RDG : Red Data Girl Episode 1

変わり たい かわり|

このまま じゃ 私 … ||わたくし

君 の 声 が 呼び 合う その 光 へ きみ||こえ||よび|あう||ひかり|

薄 絹 越し に 今 世界 を 見つめ てる うす|きぬ|こし||いま|せかい||みつめ|

飛べ ない 籠 の 中 羽 を 縮め て とべ||かご||なか|はね||ちぢめ|

風 渡る 森 へ と 咲き 継ぐ 花 たち の かぜ|わたる|しげる|||さき|つぐ|か||

呼吸 を 真似 し て 羽 を そっと 揺らせ ば こきゅう||まね|||はね|||ゆらせ|

ほら 君 の 声 が |きみ||こえ|

固く 閉じ た まま うずくまる かたく|とじ|||

この 足元 照らす よ |あしもと|てらす|

刻ま れ た 未来 が 遠く 見え ない 場所 でも きざま|||みらい||とおく|みえ||ばしょ|

恐れ を 脱ぎ捨て て 君 の 元 へ おそれ||ぬぎすて||きみ||もと|

触れ合わ なく て も 伝わる 確か な 想い が ふれあわ||||つたわる|たしか||おもい|

何度 でも 向かう 強 さ に なる なんど||むかう|つよ|||

変わって ゆく ため に かわって|||

奈良 県 南部 は 晴れ なら|けん|なんぶ||はれ

気持ち の いい 一 日 と なる でしょ う きもち|||ひと|ひ||||

三重 県 北部 は 晴れ みえ|けん|ほくぶ||はれ

佐和 さん 行って き ます さわ||おこなって||

今日 は ところ に より きょう||||

はい

雲 も 出 ます が 天気 の 崩れ は ない でしょ う くも||だ|||てんき||くずれ||||

泉 水子 さん 今日 は 蒸し ケーキ を 作って おき ます ね いずみ|みずこ||きょう||むし|けーき||つくって|||

本当 ？ ほんとう

ああ … 髪 … |かみ

ちょっと だけ 切った の ||きった|

うっとうしかった し

紫 子 さん に なんて 言え ば いい かし … むらさき|こ||||いえ|||

行って き ます おこなって||

行って き ます お じいちゃん おこなって||||

泉 水子 いずみ|みずこ

その 髪 … |かみ

お 待た せ し まし た |また||||

野々 村 さん お 父さん は 結局 アメリカ から 帰って 来 られ ない の ？ のの|むら|||とうさん||けっきょく|あめりか||かえって|らい|||

お 母さん が 帰って 来 られ ない の は 分かる けど |かあさん||かえって|らい|||||わかる|

大成 さん は 急 な お 仕事 が 入った と 聞い て い ます たいせい|||きゅう|||しごと||はいった||ききい|||

二 者 面談 が ある のに … ふた|もの|めんだん|||

髪 は ？ かみ|

泉 水子 さん の 前髪 は それ と 関係 が ？ いずみ|みずこ|||まえがみ||||かんけい|

そう じゃ ない … けど

外 津川 高校 に 行ったら 寮 暮らし も し たい し がい|つがわ|こうこう||おこなったら|りょう|くらし||||

すこし は 変わら なきゃ って ||かわら||

外 津川 ？ がい|つがわ

お 父さん が 東京 の 高校 に 行か せ た がって る の は 知って る けど |とうさん||とうきょう||こうこう||いか|||||||しって||

無理 むり

と いう か 嫌 な の 絶対 に |||いや|||ぜったい|

やっぱり 変 かな … |へん|

う うん イメージ が 全然 違う よ ||いめーじ||ぜんぜん|ちがう|

前 より ずっと 今風 に なった ぜん|||いまふう||

その ほう が いい よ

本当 は 春 っち み たい な 髪 型 に し たかった ん だ けど ほんとう||はる|||||かみ|かた||||||

私 の 行って る お 店 に 連れ て まま て あげよ う か わたくし||おこなって|||てん||つれ||||||

泉 水子 が 休日 に 神社 から 出 て 来 れ れ ば だ けど いずみ|みずこ||きゅうじつ||じんじゃ||だ||らい|||||

あ … うん 行き たい けど … ||いき||

せっかく 髪 切った ん だ し |かみ|きった|||

もっと 普通 の 女の子 らしく な ろ う よ |ふつう||おんなのこ|||||

そう そう 外 津川 に 行ったら その 引っ込み思案 を 何とか し ない と ||がい|つがわ||おこなったら||ひっこみじあん||なんとか|||

明るい 青春 は やって こ ない よ あかるい|せいしゅん|||||

そう だ よ ね 何とか し ない と ||||なんとか|||

それ ぐらい 避けろ う よ ||さけろ||

謝る の が 先 でしょ う 三崎 あやまる|||さき|||みさき

そう だ よ 泉 水子 は 球技 だめ な ん だ から |||いずみ|みずこ||きゅうぎ|||||

私 平気 だ から わたくし|へいき||

う わ 注 連 縄 に 庇 が でき てる ||そそ|れん|なわ||ひさし|||

だっせ え の

もう 許さ ない |ゆるさ|

そんな こと 言って 何 が 面白い わけ ？ ||いって|なん||おもしろい|

そう よ ボール に し た って わざと やって る ん じゃ ない でしょ う ね ||ぼーる|||||||||||||

わざと だったら それ いじめ だ から

いい と 思う けど 僕 は ||おもう||ぼく|

和 宮 君 … わ|みや|きみ

ほん と 最悪 ||さいあく

泉 水子 ？ いずみ|みずこ

どう し た の ？ 当たった ところ 痛む ？ ||||あたった||いたむ

私 野々 村 さん に お 願い し て みる わたくし|のの|むら||||ねがい|||

一 度 休日 に 送って くれ ない か って ひと|たび|きゅうじつ||おくって||||

ああ いつも 運転 し て くれ てる 人 ？ ||うんてん|||||じん

うん これ まで 頼 ん だ こと なかった けれど |||たの|||||

いきなり 前向き に なった ね |まえむき|||

携帯 の アドレス 教え て メアド 持って た よ ね けいたい||あどれす|おしえ|||もって|||

ごめん 前 の 壊れ ちゃ って まだ 新しく し て ない の |ぜん||こぼれ||||あたらしく||||

あれ ？ この 間 新しい の を 買った ん じゃ なかった ？ ||あいだ|あたらしい|||かった|||

それ から また だめ に なって

うそ じゃあ 早く 買って もらい な ね ||はやく|かって|||

六 月 の 修学 旅行 に つい て むっ|つき||しゅうがく|りょこう|||

行き たい 場所 や し たい こと を いき||ばしょ|||||

ネット で 調べ て レポート に まとめ て ください ねっと||しらべ||れぽーと||||

泉 水子 どう する ？ いずみ|みずこ||

お 願い 清書 の ほう は 二 人 分 やる から |ねがい|せいしょ||||ふた|じん|ぶん||

は いはい

新宿 の 地図 を 出せ ば いい かな しんじゅく||ちず||だせ|||

それ と 観光 協会 の ホームページ ||かんこう|きょうかい||ほーむぺーじ

でも さ 泉 水子 は なんで ネット が 苦手 な の ？ ||いずみ|みずこ|||ねっと||にがて||

すごく 時間 が かかっちゃ う の |じかん||||

私 だ と こんな 早く 出 て こ ない わたくし||||はやく|だ|||

そう だ っけ ？

あなた たち でき ない こと は 他 人任せ ？ ||||||た|ひとまかせ

いい じゃ ない サボって る わけ じゃ ない ん だ し |||さぼって|||||||

好き な だけ 楽 を し て い れ ば すき|||がく||||||

私 に は そうして ずる け て いる 人 の 気 が 知れ ない けど わたくし||||||||じん||き||しれ||

言わ せ て おこ う 気 に し ない いわ|||||き|||

うん

お前 そんな とこ どう やって 行く 気 だ よ おまえ|||||いく|き||

そんな ん 一 発 だって ||ひと|はつ|

自由 時間 だって 二 時間 しか ねえ し じゆう|じかん||ふた|じかん|||

そんな だけ ありゃ 行け ん じゃ ねえ |||いけ|||

まじ か よ

春 っち はる|

うん ？

私 やっぱり 自分 で やって みる ね わたくし||じぶん||||

気 に し てる の さっき の 嫌味 き|||||||いやみ

本当の こと だ も の ほんとうの||||

う わ 注 連 縄 に 庇 が でき てる ||そそ|れん|なわ||ひさし|||

だせ え な

私 に は そうして ずる け て いる 人 の 気 が 知れ ない けど わたくし||||||||じん||き||しれ||

もっと 普通 の 女の子 らしく な ろ う よ |ふつう||おんなのこ|||||

その 引っ込み思案 を 何とか し ない と |ひっこみじあん||なんとか|||

明るい 青春 は やって こ ない よ あかるい|せいしゅん|||||

いい と 思う けど 僕 は ||おもう||ぼく|

お 父さん ？ |とうさん

あれ ？ 泉 水子 |いずみ|みずこ

ビデオ チャット なんか 使える よう に なった ん だ ね びでお|||つかえる||||||

お 父さん 本当 に お 父さん な の ？ |とうさん|ほんとう|||とうさん||

今 どこ に いる の ？ いま||||

会社 だ よ かいしゃ||

面談 の こと ごめん ね めんだん||||

サーバー の ダウン … ||だうん

まあ つまり アクシデント が あって ね

Is that your girlfriend ?

Yeah

We ' ve been together for fifteen years

やっぱり 帰れ ない の ？ |かえれ||

ごめん よ

でも 相楽 君 が そっち に 向かった から |さがら|きみ||||むかった|

きっと もう 着 い て いる 頃 だ よ ||ちゃく||||ころ||

相楽 さん が 来 た って 保護 者 じゃ ない のに さがら|||らい|||ほご|もの|||

だめ かな …

それ なら 東京 の 高校 と いう 話 も なし に し て ね ||とうきょう||こうこう|||はなし||||||

その ところ は ぜひ 行く 気 に なって ほしい ん だ よ ||||いく|き||||||

鳳城 学園 と いう ん だ おおとりしろ|がくえん||||

どういう 名前 でも いや |なまえ||

でも ね 泉 水子 の ため に ある と 言って いい 学校 な ん だ よ ||いずみ|みずこ||||||いって||がっこう||||

お 母さん だって 賛成 し てる し |かあさん||さんせい|||

お 母さん と 会った の ？ |かあさん||あった|

いや きっと 賛成 を … ||さんせい|

泉 水子 その 髪 … いずみ|みずこ||かみ

お 父さん 私 もう 自分 で 自分 の こと を 決め られる の |とうさん|わたくし||じぶん||じぶん||||きめ||

面談 に 来 て も くれ ない で 勝手 に 話 を 決め られ て も 困る の めんだん||らい||||||かって||はなし||きめ||||こまる|

私 は 外 津川 に 行く から わたくし||がい|つがわ||いく|

泉 水子 … いずみ|みずこ

あれ 私 どうして 今 お 父さん と … |わたくし||いま||とうさん|

落ち着 い て 聞き なさい おちつ|||きき|

うそ だって こんな こと ある はず ない

どうして ？

電源 でんげん

あら 早く 電源 を 切ら なきゃ |はやく|でんげん||きら|

あれ

春 っち も ？ はる||

先生 パソコン の 電源 が 落ち て 動き ませ ん せんせい|ぱそこん||でんげん||おち||うごき||

こっち も です

どういう こと 一体 ||いったい

電源 ボタン を 押し て も 起動 し ませ ん でんげん|ぼたん||おし|||きどう|||

鈴 原 さん ？ すず|はら|

泉 水子 何 ？ いずみ|みずこ|なん

どう し た の ？

泣 い て ない で 何 が あった か 言って ちょうだい なき|||||なん||||いって|

わ た … わたし が

鈴 原 さん が これ を し た の ？ すず|はら|||||||

中村 先生 着陸 要請 の ヘリコプター から 鈴 原 さん に 用 が ある と なかむら|せんせい|ちゃくりく|ようせい||へりこぷたー||すず|はら|||よう|||

泉 水子 迎え に 来 た よ いずみ|みずこ|むかえ||らい||

私 が 来 たから もう 心配 いら ない 全て 任せ なさい わたくし||らい|||しんぱい|||すべて|まかせ|

相楽 さん 帰って い た の さがら||かえって|||

空港 に 到着 し た ばかり だった くうこう||とうちゃく||||

タイミング が 良かった ね たいみんぐ||よかった|

鈴 原 さん この 方 本当 に 鈴 原 さん の お 知り合い すず|はら|||かた|ほんとう||すず|はら||||しりあい

はい

でも とても 保護 者 と いう ふう に は ||ほご|もの|||||

そう です か

学校 で は 事故 防止 の ため 生徒 の ご 家族 で ない と 引き渡し に は 応じ られ ない の です がっこう|||じこ|ぼうし|||せいと|||かぞく||||ひきわたし|||おうじ||||

校長 先生 です か こうちょう|せんせい||

私 は 鈴 原 大 生 の 友人 で 相楽 雪 政 と 申し ます わたくし||すず|はら|だい|せい||ゆうじん||さがら|ゆき|まつりごと||もうし|

関根 です せきね|

こちら は 担任 の 中村 ||たんにん||なかむら

鈴 原 から は 泉 水子 を 頼む と 言わ れ て い ます すず|はら|||いずみ|みずこ||たのむ||いわ||||

あいにく 身元 を 証明 する もの は 持って い ませ ん が |みもと||しょうめい||||もって||||

失礼 です が 相楽 さん は お いく つ です か しつれい|||さがら|||||||

今年 で 三十三 に なり ます ことし||さんじゅうさん|||

これ でも 泉 水子 と 同い年 の 息子 が いる ん です よ ||いずみ|みずこ||おないどし||むすこ|||||

本当 な の ほんとう||

はい

これ で 父親 代理 の 件 は 解決 です ね ||ちちおや|だいり||けん||かいけつ||

和 宮 くん に 見 られ た かな わ|みや|||み|||

お じいちゃん は 本当 に いい と 言った の |||ほんとう||||いった|

ヘリコプター で 来る こと へりこぷたー||くる|

もちろん だ よ 非常 事態 だった から ね |||ひじょう|じたい|||

パソコン を 壊し た こと も 知って る の ね ぱそこん||こわし||||しって|||

それ なら 気 に 病ま なく て いい よ ||き||やま||||

大 生 なら 何と でも できる だい|せい||なんと||

パソコン で 話し た こ と 一 度 も なかった のに ぱそこん||はなし||||ひと|たび|||

私 が 触って も 動か なく なる だけ だった のに わたくし||さわって||うごか|||||

周り は なにも 変わって い ない まわり|||かわって||

急に 変わった と すれ ば 君 の 方 だ きゅうに|かわった||||きみ||かた|

例えば 髪 を 切った こと と か たとえば|かみ||きった|||

紫 子 さん は いい と 言った の かい むらさき|こ|||||いった||

何で お 母さん の 話 が 出 て くる の なんで||かあさん||はなし||だ|||

君 の 三 つ 編み を 最初 に 編 ん だ の が 紫 子 さん だ から だ よ きみ||みっ||あみ||さいしょ||へん|||||むらさき|こ|||||

それ に 髪 は 霊 力 の 源 と 言わ れ て いる から ね ||かみ||れい|ちから||げん||いわ|||||

私 に 霊 力 が ある と いう 意味 わたくし||れい|ちから|||||いみ

例えば の 話 だ よ たとえば||はなし||

髪 を 切 ろ う と 考える こと 自体 君 が 今 まで と は 異なる 証拠 だ かみ||せつ||||かんがえる||じたい|きみ||いま||||ことなる|しょうこ|

少し 会わ なかった だけ で どこ か 見違える よう な 気 が する な すこし|あわ||||||みちがえる|||き|||

私 おかしい の か な わたくし||||

普通 の 女の子 の 暮らし を し たい だけ な のに ふつう||おんなのこ||くらし||||||

地元 の 外 津川 高校 に 通え ば それ が できる の かい じもと||がい|つがわ|こうこう||かよえ||||||

と 思う の |おもう|

分かった わかった

私 だって 泉 水子 の 幸せ を 最 優先 に し ない 訳 じゃ ない の だ よ わたくし||いずみ|みずこ||しあわせ||さい|ゆうせん||||やく|||||

明日 に なれ ば 援軍 も やって くる あした||||えんぐん|||

どれ だけ 頼り に なる か は 未知 数 だ けど ね ||たより|||||みち|すう|||

鈴 原 泉 水子 すず|はら|いずみ|みずこ

あの どなた です か

ま じ で 鈴 原 泉 水子 な の か |||すず|はら|いずみ|みずこ|||

せっかく の 休み に こんな 所 まで 呼び出さ れ て ||やすみ|||しょ||よびださ||

お前 が ！ 信じ られ ない おまえ||しんじ||

どうして これ が こんな の が 「 姫 神 」 だって 言え る ん だ ||||||ひめ|かみ||いえ|||

「 姫 神 」 ひめ|かみ

どこ へ 行って る ん だ 勝手 に 歩き回る ん じゃ ない ||おこなって||||かって||あるきまわる|||

あっ 泉 水子 こいつ の こと を 覚え て いる かい |いずみ|みずこ|||||おぼえ|||

深 行 だ よ 会う の は 十 年 ぶり 近く なる か ふか|ぎょう|||あう|||じゅう|とし||ちかく||

お っ 覚え て ませ ん ||おぼえ|||

深 行 は ふか|ぎょう|

お下げ だけ だ おさげ||

まさか 未 だに お下げ の まま で 山 の 中 に しか 見かけ ない タイプ と は 知ら なかった |み||おさげ||||やま||なか|||みかけ||たいぷ|||しら|

口 の 利き 方 に 気 を つける ん だ くち||きき|かた||き||||

深 行 に は 援軍 と し て 来 て もらった つもり だった ん だ が ね ふか|ぎょう|||えんぐん||||らい||||||||

ま ぁ ま ぁ 深 行く ん 驚 い た なんて 大きく なって ||||ふか|いく||おどろ||||おおきく|

ご無沙汰 し て い ます ごぶさた||||

昔 は 片時 も じ ー っと し て い られ なかった やんちゃ な 男の子 で むかし||かたとき|||-|||||||||おとこのこ|

ご 神木 に 登って 下り られ なく なったり |しんぼく||のぼって|くだり|||

泉 水子 さん など 泣か さ れ て ばかり い て いずみ|みずこ|||なか||||||

どう し た もの やら と 思って い た のに ||||||おもって|||

今 で こそ 少し は マシ に なり まし た けど ね いま|||すこし||||||||

そう そう 蒸し ケーキ が あり ます よ ||むし|けーき||||

大好き だった でしょ う 深 行く ん だいすき||||ふか|いく|

社務所 から 取って 来 ます ね しゃむしょ||とって|らい||

ありがとう ござい ます

どういう つもり な ん だ よ

何 の こと かな なん|||

急に 父親 ズラ なんか し て きゅうに|ちちおや||||

大体 援軍 って 何 の つもり だ よ だいたい|えんぐん||なん||||

泉 水子 は 深 行 を 見 て どう 思った かな いずみ|みずこ||ふか|ぎょう||み|||おもった|

こいつ と 仲良く でき そう かい ||なかよく|||

えっ いいえ あの

彼女 は こういう 女の子 な ん だ 深 行 に も 分かった だ ろ う かのじょ|||おんなのこ||||ふか|ぎょう|||わかった|||

その 見合い み たい な 言い 方 を やめろ よ |みあい||||いい|かた|||

鳥肌 が 立つ ん だ けど とりはだ||たつ|||

見合い なんて とんでもない みあい||

第 一 身分 が 違い すぎる だい|ひと|みぶん||ちがい|

深 行 が なれる と し たら せいぜい 下 僕 と 弁える ん だ な ふか|ぎょう|||||||した|ぼく||わきまえる|||

は ー 何 か 今 とんでもなく 時代 錯誤 な 単語 を 聞い た 気 が する |-|なん||いま||じだい|さくご||たんご||ききい||き||

言葉 は 消え て も 関係 性 は 続く ことば||きえ|||かんけい|せい||つづく

泉 水子 に は 選択 権 が あって 我々 に は ない いずみ|みずこ|||せんたく|けん|||われわれ|||

弁えろ と いう の は そういう 意味 だ わきまえろ||||||いみ|

これ が 「 姫 神 」 だ から と か 何とか そういう トン デモ 話 を し て いる の か ||ひめ|かみ|||||なんとか||とん|でも|はなし||||||

泉 水子 は 守り 育て られる 定 め の 女の子 で は ある いずみ|みずこ||まもり|そだて||てい|||おんなのこ|||

それ も 多く の 人間 に ||おおく||にんげん|

こんな の が

私 だって そんな 話 聞い た こと も あり ませ ん わたくし|||はなし|ききい||||||

別に 知ら なく て も かまわ ない ん だ よ べつに|しら||||||||

これ は 我々 の 側 の 問題 な の だ から ||われわれ||がわ||もんだい||||

ちょっと 待て 我々 と は 俺 も 入って いる の か |まて|われわれ|||おれ||はいって|||

当然 だ 何の ため に 連れ て 来 た と 思って いる とうぜん||なんの|||つれ||らい|||おもって|

予定 で は 泉 水子 も 深 行 も 東京 の 鳳城 学園 に 進学 し て よてい|||いずみ|みずこ||ふか|ぎょう||とうきょう||おおとりしろ|がくえん||しんがく||

そこ で 顔 を 合わせ れ ば すむ はず だった ||かお||あわせ|||||

でも どうやら そういう 訳 に は 行か ない と 分かって ね |||やく|||いか|||わかって|

泉 水子 が 地元 の 高校 が いい と 言う の なら 尊重 し ない 訳 に は 行か ない いずみ|みずこ||じもと||こうこう||||いう|||そんちょう|||やく|||いか|

泉 水子 が 慣れる ため に も 深 行 は 今 すぐ こちら に 転校 する の が いい いずみ|みずこ||なれる||||ふか|ぎょう||いま||||てんこう||||

転校 ？ てんこう

おい 雪 政 |ゆき|まつりごと

頭 が おかしい ん じゃ ない の か あたま|||||||

お前 の 一生 は 泉 水子 に 付き添う ため に ある おまえ||いっしょう||いずみ|みずこ||つきそう|||

どこ の 誰 が は いはい と 従う ん だ よ ||だれ|||||したがう|||

こんな こんな 見栄え の し ない の を 相手 に し て ||みばえ||||||あいて|||

私 だって 嫌 です わたくし||いや|

深 行く ん ふか|いく|

ああ 竹 臣 さん |たけ|しん|

ちょっと その辺 を 歩 い て き ます |そのへん||ふ||||

少し 話し た だけ だ が 相楽 くん の 息子 は よい 資質 を 持って いる よう だ ね すこし|はなし|||||さがら|||むすこ|||ししつ||もって||||

十 三 歳 で 峰 入り 修行 を 果たし た そう です から ね じゅう|みっ|さい||みね|はいり|しゅぎょう||はたし|||||

羽黒 で なく うち に 来 れ ば よかった のに はぐろ|||||らい||||

相楽 さん が 私 を 守り 育てる 女の子 だ と 言った の は どうして さがら|||わたくし||まもり|そだてる|おんなのこ|||いった|||

深 行く ん が 私 の 下 僕 だ と か どうして そんな こと が 言え る の か な ふか|いく|||わたくし||した|ぼく||||||||いえ||||

それ は だ な

相楽 くん が 山伏 だ から だ さがら|||やまぶし|||

山伏 やまぶし

な っ なんて こと

一 度 修行 した こと が ある から と 増長 し た の です よ ひと|たび|しゅぎょう|||||||ぞうちょう|||||

裏 の 崖 を 滑落 し まし た ね うら||がけ||かつらく||||

探し に 行って よかった さがし||おこなって|

早く 手当て を はやく|てあて|

あー その 前 に 深 行 ||ぜん||ふか|ぎょう

こちら の 中学 に 転校 する こと に し まし た ||ちゅうがく||てんこう||||||

しばらく は ご 迷惑 を お かけ し ます が よろしく お 願い し ます |||めいわく|||||||||ねがい||

勉強 は どこ でも でき ます べんきょう|||||

ここ で は それ 以外 の こと を やろう と ||||いがい|||||

怪我 を した こと で 改めて 自分 の 不 甲斐 な さ を 思い知り まし た けが|||||あらためて|じぶん||ふ|かい||||おもいしり||

夕 ご飯 が こんなに にぎやか な の は 久しぶり ゆう|ごはん|||||||ひさしぶり

紫 子 さん も ね 帰って 来 られ れ ば よかった のに むらさき|こ||||かえって|らい|||||

お 母さん 今 どこ だ っけ |かあさん|いま|||

岡山 らしい と は 聞い て いる が おかやま||||ききい|||

すぐ 東京 に 戻る の だ ろ う |とうきょう||もどる||||

そう

深 行 も 普段 一 人 だ から 団欒 と いう もの に 飢え て いる ん です よ ふか|ぎょう||ふだん|ひと|じん|||だんらん|||||うえ|||||

よかった な

はい

深 行く ん おかわり は ふか|いく|||

はい いただき ます

いっ 痛む の |いたむ|

さっき 薬 を 飲 ん だ |くすり||いん||

本当 は 転校 し てき たく ない ん でしょ う ほんとう||てんこう|||||||

どうして

殺さ れる より マシ だった ころさ||||

雪 政 は どう かし て いる ゆき|まつりごと|||||

だけど 俺 だって この 程度 で 諦め られる もん か |おれ|||ていど||あきらめ|||

戦って やる 必ず たたかって||かならず

お じいちゃん に 正直 に 言え ば |||しょうじき||いえ|

仕切って いる の は 雪 政 だ 無駄 だ よ しきって||||ゆき|まつりごと||むだ||

でも

あー お前 は 何も 知ら ない し 何も でき ない し 何も 自分 で は した こと が ない |おまえ||なにも|しら|||なにも||||なにも|じぶん||||||

だから 自分 で 考えよ う と も し ない ん だ な |じぶん||かんがえよ||||||||

ち が っ

俺 は そういう 奴 に は 一 番 むかつく ん だ おれ|||やつ|||ひと|ばん|||

私 だって 変わら なきゃ と 思って る もの わたくし||かわら|||おもって||

思って る だけ で 何も し て ない って こと だ おもって||||なにも||||||

そんな 態度 とって も いい の |たいど||||

雪 政 に 言い付け たかったら 言い付け れ ば いい さ ゆき|まつりごと||いいつけ||いいつけ||||

取れよ 取れ ったら とれよ|とれ|

どうして 取ら ない ん だ よ |とら||||

言い付け たけ れ ば 言い付けろ よ いいつけ||||いいつけろ|

前 に 神社 に 来 た とき ボール を ぶつけ て いじめ られ た の よ 何度 も ぜん||じんじゃ||らい|||ぼーる|||||||||なんど|

ああ 思い出し た |おもいだし|

恐ろしく 出来 の 悪い お下げ の 子 が いる から 鍛え て やろう と 思った ん だ おそろしく|でき||わるい|おさげ||こ||||きたえ||||おもった||

下 僕 だ の 何 だ の じゃ なく て な した|ぼく|||なん||||||

今 で は 到底 そんな こと 考え ない よ いま|||とうてい|||かんがえ||

雪 政 は お前 の 進路 を 一大事 み たい に 考え て いる が な ゆき|まつりごと||おまえ||しんろ||いちだいじ||||かんがえ||||

お前 の どこ に それ だけ の 価値 が ある ん だ おまえ|||||||かち||||

私 だって 自分 に 価値 が ある なんて 思って い ない わたくし||じぶん||かち||||おもって||

その 点 で は 意見 が 一致 し た な |てん|||いけん||いっち|||

転校 生 を 紹介 し ます てんこう|せい||しょうかい||

相楽 深 行く ん さがら|ふか|いく|

家庭 の 事情 で 玉 倉 神社 に 居候 の 身 です かてい||じじょう||たま|くら|じんじゃ||いそうろう||み|

おかげ で 鈴 原 さん に は 頭 が 上がり ませ ん が ||すず|はら||||あたま||あがり|||

ほか の 皆さん は どうぞ よろしく ||みなさん|||

誰 か が 私 を 呼ぶ の だれ|||わたくし||よぶ|

どこ か で 私 を 呼ぶ |||わたくし||よぶ

遠く から 近づ い てる とおく||ちかづ||

優しい 響き やさしい|ひびき

心 動き出し て こころ|うごきだし|

一 つ 教え て ひと||おしえ|

この 切ない 予感 の 前 で |せつない|よかん||ぜん|

まだ 知ら ず に い た |しら||||

思い が 広まり かけ てる の おもい||ひろまり|||

夢見 て い た 自由 に ゆめみ||||じゆう|

戸惑い がち の まま とまどい|||

小さな 声 で 願う ちいさな|こえ||ねがう

みんな と 一緒 に ||いっしょ|

笑い 合い たい ね わらい|あい||