Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 10
( 足音 )
( 口笛 : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
( 口笛 : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
( エコーズ ) あっ …
( 口笛 : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )
( ブギー ポップ ) や あ
口笛 が 気 に 障った の なら 失礼
( エコーズ ) いえ こんな 所 で 何 を なさって いる の か と 思って
ふむ それ は 僕 も 聞き たい ね
君 こそ なぜ こんな 所 に ?
君 は 誰 だい ?
エコーズ と いい ます
ほう 君 が エコーズ か
私 を 知って いる の です か ?
紙 木城 ( かみ きしろ ) 直子 ( なお こ ) さん の 友人 だ ろ う ?
そして この 世界 なら ざる 所 から 来 た 人 だ
あなた は 誰 な ん です か ?
僕 の 名前 は ブギー ポップ と いう
変わった お 名前 です ね
お互いに … ね
でも 君 の ほう が 詩的 な 響き が ある
あまり いい 名付け られ 方 で は なかった よう です けど ね
あなた は …
あなた の その 名前 は どんな ふう に 付け られ た の です か ?
それ は 少々 込み入った 話 に なる が
それ じゃあ まず は 案山子 ( かかし ) の 話 から 始め なく て は なら ない な
え ?
( ブギー ポップ ) 案山子 さ
カラス よけ の 道化 だ よ
♪ ~
~ ♪
( 足音 )
( 管理人 ) あれ ? 今日 は ご 出勤 です か ?
( 黒田 ( くろ だ ) ) ええ 依頼 待ち です が ね
まったく 不景気 で 困り ます よ
( 管理人 ) へえ 探偵 さん に も 景気 は 関係 ある ん です ねえ
( ピジョン ) あの ~ ( 黒田 ) うん ?
おや お 客 さん じゃ ない です か ?
( ピジョン ) ペット の 鳩 ( は と ) が い なく なった ん だ けど …
捜し て もら える ?
( 湯 を 注ぐ 音 )
で 何 の 用 だ ? ピジョン
( ピジョン ) 任務 だ よ
寺 月 恭一郎 ( てら つき きょうい ちろう ) の 身辺 を 当たれ って さ
( 黒田 ) また それ か
( ピジョン ) 統 和 ( と うわ ) 機構 は 寺 月 恭一郎 の 監視 を ―
レベル A に 移行 し た わ
“ 不審 が あれ ば 即 処分 ” か
穏やか じゃ ない な
( ピジョン ) ん っ
そんな の 合成 人間 の 宿命 でしょ ?
私 たち だって そう だ し
フフッ
ここ に 来る とき これ が 楽しみ な の よ ね
あんた プロ 級 よ
探偵 は コーヒー に うるさい もの さ
フフ フッ 確か に
いったん 通常 任務 から は 外れ て くれ て いい わ
この 区画 の MPLS 探索 も 成果 ない し ね
( 黒田 ) だ から って ―
自分 たち の 中 に 敵 を 見つける の も 考えもの だ が な
それ って 寺 月 ?
ああ な んで 裏切り者 扱い さ れる ん だ ?
統 和 機構 が 動き やすい 環境 を 作る の が 彼 の 使命 の はず だ
あれ ? 擁護 ?
まっ いい けど さ
でも 任務 は 撤回 さ れ ない わ よ
絶対 に
分かって る 同情 から 手 を 抜 い た り は し ない よ
その ほう が 身 の ため よ ね
( 黒田 ) 香り を 味わう に は 生き て い なきゃ なら ない … か
そう いう こと
人間 じゃ ない 私ら は 他 に 生きる 場所 なんて ない わ
お互い やる こと やる しか ない の よ
( 黒田 ) スケアクロウ
それ が 統 和 機構 の 合成 人間 で ある 俺 の 本当 の 名前 だ
本来 の 任務 は MPLS の 探索
ただし 前もって 指令 さ れる ―
人 捜し の よう な たぐい の もの で は ない
捜す の は ―
“ まだ この世 に 存在 し て い ない 可能 性 を 秘め た 者 ” で あり
それ は 誰 に も …
それ を 持って いる 本人 に も 分から ない の だ
そう いう 意味 で は ―
今回 の 任務 の ほう が まだ 楽 かも しれ ない
( 記者 ) MCE の 信用 調査 ?
( 記者 ) アハハッ ムダ ムダ
つ っつ い た って 何にも 出 ねえ よ あそこ は
( 不動産 業者 ) 不安 材料 ねえ
見当 も つか ない ねえ
( 役員 ) ただ 仕事 は まず 間違い ない
まっ ワンマン らしい が ね
( 黒田 ) 今や 寺 月 の 会社 MCE は ―
この 国 に おい て かなり の 影響 力 を 持つ 企業 体 で ある
成功 し すぎ も 考えもの だ な
ん ?
( キーボード を 打つ 音 )
( 黒田 ) それ は ある 病院 へ の 寄付 の 記事 だった
篤志 家 なら ば 珍しい こと で は ない の だ が ―
病院 と いう ところ に どこ か 引っかかり を 覚え た
統 和 機構 と いう 巨大 な システム は ―
全 世界 に おい て “ 監視 ” と “ 実験 ” を 続け て いる
かつて 人間 に 知性 を 与え た な に もの か を 突き止め ―
“ 次 なる もの ” の 出現 を 感知 しよ う と し て いる
要 は 進化 に 関する 研究 だ
しかし “ 次 なる もの ” が 何 か は 分から ない
だからこそ それ に 人 と し て の 要素 を 残 そ う と し て いる
いわば 生存 競争 な の だ
人 が 進化 の 勝ち抜き 合戦 を くぐり抜ける ため の
寺 月 が 統 和 機構 に 背 い て いる と する なら …
( 黒田 ) ん ?
( 黒田 ) 単に 変 な 建物 を 建てる の が 趣味 な だけ な の か ? 寺 月 は
( 凪 ( なぎ ) ) ずいぶん 熱心 だ ね
( 黒田 ) ああ 大した もん だ これ は
( 凪 ) おじさん 見舞い に 来 た けど 相手 が い なかった わけ ?
ん ? まあ そんな ところ だ
( 凪 ) フッ ウソ だ ね 中 を のぞく の が 目的 だ ろ ?
( 黒田 ) なんで そう 思う ?
( 凪 ) フン
見舞い 客 なら 複数 の 階 を 回ったり し ない だ ろ
花束 持った まま 上ったり 下り たり ここ から 丸見え だ よ
( 黒田 ) ヘッヘヘ …
( 凪 ) なるほど ね 黒田 さん か
君 は 何て いう ん だ ? 小さな 名 探偵 君
俺 は 凪 霧 間 ( き り ま ) 凪 って いう
凪 ちゃん か 変わった 名前 だ な
親 が 偏屈 者 で ね
どんな こと が あって も 揺るが ない 心 を 持て !
と か いう こと らしい
へえ
なあ 黒田 さん
あんた の 調査 って 俺 がらみ じゃ ない だ ろ う な ?
そう いう 冗談 に 構って られる ほど 暇 そう に 見える か ?
( 凪 ) プハハ 見える よ
サボって こんな 所 フラフラ し てりゃ 誰 だ って !
( 黒田 と 凪 の 笑い声 )
君 は 何 の 病気 な ん だ ?
見 た ところ そんなに …
うん …
なんか めん どくせ え 病気 な ん だ
原因 が よく 分か ん なく て さ
体 が 急に 痛く なる ん だ
痛く なる って どんな ふう に だ ?
言葉 に でき ない ほど
まあ うまく 説明 でき ない ん だ けど
医者 に は “ 成長 痛 の よう だ ” って 言わ れる
成長 痛 …
ん ? おいおい そんな 顔 し ない で よ
あ ? あっ す すま ん
( 真希子 ( まきこ ) ) 霧 間 さ ー ん
そろそろ 病室 に 戻り なさい
来 生 ( き すぎ ) 先生 だ 行か なきゃ
じゃあ ね 探偵 さん
あ あっ と
( 凪 ) あ ?
こいつ は 君 に あげる よ
ハハッ あり が と
あの さ 探偵 さん
よかったら 俺 の こと 調べ て みろ よ
面白い ぜ きっと
ほう 楽しみ だ な
( 真希子 ) 何 し て た の ? あなた 普通 の 体 じゃ ない のに
( 黒田 ) 任務 に 関する 定期 報告 書
まず 寺 月 恭一郎 に 関する 一 連 の 調査 だ が ―
統 和 機構 に 対する 背信 行為 は 確認 さ れ ず
唯一 の 懸念 材料 で ある 医療 機関 へ の 投資 事業 に 関し て も ―
統 和 機構 の 脅威 と なる と は 考え がたく ―
異常 なし と 判断 する
次に 通常 任務 たる MPLS の 探索 で ある が …
( 凪 ) まあ うまく 説明 でき ない ん だ けど ―
医者 に は “ 成長 痛 の よう だ ” って 言わ れる
( ノック )
( 直子 ) は ー い どなた です ?
( 黒田 ) ん ?
霧 間 さん に 頼ま れ た 探偵 でし て …
( 凪 ) 直子 その 人 なら 知り合い だ よ
何 か 分かった かい ? 探偵 さん
( 黒田 ) まあ ね
まさか 薄 幸 の 美 少女 が 億万 長者 だ と は 思わ なかった
( 直子 ) 何 ? 探偵 って …
凪 の こと 調べ た の ?
調べろ って 言わ れ た んで ね
( 黒田 ) 霧 間 凪
4 年 前 に 急逝 し た 作家 霧 間 誠一 ( せい いち ) の 一 人 娘 に し て ―
その 全て の 著作 権 の 所持 者 で ある
当然 彼女 の 周り に は 利権 を 巡る トラブル が 絶え ない
へえ よく 調べ 上げ た もん だ
仮病 を 使って 隠れ てる ん じゃ ない か と も 思った が ね
残念 ながら その 線 は なかった
( 凪 ) なん で 残念 な ん だ ?
( 黒田 ) 病気 じゃ ない ほう が いい だ ろ ?
( 直子 ) そう よ 早く 治さ ない と
私 これ 以上 凪 の 先輩 に なる の 嫌 よ
ハァ …
( 直子 ) それ じゃ 私 帰る ね
( 凪 ) ん っ ( 黒田 ) で は 俺 も
( 凪 ) 探偵 さん は もう 少し い て くれ
( 凪 ) さて 理由 は 何 だ ?
何 の 話 だ ?
とぼける な よ
俺 の 代理人 が 横領 し てる と 分かって 解任 さ せ た ろ ?
さあ 一応 事実 確認 は し た が …
俺 に 取り入る ため に やった の か ?
取り入って どう する ?
( 凪 ) ハァ …
分から ない ん だ
何 が だ ?
( 凪 ) 俺 は 病気 が 治った と し て どんな 人間 に なれ ば いい の か な
いまいち ピン と こ ない ん だ よ どんな こと も さ
ピンと き てる ヤツ なんて いる か ね
( 凪 ) あんた は どう な ん だ よ ?
どう かな ? 探偵 って の は 汚い 仕事 だ から な
( 凪 ) そ っか
なあ 黒田 さん は 探偵 以外 に やり たい こと と か ない の ?
そう だ な
正義 の 味方 かな ?
何 の しがらみ も なく ただ 事件 を 解決 する だけ の 正義 の 味方
そう いう の なら なって み たい ね
なれ ば いい じゃ ん ! きっと な れる よ !
なん なら 俺 スポンサー に なって やる よ
おいおい うかつ に そう いう こと を 言う もん じゃ ない
つけ込ま れる ぞ
黒田 さん なら いい よ !
いや 俺 は …
( 凪 ) う っ くっ …
発作 か ? すぐ に 医者 を 呼 ん で …
ん っ …
( 凪 ) ホント に 考え とい て ね
ホント に …
( 凪 ) う う っ … ( 黒田 ) あっ …
( ナースコール の 音 )
( 黒田 ) やはり この 子 は …
( 凪 の うめき声 ) ( 医師 ) 霧 間 さん 落ち着 い て …
( 黒田 ) 進化 し かけ て いる
( 直子 ) 探偵 さん は 凪 の 味方 ?
別に 敵 でも 味方 で も ない が …
だったら ―
味方 に なって あげ て
お 願い
( 黒田 の 笑い声 )
( 携帯 電話 の 着信 音 )
( モ ・ マーダー ) はい 佐々木 ( さ さき ) です
( 男性 ) D 3 進行 中
モ ・ マーダー 指令 を 受理 せよ
名前 は スケアクロウ
反逆 行為 に より 抹殺 対象 に 認定
対象 は 施設 RS 20 TTU を 破壊 し 逃走 中
被害 甚大 目的 は 不明
( モ ・ マーダー ) NRS 20 TTU を 破壊 ?
何 か の 薬品 でも 狙った の か ?
( 真希子 ) あら ?
( 窓 の 閉まる 音 )
おかしい わ ね
( 物音 )
ハッ ! だ 誰 か いる の ?
( 物音 ) ( 真希子 ) あっ …
あ あっ
( 窓 ガラス の 割れる 音 ) ( 真希子 ) な 何 な の ?
( モ ・ マーダー ) チッ 俺 と し た こと が
( モ ・ マーダー ) あっ ( 消火 器 箱 に 当たる 音 )
ハッ !
だ 誰 か いる の ?
( 黒田 ) う っ
う う っ …
う っ …
( モ ・ マーダー ) う っ ! う う っ …
フフッ
( 窓 ガラス の 割れる 音 )
( モ ・ マーダー ) しかし なぜ ―
霧 間 誠一 の 娘 が あんな 場所 に …
( 黒田 ) あの 薬 に は 人間 の 進化 を 促進 さ せる 効果 が ある と さ れ て いる
あの 子 は 既に 進化 し かけ て い た
だ と し たら ―
薬 は 体 内 で その 可能 性 を 相殺 する はず
( 転がり 落ちる 音 )
( 黒田 ) だ から 何 だって ん だ
( 黒田 ) 火葬 場 か
お あつらえ向き だ な
( 藤 花 ( とうか ) ) 何 し てる の ? ( 黒田 ) うん ?
( 黒田 ) いや 別に 何 も
( 藤 花 ) でも 死 に かけ て いる ん じゃ ない の ?
( 黒田 ) まあ ね
( 藤 花 ) 怖く ない の ?
( 黒田 ) そりゃ あ … な
( 藤 花 ) それ なら …
( ブギー ポップ ) それ なら なんで そんなに 落ち着 い て いる ん だい ?
お前 は 何 だ ?
死 神 か ?
( ブギー ポップ ) 死 神 … ね
まっ 死 神 に なら 教え て やる よ
今 すごく 腹 が 立って ん だ
自分 の みっともな さ に な
( ブギー ポップ ) その 格好 の こと かい ?
ハハッ これ は 俺 が 案山子 だ から だ
カラス の よう に 黒い もの が 好き な だけ だ
( ブギー ポップ ) じゃあ 君 は 何 に 怒って いる ん だ ?
( 黒田 ) ある 女の子 を 助けよ う と し た ん だ
命 と 引き換え に 手 に 入れ た 薬 で な
助から なかった の かい ?
( 黒田 ) どう だ ろ う な
うまく いけ ば ただ の 人間 に 戻 れる だ ろ う が
なら いい こと じゃ ない か
ところが な
この 俺 は この 土壇場 で それ を 少し ばかり 後悔 し て いる の さ
バカ な こと を し た って な
こんなん じゃ “ 正義 の 味方 ” なんて 程遠く って
あいつ は “ な れる ” って 言って くれ た のに
裁か れ て 罰 を 受ける べき な ん だ よ 俺 は
だが 俺 は もう じき 死ぬ
こんな 半端 な まま
( ブギー ポップ ) 裁 い て ほしい の かい ?
裁か れ たら 君 は 正義 の 味方 に な れる の か な ?
後悔 など 吹っ切れ て 君 は また 戻る こと が できる の か な ?
君 が 最も 美しい 心 を 持て た ―
その 瞬間 に
お前 は … 何 だ ?
( ブギー ポップ ) 君 は “ 死 神 ” と 言った ね
まあ たぶん 幻覚 な ん だ ろ う さ
泡 み たい に すぐ に はじけ て 消える ―
死に際 の はかない 願望 だ
ずいぶん 不気味 だ が な
( ブギー ポップ ) “ 不気味 な 泡 ” と いう わけ かい
笑える よ な
最後 に 出 て くる の が そんな 変 な ヤツ なんて
君 は …
ん ?
君 は まだ 答え て い ない
君 は 戻 れる の か な ?
ヘッ …
( 黒田 ) 統 和 機構 は 人 の 研究 の 果て に ―
数 多く の 合成 人間 を 生み出し て き た
しかし その おおもと と なる “ 素 体 ” の 正体 は ―
最 重要 機密 で ある
ゆえに 私 の よう に ―
それ こそ が “ 先 に 進化 し た もの ” な の で は ない か と ―
邪推 する 者 は 今後 も 現れる だ ろ う
… が ただ 私 は 危惧 する
( モ ・ マーダー ) ここ に あった か
( 黒田 ) もしも “ 素 体 ” が 実は 未来 など で は なく ―
ただ の 突然 変異 体 など で あった と し たら ―
我々 が し て いる こと は ―
とんでもない 茶 番 と いう こと に なり は し ない か と
しかし こいつ …
どう し て こんな 顔 で 死ぬ こと が でき た ん だ ?
♪ ~
~ ♪