Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 17
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( 田中 ( た なか ) ) 羽原 ( は ばら ) さん ! 羽原 さん !
( 羽原 ) う っ う …
( 田中 ) 羽原 さん 大丈夫 です か ?
( 羽原 ) あ ああ 大丈夫 だ
地震 も 収まった よう です
( 羽原 ) 俺 は どう なって いた ん だ ?
( 田中 ) いきなり 叫び だ し て …
そ したら 倒れ ちゃ った ん です よ
( 羽原 ) そう か
( 田中 ) どう かし まし た か ?
いや
( 田中 ) そんな こと より 羽原 さん 他 の 入り口 を 見つけ まし た
あっ …
( 田中 ) ここ の 下 な ん です が …
おい 起きろ
( 田中 ) この 人 ―
さっき の 人 じゃ ない です か 羽原 さん が 笑った
( 咲子 ( さ きこ ) ) う っ う …
( 羽原 ) お っ 気づ い た か ?
( 咲子 ) あなた たち … は ?
( 羽原 ) 俺 は 羽原 健太郎 ( けん たろう ) こいつ は 田中 志郎 ( しろう )
( 咲子 ) 道 元 ( みち もと ) 咲子
道 元 さん も 歪曲 王 ( わ い きょく おう ) に 会った の か ?
( 咲子 ) 歪曲 王 …
あなた たち が 私 を 起こし た の ?
なあ どんな 感じ だった ?
何 か 正体 と か ヒント と か なかった ?
そんな こと 聞い て どう する の よ ?
野郎 を やっつける ん だ よ
その ため に は 手がかり が 要る ん だ
( 咲子 ) やっつける ?
あなた たち は 歪曲 王 に 何 を 言わ れ た の ?
( 羽原 ) 恐らく 似 た よう な もん だ よ
あ …
それなのに …
羽原 さん これ 開き ます よ 施錠 さ れ て ませ ん
よし
まあ 信じ て くれ なく て も いい が とりあえず 待って て くれ
中 は どう なって る ?
( 田中 ) さっき と 同じ で 何も な さ そう です
( 羽原 ) ハァ … 戻る か
そう です ね
( ハッチ の 閉まる 音 ) ( 2 人 ) あっ
( 咲子 ) 邪魔 は さ せ ない わ
目的 が 何 で あれ 歪曲 王 の 邪魔 は さ せ ない !
( 羽原 ) ちょ っ ちょっと 待て !
あっ ち に … あっ ち に 帰る の よ 私 は
( ハッチ を たたく 音 ) ( 羽原 ) おい !
く そ っ 開か ねえ ぞ
何 な ん だ あいつ
( 地響き )
( 羽原 ) あっ
( ロック 音楽 )
( 警備 員 ) おい 君
( 警備 員 ) その 辺 は 危ない から すぐ 下がり なさい
( スタッフ ) おい 何 だ あれ ?
( 竹田 ( たけ だ ) ) な … 何 だ ?
( 寺 月 ( てら つき ) ) 諸君 原因 は 解明 でき た かな ?
いや この 音楽 が 聴 こえる と いう こと は ―
まだ 君 たち は 私 の ところ に は 届 い て い ない と いう こと だ
現在 ムーン テンプル の 中 に ―
何 名 の 人間 が いる の か 分から ない が ―
まず 外 に いる 者 たち ―
中 へ は 絶対 に 入る こと は でき ない
ムダ な 努力 は やめる べき だ
( 羽原 ) 寺 月 恭一郎 ( きょうい ちろう ) の 声 だ
やっぱり ヤツ が 歪曲 王 だった ん だ な
( 寺 月 ) 次に 中 に いる 諸君
諸 君 ら は 曲 が かかる 前 の 音 を お 聞き に なった と 思う
あれ は この 建物 の 通風 口 が 閉鎖 さ れ た 音 だ
そう 諸 君 ら の 酸素 供給 は これ で 断た れ た と いう わけ だ
どの くらい の 余裕 が ある か は 分から ない が ―
早く なんとか し ない と 酸欠 で 死ぬ こと に なる ぞ
( 羽原 ) 何 だ と ! ?
( 寺 月 ) それでは 諸 君 ら の 健闘 を 期待 する
頑張って くれ た まえ
く そ っ ふざけ や が って 俺 たち を 皆殺し に する 気 か よ
落ち着 い て ください 羽原 さん
そんなに 簡単 な 話 で は ない でしょ う
けど よ
( 田中 ) 通風 口 を 塞 い だ ところ で ―
空気 の 流れ を 完全 に 断つ こと など でき ませ ん
これ は 単なる 脅し です
( 羽原 ) 俺 たち を 脅し て どう する ん だ よ ?
( 田中 ) こう いう 状況 で パニック を 起こし た 人間 が ―
普通 取る 行動 を 考え て ください
逃げる
けど 出口 は ?
( 田中 ) ええ 塞が れ て い ます よ ね
… って こと は 上 か !
そう です 活路 を 求め た 人々 は 自然 と 上 に 向かう ん です
恐らく そう やって 自分 の ところ に 来る よう 仕向け て いる ん です
( 羽原 ) ゲーム じみ て き た な ホント に
俺 たち は まず ここ から 出る こと が 先 か
( 田中 ) ええ 行き ま しょ う
しかし 見る 目 が あった ん だ な
あっ … 何 が です ?
お前 に ホレ て た って いう その 彼女 だ よ
見る 目 あった ん だ な
あ そう … です か ね
( 敬 ( けい ) ) 一体 どう いう こと ?
結局 あなた の 目的 は ―
この ビル の 中 の 人間 を 皆殺し に する と いう ―
ただ それ だけ の こと な の ?
( 早乙女 ( さおとめ ) ) さて あなた は どう 思う ん です ?
( 敬 ) 分から ない から 聞い て いる の よ
( 早乙女 ) 悩む の は あなた らしく も あり ませ ん ね
委員 長
それ で い い ん です
あの とき も あなた は 勇敢 で し た
あなた が い て 早乙女 正美 ( まさみ ) が い て ―
これ で あと 田中 志郎 が いれ ば 本当 に あの とき と 同じ だ
だから 何 ?
( 早乙女 ) また 霧 間 ( き り ま ) 凪 ( なぎ ) が 助け に 来 て くれる かも しれ ませ ん よ
( 敬 ) そんな の 期待 し て ない わ
どう かし まし た か ? 委員 長
( 敬 ) 分かった わ 早乙女 君 ( 早乙女 ) ん ?
何 が です か ?
( 敬 ) 私 が 何 を あなた に 残し て いる の か
早乙女 正美 が なんで 私 の 歪曲 王 と し て 出 て き た の か
その 理由 が
( ロック 音楽 )
宮下 ( みや した ) …
( 藤 花 ( とうか ) ) 呼び まし た ? ( 竹田 ) ん ?
み 宮下 …
お前 なんで ここ に ?
( 藤 花 ) 先輩 こんな 所 で ぐずぐず し て い ない で ―
早く 中 に 入ら ない ん です か ?
( 竹田 ) お お前 …
歪曲 王 … か ?
( 藤 花 ) 入り たい の なら つい て き て ください
( 竹田 ) お おい !
あ … どう なって る ん だ ?
( 藤 花 ) ここ は 私 たち 2 人 夢 の 世 界
他 の 人 たち の 現実 を 今 少し ばかり ずらし て いる の よ
ずらす ?
おい どう する ん だ ?
あっ な 何 だ よ これ ?
ただ の 通用口 よ
あ …
( 藤 花 ) ねえ 先輩 ( 竹田 ) ん ?
私 を 捕まえ て
ま 待て !
( 田中 ) 羽原 さん ( 羽原 ) ここ か
ええ ここ だけ 音 が 違い ます
( 羽原 ) って こと は どこ か に 点検 用 の ハッチ が …
( 地響き )
( 田中 ) 急ぎ ま しょ う ( 羽原 ) ああ
( 咲子 ) ハァ … ハァ …
戻 れ ない
もう そっち に 戻 れ ない の ? 日 奈子 ( ひな こ ) …
( 咲子 の 泣き声 )
( 咲子 ) もう 全部 壊れ ちゃ え ば いい の よ
あっ …
あ …
ブギー ポップ …
( 咲子 ) 助け て くれ た の ? 私 を
( ブギー ポップ ) どう かな
あ あの … あんた って …
( ブギー ポップ ) ん ?
その とおり 名前 は ブギー ポップ
君 は もう ご存じ の よう だ ね
本物 な の ?
( ブギー ポップ ) さ あね
この世 に 本当 の 本物 なんて もの が 存在 する の か な ?
そう いう こと じゃ なく て …
つまり さ あんた って ホント に その …
人 を 殺す の か って ?
ああ そう だ よ
だから 君 たち は 僕 の こと を 死 神 だの と ウワサ する ん じゃ ない か
( 咲子 ) なんで 人 を 殺す の ?
( ブギー ポップ ) それ が 僕 の 仕事 だ から
殺す 相手 が 世界 の 敵 だったり する から ね
( 咲子 ) その 相手 は どう やって 選 ん でる の ?
( ブギー ポップ ) 僕 に 選択 権 は ほとんど ない ね
自動 的 に 殺さ れる 相手 が 僕 の 前 に やって くる こと が 多い
殺し て くれ って あなた の 前 に 現れる って こと ?
分かる 気 が する わ
( ブギー ポップ ) どう かな
え ?
( ブギー ポップ ) 殺さ れ たい なんて 本気 で 思って いる 人間 など い ない よ
そんな こと ない
生き て いる の が 嫌 に なっちゃ っ て て ―
殺さ れ たい と 本気 で 考える 人 だって いる と 思う !
( ブギー ポップ ) それ は 単に それ 以上 生き て いる と ―
今 まで 生き て き た 意味 の ほう が 死 ん で しまう ―
と いう 選択 が ある だけ だ
どう いう こと よ ?
殺さ れ たい なんて 言いだす 資格 を 得る に は
少なくとも 本気 で 生き て から で なきゃ と いう こと さ
あ …
( ブギー ポップ ) 君 に は ―
その 資格 が ある の か な ?
( 咲子 ) だって 私 は ひどい ヤツ で ―
本当 に とんでもない 悪い 人間 だ から !
( ブギー ポップ ) 悪い と 殺さ れ て も いい の かい ?
そう でしょ ! 悪い ヤツ が い なく なったら ―
世 の 中 も 少し は よく なる し
( ブギー ポップ ) つまり 善人 だけ が 生き て いる 世界 と いう こと かい ?
( 咲子 ) そう よ 私 なんか じゃ なく て ―
日 奈 ( ひな ) ちゃん が ずっと 平和 に 生き て いる よう な …
そんな …
私 より も ずっと ずっと いい 子 だった の
なのに なぜ か 私 の ほう が …
( ブギー ポップ ) ふむ
君 の 歪曲 王 は 君 に 優しかった かい ?
( 咲子 ) ええ
彼女 は “ 苦しみ の 全て を 黄金 ( きん ) に 変え なきゃ なら ない ” って
どう いう こと だい ? それ は
( 咲子 ) わ 私 だって よく 分から なかった けど …
でも やら なきゃ なら ない って 思った の
あそこ で 日 奈 ちゃん と 暮ら せる なら どんな こと でも しよ う って
( ブギー ポップ ) 彼女 は 君 の 分身 だ
その 人 が 優しかった の なら それ は 君 の 優し さ な ん だ
あ …
( ブギー ポップ ) 恐らく 歪曲 王 は 僕 同様 に 主体 が ない
君 の 中 の ゆがみ が 形 に なって 出 て き た だけ の 存在 だ
つまり 君 は ―
これ まで 自分 の 優し さ を ゆがま せ 続け て き た と いう こと
それ は 決して 楽 な こと で は ない
その ゆがみ は 君 を ずっと 苦しめ て い た はず だ
だが 同時に その 苦しみ の 分 だけ ―
実は 君 は 優しい 人間 だった と いう こと に なる
( 咲子 の 泣き声 )
( ブギー ポップ ) 彼女 は それ を 君 に 教える ため に 現れ た の さ
( 泣き声 )
( ブギー ポップ ) 君 は もう 達成 し てる ん じゃ ない か ?
君 の その 気持ち が “ 黄金 ” で ない と する なら ―
この世 の 中 に 輝 ける もの なんか 何にも ない ん じゃ ない か な
やれやれ
どうやら 簡単 に は 終わら ない よう だ な
( 田中 ) これ で ムーン テンプル の 中 を 制御 し て い た ん でしょ う か ?
( 羽原 ) いや それ だけ だったら ―
こんな バカで かい 施設 は 要ら ない はず だ
( 田中 ) と いう こと は …
( 羽原 ) とにかく この 建物 の ロック を 解除 できる か やって みよ う
( 操作 音 )
( 寺 月 ) や あ よくぞ ここ まで 来 た な
君 か 君 たち か ―
1 人 な の か 何 人 か いる の か は 知ら ない が ―
よくぞ 到達 し た と 褒め て おこ う
寺 月 恭一郎
( 寺 月 ) 推察 の とおり この ムーン テンプル は ―
完全 に 今 君 たち を ここ に 呼ぶ ため だけ に 作ら せ た 代物 だ
そう そう 説明 を し なく て は なら ない ん だ なあ
君 は 世界 に 何と いう か ―
“ 流れ ” みたい な もの が ある と か 思った こと は ない か な ?
運命 と か すう勢 と いう よう な も の
それ が 何 な の か 考え て み た こと が ある かな ?
それ は 人間 が 生まれ て から この かた ―
ずっと 考え 続け られ て き た 問題 で も ある
そして 今 でも それ は 続 い て いる
“ 進化 ” と いう の も その 過程 で 生まれ た 発想 の 1 つ だ
進化 に は ある 程度 何らか の 指向 性 と いう か ―
流れ が ある と しか 考え られ ない 節 が ある
すると 当然 こう いう 考え が 生まれる
“ その 流れ は 今 でも 流れ 続け て いる の だ ろ う か ”
“ だ と し たら その 先 を ― ”
“ せめて 方向 を 知る こと は でき ない か ” と ね
それ は 神 の 領域 だ
しかし その 領域 に ―
手 を 出 そ う と し なかった 権力 者 など ―
人類 の 歴史 に は 1 人 も い ない
( 寺 月 ) ただ 今 は そう いう ―
分かり やすい 権力 者 や ―
何 を 言って る ん だ こいつ は
何 を 言って る ん だ こいつ は
何 を 言って る ん だ こいつ は
支配 者 など は 存在 し ない
支配 者 など は 存在 し ない
ある の は システム だけ だ
便宜 上 統 和 ( と うわ ) 機構 と 呼ば れる その システム は ―
私 の 属する ところ で あり 創造 主 で も ある
そう 私 は 統 和 機構 の 都合 の いい よう に ―
経済 を 動かす ため に 作ら れ た 人造 人間 な の だ
だが その 役割 も 終わる
少し ばかり 力 が 大きく なり すぎ た ので ―
私 は そろそろ 処分 さ れる だ ろ う
だから 最後 に 1 つ 統 和 機構 と 遊 ん で やろ う と 思って ね
それ が この ムーン テンプル の 建設 だ
ムーン テンプル は 私 の 死後 間違い なく 見せ 物 に さ れる
君 は その 見物 客 かな ?
それとも イベント の 整理 係 か
いずれ に せよ こんな こと に 巻き込ま れる と は ―
予想 だに し て い なかった ろ う
しかし 君 は 来 た
それ も 来る べく し て 来 た の だ
君 は ここ に 閉じ込め られ て 麻酔 ガス で 意識 を 失った はず だ
だが 重要 な の は その 中 で 君 が 目覚め て ―
ここ まで やって き た と いう 事実 の ほう だ
この 世界 に は 分かる はず の ない こと が 分かり ―
来 なけ れ ば なら ない 所 に 来る 者 が いる
それ こそ が 統 和 機構 が 危険 視 する 者 たち な の だ
もう 分かる だ ろ う ?
君 は 統 和 機構 の 敵 に なり うる 存在 な ん だ
それ を 知らせ たかった
実に その ため だけ に この ムーン テンプル も ―
寺 月 恭一郎 の なし た 財産 も 存在 し て い た の だ
君 に “ 気 を つけろ ” と 言う ため だけ に
ムーン テンプル の 現在 の 閉鎖 を 解除 する コード は …
ふむ …
“ STAIRWAY ( ステア ウェイ ) TO ( トゥ ) HEAVEN ( ヘヴン ) ”
あっ …
( 寺 月 ) … と いう こと に し て おこ う
そこ に 打ち込め ば 全て の ロック は 解除 さ れる
同時に この 記録 も 全て 消去 さ れる
いい か 君 は 可能 性 だ
それ が どんな もの で ある か 私 に は 想像 も つか ない し ―
君 も 自分 で は まだ 分から ない だ ろ う
つまり 問題 は 君 自身 が その 可能 性 を どう 伸ばし ―
どう 使って いく か と いう こと に 尽きる の だ
健闘 を 祈る よ
ん ?
や あ 君 か ユージン
君 なら 問題 なく 僕 を 消し て くれる
えっ …
何 だ よ これ
( 田中 ) なるほど
そう いう こと か
いや 何 納得 し てん だ 志郎
おかしい ぞ これ
( 田中 ) 何 が です ?
( 羽原 ) 何 が って 全然 説明 に なって なかった ろ
ただ ここ に 閉じ込め られ た こと と ―
全員 が 眠り 込 ん だ こと の 理屈 しか 通ら ない
どう し て … どう し て こいつ は ―
歪曲 王 の こと を ひと言 も 言わ ない ん だ
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