七夕さんのはじまり
たなばた さん の はじまり
The beginning of Tanabata
Le début de Tanabata-san
むかし むかし 、 ある ところ に 、 ほうろく 売り が いました 。
|||||ほう ろく|うり||
Once upon a time, there was a seller of earthen wares.
ほう ろく と いう の は 、 土 で 作った フライパン の 様 な 物 です 。
||||||つち||つくった|ふらいぱん||さま||ぶつ|
A rokuro is like a frying pan made of earth.
ある 年 の 七 月 、 ほう ろく 売り が 山道 を 通り かかる と 、 娘 たち が 湖 で 水浴び を して い ました 。
|とし||なな|つき|||うり||やまみち||とおり|||むすめ|||こ||みずあび||||
In July of a year, when a roaring seller passed a mountain road, her daughters were bathing in the lake.
ふと 見る と 、 目の前 に 美しい 着物 が おいて あり ます 。
|みる||めのまえ||うつくしい|きもの||||
Suddenly, there is a beautiful kimono in front of me.
( あ あっ 、 何て きれいな 着物 な んだろう ) ほう ろく 売り は その 着物 が ほしく なり 、 その 中 の 一 枚 を すばやく カゴ に 入れて 、 何 くわぬ 顔 で 通り すぎて いき ました 。
||なんて||きもの|||||うり|||きもの|||||なか||ひと|まい|||||いれて|なん|くわ ぬ|かお||とおり|||
(Ah, what a beautiful kimono!) The seller wanted the kimono, and quickly put one of them in the basket and passed by with a blank face.
ところが タ 方 、 仕事 を 終えた ほう ろく 売り が そこ へ 戻って くる と 、 一 人 の 美しい 娘 が シクシク と 泣いて いる のです 。
||かた|しごと||おえた|||うり||||もどって|||ひと|じん||うつくしい|むすめ||しくしく||ないて||
However, when the seller came back to the place where he had finished his work, one beautiful daughter was crying.
( は は ん 。
(Hmm.
さては 、 わし に 着物 を とら れた 娘 だ な ) ほう ろく 売り は そのまま 通り 過ぎよう と し ました が 、 娘 の 着物 を 盗んだ と いう 罪 の 意識 も あった ので 、 娘 に 自分 の 着物 を 着せて やる と 、 家 に つれて 帰り ました 。
|||きもの||||むすめ|||||うり|||とおり|すぎよう|||||むすめ||きもの||ぬすんだ|||ざい||いしき||||むすめ||じぶん||きもの||きせて|||いえ|||かえり|
By the way, I'm the daughter who took the kimono.) I tried to pass the sale as it was, but I was guilty of stealing my daughter's kimono, so I gave my daughter my kimono. When I dressed it up, I went home with me.
さて この 娘 、 見れば 見る ほど 美人 です 。
||むすめ|みれば|みる||びじん|
By the way, the more I see this girl, the more beautiful she is.
ほう ろく 売り は この 娘 が 好きに なり 、 自分 の お 嫁 さん に し ました 。
||うり|||むすめ||すきに||じぶん|||よめ||||
The seller fell in love with this girl and gave it to her daughter-in-law.
やがて 子ども が 生まれて 、 親子 三 人 は 仲良く 暮らして い ました 。
|こども||うまれて|おやこ|みっ|じん||なかよく|くらして||
Eventually, a child was born, and the three parents and children lived in harmony.
ある 日 の 事 です 。
|ひ||こと|
It was one day.
ほう ろく 売り が 仕事 に 出かけた 後 、 お 嫁 さん が 子ども を 寝かせ ながら 、 ふと 天井 を 見て みる と 、 何やら あぶら 紙 (→ 物 を 保存 する ため の 和紙 ) に つつんだ 物 が あり ます 。
||うり||しごと||でかけた|あと||よめ|||こども||ねかせ|||てんじょう||みて|||なにやら||かみ|ぶつ||ほぞん||||わし|||ぶつ|||
After the sale went to work, the bride suddenly looked at the ceiling while letting her child lie down, and found something wrapped in oil paper (→ Japanese paper for storing things).
( あら 、 何の つつみ かしら ?
|なんの||
(Oh, what's the wrapping?
) お 嫁 さん が つつみ を 開いて みる と 、 中 に は 盗ま れた 着物 が 入って い ました 。
|よめ|||||あいて|||なか|||ぬすま||きもの||はいって||
) When the bride opened the wrapping, she found a stolen kimono inside.
「 あっ !
Ah!
これ は わたし の 着物 !
||||きもの
This is my kimono!
きっと 、 あの 人 が 盗んだ に 違いない わ 。
||じん||ぬすんだ||ちがいない|
I'm sure she must have stolen it.
ゆるさ ない !
ゆる さ|
I will not allow it!
」 お 嫁 さん は その 着物 を すばやく 着る と 、 子ども を かかえて 空 へ のぼろう と し ました 。
|よめ||||きもの|||きる||こども|||から|||||
The bride quickly put on the kimono and tried to climb into the sky with her child.
そこ へ 、 ほう ろく 売り が 帰って きた のです 。
||||うり||かえって||
There, the sale came back.
一目 で 全て を さとった ほう ろく 売り は 、 お 嫁 さん に 手 を ついて あやまり ました 。
いちもく||すべて|||||うり|||よめ|||て||||
The seller, who took everything at a glance, apologized for his wife.
「 ま 、 待って くれ !
|まって|
Wait a minute!
わたし が 悪かった 。
||わるかった
I am sorry.
だから 待って くれ !
|まって|
So wait for me!
」 「 いいえ !
" No !
わたし は 天 の 国 へ もどり ます !
||てん||くに|||
I will return to the Kingdom of Heaven!
あなた に 着物 を とら れて 、 しかたなく お 嫁 さん に なり ました が 、 わたし は もともと 天女 ( てんにょ ) です 」 「 すま ない !
||きもの||||||よめ|||||||||てんにょ||||
I had no choice but to become a bride because you took my kimono, but I am a natural born woman. I'm sorry!
あやまる !
AYAME !
今 まで に 何度 も 返そう と 思った が 、 お前 が どこ か へ 行って しまう ので は ない か と 心配で 、 返す に 返せ なかった んだ 」 「 いいわけ は 聞き ませ ん 。
いま|||なんど||かえそう||おもった||おまえ|||||おこなって|||||||しんぱいで|かえす||かえせ|||||きき||
I've thought about returning it many times before, but I couldn't because I was afraid you would go away.
さようなら 」 「 たのむ !
Goodbye." Please!
何でも する 。
なんでも|
I'll do anything .
どんな つぐない で も する 。
Do whatever you want.
だから 、 わたし を おいて いか ないで くれ !
So please don't leave me!
」 必死に あやまる 男 の 姿 に 、 心 を うた れた お 嫁 さん は 、 「・・・ で は 、 もし 本当に わたし が 大切 なら 、 本当に わたし に 会い たい の なら 、 わらじ を 千 足 つくって 、 天 に のぼって き なさい 。
ひっしに||おとこ||すがた||こころ|||||よめ||||||ほんとうに|||たいせつ||ほんとうに|||あい||||||せん|あし||てん||||
The bride, who was struck by the appearance of a man who desperately apologized, said, "... Then, if I really care, if I really want to see me, make a thousand straw shoes and go to heaven. Climb up.
そう すれば 親子 三 人 、 今 まで 通り 暮らす 事 が 出来る でしょう 」 と 、 言う と 、 お 嫁 さん は 子ども と ともに 、 天 高く のぼって いって しまい ました 。
||おやこ|みっ|じん|いま||とおり|くらす|こと||できる|||いう|||よめ|||こども|||てん|たかく||||
That way, the three parents and children will be able to live as they always have, "said the bride, who went up to the heavens with her children.
「 わらじ を 千 足 だ な 。
||せん|あし||
"Thousands of straw horses.
よし 、 つくって やる !
Okay, I'll build it!
」 ほう ろく 売り は お 嫁 さん に 会い たい 一 心 で 、 毎日 毎日 、 朝 から 晩 まで ごはん も 食べ ず に 、 わらじ を つくり ました 。
||うり|||よめ|||あい||ひと|こころ||まいにち|まいにち|あさ||ばん||||たべ||||||
" The straw sellers wanted to meet their wives so much that they built the straws every day, from morning till night, without eating a meal.
何 日 も かかって 、 やっと 九百九十九 足 の わらじ が 出来 ました 。
なん|ひ||||きゅうひゃくつくも|あし||||でき|
After many days, I finally got a 999 foot straw.
( よし 、 あと 一足 だ 。
||ひとあし|
( Okay, one more pair.
あと 一足 で 、 あいつ と 子ども に 会える んだ ) そう 思う と 、 ほう ろく 売り は がまん 出来 なく なり 、 一足 たり ない まま 外 へ 飛び出す と 、 天 に 向かって 、 「 お ー い 、 はやく むかえ に きて くれ ー !
|ひとあし||||こども||あえる|||おもう||||うり|||でき|||ひとあし||||がい||とびだす||てん||むかって||-|||||||-
With just one pair, I can meet him and my child.) When I think so, I can't sell it, and when I jump out without a pair, I head toward the heavens and say, "Hey, come back soon." -!
」 と 、 叫び ました 。
|さけび|
" I shouted.
すると 天から 、 ひと かたまり の 雲 が おりて き ました 。
|てんから||||くも||||
Then a cloud came from heaven.
ほう ろく 売り が その 雲 に 乗る と 、 雲 は 上 へ 上 へ と のぼって いき ました 。
||うり|||くも||のる||くも||うえ||うえ|||||
As soon as the foil vendor rode on the cloud, the cloud went up and up and up.
ところが わらじ が 一足 たり ない ため 、 あと 少し の 所 で 天 の 国 へ 着く と いう のに 、 それ っきり 雲 が 動か なく なり ました 。
|||ひとあし|||||すこし||しょ||てん||くに||つく||||||くも||うごか|||
However, because there were not enough straw shoes, I arrived at the land of heaven in a little while, but the clouds stopped moving.
「 あっ 、 あなた 、 本当に きて くれた の ね 」 天女 は 一生懸命に 手 を 振って いる ほう ろく 売り を 見つける と 、 はたおり の 棒 を 下 へ のばし ました 。
||ほんとうに|||||てんにょ||いっしょうけんめいに|て||ふって||||うり||みつける||||ぼう||した|||
"Oh, you really came." The celestial maiden shook her hand hard, and when she found a sale, she extended the stick of the woven fabric down.
ほう ろく 売り は その 棒 に つかまり 、 何とか 雲 の 上 に 出る こと が 出来た のです 。
||うり|||ぼう|||なんとか|くも||うえ||でる|||できた|
The seller was able to grab the stick and manage to get out above the clouds.
さて 、 天女 の 家 に は お じいさん と おばあ さん が いて 、 赤ちゃん の おもり を して い ます 。
|てんにょ||いえ||||||||||あかちゃん||||||
By the way, there are an old man and an old woman in the celestial maiden's house, who are weighting the baby.
「 この 人 が 、 この 子 の お 父さん です 」 天女 は ほう ろく 売り を 、 二 人 の 前 に つれて いき ました 。
|じん|||こ|||とうさん||てんにょ||||うり||ふた|じん||ぜん||||
The nymph brought the foil seller in front of them.
でも 二 人 は 怖い 顔 で 、 ほう ろく 売り を にらみ ました 。
|ふた|じん||こわい|かお||||うり|||
But they looked scary and stared at the sale.
何とか して 、 ほう ろく 売り を 追い返そう と 考えて いた のです 。
なんとか||||うり||おいかえそう||かんがえて||
Somehow, I was thinking of trying to get rid of the sale.
そこ で ほう ろく 売り に ザル を わたして 、 それ で 水 を くんで くる ように 言い ました 。
||||うり||ざる|||||すい|||||いい|
At that moment, they handed a sieve to the walking stick seller and instructed them to fetch water with it.
穴 の たくさん 開いた ザル で は 、 水 を くんで くる こと が 出来 ませ ん 。
あな|||あいた|ざる|||すい||||||でき||
A colander with a lot of holes cannot draw water.
ほう ろく 売り が 困って いる と 、 お 嫁 さん は ザル に あぶら 紙 を しいて くれ ました 。
||うり||こまって||||よめ|||ざる|||かみ||||
When I was having trouble selling it, my wife gave me a piece of paper for the colander.
ほう ろく 売り は それ に 水 を くんで 、 二 人 の ところ へ 持って いき ました 。
||うり||||すい|||ふた|じん||||もって||
The foil vendor filled it with water and brought it to them.
「 うむ 、 人間 に して は なかなか 知恵 が ある 。
|にんげん|||||ちえ||
"Well, you are quite intelligent for a human being.
ほうび に 、 この ウリ を やろう 。
|||うり||
As a reward, let's do this melon.
横 に 切って 食べろ 」 そう 言って 、 お じいさん は ほう ろく 売り に 大きな ウリ を くれ ました 。
よこ||きって|たべろ||いって||||||うり||おおきな|うり|||
Cut it to the side and eat it. "That said, the old man gave me a big melon for sale.
天 の 国 で は 、 ウリ を たて に 切って 食べ ます 。
てん||くに|||うり||||きって|たべ|
In the land of heaven, melons are cut into fresh pieces and eaten.
もし 横 に 切ったら 、 水 が どんどん 出て きて 止まら なく なる のです 。
|よこ||きったら|すい|||でて||とまら|||
If you cut it to the side, the water will come out more and more and it will not stop.
そんな 事 と は 知ら ない ほう ろく 売り が 、 ウリ を 横 に 切った から 大変です 。
|こと|||しら||||うり||うり||よこ||きった||たいへんです
I don't know about such a thing, but it's hard to sell because I cut the melon sideways.
切り口 から 水 が ふきだして 止まら なく なり 、 ほう ろく 売り は 天の川 に 流さ れて 、 どんどん 遠く へ 行って しまい ました 。
きりくち||すい|||とまら|||||うり||あまのがわ||ながさ|||とおく||おこなって||
Water blew out from the cut and couldn't stop, and the selling was swept into the Milky Way and went farther and farther.
それ を 見て 、 お 嫁 さん が 叫び ました 。
||みて||よめ|||さけび|
Seeing this, his wife screamed.
「 あなた ー っ 、 父母 を 説得 して 、 月 に 一 度 、 水 の 流れ を 止めて もらい ます 。
|-||ふぼ||せっとく||つき||ひと|たび|すい||ながれ||とどめて||
"You, persuade your parents to stop the flow of water once a month.
毎月 の 七 日 に 会い に 来て ください 」 ところが ほう ろく 売り は 、 水 の 流れ の 音 の ため に 聞き ちがえて 、 「 よし 、 わかった 。
まいつき||なな|ひ||あい||きて|||||うり||すい||ながれ||おと||||きき|||
Please come to see me on the 7th day of every month. "However, the seller was mistaken for the sound of the flow of water, and said," Okay, I understand.
毎年 の 七 月 七 日 だ な 」 と 、 言って 、 そのまま 流さ れて しまい ました 。
まいとし||なな|つき|なな|ひ||||いって||ながさ|||
It's July 7th of every year. "
こうして 二 人 は 、 年 に 一 回 、 七 月 七 日 の 七夕 に しか 会え なく なった と いう 事 です 。
|ふた|じん||とし||ひと|かい|なな|つき|なな|ひ||たなばた|||あえ|||||こと|
Thus, they could only see each other once a year on July 7, the seventh day of the seventh month.
おしまい