episode 07「 応援 旗 は 友達 の 印 」
( 菜緒 ( なお )) ああ … や っぱ 最高だった よ ね
フフフフッ
( 上原 ( うえ はら )) お前 さあ
( 菜緒 ) ん ?
( 上原 ) よく 人 の 恋愛 で そこ まで 盛り 上がれる な
あっ ! あっ ねえ それ 最後に 食べよう と して た のに
( 上原 ) 吉川 が 作った コロッケ の ほう が 断然 うまい な
どこ が 好きな の ? どこ が おいしい の ?
( 上原 ) や っぱ イモ の 質 じゃ ねえ ?
( 夏目 ( なつ め )) バカップル に は 付き合って られ ませ ん
誰 が バカップル …
かわいい 子 と いた ほう が 楽しい し じゃ あね
( 菜緒 ) バカップル だって
( 夏目 ) 俺 菜緒 ちゃん の こと 好き って 言ったら どう する ?
そう な の か ?
え ?
いや マジ で
もし お前 が って 考えたら …
それ は 俺 が 困る
ハハッ 冗談 だ よ
何 だ よ
もっと マシ な 冗談 言えよ
だ よ な
上原 君 ?
おう
( 菜緒 ) どうした の ?
( 上原 ) いや
何 か さ 最近 あいつ 変じゃ ね ?
ああ … うん
こない だ ケンカ して たし ね
何 か 上原 君 変わった よ ね
そう やって 人 の こと 気 に したり と か し なかった じゃ ん
何 か 寂しい な
夏目 君 の ことば っか 気 に して て
バーカ
♪~
~♪
( 七瀬 ( なな せ )) そう いえば 遠征 の 話 聞いた ?
遠征 費 ギリギリ だ から ―
今回 私 と 1 年生 は お 留守番 だって
( 大地 ( だいち )) マジ か 七瀬 いない と キツ い なあ
( 部員 ) 俺 たち と 同室 でも 平気だ から さ ついてきちゃ えよ
なあ 大地
( 大地 ) ダメに 決まって んだ ろ 何 言って んだ よ
な っ
いや 私 は …
ダーメ 七瀬 だって 女子 な んだ から さ
マッサージ なら 俺 が やって やる よ 足 で
( 部員 ) あっ いい いい … 遠慮 する 遠慮 する
いら ない いら ない
( 太田 ( おお た )・ 藤岡 ( ふじ おか )) ええ ー !
( 七 瀬 ) どうしても 遠征 試合 の ため に 選手 全員 分 の 応援 旗 を 作り たい の
これ 去年 のです
( 太田 ) これ を 人数 分
( 藤岡 ) うん さすが に 明後日 まで だ と
私 ゼミ 旅行 で い ない し
( 七 瀬 ) お 願い し ます
無理 は 分かって る んです
でも 私 は 同行 でき ない し ―
絶対 完成 さ せ たい んです
やり ます !
吉川 ( よし かわ ) さん ?
七瀬 さん 私 頑張り ます
吉川 さん 手芸 サークル だった んだ
( 藤岡 ) こう 言っちゃ なんだ けど 吉川 さん 1 人 じゃ …
あっ 私 も 手伝い ます
( 七 瀬 ) お 願い し ます
( 夏目 ) 俺 菜緒 ちゃん の こと 好き って 言ったら どう する ?
それ は 俺 が 困る
( 電気 を つける 音 )
( 紗栄 子 ( さえ こ )) あっ
( 夏目 ) お邪魔 して ます
紗栄 子 さん
( 紗栄 子 ) ん ?
本気な んです か ? 上原 の こと
本気 よ
私さ
初めて なんだ よね 自分 から 誰 か を 好きに なった の
フフッ 初恋 かも この 年 に なって
だから 大事に しよう と 思って
それ で 誰 か を 傷つける こと に なって も です か ?
( 紗栄 子 ) なって も だ ね ( 夏目 ) 紗栄 子 さん …
( 紗栄 子 ) だって そういう もん でしょ
夏目 君 は 違う の ?
え ?
吉川 さん の こと 好きでしょ ?
( 夏目 ) それ は … ( 紗栄 子 ) 我慢 できる ?
好きな 相手 が 他の 人 に 笑って る の
それ なら その 程度 って こと だ よ
紗栄 子 さん に 何 が 分かる …
それ か 好きじゃ ない んだ よ
好きです よ
思って る の と 口 に 出す の って 違う よね
私 も 君 も
せっかく の 初恋 でしょ
自分 で 認めて あげ なくて 誰 が 認め ん の よ
紗栄 子 さん
ハメ ました ?
フフフフッ
年の功 って やつ ?
( ノック )
はい
( 菜緒 ) 失礼 し ます
こんにちは
あっ よかった やっぱり ここ いた 夏目 君
上原 君 に 聞いた んだ けど 多分 ここ に いる だろう って
菜緒 ちゃん
( 菜緒 ) ん ?
もし かして …
今 の 話 聞いて た ?
( 菜緒 ) う うん
こんにちは
上原 君 の 彼女 さん だ よ ね
はい 吉川 菜緒 です
この 前 慌てて
ちゃんと 挨拶 でき なくて ごめんなさい ね
いつも 上原 君 に は お 世話に なって ます
( 菜緒 ) いえ ( 夏目 ) 菜緒 ちゃん
どうした の ? 何 か 用事 ?
あっ … そう
あの 夏目 君 に お 願い が あって
( 菜緒 ) お 願い お 願い お 願い !
頭 上げて よ
お 願い し ます 絶対 完成 さ せ たい の
部長 が 夏目 君 も 手伝って くれる なら 引き受けて も いい って
お 願い し ます
いや …
( 菜緒 ) お 願い !
しょうがない な
あり が と 夏目 君
助かり ます
そう と 決まったら 早速 行こう !
( 七 瀬 ) ごめん ね 巻き込んで
全然 大丈夫です
そう いえば 七瀬 さん
前 に 好きな 人 が ハンド 部 に いる って 言って ました もん ね
そりゃ あ 気合い 入り ます
何 か ブレブレ で
え ?
気持ち 言わ ないで おこう って 決めた のに
困ら せる ぐらい なら 友達 の まま で いよう って
ずっと 一緒に いたら
好きに なって くれる かも しれ ない って 思っちゃ うし
それ は 当たり前です
私 と 上原 君 だって 最初の 出会い なんか 本当 最悪で
しかも 上原 君 に は 片思い して る 人 も いて
でも ずっと 一緒に いる うち に …
そう うまく は いか ない よ
吉川 さん と 上原 君 みたいに 一緒に 住んで た わけで も ない し
だから 決めた の
友達 で いる の つらい と か 悲劇 の ヒロイン ぶる の は やめて
そば に いよう って
友達 と して
会え なく なる より そっち の ほう が 全然 いい から
( 菜緒 ) 七瀬 さん
( 七 瀬 ) だ から これ は 私 の 決意
友達 の 証し と して 渡す の
自己 満足 かも しれ ない けど
絶対 渡し たい んだ
頑張り ま しょ 絶対
ありがとう
安い お礼 で 悪い んだ けど 飲み物 買って くる
( 太田 ) 私 も 行き ます よ 一緒に
( 夏目 ) あっ 俺 が 行く よ
( 太田 ) え ?
( 夏目 ) いい から
( 夏目 ) さっき のって 本心 ?
( 七 瀬 ) え ?
( 夏目 ) 友達 で いる って
本心 って 何 ?
え ?
本心 なんて 言葉 意味 ない よ
要は 自分 が どう 思い たい か だ と 思う から
( 紗栄 子 ) 何 ?
トイレ ?
( 上原 ) 違い ます
今日 吉川 が …
吉川 さん が どうした の ?
何でもない です
何でもない の に バイト 中 ソワソワ して た の ?
今日 の 夜 コロッケ 作って くれる って いう んで
それ で 浮かれて た んだ
浮かれて は いま せ ん
ただ あいつ の 飯 うまい んで
( 紗栄 子 ) ふ ー ん
そりゃ 残念
誕生日 に 残業 さ せた おわび に 今日 ごちそう しよう と 思った のに
( 上原 ) え ?
明日 に する ?
( 上原 ) いい んです か ?
借り は 作ら ない 主義 な の
( 上原 ) ありがとう ございます
うん じゃあ 明日 ね
何 食べ たい か 考え といて
( 上原 ) はい
( 上原 ) 何 やって ん の ?
ああ ハンド 部 の 応援 旗
明後日 まで に 仕上げ ない と いけなくて さ
( 上原 ) ふ ー ん
( 菜緒 ) あっ で ね
明日 の 夜 な んだ けど もしかしたら ここ で 作業 する かも しれ ない
サークル だけ の 時間 じゃ 足りなくて さ
あっ 俺 明日 晩 飯 いら ない から
ああ … うん ごめん ね
( 上原 ) あっ いや 明日 さ …
( 菜緒 ) あっ !
どうした ?
( 菜緒 ) ああ …
誰 が 来 ん の ?
( 菜緒 ) ああ …
ハンド 部 の 七瀬 さん と 太田 ちゃん と 夏目 君 かな
ああ 今日 夏目 捜して た の って それ か
( 菜緒 ) うん そう
夏目 君 ね お 裁縫 す っご い 上手な んだ よ
( 上原 ) そう な んだ ( 菜緒 ) うん
あっ だ から …
ごめん ね
( 上原 ) え ?
約束 破っちゃ って
ん ?
上原 君 言って た でしょ
他の 男 は 家 に 入れる な よって
男 って 夏目 だ ろ
そう だ けど さ
( 上原 ) 何 笑って んだ よ
え ?
えっ エスパー ?
お前 の 行動 パターン ぐらい もう 分かる
愛 だ ね
1 年 も 一緒に 暮らして たら 普通だ ろ
( 七 瀬 ) そう うまく は いか ない よ
吉川 さん と 上原 君 みたいに 一緒に 住んで た わけで も ない し
何 だ よ
私 たち さ
もし 一緒に 住んで なかったら …
え ?
あっ う うん 何でもない
( 上原 ) 夏目
( 上原 ) おい 夏目
何で 行く んだ よ
何 ? 俺 に 用 ?
ああ
お前 今日 分子 生物 の 講義 来 なかった だ ろ
俺 に だって いろいろ あん の デート と か デート と か
あっ そ
( 夏目 ) で 何 ?
( 上原 ) いや サークル 大変 なん だって ?
( 夏目 ) まあ な
( 上原 ) 悪 ( わり ) いな また あいつ が 巻き込んで
( 夏目 ) もう 慣れて きた けど な
って か 俺 手芸 部 の エース だ から
( 上原 ) らしい な
( 夏目 ) 今日 菜緒 ちゃん ち で 作業 する らしい から 夜 行 くわ
( 上原 ) うん 聞いた
俺 いない から
( 夏目 ) え ? ( 上原 ) 紗栄 子 さん と 飯
( 夏目 ) 何 だ よ それ ( 上原 ) え ?
紗栄 子 さん と 2 人きり って 大丈夫な の か よ
( 上原 ) 何 が ( 夏目 )2 人 で 飯 って
いや 飯 なら 俺 が おごって やる から さ
( 上原 ) どうした ?
お前 何 か 最近 変だ ぞ
お前 も しか して
紗栄 子 さん の こと が …
それ は ない ぞ
いや でも
夏目 は 年上 好き そうだ な と 思って ( 夏目 ) は ?
結構 精神 年齢 老けて る じゃ ん ( 夏目 ) お前
一 歩 引いて 全体 見て る 感じ ?
“ 俺 全部 分かって ます ” みたいな
まあ それ が たまに ムカ つ くん だ けど さ
それ 褒めて ねえ だ ろ
( 上原 ) でも それ って 全部 他人 の ため じゃ ん
俺 に は でき ねえ から すげ え なって
そんな 感じ ?
どんな 感じ だ よ
だから お前 が あいつ の こと 好き って 言った 時
マジ びび った って いう か
危機 感 … って いう か
何 だ よ それ
あれ ? 何の 話して た っけ
知ら ねえ よ
ああ 夏目 が 紗栄 子 さん を 好き って 話 か
だから …
( 上原 ) あっ ヤッベ 俺 研究 室 行か なきゃ
じゃあ な
知ら なかった
夏目 君 って 私 の こと 好き だった んだ ー
どうした ん です か ? オシャレ して
え ? いつも どおり だ し
( 夏目 ) ハハッ
紗栄 子 さん
( 紗栄 子 ) ん ?
や っぱ あり え ないで す
はい ?
裏切り たく ないで す
俺 あいつ ん 中 で すげ え ヤツ みたいな んで
それ で いい の ?
俺 精神 年齢 老けて ます から
それ 本心 ?
本心 って 意味 ない んで すって
( 紗栄 子 ) は ?
要は 自分 が どう 思い たい か です
( ドア が 開く 音 )
あっ お 疲れ さ まで す
お 疲れ
( チャイム )
( 菜緒 ) は ー い
あっ 夏目 君 どうぞ
( 夏目 ) お邪魔 し ます ( 菜緒 ) はい
( 菜緒 ) 夏目 君 ?
ジャーン ! できた ー !
ヘヘヘッ
いい ねえ
フフフッ
丸一 日 も かかっちゃ った けど
よし
よい しょ
次 は …
フフッ 大 ちゃん だ
え ?
いや …
あの …
大地 先輩 の は 凛 ( りん ) ちゃん に 任せたら ?
ハンド 部 の エース だし さ
( 夏目 ・ 太田 ) ねっ
( 菜緒 ) いや 何 言って ん の
だって この 出来 許して くれる の 大 ちゃん しか い ない もん
自覚 あった んだ 下手な の
( 菜緒 ) 大 ちゃん だったら 下手な の 許して くれる よ ね
うん
あっ だ から 七瀬 さん
私 そっち やる んで 七瀬 さん は こっち お 願い し ます
( 菜緒 ) はい
え ?
あれ ?
え ? な … 七瀬 さん ?
あっ !
( 紗栄 子 ) 彼女 ―
出会って すぐ 好きに なった の ?
わりと すぐです ね
あっ 何で ? えっ どこ を ?
それ って 言わ なきゃ ダメな やつ です か ?
あっ 何 ? 言え ない ような こと な の ?
いや 別に そう いう わけじゃ ない です けど
( 紗栄 子 ) なら 言える でしょ
あっ これ うま そう
フゥ …
いろいろ あって
付き合う 前 から 一緒に 住んで た んです けど
えっ 一緒に ?
話せば 長い んです けど …
ちょっと 待った
( 紗栄 子 ) すみません ( 店員 ) はい
( 紗栄 子 ) 生 ください ( 店員 ) はい
( 紗栄 子 ) 飲ま なきゃ 聞いて らん ねえ よ ノロケ 話 なんて
( 菜緒 ) ごめんなさい !
( 太田 ) これ 文字 から やり 直し って 間に合わ ない …
( 夏目 ) 太田 ちゃん お茶 でも 飲む ?
本当に ごめんなさい
あっ あの 私 大 ちゃん に 謝って き ます
( 夏目 ) ああ ちょっと 待った !
これ サプライズ だ から ね バラ したら 意味 ない から
( 菜緒 ) そ っか
( 菜緒 ) で … でも さあ ( 七 瀬 ) 大地 な の
え ?
ごめん
せっかく 手伝って もらって る の に 放心 状態 に なっちゃ って
いやいや 私 が 悪い から …
好きな 人 大地 な んだ
そう な ん …
ええ ー !
え ?
( 夏目 ) 菜緒 ちゃん マジ 気づいて なかった んだ
( 太田 ) いや 私 でも 何となく 分かって た のに
そう な んだ
でも 大地 は 吉川 さん が 好きでしょ
いや それ は ずっと 前 の 話 で
きっと まだ そう だ よ
じゃ ない と こんな いい 女 が そば に いる のに
無視 なんて あり え ない でしょ
自分 で 言う ?
うん
でも …
決めた の
これ に 大地 へ の 思い 全部 詰めて 封印 する
友達 と して そば に いる ため に
大丈夫 一 から 作り 直せば いい から
まだ 時間 ある し
俺 も 何 か 作 ろ っか な
友達 宣言 の ため に
( 菜緒 ) え ?
できた んだ 好きな 人
えっ …
でも さ 何で ? 何で 友達 宣言 する の ?
だって その 前 に さ まずは さ …
( 夏目 ) 相手
好きな 人 いる から
あっ … え ?
ひょっとして …
( 菜緒 ) も しか して … ( 夏目 ) ハハハッ
違う よ 凛 ちゃん じゃ ない から
( 七 瀬 ) 当たり前じゃ ん ( 夏目 ) 何 その 盛大な 勘違い
でも さ やっぱり 友達 宣言 って …
( 夏目 ) いい んだ 本当に
言って おき たかった だけ
“ 一緒に いたい って 思える 人 が いた ほう が 幸せだ よ ” って
泣き ながら 力説 して た 菜緒 ちゃん に
いや 別に 泣いて ない から
( 夏目 ) ハハッ 泣いて たよ
泣いて ない よ
夏目 君 に は そう 見えた んじゃ ない の ?
でも 泣いて ない もん
よし ! 続き やろう
話して る 暇 ない から
話し 始めた の 凛 ちゃん じゃ ん
( 七 瀬 ) うるさい
( 太田 ) まあまあ 頑張 ろ
( 紗栄 子 ) あー 気持ち いい
( 上原 ) 紗栄 子 さん
タクシー 拾い ます から
上原 君
( チャイム )
あっ 太田 ちゃん 忘れ物 かな
は ー い
こんにち は ー ! フフフフッ
紗栄 子 さん ?
吉川 ごめん
ちょっと 紗栄 子 さん 酔っ払っちゃ って
家庭 訪問 と か 言って 止めて も 聞か ねえ し
うち 連れて 帰る わけに も いか ねえ から
紗栄 子 さん ?
あっ 夏目 ちょっと 手伝って
( 夏目 ) 紗栄 子 さん しっかり して ください
( 紗栄 子 ) あー 夏目 君 いたんだ
( 夏目 ) 何 やって んです か
( 紗栄 子 ) ト … トイレ
( 夏目 ) え ? ( 紗栄 子 ) トイレ
吉川 悪い 紗栄 子 さん 気分 悪い らしくて
ああ どうぞ
( トイレ の 水洗 音 )
邪魔 して 悪い な
何で 紗栄 子 さん と ?
飯 誘わ れて
2 人 で ?
( 上原 ) うん
上原 君 は 誘わ れたら 誰 でも 2 人きり で ご飯 と か 行く んだ
( 上原 ) え ?
それとも 紗栄 子 さん だ から ?
別に 夏目 と 飯 行く の と 同じだ ろ
同じじゃ ない でしょ
( ドア を たたく 音 )
( 紗栄 子 ) そう よ 同じじゃ ない でしょ
え ?
いや だ から 女 と 男 …
( 夏目 ) はい ストップ !
しゃべって る 暇 ない でしょ 作 ん ない と
ほら 凛 ちゃん 怒っちゃ う から
( 紗栄 子 ) 何 やって ん の ?
( 七 瀬 ) ハンド 部 の 応援 旗 作って る んです
( 紗栄 子 ) ふ ー ん
これ 絶対 明日 まで に 完成 さ せ たい んです
( 夏目 ) 紗栄 子 さん も 手伝い ます ? 刺しゅう
裁縫 ?
フフフフ … 無理
( 上原 ) でしょう ね
何 か トゲ ある わ ね
( 上原 ) 気のせい です よ
とにかく 邪魔 する ん なら 帰って ください
必死に なっちゃ って
かわいい
( 夏目 ) 紗栄 子 さん 酔っ払い すぎ です よ
もう 帰り ま しょ
( 紗栄 子 ) え ? え ? ( 夏目 ) 帰り ます から
( 紗栄 子 ) いや … えー ?
必死に なって 何 が 悪い んです か ?
友達 と して でも そば に い たい って 思って
その ため に 必死に なって 何 が 悪い んです か
凛 ちゃん ほら 紗栄 子 さん 事情 知ら ない から
何 だ 恋 バナ か あ
よく 分か ん ない けど さ それ 本当に ?
どういう 意味 です か ?
恋人 に なる 努力 も せ ず に
友達 と して そば に いる ため に 必死に なる って
変じゃ ない ?
本当 は 恋人 に なり たい のに 友達 で いる って ―
うまく いか なかった 時 の こと 考えて ―
そっち の ほう が マシ って だけ でしょ ?
そんな 消去 法 みたいな 考え 自分 に 失礼じゃ ない ?
それ は …
そんな 気持ち で そば に い られて も 相手 迷惑な だけ …
紗栄 子 さん !
なあ に ?
あ …
あっ あの … お 水 持ってき ます ね
あり が と
続き 早く 進め ない と 時間 ないで す もん ね
うん 早く
ごめん
いや 上原 君 が 謝る こと じゃ
紗栄 子 さん と 飯 行く の 黙って て
本当に ―
夏目 と 飯 行く ぐらい に しか 思って なかった
ごめん
うん
俺 も 手伝う から さ 刺しゅう
うん あり が と
( 上原 ) 紗栄 子 さん 水 飲んで ください
( 紗栄 子 ) ありがとう 気 が 利く ねえ
( 菜緒 ) イッ …
( 上原 ) 大丈夫 か ?
( 菜緒 ) あっ うん 平気 平気
( 上原 ) お前 それ ひどく ね ?
どん だけ 不器用な んだ よ
( 菜緒 ) いや 普通だ もん
( 上原 ) あっ …
そう いや ソフトボール 大会 の 時 の 名札 も ひどかった もん な
( 菜緒 ) そういう の だけ は 覚えて る んだ から
( 上原 ) あれ は 忘れ ないだ ろ
ちょっと 休憩
( 夏目 ) 帰り ます か
そんな 邪魔者 扱い し ないで よ
紗栄 子 さん の 威厳 を 保つ ため に 言って る だけ です
夏目 君 って さ 意外 と おせっかいだ よ ね
もっと いい 男 か と 思って た ねえ 吉川 さん
ああ … いや 夏目 君 モテ ますよ
私 は どっち か って いう と 上原 君 の ほう が タイプ だ な
( 夏目 ) あっ … ハハッ 何 言って る んです か
( 紗栄 子 ) あっ いや だ から
吉川 さん って 男 見る 目 ある な と 思って
いや そんな …
羨ま し いな
偶然 の 出会い で こんな いい 男 つかまえて
( 菜緒 ) え ? ( 紗栄 子 ) 聞いちゃ った
2 人 の 出会い
根掘り葉掘り 聞か れた
私 も そんな 出会い が し たかった
正直 言う と 上原 君 の 彼女 が 吉川 さん って
ずっと 不思議に 思って た んだ よ ね
けど なれ そめ を 聞いて ふ に 落ちた
たまたま 近く に いた の が どうして 私 じゃ なかった んだろう
( 紗栄 子 ) う う っ …
( 上原 ) あっ ちょっと 待って ください
吐か ないで トイレ 行き ますよ トイレ
もう …
( 上原 ) ああ っ
( トイレ の 水洗 音 )
( 菜緒 ) ちょっと 買い物 行って くる
( 太田 ) え ?
( 夏目 ) 菜緒 ちゃん
菜緒 ちゃん
大丈夫 ?
フフッ うん 大丈夫 大丈夫
全然 大丈夫な 顔 して ない けど
( 菜緒 ) 私 …
嫌い
紗栄 子 さん
( 夏目 ) うん
嫌い
( 夏目 ) うん
ウソ
( 夏目 ) うん
紗栄 子 さん が 悪い んじゃ ない の
私 が … 私 に
自分 に 自信 持て ない の が 悪い の
ずっと あった の
上原 君 と 付き合った の が 偶然で
もし 上原 君 の 近く に いる の が 私 じゃ なかったら って
ずっと 思って た
でも しかたない じゃ ん 出会っちゃ った んだ もん
上原 君 と 私 が
釣り合わ ない って
私 が 一 番 よく 分かって る けど
分かって る けど
どうして ?
つい 癖 で
は ?
泣いて る 女の子 に は キス して 慰める これ 100% 泣きやむ んだ よ ね
あっ ほら 泣きやんだ
( 夏目 ) 本当 ごめん ね
じゃあ 俺 先 戻る わ
( 上原 ) 吉川
上原 君
( 上原 ) お前 どこ 行って た んだ よ
って か 勝手に ど っか 行って んじゃ ねえ よ
ごめんなさい
ちょっと 来い
( 菜緒 ) え ?
上原 君 ?
俺 たまたま 一緒に いた から 好きに なった わけじゃ ない から
お前 俺 の こと 信用 し なさ すぎ だ ろ
いや …
( 菜緒 ) でも … ( 上原 ) でも じゃ ない
俺 の 気持ち を お前 が 勝手に 決め ん な
そう だ けど
今日 は ごめん
( 菜緒 ) うん
ごめん
( 菜緒 ) さっき も 謝って もらった よ
それ でも
しかたなく だけど
紗栄 子 さん 吉川 ん ち に 連れて きた し
( 菜緒 ) うん
あれ は ない
ごめん
( 菜緒 ) しょうがない から 許して あげる
しかし あそこ まで 酒 癖 悪い と は 思わ なかった よ
いや … 隣 に みんな いる しね
ああ … そうだ よ な
( 菜緒 ) そうだ よ
フフッ …
( ドア の 開閉 音 )
( 七 瀬 ) こん だけ ひっかき 回して いい気な もん だ よ ね
あと もう ちょっと なんだ
( 夏目 ) 手伝 お っか
ありがとう
難しい ね
え ?
気持ち 封印 する の
分かって る
や っぱ 難しい や
( ドア が 開く 音 )
( 菜緒 ) ごめん ね 遅く なっちゃ って
あっ じゃあ 続き 頑張ら ない と 頑張ろう
これ やり づらい んだ よ ね
( 菜緒 ) できた ー !
これ で 渡せ ます ね
七瀬 さん ?
そう だ ね
私 …
( 紗栄 子 ) ヤバ い ! 遅刻 遅刻 する !
ああ …
ごめんなさい
紗栄 子 さん も ありがとう ございました
頑張って ね
( 大地 ) 七瀬
わざわざ 見送り に 来て くれた の か
( 七 瀬 ) うん
渡し たい もの も あって
え ? 何 ?
えっ と …
大地
( 大地 ) ん ?
私 ね
好きな の 大地 の こと が
ずっと 好きだった
ごめん 俺 …
あっ 大丈夫 分かって る から
( 大地 ) ごめん ( 七 瀬 ) そんな 謝 ん ないで
でも 1 個 だけ お 願い が ある の
私 大地 と は 今 まで どおり 話したり バカ やったり し たい
ちゃんと 友達 で いたい
当たり前だ ろ
ありがとう
じゃあ 頑張って ね
あと これ みんな に 渡して
負けたら 許さ ない から
七瀬 !
七瀬
何で ?
何で 大地 は 吉川 さん と 友達 で いら れる の ?
私 は そんなふうに 強く なれ ない
やっぱり
友達 で いら れ そう も ない や
ごめん ね
( 上原 ) 吉川 ?
吉川
あっ … ん ?
お前 何 か あった ?
( 菜緒 の 鼓動 )
え ?
♪~
~♪