そう な のでしょう ね

何 が です か ？ なん|||

《 先生 　 実は …》 せんせい|じつは

そう だ 　 何 か 話 が あった んじゃ ？ ||なん||はなし|||

すいません うやむやに しちゃ って

あの 　 何 だった んです か ？ |なん||ん です|

何 だった んです か って … なん||ん です||

私 は … わたくし|

たいした こと で は ございませ ぬ ゆえ

どうぞ 　 そのまま お 忘れ ください ！ |||わすれ|

な ～ んじゃ ご機嫌ななめじゃ のう ||ごきげんななめじゃ|

ああ 　 そこ で 　 鈴 屋 の 若い 衆 から もろう た ぜ よ |||すず|や||わかい|しゅう|||||

ち っく と 話 が ある ぜ よ |||はなし||||

何 か あった の か ？　 咲 なん|||||さ

兄 上 　 お 願い が ございます あに|うえ||ねがい||

≪（ 野 風 ）「 先日 の お 調べ の こと ありがとう ござ りん した 」 の|かぜ|せんじつ|||しらべ||||||

「 これ で 　 心置きなく 身 請け の 日 を 迎え られ ん す 」 ||こころおきなく|み|うけ||ひ||むかえ|||

これ で 　 野 風 と も 　 もう 会え ん ように なる のう ||の|かぜ||||あえ||よう に||

そんな 顔 する き 咲 殿 も 怒る が ぜ よ |かお|||さ|しんがり||いかる|||

え ッ ？

ほか の 女子 の ことば ー っか り 気 を 取ら れ ち ょる き ||じょし|||-|||き||とら||||

ヤキモチ じゃ

ヤキモチ って 　 何で です か ？ ||なんで||

え ッ 　 まさか 　 先生 |||せんせい

気づ い ちょ らん かった が かえ ？ きづ||||||

え ッ ？

咲 殿 は 　 どう いて 　 ここ まで さ|しんがり|||||

先生 に 親切に して くれた と 思う ち ょる が じゃ ？ せんせい||しんせつに||||おもう||||

それ は 　 医術 に 興味 が あって ||いじゅつ||きょうみ||

あ ほう が ！

好 いち ょる から じゃ ！ よしみ||||

でも 　 嫌わ れて は い ない と 思い ます けど |きらわ||||||おもい||

そういう たぐい の 好意 と 限った こと で は |||こうい||かぎった|||

信じ ん が やったら 誰 に でも 聞いて みたら えい しんじ||||だれ|||きいて||

みんな 　 わし と 同じ 答え じゃ ち 思う ぜ よ |||おなじ|こたえ|||おもう||

なんちゅう 面 じゃ |おもて|

一緒に なる 気 は ない が かえ ？　 咲 殿 と いっしょに||き|||||さ|しんがり|

《 先生 は 　 私 の 運命 を 変え ました よ 》 せんせい||わたくし||うんめい||かえ||

《 もの 言わ ぬ 写真 と やら に 問いかける より は …》 |いわ||しゃしん||||といかける||

〈 振り返って みれば 〉 ふりかえって|

〈 思い当たる こと は 山 の ように あり 〉 おもいあたる|||やま||よう に|

ない が かえ ？　 一緒に なる 気 は |||いっしょに||き|

まあ 　 えい

すま ん けん ど 　 明日 つき お うて くれ ん かのう ？ ||||あした||||||

はい

言う た ぜ よ ！ いう|||

〈 気づか なかった と は いえ 〉 きづか||||

〈 自分 は 　 どれ だけ 　 咲 さん に 酷な こと を して きた の か と …〉 じぶん||||さ|||こくな|||||||

野 風 さん 　 諦めきれ ぬ から の|かぜ||あきらめきれ||

このような こと を して いる と おっしゃった で は ないで す か

ああ …

あれ は 　 もう 　 す みん した こと ゆえ

では 　 先生 の こと は 　 もう 諦め られた と ？ |せんせい|||||あきらめ||

咲 さま は 　 あ ちき に 何 を お 聞き に なり たく ？ さ||||||なん|||きき|||

実は 　 私 に も 縁談 が きて おり まして じつは|わたくし|||えんだん||||

野 風 さん に 　 ご 相談 に の|かぜ||||そうだん|

女 郎 に 　 縁談 の ご 相談 であり ん す か ？ おんな|ろう||えんだん|||そうだん||||

野 風 さん が 　 一 番 　 分かって くださる ので は と 思った のです の|かぜ|||ひと|ばん|わかって|||||おもった|の です

同じ ような 状態 で 同じ 方 を 慕って おなじ||じょうたい||おなじ|かた||したって

… いる わけで ございます から

あの 　 こういう 気持ち と いう の は ||きもち||||

思い切って 嫁いで しまえば 忘れ られる もの な のでしょう か ？ おもいきって|とついで||わすれ|||||

私 は 　 このような こと は 初めて な ので わたくし|||||はじめて||

まったく 分から ず … |わから|

あ ちき は 　 咲 さま が 大好きであり ん すよ |||さ|||だいすきであり||

諦め られ ん した あきらめ|||

と 申せば 　 嘘 に なり ん す |もうせば|うそ||||

けん ど 　 もう 　 あ ちき に は

身 請け に いく より ほか 道 が ない のであり ん すよ み|うけ|||||どう|||||

もとより 　 女 郎 が 身 請け を 断る こと は でき ぬ 　 しきたり |おんな|ろう||み|うけ||ことわる|||||

けん ど 　 大病 など に なれば ||たいびょう|||

話 が 　 ご破算 に なる こと は あり ん す はなし||ごはさん|||||||

あ ちき は 　 それ を 狙って いた であり ん すよ |||||ねらって||||

狙って いた 　 と は ？ ねらって|||

あ ちき の 胸 に は 　 しこり が あり ん す |||むね|||||||

あ ちき の 　 お っ 母さん も 若く して 乳 に 岩 が でき |||||かあさん||わかく||ちち||いわ||

亡くなり ん した ゆえ なくなり|||

間違い なく 　 岩 だ と 思い ん して まちがい||いわ|||おもい||

お 調べ を 　 お 願 いしん した |しらべ|||ねがい||

けん ど 　 問題 は ない と 　 お 見立て で ||もんだい|||||みたて|

あ ちき の 企て の ほう が ご破算 と なり ん した |||くわだて||||ごはさん||||

しこり は 　 その後 　 大きく なったり は して おり ませ ぬ か ？ ||そのご|おおきく|||||||

南方 先生 は 　 問題 は ない と おっしゃり ん した なんぽう|せんせい||もんだい||||||

もしかすると 見立て 違い と いう こと も … |みたて|ちがい||||

先生 が 「 ない 」 と 言わ れる なら 「 ない 」 のであり ん す せんせい||||いわ||||||

でも …　 でも 　 野 風 さん ||の|かぜ|

もし そう なら 　 死 に 至る 病 です |||し||いたる|びょう|

恐ろしく は ない のです か ？ おそろしく|||の です|

看板 が … かんばん|

先生 　 咲 です 　 入り ます ！ せんせい|さ||はいり|

ああ 　 咲 さ ん |さ||

看板 が ！ かんばん|

ペニシリン の 製造 所 に 診療 所 を 移そう か と 思い まして ||せいぞう|しょ||しんりょう|しょ||うつそう|||おもい|

やけど の 患者 さん に は 　 大量の ペニシリン が 必要でしょう し ||かんじゃ||||たいりょうの|||ひつようでしょう|

その ほう が 　 効率 が いい か と |||こうりつ||||

では 　 もう 　 ここ へ は 戻って こ られ ない と いう こと です か ？ |||||もどって||||||||

すいません 　 いつも 　 いつも 　 急で |||きゅうで

あの 　 先生 |せんせい

野 風 さん を 　 もう 一 度 診て あげて ください の|かぜ||||ひと|たび|みて||

野 風 さん は 　 胸 に しこり が ある と おっしゃって い ました の|かぜ|||むね||||||||

野 風 さん に 会った んです か ？ の|かぜ|||あった|ん です|

やはり 　 お 気づき だった のです ね ||きづき||の です|

しこり が 　 すべて 岩 と は かぎり ませ ん し |||いわ||||||

乳 腺症 の 可能 性 も あり ます し ちち|せんしょう||かのう|せい||||

たとえ 　 岩 だ と して も 　 良性 の もの であれば 問題 ない んです |いわ|||||りょうせい||||もんだい||ん です

野 風 さん の 母上 は 　 乳 に できた 岩 で 亡くなった そうです の|かぜ|||ははうえ||ちち|||いわ||なくなった|そう です

子 が 親 に 似る の は 道理で ございます こ||おや||にる|||どうりで|

悪い 岩 の 可能 性 も 高い ので は ない でしょう か ？ わるい|いわ||かのう|せい||たかい|||||

そう であった に して も

私 は 　 乳 がん を 扱った 経験 は ほとんど あり ませ ん し わたくし||ちち|||あつかった|けいけん||||||

悪性 か どう か を 　 触 診 だけ で 判断 する こと なんか でき ませ ん あくせい|||||さわ|み|||はんだん||||||

乳 がん の 診断 に は この 時代 に は ない 特別な 機械 が … ちち|||しんだん||||じだい||||とくべつな|きかい|

今 まで は 　 立ち向かって らし たで は ないで す か ！ いま|||たちむかって||||||

先生 は 　 野 風 さん を 　 見殺し に しよう と した んじゃ ない んです か せんせい||の|かぜ|||みごろし|||||||ん です|

未来 さん の ため に ！ みらい||||

未来 さん が 大切な の は 分かり ます みらい|||たいせつな|||わかり|

でも 　 野 風 さん は |の|かぜ||

野 風 さん は 　 先生 の 命 を 救って くれた 方 じゃ ない んです か ！ の|かぜ|||せんせい||いのち||すくって||かた|||ん です|

野 風 さん を 　 助けて 差し上げ たい と は 思わ れ ない のです か ！？ の|かぜ|||たすけて|さしあげ||||おもわ|||の です|

鬼 　 です よ ね おに|||

私 は わたくし|

いいえ

でも 　 咲 は 　 もう |さ||

耐え られ ませ ぬ たえ|||

医術 は 　 時として いじゅつ||ときとして

体 ばかり で なく からだ|||

心 まで も 裸 に して しまい ます こころ|||はだか||||

咲 は 　 もう さ||

むきだしの 心 を |こころ|

見て は おら れ ませ ぬ みて|||||

母上 ははうえ

縁談 を すすめて ください ませ えんだん||||

正しい 分別 だ と 思い ます よ ただしい|ぶんべつ|||おもい||

はい

《 野 風 さん を 助けて 差し上げ たい と は 思わ れ ない のです か ！？》 の|かぜ|||たすけて|さしあげ||||おもわ|||の です|

《 どうか 　 お 役立て くださ ん し 》 ||やくだて|||

《 この 音 だけ が 　 あ ちき の 》 |おと|||||

《 まこと であり ん す 》

しょうがない じゃ ない か しょうが ない|||

残り の 荷物 は 徐々に 運び に き ます んで のこり||にもつ||じょじょに|はこび||||

患者 さん 達 が いらっしゃったら どのように ？ かんじゃ||さとる|||どのよう に

毎日 　 誰 かしら 来る ように し ます まいにち|だれ||くる|よう に||

患者 さん は 　 製造 所 の ほう へ 随時 　 ご 案内 し ます ので かんじゃ|||せいぞう|しょ||||ずいじ||あんない|||

寂しく なり ます ね さびしく|||

すみません 　 遅く なって しまって |おそく||

これ を

これ は ？

お 弁当 です |べんとう|

これ くらい しか 私 に は でき ませ ぬ ゆえ |||わたくし||||||

南方 先生 なんぽう|せんせい

今 まで 　 ありがとう ございました いま|||

先生 と 出会い その 医術 を 学べた こと は せんせい||であい||いじゅつ||まなべた||

私 の 人生 の 宝 で ございます わたくし||じんせい||たから||

私 に とって 　 医術 は わたくし|||いじゅつ|

生まれて 初めて 　 夢中に なり うまれて|はじめて|むちゅうに|

打ち込めた もの でした うちこめた||

中途半端な 結果 に は なって しまい ました けど ちゅうとはんぱな|けっか||||||

これ から は 　 嫁ぎ 先 の 夫 や |||とつぎ|さき||おっと|

両親 や りょうしん|

ゆくゆくは 　 子供 に |こども|

この 知識 を 使えれば と 思って おり ます |ちしき||つかえれば||おもって||

嫁ぎ 先 って ？ 縁談 が きて おり まして とつぎ|さき||えんだん||||

言おう 言おう と 思って いた のです が … いおう|いおう||おもって||の です|

私 など 　 先 様 に 断ら れる や も しれ ませ ぬ が わたくし||さき|さま||ことわら|||||||

大丈夫です よ 　 咲 さん なら だいじょうぶ です||さ||

そう でしょう か

私 は … わたくし|

咲 さん の 顔 を 見る と さ|||かお||みる|

いつも 　 ホッ と して い ました から |ほっ|||||

きっと 　 そういう 家 に なる んじゃ ない でしょう か ||いえ||||||

栄 さん 　 恭 太郎 さん さかい||きよう|たろう|

今 まで 　 本当に ありがとう ございました いま||ほんとうに||

咲 さ ん さ||

お 幸せに |しあわせに

はい

医術 で は なく いじゅつ|||

南方 先生 だった ので は ない の か ？ なんぽう|せんせい||||||

お前 が 夢中に なった の は おまえ||むちゅうに|||

咲 … さ

先生 に は せんせい||

おら れる ので ございます

その方 の ため に なら そのほう||||

鬼 に も なろう と いう 方 が おに||||||かた|

あの 　 お 優しい 先生 を ||やさしい|せんせい|

そこ まで さ せて しまわ れる 方 が ||||||かた|

私 の 出る 幕 など … わたくし||でる|まく|

いつまで 待って も |まって|

ございませ ぬ

まことに 　 ここ で 寝泊まり さ れる ので ございます か ？ |||ねとまり|||||

新しい 仁 友 堂 が できる まで です ので あたらしい|しとし|とも|どう|||||

ちなみに 　 これ は ？

咲 さん から 　 いただいて さ|||

ああ

一緒に 食べ ましょう か いっしょに|たべ||

≪（ 山田 ） 珍しい で すな 弁当 に 揚げ 出し と は やまだ|めずらしい|||べんとう||あげ|だし||

おいしい んです よ 咲 さん の 揚げ 出し |ん です||さ|||あげ|だし

お茶 を おちゃ|

《 私 の 揚げ 出し など いつでも 食べ られ ます 》 わたくし||あげ|だし|||たべ||

そ っか 　 もう 食べ られ ない って こと な んだ よ な |||たべ||||||||

どう いて 　 つき お うて くれ 言う た 日 に ||||||いう||ひ|

引っ越し する が じゃ ？ え ッ ？ ひっこし|||||

前 に 　 長 州 の 攘夷 派 の や から と 話 が できる ように なった き ぜん||ちょう|しゅう||じょうい|は|||||はなし|||よう に||

ペニシリン の 効き目 と 使い 方 を 説明 して ほしい っち 言う た が かえ ||ききめ||つかい|かた||せつめい||||いう|||

いきて た んです か ？　 その 話 ほ いたら 　 急ぐ ぜ よ ||ん です|||はなし|||いそぐ||

ちょっと 　 龍 馬 さん … |りゅう|うま|

お初 に 　 お目にかかり ます おはつ||おめにかかり|

何 を 言う ち ょる 前 に も 会う ち ょる が じゃ なん||いう|||ぜん|||あう||||

以前 　 お 会い した 坂本 殿 は いぜん||あい||さかもと|しんがり|

この 国 の ため に 　 共に 　 夷 てき を 打ち 払おう と さ れる |くに||||ともに|えびす|||うち|はらおう|||

熱き 志士 で ございました あつき|しし||

が 　 今 　 目の前 に おら れる の は |いま|めのまえ|||||

軍艦 奉行 並 　 勝 麟太郎 の 走 狗 ぐんかん|ぶぎょう|なみ|か|りんたろう||はし|く

別の 方 か と 　 お 見受け いたし ます べつの|かた||||みうけ||

相変わらず 　 嫌 みな やつ じゃ のう あいかわらず|いや||||

早く 　 ペニシリン と やら 見せよ はやく||||みせよ

これ が ？

瘡毒 を 治す こと が できる 薬 じゃ かさどく||なおす||||くすり|

これ が あれば 　 お まん の 仲間 も こ じゃ ん と 助かる のう ||||||なかま||||||たすかる|

今 から 　 見せちゃ る き いま||みせちゃ||

そい つ が 　 瘡毒 病み か ？ |||かさどく|やみ|

ああ

先生 　 頼む ぜ よ せんせい|たのむ||

はい

この 薬 を つくった 南方 と 申し ます |くすり|||なんぽう||もうし|

では 　 治療 を さ せて いただき ます |ちりょう|||||

ペニシリン を 静脈 に 注射 し ます ||じょうみゃく||ちゅうしゃ||

五 ～ 六 刻 ほど で 効果 が み られ ます いつ|むっ|きざ|||こうか||||

少し 　 チクッ と し ます すこし||||

赤み が 引いた ような … あかみ||ひいた|

ペニシリン が 瘡毒 の 菌 を 殺した んです ||かさどく||きん||ころした|ん です

この 治療 を 続ければ 瘡毒 を 治す こと が でき ます |ちりょう||つづければ|かさどく||なおす||||

いくら で 買い取れる のじゃ ？ ||かいとれる|

金 や ない きむ||

お まん ら は 　 長 州 を まとめて ||||ちょう|しゅう||

ゆくゆくは 　 幕府 相手 に |ばくふ|あいて|

戦 を 起こそう と して る が じゃ ろ いくさ||おこそう||||||

けん ど 　 お まん ら は 必ず 　 負ける ||||||かならず|まける

あほらしい 　 負ける 戦 ら は は な から 　 やめる が ぜ よ |まける|いくさ|||||||||

そんな 暇 が あったら わし と 一緒に |いとま|||||いっしょに

こん 　 ペニシリン を 夷 てき 相手 に 売りつけ |||えびす||あいて||うりつけ

金 を 巻き上げ そん金 で 船 を 造り きむ||まきあげ|そんきん||せん||つくり

世界 に 冠たる 海軍 を つくり せかい||かんたる|かいぐん||

夷 てき を 打ちか ます ぜ よ ！ えびす|||うちか|||

わし は 　 何も 変わ っ ちょ らん ||なにも|かわ|||

〈 俺 は 　 歴史 に 詳しく ない から よく 分から ない が 〉 おれ||れきし||くわしく||||わから||

〈 俺 は 　 今 　 ものすごい シーン を 見て いる ので は ない だろう か 〉 おれ||いま||しーん||みて||||||

考えて みよう かんがえて|

〈 これ は 　 維新 へ の 歴史 の 針 を 〉 ||いしん|||れきし||はり|

〈 ひと 足 とび に 　 先 へ と 進める 出来事 な ので は ない だろう か 〉 |あし|||さき|||すすめる|できごと||||||

すでに 　 ほか の 者 が … |||もの|

〈 今 まで 　 先 の こと は 考え まい 〉 いま||さき||||かんがえ|

〈 目の前 の こと だけ を 見よう と やってきた けれど 〉 めのまえ|||||みよう|||

〈 俺 に 見え ない だけ で 〉 おれ||みえ|||

〈 ああいう こと は きっと 山ほど 起こって いる 〉 ||||やまほど|おこって|

〈 歴史 を 変えて しまう と いう の は 〉 れきし||かえて|||||

〈 本当に 　 罪深い 〉 ほんとうに|つみふかい

龍 馬 さん りゅう|うま|

うん ？

申し訳 あり ませ ん 　 ペニシリン の 件 は ここ で 手 を 引か せて もらって も もうし わけ||||||けん||||て||ひか|||

い 　 いまさら 何 を 言い出す が ぜ よ 　 先生 ！ ||なん||いいだす||||せんせい

薬 で 　 こういう 駆け引き を する の は … くすり|||かけひき||||

駆け引き を せんか ったら 戦 が 起こり かけひき||||いくさ||おこり

失わ ん でも ええ 命 が 失わ れる ぜ よ うしなわ||||いのち||うしなわ|||

そう です が …

薬 は 　 命 を 救う もん じゃ くすり||いのち||すくう||

わしゃ 　 薬 を 使う て 　 前もって 命 を 救う ち ょる だけ じゃ |くすり||つかう||まえもって|いのち||すくう||||

それ の 　 どこ がいかん が じゃ

戦 で 失わ れる べき 命 は いくさ||うしなわ|||いのち|

戦 で 失わ れる べき と いう か … いくさ||うしなわ|||||

うん ？

戦 が 起こり 　 そこ で 死ぬ はずだった 男 の 人 が いくさ||おこり|||しぬ||おとこ||じん|

死な ず に 生き残ったら どう なり ます か ？ しな|||いきのこったら||||

そりゃ …

その 人 が 　 ある 女 の 人 と 子供 を つくる と し ます |じん|||おんな||じん||こども|||||

つまり 　 その 女 の 人 は 本来 　 出会う はずだった ||おんな||じん||ほんらい|であう|

男 の 人 と は 出会わ なく なり 生まれる はずだった 子供 は おとこ||じん|||であわ|||うまれる||こども|

生まれ なく なる かも しれ ない んです うまれ||||||ん です

私 は 　 やはり 　 これ は いい こと だ と は … わたくし|||||||||

先生 の 言おう と して る こと は いまひとつ 分から ん けん ど せんせい||いおう|||||||わから|||

そもそも 　 その 生まれる 子 の 父 と 母 に なる はず やった もん ら は ||うまれる|こ||ちち||はは|||||||

はじめ から 出会わ ん が やろう ？ ||であわ|||

父 と 母 も おら ん 生まれる 子 も おら ん ちち||はは||||うまれる|こ|||

その 子 が 生まれ ん こと で |こ||うまれ|||

悲しむ もん も 　 困る もん も 誰 っちゃ おら ん ぜ よ かなしむ|||こまる|||だれ|||||

それ は 　 そう な んです けど … ||||ん です|

先生 は 　 一体 どう いて そんな こと 言い出す が ぜ … せんせい||いったい|||||いいだす||

《 乙女 さん って いう 　 男 勝 り の お 姉さん 　 いらっしゃい ます か ？》 おとめ||||おとこ|か||||ねえさん|||

《 そんな こと を して は 　 歴史 が …》 |||||れきし|

先生 せんせい

もし かして 　 先生 は … ||せんせい|

わし ら の 運命 を 知 っち ょる が かえ |||うんめい||ち||||

龍 馬 さん ！ りゅう|うま|

先生 　 わし は 　 あっ ち に 行く き せんせい||||||いく|

その 間 に 　 逃げ え でも … |あいだ||にげ||

行く ぜ よ ！ いく||

龍 馬 さん ！ りゅう|うま|

うわ ーーーッ ！ |---ッ

〈 俺 が …〉 おれ|

〈 歴史 の 時計 の 針 を 進めた 　 ツケ 〉 れきし||とけい||はり||すすめた|つけ

〈 その ツケ が 　 龍 馬 さん に まわった と いう こと か 〉 |つけ||りゅう|うま|||||||

《 南方 仁 が おれば 坂本 龍 馬 は 死な ん ！》 なんぽう|しとし|||さかもと|りゅう|うま||しな|

《 助け ます よ 　 俺 が 　 この 手 で 》 たすけ|||おれ|||て|

龍 馬 さん りゅう|うま|

何 しちゅう 　 先生 ！　 戻る ぜ よ ！ なん||せんせい|もどる||

死んで は いけ ませ ん しんで||||

坂本 龍 馬 は 　 こんな ところ で さかもと|りゅう|うま||||

何 を 言う ち ょる … なん||いう||

先生 ！ せんせい

戻る ぜ よ 　 先生 ！ もどる|||せんせい

戻る ぜ よ ！ もどる||

龍 馬 さん … りゅう|うま|

龍 馬 さん ！ りゅう|うま|