大工 と 鬼 六
だいく||おに|むっ
Carpenter and Oniroku
木匠与鬼冢
大工 と 鬼 六
だいく||おに|むっ
Carpenter and Oni Roku
むかし むかし 、 ある ところ に 、 大きくて 流れ の 速い 川 が あり ました 。
|||||おおきくて|ながれ||はやい|かわ|||
Once upon a time, there was a large, fast-flowing river.
川 の こちら 側 に 住んで いる 村人 たち は 、 向こう岸 へ 行く に は 川 を 渡ら なければ なり ませ ん 。
かわ|||がわ||すんで||むらびと|||むこうぎし||いく|||かわ||わたら||||
Villagers living on this side of the river have to cross it to get to the other side.
でも その 川 に は 、 橋 が あり ませ ん 。
||かわ|||きょう||||
But there is no bridge over the river.
それ と 言う の も 何度 橋 を 作って も 、 大雨 が 降る と 川 の 流れ が 激しく なって 橋 が 流さ れて しまう から です 。
||いう|||なんど|きょう||つくって||おおあめ||ふる||かわ||ながれ||はげしく||きょう||ながさ||||
This is because no matter how many times you build a bridge, when it rains heavily, the current of the river becomes so strong that the bridge is washed away.
「 何とか して 、 雨 に も 風 に も 大水 に も 負け ない 丈夫な 橋 を かけ なければ 」 村人 たち は 話し 合って 、 日本 一 の 橋 作り 名人 と 言わ れる 大工 に 頼む 事 に し ました 。
なんとか||あめ|||かぜ|||おおみず|||まけ||じょうぶな|きょう||||むらびと|||はなし|あって|にっぽん|ひと||きょう|つくり|めいじん||いわ||だいく||たのむ|こと|||
The villagers decided to ask a carpenter, who was said to be the best bridge builder in Japan, to build the bridge.
「 よし 、 引き受けた !
|ひきうけた
Okay, I accept!
」 大工 は そう 言って 、 さっそく 川岸 へ やって 来 ました 。
だいく|||いって||かわぎし|||らい|
The carpenter said so and came to the riverbank immediately.
ところが 、 その 川 の 流れ の 速 さ を 見て びっくり です 。
||かわ||ながれ||はや|||みて||
However, I was surprised to see how fast the river was flowing.
「 こんなに 流れ の 速い 川 を 見た の は 、 始めて だ 。
|ながれ||はやい|かわ||みた|||はじめて|
"It's the first time I've seen a river with such a fast flow.
どう したら 、 これ に 負け ない 丈夫な 橋 を かける 事 が 出来る のだろう ?
||||まけ||じょうぶな|きょう|||こと||できる|
How can we have a bridge that is as strong as this one?
」 大工 は 、 考え 込んで しまい ました 。
だいく||かんがえ|こんで||
The carpenter was lost in thought.
すると 川 の 真ん中 から 、 大きな 鬼 が ヌーッ と 現れ ました 。
|かわ||まんなか||おおきな|おに||||あらわれ|
Then, from the middle of the river, a big ogre appeared.
「 話 は 、 聞いた ぞ 。
はなし||きいた|
I heard what you said.
丈夫な 橋 が 欲しい の なら 、 おれ が 橋 を かけて やろう じゃ ない か 」 「 それ は 、 ありがたい 。
じょうぶな|きょう||ほしい|||||きょう|||||||||
If you want a strong bridge, why don't I build one for you?"
ぜひとも 、 橋 を こしらえて くれ 」 「 よし 、 約束 しよう 。
|きょう|||||やくそく|
By all means, build me a bridge." "Okay, I promise.
その代わり に 橋 が 出来たら 、 お前 の 目玉 を もらう ぞ 」 鬼 は そう 言う と 、 パッと 消えて しまい ました 。
そのかわり||きょう||できたら|おまえ||めだま||||おに|||いう||ぱっと|きえて||
In exchange, if the bridge is built, I'll get your eyeballs." After saying that, the demon disappeared.
次の 朝 、 大工 が 川 に やって 来る と 、 もう 大きくて 立派な 橋 が 出来て い ました 。
つぎの|あさ|だいく||かわ|||くる|||おおきくて|りっぱな|きょう||できて||
The next morning, when the carpenter came to the river, he had already built a large and magnificent bridge.
村人 たち は 、 大喜びです 。
むらびと|||おおよろこびです
The villagers are overjoyed.
けれど 大工 は 、 困って しまい ました 。
|だいく||こまって||
But the carpenter was at a loss.
鬼 と の 約束 で 、 目玉 を 取ら れて しまう から です 。
おに|||やくそく||めだま||とら||||
The reason is that the ogre promised to take your eyeballs off.
( 大事な 目玉 を 、 取ら れて たまる か ) 大工 は こっそり と 、 山奥 へ 逃げて 行き ました 。
だいじな|めだま||とら||||だいく||||やまおく||にげて|いき|
(The carpenter sneaks off deep into the mountains.
すると 山奥 の もっと 奥 から 、 不思議な 歌 が 聞こえて 来 ました 。
|やまおく|||おく||ふしぎな|うた||きこえて|らい|
Then, from deep in the mountains, I heard a strange song.
♪ 大きな 鬼 の 、 鬼 六 さん 。
おおきな|おに||おに|むっ|
The big demon, Oniroku.
♪ 人間 の 目玉 を 、 お みやげ に 。
にんげん||めだま||||
# Human eyeballs as a souvenir... #
♪ 早く 帰って 、 来 ておくれ 。
はやく|かえって|らい|
# Hurry up and come home... #
「 あれ は 、 鬼 の 子ども が 歌って いる んだ な 。
||おに||こども||うたって|||
"That's a demon child singing.
この 山 は 鬼 の 住みか で 、 鬼 の 子ども が おれ の 目玉 を 欲し がって いる んだ 」 歌 を 聞いた 大工 は 、 あわてて 山 から 逃げ 出し ました 。
|やま||おに||すみか||おに||こども||||めだま||ほし||||うた||きいた|だいく|||やま||にげ|だし|
The carpenter heard the song and ran away from the mountain in a panic.
そして 着いた 先 が 、 あの 橋 の 近く だった のです 。
|ついた|さき|||きょう||ちかく||
And I arrived near that bridge.
「 しまった !
Oh, no!
また ここ に 戻って しまった 」 大工 は 再び 逃げ 出そう と し ました が 、 そこ へ あの 鬼 が 現れた のです 。
|||もどって||だいく||ふたたび|にげ|だそう||||||||おに||あらわれた|
I'm back here again." The carpenter tried to run away again, but then the demon appeared.
「 どこ へ 逃げて も 無駄だ 。
||にげて||むだだ
"There's no point in running anywhere.
約束 通り 、 目玉 を もらう ぞ 」 「 どうか 、 かんべん して くれ 。
やくそく|とおり|めだま|||||||
As promised, I'm going to take your eyeballs.
目玉 が なくなったら 、 仕事 が 出来 ねえ 。
めだま|||しごと||でき|
If I lose my eyeballs, I can't do my job.
仕事 が 出来 なければ 、 家族 が 困る んだ 」 大工 が 一生懸命に 頼む と 、 鬼 は 言い ました 。
しごと||でき||かぞく||こまる||だいく||いっしょうけんめいに|たのむ||おに||いい|
If I can't do my job, my family will be in trouble." The demon said as the carpenter pleaded with all his might.
「 家族 か 。
かぞく|
Family or .
おれ に も 家族 が いる から 、 お前 の 気持ち は よく 分かる 。
|||かぞく||||おまえ||きもち|||わかる
I have a family too, so I understand how you feel.
・・・ よし 、 かんべん して もらい たかったら 、 おれ の 名前 を 三 べ ん 言って みろ 」 「 名前 を ?
|||||||なまえ||みっ|||いって||なまえ|
・ ・ ・ Okay, if you want me to do it, say my name three times. ”“ What's your name?
」 鬼 の 名前 なんて 、 大工 は 知り ませ ん 。
おに||なまえ||だいく||しり||
I don't know the name of the demon.
そこ で 、 適当に 、 「 鬼 太郎 」 「 ちがう !
||てきとうに|おに|たろう|
Then, at random, "Onitaro," "No.
」 「 鬼 一郎 、 鬼 次郎 、 鬼 三郎 、 鬼 四 朗 、 鬼 五郎 ・・・」 「 ちがう 、 ちがう 。
おに|いちろう|おに|じろう|おに|さぶろう|おに|よっ|あきら|おに|ごろう||
Oni Ichiro, Oni Jiro, Oni Saburo, Oni Shiro, Oni Goro... - No, no...
ちがう ぞ !
No, it's not!
」 その 時 、 大工 は あの 不思議な 歌 を 思い出し ました 。
|じ|だいく|||ふしぎな|うた||おもいだし|
At that moment, the carpenter remembered that mysterious song.
「 そう だ 、 鬼 六 だ 。
||おに|むっ|
Yes, it's Oniroku.
鬼 六 、 鬼 六 、 鬼 六 !
おに|むっ|おに|むっ|おに|むっ
Oni Roku, Oni Roku, Oni Roku!
」 大工 は 、 大声 で 叫び ました 。
だいく||おおごえ||さけび|
The carpenter shouted at the top of his lungs.
すると 鬼 は びっくり して 、 「 何で 、 知って いる んだ ー !
|おに||||なんで|しって|||-
Then the demon was surprised and said, "How did you know that?
」 と 、 逃げる 様 に い なく なって しまい ました 。
|にげる|さま||||||
'' and disappeared as if running away.
おしまい