Grisaia no Kajitsu Episode 12 Grisaia no Kajitsu Episode 12

転落 十三 日 目 てんらく|じゅうさん|ひ|め

誰 か 来 て 古 森 が 古 森 が だれ||らい||ふる|しげる||ふる|しげる|

古 森 さん が 花 の 芽 を 食べ て 倒れ た ふる|しげる|||か||め||たべ||たおれ|

ここ に 来 て から 何 日 たった の か な ||らい|||なん|ひ||||

十三 日 目 だ よ おとなしく 寝 て な じゅうさん|ひ|め||||ね||

伊吹 は ビタミン 不足 で 意識 が 混濁 する 時間 が 増え た いぶき||びたみん|ふそく||いしき||こんだく||じかん||ふえ|

桜井 さん は 敗血症 の 症状 を 見せ さくらい|||はいけつしょう||しょうじょう||みせ

広岡 さん は もう 反応 すら し なかった ひろおか||||はんのう|||

もう 限界 だ よ |げんかい||

このまま 目 を 閉じ て |め||とじ|

心臓 が 止まって くれ れ ば どれ だけ 楽 だ ろ う しんぞう||とまって||||||がく|||

諦める の は 早い わ あきらめる|||はやい|

まだ 地獄 で は ない |じごく|||

まだ 生き残る 価値 の ある 世界 だ わ |いきのこる|かち|||せかい||

空腹 は 極限 まで 達し て い た くうふく||きょくげん||たっし|||

わずか に 肉 を 食べ た こと が かえって 食料 へ の 思い を 強く し た ||にく||たべ|||||しょくりょう|||おもい||つよく||

どう すれ ば 助かる ん だ ろ う |||たすかる||||

ユージ

弟 の 名前 よ おとうと||なまえ|

風見 ユージ かざみ|

そう それ が 私 の 弟 の 名前 |||わたくし||おとうと||なまえ

生き て 帰る こと が 出来 たら 紹介 し て あげる わ いき||かえる|||でき||しょうかい||||

きっと 気 に 入る はず よ |き||はいる||

楽しみ だ な きっと だ よ たのしみ|||||

ええ 約束 する わ |やくそく||

やった

戻って こ れ た ぞ もどって||||

先生 せんせい

そう か 失敗 し た ん だ ||しっぱい||||

広岡 さん 広岡 さん ひろおか||ひろおか|

その 日 の 夕方 広岡 さん が 息 を 引き取った |ひ||ゆうがた|ひろおか|||いき||ひきとった

俺 が 墓 を 掘って 埋め て くる おれ||はか||ほって|うずめ||

私 たち は 皆 おかしく なって い た わたくし|||みな||||

誰 か が 言い出せ ば 仕方 が ない と いう 空気 が そこ に は あった だれ|||いいだせ||しかた|||||くうき|||||

私 は なんて 卑しい 女 な の だ ろ う わたくし|||いやしい|おんな|||||

人 は 生き て い れ ば 必ず 死ぬ じん||いき|||||かならず|しぬ

それ は この 世界 の 絶対 的 な ルール |||せかい||ぜったい|てき||るーる

今日 桜井 先輩 と 古 森 さん が 死 ん だ きょう|さくらい|せんぱい||ふる|しげる|||し||

桜井 先輩 は 敗血症 さくらい|せんぱい||はいけつしょう

古 森 さん は 自殺 だった ふる|しげる|||じさつ|

もう 悲しい と か かわいそう と か いう 気持ち は ない |かなしい|||||||きもち||

一 人 分 の 食い 扶持 が 浮 い た と 思う だけ だ ひと|じん|ぶん||くい|ふち||うか||||おもう||

金田 先輩 は 傷口 の 蛆 を 食べ て い た かなだ|せんぱい||きずぐち||うじ||たべ|||

彼女 も 完全 に おかしく なって いる かのじょ||かんぜん||||

デリシャス

恐怖 や 飢え から 逃避 する ため きょうふ||うえ||とうひ||

私 たち は 信じ られ ない こと を 考え 始め た わたくし|||しんじ|||||かんがえ|はじめ|

私 の 代わり に 誰 か が 死ね ば 私 たち は 助かる かも しれ ない わたくし||かわり||だれ|||しね||わたくし|||たすかる|||

ねぇ あんた 早く 死に な よ ||はやく|しに||

キミ こそ 遠慮 し ない で さっさと 死に な よ きみ||えんりょ|||||しに||

死 ん で は ダメ よ し||||だめ|

先生 が 鹿 を 捉え た わ これ を 食べ て 元気 を 出し なさい せんせい||しか||とらえ|||||たべ||げんき||だし|

一 姫 鹿 の お 肉 だ よ 部長 と 先生 が 捕まえ た ん だ って ひと|ひめ|しか|||にく|||ぶちょう||せんせい||つかまえ||||

私 は いい わ 迂闊 に 肉 を 食べる と 肝炎 に なる から わたくし||||うかつ||にく||たべる||かんえん|||

火 を 通し てる から 大丈夫 だ よ ひ||とおし|||だいじょうぶ||

私 は まだ 死に たく ない し わたくし|||しに|||

生き残った あと 苦しむ の も ゴメン だ わ いきのこった||くるしむ|||||

私 は 一 姫 を 裏切る よう な 真似 を する 気 に は なれ ず わたくし||ひと|ひめ||うらぎる|||まね|||き||||

肉 を 断腸 の 思 い で 諦め た にく||だんちょう||おも|||あきらめ|

そして その 日 の 夜 ||ひ||よ

天 音 起き なさい てん|おと|おき|

一 姫 ひと|ひめ

なに どう し た の

あれ を 見 なさい ||み|

部長 と 先生 ぶちょう||せんせい

何 処 へ 行く の なん|しょ||いく|

チャンス は 今 よ ここ を 抜け出し ま しょ う ちゃんす||いま||||ぬけだし|||

抜け出す ぬけだす

この 山 を 出 て 家 に 帰る の |やま||だ||いえ||かえる|

もう 助け なんか 来 ない 自力 で 脱出 する の よ |たすけ||らい||じりき||だっしゅつ|||

どうして 今 この タイミング で |いま||たいみんぐ|

説明 し て いる 時間 が ない の よ 出来る だけ 急 い で 支度 を 済ませ て せつめい||||じかん|||||できる||きゅう|||したく||すませ|

誰 に も 気 が つか れ ない よう に だれ|||き||||||

え 他の 皆 は |たの|みな|

いい 天 音 鬼 は 連れ て いけ ない |てん|おと|おに||つれ|||

分かる わかる

鬼 一 姫 どこ へ 行く の おに|ひと|ひめ|||いく| 静か に つい て らっしゃい しずか||||

今 全部 見せ て あげる いま|ぜんぶ|みせ||

決して 大きな 声 を 出し て は ダメ よ けっして|おおきな|こえ||だし|||だめ|

見 て 御覧 なさい み||ごらん|

あの 二 人 こんな 関係 だった ん だ |ふた|じん||かんけい|||

周り を もっと よく 見 て ごらん なさい まわり||||み|||

誰 だ だれ|

逃げる わ よ にげる||

見 られ た 逃がし ちゃ ダメ 殺し て み|||にがし||だめ|ころし|

まさか まさか

これ でも う タガ が 外れ た 殺し 合い が 始まる わ よ |||たが||はずれ||ころし|あい||はじまる||

き た わ

行く わ よ いく||

嘘 だ よ こんな の これ は 夢 でしょ う うそ|||||||ゆめ||

あの 人 たち を もう 人間 だ と 思わ ない 方 が 良い わ |じん||||にんげん|||おもわ||かた||よい|

止まって とまって

こんな 時間 に 何 処 へ 行く ん だい |じかん||なん|しょ||いく||

佐久間 先輩 部長 と 先生 が さくま|せんぱい|ぶちょう||せんせい|

天 音 この 人 は もう ダメ てん|おと||じん|||だめ

そう か 見 て しまった の か 二 人 と も ||み|||||ふた|じん||

佐久間 先輩 さくま|せんぱい

言った はず よ 天 音 鬼 は 連れ て 行け ない いった|||てん|おと|おに||つれ||いけ|

もう この 人 たち は 人間 の 世界 に は 戻れ ない の よ ||じん|||にんげん||せかい|||もどれ|||

嘘 だ そんな の 嘘 だ うそ||||うそ|

天 音 てん|おと

残念 だ よ 周防 天 音 ざんねん|||すおう|てん|おと

私 は 君 の こと 結構 気 に 入って いた ん だ よ わたくし||きみ|||けっこう|き||はいって||||

いい 天 音 ここ に いる の は もう 人間 じゃ ない 動物 よ |てん|おと|||||||にんげん|||どうぶつ|

ライオン に シマウマ が 食べ られる の は 当たり前 の こと らいおん||しまうま||たべ||||あたりまえ||

その こと で シマウマ は 怒ったり し ない し 泣く こと も ない |||しまうま||いかったり||||なく|||

弱い もの が 居 て それ を 強い もの が 食べる よわい|||い||||つよい|||たべる

それ が ルール な の よ ||るーる|||

黙り なさい だまり|

約束 し た でしょ う やくそく||||

あ た た は 必ず 私 が 助ける から ||||かならず|わたくし||たすける|

何も 心配 は いら ない の わかる なにも|しんぱい|||||

おい どこ 行った ||おこなった

隠れ て ない で 出 てき な よ かくれ||||だ|||

金田 先輩 かなだ|せんぱい

全部 誤解 な ん だって ば ぜんぶ|ごかい||||

鬼 に 飲み込 ん まれ た か 騙さ れ て いる の か おに||のみこ|||||だまさ|||||

どのみち あの 人 も もう 引き 返せ ない ||じん|||ひき|かえせ|

ちゃんと 話せ ば わかる から さ |はなせ||||

逃げる わ よ にげる||

い た よ あっ ち だ

天 音 てん|おと

立って お 願い だ から たって||ねがい||

もう いい よ 一 姫 一 人 で 逃げ て |||ひと|ひめ|ひと|じん||にげ|

私 は もう 無理 怖く て 動け ない わたくし|||むり|こわく||うごけ|

捕まって 殺さ れる くらい なら わたし 今 ここ で 死ぬ つかまって|ころさ|||||いま|||しぬ

その 役目 は 私 が やる わ |やくめ||わたくし|||

私 は 囮 に なる と 言って いる の よ わたくし||おとり||||いって|||

でも

いい 天 音 よく 聞い て 頂 戴 |てん|おと||ききい||いただ|たい

この 中 に 隠し て おい た 食糧 と 塩 が 入って いる わ |なか||かくし||||しょくりょう||しお||はいって||

かず き

それ と これ

生き て 山 を 脱出 する 為 の 方法 を メモ し て おい たから しっかり と 読 ん で いき||やま||だっしゅつ||ため||ほうほう||めも|||||||よ||

諦め ず に 進み なさい あきらめ|||すすみ|

や だ 一 姫 嘘 でしょ どうして ||ひと|ひめ|うそ||

私 を 私 を 見捨てる の わたくし||わたくし||みすてる|

大丈夫 よ 私 は 死な ない わ だいじょうぶ||わたくし||しな||

いつか 必ず また 会え る から ね |かならず||あえ|||

一 姫 が ひと り で 逃げ て よ ひと|ひめ|||||にげ||

私 は もう 疲れ ちゃ った よ もう 無理 だ よ わたくし|||つかれ|||||むり||

私 に 従って い れ ば 何も 心配 は ない わ わたくし||したがって||||なにも|しんぱい|||

ほら 立って |たって

一 姫 一 姫 ひと|ひめ|ひと|ひめ

いい から 行き なさい ||いき|

絶対 に 振り返って は ダメ よ 急 い で ぜったい||ふりかえって||だめ||きゅう||

一 姫 ひと|ひめ

走り なさい はしり|

私 は 自分 が 助かり たい 一 心 で 一 姫 を 見捨て た わたくし||じぶん||たすかり||ひと|こころ||ひと|ひめ||みすて|

一 姫 は 殺さ れる ひと|ひめ||ころさ|

きっと 生き た まま 一 番 苦しい 死に 方 を する |いき|||ひと|ばん|くるしい|しに|かた||

私 みたい な 臆病 な 女 を 助ける 為 に 犠牲 に なる の だ わたくし|||おくびょう||おんな||たすける|ため||ぎせい||||

一 姫 ひと|ひめ

私 が 最後 に 目 に し た 一 姫 は わたくし||さいご||め||||ひと|ひめ|

泣き叫ぶ でも なく なきさけぶ||

恨み がま しく 睨め つける わけ で も なく うらみ|||にらめ|||||

ただ 微笑 ん で い た |びしょう||||

これ が 運命 だ と これ が ルール だ と ||うんめい|||||るーる||

だから 気 に する こと は ない と いう よう に |き|||||||||

微笑 ん で い た びしょう||||

許し て 一 姫 ゆるし||ひと|ひめ

許し て ゆるし|

あれ から 何 日 か 経った だ ろうか ||なん|ひ||たった||

一 姫 の リュック に は 秘蔵 し て い た で あ ろ う スナック 菓子 が 入って い た が ひと|ひめ||りゅっく|||ひぞう|||||||||すなっく|かし||はいって|||

私 は 一 度 も 手 を 付け なかった わたくし||ひと|たび||て||つけ|

もし 運 良く 一 姫 が 追っ手 を 逃れ 私 に 追いつけ て き た 時 に は |うん|よく|ひと|ひめ||おって||のがれ|わたくし||おいつけ||||じ||

すべて を 返す つもり だった から だ ||かえす||||

今 ここ で 自分 に 負け たら いま|||じぶん||まけ|

あの 餓鬼 たち と 変わり の ない 存在 で ある よう に 思え て 気 が 引け た の だ |がき|||かわり|||そんざい|||||おもえ||き||ひけ|||

私 は ただ 一 姫 に 救わ れ た 命 を 無駄 に する わけ に は いか ない わたくし|||ひと|ひめ||すくわ|||いのち||むだ|||||||

と いう 思い だけ で 森 の 中 を 彷徨って い た ||おもい|||しげる||なか||さまよって||

一 姫 ひと|ひめ

待って 待って よ 一 姫 まって|まって||ひと|ひめ

みんな

これ は 幻覚 だ ||げんかく|

私 は きっと みんな に 道 案内 さ れ て 天国 へ 行く ん だ わたくし|||||どう|あんない||||てんごく||いく||

待って 私 うまく 歩け ない よ まって|わたくし||あるけ||

置 い て 行か ない で ねぇ みんな お|||いか||||

うそ 本当 に |ほんとう|

こうして 私 は たくさん の 物 を 犠牲 に し て |わたくし||||ぶつ||ぎせい|||

たった 一 人 惨め に 生き残って しまった の だ |ひと|じん|みじめ||いきのこって|||

事故 から 生還 し た 私 を マスコミ は 奇跡 の 生還 と 取り上げ だす が じこ||せいかん|||わたくし||ますこみ||きせき||せいかん||とりあげ||

すぐに その 理由 を 邪推 し 始め た ||りゆう||じゃすい||はじめ|

なんで アンタ だけ 生き て 帰って こ れ た の |||いき||かえって||||

ねぇ アンタ

( 食べ た ん でしょ ？ ） たべ|||

よく 普通 に 暮らし て られる よ ね |ふつう||くらし||||

気持ち 悪い きもち|わるい

私 なら 絶対 に し ない ね わたくし||ぜったい||||

そんな こと し て まで 生き たい と 思わ ない もん |||||いき|||おもわ||

天 音 てん|おと

助け て 天 音 たすけ||てん|おと

死に たく ない よ しに|||

苦しい くるしい

どうして アンタ だけ

なぜ 助け て くれ ない の |たすけ||||

天 音 てん|おと

これ は 生き残った 罰 な の だ ||いきのこった|ばち|||

他人 を 犠牲 に し て 生き残った 私 に は きっと 何 か の 罰 が 必要 な の だ たにん||ぎせい||||いきのこった|わたくし||||なん|||ばち||ひつよう|||

死 ん だ 人間 以上 に 苦し ん で い なけ れ ば 誰 も 私 を 認め て なん かくれ ない し|||にんげん|いじょう||にがし|||||||だれ||わたくし||みとめ||||

私 に 必要 な の は 生き残った 罰 を 与え て くれる 存在 わたくし||ひつよう||||いきのこった|ばち||あたえ|||そんざい

生き て いる 言い訳 を さ せ て くれる 存在 が 必要 だった いき|||いい わけ||||||そんざい||ひつよう|

そんな 時 私 に 罰 を 与える の に ふさわしい 男 が 現れ た |じ|わたくし||ばち||あたえる||||おとこ||あらわれ|

風見 雄二 だ よろしく かざみ|ゆうじ||

それ が 雄二 だった ん だ よ ||ゆうじ||||

ずっと 黙って て ごめん ね 雄二 |だまって||||ゆうじ

私 は ね アンタ の お 姉ちゃん を 犠牲 に し て 生き残った わたくし||||||ねえちゃん||ぎせい||||いきのこった

惨め な 卑怯 者 な ん だ よ ごめんなさい みじめ||ひきょう|もの|||||

そう か

だから 初めて 会った 時 思った の |はじめて|あった|じ|おもった|

私 が 雄二 から 一 姫 を 奪って しまった の なら わたくし||ゆうじ||ひと|ひめ||うばって|||

せめて その 代わり に な ろ う って ||かわり|||||

雄二 が 望む なら なんでも し て あげよ う って 思った ゆうじ||のぞむ||||||||おもった

つまり お前 が 俺 に 近寄って き た 動機 は |おまえ||おれ||ちかよって|||どうき|

俺 に 対 する 負い目 で 恋愛 感情 で は なかった と いう こと か おれ||たい||おいめ||れんあい|かんじょう|||||||

正直 に 言う と ね 別に 雄二 の こと は 嫌い で は ない けど しょうじき||いう|||べつに|ゆうじ||||きらい||||

好き と いう ほど の めり込 ん で いる わけ で も なかった すき|||||めりこ|||||||

それ でも 雄二 と 一緒 に いる と 雄二 に つくし て いる と ||ゆうじ||いっしょ||||ゆうじ|||||

自分 の 中 の 罪 が 軽く なって いく よう な 気 が し た の じぶん||なか||ざい||かるく|||||き||||

信じ て くれ ない と 思う けど 私 雄二 の こと しんじ|||||おもう||わたくし|ゆうじ||

本当 に 好き に なっちゃ っ た ん だ よ ほんとう||すき|||||||

でも これ じゃ ダメ な ん だ よ |||だめ||||

雄二 の こと 好き に なっちゃ っ たら ゆうじ|||すき||||

抱か れ て も 罰 に なら ない 幸福 に 感じ ちゃ う もの いだか||||ばち||||こうふく||かんじ|||

だから もう これ で 最後 に しよ う ||||さいご|||

本当の こと を 打ち明け て この 人 と は 別れよ う って そう 思った の ほんとうの|||うちあけ|||じん|||わかれよ||||おもった|

どんなに どんなに 謝って も 一 姫 は 生き返ら ない ||あやまって||ひと|ひめ||いきかえら|

ごめん ね 雄二 ||ゆうじ

雄二 私 を 殺し て くれ ない ？ ゆうじ|わたくし||ころし|||

私 は もう こんな こと で しか 罰 を 受け られ ない わたくし|||||||ばち||うけ||

こんな こと で しか 赦 し を 得 られ ない ||||しゃ|||とく||

だったら もう 雄二 に 殺し て もらう しか ない の ||ゆうじ||ころし|||||

わかった

ああ 痛 ぁ |つう|

この 程度 で 痛 がって る よう な 女 が 殺し て くれ だ と |ていど||つう|||||おんな||ころし||||

大笑い だ おおわらい|

ごめん ね

それ に それ

その ｢ ごめん ね ｣ も やめ て くれ

その 言葉 大 っ 嫌い な ん だ |ことば|だい||きらい|||

だいたい 俺 の 姉 は 一 人 しか い なかった |おれ||あね||ひと|じん|||

一 姫 の 真似 なんか し ない で くれ ひと|ひめ||まね|||||

ご ご め …

言う な っ つ っ て ん だ ろ う ボゲ いう||||||||||

ちょっと 待て 少し 考え させろ |まて|すこし|かんがえ|さ せろ

天 音 てん|おと

はっ はい

結局 お前 俺 の こと 好き な ん だ な けっきょく|おまえ|おれ|||すき||||

うん

よし 天 音 立て |てん|おと|たて

まずは 言って おく |いって|

俺 は お前 の 過去 に 同情 する つもり は ない おれ||おまえ||かこ||どうじょう||||

誰 だって 生き てりゃ 後悔 の 一 つ や 二 つ は ある だれ||いき||こうかい||ひと|||ふた|||

だが お前 の 過去 は 後悔 なんて 生易しい もの で は ない の も 理解 し て いる |おまえ||かこ||こうかい||なまやさしい|||||||りかい|||

そんな 一生 苦しむ よう な 深い 後悔 に |いっしょう|くるしむ|||ふかい|こうかい|

忘れ ち まえ と か 気 に する な と か 言う 気休め は わすれ|||||き||||||いう|きやすめ|

糞 の 役 に も 立た ない だ ろ う くそ||やく|||たた||||

お前 さっき 俺 に 殺し て くれ と 言った な おまえ||おれ||ころし||||いった|

うん 言った |いった

なら もら お う

お前 は 今後 一生 俺 の ため に 生きる おまえ||こんご|いっしょう|おれ||||いきる

それ が お前 の 罰 だ ||おまえ||ばち|

俺 に 尽くせ 俺 が 王様 で あり 俺 が 飼い主 だ おれ||つくせ|おれ||おうさま|||おれ||かいぬし|

わかった か

どういう こと

ずっと 俺 と 一緒 に いろ |おれ||いっしょ||

私 雄二 の そば に い て いい の わたくし|ゆうじ|||||||

むしろ 勝手 に い なく なったら ぶ っ 飛ばす から な |かって|||||||とばす||

その つもり で いろ

雄二 ゆうじ

雄二 雄二 ゆうじ|ゆうじ

お前 さ 泣き顔 ブッサイク だ な おまえ||なきがお|||

ひどい よ こんな 時 ぐらい 泣か せ て よ |||じ||なか|||

よし よし じゃあ う ざい から 5 分 だけ 泣 い て よし ||||||ぶん||なき|||

雄二 優しく ない よ ゆうじ|やさしく||

優しかったら 罰 に なら ん だ ろ う が やさしかったら|ばち|||||||

天 音 を 救う 方法 は ただ 一 つ てん|おと||すくう|ほうほう|||ひと|

受け入れる こと だ うけいれる||

過去 を 知り つつ すべて を 受け入れ れ ば かこ||しり||||うけいれ||

こいつ は いつか 気づく はず だ |||きづく||

自分 に 赦 し を 与える の は 自分 だけ な ん だ と いう こと に じぶん||しゃ|||あたえる|||じぶん||||||||

それ まで は 俺 自身 が 罰 と なり |||おれ|じしん||ばち||

こいつ の そば に い て やろ う

世界中 が 天 音 を 許さ なく と も 俺 だけ は 赦 し て やろ う せかいじゅう||てん|おと||ゆるさ||||おれ|||しゃ||||

そう すれ ば いつか 必ず 天 音 自身 が 自分 を 赦 せ る 日 が やって くる ||||かならず|てん|おと|じしん||じぶん||しゃ|||ひ|||

なあ 天 音 よ |てん|おと|

お前 は 本当 に 一 姫 が 死 ん だ と 思って いる の か おまえ||ほんとう||ひと|ひめ||し||||おもって|||

それ って どういう 意味 |||いみ

一 姫 の 死体 は バラバラ に 切断 さ れ て い た ひと|ひめ||したい||ばらばら||せつだん|||||

だが 頭部 だけ は 発見 さ れ て い ない |とうぶ|||はっけん|||||

あくまで も 参考 数値 だ が ||さんこう|すうち||

10 人 いれ ば 11 人 分 の 死体 が 作れ る 違う か じん|||じん|ぶん||したい||つくれ||ちがう|

じゃあ 一 姫 は 生き てる の |ひと|ひめ||いき||

分から ない わから|

だが どうして も あの 一 姫 が 安易 に 死 を 選択 し た と は 思え ない ||||ひと|ひめ||あんい||し||せんたく|||||おもえ|

一 姫 が くれ た 密林 脱出 メモ だ よ ひと|ひめ||||みつりん|だっしゅつ|めも||

失敗 し たら 居留 地 に 戻って こい って しっぱい|||きょりゅう|ち||もどって||

非 常食 を 隠し た 穴 の 位置 が 記さ れ てる の ひ|じょうしょく||かくし||あな||いち||しるさ|||

一 姫 は 最初 から ある 程度 の 確率 で 天 音 を 脱出 さ せる つもり だった ん だ な ひと|ひめ||さいしょ|||ていど||かくりつ||てん|おと||だっしゅつ|||||||

一 姫 が 生き て いる と し たら その ヒント は ここ に ある と 思う ん だ よ ね ひと|ひめ||いき|||||||ひんと||||||おもう||||

なるほど

雄二 行って み ない ？ ゆうじ|おこなって||

現場 に か だ が しかし げんば|||||

いつか は 克服 し なけ れ ば いけない こと だ と 思う し ||こくふく|||||||||おもう|

それ に 雄二 が 一緒 なら 多分 大丈夫 だ と 思う ん だ ||ゆうじ||いっしょ||たぶん|だいじょうぶ|||おもう||

そう か

私 お供え 用 の お 花 と 線香 を 買って くる から ここ で 待って て わたくし|おそなえ|よう|||か||せんこう||かって|||||まって|

わかった

風見 雄二 さん です よ ね かざみ|ゆうじ||||

はい

あなた は

これ は 失礼 私 は 坂下 と 申し まし て ね ||しつれい|わたくし||さかした||もうし|||

天 音 さん の 大 ファン な ん です よ てん|おと|||だい|ふぁん||||

天 音 の ？ てん|おと|

なにしろ 有名 です から ね 彼女 |ゆうめい||||かのじょ

最近 彼 氏 が でき た と 小 耳 に 挟 ん で い まし た が さいきん|かれ|うじ|||||しょう|みみ||はさ||||||

失礼 です が お 仕事 は 何 を しつれい||||しごと||なん|

つい 最近 まで IT 関連 の 会社 の 取締 役 を し て い た の です が |さいきん|||かんれん||かいしゃ||とりしまり|やく||||||||

どうにも 生きがい と いう もの を なくし て しまい まし て |いきがい|||||||||

それ でも ね

やり 残し た こと が まだ あった って 気 が つい た ん です よ |のこし|||||||き||||||

いや あ いきなり こんな 話 を 聞か さ れ て も 退屈 です よ ね ||||はなし||きか|||||たいくつ|||

失礼 し ます しつれい||

お 待た せ どうか し た の |また|||||

いや いま お前 の ファン だ と いう 変 な お っ さん に 声 を かけ られ た ||おまえ||ふぁん||||へん||||||こえ||||

だれ

知ら ん だ が 気味 の 悪い 感じ だった な しら||||きみ||わるい|かんじ||