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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 23. 狐 の つかい - 新美 南 吉

23. 狐 の つかい - 新美 南 吉

狐 の つかい - 新美 南 吉

山 の なか に 、 猿 や 鹿 や 狼 や 狐 など が いっしょに すんで おりました 。 みんな は ひと つ の あんどん を もって いました 。 紙 で はった 四角な 小さい あんどん で ありました 。 夜 が くる と 、 みんな は この あんどん に 灯 を ともした ので ありました 。 ある ひ の 夕方 、 みんな は あんどん の 油 が もう なくなって いる こと に 気 が つきました 。 そこ で だれ か が 、 村 の 油屋 まで 油 を 買い に ゆかねば なりません 。 さて だれ が いった もの でしょう 。

みんな は 村 に ゆく こと が すき では ありません でした 。 村 に は みんな の きらいな 猟師 と 犬 が いた から であります 。 「 それでは わたし が いきましょう 」 と その とき いった もの が ありました 。 狐 です 。 狐 は 人間 の 子ども に ばける こと が できた から でありました 。 そこ で 、 狐 の つかい と きまりました 。 やれやれ とんだ こと に なりました 。 さて 狐 は 、 うまく 人間 の 子ども に ばけて 、 しりきれ ぞうり を 、 ひたひた と ひきずり ながら 、 村 へ ゆきました 。 そして 、 しゅびよく 油 を 一 合 かいました 。 かえり に 狐 が 、 月夜 の なたねばたけ の なか を 歩いて います と 、たいへん よい に おい が します 。 気 が ついて みれば 、 それ は 買って きた 油 の におい でありました 。 「 すこし ぐらい は 、 よい だろう 。」

と いって 、 狐 は ぺろり と 油 を なめました 。 これ は また なんという おいしい もの でしょう 。

狐 は しばらく する と 、 また がまん が でき なく なりました 。 「 すこし ぐらい は よい だろう 。 わたし の 舌 は 大きく ない 。」

と いって 、 また ぺろり と なめました 。 しばらく して また ぺろり 。

狐 の 舌 は 小さい ので 、 ぺろり と なめて も わずかな こと です 。 しかし 、 ぺろり ぺろり が なんど も かさなれば 、 一 合 の 油 も なくなって しまいます 。 こうして 、 山 に つく まで に 、 狐 は 油 を すっかり なめて しまい 、 もって かえった の は 、 から の とくり だけ でした 。

待って いた 鹿 や 猿 や 狼 は 、 から の とくり を みて ためいき を つきました 。 これ で は 、 こんや は あんどん が ともりません 。 みんな は 、 がっかり して 思いました 、 「 さて さて 。 狐 を つかい に やる の じゃなかった 。」

と 。

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23. 狐 の つかい - 新美 南 吉 きつね|||にいみ|みなみ|きち fox||messenger||| 23. Die Werkzeuge des Fuchses - NIIMI Nankichi 23. the fox's use - NIIMI Nankichi 23. las herramientas del zorro - NIIMI Nankichi 23. Les outils du renard - NIIMI Nankichi 23. 여우의 쓰임새 - 신미남길 23. Инструменты лисы - НИМИ Нанкичи 23. 狐狸的使用 - Niimi Minamiyoshi

狐 の つかい - 新美 南 吉 きつね|||にいみ|みなみ|きち ||messenger|Natsukichi||good Fox Tsukai-Nankichi Niimi

山 の なか に 、 猿 や 鹿 や 狼 や 狐 など が いっしょに すんで おりました 。 やま||||さる||しか||おおかみ||きつね|||||おり ました ||inside||monkey||deer||wolf||fox|||together with||lived In the mountains, monkeys, deer, wolves, foxes, etc. lived together. みんな は ひと つ の あんどん を もって いました 。 ||||||||い ました ||person|||lantern||| Everyone had one andon. 紙 で はった 四角な 小さい あんどん で ありました 。 かみ|||しかくな|ちいさい|||あり ました paper||stuck|square||lantern|| It was a small square andon made of paper. 夜 が くる と 、 みんな は この あんどん に 灯 を ともした ので ありました 。 よ|||||||||とう||||あり ました |||||||||light||lit|| When night came, everyone lit the lanterns. ある ひ の 夕方 、 みんな は あんどん の 油 が もう なくなって いる こと に 気 が つきました 。 |||ゆうがた|||||あぶら|||||||き||つき ました |||evening|||lantern|||||run out|||||(subject marker)|arrived One evening, everyone noticed that more and more oil was running out. そこ で だれ か が 、 村 の 油屋 まで 油 を 買い に ゆかねば なりません 。 |||||むら||あぶらや||あぶら||かい||ゆか ねば|なり ませ ん ||someone|||||oil shop||||||must go| So someone has to go to the village oil store to buy oil. さて だれ が いった もの でしょう 。 well|who||said|| Who is it? 誰說的?

みんな は 村 に ゆく こと が すき では ありません でした 。 ||むら|||||||あり ませ ん| ||||went|||liked||| Everyone didn't like going to the village. 村 に は みんな の きらいな 猟師 と 犬 が いた から であります 。 むら||||||りょうし||いぬ||||であり ます |||||disliked|hunter||||||it is Because there were all the disliked hunters and dogs in the village. 「 それでは わたし が いきましょう 」 |||いき ましょう "Then I will go." と その とき いった もの が ありました 。 ||||||あり ました |||said||| There was something like that at that time. 狐 です 。 きつね| 狐 は 人間 の 子ども に ばける こと が できた から でありました 。 きつね||にんげん||こども|||||||で あり ました ||||||transform|||||was The fox was able to be exposed to human children. そこ で 、 狐 の つかい と きまりました 。 ||きつね||||きまり ました ||||messenger||decided There, I decided to use a fox. やれやれ とんだ こと に なりました 。 ||||なり ました sighing sound|unexpected||| Oh, dear, what a mess. 對不起,對不起。 さて 狐 は 、 うまく 人間 の 子ども に ばけて 、 しりきれ ぞうり を 、 ひたひた と ひきずり ながら 、 村 へ ゆきました 。 |きつね|||にんげん||こども|||しり きれ|||||||むら||ゆき ました well||(topic marker)|well|||||transformed|straw sandals|straw sandals||dragging sound||dragging||||went Now, the fox went to the village, slamming the sandals, slamming and dragging, successfully to the human child. そして 、 しゅびよく 油 を 一 合 かいました 。 ||あぶら||ひと|ごう|かい ました |soy sauce|oil||one||bought And he choked on a cup of oil. かえり に 狐 が 、 月夜 の なたねばたけ の なか を 歩いて います と 、たいへん よい に おい が します 。 ||きつね||つきよ||なた ねば たけ||||あるいて|い ます|||||||し ます ||||||clear moonlit field||inside|||||very|||scent|| On the contrary, when a fox is walking in a machete on a moonlit night, it smells very good. 気 が ついて みれば 、 それ は 買って きた 油 の におい でありました 。 き||||||かって||あぶら|||で あり ました ||||||||||smell| When I noticed, it was the smell of the oil I bought. 「 すこし ぐらい は 、 よい だろう 。」 a little|||| "A little bit is good."

と いって 、 狐 は ぺろり と 油 を なめました 。 ||きつね||||あぶら||なめ ました ||||licked||||licked これ は また なんという おいしい もの でしょう 。 |||what||| What a delicious thing this is!

狐 は しばらく する と 、 また がまん が でき なく なりました 。 きつね||||||||||なり ました ||for a while||||patience|||| After a while, the fox couldn't stand again. 「 すこし ぐらい は よい だろう 。 |||good| "A little better. わたし の 舌 は 大きく ない 。」 ||した||おおきく| ||tongue||| My tongue isn't big. "

と いって 、 また ぺろり と なめました 。 |||||なめ ました |||licked||licked しばらく して また ぺろり 。 a little while|||lick

狐 の 舌 は 小さい ので 、 ぺろり と なめて も わずかな こと です 。 きつね||した||ちいさい|||||||| ||||small||licking||licked||a little|| しかし 、 ぺろり ぺろり が なんど も かさなれば 、 一 合 の 油 も なくなって しまいます 。 |||||||ひと|ごう||あぶら|||しまい ます ||||||accumulated||||||| However, if the amount of oil is increased, the amount of oil will be exhausted. こうして 、 山 に つく まで に 、 狐 は 油 を すっかり なめて しまい 、 もって かえった の は 、 から の とくり だけ でした 。 |やま|||||きつね||あぶら||||||||||||| thus|||arrive|||||||completely|licked|||brought back|||from||container|| Thus, by the time they reached the mountain, the fox had completely licked off the oil, and all it brought back was an empty lantern.

待って いた 鹿 や 猿 や 狼 は 、 から の とくり を みて ためいき を つきました 。 まって||しか||さる||おおかみ|||||||||つき ました waited||||||||from||chestnut|||sigh|| The deer, monkeys, and wolves waiting there sighed as they looked at the empty lantern. これ で は 、 こんや は あんどん が ともりません 。 |||||||ともり ませ ん |||tonight||||not lit With this, there will be no light tonight. みんな は 、 がっかり して 思いました 、 ||||おもい ました ||disappointed|| Everyone felt disappointed and thought, 「 さて さて 。 "Well, well. 狐 を つかい に やる の じゃなかった 。」 きつね||||||じゃ なかった ||servant|||| I shouldn't have sent the fox on an errand."

と 。